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JP5013861B2 - 重合体物質の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、重合体物質の製造方法並びにこの方法を使用して製造される物質に関する。特に、本発明は、燐に富んだ重合体の製造方法並びに燐酸エステル、例えば部分燐酸エステルの製造方法に関する。
泡沸は、固体物質が熱の影響下で比較的硬質の膨張した泡に変換する過程である。この泡は、この膨張のために元の物質よりも相当に低い熱伝導率を有するものであって、防火手段として使用される。泡沸性物質は、その現形で、防火を必要とする材料及び構造体の表面に適用される。
泡沸性のチャー(char)は、非晶質炭素、又は炭素及びグラファイト、そして縮合燐酸からなる。チャー自体は可燃性ではない。その基礎をなす理論は、重合体物質が泡沸と同じ態様で熱分解するほどに変化できるならば、それは不燃性であるということである。
ある材料、例えば木材、プラスチック、ガラス強化プラスチックが易燃性である場合には、これらの材料は一定の区画の火災負荷を増大させるか、又は材料の表面に沿って火炎を拡散させ、しかして初期燃焼点から離れた領域まで火炎を拡散させる。
火災の危険性を削減させるには二つの方法がある。第一に、難燃性添加剤を材料に添加することができる。大抵の難燃性添加剤は高価であって、それらは基材となる材料の特性をしばしば損なう。
第二に、難燃性塗料を表面に適用することができる。これは、火災状況が限られるという条件で、満足できるに過ぎない。この皮膜が断熱の価値を有しないならば、熱は、易燃性基材がガスを出し又はゆがむまで皮膜から易燃性基材まで通過して、皮膜を破り、基材を火災状況に露出させるであろう。泡沸性の、即ち発泡防炎性の塗料は火災状況下に発泡して断熱性の層を与えるために、それらは熱が基材まで通過するのを防止させる。チャーの形成は、木材におけるように、火災に巻き込まれたときに基材を自己制御的にさせることが知られている。
防火のために、塗料又は他の被覆材に含有される泡沸性難燃性組成物は、このような防火を必要とする材料及び構造体の表面にしばしば適用される。泡沸性難燃性組成物は、熱の影響下で作用して比較的不燃性物質の膨張した泡/チャー層を形成させる。この不燃性の層は断熱材として働き、これが適用された材料に酸素が容易に近づくのを防止させ、しかして材料の過熱及び(又は)燃焼を削減させ又は遅延させる。更に、泡沸性又は発泡防炎性の材料は、コーキングのようなシール材に含有させることができ、膨張して泡/チャー層を形成すると耐熱性発煙シール材として作用する。
泡沸性難燃性組成物は、下記の物質を含むことができる。
(a)不揮発性酸源、通常は、ポリ燐酸アンモニウム、
(b)有機物質、例えば、ポリ燐酸アンモニウムから遊離される酸によって分解されて炭素源を削減させることができる炭化性ポリオール、及び
(c)泡/チャーの形成を助成する不活性揮発性ガス源。これは泡状物である。揮発性ガス源は、例えばメラミンであることができる。燐触媒泡沸系の泡沸性の泡/チャーは、典型的には、非晶質の炭素、又は炭素及びグラファイト、そして縮合燐酸からなる。
研究の背後にある基礎となる理論は、樹脂性と泡沸性との双方を有する重合体分子に燐酸エステル触媒系の官能基を結合させることである。
効率的でない不安定な基が存在せず且つ官能基の全てが分子規模で接触しているときは、輸送上の問題は存在しない。例えば、存在するポリオールは、慣用の燐酸エステル触媒泡沸性又は発泡防炎性物質の反応中に、放出されるポリ燐酸によって脱水される。
明らかに、燐酸エステルは、炭化性物質が炭素に脱水できる前は中間体として形成されねばならない。この燐酸エステルは、反応温度が該エステルの分解点よりも高いために、それが形成されるとすぐに分解する。しかし、燐酸エステルが元の物質中に存在するならば、反応は、ポリ燐酸アンモニウムの分解温度ではなくて該エステルの低い分解点で開始するであろう。
炭化性ポリオールの安定な燐酸エステルを創り出すことによって1個の重合体分子に結合材、泡、炭化性物質及び慣用の泡沸剤触媒官能基を一体化させることが、本質的に泡沸性の重合体(IIP)において達成された。元の尿素フィチン酸塩からIIPの挙動を予言することは、泡沸性官能基の分子一体化の証拠とみなすことができよう。
慣用の発泡防炎性材料とIIPをベースとした材料の双方の挙動が材料が加熱の状況に付されるときに起こる重量損失に関して考慮されるならば、IIP処方物は、その泡/チャーの生成の点で慣用の処方物よりも40%効率的である。IIPは150℃以下で活性化するので、断熱材により与えられる防火は、火災状況においてAPP処方物よりも容易に利用することができる。
IIP法は、出発点がオキシ塩化燐又は三塩化燐であるトリメスター可塑剤の合成に通常使用される経路に頼ることなく、部分燐酸エステルを安価に合成する手段を提供するために設計された。後者の方法は、高い粘性の重合体物質の生成に対して不適当である。IIP部分燐酸エステルはユニークな直接エステル化方法によって製造される。
本発明は、重合体物質の製造方法並びにこの方法を使用して製造される物質を提供することである。
本発明の一つの観点によれば、次の一般式:
Figure 0005013861
(ここで、R1はアルキレンであり、R2及びR3はH+、アルキレン、アルキル及びアルキルグリコールエーテルから選ばれ、Nは0.75〜10である。)
により表わされる重合体物質が提供される。
この明細書で、炭化性物質及び炭化性ポリオールに言及する。炭化性ポリオールは、酸を酸化することによって、無気熱分解の下で、ガス状断片に還元されるよりはむしろ、炭素に還元されるポリオールである。重合体の主鎖の大部分が潜在的に炭化性の基の形であるならば、その重合体は、易燃性の断片ではなくて炭素に熱分解するであろうと思われる。
特許文献の中では、炭化性物質は、一般に、分子量の40%以上がヒドロキシル基であるポリオールであると説明されている。一般に知られた技術においては、炭化性ポリオールは、ペンタエリトリット、その二量体及び三量体、グリセリン及び蔗糖に限られる。
しかし、上記の方法においては、炭化性ポリオールは、エタンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、ペンタエリトリット及びトリメチロールプロパンであってよい。燐酸エステルとして捕らえられたエタンジオール及びプロパンジオールは系内で炭化性ポリオールとして挙動するのに対して、それらは慣用の系においては分解の前に揮発するであろう。
しかし、この“炭化性(carbonific )”という規定は、全ての従来技術において表わされるように従前の研究者から導かれるものであって、不適切である。了解されていることは、脱水性の酸の存在下に炭素に還元する構造が−C−C結合の序列であって、その単一の炭素原子がヒドロキシルか、脱水性無機酸基のエーテルか又はそれ自体1個の他の炭素原子に結合している窒素のいずれかを持っている炭素原子から2個の原子よりも多く離れていないような前記結合序列として最もよく説明されていることである。
化合物の1,2−プロパンジオール、イノシット、グルコース又は任意の他の糖類は、標準的な定義内で炭化性ポリオールであるが、同じ態様ではエステル化しない。40%のヒドロキシル官能基の計算値が第二アルコールを包含するどのポリオールも、どんな直接エステル化系においても分解しよう。従って、特許文献は、他の方法においてはその定義が不正確である。炭化性ポリオールのエステルを説明するときに、活性物質の好ましい定義は、“第一ヒドロキシルの重量が分子量の40%を占めるポリオール”としてのものである。
本発明の他の観点によれば、燐を与える物質を含む第一反応体を第二反応体と反応させることからなり、該第二反応体が炭化性ポリオール又はポリオールの官能性等価物を含み又はこれを与えることができるものである、重合体物質の製造方法が提供される。
本発明の他の観点によれば、無水五酸化燐を含む第一反応体を、(a)ジオール及び(b)エーテルとジオールよりなる群から選択される第二反応体と反応させることからなる、重合体物質の製造方法が提供される。該エーテルは好ましくは環状のエーテルである。
前記の方法で使用されるアルコールは、ヒドロキシル基を有するアルコール又はジオールのようなポリオールを包含し得る。環状のエーテルは、エチレンオキシド及び(又は)プロピレンオキシド及び(又は)テトラヒドロフラン及び(又は)テトラヒドロピランを包含し得る。好ましくは、環状のエーテルはテトラヒドロフランからなる。
