JP5010742B2 - ピストン機械 - Google Patents
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Description
上述の文献で既知のピストン機械は、回転ピストン機械である。回転ピストン機械のハウジング内には合計4個のピストンが配置してあり、これらのピストンはハウジングに対して固定されている回転軸の周囲を一緒に走行する。それらのピストンが回転軸の周囲を一緒に走行するとき、4個のピストンは往復運動を行い、ピストン対を形成する2個のピストンは、いずれの場合にも、2個のピストンの端面部の間で規定される作動チェンバの大きさを交互に増減するように互いに反対向きの往復運動を行う。全体として、既知の回転ピストン機械は2個の作動チェンバを有しており、作動チェンバの大きさは同じ方向で増減する。4個のピストンは、ピストンと一緒に回転軸の周囲を回転するピストン・ケージ内に摺動するように取り付けてある。
この配置では、ピストンそれぞれがハウジングに対して固定された曲面部材の制御曲面内を走行するガイド部材を有するため、個々のピストンの往復運動は回転軸のまわりでのピストンの回転から導き出される。制御曲面は作り出すべきピストンの往復運動に対応する起伏のある輪郭を有しており、ピストンの往復運動を回転軸のまわりでのピストンの回転から導き出すことができるようになっている。
類似の種類のさらなる回転ピストン機械は、例えば、下記特許文献2、または下記特許文献3で知られている。下記特許文献2での回転ピストン機械では、下記特許文献3での回転ピストン機械と同様に、曲面部材はハウジングの内壁に直接組み込まれている。
ピストンはピストン・ケージと一緒に回転し、回転軸のまわりでのピストンの回転によりピストンは遠心力の作用を受けるが、他方で、ピストンはピストン・ケージに対して往復摺動運動を行わなければならないために、ピストンの外壁とピストン・ロータの内壁との間に遠心力に起因する摩擦現象を引き起こすことになる。したがって、ピストンに作用する遠心力のために、これらの往復運動は摩擦を受けやすい。したがって、ピストンに作用する遠心力は、既知のピストン機械の運転特性を損なう。
本発明のピストン機械の概念は、第2のピストンが前記第1のピストンに対向して位置しており、曲面部材が回転するとき第2のピストンは第1のピストンに対して反対方向の往復運動を行い、第2のピストンは第1のピストンの第1の端面部に対向している第2の端面部を有しており、作動ガス、特に、燃料/空気混合物を圧縮し、点火し、膨張させる作動チェンバが端面部の間に位置している実施形態で使用することが有利である。
さらに本発明の好ましい実施形態では、第2のピストンは、曲面部材の制御曲面と係合状態にあるガイド部材を有している。
この手段は、本発明のピストン機械を内燃機関として使用する場合、回転軸に対してハウジングの端部内の回転軸上に作動チェンバ内の燃料/空気混合物に点火する点火装置を配置することができる利点を有している。例えば、上記特許文献1の既知の回転ピストン機械でも点火装置を回転軸上に配置しているが、そこには回転するピストン・ケージ内の穴に点火装置を通すという欠点があり、これは点火装置と回転するピストン・ケージとの間で密封問題を引き起こす可能性がある。本発明のピストン機械では、対照的に、ハウジングに、したがって固定部分に点火装置を通すことができ、点火装置を容易に密封することができる。
少なくとも1つの第1のピストンをピストン・ケージ内に収容することは、ピストンが円筒形を有することができるという利点を有しており、少なくとも1つの第1のピストンの第1の端面部が円形構造であることを可能にするとともに、ピストン・ケージの円形の穴内にピストンを摺動するように取り付けることを可能にするという利点を有している。これもまた上記特許文献1で既知の回転ピストン機械において既に実施されているが、そこではピストン・ケージがピストンと一緒に回転軸のまわりを回転するという点で本実施形態とは異なっており、本実施形態ではピストン・ケージをハウジングに対して固定するように設計している。したがって、既知の回転ピストン機械で発生する遠心力に起因するピストンとピストン・ケージとの間の摩擦は、本発明のピストン機械では回避されている。
ここで、曲面部材の回転をシャフトの回転に直接変換することを可能にして、したがって、複雑な変換機構を回避しながら、例えば、車両を駆動するために回転する曲面部材から円運動を取り出すことは有利である。
このようにして、シャフトが曲面部材の外面と直接係合でき、それにより、曲面部材とシャフトの間のさらなる可動部分を無くすことができることは有利である。この配置では、シャフトを回転軸に対して垂直に配置することが好ましい。
