(第1の実施形態)
(1)塗布装置の構成
以下、本発明の第1の実施形態に係るノズル保管装置について説明する。第1の実施形態では、ノズル保管装置が、有機EL(electroluminescence)表示装置を製造するために用いられる塗布装置の一部として構成される場合を例として説明する。この塗布装置は、ステージ上に載置された基板に対して有機EL材料や正孔輸送材料等の塗布液をノズルから吐出することによって所定のパターン形状に塗布するものである。なお、塗布装置10は、有機EL材料や正孔輸送材料等の複数種類の塗布液を用いて塗布を行うことが可能であるが、以下では、それらの代表として有機EL材料を塗布液として用いる場合を例として説明を行う。
まず、図1および図2を参照して、塗布装置の全体構成を説明する。図1は、塗布装置10の構成を示す平面図および正面図である。図1(a)は、塗布装置10を上側から見た図であり、図1(b)は、塗布装置10を側面からY軸正方向の向きに見た図である。また、図2は、塗布装置10の各部と制御部との接続関係を示す図である。
図1に示すように、塗布装置10は、ノズルユニット1と、ノズル移動機構2と、保管部3aおよび3bと、液受け部4Rおよび4Lと、ステージ5と、ステージ移動機構6とを備えている。以下では、2つの保管部3aおよび3bを特に区別しない場合には単に「保管部3」と記載し、2つの液受け部4Rおよび4Lを特に区別しない場合には単に「液受け部4」と記載するものとする。
また、図2に示すように、塗布装置10は制御部7を備えている。制御部7は、ノズルユニット1、ノズル移動機構2、ステージ移動機構6、洗浄液供給部8、および、保管部移動機構9と電気的に接続されている。
図1に示すように、ステージ5には塗布処理の対象となる基板Wが載置される。基板Wには、X軸方向に平行に等間隔で複数本の溝が形成されている。本塗布装置10は、この溝に対して有機EL材料を吐出することによって溝に有機EL材料を流し込む。なお、図示していないが、ステージ5には、加熱機構や吸着機構が設けられている。加熱機構は、有機EL材料が塗布された基板Wをステージ5上で予備加熱処理するためのものである。吸着機構は、基板Wをステージ5上に吸着して固定するためのものである。
ステージ移動機構6は、ステージ5の下側に接続される。具体的には、ステージ移動機構6は、旋回部61、平行移動テーブル62、ガイド受け部63、およびガイド部材64を有している。ガイド部材64は、ノズル移動機構2の下方を通るように図1に示すY軸方向に延設されて固定される。ガイド受け部63は、ガイド部材64上を滑動するようにガイド部材64上に設置される。平行移動テーブル62は、ガイド受け部63の上面に固設される。平行移動テーブル62は、内部のモータ(図示せず)からの駆動力によってガイド部材64に沿った図示Y軸方向への移動が可能である。旋回部61は、平行移動テーブル62の上面に固設される。旋回部61は、内部のモータ(図示せず)からの駆動力によってZ軸を中心とした回動が可能である。上記ステージ5は、旋回部61の上面に固設される。以上より、ステージ5は、ステージ移動機構6によってY軸方向に平行移動が可能であるとともに、Z軸を中心として回転可能である(図1(a)に示す矢印参照)。なお、ステージ移動機構6の動作は制御部7によって制御される。
また、ステージ5の上方には塗布機構(ノズルユニット1およびノズル移動機構2)が配置される。ノズル移動機構2はX軸方向(ステージ5の載置面と平行な方向)に延びるレール21を有し、レール21に沿って移動可能なようにノズルユニット1がノズル移動機構2に接続される。ノズルユニット1は、ノズルから塗布液を吐出することによって基板に対して塗布を行う塗布機構であり、例えば赤色の有機EL材料の塗布液を吐出する3本のノズル11,12,および13を有する。ノズルユニット1の各ノズル11〜13は、塗布液を吐出する向きが(鉛直)下向きとなるようにノズルユニット1の下側に配置される。なお、各ノズル11〜13は、Y軸方向に関して少しずれた位置に配置される。具体的には、各ノズル11〜13はY軸方向に関して、基板Wに形成された溝の3列分の長さ(Y軸方向の長さ)だけ間隔を空けて配置されている。ノズルユニット1の移動、および、各ノズル11〜13からの有機EL材料の吐出は、制御部7によって制御される。
レール21は、X軸方向について基板Wよりも長く構成され、ノズルユニット1は、X軸方向に関して基板Wの幅よりも広い範囲を移動することが可能である(図1(b)に示すノズル移動幅参照)。つまり、ノズルユニット1がレール21の一端から他端まで移動する場合、ノズルユニット1の各ノズル11〜13は、基板Wを横断するように移動する。したがって、ノズルユニット1がレール21の一端から他端まで移動することによって、X軸方向に関して基板Wの一端から他端まで有機EL材料を塗布することができる。ただし、ノズルユニット1がレール21の一端から他端まで移動する間に各ノズル11〜13から有機EL材料が吐出されると、基板Wに有機EL材料が塗布されるだけでなく、基板Wの外側においても有機EL材料が吐出されることとなる。そこで、基板Wの外側で吐出された塗布液を受ける目的で液受け部4および保管部3が設置されている。液受け部4および保管部3は、ノズルの移動幅(図1(b)参照)よりも内側に設けられる。
