しかしながら、上記特許文献1のような従来の積層コンデンサでは、ESRを増加させて共振周波数を大きくしても、共振周波数の近傍において依然としてインピーダンスが低下してしまう場合があった(図4の破線b参照)。
そこで、本発明は、共振周波数におけるインピーダンスの低下を抑制することが可能な積層コンデンサを提供することを目的とする。
本発明者等は、共振周波数の近傍においてインピーダンスが低下してしまう原因について、鋭意研究を行った。その結果、以下の知見を得た。
上記特許文献1に記載された積層コンデンサでは、第1の端子電極と接続される接続用突出部が一体的に設けられた第1の内部電極と、第2の端子電極と接続される接続用突出部が一体的に設けられた第2の内部電極とが、誘電体層を介して隣り合っていた。すなわち、異極となる第1の内部電極と第2の内部電極とが、誘電体層を介して隣り合っていた。そのため、第1の内部電極と第2の内部電極との間に静電容量が発生していた。
ところで、電流は、第1の内部電極においては、端子用突出部、第1の内部電極及び接続用突出部の順に流れ、第2の内部電極においては、接続用突出部、第2の内部電極及び端子用突出部の順に流れる。そのため、積層コンデンサの抵抗成分は、第1の内部電極においては、電流が流れる端子用突出部、第1の内部電極及び接続用突出部の間に発生し、第2の内部電極においては、端子用突出部、第2の内部電極及び接続用突出部の間に発生する。従って、積層コンデンサの等価回路においては、第1の内部電極のうち端子用突出部と接続用突出部との間とは反対側の部分と、第2の内部電極のうち端子用突出部と接続用突出部との間の部分との間に発生する静電容量(寄生容量ともいう)Cpが、積層コンデンサの抵抗成分ESRに並列に接続されることとなる(図5参照)。そして、本発明者等は、当該寄生容量Cpが大きいほど共振周波数の近傍におけるインピーダンスが低下してしまうことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る積層コンデンサは、第1〜第3の誘電体層を少なくとも有する複数の誘電体層が積層された素体と、素体の外表面に配置された第1及び第2の端子電極と、素体の外表面に配置された第1及び第2の連結用電極と、素体の内部に配置された第1〜第4の内部電極とを備え、第1の誘電体層、第2の誘電体層及び第3の誘電体層は、この順で積層されており、第1及び第2の内部電極は、互いに離間した状態で前記第1の誘電体層上に配置され、第3の内部電極は、第2の誘電体層上に配置され、第4の内部電極は、第3の誘電体層上に配置されており、第1の内部電極には、第1の端子電極と接続される第1の端子用接続部と、第1の連結用電極と接続される第1の連結用接続部とが一体的に設けられ、第2の内部電極には、第2の端子電極と接続される第2の端子用接続部と、第2の連結用電極と接続される第2の連結用接続部とが一体的に設けられ、第3の内部電極には、第2の連結用電極と接続される第3の連結用接続部が一体的に設けられ、第4の内部電極には、第1の連結用電極と接続される第4の連結用接続部が一体的に設けられ、第3の内部電極は、複数の誘電体層の積層方向において第2及び第4の内部電極と隣り合い、第1の内部電極と第3の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、第2の内部電極と第3の内部電極と第4の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っていることを特徴とする。
本発明に係る積層コンデンサでは、第1の内部電極に、第1の端子電極と接続される第1の端子用接続部及び第1の連結用電極と接続される第1の連結用接続部が一体的に設けられ、第3の内部電極に、第2の連結用電極と接続される第3の連結用接続部が一体的に設けられ、第4の内部電極に、第1の連結用電極と接続される第4の連結用接続部が一体的に設けられており、互いに同極である第1の内部電極と第4の内部電極とが、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っており、第1の内部電極と第3の内部電極とが、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っていない。そのため、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第1の内部電極が、第4の内部電極の側において、異極と隣接して対向しなくなることから、積層コンデンサの抵抗成分に並列に接続される寄生用量Cp(図5参照)が小さくなる。また、本発明に係る積層コンデンサでは、第2の内部電極に、第2の端子電極と接続される第2の端子用接続部及び第2の連結用電極と接続される第2の連結用接続部が一体的に設けられ、第3の内部電極に、第2の連結用電極と接続される第3の連結用接続部が一体的に設けられており、互いに同極である第2の内部電極と第3の内部電極とが、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っている。そのため、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第2の内部電極が、第3の内部電極と隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなることから、積層コンデンサの抵抗成分に並列に接続される寄生用量Cp(図5参照)が小さくなる。その結果、図4において実線aで示されるように、共振周波数の近傍におけるインピーダンスの低下を抑制することが可能となり、共振周波数の近傍を含む広域帯にわたってインピーダンスの変動が抑制されることとなる。
また、本発明に係る積層コンデンサでは、互いに異極である第1の内部電極と第2の内部電極とが、共に同一の誘電体層(第1の誘電体層)上に配置されている。その結果、素体を構成する誘電体層の積層数が減るので、積層コンデンサの小型化を図ることが可能となる。
さらに、本発明に係る積層コンデンサでは、第3の内部電極に、第2の連結用電極と接続される第3の連結用接続部が一体的に設けられ、第4の内部電極に、第1の連結用電極と接続される第4の連結用接続部が一体的に設けられており、互いに異極である第3の内部電極と第4の内部電極とが、複数の誘電体層の積層方向において隣接して対向している。そのため、第1又は第2の端子電極と接続されない第3の内部電極と第4の内部電極との間において、積層コンデンサの容量成分C(図5参照)が生じることとなる。その結果、上記のように、互いに異極である第1の内部電極と第2の内部電極とが共に同一の誘電体層上に配置されていることと相俟って、積層コンデンサの小型化を図りつつ、積層コンデンサの全体としての静電容量C(図5参照)を大きくすることが可能となる。これにより、図4において二点鎖線c2で示されるように、低周波帯域全体にわたってインピーダンスを低下させることが可能となる。