本発明の第二の観点である方法の第一の具体例では、第一反応体と第二反応体が互いに反応して重合体物質を生成することができる。この重合体物質は、望ましくは燐酸エステル、好ましくは部分燐酸エステルからなる。
第一具体例の反応は以下の通りであろう。
Figure 0005013861
この反応で使用されるアルコールは、ジオールのようなポリオールであってよい。
第一具体例の反応で形成される重合体物質は、次の一般式:
Figure 0005013861
により表わすことができる。
第一反応により形成される重合体物質の一具体例では、R1はCが3又は4であるアルキレンであり、Cは3又は4であり、Nは1であり、R2及びR3はH+である。
第一反応により形成される重合体物質の他の具体例では、R1はn−ブチレンであり、R2はH+であり、R3はn−若しくはイソ−ブチル、イソプロピル又はこれらのうちの任意の混合物であり、Nは0.75〜4である。
第一反応により形成される重合体物質の更に他の具体例では、R1はn−ブチレン及び(又は)2,2−ジメチレンプロピレンであって、3:1よりも大きいモル比にあり、R2及びR3はエチル、H+及び(又は)エチルグリコールエーテル鎖であって、30〜70mgKOH/gの酸価を有し、Nは2〜10である。
第一反応により形成される重合体物質の更に他の具体例では、R1はn−ブチレンであり、R2及びR3はエチル及び(又は)エチルグリコールエーテル鎖であり、Nは2〜10である。
第一反応により形成される重合体物質を形成するのに使用される第二反応体が環状エーテル及びアルコールからなるときは、該アルコールは、第一反応体と環状エーテルとの間の反応を開始させるための開始剤を構成できる。更に、又は別法として、該アルコールは、重合体物質における連鎖停止剤であることができる。該アルコールは炭化性物質であり得る。好ましくは、炭化性物質は、この炭化性物質を含有する生成した重合体物質がその活性化温度、即ち、生成物が泡沸し始める温度に達するときに、炭素に転化される。該アルコールは、短鎖アルコール及び(又は)ポリオール、例えばジオールであってよい。
本発明の第二の観点である方法の第二の具体例では、反応は以下のようなものであろう。
Figure 0005013861
好ましくは、本法の第二具体例のアルコール又はジオールは、4個以下の炭素原子の鎖長を有する。このことは、重合体物質の好ましい具体例が火災状況に曝されたときに易燃性物質を形成しないという利点を有する。第二反応体として使用するのに好適なアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N−プロパノール、N−ブタノール及びイソブタノールの1種以上からなる。第二反応体として使用するのに好適なポリオールは、ペンタエリトリット、グリセリン、トリメチロールプロパン、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及びグルコースの1種以上からなる。
第二の観点である本法の第一具体例においては、ジオールを反応容器内に用意することができる。第一反応体は、供給装置により反応容器に添加することができる。好ましくは、第一反応体は、保持室、都合よくばホッパーに保持され、供給装置(これは導管よりなっていてよい。)により反応器に供給することができる。第一反応体を導管に沿って押出すために押出し装置を導管内に備えることができる。押出し装置は、スクリュー、例えばアルキメデススクリューからなっていてよい。
好ましくは、供給装置は、反応容器内の自由空間で終わる。ホッパー及び供給装置には、供給装置内での第一反応体と第二反応体との反応を回避させるために不活性ガスを供給することができる。不活性ガスは窒素であってよい。
第二の観点である本法の第二具体例においては、エーテルを反応容器内に用意し、これにアルコール及び第一反応体を供給することができる。好ましくは、第一反応体は、供給装置により反応容器に添加される。好ましくは、第一反応体は、保持室、望ましくはホッパーに保持され、供給装置(これは導管よりなっていてよい。)により反応器に供給することができる。第一反応体を導管に沿って押出すために押出し装置を導管内に備えることができる。押出し装置は、スクリュー、例えばアルキメデススクリューからなっていてよい。アルコールは滴下供給装置により反応容器に添加することができる。所望ならば、更なるアルコールを反応容器内に用意することができる。
好ましくは、第一反応体及び適当な場合のジオール又はアルコールは、反応温度が所定の温度に達するまでに反応容器に供給される。このような所定の温度に達したときに、第一反応体及び随意のアルコールの供給を停止することができる。
反応容器は、反応体を冷却するため冷却手段を含んでもよい。反応体の温度が前記の所定の温度よりも低下したときは、冷却手段を切り替えて、第一反応体及び適当ならば第二反応体の供給を再開することができる。
好ましくは、反応体は前記の所定の温度まで加熱される。
この所定の温度は、25℃〜65℃の範囲にある。例えば、第二反応体とジオールが重合体物質を生成する一つの具体例においては、この温度は33℃〜37℃の範囲にあり、更に好ましくは実質的に35℃である。例えば、第二反応体とエーテル及びアルコールが重合体物質を生成する他の具体例においては、この所定の温度は25℃〜55℃の範囲、好ましくは33℃〜37℃の範囲にあり、更に好ましくは35℃である。
望ましくは、第一反応体及び適当な場合のジオール又はアルコールの供給は反応温度が実質的に37℃に達したときに停止し又は削減することができる。反応体の供給は、温度が実質的に33℃に低下したときに再開することができる。ジオールは1,3−プロパンジオールからなっていてよい。
別法として、該所定の温度は43℃〜47℃の範囲にあり、更に好ましくは実質的に45℃である。第一反応体及び適当な場合のアルコールの供給は、反応混合物の温度が実質的に47℃に達したときに停止し又は削減することができる。反応体の供給は、温度が実質的に43℃に低下したときに再開することができる。この具体例においては、第二反応体は1,4−プロパンジオールからなっていてよい。
成分の全てが添加されたときに、反応混合物は55℃〜75℃の温度、更に好ましくは実質的に55℃又は実質的に75℃まで添加することができる。
反応混合物を撹拌するために撹拌手段を反応容器に備えることができる。
第三の反応体を第一反応体と第二反応体との反応から生じた生成物と反応させることができる。この第三反応体は、環状エーテル、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び(又は)グリシドからなっていてよい。第三反応体と前記の反応生成物との反応は、下記の通りである。
Figure 0005013861
第一反応体とジオールが重合体物質を生成する場合には、これらの反応体は、互いに化学量論的な比率で有利に混合される。
第一反応体とエーテル及びアルコールが重合体物質を生成する場合には、第一反応体とエーテルは、1:1〜1.5:1、好ましくは1.1:1〜1.2:1の範囲の第一反応体:エーテルのモル比であってよい。
第一反応体とエーテル及びアルコールとの反応生成物を第三反応体と反応させるときは、第一反応体とエーテルは、1:1〜2:1、好ましくは1.6:1〜1.85:1の範囲の第一反応体:エーテルのモル比であってよい。該反応生成物を生成させるための第一反応体とエーテルとの反応は、25℃〜55℃の範囲、好ましくは43℃〜47℃の範囲の温度、更に好ましくは実質的に45℃で実施することができる。第一反応体及び適当な場合のアルコールの供給は、反応混合物の温度が実質的に47℃に達したときに停止し又は削減することができる。反応体の供給は、温度が実質的に43℃に低下したときに再開することができる。
前記反応生成物と第三反応体との反応は、30℃〜60℃、好ましくは40℃〜50℃の範囲の温度で実施することができる。
好ましくは、前記反応生成物と第三反応体との反応は、第二反応容器において実施されるが、この反応容器は断熱ジャケット付の容器からなっていてよく、また撹拌装置、例えばローターを有することができる。別法として、撹拌手段は、重合体物質内に渦を与えることができる。重合体物質は第二反応容器内に用意することができ、また第四反応体を供給するために供給装置を備えることができる。この供給装置はガスバブラーを含み、これは第三反応体が重合体物質内に気泡となるように第二反応容器内に配置することができる。別法として、供給装置はガス化装置、例えばガス化塔からなっていてよく、これによって第三反応体の雰囲気が第二反応容器内に提供される。好ましくは、重合体物質は第三反応体の雰囲気中を流れる。反応容器内に凝縮装置を備えることができ、これによりこの凝縮手段は液相の第三反応体を重合体物質上に滴下させる。重合体物質は、第三反応体の沸点よりも高い温度に保持することができる。重合体物質がこのような温度に保持されるときは、第三反応体は重合体物質と接触すると直ぐに揮発し、このガスは撹拌装置により重合体物質中に入っていく。