2つの液受け部4は、X軸方向に関して基板Wの両側に配置される。液受け部4Rは、上段部41R、連結部42R、および下段部43Rを備えている。上段部41Rは、上面にスリット44Rを有する箱状の形状であり、当該スリット44RはX軸方向に沿って延びている。上段部41Rは、各ノズル11〜13から吐出される塗布液がスリットを通過するように配置される。上段部41Rの底面の最も低い位置には排出流路(図示しない)が設けられており、上段部41R内に受けられた塗布液は当該排出流路から下段部43Rに排出される。ここで、ノズル11〜13から吐出された塗布液は、吐出直後は液柱状態(塗布液が直線棒状となっている状態)を保っているものの、吐出されてからの距離が長くなるにつれて液滴化し、さらにはミスト化(液滴化よりも微細な状態)する。そこで、本実施形態では、塗布液が液滴化・ミスト化する前に上段部41Rによって塗布液を回収する。また、上段部41R内において塗布液がミスト化したとしても、上段部41Rがスリット44Rを有するので、ミスト化した塗布液が上段部41Rの外部へ舞い上がることを防止することができる。
また、下段部43Rは、連結部42Rによって上段部41Rと連結されている。下段部43Rは、上面が開口した箱状の形状である。下段部43Rは、上段部41Rの排出流路から排出された塗布液を回収するとともに、上段部41Rで回収できなかった塗布液を回収する。例えば、上段部41Rと基板Wとの間の隙間から下部へ漏れる塗布液は、下段部43Rで回収される。なお、下段部43Rの底面の最も低い位置には排出流路(図示しない)が設けられており、下段部43R内に回収された塗布液は当該排出流路から外部へ排出される。
なお、液受け部4Lは、液受け部4Rと同様の構成を有している。すなわち、液受け部4Lの上段部41Lは液受け部4Rの上段部41Rに相当し、液受け部4Lの下段部43Lは液受け部4Rの下段部43Rに相当する。液受け部4Lは、X軸方向に関する長さが液受け部4Rと異なる点を除いて、液受け部4Rと同様の機能を有するものである。
保管部3は、塗布装置10の停止中(塗布が行われない間)において、各ノズル11〜13の先端が乾燥しないように各ノズル11〜13を保管する。すなわち、塗布装置10の停止中において各ノズル11〜13は保管部3の上方に配置され、保管部3は、各ノズル11〜13を洗浄するための洗浄液をノズル11〜13の各先端に供給する。なお、洗浄液は、例えば、塗布液が有機溶媒を含む溶液である場合、当該有機溶媒を含む液体(当該有機溶媒の純溶媒でもよい)である。具体的には、塗布液の溶媒がトルエンであれば、洗浄液としてトルエンを用いればよい。
保管部3は、基板Wを中心として液受け部4Lの外側に配置される。なお、各ノズル11〜13から吐出された塗布液を完全に受けることができるように、保管部3と液受け部4Lとの間には隙間がないように両者を配置することが好ましい。保管部3は、保管部移動機構9によってY軸方向およびZ軸方向に平行移動が可能である。なお、図1においては保管部3の構成の一部のみを示すものとし、保管部3の詳細な構成は図3および図4に示すものとする。
また、本実施形態では、2つの保管部3aおよび3bが用いられる。2つの保管部3aおよび3bは、洗浄対象となる塗布液の種類に応じて使い分けられる。すなわち、保管部3aは、例えば水系の正孔輸送材料を吐出するノズルを保管・洗浄する際に用いられ、保管部3bは、例えば溶剤系の有機EL材料を吐出するノズルを保管・洗浄する際に用いられる。各保管部3aおよび3bは、Y軸方向に移動することが可能であり、Y軸方向に移動することによって、いずれか一方の保管部が各ノズル11〜13の吐出口の直下位置(ノズルから吐出された塗布液が当たる位置)に位置するように配置される。なお、図1は、保管部3aを用いる場合の配置を示している。本実施形態のように、複数の保管部を備えることによって、複数種類の塗布液に容易に対応することができる。
図3は、保管部3の構成を示す斜視図である。また、図4は保管部3のA−A’断面図である。なお、保管部3aと保管部3bとは同じ構成であるので、図3および図4では保管部3aと保管部3bのうちの一方のみを保管部3として示している。図3に示すように、保管部3は、液回収部30、突起部材31〜33、供給配管34〜36、および貯留機構37〜39を備えている。
液回収部30は、各ノズル11〜13から吐出された吐出液(塗布液)や、突起部材31〜33から供給される洗浄液を回収するための部材である。液回収部30は、傾斜のついた底面を有する箱状の形状である。底面は、X軸方向に沿って延びる平坦な部分を有する。当該底面の最下位置には、図示しない排出口が設けられており、底面に付着した塗布液および洗浄液は、傾斜のついた底面上を通って当該排出口から排出される。
なお、図示していないが、液回収部30の下方には、液受け部4Lの下段部43Lと同様の機能を有する部材、すなわち、液回収部30から排出された塗布液を回収するとともに、液回収部30で回収できなかった塗布液を回収するための部材を設けておいてもよい。当該部材は、底面を有する箱状の形状であり、当該底面の最も低い位置には排出流路が設けられる。これにより当該部材内に回収された塗布液は当該排出流路から外部へ排出される。また、他の実施形態においては、液受け部4Lの下段部43LをX軸負方向に大きくして、液回収部30の下方を下段部43Lによってカバーするようにしてもよい。