好ましくは、素体の内部に配置された第5の内部電極を備え、第5の内部電極は、第3の内部電極と離間した状態で第2の誘電体層上に配置され、第5の内部電極には、第1の連結用電極と接続される第5の連結用接続部が一体的に設けられ、第5の内部電極は、複数の誘電体の積層方向において第1及び第4の内部電極と隣り合い、第1の内部電極と第5の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っており、第2の内部電極と第5の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、第4の内部電極と第5の内部電極とは、複数の誘電体の積層方向から見て互いに重なり合っている。このようにすると、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第1の内部電極が、第5の内部電極と隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなることから、積層コンデンサの抵抗成分に並列に接続される寄生容量Cp(図5参照)をより小さくすることが可能となる。
また、本発明に係る積層コンデンサは、第1〜第3の誘電体層を少なくとも有する複数の誘電体層が積層された素体と、素体の外表面に配置された第1及び第2の端子電極と、素体の外表面に配置された第1及び第2の連結用電極と、素体の内部に配置された第1〜第5の内部電極とを備え、第1の誘電体層、第2の誘電体層及び第3の誘電体層は、この順で積層されており、第1及び第2の内部電極は、互いに離間した状態で前記第1の誘電体層上に配置され、第3及び第5の内部電極は、互いに離間した状態で前記第2の誘電体層上に配置され、第4の内部電極は、第3の誘電体層上に配置されており、第1の内部電極には、第1の端子電極と接続される第1の端子用接続部と、第1の連結用電極と接続される第1の連結用接続部とが一体的に設けられ、第2の内部電極には、第2の端子電極と接続される第2の端子用接続部と、第2の連結用電極と接続される第2の連結用接続部とが一体的に設けられ、第3の内部電極には、第2の連結用電極と接続される第3の連結用接続部が一体的に設けられ、第4の内部電極には、第1の連結用電極と接続される第4の連結用接続部が一体的に設けられ、第5の内部電極には、第1の連結用電極と接続される第5の連結用接続部が一体的に設けられ、第1の内部電極は、複数の誘電体層の積層方向において第5の内部電極と隣り合い、第3の内部電極は、複数の誘電体層の積層方向において第2及び第4の内部電極と隣り合い、第1の内部電極と第5の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っており、第1の内部電極と第3の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、第2の内部電極と第5の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、第2の内部電極と第3の内部電極と第4の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っていることを特徴とする。
本発明に係る積層コンデンサでは、第1の内部電極に、第1の端子電極と接続される第1の端子用接続部及び第1の連結用電極と接続される第1の連結用接続部が一体的に設けられ、第3の内部電極に、第2の連結用電極と接続される第3の連結用接続部が一体的に設けられ、第5の内部電極に、第1の連結用電極と接続される第5の連結用接続部が一体的に設けられており、互いに同極である第1の内部電極と第5の内部電極とが、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っており、第1の内部電極と第3の内部電極とが、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っていない。そのため、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第1の内部電極が、第5の内部電極と隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなることから、積層コンデンサの抵抗成分に並列に接続される寄生用量Cp(図5参照)が小さくなる。また、本発明に係る積層コンデンサでは、第2の内部電極に、第2の端子電極と接続される第2の端子用接続部及び第2の連結用電極と接続される第2の連結用接続部が一体的に設けられ、第3の内部電極に、第2の連結用電極と接続される第3の連結用接続部が一体的に設けられ、第5の内部電極に、第1の連結用電極と接続される第5の連結用接続部が一体的に設けられており、互いに同極である第2の内部電極と第3の内部電極とが、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っており、第2の内部電極と第5の内部電極とが、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っていない。そのため、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第2の内部電極が、第3の内部電極と隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなることから、積層コンデンサの抵抗成分に並列に接続される寄生用量Cp(図5参照)が小さくなる。その結果、図4において実線aで示されるように、共振周波数の近傍におけるインピーダンスの低下を抑制することが可能となり、共振周波数の近傍を含む広域帯にわたってインピーダンスの変動が抑制されることとなる。
また、本発明に係る積層コンデンサでは、互いに異極である第1の内部電極と第2の内部電極とが、共に同一の誘電体層(第1の誘電体層)上に配置されており、互いに異極である第3の内部電極と第5の内部電極とが、共に同一の誘電体層(第2の誘電体層)上に配置されている。その結果、素体を構成する誘電体層の積層数が減るので、積層コンデンサの小型化を図ることが可能となる。
さらに、本発明に係る積層コンデンサでは、第3の内部電極に、第2の連結用電極と接続される第3の連結用接続部が一体的に設けられ、第4の内部電極に、第1の連結用電極と接続される第4の連結用接続部が一体的に設けられており、互いに異極である第3の内部電極と第4の内部電極とが、複数の誘電体層の積層方向において隣接して対向している。そのため、第1又は第2の端子電極と接続されない第3の内部電極と第4の内部電極との間において、積層コンデンサの容量成分C(図5参照)が生じることとなる。その結果、上記のように、互いに異極である第1の内部電極と第2の内部電極とが共に同一の誘電体層上に配置されており、互いに異極である第3の内部電極と第4の内部電極とが共に同一の誘電体層上に配置されていることと相俟って、積層コンデンサの小型化を図りつつ、積層コンデンサの全体としての静電容量C(図5参照)を大きくすることが可能となる。これにより、図4において二点鎖線c2で示されるように、低周波帯域全体にわたってインピーダンスを低下させることが可能となる。
