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JP5085820B2 - インクジェット記録要素 - Google Patents

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JP5085820B2
JP5085820B2 JP2001254014A JP2001254014A JP5085820B2 JP 5085820 B2 JP5085820 B2 JP 5085820B2 JP 2001254014 A JP2001254014 A JP 2001254014A JP 2001254014 A JP2001254014 A JP 2001254014A JP 5085820 B2 JP5085820 B2 JP 5085820B2
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  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録要素に関する。より詳細には、本発明は、相互につながっているボイドを有する多孔質インク受容層およびインク透過性ポリエステル基材を含有しているインクジェット記録要素に関する。
【0002】
【従来の技術】
典型的なインクジェット記録システムまたはインクジェット印刷システムにおいては、インク液滴が、記録要素または記録媒体に向かってノズルから高速で噴射され、媒体上に画像を生ずる。インク液滴(または記録液体)は、一般に、染料または顔料などの記録薬剤および大量の溶媒を含んでなる。溶媒(またはキャリア液体)は、概して、水、一価アルコール、多価アルコールまたはそれらの混合物などの有機材料から作られている。
【0003】
インクジェット記録要素は、概して、少なくとも一方の表面にインク受容層または画像形成層を担持している支持体を含んでなり、このような要素には、不透明な支持体を有する、反射式観察を目的とするもの、および透明な支持体を有する、透過光による観察を目的とするものが含まれる。
【0004】
インクジェット装置と共に使用するための多種多様な種々のタイプの画像記録要素がこれまでに提案されているけれども、当該技術分野には多くの未解決の問題があり、既知の製品には、それらの商業的有用性を制限する多くの欠陥が存在する。
【0005】
このような画像記録要素上に写真画質の画像を達成および維持するためには、インクジェット記録要素が以下の条件を満たさなければならないことがよく知られている。
【0006】
・容易に濡れ、パッドリング(puddling)(すなわち、不均一な濃度につながる隣接するインクドットの凝集)がまったく無いこと。
・画像の滲み(bleeding)をまったく呈さないこと。
・高濃度のインクを吸収し、素速く乾燥して、次のプリントまたは他の表面と重ねられた際に要素がいっしょにブロッキングを生ずることを防ぐこと。
・支持体および/または層(複数であってもよい)の間の相互作用に起因する不連続性または欠陥(例えば亀裂、はじき、櫛筋など)をまったく呈さないこと。
・吸収されなかった染料が自由表面で凝集して、染料の結晶化が起こり、像形成領域においてブルームまたはフェロ焼け(ブロンジング)の影響が生ずるようなことが無いこと。
・水との接触または日光、タングステン灯、もしくは蛍光灯による照射に起因する退色を防ぐのに最適化された画像堅牢度を有すること。
【0007】
殆ど瞬間的なインク乾燥時間および良好な画質を同時に提供するインクジェット記録要素が望ましい。しかしながら、記録要素が適合する必要のあるインクの組成およびインクの容量は広範囲にわたるので、インクジェット記録媒体のこれらの要求条件を同時に達成するのは困難である。
【0008】
多孔質または非多孔質の支持体の片面もしくは両面に好適な画像受容層として作用する多孔質または非多孔質の単層コーティングもしくは多層コーティングを用いるインクジェット記録要素が知られている。
【0009】
多種多様な種々のタイプの画像記録要素がこれまでに提案されているけれども、当該技術分野には多くの未解決の問題があり、既知の製品には、それらの商業的有用性を厳しく制限する多くの欠陥が存在する。インクジェット記録のための画像記録媒体または画像記録要素に対する要求条件は非常に厳しい。例えば、上記記録要素は、良好な品質(例えば高い光学濃度および低い凝集)を有し、印刷直後でも汚れを伴わずに取り扱うことができる記録画像を生ずるためには、要素の画像形成表面に適用される大量のインクをできるだけ迅速に吸収または受容することが可能でなければならない。高品質な、写真タイプの画像を印刷するには、大量のインクが必要とされることが多い。
【0010】
米国特許第 5,354,601号明細書において、ボイド含有ポリエステルフィルム基材の少なくとも片側にインク吸収層が塗布されている記録シートが開示されている。しかしながら、この要素には、上記ポリエステルフィルム中のボイドが互いにつながっていない点に問題がある。インクが透過するための経路がまったく無いので、上記基材は、以降に示すように、より速い乾燥時間には寄与しない。