液回収部30の底面には、3つの突起部材31〜33が設けられる。3つの突起部材31〜33は、3つのノズル11〜13に対応しており、対応する各ノズルをそれぞれ保管する。すなわち、突起部材31はノズル11に対応し、突起部材32はノズル12に対応し、突起部材33はノズル13に対応している。また、各ノズル11〜13の各吐出口の高さ(Z軸方向に関する位置)は同じであり、3つの突起部材31〜33の上面31a〜33aのZ軸方向に関する位置は同じである。3つの突起部材31〜33は、X軸方向に沿ってほぼ1列に配置されているが、ノズル11〜13と同様、Y軸方向に関して少しずれて配置されている。
突起部材31は、保管時においてノズル11に対向するように配置される上面31aを有している。また、上面31aには供給口が設けられる。詳細は後述するが、保管時においては供給口から洗浄液が供給されることによって、ノズル11の先端に洗浄液が付着されることとなる。
供給配管34は、洗浄液を供給する供給源(図示せず)から突起部材31の供給口までを連通している。洗浄液が供給源から供給される場合、洗浄液はこの供給配管34を通って供給口まで供給される。
また、供給配管34には貯留機構37が接続される。なお、図3では、図面を見やすくする目的で貯留機構37〜39の一部のみを示し、貯留機構に含まれる貯留タンクの構成を省略している。本実施形態では供給配管34から貯留機構37の配管が分岐しているので、洗浄液が供給源から供給されると、供給口に洗浄液が供給されるとともに、貯留機構37にも洗浄液が供給される。貯留機構37は、突起部材31の上面31aよりも上方で洗浄液を貯留可能な構成である。具体的には、図4に示すように、貯留機構37は、突起部材31の上面31aよりも上方に配置される貯留タンク37aを有している。なお、本実施形態では、貯留機構37は、供給配管34から分岐する配管と、それに接続される貯留タンク37aとを有する構成であるが、他の実施形態においては、貯留タンク37aを有しない構成であってもよい。すなわち、貯留機構37は、突起部材31の上面31aよりも上方で洗浄液を貯留可能であれば、供給配管34から分岐する配管のみによって構成されてもよい。
以上においては突起部材31に関する構成を説明したが、突起部材32および33の構成も突起部材31と同様である。すなわち、突起部材32および33は、保管時においてノズル12および13にそれぞれ対向するように配置される上面32aおよび33aを有している。また、上面32aおよび33aには供給口がそれぞれ1つずつ設けられる。供給配管35は、上記供給源から上面32aの供給口までを連通しており、供給配管36は、上記供給源から上面33aの供給口までを連通している。また、供給配管35には貯留機構38が接続され、供給配管36には貯留機構39が接続されている。貯留機構38および39はそれぞれ、各突起部材32および33の上面32aおよび33aよりも上方で洗浄液を貯留可能であり、具体的には、当該上面32aおよび33aよりも上方に配置される貯留タンクを有している。また、図2に示す洗浄液供給部8は、供給配管34〜36にそれぞれ設けられたポンプ等により構成され、制御部7の指令に従って供給源から洗浄液を供給する。
また、上述したように、保管部3は保管部移動機構9によってY軸方向に平行移動が可能である。本実施形態では、保管部3は、塗布動作が行われる時には、液回収部30の底面が各ノズル11〜13の直下位置となる位置にあり、保管時(塗布装置10の稼働が停止している時)には、各突起部材31〜33の上面31a〜33aが、それぞれ対応するノズル11〜13の吐出口に対向するような位置に移動される。
なお、本実施形態では、保管部3は、ノズル11〜13に付着した塗布液を洗浄する目的でも用いられる。すなわち、ノズル11〜13には、それから吐出した塗布液が吐出口付近に付着するので、保管部3は、各突起部材31〜33の各供給口から湧出する洗浄液を各ノズル11〜13に対してかけることによって各ノズル11〜13を洗浄することが可能である。
(2)塗布装置における塗布動作
次に、上記のように構成された塗布装置10の動作を説明する。まず、塗布装置10の塗布動作の概要について説明する。塗布装置10における塗布処理の対象となる基板Wは、図示しない搬送ロボット等によって塗布装置10に搬入されてステージ5上に載置される。基板Wは、それに形成された複数本の溝がX軸方向に平行となるように載置される。なお、塗布装置10に搬入されてくる基板Wには、陽極および正孔輸送層がすでに形成されているものとする。
塗布装置10に搬入された基板Wがステージ5に固定されると、制御部7は、ステージ5およびノズルユニット1を初期位置に移動させる。具体的には、制御部7は、予め定められた初期位置にステージ5を基板Wごと移動させるとともに、レール21の一端にノズルユニット1を移動させる。なお、ステージ5の初期位置は、基板WにおいてY軸方向に並んで形成された複数本の溝のうちの最もY軸正方向側にある溝の真上にノズル11(各ノズル11〜13のうちで最もY軸正方向側にあるノズル)が位置する位置である。以上のようにステージ5およびノズルユニット1が初期位置に配置されると、制御部7は塗布動作を開始する。