好ましくは、素体の内部に配置された第6〜第10の内部電極を備え、複数の誘電体層は、第4〜第6の誘電体層を有し、第1の誘電体層、第2の誘電体層、第3の誘電体層、第6の誘電体層、第4の誘電体層及び第5の誘電体層は、この順で積層されており、素体は、複数の誘電体層の積層方向において第1の誘電体層側に位置する第1の主面と、複数の誘電体層の積層方向において第5の誘電体層側に位置する第2の主面とを有し、第6及び第7の内部電極は、互いに離間した状態で第4の誘電体層上に配置され、第8及び第9の内部電極は、互いに離間した状態で第5の誘電体層上に配置され、第10の内部電極は、第6の誘電体層上に配置されており、第6の内部電極には、第1の連結用電極と接続される第6の連結用接続部が一体的に設けられ、第7の内部電極には、第2の連結用電極と接続される第7の連結用接続部が一体的に設けられ、記第8の内部電極には、第1の端子電極と接続される第3の端子用接続部と、第1の連結用電極と接続される第8の連結用接続部とが一体的に設けられ、第9の内部電極には、第2の端子電極と接続される第4の端子用接続部と、第2の連結用電極と接続される第9の連結用接続部とが一体的に設けられ、第10の内部電極には、第2の連結用電極と接続される第10の連結用接続部が一体的に設けられ、第6の内部電極は、複数の誘電体層の積層方向において第8及び第10の内部電極と隣り合い、第7の内部電極は、複数の誘電体層の積層方向において第9の内部電極と隣り合い、第6の内部電極と第8の内部電極と第10の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っており、第6の内部電極と第9の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、第7の内部電極と第8の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、第7の内部電極と第9の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っており、複数の誘電体層の積層方向における第1及び第2の内部電極と素体の第1の主面との直線距離が、複数の誘電体層の積層方向における第8及び第9の内部電極と素体の第2の主面との直線距離と略同一である。
このようにすると、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第8の内部電極が、第6の内部電極と隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなると共に、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第9の内部電極が、第7の内部電極と隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなることから、積層コンデンサの抵抗成分に並列に接続される寄生用量Cp(図5参照)が小さくなる。その結果、図4において実線aで示されるように、共振周波数の近傍におけるインピーダンスの低下を抑制することが可能となり、共振周波数の近傍を含む広域帯にわたってインピーダンスの変動が抑制されることとなる。
また、互いに異極である第6の内部電極と第7の内部電極とが、共に同一の誘電体層(第4の誘電体層)上に配置されており、互いに異極である第8の内部電極と第9の内部電極とが、共に同一の誘電体層(第5の誘電体層)上に配置されている。その結果、素体を構成する誘電体層の積層数が減るので、積層コンデンサの小型化を図ることが可能となる。
さらに、このようにすると、第1又は第2の端子電極と接続されない第6の内部電極と第10の内部電極との間において、積層コンデンサの容量成分C(図5参照)が生じることとなる。その結果、上記のように、互いに異極である第6の内部電極と第7の内部電極とが共に同一の誘電体層上に配置されており、互いに異極である第8の内部電極と第9の内部電極とが共に同一の誘電体層上に配置されていることと相俟って、積層コンデンサの小型化を図りつつ、積層コンデンサの全体としての静電容量C(図5参照)を大きくすることが可能となる。これにより、図4において二点鎖線c2で示されるように、低周波帯域全体にわたってインピーダンスを低下させることが可能となる。
ところで、第1の主面と第1及び第2の内部電極との直線距離と、第2の主面と第8及び第9の内部電極との直線距離とが異なっていると、第1の主面を実装面として積層コンデンサを回路基板に実装した場合と第2の主面を実装面として積層コンデンサを回路基板に実装した場合とで電流が流れる経路が変わってしまい、回路基板への積層コンデンサの実装状態によっては高周波特性が変わってしまうことが起こりうる。しかしながら、このように、第1の主面と第1及び第2の内部電極との直線距離と、第2の主面と第8及び第9の内部電極との直線距離とが略同一であると、高周波特性が変わってしまう虞がほとんどなくなることとなる。なお、積層コンデンサは工業製品であり、ある程度の範囲での誤差が生じるものであるから、ここでいう「略同一」には、工業製品における誤差範囲内での同一性も含まれる。
好ましくは、素体の内部に配置された第6〜第9の内部電極を備え、複数の誘電体層は、第4及び第5の誘電体層を有し、第1の誘電体層、第2の誘電体層、第3の誘電体層、第4の誘電体層及び第5の誘電体層は、この順で積層されており、素体は、複数の誘電体層の積層方向において第1の誘電体層側に位置する第1の主面と、複数の誘電体層の積層方向において第5の誘電体層側に位置する第2の主面とを有し、第6及び第7の内部電極は、互いに離間した状態で第4の誘電体層上に配置され、第8及び第9の内部電極は、互いに離間した状態で第5の誘電体層上に配置され、第6の内部電極には、第1の連結用電極と接続される第6の連結用接続部が一体的に設けられ、第7の内部電極には、第2の連結用電極と接続される第7の連結用接続部が一体的に設けられ、第8の内部電極には、第1の端子電極と接続される第3の端子用接続部と、第1の連結用電極と接続される第8の連結用接続部とが一体的に設けられ、第9の内部電極には、第2の端子電極と接続される第4の端子用接続部と、第2の連結用電極と接続される第9の連結用接続部とが一体的に設けられ、第4の内部電極は、複数の誘電体層の積層方向において第7の内部電極と隣り合い、第6の内部電極は、複数の誘電体層の積層方向において第8の内部電極と隣り合い、第7の内部電極は、複数の誘電体層の積層方向において第9の内部電極と隣り合い、第4の内部電極と第7の内部電極と第9の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っており、第6の内部電極と第8の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っており、第6の内部電極と第9の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、第7の内部電極と第8の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、複数の誘電体層の積層方向における第1及び第2の内部電極と素体の第1の主面との直線距離が、複数の誘電体層の積層方向における第8及び第9の内部電極と素体の第2の主面との直線距離と略同一である。