【0011】
"Permeable Surface Imaging Support" と題され、2000年12月18日に出願された、Laney 他の欧州特許出願第 204 563.1号明細書において、インク受容層を上部に有することができる、像形成要素用の透過性支持体が開示されている。しかしながら、この出願には、インク受容層が多孔質であってもよいことはまったく開示されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、速いインク乾燥時間を有するインクジェット記録要素を提供することである。本発明のもう1つの目的は、良好な画像濃度を有するインクジェット記録要素を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
これらの目的および他の目的は、ベースポリエステル層およびインク透過性上部ポリエステル層を含むインク透過性ポリエステル基材を含んでなるインクジェット記録要素であって、上記上部ポリエステル層が、乾燥時間が10秒未満となるインク吸収速度および少なくとも14cm3/m2の全吸収度を有する連続ポリエステル相を含んでなり、上記基材が、相互につながっているボイドを有する多孔質画像受容層を担持しているインクジェット記録要素を含む本発明によって達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録要素は、速いインク乾燥時間および良好な画像濃度を提供する。
【0015】
上記の如く、本発明において使用されるインク透過性ポリエステル基材は、ベースポリエステル層およびインク透過性上部ポリエステル層を含有している。この基材は、"Permeable Surface Imaging Support" と題され、2000年12月18日に出願された、Laney 他の欧州特許出願第 204 563.1号明細書に、より完全に記載されている。
【0016】
本発明において使用される基材は、容易に入手可能なポリエステルフィルム形成機で製造することができる。この基材は、インク透過性上部ポリエステル層およびベースポリエステル層と共に共押出し、延伸し、そして形成時に一体に結合させるという一工程で調製するのが好ましい。この一工程形成法は、製造コストの低減につながる。本発明において使用される基材は、インクの迅速な吸収、並びに高い吸収度を有し、これにより、迅速な印刷および短い乾燥時間が可能となる。短い乾燥時間は、プリントがより汚れ難く、インクが乾燥前に凝集しないためにより高い画質を有するので、好都合である。
【0017】
本発明において用いられる基材は、消費者にとって望ましい、紙の外観および触感を有し、真珠光沢の無い、望ましい表面の外観を有し、平滑な望ましい画像を呈し、耐候性であって、種々の湿度条件下でのカールに対する耐性を有し、そして、引裂および変形に対する高い耐性を有する。
【0018】
上記共押出基材のベースポリエステル層および上部ポリエステル層は、最適なインク吸収性、曲げ剛性、および光沢特性を提供するように調整されたレベルのボイド化、厚み、および平滑性を有する。上部ポリエステル層は、多数の処理工程および多数の塗布層を必要とすること無く、インクジェット像形成支持体に一般的に適用される印刷インクを有効に吸収するために、ボイドを含有している。
【0019】
上記基材のベースポリエステル層は、本発明において用いられる基材に曲げ剛性を提供し、上記上部透過性層に物理的結合性を提供する。ベースポリエステル層の厚みは、フィルムの必要とされる曲げ剛性に応じて、基材の全厚が50〜 500μm となるように選択される。しかしながら、上部ポリエステル層の厚みは、インク記録要素の全吸収度に合わせて調整される。14cm3/m2の全吸収を達成するには、少なくとも28.0μm の厚みが必要である。
【0020】
上記インク透過性上部ポリエステル層は、相互につながっているかまたは開放気泡であるボイドを含有しているのが好ましい。このタイプの構造は、毛管作用を可能とすることによって、インク吸収速度を高める。
【0021】
上述の如く、上記インク透過性上部ポリエステル層は、乾燥時間が10秒未満となる吸収速度を有する。乾燥時間は、標準的なHP染料系インクカートリッジ (HP # C1823A)を使用するHP 722インクジェットプリンターを用いて、上部層の側に、およそ14cm3/m2のレイダウンで、カラーの線を印刷することによって測定することができる。
【0022】
乾燥時間は、印刷直後に上記印刷された線のパターンの上にボンド紙を重ね、ローラープレスを用いて、これらの紙をいっしょにプレスすることによって測定される。特定の印刷された線がボンド紙の表面に転写する場合、その転写長Lを使用して、下式に基づいて、既知の移送線速度Sを使用して、乾燥時間tD を見積もることができる。
D =L/S
【0023】
好ましい態様において、インク吸収速度は、測定される乾燥時間が1秒未満となる速度である。