さらに本発明の好ましい実施形態では、ハウジング内の、回転軸に関してハウジングの端部の位置に、ガス入口およびガス出口があり、開口部を有しており曲面部材と同じ回転速度で回転軸のまわりを回転する回転式スライド弁を用いて、ガス入口およびガス出口が開閉される。
上述したシャフトの場合と同様に、このような変速装置は、前と同様に曲面部材の外面と回転式スライド弁用の駆動軸との間のウォーム歯で形成できる。
さらに本発明の好ましい実施形態では、合計4個のピストンをハウジング内に配置してあり、これらの4個のピストンのうち少なくとも1つの第1のピストンおよび第2のピストンは第1のピストン対を形成し、第3のピストンおよび第4のピストンは第2のピストン対を形成し、第2のピストン対は第2の作動チェンバを規定し、この第2の作動チェンバは第1のピストン対により規定される作動チェンバと同一平面内にあり、第1および第3のピストンの往復運動は同じ方向であり、第2および第4のピストンの往復運動は同じ方向である。
すべての4個のピストンの往復運動を曲面部材により明確な方法で誘導することがここでは有利である。
第1と第3のピストンの間の連結、および第2と第4のピストンの間の連結が、往復運動の間にこれらのピストンの間で相互引きずり効果または相互引き込み効果を引き起こすため、それによりピストンのガイド部材が曲面部材のそれぞれの制御曲面との間で直接的で確実な接触を保持している状態を、曲面部材の全回転の間、常に確保していることがここでは有利である。
上述した特徴、及びまだ説明されておらず後続の本文の中で説明される予定の特徴は、個々に示された組み合わせにおいてだけでなく、異なる組み合わせにおいても、または単独ででも、本発明の範囲を逸脱することなく使用できることは自明である。
本実施形態では、ピストン機械10を、例えば、自動車用の内燃機関として使用している。
ピストン機械10は、複数のハウジング・セグメントで構成されているハウジング12を有している。ハウジング12は実質的に球の対称性を有しているが、これに限らない。
ハウジング12内には合計4個のピストン、すなわち、第1のピストン22、第2のピストン24、第3のピストン26、および第4のピストン28を配置してある。
第1のピストン22は第1の端面部30を有し、第2のピストン24は第2の端面部32を有し、第3のピストン26は第3の端面部34を有し、および第4のピストン28は第4の端面部36を有している。
ピストン22〜28はハウジング12内で往復運動を行い、これらの往復運動はハウジング12に対して固定されている上述の回転軸14に対して垂直に延びている枢動軸41のまわりの枢動運動の形でここでは行われる。ここでは、ピストン22〜28は、この枢動運動に対応するように湾曲した円筒形構造である。
ピストン22〜28の往復運動を作り出すために、ハウジング12内には曲面部材42をさらに配置してある。
したがって、曲面部材42は、幾何学軸であると理解できる回転軸14のまわりをハウジング12内で回転でき、曲面部材42の回転はピストン22〜28の往復運動を作り出す働きをする。
第1のピストン22に連結されているガイド部材52と、第2のピストン24に連結されているガイド部材54とは、制御曲面48と係合状態にある。第3のピストン26に連結されているガイド部材56と、第4のピストン28に連結されているガイド部材58とは、制御曲面50と係合状態にある。
一例としてガイド部材52について図2に示すように、このガイド部材はピストン22にしっかりと連結されているジャーナル60を用いてピストン22上に回転可能に取り付けてある。
さらに、ピストン22〜28は、ピストン・ケージ62内に摺動するように取り付けてあり、このピストン・ケージ62はハウジング12内で回転軸14に対して固定してあり、すなわち、回転できないような態様でハウジング12に連結してある。
曲面部材42が回転軸14のまわりを回転するとき、制御曲面48および50はガイド部材52〜58に沿って走行し、それに対応して、回転軸14に関して「凸部」と「凹部」とで構成される制御曲面48および50の輪郭に従ってピストン22〜28の往復運動を作り出す。
これに対して、ピストン26および28は下死点(BDC)と呼ばれる終端位置にあり、この下死点(BDC)では、ピストン26および28は最大限に離間しており、したがって、作動チェンバ40は最大体積を有している。
図4は、図3からさらに90°回転した後の、図2とは逆の状況を示しており、この状況では、ピストン22および24はそれらのBDC位置に到達し、他方、ピストン26および28はそれらのTDC位置に到達している。