このようにすると、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第8の内部電極が、第6の内部電極と隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなると共に、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第9の内部電極が、第7の内部電極と隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなることから、積層コンデンサの抵抗成分に並列に接続される寄生用量Cp(図5参照)が小さくなる。その結果、図4において実線aで示されるように、共振周波数の近傍におけるインピーダンスの低下を抑制することが可能となり、共振周波数の近傍を含む広域帯にわたってインピーダンスの変動が抑制されることとなる。
また、互いに異極である第6の内部電極と第7の内部電極とが、共に同一の誘電体層(第4の誘電体層)上に配置されており、互いに異極である第8の内部電極と第9の内部電極とが、共に同一の誘電体層(第5の誘電体層)上に配置されている。その結果、素体を構成する誘電体層の積層数が減るので、積層コンデンサの小型化を図ることが可能となる。
さらに、このようにすると、第1又は第2の端子電極と接続されない第4の内部電極と第7の内部電極との間において、積層コンデンサの容量成分C(図5参照)が生じることとなる。その結果、上記のように、互いに異極である第6の内部電極と第7の内部電極とが共に同一の誘電体層上に配置されており、互いに異極である第8の内部電極と第9の内部電極とが共に同一の誘電体層上に配置されていることと相俟って、積層コンデンサの小型化を図りつつ、積層コンデンサの全体としての静電容量C(図5参照)を大きくすることが可能となる。これにより、図4において二点鎖線c2で示されるように、低周波帯域全体にわたってインピーダンスを低下させることが可能となる。
ところで、第1の主面と第1及び第2の内部電極との直線距離と、第2の主面と第8及び第9の内部電極との直線距離とが異なっていると、第1の主面を実装面として積層コンデンサを回路基板に実装した場合と第2の主面を実装面として積層コンデンサを回路基板に実装した場合とで電流が流れる経路が変わってしまい、回路基板への積層コンデンサの実装状態によっては高周波特性が変わってしまうことが起こりうる。しかしながら、このように、第1の主面と第1及び第2の内部電極との直線距離と、第2の主面と第8及び第9の内部電極との直線距離とが略同一であると、高周波特性が変わってしまう虞がほとんどなくなることとなる。なお、積層コンデンサは工業製品であり、ある程度の範囲での誤差が生じるものであるから、ここでいう「略同一」には、工業製品における誤差範囲内での同一性も含まれる。
好ましくは、素体は、複数の誘電体層の積層方向において第1の誘電体層側に位置する第1の主面と、複数の誘電体層の積層方向において第3の誘電体層側に位置する第2の主面とを有し、複数の誘電体層の積層方向における第1及び第2の内部電極と素体の第1の主面との直線距離が、複数の誘電体層の積層方向における第1及び第2の内部電極と素体の第2の主面との直線距離と略同一である。
ところで、第1の主面と第1及び第2の内部電極との直線距離と、第2の主面と第1及び第2の内部電極との直線距離とが異なっていると、第1の主面を実装面として積層コンデンサを回路基板に実装した場合と第2の主面を実装面として積層コンデンサを回路基板に実装した場合とで電流が流れる経路が変わってしまい、回路基板への積層コンデンサの実装状態によっては高周波特性が変わってしまうことが起こりうる。しかしながら、このように、第1の主面と第1及び第2の内部電極との直線距離と、第2の主面と第1及び第2の内部電極との直線距離とが略同一であると、高周波特性が変わってしまう虞がほとんどなくなることとなる。なお、積層コンデンサは工業製品であり、ある程度の範囲での誤差が生じるものであるから、ここでいう「略同一」には、工業製品における誤差範囲内での同一性も含まれる。
より好ましくは、素体の内部に配置された第6及び第7の内部電極を備え、複数の誘電体層は、第4の誘電体層を有し、第4の誘電体層、第1の誘電体層、第2の誘電体層及び第3の誘電体層は、この順で積層されており、第6及び第7の内部電極は、互いに離間した状態で第4の誘電体層上に配置され、第6の内部電極には、第1の連結用電極と接続される第6の連結用接続部が一体的に設けられ、第7の内部電極には、第2の連結用電極と接続される第7の連結用接続部が一体的に設けられ、第6の内部電極は、複数の誘電体層の積層方向において第1の内部電極と隣り合い、第7の内部電極は、複数の誘電体層の積層方向において第2の内部電極と隣り合い、第6の内部電極と第1の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っており、第6の内部電極と第2の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、第7の内部電極と第1の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、第7の内部電極と第2の内部電極とは、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っている。
このようにすると、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第1の内部電極が、第6の内部電極と隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなると共に、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる第2の内部電極が、第7の内部電極と隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなることから、積層コンデンサの抵抗成分に並列に接続される寄生用量Cp(図5参照)が小さくなる。その結果、図4において実線aで示されるように、共振周波数の近傍におけるインピーダンスの低下を抑制することが可能となり、共振周波数の近傍を含む広域帯にわたってインピーダンスの変動が抑制されることとなる。
また、互いに異極である第6の内部電極と第7の内部電極とが、共に同一の誘電体層(第4の誘電体層)上に配置されている。その結果、素体を構成する誘電体層の積層数が減るので、積層コンデンサの小型化を図ることが可能となる。
好ましくは、第1の内部電極は、第1の連結用接続部が設けられている部分よりも第1の端子用接続部寄りの第1の端子側領域を有し、第2の内部電極は、第2の連結用接続部が設けられている部分よりも第2の端子用接続部寄りの第2の端子側領域を有しており、第1及び第2の端子側領域には複数の開口部がそれぞれ設けられている。
より好ましくは、複数の開口部はメッシュ状に配置されている。
