JP5008545B2 - 防災・防火用品 - Google Patents
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Description
(1)基体とその表面に配された樹脂層を有してなり、該樹脂層は、屈折率1.5〜2.2で粒径10〜250μmの多数のガラスビーズ、蓄光材粒子および反射材粒子を含有するとともに、該ガラスビーズの平均粒子径が前記蓄光材の平均粒子径よりも大きく、かつ該蓄光材の平均粒子径が前記反射材の平均粒子径よりも大きいものであり、前記ガラスビーズが表層寄りに多く偏在し、前記蓄光材が内層寄りに多く偏在している構造を有することにより再帰反射特性と蓄光特性を併せ持つ発光部を成していることを特徴とする防災・防火用品。
(2)前記ガラスビーズの平均粒子径が前記蓄光材の平均粒子径の2〜5倍であり、該蓄光材の平均粒子径が前記反射材の平均粒子径の2〜5倍であることを特徴とする上記(1)記載の防災・防火用品。
(3)前記蓄光材の平均粒子径が0.5〜200μm、前記反射材の平均粒子径が0.1〜100μmであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の防災・防火用品。
(4)前記反射材粒子が、雲母粒子を含んでいることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の防災・防火用品。
(5)前記雲母粒子が、酸化チタンで白色にコーティングされてなるものであることを特徴とする上記(4)記載の防災・防火用品。
(6)前記樹脂層が、色素を含んでなることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の防災・防火用品。
転写シート方式による場合は、以下の(1)〜(5)の順に加工をして製造することができる。
(1)ガラスビーズを一面に敷き詰めたビーズ4のシート上に、蓄光インクで印刷またはコーティングして蓄光材6を含んだ蓄光樹脂層を設ける。
(2)さらに、その上から反射材7と白顔料を含む樹脂インクで印刷またはコーティングして反射層を設ける。
(3)次に、反射材層の上に、ホットメルト接着樹脂層3を印刷またはコーティングして転写シートを完成させる。
(4)この転写シートを防災・防火用品の基体8に重ね、熱プレスするとホットメルト樹脂層と基体とが接着する。
(5)十分に冷えてから、ビーズシートのベースフィルム(図示していない)を剥がし、代表的には、図2に示したような積層構造を有する本発明にかかる防災・防火用品を製造することができる。
このようにして転写して形成された防災・防火用品においては、その層5の表面にガラスビーズ4が一面にあるので、良好に再帰反射をする。そして、ガラスビーズ4は透明なので、その内側に位置する蓄光材6が発光するとその光はガラスビーズ4を通過し、外側から視認されるのである。一方で、蓄光材6を含んだ透明樹脂は遮蔽性がない。このため、さらにその内側に反射材7と白色顔料(白色顔料がコーティングされた反射材)を入れ、遮蔽性を備えた反射材層(7)を設けるのである。このような構成にすることにより、例えば、該防災・防火用品が色つきのものであっても、該防災・防火用品の色に左右されることなく蓄光や反射光が得られる。
蓄光樹脂層6は遮蔽力がなく、光を一部通過させるので、通過した光は反射層7に到達し光をはね返すことができるため、より強く再帰反射する仕組みとなっているのであり、さらに、ホットメルト樹脂接着層3には、ゴム系接着樹脂を混入することにより、何らかの理由による該防災・防火用品の脹らみ・変形などにも十分耐えることができる伸縮性を有するようにできるものである。
流動性があるオールインワンタイプの樹脂インクで印刷し、反射機能と蓄光機能の両方を効率良く発現させるために、該樹脂インクを構成する各材料の粒子径を、以下のようにコントロールしてインクを作成する。
