JP5005406B2 - 平面用バニシング工具およびバニシング加工方法 - Google Patents
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Description
ローラ130は、図9(a)に示すように、例えば、フレーム120の中心O1から外周方向に半径C1(例えば、4mm)離れた位置から外径B1(例えば、28mm)まで放射状に複数配置され、加工有効径A1が20mmとなっている。このため、ローラ130を有するバニシング工具100は、広範囲を加工するのに適している。
円形平端面鏡面仕上用のバニシング工具200では、ワークW3を回転させて使用したり、また、バニシング工具200を回転させてバニシング加工しているので、被加工面W3aが図10(b)に示すようなリング形状になっている。
なお、ここで、「狭い」とは、ローラで加工するローラ式の平面用バニシング工具で加工することができる限界の最小幅のことを言い、本発明の平面用バニシング工具は、それより狭い箇所の加工が可能である。
また、付勢力調整手段は、調整ねじをマンドレル側にねじ込めば、マンドレルを押圧する付勢手段の付勢力が強くなり、調整ねじをマンドレル側から遠下がるように緩めれば、付勢手段の付勢力が弱く調整することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る平面用バニシング工具を示す半断面図である。
図1に示す平面用バニシング工具1を説明する前に、この平面用バニシング工具1が取り付けられる加工機(図示せず)およびワークW(図5(a)参照)について説明する。
加工機(図示せず)は、駆動部に平面用バニシング工具1を取り付けて回転させるための工作機械であり、ワークW(図2参照)と平面用バニシング工具1との芯出し、および平面用バニシング工具1に回転と送りとを与えることができる機械からなる。その加工機は、例えば、着脱可能な工具を回転させて切削加工するマシニングセンタや旋盤や汎用フライス盤等である。この加工機による平面用バニシング工具1でバニシング加工する加工条件は、例えば、周速が50〜200m/min程度で、送り速度が0.05〜0.1mm/rev.程度で、押付量が0.1〜0.2mmである。なお、加工機に平面用バニシング工具1を取り付けてバニシング加工する際には、加工圧、回転速度、送り速度を徐々に上げながら適宜な加工条件で行う。
図1に示す平面用バニシング工具1によって加工されるワークW(図5(a)参照)は、例えば、硬度(HRC)が40以下で、バニシング加工前の表面粗さがRmax2μm程度の金属材料であって、例えば、鋼、アルミニウム合金、銅合金、ダイカスト材料(アルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金等)等の部材である。このワークWは、平面板部材や、円形等の小径端面Wd’(図7参照)や、平らの底面Wcを有する溝We(図5(a)参照)や、段差面等の被加工面Waを有するものであり、例えば、自動車等のエンジン用部品や油圧空気圧関連機器や金型等である。その被加工面Waとは、例えば、Oリングを挿入するための平坦な端面に形成される平端面Oリング溝や、オイルシール溝等のシール材を装着される部分等である。
以下、ワークW(図5(a)、(c)参照)の幅bの狭い溝We内の平らな底面Wcをバニシング加工する場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、平面用バニシング工具1は、金属製のワークW(図2参照)の表面(平面)にマンドレル2の先端部2fを押圧して塑性変形させることによって鏡面のような平滑な仕上がり面にバニシング加工する工具である。この平面用バニシング工具1は、加工機(図示せず)の主軸やテーブル等に装着されて回転し、ワークWを押圧してバシング加工するものであって、特に、ワークWの平坦面に形成された溝Weの底面Wc(図5(a)参照)や後記する小径端面Wd’(図7参照)の加工に最適である。