ところで、第1の内部電極とその異極の内部電極との対向面積や、第2の内部電極とその異極の内部電極との対向面積を小さくするためには、第1及び第2の内部電極を、例えば、細い1本の線状とすることも考えられる。しかしながら、この場合、細い1本の線状部分に電流が集中して流れることとなり、等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)が増大してしまう。そして、ESLは、積層コンデンサの等価回路において静電容量Cと直列に接続されており(図5参照)、コンデンサの急速な充放電を妨げるように作用するので、ESLが増大すると、回路の高速化が抑制されてしまう。しかしながら、上記のように、メッシュ状(網目状)となるように複数の開口部を第1及び第2の内部電極に設けるようにすると、第1及び第2の内部電極において電流が分散して流れるようになるので、ESLの低減を図れることとなる。その結果、図4において一点鎖線c1で示されるように、高周波帯域全体にわたってインピーダンスを低下させることが可能となる。また、第1及び第2の端子側領域に複数の開口部がそれぞれ設けられているので、複数の誘電体層の積層方向から見たときの第1の内部電極とその異極との対向面積が小さくなっており、複数の誘電体層の積層方向から見たときの第2の内部電極とその異極との対向面積が小さくなっている。そのため、第1及び第2の内部電極が、異極からの磁束による影響を受けにくくなり、積層コンデンサの抵抗成分に並列に接続される寄生容量Cp(図5参照)が小さくなる。その結果、図4において実線aで示されるように、共振周波数の近傍におけるインピーダンスの低下を抑制することが可能となり、共振周波数の近傍を含む広域帯にわたってインピーダンス変動が抑制されることとなる。
本発明によれば、共振周波数の近傍におけるインピーダンスの低下を抑制することが可能な積層コンデンサを提供することができる。
本発明に係る積層コンデンサ1の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1〜図3を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサ1の構成について説明する。積層コンデンサ1は、直方体形状の誘電体素体(素体)10と、内部電極12A(第1の内部電極、第8の内部電極),12B(第2の内部電極、第9の内部電極),14A(第5の内部電極、第6の内部電極),14B(第3の内部電極、第7の内部電極),16A(第4の内部電極),16B(第10の内部電極)と、端子電極18A(第1の端子電極),18B(第2の端子電極)と、連結用電極20A(第1の連結用電極),20B(第2の連結用電極)とを備える。
誘電体素体10は、互いに対向する主面10a,10bと、互いに対向する側面10c,10dと、互いに対向する側面10e,10fとを有する。なお、本実施形態においては、主面10a又は主面10bが、回路基板(図示せず)の主面と対向する実装面とされている。
側面10c,10dは、主面10a,10b及び側面10e,10fを連結するように延びている。側面10e,10fは、主面10a,10b及び側面10c,10dを連結するように延びている。本実施形態においては、誘電体素体10の長手方向の長さを例えば1.0mm程度、幅を例えば0.5mm程度、厚みを例えば0.5mm程度に設定することができる。なお、誘電体素体10は、通常、焼成後にバレル研磨されるので、誘電体素体10の稜部は、所定の大きさの曲率を有する曲面状を呈している(図示せず)。
誘電体素体10は、図3に示されるように、矩形状を呈する誘電体層A10〜A18がこの順に積層されて構成されている。すなわち、誘電体層A10の上面が誘電体素体10の主面10aを構成し、誘電体層A18の下面が誘電体素体10の主面10bを構成することとなり、主面10a,10bの対向方向(以下、対向方向と称する)は本実施形態において誘電体素体10(誘電体層A10〜A18)の積層方向(以下、積層方向と称する)に一致する。
誘電体層A10〜A18は、電気絶縁性を有する絶縁体として機能する。誘電体層A10〜A18は、例えば、チタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウムに希土類元素を添加した誘電性セラミック材料で形成することができる。実際の誘電体素体10は、焼成により、各誘電体層A10〜A18の境界が視認できない程度に一体化されている。
誘電体層A11,A18のそれぞれの表面には、矩形状の内部電極12A,12Bが互いに離間した状態で形成されている。内部電極12Aは、誘電体層A11,A18のうち側面10c寄りの領域(本実施形態においては、誘電体層A11,A18の長手方向における中央よりも側面10c側の領域)に配置されており、内部電極12Bは、誘電体層A11,A18のうち側面10d寄りの領域(本実施形態においては、誘電体層A11,A18の長手方向における中央よりも側面10d側の領域)に配置されている。
内部電極12Aには、側面10c側の短辺に端子用接続部22A(第1の端子用接続部、第3の端子用接続部)が一体的に設けられている。端子用接続部22Aは、内部電極12Aと同じ幅で誘電体層A11,A18の端子電極18Aが形成される側の縁に引き出され、その端部が側面10cに露出している。また、内部電極12Aには、側面10d側で且つ側面10e側の隅部に連結用接続部24A(第1の連結用接続部、第8の連結用接続部)が一体的に設けられている。連結用接続部24Aは、内部電極12Aに対して十分小さな幅で誘電体層A11,A18の連結用電極20Aが形成される側の縁に引き出され、その端部が側面10eに露出している。
内部電極12Bには、側面10d側の短辺に端子用接続部22B(第2の端子用接続部、第4の端子用接続部)が一体的に設けられている。端子用接続部22Bは、内部電極12Bと同じ幅で誘電体層A11,A18の端子電極18Bが形成される側の縁に引き出され、その端部が側面10dに露出している。また、内部電極12Bには、側面10c側で且つ側面10f側の隅部に連結用接続部24B(第1の連結用接続部、第9の連結用接続部)が一体的に設けられている。連結用接続部24Bは、内部電極12Bに対して十分小さな幅で誘電体層A11,A18の連結用電極20Bが形成される側の縁に引き出され、その端部が側面10fに露出している。
誘電体層A12,A17のそれぞれの表面には、矩形状の内部電極14A,14Bが互いに離間した状態で形成されている。内部電極14Aは、誘電体層A12,A17のうち側面10c寄りの領域(本実施形態においては、誘電体層A12,A17の長手方向における中央よりも側面10c側の領域)に配置されており、内部電極14Bは、誘電体層A12,A17のうち側面10d寄りの領域(本実施形態においては、誘電体層A12,A17の長手方向における中央よりも側面10d側の領域)に配置されている。
内部電極14Aには、側面10d側で且つ側面10e側の隅部に連結用接続部26A(第3の連結用接続部、第6の連結用接続部)が一体的に設けられている。連結用接続部26Aは、内部電極14Aに対して十分小さな幅で誘電体層A12,A17の連結用電極20Aが形成される側の縁に引き出され、その端部が側面10eに露出している。
内部電極14Bには、側面10c側で且つ側面10f側の隅部に連結用接続部26B(第5の連結用接続部、第7の連結用接続部)が一体的に設けられている。連結用接続部26Bは、内部電極14Bに対して十分小さな幅で誘電体層A12,A17の連結用電極20Bが形成される側の縁に引き出され、その端部が側面10fに露出している。
誘電体層A13,A15のそれぞれの表面には、矩形状の内部電極16Aが形成されている。内部電極16Aは、側面10c,10dの対向方向に延在している。内部電極16Aには、側面10e側の長辺の中央部に連結用接続部28A(第4の連結用接続部)が一体的に設けられている。連結用接続部28Aは、内部電極16Aに対して十分小さな幅で誘電体層A13,A15の連結用電極20Aが形成される側の縁に引き出され、その端部が側面10eに露出している。