第1のピストン22および第3のピストン26は、端面部30および34から離れる方向に向いているそれらのピストンの背面側で、好ましくは、例えば、引 張バネ68などを用いて弾性的に、互いに連結されており、第2のピストン24および第4のピストン28は、第1のピストン22および第3のピストン26に 対応して同様に、好ましくは、例えば、引張バネ70などを用いて弾性的に、互いに連結されている。第1のピストン22と第3のピストン26の間の連結、お よび第2のピストン24と第4のピストン28の間の連結が、第1のピストン22と第3のピストン26の間、および第2のピストン24と第4のピストン28 の間で相互引きずり効果または相互引き込み効果を引き起こし、ガイド部材52〜58と、曲面部材42の制御曲面48および50のそれぞれと、の接触をしっかりと保持することを確保する。ピストン22と26の間の弾性連結、およびピストン24と28の間の弾性連結は、それぞれ、これらのピストンの間のわずかな弾性的な遊びを可能にする。
図6および図7によると、曲面部材42は外面上にウォーム歯78を有するとともに、シャフト72はウォーム歯78に対応する外歯を有しており、この外歯は曲面部材42上のウォーム歯78とかみ合って、曲面部材42が回転軸14のまわりを回転するとき、シャフト72をその長手方向の中心線のまわりで回転させるようになっている。この特に簡単な実施形態では、これらの2つの部品上の1組の歯だけを必要とし、曲面部材42とシャフト72の間の回転伝達のために歯車機構のいかなる追加的な部品も必要とせず、シャフト72は回転軸14に対して垂直に延びている。
ガス入口80およびガス出口82を第1の作動チェンバ38に割り当ててあり、ガス入口80およびガス出口82はハウジング端部セグメント16内の回転軸14のすぐ近くに配置してある。
上記に対応して、ハウジング・セグメント18内のガス入口84およびガス出口86を作動チェンバ40に割り当ててある。
したがって、例えば、インジェクタなどの燃料供給装置88を介して送り込まれる外気と燃料との混合気を、ガス入口80を介して作動チェンバ38に導入できる。ピストン22および24のTDC位置で外気の導入が始まり、その後、ピストン22および24はBDC位置に移動し、BDC位置に到達する直前に燃料も注入できる。その後、ピストンはTDC位置に戻り、このプロセスの間に混合気を圧縮する。ピストン22、24の新たなTDC位置では、例えば、スパーク・プラグなどの点火装置92を用いて混合気に点火でき、その後すぐにピストン22および24は爆発的に離れていき、すなわち、膨張の作動行程が行われる。ピストン22および24がTDC位置に再び到達すると、ピストン22および24がBDC位置に戻るときにガス出口82を介して燃焼済み混合気を排出し、これは4サイクル機関でよく知られているプロセスである。
ガス入口80およびガス出口82を開閉するためにハウジング12内に回転式スライド弁96を配置してあり、ガス入口84およびガス出口86を開閉するためにハウジング12内に回転式スライド弁98を配置してある。
2個の回転式スライド弁96および98のそれぞれは、回転軸14の周囲の円周方向の範囲に関して限定されている開口部を1つだけ有しており、回転式スライド弁98の1つの開口部100が図1に示されている。
曲面部材42の回転から回転式スライド弁96および98の回転を導き出し、この曲面部材42は、曲面部材42の回転速度を比率1:1で回転式スライド弁96および98の回転速度に変換する変速装置102を用いて回転式スライド弁96および98に連結してある。
ピストン機械10の動作については図8を参照しながら詳細に後述する。
燃料/空気混合物が作動チェンバ38内で既に圧縮されているとき、ピストン22および24のTDC位置から、図8に点火火花で示すように作動チェンバ38内で燃料/空気混合物に点火できる。曲面部材42が回転軸14のまわりを90°回転した後、ピストン22および24はTDC位置からBDC位置へ移動して、作動(膨張)の作動行程が行われる。
回転軸14のまわりでの曲面部材42のさらなる90°の回転を仮定すると、作動チェンバ38内で燃焼済み燃料/空気混合物を排気する作動行程が行われ、他方、作動チェンバ40内では、燃料/空気混合物の点火後に作動(膨張)の作動行程が同時に行われる。この行程の最後には、ピストン22、24はTDC位置にあり、ピストン26、28はBDC位置にある。
回転軸14のまわりでの曲面部材42のさらなる90°の回転の間に、作動チェンバ38内では圧縮の作動行程が行われ、作動チェンバ40内では新しい燃料/空気混合物を吸入する作動行程が行われる。この行程の最後には、ピストン22、24はTDC位置にあり、ピストン26、28はBDC位置にある。
今、2つのピストン機械10を並列に連結するとき、合計4個の作動チェンバを有するピストン機械が得られ、第2のピストン機械の2個の作動チェンバ内の作動行程が両方とも、互いに対して、および第1のピストン機械10の作動チェンバ38および40内の作動行程に対して、90°だけ位相シフトしているように配置を選択すると、その場合2個ある曲面部材の各90°の回転の間に作動(膨張)の作動行程が行われるピストン機械を得ることが全体として見ると可能であり、したがって、8シリンダ・エンジンにおいて見られるような1回の360°の回転の間に4サイクルの作動(膨張)の連続した並びがあることを確保している。