すなわち、例えば、ビーカーの中に大きい粒と小さい粒を入れて混合したとき、一応、均一に混ざるが、ビーカーに振動を与えてトントントンと叩くと、次第に粒子の大きいものは上に、小さいものは下に分布するようになるが、印刷樹脂インクでも同じようなことを起こさせることができ、ガラスビーズ6が一番上に、その次に蓄光材7、そして最後(一番下)に反射材8というように層状構造を構成するように、粒子の平均径の相互関係(さらに、必要に応じて比重の相互関係)を調整・設定することにより、代表的には、図3に示したような多層状構造を有し、反射・蓄光の両機能を持つ印刷物を製造することができる。
このような層状構造を形成する上で、使用される各粒子のそれぞれの平均粒子径は、ガラスビーズは10〜250μmの範囲のものを使用すること、好ましくは50〜250μm、最も好ましくは50〜120μmの範囲のものを使用することである。蓄光材は平均粒子径で0.5〜200μmのものを使用することが好ましく、より好ましくは5〜10μm、最も好ましくは10〜60μmのものを使用することである。反射材は平均粒子径で0.1〜100μmのものを使用することが好ましく、より好ましくは1〜50μm、最も好ましくは5〜25μmのものを使用することである。
そして、そのような範囲の中で、粒径の大小の相互の関係は、ガラスビーズの平均粒子径は蓄光材のそれよりも大きく、また蓄光材の平均粒子径は反射材のそれよりも大きいものを用いることが、蓄光材の層、反射材の層を明瞭に形成できて、蓄光性能と再帰反射性能の両者を良好に保有させることができる点で肝要なことであり、さらに具体的には、ガラスビーズの平均粒径が蓄光材の平均粒子径の2〜5倍であり、蓄光材の平均粒子径が反射材の平均粒子径の2〜5倍であることが、確実に積層状に分離した層を形成させ得る点で好ましい。このそれぞれの差が2倍未満であれば、明確な積層状の構造ができにくい方向であり、また5倍を超える場合には、表面がざらつきが生じたり風合いが硬く重くなり、またそれぞれの粒子が脱落しやすくなる方向であり好ましくない。また、色素は、反射材よりもさらに小さいものを用いることが好ましいが、一般に色素の粒子は非常に小さいのでその点では問題は少ない。
防災・防火用品の基材に直接多段印刷するには、まず基材に遮蔽層を印刷する。遮蔽層は該基材が着色しているとき、その色が表面から見えないようにするためで、反射材7と白色顔料を含む樹脂インクで印刷をすればよいものである。次に、蓄光材6を含む樹脂インクで印刷する。この樹脂インクには、反射材(層中において、より下方に位置させるために、蓄光材よりも粒径が小さい反射材)を入れてもよい。
その後、ガラスビーズ4を含む透明樹脂インクで印刷する。このようにして多段印刷して形成された防災・防火用品は、反射と蓄光の両機能を備えたものとなる。
前述した転写シート法により、ビーズシート上に、蓄光樹脂層、反射層、ホットメルト層の各層を印刷して、再帰反射・蓄光性能と遮蔽着色機能を有した転写シートを製造した。分散媒樹脂は耐久性と柔軟性の観点からウレタン系樹脂を使用し、ガラスビーズは屈折率が1.93で平均粒径が63μmのものを用い、蓄光材は平均粒径25μmのものを用い、反射材は酸化チタン(白色)をコーティングした平均粒径が12μmの人工の雲母を用いて、熱転写シートを製造した。
該転写シートをテープ状に裁断し、図1に示したように、消防団用防火服の2で示した胸部、上腕部、および裾部の各部分に転写し、それら各部を再帰反射・蓄光機能層で形成し本発明にかかる防災・防火用品(防火服)を製造した。
この防火服を、夜間、光を当てて再帰反射機能のレベルを確認した結果、70m離れたところからの反射光を肉眼ではっきりと視認でき、かなり遠くからでもあるいは苛酷な条件のもとでも、良好に発光部を視認できることが確認できた。また、蓄光機能についてもそのレベルを確認したところ、残光輝度が約320mcd/m2 、残光時間が1000分以上、耐光性が1000時間以上と、十分に高いものであった。
(1)残光輝度:
常用光源D65を用いて、200ルックスの照度で4分間照射した後、5分経過後の残光輝度である。
(2)残光時間:
常用光源D65を用いて、200ルックスの照度で4分間照射した後、残高輝度が0.32mcd/m2 までに減衰する時間である。