塗布動作においてまず、制御部7は、ノズルユニット1およびステージ移動機構6を制御し、ノズルユニット1およびステージ移動機構6の動作を開始させる。すなわち、制御部7は、ノズルユニット1のX軸方向の移動とステージ5のY軸方向の移動とを制御するとともに、各ノズル11〜13による有機EL材料の吐出を制御する。これによって、以降、ノズルユニット1のX軸方向の移動動作(第1動作)とステージ5のY軸方向の移動動作(第2動作)とが繰り返される。
具体的には、まず、第1動作として、ノズルユニット1の各ノズル11〜13から赤色の有機EL材料が吐出されるとともにノズルユニット1がレール21の一端から他端へ移動する。なお、上述のように、各ノズル11〜13はY軸方向に関して、基板Wに形成された溝の3列分の長さ(Y軸方向の長さ)だけ間隔を空けて配置されている。そのため、1回の第1動作においては、互いに2列ずつ間隔を空けた3列分の溝について塗布が行われる。これによって、基板Wに形成された溝に対する3列分の塗布が完了する。次に、第2動作として、基板Wに形成された溝の9列分の長さだけY軸の正方向にステージ5がピッチ送りされる。以降、第1動作と第2動作とを繰り返すことによって、基板Wへの塗布が3列分ずつ行われる。これによって、基板Wに有機EL材料がストライプ状に塗布されていく。
第1動作および第2動作は、基板Wの有効領域(溝が形成されている領域)に対して有機EL材料が塗布されるまで行われる。なお、この時点では、X軸方向に関しては基板Wの有効領域以外の部分についても有機EL材料が塗布されるが、有効領域以外の領域に塗布された有機EL材料は、後述する除去処理によって除去される。以上によって、1枚の基板Wに対する塗布動作が終了する。
なお、塗布装置10における塗布処理が完了した基板Wは、図示しない搬送ロボットにより塗布装置10から搬出される。搬出された基板Wに対しては、基板Wの有効領域以外の領域に塗布された有機EL材料が除去される。除去処理は、基板W上の有機EL材料を除去する方法であればどのような方法であってもよく、例えば、レーザアブレーションによって有機EL材料を除去する方法であってもよいし、除去領域に予めマスキングテープを貼付しておく方法であってもよい。そして、除去処理が完了した基板Wに対して乾燥処理(ベーク処理)が行われる。以上によって、赤色の有機EL材料について塗布・乾燥処理が完了したことになる。この後、基板Wに対しては、赤色の場合と同様に、緑色および青色の有機EL材料について塗布・乾燥処理が行われる。すなわち、緑色の有機EL材料を塗布する処理、塗布された緑色の有機EL材料を乾燥させる処理、青色の有機EL材料を塗布する処理、および、塗布された青色の有機EL材料を乾燥させる処理が順に行われる。このように赤色、緑色および青色の有機EL材料について塗布・乾燥処理が行われることによって、有機EL表示装置の発光層が形成される。さらに、発光層が形成された基板に対して例えば真空蒸着法により陰極電極が発光層上に形成されることによって、有機EL表示装置が製造される。
(3)待機状態へ移行する際における塗布装置の動作
塗布装置10は、上述した塗布動作を行わない場合(装置が稼働していない場合)、待機状態となる。この待機状態では、ノズルユニット1は所定の位置に退避され、各ノズル11〜13は洗浄液に触れた状態で保管される。以下、稼働状態から待機状態へ移行する動作および、待機状態から稼働状態へ移行する動作を説明する。
図5は、稼働状態から待機状態への移行および待機状態から稼働状態への移行に関する塗布装置の動作の流れを示すフローチャートである。図5に示すフローチャートでは、塗布動作を行っていた塗布装置10に対して稼働を停止する指示が行われた後における塗布装置の動作を示している。
まず、ステップS1において、制御部7は、塗布処理時に移動していたノズルユニット1を停止させる。なお、ノズルユニット1は、ノズル移動機構2の両端のうち、保管部3の上方に位置する一端(図1(a)に示す左側の一端)で停止する。より具体的には、ノズルユニット1は、各ノズルとそれに対応する各突起部材とのX軸方向に関する位置が同じになる位置で停止する。ここでは、当該位置がノズルユニット1の退避位置である。続くステップS2において、制御部7は、ノズルユニット1に対して制御指令を与えることによって、各ノズル11〜13による塗布液の吐出を停止させる。
次に、ステップS3において、制御部7は、保管部移動機構9に制御指令を与えることによって、保管部3の位置を切り替える。具体的には、制御部7は、液回収部30の底面が各ノズル11〜13の直下位置に位置していた保管部3を、各突起部材31〜33が各ノズル11〜13の直下位置に位置するように移動させる。
ステップS3の次のステップS4において、制御部7は、洗浄液供給部8に制御指令を与えることによって、供給源から各供給配管を介して各突起部材31〜33の供給口へ洗浄液を供給する。このとき、洗浄液供給部8は、各突起部材31〜33の上面31a〜33a上に洗浄液が液盛りされる程度に洗浄液を供給する。以下、突起部材31を例として、ステップS4の詳細を説明する。なお、以下では3つの突起部材31〜33のうちの突起部材31を例として説明するが、他の突起部材32および33についても突起部材31と同様である。
