JP5091443B2 - 光学部材表面保護フィルム用感圧接着剤組成物及び光学部材表面保護フィルム - Google Patents
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近年、作業効率の向上を目的として表面保護フィルムの剥離の速度が高速化される傾向にあり高速剥離における作業性も接着剤の特性として要求されるようになった。
−80℃以上であるアクリル系共重合体及び芳香族多官能性イソシアネート化合物を必須成分として含んでなる、光学部材表面保護フィルム用感圧接着剤組成物を提案している。
液晶表示部材は大面積化する一方であり、接着力を保持しつつ、高速剥離力を低減する課題を従来知られている樹脂組成や架橋剤の組み合わせにおいて解決することは、ますます困難となってきている。
かかるアクリル系重合体は、アクリル酸エステル又は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを主成分量、例えば該アクリル系重合体の重量に基づいて合計55.0重量%以上共重合されてなり、且つ分子内に水酸基を含有するものである。また該アクリル系重合体は、必要に応じて、その分子内にさらに他の官能基を含有することもできる。
(a1) 下記一般式(1)、
H2C=CHCOOR1
(1)
(ここでR1は、炭素数4〜10の直鎖又は分枝鎖アルキル基を表す)
で示され、その単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−50℃以下であるアクリル酸エステル〔以下、アクリル酸エステル(a1)又は単に単量体(a1)ということがある〕、及び
(a2)分子内に水酸基を0.1〜10重量%含有する単量体〔以下、水酸基含有単量体(a2)又は単に単量体(a2)ということがある〕、及び
ガラス転移温度(Tg)
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1) アクリル系重合体溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状のアクリル系重合体を得る。
(2) 厚さ約0.05mmアルミニウム箔製の、内径約5mm、深さ約5mmの円筒型のセルに(1)で得た試料約10mgを秤量したものを測定試料とする。
(3) セイコ−電子工業(株)製SSC−5000型示差走査熱量計 (Differential
Scanning Calorimeter)を用い、−150℃から昇温速度10℃/minで測定する。
なお本明細書における上記重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の値には、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)法により、定法に従って測定された値が用いられる。
金属触媒として一般的なイソシアネ−ト架橋触媒、たとえばSn(スズ)系触媒が使用可能であり、ジブチルスズジラウレートなどは、ポットライフと触媒効果の点から好適に使用できる。
このような有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、クメンハイドロオキサイド、ジクミルパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキシド、ラウロイルパ−オキシド、カプロイルパ−オキシド、ジ−i−プロピルパ−オキシジカ−ボネ−ト、ジ−2−エチルヘキシルパ−オキシジカ−ボネ−ト、t−ブチルパ−オキシビバレ−ト、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパ−オキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパ−オキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパ−オキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルパ−オキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパ−オキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパ−オキシシクロヘキシル)ブタンなどが挙げられ、アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−i−ブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどを挙げることができる。
このような連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノ−ル、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラ−ル、フラルデヒドなどのアルデヒド類:炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノ−ル、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ビネン、タ−ピノレンなどのテルペン類;などを挙げることができる。