なお、平面用バニシング工具1でワークWをバニシング加工する場合には、工作液を供給しながら行う。その工作液は、潤滑、洗浄、および冷却を目的とするものであって、例えば、油性、水溶性、エマルジョン等からなる。
図1に示すように、マンドレル2は、ワークW(図2参照)の被加工面Waを押圧して移動されることでバニシング加工する押圧部2aを先端に有する部材であり、例えば、超硬金属等の硬い材料によって形成されている。このマンドレル2は、シャンク3(図1参照)の設置孔3a内に挿入され、キー4によってそのシャンク3内に一体として回転するように結合されている。マンドレル2は、先端部2fに押圧部2a、基端部にばねSPを支持するばね受け部2c、外側側面にキー溝2b(図3参照)および鍔形状のストッパ2dが一体形成された段付き円柱形状をしている。このマンドレル2は、シャンク3の設置孔3a内に挿入される側が太い略円柱形状に形成されてマンドレル本体部を形成し、押圧部2aがある先端側がそのマンドレル本体から突出した細い円柱形状をしている。
そのマンドレル2の先端部2fは、図3に示すように、平面用バニシング工具1の回転中心Oaに対して偏心長さLずらし設置されている。マンドレル2の先端部2fの偏心中心Obは、マンドレル2の中心線Oa−Oa上から先端部2fの半径の長さRa以内の位置にある。前記長さL(偏心量)は、例えば、0.5mmである。
ストッパ2dは、ばねSPによってワークW側に付勢されたマンドレル2がシャンク3の段差部3dに当接して移動が抑止される箇所であり、フランジ形状に形成されている。
図1に示すシャンク3は、工作機(図示せず)の駆動部に取り付けられる略円筒形状の部材であり、平面用バニシング工具1の本体を構成するものである。このシャンク3は、中心線Oa−Oa上に穿設された設置孔3aと、外側側面からこの設置孔3aに導通するように穿設された横穴3bと、設置孔3a内の基端側に形成された雌ねじ部3eと、基端面の設置孔3aの周囲に形成された溝3fと、を有している。
溝3fは、調整ねじN1の雌ねじ部3eに螺合させて回動してマンドレル2の付勢力を調整するときのプリロードの目盛りとなるものであり、例えば、設置孔3aを中心として放射状に8等分した状態に形成された複数の細長いV字状溝からなる(図4参照)。
図1および図3に示すように、キー4は、平面用バニシング工具1が回転している最中に、シャンク3とマンドレル2とが一体に回転するようにするための四角柱状の部材であり、マンドレル2およびシャンク3に形成されたキー溝2b,3cに挿入されている。
図1に示す付勢力調整手段5は、マンドレル2を常時ワークW側に押圧しているばねSPの付勢力を調整するものであり、調整ねじN1をマンドレル2側にねじ込めばマンドレル2を押圧するばねSPの付勢力が強くなり、調整ねじN1をマンドレル2側から遠下がるように緩めれば、ばねSPの付勢力が弱くなるようになっている。
この付勢力調整手段5は、シャンク3の設置孔3aに配置されたマンドレル2を先端側に押圧するばねSPと、このばねSPの基端部側を支持して設置孔3a内に進退自在に挿入されたガイド6と、このガイド6を所望位置に進退させるための調整ねじN1と、この調整ねじN1とガイド6との間に介在されたスペーサ7と、ばねSPのばね力による付勢力の目盛りとなる溝3fと、を備えて構成されている。
図1に示すばねSPは、マンドレル2を先端側に押圧するプリロードの加工圧用ばねであり、例えば、荷重が85〜170Nで5mm程度撓むコイルばねからなる。このばねSPは、設置孔3a内のシャンク3とガイド6との間に圧縮させた状態で、伸縮自在に挿入されている。ばねSPは、先端側がシャンク3のばね受け部2cに圧接した状態で支持され、基端部側がガイド6のばね受け部6aに圧接した状態で支持されている。ばね受け部2cは、マンドレル2の基端面に形成され、中心線Oa−Oa上に円柱形状の凸部を突設している
ガイド6は、ばねSPが中心線Oa−Oaに沿って伸縮するように支持する略円盤形状の部材であり、設置孔3a内に進退自在に設置されている。このガイド6は、先端側の面の中央にばねSPを支持する円柱形状の凸部が形成されたばね受け部6aを有する。