誘電体層A14,A16のそれぞれの表面には、矩形状の内部電極16Bが形成されている。内部電極16Bは、側面10c,10dの対向方向に延在している。内部電極16Bには、側面10f側の長辺の中央部に連結用接続部28B(第4の連結用接続部)が一体的に設けられている。連結用接続部28Bは、内部電極16Bに対して十分小さな幅で誘電体層A14,A16の連結用電極20Bが形成される側の縁に引き出され、その端部が側面10fに露出している。
内部電極12A,12B,14A,14B,16A,16Bは、いずれも誘電体素体10の内部に配置されており、誘電体層A11〜A17を介して内部電極12A,12B、内部電極14A,14B、内部電極16A、内部電極16B、内部電極16A、内部電極16B、内部電極14A,14B及び内部電極12A,12Bの順で積層されている。すなわち、各内部電極12A,12B,14A,14B,16A,16Bは、積層方向(主面10a,10bの対向方向)において隣り合う内部電極同士が誘電体層A11〜A18の厚みの分だけ互いに離間した状態で、誘電体素体10の内部に配置されている。なお、図2に示されるように、主面10aからの内部電極12A,12Bまでの距離d1と、主面10bから内部電極12A,12Bまでの距離d2とが略同一となっている。
内部電極12A,14A,16A,16Bは、いずれも積層方向から見て互いに重なり合っている。より詳しくは、内部電極12Aと、内部電極14Aと、内部電極16Aのうち誘電体層の長手方向における中央よりも側面10c側の領域と、内部電極16Bのうち誘電体層の長手方向における中央よりも側面10c側の領域とは、いずれも積層方向から見て互いに重なり合っている。
また、内部電極12B,14B,16A,16Bは、いずれも積層方向から見て互いに重なり合っている。より詳しくは、内部電極12Bと、内部電極14Bと、内部電極16Aのうち誘電体層の長手方向における中央よりも側面10d側の領域と、内部電極16Bのうち誘電体層の長手方向における中央よりも側面10d側の領域とは、いずれも積層方向から見て互いに重なり合っている。
一方、内部電極12Aと内部電極12B,14Bとは、積層方向から見て互いに重なり合っていない。また、内部電極12Bと内部電極12A,14Aとは、積層方向から見て互いに重なり合っていない。
従って、積層方向から見たときの内部電極16A,16Bの対向面積及び内部電極16A,16Bのそれぞれの間隔(すなわち、誘電体層A13〜A15の厚み)、積層方向から見たときの内部電極14Aと内部電極16Bとの対向面積及び内部電極14A,16Bの間隔(すなわち、誘電体層A17の厚み)、並びに、積層方向から見たときの内部電極14Bと内部電極16Aとの対向面積及び内部電極14B,16Aの間隔(すなわち、誘電体層A12の厚み)によって、積層コンデンサ1の静電容量が規定される。
内部電極12A,12B,14A,14B,16A,16Bは、例えばAgやNi等の導電性材料からなる。内部電極12A,12B,14A,14B,16A,16Bは、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
端子電極18Aは、誘電体素体10の側面10cを覆うと共にこの側面10cと隣り合う主面10a,10b及び側面10e,10fに回り込むように形成されている。つまり、端子電極18Aは、側面10cと、主面10a,10b及び側面10e,10fのうち側面10c寄りの部分とに配置されている。端子電極18Aは、側面10cに端部が露出している端子用接続部22Aと物理的且つ電気的に接続される。これにより、端子電極18Aと内部電極12Aとが電気的に接続されることとなる。
端子電極18Bは、誘電体素体10の側面10dを覆うと共にこの側面10dと隣り合う主面10a,10b及び側面10e,10fに回り込むように形成されている。つまり、端子電極18Bは、側面10dと、主面10a,10b及び側面10e,10fのうち側面10d寄りの部分とに配置されている。端子電極18Bは、側面10dに端部が露出している端子用接続部22Bと物理的且つ電気的に接続される。これにより、端子電極18Bと内部電極12Bとが電気的に接続されることとなる。
連結用電極20Aは、矩形状を呈しており、誘電体素体10の側面10eを覆うと共にこの側面10eと隣り合う主面10a,10bに回り込むように形成されている。つまり、連結用電極20Aは、側面10eと、主面10a,10bのうち側面10e寄りの部分とに配置されている。連結用電極20Aは、側面10eに端部が露出している連結用接続部24A,26A,28Aと物理的且つ電気的に接続される。これにより、内部電極12Aと内部電極14Aと内部電極16Aとが、連結用電極20Aを介して互いに電気的に接続されることとなる。すなわち、内部電極12Aと内部電極14Aと内部電極16Aとは同極となる。
連結用電極20Bは、矩形状を呈しており、誘電体素体10の側面10fを覆うと共にこの側面10fと隣り合う主面10a,10bに回り込むように形成されている。つまり、連結用電極20Bは、側面10fと、主面10a,10bのうち側面10f寄りの部分とに配置されている。連結用電極20Bは、側面10fに端部が露出している連結用接続部24B,26B,28Bと物理的且つ電気的に接続される。これにより、内部電極12Bと内部電極14Bと内部電極16Bとが、連結用電極20Bを介して互いに電気的に接続されることとなる。すなわち、内部電極12Bと内部電極14Bと内部電極16Bとは同極となる。
端子電極18A,18B及び連結用電極20A,20Bは、例えば導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストを誘電体素体10の外表面の塗布し、焼き付けることによって形成される。必要に応じて、焼き付けられた端子電極18A,18B及び連結用電極20A,20Bの上にめっき層が形成されることもある。
以上のような本実施形態においては、内部電極12Aに、端子電極18Aと接続される端子用接続部22A及び連結用電極20Aと接続される連結用接続部24Aが一体的に設けられ、内部電極14Aに、連結用電極20Aと接続される連結用接続部26Aが一体的に設けられ、内部電極14Bに連結用電極20Bと接続される連結用接続部26Bが一体的に設けられており、互いに同極である内部電極12Aと内部電極14Aとが積層方向から見て互いに重なり合っており、互いに異極である内部電極12Aと内部電極14Bとが積層方向から見て互いに重なり合っていない。そのため、電流が流れた場合に積層コンデンサ1の抵抗成分ESR(図5参照)が生じる内部電極12Aが、内部電極14Aと隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなることから、積層コンデンサ1の抵抗成分に並列に接続される寄生用量Cp(図5参照)が小さくなる。また、本実施形態においては、内部電極12Bに、端子電極18Bと接続される端子用接続部22B及び連結用電極20Bと接続される連結用接続部22Bが一体的に設けられ、内部電極14Bに連結用電極20Bと接続される連結用接続部26Bが一体的に設けられ、内部電極14Aに、連結用電極20Aと接続される連結用接続部26Aが一体的に設けられており、互いに同極である内部電極12Bと内部電極14Bとが積層方向から見て互いに重なり合っており、互いに異極である内部電極12Bと内部電極14Aとが積層方向から見て互いに重なり合っていない。そのため、電流が流れた場合に積層コンデンサの抵抗成分ESR(図5参照)が生じる内部電極12Bが、内部電極14Aと隣り合う側において、異極と隣接して対向しなくなることから、積層コンデンサ1の抵抗成分に並列に接続される寄生用量Cp(図5参照)が小さくなる。その結果、図4において実線aで示されるように、共振周波数の近傍におけるインピーダンスの低下を抑制することが可能となり、共振周波数の近傍を含む広域帯にわたってインピーダンスの変動が抑制されることとなる。