Claims (5)
- ハウジング(12)を含み、このハウジング(12)内には少なくとも1つの第1のピストン(22)を配置してあり、前記第1のピストン(22)の第1の端面部(30)に対面する作動チェンバ(38)の大きさを周期的に増減するように2つの終端位置の間で前記第1のピストン(22)を、前記ハウジング(12)に対して固定されているピストン・ケージ(62)内を摺動させて往復運動させることができ、
前記第1のピストン(22)は少なくとも1つのガイド部材(52)を有しており、この少なくとも1つのガイド部材(52)は前記ハウジング(12)内に配置された曲面部材(42)上に形成されている制御曲面(48)と係合状態にあり、
前記曲面部材(42)は前記ハウジングに対して固定され前記作動チェンバ(38)の中心を通って延びている回転軸(14)をぐるりと取り巻いて前記ハウジング(12)内で同心円状に円周方向に延びており、かつ前記曲面部材(42)は前記回転軸(14)に関して前記ピストン(22)の径方向外面に対向して配置してあり、
さらに第2のピストン(24)が前記第1のピストン(22)に対向して位置しており、かつ前記第2のピストン(24)は前記第1のピストン(22)に対して反対方向の往復運動を行い、前記第2のピストン(24)は前記第1のピストン(22)の前記第1の端面部(30)に対向している第2の端面部(32)を有し、
前記作動チェンバ(38)は前記端面部(30、32)の間に位置しており、かつ前記第2のピストン(24)は、前記曲面部材(42)の前記制御曲面(48)と係合状態にあるガイド部材(54)を有している、ピストン機械であって、
前記曲面部材(42)は前記回転軸(14)のまわりを回転できるが、前記第1のピストン(22)と前記第2のピストン(24)とは前記回転軸(14)のまわりを回転できず、その結果、前記第1のピストン(22)と前記第2のピストン(24)とは、前記曲面部材(42)が前記回転軸(14)のまわりを回転するとき、前記回転軸(14)に対して固定されている運動面内で往復運動を行うように、前記曲面部材(42)を前記ハウジング(12)内に取り付けてあり、
前記曲面部材(42)と動作可能に連結してあるシャフト(72)を有し、前記曲面部材(42)の前記回転を前記シャフト(72)の回転に変換するようにされており、
前記ハウジング(12)内の、前記回転軸(14)に関して前記ハウジング(12)の端部の位置に、ガス入口(80)およびガス出口(82)があり、開口部を有しており前記曲面部材(42)と同じ回転速度で前記回転軸(14)のまわりを回転する回転式スライド弁(96)を用いて、前記ガス入口(80)および前記ガス出口(82)が開閉されることを特徴とするピストン機械。 - 回転速度比1:1を有する変速装置(102)を介して前記曲面部材(42)の前記回転から前記回転式スライド弁(96)の前記回転を導き出すことを特徴とする、請求項1に記載のピストン機械。
- 合計4個のピストン(22、24、26、28)が前記ハウジング(12)内に配置してあり、これらの4個のピストン(22、24、26、28)のうち前記第1および第2のピストン(22、24)は第1のピストン対を形成し、第3および第4のピストン(26、28)は第2のピストン対を形成し、前記第2のピストン対は第2の作動チェンバ(40)を規定し、この第2の作動チェンバは前記第1のピストン対により規定される前記作動チェンバ(38)と同一平面内にあることと、前記第1および第3のピストン(22、26)の前記往復運動は同じ方向であり、前記第2および第4のピストン(24、28)の前記往復運動は同じ方向であることと、を特徴とする、請求項1または請求項2に記載のピストン機械。
- 前記第3および第4のピストン(26、28)がガイド部材(56、58)をそれぞれ有しており、前記2個のガイド部材(56、58)は前記曲面部材(42)のさらなる制御曲面(48)内に係合していることを特徴とする、請求項3に記載のピストン機械。
- 前記第1のピストン(22)および前記第3のピストン(26)が、それらの互いに対向している側部で互いに連結してあり、前記第2のピストン(24)および前記第4のピストン(28)が、それらの互いに対向している側部で互いに連結してあることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のピストン機械。
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