本発明の他の観点によれば、五酸化燐とテトラヒドロフラン及び4個以下の炭素原子を持つ任意の第一若しくは第二アルコール若しくはジオールとの反応から誘導され、又は五酸化燐と1,3−プロパンジオール又は1,4−ブタンジオールとの反応から誘導される、4個以上の燐原子を含有する1,4−ブタンジオールのジオルト燐酸ジエステルのオリゴマーの架橋から誘導される重合体物質が提供される。
五酸化燐は、好ましくは無水の五酸化燐である。
アルコール又はジオールの一部分は、分岐状のオリゴマーを得るためにペンタエリトリット及び(又は)トリメチロールプロパンと置き換えることができる。
該オリゴマーは、次いで、残留酸性オルト燐酸エステル基とエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びグリシドから選ばれる環状エーテルとの反応によって変性することができる。
未縮合のピロ燐酸エステル基がオリゴマーの主鎖中に又は主鎖上に残っていてもよい。
本発明の他の観点によれば、尿素又はメラミンホルムアルデヒド樹脂により架橋された前記の燐含有オリゴマーから誘導される発泡防炎性の難燃性のペイント、ワニス及び被覆材が提供される。
このペイント、ワニス及び(又は)被覆材は、水系あってよく、即ち、主成分であってこれに他の成分が溶解し若しくは懸濁し又は保持されるものとして水を含むことができる。
本発明の他の観点から見れば、難燃性パーティクルボードを生産するのに使用される接着剤であって、尿素又はメラミンホルムアルデヒド樹脂により架橋された前記の燐含有オリゴマーを含むものが提供される。
本発明の他の観点から見れば、前記の酸性オリゴマーによるレゾールフェノール樹脂の硬化から誘導されるフェノール注型体、複合体及び発泡体が提供される。
本発明の他の観点によれば、前記の変性オリゴマーであって、その残留酸性オルト燐酸エステル基がシクロ脂肪族エポキシ樹脂により架橋されているものから誘導される難燃性で泡沸性のフィルム及び注型体が提供される。
本発明の他の観点によれば、前記の変性オリゴマーであって、その残留酸性オルト燐酸エステル基が多官能性アジリジンにより架橋されているものから誘導される難燃性で泡沸性のフィルム及び注型体が提供される。
本発明の他の観点によれば、前記の変性オリゴマーであって、その残留酸性オルト燐酸エステル基が亜鉛アンモニア錯体により架橋されているものから誘導される難燃性で泡沸性のフィルム及び注型体が提供される。
本発明の他の観点によれば、前記のオリゴマーであって、その酸価がエチレンオキシド又はプロピレンオキシドにより7mgKOH/g以下に低減され、次いでイソシアネートにより架橋されたものから誘導される難燃性のポリウレタンフィルム、注型体及び繊維が提供される。
好ましくは、この難燃性のポリウレタンフィルム、注型体及び繊維は、イソシアネートにより架橋する前に他のポリオールをオリゴマーと混合したものから誘導することができる。
本発明の他の観点によれば、前記のオリゴマーであって、その酸価がエチレンオキシド又はプロピレンオキシドにより7mgKOH/g以下に低減され、次いで水で変性され、イソシアネートにより架橋されたものから誘導される難燃性で硬質で可撓性のポリウレタンフォームが提供される。
好ましくは、この難燃性で硬質で可撓性のポリウレタンフォームは、イソシアネートにより架橋する前に他のポリオールをオリゴマーと混合したものから形成される。
本発明の他の観点によれば、難燃性の被覆材、フィルム、注型体又は繊維であって、これらを難燃性にするために酸価がエチレンオキシド又はプロピレンオキシドにより7mgKOH/g以下に低減された前記のオリゴマーが他の重合体物質と混合されてなるものが提供される。
本発明の他の観点によれば、前記のオリゴマーの製造方法であって、その反応が撹拌した反応混合物中に粉末状五酸化燐を計量添加することにより実施し、その添加速度を反応混合物の温度に比例して制御するようにした方法が提供される。
本発明の他の観点によれば、前記のオリゴマー及び(又は)他の部分燐酸エステルの酸価を低減させるための方法であって、エチレンオキシド及び(又は)プロピレンオキシドをガスとして燐酸エステルと接触させることからなる酸価の低減方法が提供される。
本発明の他の観点によれば、アミンを燐酸エステルと反応させることからなる重合体塩物質の製造方法が提供される。
この重合体塩物質の製造方法は、他の反応体をアミン及び燐酸エステルと反応させることからなっていてもよい。該他の反応体はアミンからなる。
該アミン又は各アミンは、有機アミンからなる。好ましくは、該アミン又は各アミンは、ポリアミン及び(又は)アミン官能基を有する重合体からなる。この重合体は複数のアミン官能基を有する。
ポリアミンはメラミンからなっていてよい。
アミン官能基を有する重合体はポリエチレンイミンからなっていてよい。
本発明の他の観点によれば、メラミン、燐酸エステル及びポリエチレンイミンを反応させることからなる重合体物質の製造方法が提供される。
燐酸エステルは、部分燐酸エステルを包含し得る。該燐酸エステルは、五酸化燐と1,4−ブタンジオール及び(又は)1,3−プロパンジオール及び(又は)1,2−エタンジオール及び(又は)ペンタエリトリットとの反応生成物であってよい。
また、該燐酸エステルは、縮合燐酸と1,4−ブタンジオール及び(又は)1,3−プロパンジオール及び(又は)1,2−エタンジオール及び(又は)ペンタエリトリットとの反応生成物であってもよい。
重合体物質は、重合体塩、好ましくは重合体塩の混合物を包含し得る。
好ましい具体例は、重合体物質が部分燐酸エステルと反応させるのに使用されたメラミンとポリエチレンイミンの比に依存する燐含有量を有する重合体塩の混合物からなるという利点を有する。メラミン対ポリエチレンイミンの低い比を使用すると、メラミン対ポリエチレンイミンの高い比を使用するよりも高い含有量及び低い活性化エネルギーを有する重合体物質がもたらされる。
重合体塩物質の製造方法のいくつかの具体例においては、反応は100℃までの温度、好ましくは85℃〜98℃で実施することができる。
重合体塩物質の製造方法の他の具体例においては、反応は90℃〜150℃の温度、好ましくは実質的に135℃で実施することができる。
燐酸エステルは、オルト燐酸エステルを包含し得る。
重合体塩物質は、水に4〜8のpHを与えるように懸濁及び(又は)溶解させることができる。
メラミン対ポリエチレンイミンの比は、メラミンで中和される酸官能基の40%からポリエチレンイミンで中和される酸官能基の60%の間であってよい。好ましくは、メラミン対ポリエチレンイミンの比は、メラミンで中和される酸官能基の5%からポリエチレンイミンで中和される酸官能基の95%の間であってよい。
本発明の他の観点によれば、前記した重合体塩物質を含む難燃性組成物が提供される。
重合体塩物質は、熱硬化性又は熱可塑性樹脂マトリックス中に混入させることができる。
好ましい具体例の詳細な説明
図1を参照するに、重合体物質の製造方法のための第一装置10が示される。第一装置10は、第一反応容器12を含み、これには、以下で検討するように第一具体例では1,4−ブタンジオールのようなジオールを計量配分入し、第二具体例ではテトラヒドロフランのような環状エーテルを配分することができる。
第一装置10は、粉末状無水五酸化燐を保持するホッパー14を更に含む。ホッパー14には、可撓性PTFEワイヤ16の形の機械的攪拌機がある。供給チューブ18は、ホッパー14から第一反応容器12内の自由空間まで伸びている。供給チューブ18は、粉末状無水五酸化燐を反応容器12に押しやるためにアルキメデススクリュー供給装置20を含む。
供給チューブ18に窒素を供給するために窒素供給装置22が備えられ、これにより供給チューブ18内に窒素雰囲気が与えられる。
反応容器12は、容器12内の反応体を撹拌するために攪拌機24を含む。
容器12は中空の壁26を有し、反応容器12における反応温度を保持するために中空壁26に冷却剤、即ち冷水を供給するための冷却剤供給チューブ28が備えられる。反応温度をモニターするために且つ冷却剤の供給速度を制御するべく制御器に好適な信号を与えるために温度計30が備えられる。
第二具体例の場合に、反応容器12内に最初に配分される反応体が例えばテトラヒドロフランであるときは、開始剤及び(又は)連鎖停止剤アルコール(例えば、ジオール)を反応容器の内部に計量配分するためにディスペンサー32が備えられる。ディスペンサー32は、ロート34からなり、長い中空チューブ36がロート34から反応容器12の内部に伸びている。
