JP5012952B2 - フォトマスクの欠陥修正方法 - Google Patents
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パターン寸法の微細化に伴い、フォトマスクの修正しなくてはならない欠陥部のサイズは益々小さくなってきており、修正における精度も益々小さくなってきた。また、位相シフトマスク等の高解像度技術を用いるマスクへの対応も求められている。
フォトマスクの欠陥としては、本来必要なパターンが欠損あるいは欠落している場合(白欠陥と称する)と、不要な余剰パターンが存在している場合(黒欠陥と称する)の二通りがある。黒欠陥の場合には、余剰部分を除去することにより正常なパターンが得られる。
図2は、従来のレーザー光による修正方法と、集束イオンビームによる修正方法の工程をまとめて示した概念図である。図2(a)は、石英基板等のガラス基板21の表面にクロム等の金属膜で遮光膜パターン22が形成され、黒欠陥部23が存在する状態を示す。図2(b)は、黒欠陥部23にレーザー光またはイオンビーム24を照射する工程図で、図2(c)は、黒欠陥部23を除去したフォトマスクの状態を示す。
また、レーザー光では、黒欠陥部を蒸発させて除去する際、図2(c)に示すように、石英ガラス等は劈開して飛散し、欠陥下部のガラス基板に5nm〜10nm程度の凹凸による基板ダメージ26を生じ、修正部に相当する部位の表面が荒れて、ガラス基板の透過率が低下するという問題が生ずる。i線ステッパーではあまり影響はないが、露光光源がエキシマレーザーとなり、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)とより短波長化していくとともに、修正部の荒れによる露光する光の透過率低下が問題となってきている。
また、イオンビームによる黒欠陥部の修正時には、図2(c)に示すように、欠陥の周辺にガラス基板のオーバーエッチングによるリバーベッド25と呼ばれるガラスの掘り込み現象が発生していた(例えば、特許文献2参照。)。
リバーベッドは透過光の位相を乱すため、転写結果に悪影響をもたらし、黒欠陥部の修正個所の加工品質を低下させる要因になっている。最近の縮小投影露光装置の光源の短波長化により、従来では問題にならない程度の深さのリバーベッドでも転写結果に影響するようになってきており、リバーベッドの生じない欠陥修正技術が強く求められている。
しかしながら、上記のFIB−GAE方式は、欠陥形状の取り込み精度が悪く、欠陥境界で加工オーバーや加工不足を生じることによる基板への掘り込みや加工残りを生じるという問題がある。また、パターンを形成する遮光膜の材質によっては、エッチングのエンドポイントが検出できず、石英ガラス基板にガリウムの打ち込みによる光学透過率の低下を生じるという問題がある。さらに、画像イメージ取り込みの繰り返しによるガリウムの打ち込みという問題があり、この技術を用いても、完全に透過率を回復させることは不可能であり、露光波長が短くなるに伴い、問題となっている。
請求項2の発明に係るフォトマスクの欠陥修正方法は、黒欠陥部を有するフォトマスクの欠陥修正方法であって、前記黒欠陥部の下がガラス基板であり、前記フォトマスク上にポジ型レジストおよび導電性樹脂を塗布してレジスト膜および導電性層を形成する工程と、該レジスト膜を形成したフォトマスク基板を走査型電子顕微鏡とイオンビームカラムを有する装置内に設置し、前記黒欠陥部の二次電子像を取り込み修正すべき領域を決定する工程と、前記修正すべき領域にアシストガスを吹きつけながらイオンビームを照射し、修正すべき領域のレジスト部分を除去し黒欠陥部を露出する工程と、該露出した黒欠陥部をエッチング除去する工程と、前記レジスト膜を除去する工程と、を有することを特徴とするものである。
請求項3の発明に係るフォトマスクの欠陥修正方法は、前記アシストガスが電子線照射によりOHイオンを生じることを特徴とするものである。
請求項4の発明に係るフォトマスクの欠陥修正方法は、前記アシストガスがイオンビーム照射によりOHイオンを生じることを特徴とするものである。
請求項5の発明に係るフォトマスクの欠陥修正方法は、前記アシストガスが水蒸気を用いることを特徴とするものである。
請求項6の発明に係るフォトマスクの欠陥修正方法は、前記ポジ型レジストが電子線レジストまたはフォトレジストであることを特徴とするものである。
請求項7の発明に係るフォトマスクの欠陥修正方法は、前記ポジ型レジストがアルカリ現像型のレジストであることを特徴とするものである。
請求項8の発明に係るフォトマスクの欠陥修正方法は、前記露出した黒欠陥部をエッチング除去する工程を、前記走査型電子顕微鏡を有する装置内で連続して行なうことを特徴とするものである。
請求項9の発明に係るフォトマスクの欠陥修正方法は、前記露出した黒欠陥部をエッチング除去する工程を、前記走査型電子顕微鏡とイオンビームカラムを有する装置内で連続して行なうことを特徴とするものである。