(3)耐光性:
300Wの高圧水銀灯で照射したとき、残光輝度が初期値に対して80%以下になるまでの時間である。
ガラスビーズ樹脂インクと、蓄光・反射材樹脂インクと、遮蔽性インクを別々に段階的に防火服の表面に印刷する多段印刷法により、再帰反射・蓄光性能と遮蔽着色機能を有する本発明にかかる防災・防火用品(防火服)を製造した。分散媒樹脂は耐久性と柔軟性の観点からウレタン系樹脂を使用し、ガラスビーズは屈折率が1.93で平均粒径が75μmのものを用い、蓄光材は平均粒径27μmのものを用い、反射材は酸化チタン(白色)をコーティングした平均粒径が12μmの人工の雲母を用いて製造した。また、防火服における発光部位置は、実施例1の場合と同様とした。
この防火服を、夜間、光を当てて再帰反射機能のレベルを確認した結果、70m離れたところからの反射光を肉眼ではっきりと視認でき、かなり遠くからでも、また苛酷な条件のもとでも視認することができた。また、蓄光機能についてもそのレベルを確認したところ、残光輝度が約320mcd/m2 、残光時間が1000分以上、耐光性が1000時間以上であり、実施例1のものと同様に十分に高いものであった。
ガラスビーズ、蓄光材、反射材および色素の全てを一つのインクに含有させたオールインワンタイプの樹脂インクを用いて、直接的に防火服の表面に印刷するオールインワンタイプのインク使用の印刷法により、図3に示したような構成を有する再帰反射・蓄光性能と遮蔽着色機能を有する本発明にかかる防災・防火用品(防火服)を製造した。
分散媒樹脂はウレタン系樹脂を用い、ガラスビーズの屈折率は1.93、平均粒子径は53μmであり、蓄光材の平均粒子径は26μm、反射剤の平均粒子径は12μmであり酸化チタンで白色にコーティングした人工の雲母を用いたものである。
この防火服を、夜間、光を当てて再帰反射機能のレベルを確認した結果、70m離れたところからの反射光を肉眼ではっきりと視認でき、かなり遠くからでも、また苛酷な条件のもとでも、良好に発光部を視認できることが確認できた。また、蓄光機能についてもそのレベルを確認したところ、残光輝度が約320mcd/m2 、残光時間が1000分以上、耐光性が1000時間以上であり、実施例1、実施例2のものと同様に十分に高い満足できるものであった。
2:樹脂層からなる発光部
3:接着剤の層(ホットメルト接着剤層)
4:ガラスビーズ
5:樹脂の層
6:蓄光材
7:反射材
8:基体
E:入射光
R:反射光
Claims (6)
- 基体とその表面に配された樹脂層を有してなり、該樹脂層は、屈折率1.5〜2.2で粒径10〜250μmの多数のガラスビーズ、蓄光材粒子および反射材粒子を含有するとともに、該ガラスビーズの平均粒子径が前記蓄光材の平均粒子径よりも大きく、かつ該蓄光材の平均粒子径が前記反射材の平均粒子径よりも大きいものであり、前記ガラスビーズが表層寄りに多く偏在し、前記蓄光材が内層寄りに多く偏在している構造を有することにより再帰反射特性と蓄光特性を併せ持つ発光部を成していることを特徴とする防災・防火用品。
- 前記ガラスビーズの平均粒子径が前記蓄光材の平均粒子径の2〜5倍であり、該蓄光材の平均粒子径が前記反射材の平均粒子径の2〜5倍であることを特徴とする請求項1記載の防災・防火用品。
- 前記蓄光材の平均粒子径が0.5〜200μm、前記反射材の平均粒子径が0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の防災・防火用品。
- 前記反射材粒子が、雲母粒子を含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防災・防火用品。
- 前記雲母粒子が、酸化チタンで白色にコーティングされてなるものであることを特徴とする請求項4記載の防災・防火用品。
- 前記樹脂層が、色素を含んでなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防災・防火用品。
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