図2は第二装置40を示すが、ここでは第一装置10で起こる反応の反応生成物をエチレンオキシドのような環状エーテルの形の第三反応体と反応させることができる。
第二装置40は第二反応容器42からなる。(第一装置10で起こった)第一反応からの反応生成物は、第二反応容器42に配分することができる。第二反応容器42は中空の壁44を有し、その中には冷却液、例えば水を供給チューブ46を経て供給することができる。液状のエチレンオキシドを第二反応容器42に配分するために第二ディスペンサー48が備えられる。第二ディスペンサー48は、ロート50とこのロート50から第二反応容器42の内部に伸びている長い中空チューブ52とからなる。
第二反応容器42の上部領域54は凝縮器コイル56により内部が巻かれていて、これには冷却剤を供給チューブ58を経て供給することができる。冷却剤は、排出チューブ60を経てこのコイルから排出される。
反応体を撹拌するために攪拌機62が第二反応容器42に備えられる。第二反応容器は、断熱ジャケット64によって断熱することができる。
反応の負荷は種々の構造を得るために考慮できる限界内で変えることができ、これらはどんな理論にも制限されることなく、下記の考慮事項から計算することができる。
五酸化燐の各分子は、P−O−Pの形の結合を6個有するものと見なすことができる。
完遂まで反応したアルコールの各分子は、P−O−Pの形の結合の数を2だけ減じて、POH+として1個の結合及びPORとして1個の結合を生じる。
完遂まで反応した第一ジオールの各分子は、P−O−Pの形の結合の数を4だけ減じて、POH+として2個の結合を及びPOR(0-P)として2個の結合を生じる(この名称は、Rの両端が燐酸エステルとして反応することを示すために使用する。)。
完遂まで反応したテトラヒドロフランの各分子は、POH+結合の数を1だけ減じて、POR(0-P)を生じ、またP−O−Pの形の結合の数を2だけ減じて、POH+として1個の結合及びPOR(0-P)として1個の結合を生じる。
従って、反応装入物中のP25のグラム分子の数がWであり、
アルコール(又はジオール)のグラム分子の数がXであり、
1,4−ブタンジオールのグラム分子の数がYであり、
テトラヒドロフランのグラム分子の数がZであり、且つ、
アルコールの平均グラム分子量がMであるならば、
残留ピロ燐酸エステル結合中のP−O(PO0-P)結合の数(P25の元のモル当たりの)Aは、
A=(6W−2X−4Y−Z)/W
により示される。
25の元のモル当たりのPOH+基の数Bは、
B=(X+2Y−Z)/W
により示される。
25の元のモル当たりのPOR基の数Cは、
C=X/W
により示される。
25の元のモル当たりのPOR(0-P)基の数Dは、
D=(2Y+Z)/W
により示される。
鎖長CLは、
(A+D)/2W
により示されるP原子当たりの連鎖伸長基(即ち、POR(0-P))の平均数から決定される。
この数字が2であるならば、鎖長は無限である。PO4は常に末端にあるから、
CL=(4W+A+D)/(4W−A−D)
である。
従って、酸価(AV)は次のように計算することができる。
AV=56000B/(142W+XM+90Y+72Z)
燐含有量P%は次のように計算することができる。
6200W/(142W+XM+90Y+72Z)
重合体物質の種々の構造が可能であって、以下の実施例においてそれらの用途及び架橋の機構に従って定義することができる。
例1
燐に富む重合体(PRP)形1
アルコールを使用して五酸化燐をオルト燐酸エステルに分解させると、その結果はジエステルとモノエステルとの等モル混合物となる。
25+3ROH→H2RPO4+HR2PO4
この過程を水処理薬品の製造のために使用する。しかして、アルコールの代りに1,4−ブタンジオールを使用し且つ反応を工程1の五酸化燐ディスペンサー/反応器で行なうならば、構造が次式:
Figure 0005013861
により表わされ得る生成物が非常に容易に生成し、中密度の淡褐色樹脂状物として現われる。
これと類似する樹脂や変形が、低コストの発泡防炎性塗料を製造するためにアミノ樹脂により架橋させることが意図される。
第一反応容器(前記したような)に3グラム分子の1,4−ブタンジオールを多数回装入する。粉末供給ホッパーに2グラム分子の五酸化燐を多数回装入する。容器の内容物を45℃に加熱する。攪拌機を始動させる。
五酸化燐の添加シーケンスを開始する。攪拌機の速度は、五酸化燐粉末が反応混合物の表面に落下するときにそれの迅速な混入を確実にさせるのに必要な最低限に保持する。温度制御器は、反応混合物が最高で47℃に達したときに添加を停止し、反応容器ジャケットへの冷却剤の流れを開始させるべきである。温度が最低で43℃に低下したときは、制御器により五酸化燐の添加を自動的に再開すべきである。反応が進行して生成物が更に粘稠になるにつれて、反応温度は60℃に上昇しよう。五酸化燐の全てが添加されたときに、温度を4時間75℃に上昇させて解離反応を完了させる。
このように生成した部分燐酸エステルは、600mgKOH/gの酸価を有する。この生成物は、ツーパック型の一部か又はワンパック型の熱硬化性物質のいずれかである。形1のためには、この生成物は、1,4−ブタンジオールの代わりに1,3−プロパンジオールを使用し、続いて酸価に関して下記の処方物に調節することによって等しく製造することができる。
例1を使用する処方物(単位重量部)
Figure 0005013861
予備反応燐酸は、15重量%の水酸化アルミニウムを市販の70%燐酸に溶解することによって製造する。
BT 338(ブリチッシュ・インダストリアル・プラスチックス社(BIP)製)は、典型的な市場で入手できる部分エーテル化メラミンホルムアルデヒド樹脂である。
BT 970(ブリチッシュ・インダストリアル・プラスチックス社(BIP)製)は、典型的な市場で入手できる尿素ホルムアルデヒド樹脂である。
BT 640(ブリチッシュ・インダストリアル・プラスチックス社(BIP)製)は、典型的な市場で入手できるエーテル化尿素ホルムアルデヒド樹脂である。
例1におけるような処方物1は、透明で柔軟である熱硬化性泡沸性フィルムを生成し且つ易燃性の基体に適用することによってその基体に防火性を与えるワンパック型生成物である。このものは、顔料添加でき、また希釈剤として水又はメトキシプロパノールにより変性することができる。
処方物2は、透明で柔軟であり且つ易燃性基体に防火性を与える泡沸性のフィルムを生成するツーパック型の風乾性被覆材である。このものは、顔料添加でき、また希釈剤として水又はメトキシプロパノールにより変性することができる。
処方物3は、パーティクルボード用の熱硬化性接着剤である。この混合物を慣用の11〜15%樹脂含有量の結合材の代わりに使用して熱プレスで木材繊維又はフレークを結合するのに使用するならば、それは耐火性のパーティクルボードを生成する。
処方物4は、一時的な保護を要求する紙やカードボード又は任意の可撓性基体上に透明で泡沸性の防火性フィルムを生成するツーパック型の風乾性被覆材である。
処方物5は、繊維や紙製品に柔軟で難燃性を生じるワンパック型の被覆材である。オリゴマー体部分燐酸エステルは、所定の条件下でこの典型例のブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂により通常架橋する。
PRP形1のための一般化した反応シーケンスを図3に示す。
例2
PRP形2
形2の物質はレゾールフェノール樹脂用の硬化剤及び架橋剤であって、色々な用途のためにこれらのフェノール硬化剤を種々の用途に対し要求通りに製造するのに有意義な構造及び鎖長の変更が可能である。形3及び4は、後記するように、停止用兼開始用アルコールとしてエタノールを専ら利用するのに対して、形2のオリゴマーはこの目的のためにイソプロパノール又はn−ブタノールを利用する。これらのアルコールは、オリゴマーの粘度を、従って樹脂混合物の粘度を低下させる。レゾールフェノール樹脂は一般的に繊維強化複合体に適用されるので、この低粘度は繊維の浸透及び湿潤を可能にするのに有用である。更に、連鎖構造に少数の未縮合燐酸エステル結合を残すことが有用である。この別法は、レゾールフェノール樹脂が縮合するときに放出される水の影響下でピロ燐酸エステルが解縮合するので、一定レベルの酸性を与えることによって該樹脂を周囲温度で完全に硬化させる。これらの物質により硬化した樹脂は、非常に淡い色であり、そのように生成した複合体の引張強さにおいて利点を示す。
例2を使用する処方物A