図1に示すように、スペーサ7は、調整ねじN1の動きをガイド6に伝達するための部材であり、設置孔3a内に進退自在に設置された円筒形状の部材(スリーブ)からなる。このスペーサ7は、調整ねじN1とガイド6との間にばねSPのばね力で弾性的に押圧された状態で介在され、調整ねじN1が回動されると、この調製ねじN1の中心線Oa−Oa方向の移動に伴って共に中心線Oa−Oaに沿って移動するように設置孔3a内に設けられている。
なお、スペーサ7は、ガイド6や調整ねじN1に一体に形成しても構わない。
調整ねじN1は、設置孔3aの基端部側の開口端部内に形成された雌ねじ部3eに螺合して進退し、ばねSPの付勢力を調整するためのねじであり、例えば、六角穴付止めねじから形成されている。調整ねじN1は、先端側にスペーサ7に圧接する平らな先端面を有し、基端部側に六角レンチ等の工具が係合される六角穴N1aを有し、外周側面全体に雄ねじ部N1bが形成されている。雄ねじ部N1bは、セットピース9の先端が当接していて、調整ねじN1が振動等で移動しないようになっている。
固定手段8は、付勢力調整手段5の調整ねじN1の移動を阻止して所定位置に保持させるための部材であり、例えば、セットピース9と、ねじ部材N2とから構成されている。
セットピース9は、横穴3bに進退自在に挿入された円柱形状の比較的軟質な金属部材等から形成されている。このセットピース9は、軸心側の先端面が調整ねじN1の雄ねじ部N1bに当接し、外側の端面がねじ部材N2に押圧された状態で横穴3bに内設されている。
ねじ部材N2は、例えば、前記調整ねじN1と同様な六角穴付止めねじからなり、横穴3b内に没入した状態で設置されている。
次に、図1と図5(a)、(b)、(c)と図6とを主に参照しながら本発明の実施形態に係る平面用バニシング工具およびバニシング加工方法の作用を説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る平面用バニシング工具およびバニシング加工方法を示す図であり、(a)は段差部を有するワークの断面図、(b)は(a)のY部をバニシング加工するときの状態を示す拡大図、(c)はZ−Z線の断面図である。図6は、図5(b)のZ−Z線拡大断面図である。
図5(a)、(b)、(c)および図6に示すように、ワークWの被加工面Waの仕上精度を正確にする場合には、バニシング加工を行う前に、被加工面Waの平面度を0.02mm以内に切削加工等で仕上げておく。また、平面用バニシング工具1で仕上面粗度を3.2S以下にする場合には、前もって被加工面Waの粗度を6.3S〜12.5S程度に加工しておくことが望ましい。
図5(a)に示すワークWは、マシニングセンタ等の加工機(図示せず)のテーブルにしっかりと固定する。平面用バニシング工具1は、加工機に取り付けた後、平面用バニシング工具1をワークWの被加工面Waに接近させて、平面用バニシング工具1の回転中心OaとワークWの被加工面Waの中心とを一致させる。これにより、平面用バニシング工具1の回転中心Oaが、平面用バニシング工具1の回転軸となる。
図5(a)、(b)、(c)および図6に示すように、ワークWの表面から一段下がった溝(段差形状部Wb)内の底面Wcを被加工面Waとして平面用バニシング工具1でバニシング加工する場合を説明する。
この場合は、まず、図5(b)に示すように、平面用バニシング工具1のマンドレル2の先端を被加工面Waに当接させる。
その後、図6に示すように、適宜な加工条件で平面用バニシング工具1を回転させ、マンドレル2の先端面をワークWの被加工面Waの加工開始位置に押し付けて送りを与えて、工作液を注油しながら、先端部2fを偏心回転させて溝We内の被加工面Waをバニシング加工する。
そして、マンドレル2の押圧部2aによって被加工面Waが所望の状態に鏡面加工されたら、ワークWからマンドレル2を離間させて、平面用バニシング工具1の回転を止めて加工を終了させる。