多孔質シリカ(B)とは、合成して得られる二酸化珪素化合物であり、一般には、四塩化珪素等を原料として用いた気相分解法(特開昭58−410313号公報、特開昭62−3011号公報)、珪素アルコキサードを用いたゾルーゼル法(特開昭63−166777号公報)、特定の組成の硼酸硝子を形成した後、酸処理してアルカリを抽出する方法(米国特許第2,106,744号明細書)や、珪酸アルカリと酸との中和反応により製造する方法(米国特許第4,675,122号明細書、特開平3−23487号公報)等によって製造されるシリカであり、3〜50nmの粒径のシリカの1次粒子が複数凝集した2次粒子構造を有する。
試料(シリカ)を分散剤としてヘキサメタリン酸ソーダ0.2%を添加した純水中に滴下混合して均一分散体とし、MALVERN Instruments社製Laser Diffraction粒度分布測定器を用いて体積分布粒径分布を測定し平均粒径を求める。
本発明で使用することのできるイソシアネ−ト化合物(C)としては、例えば、キシリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタントリイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト等の芳香族ポリイソシアネ−ト;例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、該芳香族ポリイソシアネ−ト化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネ−ト;それらポリイソシアネ−トの2量体もしくは3量体又はそれらポリイソシアネ−トと、トリメチロ−ルプロパンなどのポリオ−ルとのアダクト体などの各種ポリイソシアネ−トに由来するポリイソシアネ−ト化合物を挙げることができるが、これらのイソシアネ−ト化合物の中では、ヘキサメチレンジイソシアネ−トが特に好ましい。
すなわち、光学部材に対する23℃での180度ピ−ルの接着力は、剥離速度0.3m/分(低速剥離)において接着力(剥離力)が0.06N/25mm以上、好ましくは0.08N/25mm以上、特に好ましくは0.10N/25mm以上であるのがよく、低速剥離の接着力が0.06N/25mm未満であるとめくれやずれが発生しやすいので好ましくない。
本発明における表面保護フィルムが用いられる光学部材には、一般に、偏光板及び位相差板が含まれる。
上記偏光板の具体例としては、その主要部分である偏光子が、通常、ポリビニルアルコ−ル系フィルム、部分ホルマ−ル化ポリビニルアルコ−ル系フィルム、エチレン・酢酸ビニル重合体部分鹸化物フィルムなどの親水性高分子フィルムにヨウ素及び/又は二色性染料を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコ−ルの脱水処理物、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などのポリエン配向フィルムなどによって形成されており、必要に応じて、その偏光子の一方又は両方の表面に、例えば前記表面保護基材に用いられているものと同様の透明保護層が設けられていてもよい。透明保護層の厚さは、特に限定されるものではないが、一般には500μm以下、好ましくは5〜300μm、さらに好ましくは10〜200μm程度の厚さを例示することができる。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔商品名;E5001;東洋紡績(株)製〕上に乾燥後の塗工量が20g/m2となるように、感圧接着剤組成物を塗布し、100℃で60秒間熱風循環式乾燥機にて乾燥して感圧接着剤層を形成した後、シリコーン系離型剤で表面処理されたPET上に、該感圧接着剤層面が接するように載置し、加圧ニップロールを通して圧着して貼り合わせた後、23℃、50%RHで10日間養生を行って試験用表面保護フィルムを得た。
アクリル系重合体(A)溶液に多孔質シリカ(B)を所定量混合して十分に攪拌後、24時間静置して多孔質シリカ(B)の沈降の有無を確認した。
○:多孔質シリカ(B)は全く沈降しない。
△:わずかに沈降している。
×:ほとんど沈降していて、分離している状態。
前(1)項により作製した試験用表面保護フィルム内にブツの存在の有無を目視により評価した。
(評価基準)
○:フィルム内にブツは存在しない。
×:ブツの存在が認められる。
前(1)項により作製した試験用表面保護フィルムの透明性を目視により評価した。
(評価基準)
○:フィルムは透明である
△:わずかにむら、 にごり等が認められる。
×:むら、 にごり等が認められる。
前(1)項により作製した試験用表面保護フィルムを25mm×150mmにカットしたのち、この表面保護フィルム片を、卓上ラミネ−ト機を用いて、アンチグレア処理された偏光フィルム〔商品名;SQ−1852AP−AG6;住友化学工業(株)製〕に圧着して試験サンプルとした。このサンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置(コンディショニング処理)した後、180゜剥離における接着力を剥離速度0.3m/min(低速剥離条件)及び30m/min(高速剥離条件)でそれぞれ測定した。