使用した装置は前記した通りのものである。五酸化燐ホッパーに2グラム分子の五酸化燐を多数回装入する。反応器に1グラム分子の1,4−ブタンジオール及び2グラム分子のテトラヒドロフランを同じ多数回装入する。反応器中に計量配分する別のロートに1グラム分子のイソプロピルアルコールを同じ多数回装入する。容器の内容物を35℃に加熱する。攪拌機を始動させる。
五酸化燐添加シーケンスを開始する。攪拌機の速度は、五酸化燐粉末が反応混合物の表面に落下するときにそれの迅速な混入を確実にさせるのに必要な最低限に保持する。比例制御器は、反応混合物が最高で37℃に達したときに添加を停止し、反応容器ジャケットへの冷却剤の流れを開始させるべきである。温度が最低で33℃に低下したときは、制御器により五酸化燐の添加を自動的に再開すべきである。反応が進行して生成物が目視で更に粘稠になるときに、イソプロピルアルコールを反応混合物中に滴下供給して粘度制御を維持する。
全ての五酸化燐とイソプロピルアルコールが添加されたときに、温度を2時間55℃に上昇させて解離反応を完了させる。
常温硬化性フェノール樹脂の架橋用に使用するために、形2の物質を水性レゾール樹脂、例えばボーデン・ケミカルズ社製のCellobond J2033L(これは、20℃で4時間〜10分間の硬化時間を与える。)に5%〜25%で添加する。
非水性フェノールレゾールがGB 2291881に教示されるように使用されるならば、10%〜30%の添加は20℃で5時間〜25分間の硬化時間を生じよう。物性に対する効果は以下に示す通りである。
冷プレス積層体、2:1の樹脂対ガラス比、5層、60gのチョップドストランドマット
Figure 0005013861
Phencat 10は、慣用の燐酸/p−トルエンスルホン酸硬化剤系である。Phencat 382は、EP 92309426.2に教示される通りの部分燐酸エステルである。
例2を使用する処方物B
使用した装置は前記した通りのものである。五酸化燐ホッパーに1.5グラム分子の五酸化燐を多数回装入する。反応器に2グラム分子のテトラヒドロフランを同じ多数回装入する。反応器中に計量配分する別のロートに2.5グラム分子のイソブタノールか又はn−ブタノールのいずれかを同じ多数回装入する。容器の内容物を35℃に加熱する。攪拌機を始動させる。
五酸化燐添加シーケンスを開始する。攪拌機の速度は、五酸化燐粉末が反応混合物の表面に落下するときにそれの迅速な混入を確実にさせるのに必要な最低限に保持する。比例制御器は、反応混合物が最高で37℃に達したときに添加を停止し、反応容器ジャケットへの冷却剤の流れを開始させるべきである。温度が最低で33℃に低下したときは、制御器により五酸化燐の添加を自動的に再開すべきである。反応が進行して生成物が更に粘稠になるときに、イソプロピルアルコールを反応混合物中に滴下供給して粘度制御を維持する。
全ての五酸化燐とイソプロピルアルコールが添加されたときに、温度を2時間55℃に上昇させて解離反応を完了させる。
生成物は残留ピロ燐酸エステルを含有しないが、低い粘度を有し、イソブタノールを使用して製造された生成物は300cP以下の粘度を有する。n−ブタノールによる生成物は、レゾールフェノール樹脂と共に使用すると異例なほどに迅速で低温での硬化を与える。しかし、イソブタノールにより製造された生成物は、フェノール樹脂用の硬化剤として使用すると非常に低い強さを与えるが、木材のような多孔質の易燃性基体を含浸させて優秀な難燃性を与えるのに使用することができる。
フェノール系フォームは、耐火性断熱パネルとしてしばしば使用される。しかし、それらは、非常に脆く、火災状況下で非常に劣った物理的挙動を受けやすい。慣用技術を使用する慣用の処方物において形2の置換は、サンドイッチ積層体のための構造コアとして使用するのに十分な可撓性を有し得る淡い色の可撓性フェノール系フォーム断熱ボードを生じさせる。慣用的に製造されたフェノール系フォームと異なって、これらの形2の硬化されたフェノール系フォームは、火災状況下で優秀な挙動を有すると共に爆燃又は収縮する傾向が小さい。
例3
形3及び4
形3の物質は、発泡防炎性フィルム、接着剤及び被覆材を生成させるように設計された非常に低い酸価の部分燐酸エステルである。形3の部分燐酸エステルは、有機酸性オルト燐酸エステル基の付加的反応を使用して架橋される。有機酸性オルト燐酸エステルはカルボン酸のうように挙動し、従ってカルボン酸官能性樹脂を架橋させるのに使用されるどんな系も低酸性の重合体オルト燐酸エステルと共に使用することができる。しかして、シクロ脂肪族エポキシド、多官能性アジリジン、ポリカルボジイミド、そして亜鉛及びジルコニウムアンモニア錯体は、架橋剤及び酸価に依存して、周囲温度か又は高められた温度のいずれかで架橋する。
形4の物質は、中性pHであり、ヒドロキシル官能性である。それらはそのままでイソシアネートと反応してポリウレタンを与え、しかして通常の試験要件の範囲内で不燃性である不燃性ポリウレタン生成物を与える。イソシアネート及びこれとブレンドされるポリオールの選択及び量に依存して、形4の物質は、不燃性椅子張り材料を生産するため軟質の室内用フォームの生産に好適なフォームを製造でき、又はポリテトラヒドロフランをベースとした難燃性ポリウレタン繊維(例えば、商標名LYCRA又はELASTANEとして販売)を生産するためPU繊維に混入させることができ、又は不燃性の耐光堅牢性PUフィルム中に混入させることができる。
形3及び4の物質は、残留酸性オルト燐酸エステル官能基を環状エーテルと反応させることによって製造される。この第二工程の操作は、オリゴマーの主鎖構造を変化させない。オリゴマー並びにこのオリゴマーから製造されるどんな重合体又はフィルムの性質も、第一反応工程で製造された先駆物質並びにその工程で反応した成分のモル比に依存する。中性のオリゴマーは主として線状であり、従って可撓性のフォーム及びフィルムを与える。更に、線状オリゴマーの鎖長は最終重合体の性質を決定する。8個の1,4−ブタンジオールエステルが間に入った9個のオルト燐酸エステル基の鎖からなるオリゴマーは、環状エーテルと完全に反応し且つイソシアネートにより架橋されたときに可撓性のフォーム及びエラストマーを生成させる。
これらの線状オリゴマーは硬質フォームを形成させるために高いヒドロキシル価のポリオールを添加して硬質フォームを形成させることによって変性することができるが、ペイントフィルムの製造のためには分岐状オリゴマーを製造する必要がある。これは、反応の開始時にペンタエリトリットか又はトリメチロールプロパンのいずれかを開始用アルコールの装入物にテトラヒドロフランと共に混入することによって達成される。これは、4個の分岐を与えるペンタエリトリットから又は3個の分岐状オリゴマーを与えるトリメチロールプロパンのいずれかからの連鎖延長によってリガンドアームを生成させることになる。
更に、カルボン酸樹脂と共に使用できる添加架橋剤のどれも形3の物質と共に使用することができる。しかし、酸性オルト燐酸エステルは高活性であり、ほぼ50mgKOH/g以下の酸価が要求される。これを酸性オルト燐酸エステルにより少なくとも二官能性であるようにするためには、形3のオリゴマーの分子量は約2000であるべきである。
例3を使用する処方物A
使用した装置は前記した通りのものである。五酸化燐ホッパーに6グラム分子の五酸化燐を多数回装入する。反応器に1グラム分子のペンタエリトリットを同じ多数回及び8グラム分子のテトラヒドロフランを同じ多数回装入する。反応器中に計量配分する別のロートに6グラム分子のエタノールを同じ多数回装入する。容器の内容物を45℃に加熱する。攪拌機を始動させる。
五酸化燐添加シーケンスを開始する。攪拌機の速度は、五酸化燐粉末が反応混合物の表面に落下するときにそれの迅速な混入を確実にさせるのに必要な最低限に保持する。比例制御器は、反応混合物が最高で47℃に達したときに添加を停止し、反応容器ジャケットへの冷却剤の流れを開始させるべきである。温度が最低でほぼ43℃に低下したときは、制御器により五酸化燐の添加を自動的に再開すべきである。反応が進行して生成物が更に粘稠になるときに、エタノールを反応混合物中に滴下供給して粘度制御を維持する。
全ての五酸化燐とエタノールが添加されたときに、温度を2時間65℃に上昇させて解離反応を完了させる。反応生成物は、約304mgKOH/gの酸価を有する。
次いで、反応混合物を前記したような第二反応器に移す。酸価をほぼ50に低下させるには選定された多回数合計で12モルの環状エーテルが要求される。これは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの任意の分子の組合せであってよい。好ましい反応温度は55℃〜65℃である。酸価が低下するにつれて粘度もそうなることを認識されたい。