このようにバニシング加工されたことによって、従来、バニシング加工すること不可能だったワークWの段差形状部Wb(溝部)は、底面Wcの表面粗さが改善されることによって、シール性が向上される。また、ワークWは、マンドレル2が押圧してバニシング加工したことにより、被加工面Waである被転圧部Wdが塑性加工されるため、切削加工や研削加工されたものと比較して、強度が向上される。
図7は、本発明の実施形態に係る平面用バニシング工具およびバニシング加工方法を示す図であり、ワークの小径端面をバニシング加工するときの状態を示す要部拡大図である。
次に、図7に示すように、例えば、旋盤のチャック(図示せず)では保持することができないようなワークW’の幅が2.7mm程度の小径端面Wd’の全面をバニシング加工する場合を説明する。
次に、図1を参照しながらマンドレル2を付勢するばね(付勢手段)SPによって発生する付勢力を調整する付勢力調整手段5の作用を説明する。
図1に示すように、マンドレル2は、ばねSPのばね力によって先端側に付勢されて、ストッパ2dが設置孔3a内の段差部3dに係止することにより、付勢力(加圧力)を有している。その付勢力は、固定手段8のねじ部材N2を緩めて、調整ねじN1をレンチ等の工具で回動させることによって、強くしたり、弱くしたり調整することができる。
そして、調整ねじN1を左側に回動させれば、それと逆になってばねSPの付勢力を弱く調整できるようになっている。
このようにすれば、Oリングやオイルシール等を設けるための幅b(例えば、2mm程度)の狭い溝Weの底面をバニシング加工することが可能となる。
2 マンドレル
2a 押圧部
2f 先端部
3 シャンク
5 付勢力調整手段
Oa 回転中心
Oa−Oa 中心線
Ob 偏心中心
Ra 先端部の半径の長さ
SP ばね
W,W’ ワーク
Wa,Wa’ 被加工面
Wb,Wb1 段差形状部
Wc 底面
We,We1,We2,We3 溝
Claims (5)
- 加工機に装着される筒状のシャンクと、
前記シャンク内に挿入されて支持され前記シャンクと一体に回転するマンドレルと、
前記シャンクの先端側に配置したワークの方向に前記マンドレルを付勢する付勢手段と、
前記付勢手段によって発生する付勢力を調整する付勢力調整手段と、を備えて、前記ワークの被加工面に前記マンドレルの先端部を押圧して、前記被加工面を塑性変形させてバニシング加工する平面用バニシング工具であって、
前記先端部は、円柱形状に形成されて、先端に平らな円形の面で形成され前記被加工面を押圧する押圧部を有すると共に、前記平面用バニシング工具の回転中心に対して偏心して設置され、
前記付勢力調整手段は、前記付勢手段の基端部側を支持し、前記シャンクに形成された設置孔内に進退自在に挿入されたガイドと、
前記ガイドを所望位置に進退させるための調整ねじと、を備えて構成されると共に、
前記調整ねじは、固定部材によって所定位置に保持されていることを特徴とする平面用バニシング工具。 - 前記先端部の偏心中心は、前記マンドレルの中心線上から前記先端部の半径の長さ以内の偏心位置にあることを特徴とする請求項1に記載の平面用バニシング工具。
- 前記先端部の偏心中心は、前記マンドレルの中心線上から前記先端部の半径の長さの半分以内の偏心位置にあることを特徴とする請求項1に記載の平面用バニシング工具。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の平面用バニシング工具を用いたバニシング加工方法であって、
前記マンドレルの先端に形成された押圧部を前記ワークの被加工面に押し当てて、前記押圧部を偏心回転させてバニシング加工することを特徴とするバニシング加工方法。 - 前記押圧部を、前記ワークに形成された溝の底面に押し当てて、前記押圧部を偏心回転させながら移動させてバニシング加工することを特徴とする請求項4に記載のバニシング加工方法。
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