製造例1
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル20重量部、トルエン10重量部を入れ、また別の容器に、単量体(a1)として2−エチルヘキシルアクリレ−ト(2EHA)96.5重量部、単量体(a2)として4−ヒドロキシブチルアクリレ−ト(4HBA)3.0重量部、単量体(a3)としてアクリル酸(AA)0.5重量部を入れ混合して単量体混合物とし、その中の25%を反応容器中に加え、次いで該反応容器の空気を窒素ガスで置換した後、重合開始剤としてアゾビスブチロニトリロ(以下AIBNと言う)0.02重量部を添加して、攪拌下に窒素雰囲気中で該反応容器内の混合物温度を70℃に昇温させて初期反応を開始させた。初期反応がほぼ終了した後、残りの単量体混合物75%、並びに酢酸エチル20重量部、トルエン10重量部及びAIBN 0.2重量部の混合物をそれぞれ逐次添加しながら約2時間反応させ、引き続いてさらに2時間反応させた。その後、トルエン25重量部にAIBN 0.25重量部を溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、さらに1.5時間反応させた。反応終了後、反応混合物をトルエン170重量部で希釈して、固形分28.0重量%のアクリル系重合体溶液Aを得た。
実施例1
アクリル系重合体(A)として製造例1のアクリル系重合体溶液A100.0重量部に対して、多孔質シリカ(B)(富士シリシア化学(株)製商品名:サイリシア320)2.0重量部を混合し、十分に攪拌する。この混合溶液102.0重量部にイソシアネ−ト化合物(C)としてヘキサメチレンジイソシアネ−ト1.0重量部を添加し、十分に攪拌して光学部材表面保護フィルム用感圧接着剤組成物の溶液を得た。このときのイソシアネ−ト基の量は、アクリル系重合体(A)の水酸基と酸基との合計を1当量とした時、0.7当量であった。また得られた感圧接着剤組成物の溶液は固形分約29.5重量%、粘度460mPa・sであった。この感圧接着剤組成物を用い、前記の試験用感圧接着シ−トの作成方法に従って試験用表面保護フィルムを作成し、前記の各種物性試験を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例1の配合条件の代わりに表1に示した各実施例の配合条件を使用する以外は、実施例1と同様にして試験用表面保護フィルムを作成し、前述した試験方法で各物性を測定した結果を表2に示す。
実施例1において、多孔質シリカ(B)を混合しないで用いる以外は実施例1と同様にして光学部材表面保護フィルム用感圧接着剤組成物の溶液を得た。
実施例1において、多孔質シリカ(B)の代わりに天然シリカ(珪石)を微粉砕したシリカ粉末(電気化学工業(株)製商品名:FS−15、比表面積:7.5m2/g、平均粒径:4.7μm)を用いる以外は実施例1と同様にして光学部材表面保護フィルム用感圧接着剤組成物の溶液を得た。
実施例1の配合条件の代わりに表1に示した各実施例の配合条件を使用する以外は、実施例1と同様にして試験用表面保護フィルムを作成し、前述した試験方法で各物性を測定した結果を表2に示す。
Claims (2)
- 水酸基を有するアクリル系共重合体(A)100重量部、BET法による比表面積が150〜800m 2 /g及びレーザー法による平均粒径が1〜10μmの範囲にある微粒子である多孔質シリカ(B)0.5〜12重量部、およびヘキサメチレンジイソシアネート系のイソシアネ−ト化合物(C)を含むアクリル系感圧接着剤組成物であって、アクリル系共重合体(A)が下記アクリル系共重合体であり、アクリル系共重合体(A)の水酸基と酸基の合計を1当量とした時、イソシアネート化合物(C)のイソシアネート基が0.1〜1.0当量の範囲であるアクリル系感圧接着剤組成物。
アクリル系共重合体:下記単量体(a 1 )〜(a 3 )、
(a 1 )
下記一般式(1)、
H 2 C=CHCOOR 1 (1)
(ここでR 1 は、炭素数4〜10の直鎖又は分枝鎖アルキル基を表す)
で示され、その単独重合体のガラス転移温度(Tg)が−50℃以下であるアクリル酸エステル55.0〜99.9重量%
(a 2 )
下記一般式(2)、
H 2 C=CHCOO(CH 2 ) n OH (2)
(n=2〜5)
で示される、分子内に水酸基を有する単量体 0.1〜10.0重量%、
(a 3 )
上記単量体(a 1 )〜(a 2 )と共重合可能で、該単量体(a 1 )〜(a 2 )
以外の共単量体 0〜35.0重量%、
〔但し、単量体(a 1 )〜(a 3 )の合計を100重量%とする〕
を共重合してなるもの。 - 請求項1に記載の感圧接着剤組成物をポリエチレン基材に塗布した光学部材表面保護フィルムであって、光学部材に対する23℃での180度ピールの接着力において、剥離速度0.3m/分における接着力が0.06N/25mm以上でありかつ、剥離速度30m/分における接着力が1.5N/25mm以下である光学部材表面保護フィルム。
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