下記の表は、第二反応器におけるいくつかの転化の例並びに透明で難燃性のフィルム又は泡沸性のワニス及び可撓性の被覆材を生じさせるための最終生成物のその後の硬化方法を示す。
Figure 0005013861
XAMA 2は市販の多官能性のアジリジン(フレボ・シミエ社製品)である。ERL 4226は、2官能性のシクロ脂肪族エポキシド(ユニオン・カーバイド社製品)である。亜鉛アンモニア錯体は、7.2%の酸化亜鉛、8.7%のアンモニア水及び12.7%の炭酸アンモニウムを脱塩水中に含むものである。
例3を使用する処方物B
使用した装置は前記した通りのものである。五酸化燐ホッパーに4.5グラム分子の五酸化燐を多数回装入する。反応器に8グラム分子のテトラヒドロフラン及び0.5グラム分子のエタノールを同じ多数回装入する。反応器中に計量配分する別のロートに5.0グラム分子のエタノールを同じ多数回装入する。容器の内容物を35℃に加熱する。攪拌機を始動させる。
五酸化燐添加シーケンスを開始する。攪拌機の速度は、五酸化燐粉末が反応混合物の表面に落下するときにそれの迅速な混入を確実にさせるのに必要な最低限に保持する。比例制御器は、反応混合物が最高で37℃に達したときに添加を停止し、反応容器ジャケットへの冷却剤の流れを開始させるべきである。温度が最低でほぼ33℃に低下したときは、制御器により五酸化燐の添加を自動的に再開すべきである。反応が進行するにつれて、ロート内の追加のエタノールを反応混合物中に、五酸化燐とほぼ近いモル割合で、滴下供給する。
全ての五酸化燐とエタノールが添加されたときに、温度を2時間65℃に上昇させて解離反応を完了させる。反応生成物を前記したような第二反応器に移し、前記したように更に8モルのエチレンオキシド及び(又は)プロピレンオキシドによりガス状接触により類似の多回数処理する。このような中性の燐に富むヒドロキシル官能性オリゴマーの酸価は7mgKOH/g以下でなければならない。
このような物質は、16.1%の燐含有量を有する。全てのポリオールをイソシアネートにより架橋させる必要はない。他のポリオールを存在させないで、この生成物をメチルトルエンジイソシアネートにより架橋させると、それは12.9%の燐含有量を与える。そのフィルムは不燃性であるのみならず、泡沸性である。
該オリゴマーを適当なフォーム制御剤、例えばNIAX 264(OSI社製)を添加して変性し、ほぼ1%の水を添加すると、このオリゴマーはトルエンジイソシアネート(TDI)又はMDIのいずれかと共に剛性で弾性で可撓性のフォームを形成するが、これは不燃性であり且つ強い火炎に曝されたときに煙をほとんど発生させない椅子張り用途に好適である。
オリゴマーとしての具体例がポリオールについて30pphに過ぎない量で存在する処方物は、難燃特性を英国の法規の下で燃焼変性フォームに要求されるレベル近くに依然としてもたらすが、ポリオールのヒドロキシル価に依存して可撓性か又は硬質のいずれかである。
前記の先駆物質を酸価を50mgKOH/gよりもむしろ7mgKOH/g以下に低下させるのに十分なエチレンオキシドと反応させると、その分岐状オリゴマーは難燃性のペイント及びワニスを形成させるのに使用することができる。このオリゴマーは、大抵のケトンに可溶性であり、従って他のフィルム形成性ポリオール、例えばバイエル社のDesmophen 800とブレンドすることでき又はそれ自体で使用することができる。それは、化学量論的に正確なレベルのジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート又はトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートにより架橋することができ、また慣用技術である系のいずれかと触媒接触させることができる。PRP形4のポリオールは、その相溶性の範囲内で慣用のポリウレタン技術において使用される任意の他のポリオールと同様に処理することができる。
例3を使用する処方物C
形4は、ヒドロキシル官能基を架橋させる必要もなく、低融点熱可塑性プラスチックのための難燃剤として使用することができる。ある種のオリゴマーを前記のように製造した。これをポリスチレンビーズに対して15重量%の割合で添加した。この塊状物を、ゴム状の塊りが得られるまで穏やかに加熱した。これを冷却し、乳鉢と乳棒で粉砕することによって顆粒にした。次いで、これを平らなシートに熱プレスした。このシートは未変性のポリスチレンシートと比べたときにははっきりと褐色であったが、それらは相当な程度の難燃性を示した。
重合体塩物質を製造するための本発明の観点からの具体例をここに説明するが、この具体例は燐酸エステルを混合したアミン中和剤を重合体塩を製造するためにメラミンと組み合わせて使用することを含む。アミン官能基が脂肪族鎖に垂れ下がるならば、最高の中和効率を分子量に関して得ることができる。しかして、好ましい重合体中和剤はポリエチレンイミンである。これは次の一般構造式:
Figure 0005013861
により表わすことができる。
しかし、第二及び第三アミンも存在する。単量体単位は、アミン官能基当たり43の分子量を有し、これはどんな他の実際構造よりも低い。この物質は、エチレンイミンを重合させることによって製造される。この物質は、商品名Lubrisolとして種々の形態で入手できる。最も便利な工業用形態は、ポリエチレンイミンの50%水溶液であり、Lubrisol Pであり、BASF社の市販品である。
ポリテンイミンは、オリゴマー体部分燐酸エステルのための唯一の沈殿剤として使用することができる。その結果は、溶媒和のために水を吸収する傾向と共に軟質ゲルである傾向がある。しかし、メラミンとポリエチレンイミンの両方からなる混合中和剤が使用するならば、酸官能基を完全に中和するのに使用されたメラミンとポリエチレンイミンとの比に依存する燐含有量を持ったある範囲の不溶性塩が得られる。部分燐酸エステルを中和するのに使用されたメラミンが少ないほど、燐含有量は高く、また活性化温度は低い。
下記の例は、重合体塩の典型的な製造方法を例示する。この例では、部分燐酸エステルは、英国出願第0310650.7に示されるように、2モルの五酸化燐と3モルの1,4−ブタンジオールとの反応から製造する。このオリゴマーは、600mgKOH/gの酸価を有し、PRP形1(PRP F1)として知られる。
撹拌した容器に冷水を装入する。
5%の溶液を形成させるのに十分な粉末状メラミンを添加する。
内容物が85℃〜98℃になるまで撹拌し、加熱する。メラミンは熱水に溶解するが、冷たい状態から加熱すれば5%溶液となる。
部分燐酸エステルを添加し、撹拌し、混合する。
ポリエチレンイミンを添加し、撹拌し、混合する。
加熱及び撹拌を維持する。重合体塩は約5分後に沈澱する。
約4時間加熱し続ける。
冷却し、終夜沈降させる。
上澄み液をデカンテーションする。
容器に水を再度満たし、重合体塩を撹拌して懸濁液とする。
約4時間再加熱する。
重合体塩を沈降させる。
上澄み液を取り除く。
容器に水を再度満たし、重合体塩を沈降させ、上澄み液を取り除いて湿った濃厚物を残す。洗浄をもう1回繰り返す。
この湿った濃厚物をこの工程で使用することができる。
以下では、この工程における物質(即ち、湿った濃厚物)を“重合体スラッジ”という。
重合体の粉末を製造するために、このスラッジは、乾燥し、次いで粉砕によって超微粉砕することができ、或いはスラッジは噴霧乾燥することができる。どの場合も、最終の水を除去するための最終乾燥は130℃で行なわねばならない。
下記の表は、説明した部分燐酸エステルを使用する重合体塩の種々の等級を製造するための処方物を示す。
メラミン対ポリテンイミンの比を増大させた処方物
Figure 0005013861
表に示されるように、メラミンのレベルが高いほど、投棄のための排水の量が多い。
別法として、PRP形1は、同じモル比であるが1,3−プロパンジオールを置き換えて製造した部分燐酸エステルで置き換えることができ、この場合には,PPEについて例1〜7に示した数字は100重量部から95.3重量部に低くなる。
任意の他の重合体アミン又は2以上の官能基を持つポリアミンを、処方物をアミン値について適当に調節して、処方物に含有させることができる。これらの追加の物質は、硬度を変化させ、これにより乾燥塩の粒度低下を容易にさせる。しかし、他の重合体アミンは、オルト燐酸エステルを中和する際にLubrisol Pほどに有効ではないであろう。更に、低アミン含有量のポリアミンは、塩の組成に明らかに有意に多くの炭素を付加させ、燐含有量を低下させると共に発火時の煙の発生を上昇させがちである。メラミン以外のポリアミンは、塩の溶解性を低下させるのに有益であるとはわからなかった。
