JP5090760B2 - 溶接トーチ及びロボットアーク溶接のアークスタート方法 - Google Patents
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Description
溶接ワイヤが送給される溶接トーチと溶接トーチ移動機構とを備えた溶接トーチであって、
前記溶接トーチ移動機構が溶接ロボットのマニピュレータに取り付けた移動機構本体と、
前記溶接トーチを取り付けたソレノイドシャフトと、
ソレノイドコイルと、
前記ソレノイドシャフトを押し上げるばねとで形成され、
前記ソレノイドコイルに電力を供給すると前記ソレノイドシャフトが下方向に移動して前記ばねを圧縮し、
前記ソレノイドコイルに供給している電力を停止すると前記ソレノイドシャフトが前記ばねによって押し上げられる溶接トーチを使用して、
溶接開始に際して、前記マニピュレータを移動させて前記溶接ワイヤの先端部と被溶接物との距離が前記ソレノイドシャフトの移動距離よりも大の位置である予め教示された溶接開始位置へ前記溶接トーチを移動させ、
前記溶接開始位置に到達後は前記ソレノイドコイルに電力を供給して前記ソレノイドシャフトを下方向へ移動させ、
その後前記溶接トーチから前記溶接ワイヤを前記被溶接物へ前進送給し、
前記溶接ワイヤの先端が前記被溶接物と短絡したことを判別したときに、前記溶接ワイヤの前進送給を継続させるか停止させ、前記ソレノイドコイルに供給している電力を停止して前記ソレノイドシャフトを前記ばねによって押し上げることによって、前記溶接トーチを上方向に移動して前記溶接ワイヤの先端を前記被溶接物から引き離して初期アークを発生させた後に、前記溶接ワイヤの定常送給をして定常アークへと移行させるロボットアーク溶接のアークスタート方法である。
本発明の実施の形態1を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態1のロボットアーク溶接のアークスタート方法の構成図である。同図において、ロボット制御装置RCは、溶接開始信号Stが外部から入力されると、マニピュレータRMの動作制御を行う動作制御信号Mcを出力する。それと共に、電圧設定信号Vs、定常の送給速度設定信号Ws及び出力開始信号Onによって形成されるインターフェース信号Ifを、溶接電源装置PSへ送信する。マニピュレータRMは、ワイヤ送給モータWMを搭載して、マニピュレータRMの先端に溶接トーチ移動機構11を取り付けている。この溶接トーチ移動機構11は、マニピュレータRMに取り付けた移動機構本体12と、溶接トーチ4を取り付けたソレノイドシャフト13と、このソレノイドシャフト13を移動させるソレノイドコイル14と、ソレノイドシャフト13を押し上げるばね15とで形成されている。
アーク判別回路SAは、上記の電圧検出信号Vdを入力として、ワイヤ先端1aと被溶接物2との間が短絡状態のときは短絡信号(Highレベル)を、アーク発生状態のときはアーク発生信号(Lowレベル)を、短絡/アーク判別信号Saとして出力する。遅延回路DTは、初期アーク発生後に再び前進送給を行うタイミングを遅延するために、上記の短絡/アーク判別信号Saが、短絡信号からアーク発生信号に変化した時点から予め定めた遅延時間Tdの間だけHighレベルとなる遅延信号Dtを出力する。
時刻t1において、図3(A)に示すように、溶接開始信号Stが外部からロボット制御装置RCに入力(Highレベル)されると、同図(B)に示すように、ロボット制御装置RCは、マニピュレータRMに取り付けられた溶接トーチ4を移動させる動作制御信号Mcを、マニピュレータRMへ出力する。そして、時刻t2において、同図(K1)に示すように、溶接トーチ4は予め教示された溶接開始位置に到着して停止する。
時刻t2において、溶接トーチ4が溶接開始位置に到着すると、図3(C)に示すように、ロボット制御装置RCから出力開始信号Onが出力(Highレベル)される。これに応じて、同図(E)に示すように、溶接電源装置PSから溶接トーチ移動機構11のソレノイドコイル14に電力Pcが供給され、ソレノイドシャフト13は、図2(A)に示す位置から同図(B)に示すように下方向に移動して、ばね15を圧縮して停止する。このとき、ソレノイドシャフト13に取り付けられた溶接トーチ4が被溶接物2方向へ移動して、同図(G)に示すように、ワイヤ先端・被溶接物間距離Lwは短くなる。
時刻t3において、ソレノイドシャフト13が下方向へ移動した後に、送給制御信号Fcは初期送給速度設定値Wiとなり、溶接ワイヤ1が被溶接物2へ初期送給速度Wfiで前進送給される。また、時刻t3〜t4の期間も図3(D)に示すように、無負荷電圧が溶接電圧Vwとして印加されている。また、この期間中は、上記の前進送給によって、同図(G)に示すように、ワイヤ先端・被溶接物間距離Lwは徐々に短くなる。