図6は、保管時において洗浄液が供給された後の保管部3の状態を示す図である。なお、図6では3つの突起部材31〜33のうちで突起部材31に供給される洗浄液の状態のみを示しているが、洗浄液の状態は、他の突起部材32および33においても図6と同様の状態となる。図6に示されるように、ステップS4においては、洗浄液供給部8によって洗浄液が供給されることによって、突起部材31の上面31a上に洗浄液Lが液盛りされる。すなわち、上面31aの供給口から所定量の洗浄液が湧出するように洗浄液が供給されると、洗浄液は、表面張力によって上面31aに対して突出した状態(液盛りされた状態)となる。ステップS4においては、洗浄液供給部8は、突起部材31の上面31a上に洗浄液Lが液盛りされた状態となるまで洗浄液を供給し、当該状態になると供給を停止する。具体的には、洗浄液供給部8は、上面31a上に洗浄液が液盛りされた状態となるのに十分な量の洗浄液を供給した後、供給を停止する。なお、供給量が多すぎると、表面張力によって半球面状に液盛りされた状態が崩れ、上面31aから液回収部30の底面へ多少の洗浄液がこぼれてしまうので、洗浄液供給部8は、液盛りされた状態が崩れてしまわない程度に洗浄液を供給することが好ましい。以上のように、本実施形態によれば、保管中において洗浄液を常時供給する必要はないので、消費する洗浄液の量を少なくすることができ、洗浄液を効率的に使用することができる。
また、ステップS4において、洗浄液が供給される際、洗浄液は上面31aの供給口だけでなく貯留機構37にも供給される。そして、図6に示すように、突起部材31の上面31a上に洗浄液Lが液盛りされる場合、貯留機構37内には上面31aよりも上方の位置まで(図6では、貯留タンク37a内の高さまで)洗浄液が貯留される状態となる。この状態では、貯留機構37内の洗浄液の圧力と、上面31a上の洗浄液Lが受ける表面張力とのバランスにより(ある高さおよび大きさで)液盛りされていることとなる。
図5の説明に戻り、ステップS4の次のステップS5において、制御部7は、保管部移動機構9に制御指令を与えることによって、保管部3を上方に移動させる。保管部3は、各突起部材31〜33の上面31a〜33aが、それぞれ対応する各ノズル11〜13の吐出口にそれぞれ所定の間隔を空けて対向するように移動される。この所定の間隔は、予め定められており、具体的には、各突起部材31〜33の上面31a〜33a上に液盛りされた洗浄液に各ノズル11〜13の下面が少なくとも接触する間隔である。換言すれば、所定の間隔は、上面31a〜33a上に液盛りされた洗浄液の高さよりも小さく設定される。なお、液盛りされた洗浄液の高さおよび大きさは、洗浄液の種類や突起部材の材質(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が用いられる)の他、供給口の大きさや、貯留機構における配管の太さ等に依存する。
なお、本実施形態では、保管時(後述する洗浄時においても同様)において各ノズル11〜13と各突起部材31〜33とが接触しないので、各ノズル11〜13と各突起部材31〜33とが接触することによって各ノズル11〜13の位置がずれてしまうことがない。つまり、各ノズル11〜13の位置がずれてしまう結果、塗布動作において塗布液を正確な位置に塗布することができなくなることを防止することができる。
以上のステップS5の動作によって、保管部3の各突起部材31〜33の上面31a〜33aが、各ノズル11〜13の吐出口と対向する位置に配置されたこととなり、ノズル11の吐出口は洗浄液Lに接触する状態となる。これによって、吐出口が乾燥しないようにノズル11〜13を保管することができる。
ここで、上面31a〜33a上に液盛りされた状態の洗浄液Lは蒸発する。したがって、仮に洗浄液を補充する手段がないとすれば、時間が経過するにつれて上面31a〜33a上に液盛りされた洗浄液Lの量が次第に減少していく。そして、液盛りされた洗浄液Lの量がある量より少なくなると(貯留機構37〜39における洗浄液の液面の高さがある位置より低くなると)、ノズルの吐出口が洗浄液に接触しなくなってしまう。このように、洗浄液を補充する手段がなければ、ノズルを洗浄液につけた状態で保管することができなくなってしまうという問題がある。この問題を解決するため、第1の実施形態では、貯留機構37〜39を設ける構成を採用している。すなわち、第1の実施形態では、貯留機構37〜39には上面31a〜33aよりも上方の位置まで洗浄液が貯留されているので、上面31a〜33a上に液盛りされた洗浄液Lが減少しそうになると、貯留機構37〜39内の洗浄液の圧力によって洗浄液が各突起部材31〜33の供給口へ補充される。したがって、第1の実施形態では、洗浄液が蒸発しても上面31a〜33a上において液盛り状態を維持することができ、貯留機構を設けない場合に比べてより長時間ノズルを保管することができる。
図5の説明に戻り、ステップS5の次のステップS6において、制御部7は、使用者から塗布装置10を稼働する指示があったか否かを判定する。稼働指示があった場合には制御部7は後述するステップS7の動作を実行する。一方、稼働指示がない場合には、制御部7はステップS6の動作を再度実行し、稼働指示があるまでステップS6の動作を所定時間間隔で繰り返す。すなわち、制御部7は稼働指示があるまで待機し、稼働指示があるとステップS7の動作を実行する。