また、塩類は、成分を高められた温度で直接中和することによって製造することができる。この目的のためには、Z型ブレード又はトリフォイル型ペーストミキサー或いは濃厚ペーストを分散できるこのようなどんなミキサーも使用される。装置は、130℃〜140℃の温度を維持し且つ混合物の温度を迅速に上昇させるテーブルを必要とする。
例8
本法を最も良く例示する。例1〜7に示した処方物のいずれか又は炭化性ポリオールの部分燐酸エステル、メラミン及び多官能性アミンの好適な組合せのいずれかを使用して、多官能性アミンとメラミンをミキサーに装入し、温度をほぼ100℃に上昇させる。アミン中和剤の混合物を、メラミンが混合物の全体に均一に分散されるように、完全に分散させる。
次いで、炭化性ポリオールの部分燐酸エステル(PPE)を熱い混合物(これは跳びちりを防止するためにカバーをするが、大気に通じていなければならない。)にゆっくりと添加する。大きな熱が発生し、水蒸気が発生し、粘度が有意に増大する。
PPEの全てを添加したときに、温度は130℃〜140℃に上昇するので、反応を完了させるために15分間保持する。
混合物をミキサーから排出し、乾燥し、微粉砕するか、又は混合物を100℃以下に冷却し、次いで水で希釈して前記の湿式法で製造した重合体塩スラッジと同等の重合体塩固形分の分散体を作る。この態様で製造された重合体塩の粒度は、非常に小さく、分散体は全く粘稠である。
例9
熱可塑性プラスチックは、押出し又は成形用の熱可塑性プラスチックのマスターバッチに乾燥した重合体塩を混入することによって難燃性にすることができる。ポリプロピレンのような元の樹脂への約30重量部(pbw)の混入で、重合体塩は、成形又は押出を難燃性にさせるし、また航空機の防火性能試験、例えばFAR 25 付録Gに合格し且つDIN 4102に従うクラスB1を合格する製品を与える。約6pbwの低レベルでの混入は、防火性能の測定をそれほど要求しないために防火性能に対する反応を容易に与える。
別法として、同じ効果を、マスターバッチのビードを重合体塩スラッジで被覆することによって得ることができる。これは、重合体塩を乾燥し微粉砕する工程を省く。ビードを湿った重合体塩スラッジ中にタンブル処理すると、スラッジは熱可塑性プラスチックの表面に固着する。次いで、ビードをタンブル乾燥することができ、これは正常な態様で押出し又は射出用の型において使用することができる。重合体塩はそのまま成形又は押出機中を流れ、成形され、前記の同じ結果を持って製品中に混入されるようになる。
重合体塩は、大抵のポリプロピレン、ポリエチレン及びアクリルに有効であることが示された。しかして、熱可塑性プラスチックの加工処理温度の制約のみを条件として、重合体塩は大抵の熱硬化性の成形及び押出材料に有効であることが論理的に想定できる。
例10
強化熱可塑性プラスチック複合体、例えばTwintex(スントゴビン社、米国)又は布として提供される他のガラス若しくは繊維強化複合体は、その織布又は糸を重合体塩スラッジ中を延伸することによって難燃性にすることができる。重合体塩は水に懸濁しない。従って、要求されることは、ローラーをスラッジ被覆用タンクの底部に置かれて布の糸をスラッジ中を強く延伸させることである。重合体塩はポリオレフィンに固着するのみならず、繊維の間に捕捉されるようになる。次いで、布を過剰の水及び重合体塩を除くためにカレンダー処理し、重合体塩はスラッジタンクに返送する。次いで、布を105℃〜150℃の空気循環オーブンにおいて乾燥する。次いで、布を通常の態様で圧縮して難燃性複合体を生じさせた。この防火性能は、成型してない布に被覆した重合体塩の重量に依存する。
先駆物質の糸がそのように処理されるならば、それも続いて布に織られてから次いで難燃性熱可塑性プラスチック複合体に圧縮処理することができる。
例11
類似の態様で、織布又は不織布も、布を重合体塩スラッジ中で引っ張り、続いて乾燥し、カレンダー処理することによって難燃性にすることができる。この態様で重合体塩がポリプロピレンフリースの重量の40%で適用されるように処理されたポリプロピレンフリースは、処理されたフリースがポリプロピレン表面にプレスされるときに高速プロパンバーナーに対して有意の抵抗性を与えることができた。
例12
乾燥重合体塩粉末を、アルミナ三水化物が組成物の25%で難燃剤として普通に使用されている慣用のアクリルシール剤処方物に混入した。重合体塩粉末は、8%の混入で防火性能に対して同じ反応を生じることができ、続いてシール剤処方物の許容度の向上があった。類似の挙動が、慣用の物質により難燃性を得ることが可能ではない接着剤処方物に関して期待される。
例13
重合体塩をラテックス処方物に混入して発泡性防炎塗料を与えることができる。次の簡単な処方物は、全て、良好な泡沸を生じた。しかし、当業者には自明であるように、チャー/泡の上昇高さはキャリアー樹脂の溶融粘度に依存した。予期されるように、例12Dは、最低の泡の高さを与えた。重合体塩は黄色であるが、その着色力は低く、従ってそれは例12Bにおけるようにルチル型チタニアにより容易に遮蔽される。例12Gを除いて、下記の例の全ては、慣用の泡沸性処方物よりも遙かに低い顔料容積濃度(PVC)で処方され、しかして優れた取り扱い易さ、製造容易性並びに慣用の水系処方物により象徴されない特色を与えた。
例14
Figure 0005013861
Revacryl 344(ハルコ社製、英国)及びPliolite LS1(エリオケム社製、米国)は自己凝集性スチレン/アクリルエマルジョンであり、Haloflex 202(ゼネカ社製、英国)は塩化ビニル/塩化ビニリデンエマルジョンである。Silikophen P65W(トーマス・ゴールドシュミット社製、ドイツ)はフェニル/メチルシロキサンエマルジョンである。Emultex 523(ハルコ社製)は水系の発泡性防炎塗料用として慣用されているVeoVaエマルジョンである。Araldite(登録商標)PY340−2は水分散性の液状エポキシ樹脂であり、Araldite HY2992は選定された硬化剤である。必要ならば、2−ブトキシエタノールを凝集溶液として使用する。
処方物14A〜14Fの全ては、軟質木材に塗布したときに12以下のBS476 パート6指数を与える防火性能のある表面拡散を与えた。処方物14Gは、構造用鋼を保護するために設計した処方物である。このものを構造用鋼の保護用処方物を評価するために設計した小規模試験用リグで試験すると、これは慣用の処方物に典型的なチャーの形及び断熱値を与えた。
慣用の発泡防炎性処方物の成分は全て水に露出すると少し可溶性であるので、それらのどれもトップコート無しには限りなく露出できない。重合体塩が不溶性であるとすれば、示した処方物の全ては外部露出条件下で安定であるというのが論理的な仮定である。
また、重合体塩は、ポリウレタン、エポキシド及びアルキッドを基材とした表面被覆用処方物に、その粉末を市販の処方物中で単に撹拌するだけで混入して、その混入のレベルに応じて、発泡防炎性又は難燃性を生じさせることができる。同様に、この物質はポリエステル及びエポキシ複合体に容易に混入される。また、それは、泡沸性がほとんど観察されないがフェノール樹脂の防火性能を高めるのに使用することができる。
本明細書において、特に重要であると思われる本発明の特色に注目させるように努力をしたが、本出願人は、特別強調したか否かに拘わらず、前記し及び(又は)図面に示したどんな特許性のある特色又は特色の組合せに関しても保護を要求していることを理解されたい。
重合体物質の製造方法の第一工程のための装置の概略図である。 重合体物質の製造方法の第二工程のための装置の概略図である。 燐に富む重合体形1の一般化した反応シーケンスを示す。

Claims (45)

  1. 難燃性重合体物質の製造方法であって、
    前記製造方法が、オルト燐酸エステルの形状で燐酸エステルを含む先駆重合体物質が形成される第一反応と、前記難燃性重合体物質が前記先駆重合体物質から形成される第二反応とを含み、
    前記第一反応が、無水五酸化燐を含む第一反応体と、(a)ジオール並びに(b)環状エーテル及びアルコールよりなる群から選択される第二反応体とを反応させることを含み、
    前記ジオールが、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールから選択される1種以上であり、
    前記環状エーテルが、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピランから選択される1種以上であり、
    前記(a)ジオールから形成される前記先駆重合体物質が下記化学式1の構造を有し(下記化学式1においてRはアルキレンを示す):