時刻t4において、図3(K2)に示すように、前進送給によって溶接ワイヤ1が被溶接物2に接触すると、同図(H)に示すように、短絡/アーク判別信号Saが短絡信号(Highレベル)に変化する。これに応じて、同図(F)に示すように、送給制御信号FcがLowレベルとなって溶接ワイヤの送給を停止する。同時に、同図(E)に示すように、ソレノイドコイル14に供給している電力Pcを停止して、ソレノイドシャフト13が、図2(B)に示す位置からばね15によって高い応答性で押し上げられて、図2(A)に示すように移動機構本体12に接触して停止する。これによって、ワイヤ先端1aと被溶接物2とが離れる。
時刻t5において、図3(K3)に示すように、ワイヤ先端1aと被溶接物2とが離れると、上記の初期電流Isが通電される初期アーク3aが発生する。このとき、短絡/アーク判別回路SAがこの初期アーク3aが発生したことを判別して、同図(H)に示すように、短絡/アーク判別信号Saが短絡信号(Highレベル)からアーク発生信号(Lowレベル)へと変化する。この変化をトリガとして、同図(J)に示すように、遅延回路DTは、遅延信号Dtを予め定めた遅延時間Td(時刻t5〜t6)の間、出力(Highレベル)する。
時刻t6において、図3(J)に示すように、遅延信号DtがHighレベルからLowレベルへ変化すると、同図(F)に示すように、送給制御信号Fcは正の値の定常送給速度設定信号Wsとなり、溶接ワイヤ1は定常送給速度Wfsで被溶接物2へ再び前進送給される。同時に、上述した溶接電源装置PS内の出力制御回路は電圧設定信号Vsに対応する定電圧特性を形成するので、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは上記の電圧設定信号Vsに相当する値となると共に、同図(I)に示すように、上記の定常の送給速度Wfsに対応した大電流の定常溶接電流Icを通電する。同時に、同図(B)に示すように、ロボット制御装置RCは、溶接トーチ4を移動させる動作制御信号McをマニピュレータRMへ出力して、溶接トーチ4を停止状態から予め教示された溶接方向へ移動させる。
本発明の実施の形態2を実施例に基づき図面を参照して説明する。本発明の実施の形態2のロボットアーク溶接のアークスタート方法の構成は、図1に示した本発明の実施の形態1の構成において、溶接トーチ移動機構のみが異なり、その他の機能は図1で示した機能と同様であるので、説明を省略する。本発明の実施の形態2の溶接トーチ移動機構16は、ソレノイドコイル14に電力が供給されると、ソレノイドシャフト13が、図4(A)に示す位置から上方向に移動して、ばね15を伸ばして、同図(B)に示すように、移動機構本体12に接触して停止する。そして、ソレノイドコイル14に供給している電力が停止されると、ソレノイドシャフト13は、同図(B)に示す位置からばね15によって下方向へ引っ張られて、ソレノイドシャフト13が下方向に移動して、同図(A)に示すようにばね15を圧縮して、ソレノイドシャフト13が停止する。図4は、本発明の実施の形態2の溶接トーチ移動機構の動作を説明するための図である。
時刻t1において、図5(A)に示すように、溶接開始信号Stが外部からロボット制御装置RCに入力(Highレベル)されると、同図(B)に示すように、ロボット制御装置RCは、マニピュレータRMに取り付けられた溶接トーチ4を移動させる動作制御信号Mcを、マニピュレータRMへ出力する。そして、時刻t2において、同図(K1)に示すように、溶接トーチ4は予め教示された溶接開始位置に到着して停止する。
時刻t2において、溶接トーチ4が溶接開始位置に到着すると、図5(C)に示すように、ロボット制御装置RCから出力開始信号Onが出力(Highレベル)される。これに応じて、同図(F)に示すように、送給制御信号Fcは正の値の初期送給速度設定値Wiとなり、溶接ワイヤ1が被溶接物2へ初期送給速度Wfiで前進送給される。また、時刻t2〜t3の期間中は、上記の前進送給によって、同図(G)に示すように、ワイヤ先端・被溶接物間距離Lwは徐々に短くなる。
時刻t3において、図5(K2)に示すように、前進送給によって溶接ワイヤ1が被溶接物2に接触すると、同図(H)に示すように、短絡/アーク判別信号Saが短絡信号(Highレベル)に変化する。これに応じて、同図(F)に示すように、送給制御信号Fcが零になり、溶接ワイヤ1の送給が停止される。さらに、同図(E)に示すように、ソレノイドコイル14に電力Pcが供給され、ソレノイドシャフト13は、図4(A)に示す位置から、高い応答性で引き上げられて、ばね15が伸びて、図4(B)に示すように、ソレノイドシャフト13が移動機構本体12に接触して停止する。これによって、同図(G)に示すように、ワイヤ先端1aと被溶接物2とが離れる。