塗布装置10を稼働する指示があると、ステップS7およびS8の動作が実行されることによって、塗布装置10が待機状態から稼働状態となる。すなわち、ステップS7において、制御部7は、保管部移動機構9に制御指令を与えることによって、保管部3を下方の位置(ステップS5が実行される前の位置)に戻す。これによって、ノズル11〜13から十分に離れた位置に保管部3が移動されるので、塗布処理においてノズル11〜13が移動してもノズル11〜13と保管部3とが衝突することがない。続くステップS8において、制御部7は、保管部移動機構9に制御指令を与えることによって、保管部3の位置を切り替える。具体的には、制御部7は、突起部材31〜33がノズル11〜13の直下位置に位置していた保管部3を、液回収部30の底面がノズル11〜13の直下位置に位置するように移動させる。これによって、塗布処理においてノズル11〜13から塗布液が吐出されても保管部3における塗布液の飛び跳ねを抑えることができる。稼働状態へ移行するまでの塗布装置の動作は以上のステップS1〜S8で終了する。以上の動作の後、塗布装置は塗布処理を再開することができる。
以上のように、第1の実施形態によれば、ノズル11〜13の保管時において、保管部3の各突起部材31〜33の上面31a〜33aを各ノズル11〜13にそれぞれ対向するように配置するとともに、上面31a〜33a上に洗浄液を液盛りされた状態にする。これによって、各ノズル11〜13の吐出口を洗浄液に接触した状態で保管することができるとともに、洗浄液を常時供給する必要がないので、洗浄液を効率良く使用することができる。さらに、第1の実施形態によれば、貯留機構37〜39を設けることによって、貯留機構37〜39に貯留された洗浄液と、上面31a〜33a上に液盛りされた洗浄液との揚程差によって、上面31a〜33a上に洗浄液が自動的に補充される。これによって、上面31a〜33a上において洗浄液を長時間液盛りされた状態で維持することができ、各ノズル11〜13をより長時間保管することができる。
なお、上記保管部3は、各ノズル11〜13を洗浄する目的でも用いられる。具体的には、洗浄動作を行う際、制御部7はまず、上記ステップS1〜S3と同様の動作を行う。次に、制御部7は、洗浄液供給部8に制御指令を与えることによって、洗浄液供給部8に洗浄液の供給を行わせる。これによって、洗浄液供給部8は、保管部3の各突起部材31〜33の供給口から洗浄液を湧出する。なお、洗浄動作においては、保管時と異なり、洗浄液は常時供給される。次に、制御部7は、上記ステップS5と同様の動作を行う。これによって、保管部3の各突起部材31〜33の上面31a〜33aが、各ノズル11〜13の吐出口と対向する位置に配置されたこととなり、ノズル11の吐出口は洗浄液に接触する状態となる。その結果、各ノズル11〜13が洗浄液によって洗浄される。なお、洗浄時において、各突起部材31〜33の供給口から湧出された洗浄液は、各突起部材31〜33から液回収部30の底面へ流れていき、液回収部30の排出口から排出される。洗浄液は、予め定められた所定時間湧出され、これによってノズルの洗浄が終了する。ノズルの洗浄が終了した後は、制御部7が上記ステップS7およびS8の動作を行うことによって、塗布動作が可能になる。なお、洗浄処理は、塗布装置10による1日の作業の開始前または終了後に行われてもよいし、所定枚数の基板に対する塗布処理が終了する毎に行われてもよいし、所定時間間隔で行われてもよい。また、洗浄処理は、作業者によって手動で制御部7に指示されたことに応じて開始されてもよいし、所定の条件に従って制御部7によって自動的に開始されるようにしてもよい。以上のように、本実施形態によれば、ノズルの洗浄と保管の両方の動作を保管部3を用いて行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るノズル保管装置について説明する。上述した第1の実施形態においては、待機状態から稼働状態に移行した場合、および、ノズルの洗浄が終了した場合、各ノズル11〜13には洗浄液が残って付着している可能性がある。したがって、第1の実施形態においては、各ノズル11〜13に残った洗浄液を除去する手段が設けられることが好ましい。第2の実施形態では、洗浄液を除去する手段として、供給口から洗浄液を吸引する洗浄液吸引手段を設ける。さらに、上記貯留機構37〜39を用いて洗浄液吸引手段を実現することによって塗布装置の構成を簡易化する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第2の実施形態の詳細を説明する。
図7は、第2の実施形態における塗布装置の各部と制御部との接続関係を示す図である。また、図8は、第2の実施形態における保管部3の構成を示す断面図である。図8は、図4に示すA−A’断面図に対応する図である。また、図8は、待機状態における保管部3の状態を示している。なお、図7および図8においては、図2および図4と同じ構成要素については図2および図4と同じ参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
図7に示すように、第2の実施形態においては、塗布装置(ノズル保管装置)は洗浄液吸引部101をさらに備えている。また、図8に示すように、保管部3の貯留機構37は吸引配管37bを有する構成である。洗浄液吸引部101は吸引ポンプ等により構成され、その動作は制御部7によって制御される。吸引配管37bは貯留タンク37aと洗浄液吸引部101とを接続する。なお、以上の点を除いて、第2の実施形態における塗布装置の構成は第1の実施形態と同様である。