【0024】
上部ポリエステル層の厚みは、1m2あたりに少なくとも14.0 cm3のインクを吸収することができるような厚みであるべきである。実際の厚みは、下式を使用することによって決定することができる。
t=14.0/v
上式中、vは、ボイド化状態の厚みと非ボイド化状態の厚みとの差のボイド化状態の厚みに対する比として規定される、ボイド容積分率である。非ボイド化状態の厚みは、ボイド化がまったく起こらなかった場合に予想されるであろう厚みとして規定される。
【0025】
上記上部層において利用されるポリエステルは、一般に、50℃〜 150℃、好ましくは60〜 100℃のガラス転移温度を有するべきであり、延伸可能であるべきであり、少なくとも 0.5、好ましくは 0.6〜 0.9dL/gの内部粘度を有するべきである。好適なポリエステルには、炭素原子が4〜20個の芳香族、脂肪族、または脂環式のジカルボン酸および2〜24個の炭素原子を有する脂肪族または脂環式のグリコールから製造されるものが含まれる。好適なジカルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ソジオスルホイソフタル酸、およびそれらの混合物が含まれる。好適なグリコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、他のポリエチレングリコールおよびそれらの混合物が含まれる。このようなポリエステルは当該技術分野において周知であり、周知の技法(例えば、米国特許第 2,465,319号および同 2,901,466号の各明細書に記載されているもの)によって製造することができる。好ましい連続マトリックスポリマーは、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸と、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、および1,4-シクロヘキサンジメタノールから選ばれる少なくとも1種のグリコールとに由来する繰り返し単位を有するものである。ポリエチレンテレフタレート(少量の他のモノマーによって改質されていてもよい)がとりわけ好ましい。他の好適なポリエステルには、好適な量の共酸成分(例えばスチルベンジカルボン酸)を含有させることによって形成される液晶コポリエステルが含まれる。このような液晶コポリステルの例は、米国特許第 4,420,607号、同 4,459,402号、および同 4,468,510号の各明細書において開示されているものである。
【0026】
上記ベースポリエステル層は、通常は、実質的に不透過性である。好ましい態様において、ベースポリエステル層は、ポリエチレンテレフタレートまたはそのコポリマーである。
【0027】
上記インク透過性上部ポリエステル層中のボイドは、その加工時にミクロビーズを使用することによって得ることができる。このようなミクロビーズは、無機充填材であっても、重合可能な有機材料であってもよい。インク多孔質であるけれども平滑な表面の最良な形成のためには、これらのミクロビーズの粒径は好ましくは 0.1〜50μm 、より好ましくは 0.5〜5μm の範囲にある。これらのミクロビーズは、押出およびミクロボイド化の前のインク透過性上部ポリエステル層のための供給材料において、30〜50容量%の量で用いることができる。これらのミクロビーズのための典型的な無機材料には、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、および硫酸バリウムが含まれる。これらのミクロビーズのための典型的な高分子有機材料には、ポリスチレン、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリカーボネート、またはポリオレフィンが含まれる。
【0028】
本発明のもう1つの好ましい態様においては、基材が、ベースポリエステル層の、画像受容層を担持していない側に紙が積層される。この態様においては、紙が十分な曲げ剛性を提供するので、基材のベースポリエステル層は薄くてもよい。
【0029】
本発明のもう1つの態様においては、基材が、インク透過性上部ポリエステル層とは反対側に、ベースポリエステル層に隣接する、透過性がより低い層をも含有している。
【0030】
上記の如く、本発明において使用される多孔質画像受容層は、相互につながっているボイドを含有している。これらのボイドは、インクが基材中にかなり浸透して、基材が乾燥時間に寄与することを可能とするための経路を提供する。非多孔質画像受容層または独立気泡を含有している多孔質画像受容層は、基材が乾燥時間に寄与することを可能としない。
【0031】
画像受容層中の相互につながっているボイドは、種々の方法によって得ることができる。例えば、この層が、高分子バインダー中に分散された粒子を含有していてもよい。これらの粒子は、有機質(例えばポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリアクリル酸ブチルなど)であっても、無機質(シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、炭酸カルシウムまたは硫酸バリウム)であってもよい。本発明の好ましい態様において、これらの粒子は5nm〜15μm の粒径を有する。