本発明の修正方法は、レーザー光あるいはイオンビームを直接黒欠陥部に用いないので、ガラス基板へのダメージがなく、ガリウムステインによる透過率低下や位相の変化も起こり得ず、リバーベッドも発生しない。また、マスク欠陥画像として2次電子像を用いているので、イオンビームを用いて画像を取り込んだ場合のようなイメージングによる透過部ダメージが生じない。
本発明のフォトマスクの修正方法によれば、電子線またはイオンビームによりレジスト膜をパターン形成し、そのレジストパターンに基づいて黒欠陥部を修正するので、微細で高精度に欠陥修正でき、マスク品質の向上が図れ、修正率の向上により良品マスクを増やし、マスク製造歩留りの向上とマスク製作期間の短縮が可能となる。
図1は本発明のマスク欠陥修正方法を示す工程断面図である。図1は、レジスト膜のパターン照射に電子線を用いる場合とイオンビームを用いる場合を共通の図として示す。
石英ガラスや低膨張ガラス等のガラス基板1にクロム、酸化クロム等で遮光膜パターン2を形成し、修正すべき黒欠陥部3を有する被修正フォトマスク上に、ポジ型の電子線レジストまたはフォトレジストを塗布し、レジスト膜4を形成する(図1(a))。ポジ型の電子線レジストまたはフォトレジストとしては、通常、フォトマスク形成に用いられるポジ型レジストが用いられ、さらにアルカリ現像型のレジストを用いるのが好ましい。
電子線レジストまたはフォトレジストのレジスト膜4は、100nm〜300nm程度の厚さが好ましい。100nm未満の厚さでは、エッチング時にピンホールが生じ易くなり、300nmを超えるとレジスト下のパターン認識が難しくなる。
また、本発明においては、欠陥部の修正前に、あらかじめレジスト膜4の表面に導電性樹脂を塗布し導電性層を形成しておくと、電子線照射時あるいはイオンビーム照射時のチャージアップ現象が抑制されて好ましい。導電性層は数10nm程度の厚さで用いられる。
次に、上記のレジスト膜を形成した被修正フォトマスクを、アシストガス導入用のノズルを備え、走査型電子顕微鏡(SEM)を有する装置内に設置し、外観検査装置より得た黒欠陥部の座標をもとに、黒欠陥部の二次電子像を取り込み、修正すべき領域を決定する(図1(b))。SEMを用いることにより、レジスト膜4で覆われていても黒欠陥部3は明瞭に認識できる。
最後に、レジスト膜4を専用のレジスト剥離液あるいは酸素プラズマ等で除去し、修正を完了する(図1(e))。
この方法により、ガラス基板にダメージを与えることなく、黒欠陥部を除去できる。
レジスト膜を形成した被修正フォトマスクを、アシストガス導入用のノズルを備え、走査型電子顕微鏡(SEM)とイオンビームカラムを有する装置内に設置し、外観検査装置より得た黒欠陥部の座標をもとに、黒欠陥部の二次電子像を取り込み、修正すべき領域を決定する(図1(b))。
次に、上記の修正すべき領域にノズル6からアシストガス7を吹きつけながらイオンビーム8を照射する(図1(c))。電子線を用いる場合と同様に、アシストガス7としては、水酸基を有し、ガス化した状態でイオンビーム照射によりOHイオンを形成する物質であれば特に限定されないが、水を水蒸気化して用いるのが簡単で好ましい。レジスト膜4のイオンビーム照射部は、活性化されたOHイオンにより直接分解され、修正すべき領域のレジスト部分が除去され、黒欠陥部3を露出する。
本発明においては、イオンビームは、レジスト膜のパターン照射に用い、黒欠陥部を直接除去するのではないため、ガラス基板へのダメージがなく、ガリウムステインによる透過率低下や位相の変化も起こり得ず、リバーベッドも発生しない。また、マスク欠陥画像として2次電子像を用いているので、イオンビームを用いて画像を取り込む場合のようなイメージングによる透過部ダメージが生じない。
図1に示す修正方法にて黒欠陥部を修正した実施例について述べる。光学研磨された6インチ角の超高純度合成石英ガラス基板1上に、100nm厚のクロム遮光膜パターン2を形成し、余剰なクロム膜よりなる黒欠陥部3を有するフォトマスクを用意し、上記のフォトマスク上に、電子線レジストとして化学増幅型レジスト(東京応化工業(株)製OEBR−CAP209)をスピンコ−ティング法により塗布し、130℃で20分間の塗布後ベ−ク(プリベ−ク)し、厚さ0.3μmの均一なレジスト膜4を形成した(図1(a))。
本発明の修正方法によれば、ガラス基板にダメージを与えず、またガリウムステインのような問題も生ぜず、ガラス基板の透過率低下や位相の変化も無く、フォトマスクの黒欠陥部を高精度で微細に修正可能となり、高品質マスクが得られた。