    Figure 0005013861
    前記第二反応が、前記(a)ジオールから形成される前記先駆重合体物質を、アミノ樹脂、又は、アミン官能基及びメラミンを有する重合体のいずれかと反応させることを含み、
    前記第二反応が、テトラヒドロフラン及びアルコールから形成される前記先駆重合体物質を、前記アルコールがイソプロパノール又はn−ブタノールのときはレゾールフェノール樹脂と反応させ、又は、前記アルコールがエタノール、ペンタエリトリット又はトリメチロールプロパンのときは酸価を低減させる環状エーテルからなる第三反応体と反応させることを含み、
    前記酸価が7mgKOH/g以下であり、前記第二反応がイソシアネートを含む群から選択される架橋剤を添加する工程を更に含む重合体物質の製造方法。
  2. 前記先駆重合体物質が、部分燐酸エステルを含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記アルコールが、前記第一反応体と前記エーテルとの間の反応を開始させる開始剤を含み、及び(又は)前記アルコールが、前記先駆重合体物質における連鎖停止剤を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記アルコールが、炭素原子数が4個以下のアルコール及び(又は)ポリオールを含む請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記ポリオールがジオールを含む請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記アルコールが、4個以下の炭素原子の鎖長を有する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール及びイソブタノールの1種以上を含む請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記アルコールが、ペンタエリトリット、グリセリン、トリメチロールプロパン、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及びグルコースの1種以上を含む請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 反応容器中に前記ジオールを準備し、供給手段によって前記第一反応体を前記反応容器に添加する請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 反応容器中に前記エーテルを準備し、これに前記第一反応体と前記アルコールを供給する請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 保持室に前記第一反応体を保持し、導管を含む供給手段によって前記反応容器に供給する請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記第一反応体を前記反応容器に供給するために、前記導管にスクリュー装置が取り付けられている請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記供給手段が前記反応容器内の自由空間において停止しており、前記供給手段内における前記第一反応体と前記第二反応体との反応を防止するために、前記保持室と前記供給手段に不活性ガスを供給する請求項12に記載の製造方法。
  14. 滴下供給手段によって前記アルコールを前記反応容器に供給する請求項10〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 更なる第二反応体を前記反応容器に供給する請求項14に記載の製造方法。
  16. 請求項9〜15のいずれかに記載の製造方法であって、
    前記製造方法がアルコールの使用を含む場合に、前記第一反応体及び前記アルコールを、前記反応容器の温度が所定温度に達するまで前記反応容器に供給し、その所定温度に達したときに、前記第一反応体及び前記アルコールの供給を一旦停止又は削減する製造方法。
  17. 前記反応容器が反応体を冷却するための冷却手段を含み、前記反応体の温度が前記所定温度よりも低下したときに、前記冷却手段を停止し、前記第一反応体及び前記アルコールの供給を再開始することができる請求項16に記載の製造方法。
  18. 前記所定温度が25℃〜65℃の範囲にある請求項16又は17に記載の製造方法。
  19. 前記所定温度が33℃〜37℃の範囲にある請求項18に記載の製造方法。
  20. 前記所定温度が43℃〜47℃の範囲にある請求項18に記載の製造方法。
  21. 成分の全てを添加し、反応混合物を55℃〜75℃まで加熱する請求項16に記載の製造方法。
  22. 前記第三反応体の環状エーテルがエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びグリシドを含む群から選択される請求項1〜21のいずれかに記載の製造方法。
  23. 前記第一反応体とジオールとが前記重合体物質を生成するものであり、これらの反応体を互いに化学量論的な比率で混合する請求項1〜22のいずれかに記載の製造方法。
  24. 前記第一反応体と前記エーテル及び前記アルコールとが前記重合体物質を生成するものであり、前記第一反応体と前記エーテルが、1:1〜1.5:1の範囲の前記第一反応体:前記エーテルのモル比にある請求項1〜23のいずれかに記載の製造方法。
  25. 前記第一反応体と前記エーテル及び前記アルコールとの反応生成物を第三反応体と反応させ、前記第一反応体と前記エーテルが1:1〜2:1の範囲の前記第一反応体:前記エーテルのモル比にある請求項1〜24のいずれかに記載の製造方法。
  26. 前記反応生成物と第三反応体との前記第二反応を30℃〜60℃の範囲で実施する請求項1〜25のいずれかに記載の製造方法。
  27. 前記第三反応体との反応が第二反応容器内で実施され、該反応容器が断熱ジャケットを有する容器及び撹拌手段を含む請求項1〜26のいずれかに記載の製造方法。
  28. 前記第一反応体と前記エーテル及び前記アルコールとの反応生成物を前記第二反応容器内に準備し、前記第三反応体を供給するための供給装置を備えている請求項27に記載の製造方法。
  29. 前記アミン官能基及びメラミンを有する前記重合体を燐酸エステルと反応させることを含み、前記難燃性重合体物質が塩である請求項1〜28のいずれかに記載の製造方法。
  30. 前記アミン官能基を有する重合体が、ポリエチレンイミンを含む請求項1〜29のいずれかに記載の製造方法。
  31. 前記アミン官能基及びメラミンを有する前記重合体を燐酸エステルと反応させることを含み、前記第二反応を100℃以下の温度で行う請求項1〜30のいずれかに記載の製造方法。
  32. 前記アミン官能基及びメラミンを有する前記重合体を燐酸エステルと反応させることを含み、前記第二反応を90℃〜150℃の温度で行う請求項1〜30のいずれかに記載の製造方法。
  33. 前記燐酸エステルがオルト燐酸エステルを含む請求項1〜32のいずれかに記載の製造方法。
  34. 前記重合体物質が、水に懸濁及び(又は)溶解され、4〜8のpHを与えることができる請求項29〜33のいずれかに記載の製造方法。
  35. 請求項29〜34のいずれかに記載の製造方法により形成された難燃性重合体物質を含む難燃性組成物。
  36. 請求項1〜34のいずれかに記載の製造方法により形成された難燃性重合体物質
  37. 4重量%よりも多い燐を含む請求項36に記載の重合体物質
  38. 9重量%よりも多い燐を含む請求項36に記載の重合体物質
  39. 請求項29〜34のいずれかに記載の製造方法により形成された重合体物質であって、水溶性発泡性である重合体物質
  40. 前記燐酸エステルが、五酸化燐と、1,4−ブタンジオール及び(又は)1,3−プロパンジオールとの反応生成物である請求項39に記載の発泡性重合体物質
  41. 請求項35〜40のいずれかに記載の難燃性重合体物質を含有する熱可塑性プラスチック。
  42. 請求項35〜40のいずれかに記載の難燃性重合体物質を含む熱硬化性材料。
  43. 請求項35〜40のいずれかに記載の難燃性重合体物質を含有するペイント。
  44. 前記ペイントが水を基剤とする請求項43に記載のペイント。
  45. 水不溶性である請求項35〜38及び40のいずれかに記載の難燃性重合体物質。
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