次に、第2の実施形態における塗布装置の動作を説明する。第2の実施形態においても第1の実施形態と同様、稼働状態から待機状態に移行する場合には図5に示すステップS1〜S5の動作が行われる。ステップS1〜S5の動作によって、保管部3の状態は図8に示す状態となる。保管時においては、この状態で各ノズル11〜13が保管される。
また、第2の実施形態の動作は、待機状態から稼働状態へ移行する際において、各ノズル11〜13に付着した洗浄液が洗浄液吸引部101によって吸引される点で第1の実施形態と異なる。図8を例にとって説明すると、図8に示す待機状態において、使用者からの稼働指示があると、洗浄液吸引部101によって各貯留機構37の洗浄液が吸引される。これによって、上面31a上に液盛りされている洗浄液(ノズル11に付着している洗浄液)Lが供給口へ吸引されて回収される。なお、上記においては、3つの突起部材31〜33のうちの突起部材31を例として説明したが、他の突起部材32および33についても突起部材31と同様の動作が行われる。以上のようにして、第2の実施形態においては、各ノズル11〜13に残った洗浄液を洗浄液吸引部101によって除去することができる。
具体的には、図5に示すステップS6の判定結果が肯定となった後、制御部7は、洗浄液吸引部101に制御指令を与えることによって、洗浄液吸引部101に吸引動作を行わせる。すなわち、洗浄液吸引部101は、貯留機構37〜39を介して各供給配管34〜36から洗浄液を吸引する。これによって、各上面31a〜33a上の洗浄液が各供給口へ回収される。第2の実施形態においては、洗浄液吸引部101による吸引動作の後、ステップS7の動作が行われる。
また、洗浄液吸引部101による吸引動作は、洗浄処理の終了後、塗布動作を再開する前にも行われる。すなわち、洗浄処理において洗浄液が予め定められた所定時間湧出されると、洗浄液供給部8は洗浄液の供給を停止する。そして、洗浄液吸引部101は、保管時と同様の吸引動作を行う。この吸引動作によって、洗浄時に各ノズル11〜13に付着した洗浄液を各突起部材31〜33の供給口から吸引することができ、洗浄時に各ノズル11〜13に付着した洗浄液を除去することができる。以上の吸引動作の後、制御部7が上記ステップS7およびS8の動作を行うことによって、塗布動作が可能になる。
以上のように、第2の実施形態においては、洗浄液吸引部101によって各ノズル11〜13に付着した洗浄液を除去することができるので、塗布動作を行う際に各ノズル11〜13に洗浄液が残ることがない。さらに、第2の実施形態によれば、洗浄液吸引部101によって吸引を行うための配管を貯留機構によって実現している。すなわち、吸引を行うための配管を別途設ける必要がないので、塗布装置の構成を簡易化することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るノズル保管装置について説明する。上述した第1の実施形態においては、突起部材31〜33の上面31a〜33a上に液盛りされた洗浄液が蒸発することによって、貯留機構37〜39に貯留された洗浄液の量が次第に減少していった結果、貯留されている洗浄液の量がある量以下になると(貯留機構における洗浄液の液面の高さがある高さ以下になると)、上面31a〜33a上に洗浄液が液盛りされなくなる(通常、貯留機構における洗浄液の液面の高さが上面の高さと等しくなると、上面31a〜33a上に洗浄液が液盛りされなくなる)。したがって、第1の実施形態においては、貯留機構がない構成に比べると長時間ノズルを保管することができるものの、ある程度の時間が経過するとノズルを保管できなくなってしまう。第3の実施形態では、貯留機構37〜39に貯留された洗浄液の量を検知し、上面31a〜33a上に洗浄液が液盛りされなく前に洗浄液を再度供給する。これによって、ノズルを保管することができる時間的制限をなくすことができる。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第3の実施形態の詳細を説明する。
図9は、第3の実施形態における塗布装置の各部と制御部との接続関係を示す図である。なお、図9においては、図2と同じ構成要素については図2と同じ参照符号を付し、詳細な説明を省略する。図9に示すように、第3の実施形態においては、塗布装置(ノズル保管装置)は液量検知部102をさらに備えている。液量検知部102は、各貯留機構37〜39に設置され、各貯留機構37〜39の液量を検知する。具体的には、貯留機構37〜39に貯留されている洗浄液の量がある所定量以下になった(貯留機構における洗浄液の液面の高さがある高さ以下になった)ことを検知する。液量検知部102による検知結果は、制御部7に通知される。すなわち、貯留機構37〜39に貯留されているいずれかの洗浄液の量が予め定められた所定量以下になったことを検知すると、液量検知部102は制御部7に対して通知を行う。
図10は、第3の実施形態における塗布装置の動作の流れを示すフローチャートである。なお、図10において、図5に示すステップと同じ動作を行うステップについては図5と同じステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