実施例1と同様に、光学研磨された6インチ角の超高純度合成石英ガラス基板上に、100nm厚の酸化クロムよりなる遮光膜パターンを形成し、黒欠陥部を有するフォトマスクを用意した。上記のフォトマスク上に、電子線レジストとして化学増幅型レジスト(東京応化工業(株)製OEBR−CAP209)をスピンコ−ティング法により塗布し、130℃で20分間の塗布後ベ−ク(プリベ−ク)し、厚さ0.3μmの均一なレジスト膜を形成し、さらにその上に帯電防止樹脂(昭和電工(株)社製エスペーサー100 )をスピンコーティング法にて塗布し、70℃で10分間加熱乾燥して、厚さ50nmの均一な導電性層を形成した。
得られたフォトマスクは、ガラス基板にダメージがなく、ガラス基板の透過率低下や位相の変化も無く、高品質なマスクであった。
実施例1と同様に、光学研磨された6インチ角の超高純度合成石英ガラス基板上に、100nm厚の酸化クロムよりなる遮光膜パターンを形成し、黒欠陥部を有するフォトマスクを用意した。上記のフォトマスク上に、電子線レジストとして化学増幅型レジスト(東京応化工業(株)製OEBR−CAP209)をスピンコ−ティング法により塗布し、130℃で20分間の塗布後ベ−ク(プリベ−ク)し、厚さ0.3μmの均一なレジスト膜を形成し、さらにその上に帯電防止樹脂(昭和電工(株)社製エスペーサー100 )をスピンコーティング法にて塗布し、70℃で10分間加熱乾燥して、厚さ50nmの均一な導電性層を形成した。
得られたフォトマスクは、ガラス基板にダメージがなく、ガラス基板の透過率低下や位相の変化も無く、高品質なマスクであった。
2 遮光膜パターン
3 黒欠陥部
4 レジスト膜
5 電子線走査
6 ノズル
7 アシストガス
8 電子線またはイオンビーム
9 エッチングガスまたはエッチング液
21 ガラス基板
22 遮光膜パターン
23 黒欠陥部
24 レーザー光またはイオンビーム
25 リバーベッド
26 ガラス基板ダメージ
Claims (9)
- 黒欠陥部を有するフォトマスクの欠陥修正方法であって、前記黒欠陥部の下がガラス基板であり、
前記フォトマスク上にポジ型レジストおよび導電性樹脂を塗布してレジスト膜および導電性層を形成する工程と、
該レジスト膜を形成したフォトマスク基板を走査型電子顕微鏡を有する装置内に設置し、前記黒欠陥部の二次電子像を取り込み修正すべき領域を決定する工程と、
前記修正すべき領域にアシストガスを吹きつけながら電子線を照射し、修正すべき領域のレジスト部分を除去し黒欠陥部を露出する工程と、
該露出した黒欠陥部をエッチング除去する工程と、
前記レジスト膜を除去する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの欠陥修正方法。 - 黒欠陥部を有するフォトマスクの欠陥修正方法であって、前記黒欠陥部の下がガラス基板であり、
前記フォトマスク上にポジ型レジストおよび導電性樹脂を塗布してレジスト膜および導電性層を形成する工程と、
該レジスト膜を形成したフォトマスク基板を走査型電子顕微鏡とイオンビームカラムを有する装置内に設置し、前記黒欠陥部の二次電子像を取り込み修正すべき領域を決定する工程と、
前記修正すべき領域にアシストガスを吹きつけながらイオンビームを照射し、修正すべき領域のレジスト部分を除去し黒欠陥部を露出する工程と、
該露出した黒欠陥部をエッチング除去する工程と、
前記レジスト膜を除去する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの欠陥修正方法。 - 前記アシストガスが電子線照射によりOHイオンを生じることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- 前記アシストガスがイオンビーム照射によりOHイオンを生じることを特徴とする請求項2に記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- 前記アシストガスが水蒸気を用いることを特徴とする請求項1〜4に記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- 前記ポジ型レジストが電子線レジストまたはフォトレジストであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- 前記ポジ型レジストがアルカリ現像型のレジストであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- 前記露出した黒欠陥部をエッチング除去する工程を、前記走査型電子顕微鏡を有する装置内で連続して行なうことを特徴とする請求項1、3、請求項5〜7のいずれかに記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
- 前記露出した黒欠陥部をエッチング除去する工程を、前記走査型電子顕微鏡とイオンビームカラムを有する装置内で連続して行なうことを特徴とする請求項2、請求項4〜7のいずれかに記載のフォトマスクの欠陥修正方法。
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