時刻t4において、同図(K3)に示すように、ワイヤ先端1aと被溶接物2とが離れると、上記の初期電流Isが通電される初期アーク3aが発生する。このとき、短絡/アーク判別回路SAがこの初期アーク3aが発生したことを判別して、同図(H)に示すように、短絡/アーク判別信号Saが短絡信号(Highレベル)からアーク発生信号(Lowレベル)へと変化する。この変化をトリガとして、同図(J)に示すように、遅延回路DTは、遅延信号Dtを予め定めた遅延時間Td(時刻t4〜t5)の間、出力(Highレベル)する。
時刻t5において、図5(J)に示すように、遅延信号DtがHighレベルからLowレベルへ変化する。そして同図(F)に示すように、送給制御信号Fcは定常送給速度設定信号Wsとなり、溶接ワイヤ1は定常送給速度Wfsで被溶接物2へ再び前進送給される。同時に、上述した溶接電源装置PS内の出力制御回路は電圧設定信号Vsに対応する定電圧特性を形成するので、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは上記の電圧設定信号Vsに相当する値となると共に、同図(I)に示すように、上記の定常の送給速度Wfsに対応した大電流の定常溶接電流Icを通電する。同時に、同図(B)に示すように、ロボット制御装置RCは、溶接トーチ4を移動させる動作制御信号McをマニピュレータRMへ出力して、溶接トーチ4を停止状態から予め教示された溶接方向へ移動させる。
2 被溶接物
3 アーク
3a 初期アーク
3b 定常アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
6 コンタクトチップ
11 溶接トーチ移動機構
12 移動機構本体
13 ソレノイドシャフト
14 ソレノイドコイル
15 ばね
16 溶接トーチ移動機構
DT 遅延回路
Dt 遅延信号
Fc 送給制御信号
Ic 定常溶接電流
If インターフェース信号
Is 初期電流
Iw 溶接電流
Lw ワイヤ先端・被溶接物間距離
Lwt ワイヤ先端・被溶接物間距離
Mc 動作制御信号
On 出力開始信号
Pc 電力
PS 溶接電源装置
RC ロボット制御装置
RM マニピュレータ
SA アーク判別回路
Sa アーク判別信号
St 溶接開始信号
Tc1 収束時間
Td 遅延時間
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
Vs 電圧設定信号
Vw 溶接電圧
Wfi 初期送給速度
Wfs 定常送給速度
Wi 初期送給速度設定値
WM ワイヤ送給モータ
Ws 定常送給速度設定信号
Claims (1)
- 溶接ワイヤが送給される溶接トーチと溶接トーチ移動機構とを備えた溶接トーチであって、
前記溶接トーチ移動機構が溶接ロボットのマニピュレータに取り付けた移動機構本体と、
前記溶接トーチを取り付けたソレノイドシャフトと、
ソレノイドコイルと、
前記ソレノイドシャフトを押し上げるばねとで形成され、
前記ソレノイドコイルに電力を供給すると前記ソレノイドシャフトが下方向に移動して前記ばねを圧縮し、
前記ソレノイドコイルに供給している電力を停止すると前記ソレノイドシャフトが前記ばねによって押し上げられる溶接トーチを使用して、
溶接開始に際して、前記マニピュレータを移動させて前記溶接ワイヤの先端部と被溶接物との距離が前記ソレノイドシャフトの移動距離よりも大の位置である予め教示された溶接開始位置へ前記溶接トーチを移動させ、
前記溶接開始位置に到達後は前記ソレノイドコイルに電力を供給して前記ソレノイドシャフトを下方向へ移動させ、
その後前記溶接トーチから前記溶接ワイヤを前記被溶接物へ前進送給し、
前記溶接ワイヤの先端が前記被溶接物と短絡したことを判別したときに、前記溶接ワイヤの前進送給を継続させるか停止させ、前記ソレノイドコイルに供給している電力を停止して前記ソレノイドシャフトを前記ばねによって押し上げることによって、前記溶接トーチを上方向に移動して前記溶接ワイヤの先端を前記被溶接物から引き離して初期アークを発生させた後に、前記溶接ワイヤの定常送給をして定常アークへと移行させるロボットアーク溶接のアークスタート方法。
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2007
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