また、本実施形態においては、互いに異極である内部電極12Aと内部電極12Bとが、共に同一の誘電体層A11,A18上に配置されており、互いに異極である内部電極14Aと内部電極14Bとが、共に同一の誘電体層A12,A17上に配置されている。その結果、誘電体素体10を構成する誘電体層の積層数が減るので、積層コンデンサ1の小型化を図ることが可能となる。
また、本実施形態においては、内部電極14Aに、連結用電極20Aと接続される連結用接続部26Aが一体的に設けられ、内部電極16Bに、連結用電極20Bと接続される連結用接続部28Bが一体的に設けられており、内部電極14Aと内部電極16Bとが積層方向において隣接して対向している。また、内部電極14Bに、連結用電極20Aと接続される連結用接続部26Aが一体的に設けられ、内部電極16Bに、連結用電極20Bと接続される連結用接続部28Bが一体的に設けられており、内部電極14Aと内部電極16Bとが積層方向において隣接して対向している。そのため、端子電極18A,18Bと接続されない内部電極14Aと内部電極16Bとの間、及び、端子電極18A,18Bと接続されない内部電極14Bと内部電極16Aとの間において、積層コンデンサ1の容量成分C(図5参照)が生じることとなる。その結果、上記のように、互いに異極である内部電極14Aと内部電極14Bとが共に同一の誘電体層A12上に配置されており、互いに異極である内部電極14Aと内部電極14Bとが共に同一の誘電体層A17上に配置されていることと相俟って、積層コンデンサ1の小型化を図りつつ、積層コンデンサ1の全体としての静電容量を大きくすることが可能となる。これにより、図4において二点鎖線c2で示されるように、低周波帯域全体にわたってインピーダンスを低下させることが可能となる。
また、本実施形態においては、誘電体層A11、誘電体層A12及び誘電体層A13がこの順で積層されており、内部電極12A,12Bが、積層方向において内部電極14A,14Bと隣り合い、内部電極14A,14Bが、積層方向において内部電極16Aと隣り合っている。つまり、端子電極18Bと電気的に接続される内部電極12Bが、異極である内部電極16Aと積層方向において隣り合っていない。また、誘電体層A16、誘電体層A17及び誘電体層A18がこの順で積層されており、内部電極16Bが、積層方向において内部電極14A,14Bと隣り合い、内部電極14A,14Bが、積層方向において、内部電極12A,12Bと隣り合っている。つまり、端子電極18Aと電気的に接続される内部電極12Aが、異極である内部電極16Bと積層方向において隣り合っていない。さらに、本実施形態においては、内部電極12Aと内部電極14Aとが、積層方向から見て互いに重なり合っており、内部電極12Bと内部電極14Bとが、積層方向から見て互いに重なり合っており、内部電極12Aと内部電極14Bとが、積層方向から見て互いに重なり合っておらず、内部電極12Bと内部電極14Aとが、積層方向から見て互いに重なり合っておらず、内部電極14Bと内部電極16Aとが、積層方向から見て互いに重なり合っており、内部電極14Aと内部電極16Bとが、積層方向から見て互いに重なり合っている。そのため、端子電極18Aと接続される内部電極12Aと同極である内部電極14Aの存在によって、内部電極12Aが、異極である内部電極16Bと積層方向において隣接して対向しないこととなり、端子電極18Bと接続される内部電極12Bと同極である内部電極14Bの存在によって、内部電極12Bが、異極である内部電極16Aと積層方向において隣接して対向しないこととなる。その結果、寄生容量をより一層小さくすることが可能となる。
また、本実施形態においては、主面10aからの内部電極12A,12Bまでの距離d1と、主面10bから内部電極12A,12Bまでの距離d2とが略同一となっている。そのため、主面10a,10bのどちらを実装面として積層コンデンサ1を回路基板に実装した場合であっても、電流が流れる経路が変わることがなくなっている。その結果、積層コンデンサ1の高周波特性が変わってしまう虞がほとんどなくなっている。なお、積層コンデンサ1は工業製品であり、ある程度の範囲での誤差が生じるものであるから、ここでいう「略同一」には、工業製品における誤差範囲内での同一性も含まれる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、同一の誘電体層上に位置する内部電極12A,12Bと同一の誘電体層上に位置する内部電極14A,14Bとが、誘電体素体10の内部に二組配置されていたが、図6に示されるように、誘電体素体10の内部に一組の内部電極12A,12Bが配置されていてもよく、また、三組以上の内部電極12A,12Bが配置されていてもよい(図示せず)。
また、図6に示されるように、一組の内部電極12A,12Bと二組の内部電極14A,14Bとが、誘電体素体10の内部に配置されていてもよい。
なお、図6において、誘電体素体10は、誘電体層A10〜A16がこの順に積層されることで構成されており、内部電極12A,12B,14A,14B,16A,16Bは、誘電体素体10の内部において、誘電体層A11〜A15を介して内部電極12A,12B、内部電極14A,14B、内部電極16A、内部電極16B、内部電極16A及び内部電極16Bの順で積層されている。また、図7において、誘電体素体10は、誘電体層A10,A13,A14,A12,A11,A17,A15,A16がこの順に積層されることで構成されており、内部電極12A,12B,14A,14B,16A,16Bは、誘電体素体10の内部において、誘電体層A13,A14,A12,A11,A17,A15を介して内部電極16A、内部電極16B、内部電極14A,14B、内部電極12A,12B、内部電極14A,14B、内部電極16A及び内部電極16Bの順で積層されている。
つまり、図7においては、内部電極14A,14B、内部電極12A,12B及び内部電極14A,14Bが積層方向において隣り合い、いずれも同極である内部電極14A,12A,14Aが積層方向から見て互いに重なり合っており、いずれも同極である内部電極14B,12B,14Bが積層方向から見て互いに重なり合っている。このようにすると、端子電極18Aと接続される内部電極12Aと同極である内部電極14Aの存在によって、内部電極12Aが異極である内部電極16Bと積層方向において隣接して対向しないこととなり、端子電極18Bと接続される内部電極12Bと同極である内部電極14Bの存在によって、内部電極12Bが異極である内部電極16Aと積層方向において隣接して対向しないこととなる。その結果、寄生容量をより一層小さくすることが可能となる。また、図7においても、主面10aからの内部電極12A,12Bまでの距離と、主面10bから内部電極12A,12Bまでの距離とが略同一となっており、高周波特性が変わってしまう虞がほとんどなくなっている。