第3の実施形態においても第1の実施形態と同様、稼働状態から待機状態へ移行する際にはステップS1〜S5の動作が行われる。第3の実施形態においては、ステップS5の後、ステップS11の動作が行われる。すなわち、ステップS11において、制御部7は、洗浄液を再供給するか否かを判定する。この判定は、具体的には、貯留機構37〜39に貯留されているいずれかの洗浄液の量が予め定められた所定量以下になった旨の通知が液量検知部102からあったか否かによって行われる。上記通知が液量検知部102からあった場合、制御部7は、洗浄液を再供給すると判定し、ステップS12の動作を行う。一方、液量検知部102から上記通知がない場合、制御部7は、洗浄液を再供給しないと判定し、ステップS6の動作を行う。
ステップS12においては、制御部7は、洗浄液供給部8に制御指令を与えることによって、洗浄液供給部8に洗浄液を再度供給させる。ステップS12で洗浄液が供給される供給量は、予め定められた量としてもよい。このステップS12によって、貯留機構37〜39に貯留されている洗浄液の量が上記所定量よりも多くなり、ノズルの保管を継続することができるようになる。ステップS12の後、ステップS6の動作が行われる。
第3の実施形態においても、ステップS6の動作は第1の実施形態と同様である。すなわち、制御部7は、使用者から塗布装置10を稼働する指示があったか否かを判定し、稼働指示があった場合には後述するステップS7の動作を実行する。一方、稼働指示がない場合には、制御部7はステップS11の動作を再度実行する。したがって、制御部7は、稼働指示があるまでステップS11およびS6の動作を所定時間間隔で繰り返し、必要に応じてステップS12の動作を行う。すなわち、制御部7は稼働指示があるまで待機するとともに、洗浄液の再供給が必要と判断した場合(ステップS11でYES)には洗浄液の再供給を行う。なお、ステップS7およびS8の動作は第1の実施形態と同様である。
以上のように、第3の実施形態によれば、ノズルを保管することができなくなること、すなわち、貯留機構37〜39に貯留されている洗浄液の量が所定量以下になったことを検知し、検知したことに応じて洗浄液を再供給する。これによれば、供給源の洗浄液がなくならない限り継続してノズルを保管することができる。第3の実施形態によれば、長期間(例えば1日)ノズルを保管する場合でも上面上の洗浄液がなくなることがない。
なお、上記第3の実施形態においては、第2の実施形態において示した洗浄液吸引手段を設けない構成としたが、第3の実施形態においても当該洗浄液吸引手段を設ける構成としてもよい。これによれば、第2の実施形態と同様、簡易な構成で、各ノズル11〜13に付着した洗浄液を除去することができる。
また、上記第3の実施形態においては、貯留機構37〜39に洗浄液を再供給する配管(ライン)を別に設けるようにしてもよい。図11は、第3の実施形態における変形例における保管部3の構成を示す図である。図11に示すように、第3の実施形態の変形例においては、供給配管34と貯留機構37との分岐部分と供給源との間にバルブ103が設けられる。また、バルブ103と供給源との間の供給配管と、貯留タンク37aとを接続する再供給配管37cが設けられる。なお、バルブ103の開閉は制御部7によって制御される。なお、図11では、突起部材31に関する構成のみを示しているが、他の突起部材32および33についても図11と同様にバルブおよび再供給配管が設けられる。
図11に示す変形例においては、上記ステップS4において洗浄液が供給される際には、制御部7によってバルブ103が開放される。したがって、供給源から供給される洗浄液は供給配管34を通って突起部材31の供給口に供給される。一方、上記ステップS12において洗浄液が再供給される際には、制御部7によってバルブ103が閉鎖される。したがって、供給源から供給される洗浄液は、再供給配管37cを通って貯留タンク37aに供給される。以上のように、保管時において洗浄液を再供給する場合には、供給源から貯留タンク37aに洗浄液が直接供給されるようにしてもよい。なお、以上においては、突起部材31に関する動作のみを説明したが、他の突起部材32および33における動作も突起部材31に関する動作と同様である。
(その他の変形例)
また、上記第1〜第3の実施形態では、塗布装置は3本のノズル11〜13によって塗布液を塗布するものであり、保管部3は各ノズル11〜13に対応する3つの突起部材31〜33を有していた。ここで、他の実施形態においては、ノズルの本数は何本であってもよい。
上述した実施形態では、本発明に係るノズル保管装置が塗布装置と一体的に構成される場合と例として説明したが、ノズル保管装置は塗布装置と別体で構成されるものであってもよい。また、上述した実施形態では、塗布液として有機EL材料や正孔輸送材料を塗布液とした有機EL表示装置の製造装置(塗布装置)を一例にして説明したが、本発明に係るノズル保管装置は他の塗布装置にも利用することができる。例えば、レジスト液やSOG(Spin On Glass)液やPDP(プラズマディスプレイパネル)を製造するのに使用される蛍光材料を塗布する装置にも本ノズル保管装置を利用することができる。また、液晶カラーディスプレイをカラー表示するために液晶セル内に構成されるカラーフィルタを製造するために使用される色材を塗布する装置にも本ノズル保管装置を利用することができる。