また、互いに異極である内部電極12Aと内部電極12Bとが、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っておらず、互いに異極である内部電極14Aと内部電極16Bとが、複数の誘電体層の積層方向から見て互いに重なり合っていれば、例えば図8に示されるように、内部電極12A,12B、14A,14Bを種々の形状に変更することができるのは勿論である。
なお、図8において、内部電極12Aは、L字形状を呈しており、誘電体層A11,A18の長手方向における中央よりも側面10c側の領域及び誘電体A11,A18の短手方向における中央よりも側面10e側の領域にわたってそれぞれ配置されている。内部電極12Bは、L字形状を呈しており、誘電体層A11,A18の長手方向における中央よりも側面10d側の領域及び誘電体A11,A18の短手方向における中央よりも側面10f側の領域にわたってそれぞれ配置されている。内部電極14Aは、L字形状を呈しており、誘電体層A12,A17の長手方向における中央よりも側面10c側の領域及び誘電体A12,A17の短手方向における中央よりも側面10e側の領域にわたってそれぞれ配置されている。内部電極14Bは、L字形状を呈しており、誘電体層A12,A17の長手方向における中央よりも側面10d側の領域及び誘電体A11,A17の短手方向における中央よりも側面10f側の領域にわたってそれぞれ配置されている。
また、図9に示されるように、内部電極12Aに、正方形状を呈する開口部30Aを複数設け、内部電極12Bに、正方形状を呈する開口部30Bを複数設けるようにしてもよい。これらの開口部30A,30Bは、内部電極12A,12Bにおいて4行×4列となるように、すなわちメッシュ状(網目状)となるようにそれぞれ配置されている。なお、開口部30A,30Bを多角形状(三角形状や四角形状等)、円形状、楕円形状、長孔状といった種々の形状としてもよい。このようにすると、内部電極12Aが異極の内部電極16Bと積層方向において対向していても、内部電極12Aと内部電極16Bとの対向面積が小さくなると共に、内部電極12Bが異極の内部電極16Aと積層方向において対向していても、内部電極12Bと内部電極16Aとの対向面積が小さくなる。その結果、寄生容量をより一層小さくすることが可能となる。
ところで、内部電極12Aとその異極の内部電極16Bとの対向面積及び内部電極12Bとその異極の内部電極16Aとの対向面積を小さくするためには、内部電極12A,12Bを、例えば、細い1本の線状とすることも考えられる。しかしながら、この場合、細い1本の線状部分に電流が集中して流れることとなり、等価直列インダクタンスESLが増大してしまう。そして、ESLは、積層コンデンサ1の等価回路において静電容量Cと直列に接続されており(図5参照)、コンデンサの急速な充放電を妨げるように作用するので、ESLが増大すると、回路の高速化が抑制されてしまう。しかしながら、上記のように、メッシュ状(網目状)となるように複数の開口部30A,30Bを内部電極12A,12Bにそれぞれ設けるようにすると、内部電極12A,12Bにおいて電流が分散して流れるようになるので、ESLの低減を図れることとなる。その結果、図4において一点鎖線c1で示されるように、高周波帯域全体にわたってインピーダンスを低下させることが可能となる。また、このようにすると、積層方向から見たときの内部電極12Aとその異極との対向面積が小さくなり、積層方向から見たときの内部電極12Bとその異極との対向面積が小さくなる。そのため、内部電極12A,12Bが、異極からの磁束による影響を受けにくくなり、積層コンデンサ1の抵抗成分に並列に接続される寄生容量Cp(図5参照)が小さくなる。その結果、図4において実線aで示されるように、共振周波数の近傍におけるインピーダンスの低下を抑制することが可能となり、共振周波数の近傍を含む広域帯にわたってインピーダンス変動が抑制されることとなる。
また、本実施形態においては、内部電極12A,12B,14A,14B,16A,16Bが、誘電体層A11〜A17を介して内部電極12A,12B、内部電極14A,14B、内部電極16A、内部電極16B、内部電極16A、内部電極16B、内部電極14A,14B及び内部電極12A,12Bの順で積層されていたが、内部電極16A,16Bの順番が入れ替わっていてもよい。すなわち、内部電極12A,12B,14A,14B,16A,16Bが、誘電体層A11〜A17を介して内部電極12A,12B、内部電極14A,14B、内部電極16B、内部電極16A、内部電極16B、内部電極16A、内部電極14A,14B及び内部電極12A,12Bの順で積層されていてもよい。
また、本実施形態においては、誘電体層A12,A17上に内部電極14A,14Bが配置されていたが、誘電体層A12,A17上に内部電極14A,14Bのうち一方だけが配置されていてもよい。ここで、積層コンデンサ1の静電容量C(図5参照)を増加させるため、例えば、誘電体層A12上に内部電極14Aのみが配置されている場合には、内部電極16Bが内部電極14Aと積層方向において隣り合うように誘電体素体10内に配置されることとなり、誘電体層A12上に内部電極14Bのみが配置されている場合には、内部電極16Aが内部電極14Bと積層方向において隣り合うように誘電体素体10内に配置されることとなる。
また、本実施形態においては、誘電体層A12上に配置された内部電極14A,14Bと誘電体層A17上に配置された内部電極14A,14Bとの間に、内部電極16A、内部電極16B、内部電極16A、内部電極16Bが積層方向においてこの順に並んでいたが、誘電体層A12上に配置された内部電極14A,14Bと誘電体層A17上に配置された内部電極14A,14Bとの間に、内部電極16A又は内部電極16Bのどちらか一方が位置していればよい。
また、内部電極16A,16Bの数及び誘電体層の数を適宜所望の数とするようにしてもよい。
1…積層コンデンサ、10…誘電体素体(素体)、12A…内部電極(第1の内部電極)、12B…内部電極(第2の内部電極)、14A…内部電極(第5の内部電極)、14B…内部電極(第3の内部電極)、16A…内部電極(第4の内部電極)、16B…内部電極(第10の内部電極)、18A…端子電極(第1の端子電極)、18B…端子電極(第2の端子電極)、20A…連結用電極(第1の連結用電極)、20B…連結用電極(第2の連結用電極)、22A…端子用接続部(第1の端子用接続部、第3の端子用接続部)、22B…端子用接続部(第2の端子用接続部、第4の端子用接続部)、24A…連結用接続部(第1の連結用接続部、第8の連結用接続部)、24B…連結用接続部(第2の連結用接続部、第9の連結用接続部)、26A…連結用接続部(第3の連結用接続部、第5の連結用接続部)、26B…連結用接続部(第5の連結用接続部、第7の連結用接続部)、28A…連結用接続部(第4の連結用接続部)、28B…連結用接続部(第4の連結用接続部)、30A,30B…開口部。