【0032】
本発明の画像記録層において使用することができる高分子バインダーは、例えば、親水性ポリマー(例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ポリ2-エチル -2-オキサゾリン、ポリ2-メチル -2-オキサゾリン、ポリアクリルアミド、キトサン、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)であってもよい。また、疎水性材料(例えばポリ (スチレン-co-ブタジエン) 、ポリウレタンラテックス、ポリエステルラテックス、ポリアクリル酸n-ブチル、ポリメタクリル酸n-ブチル、ポリアクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-ブチルとアクリル酸エチルとのコポリマー、酢酸ビニルとアクリル酸n-ブチルとのコポリマーなど)などの他のバインダーを使用してもよい。
【0033】
本発明のもう1つの好ましい態様において、上記粒子の上記高分子バインダーに対する容量比は1:1〜15:1である。
【0034】
また、上記画像受容層には、例えば硝酸などのpH調節剤、架橋剤、レオロジー調節剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、殺生剤、滑剤、染料、染料定着剤または媒染剤、蛍光増白剤などの他の添加剤が含まれていてもよい。
【0035】
画像受容層は、従来の前計量または後計量の塗布方法(例えばブレードコーティング、エアナイフコーティング、ロッドコーティング、ロールコーティングなど)によって、基材の一方または両方の表面に適用することができる。塗布方法の選択は操作の経済性から定まり、これは、次に、コーティング固形分、コーティング粘度、およびコーティング速度などの調合物の仕様を決定するであろう。
【0036】
上記画像受容層の厚みは、1〜60μm 、好ましくは5〜40μm の範囲にわたることができる。
【0037】
塗布後、上記インクジェット記録要素をカレンダー加工またはスーパーカレンダー加工に付して、表面の平滑性を高めてもよい。
【0038】
本発明の記録要素を像形成させるのに使用されるインクジェットインクは当該技術分野において周知である。概してインクジェット印刷において使用されるインク組成物は、溶媒またはキャリア液体、染料または顔料、湿潤剤、有機溶媒、洗浄剤、増粘剤、防腐剤などを含んでなる液体組成物である。溶媒またはキャリア液体は単なる水とすることができ、または多価アルコールなどの他の水混和性溶媒と混合された水とすることもできる。また、多価アルコールなどの有機材料が主たるキャリアまたは溶媒液体であるインクを使用してもよい。特に有用なものは、水と多価アルコールとの混合溶媒である。このような組成物において使用される染料は、概して、水溶性の直接染料または酸性型染料である。このような液体組成物は、例えば、米国特許第 4,381,946号、同 4,239,543号、および同 4,781,758号の各明細書を含む従来技術に広範に記載されている。
【0039】
以下の例により、本発明をさらに説明する。
【0040】
【実施例】
インク透過性上部ポリエステル基材の調製
不透過性ベースポリエステル層およびインク透過性上部ポリエステル層を含んでなる2層ポリエステル基材を、以下の手法で調製した。この調製において使用した材料は、1)ベース層用の、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(IV=0.70dL/g)、2)上部層用の、32質量%の非晶質ポリエステル樹脂、 PETG 6763(商標)樹脂(IV=0.73dL/g)(Eastman Chemical Company)および68質量%の硫酸バリウム粒子(粒径およそ1μm )(Sachtleben Chemie) からなる配合ブレンド、である。
【0041】
上記硫酸バリウムを、ペレット化ダイに取り付けられた逆回転二軸スクリュー押出機中で混合することにより、上記 PETG 6763(商標)樹脂と配合した。上記樹脂を65℃において乾燥し、2台の可塑化スクリュー押出機によって共押出ダイマニホールド中に供給して、2層メルト流を製造し、これをダイから排出した後に冷却ロール上で迅速に急冷した。各押出機の押出量を調節することによって、キャスト積層シート中の各層の厚みの比を調整することができた。この場合、これら2つの層の厚みの比を1:1に調整し、吸収層の厚みをおよそ 500μm とした。このキャストシートを、 3.3の比および 110℃の温度において延伸することによって、先ず縦方向に配向させた。
【0042】
次に、上記配向基材を、 3.3の比および 100℃の温度において、テンター中で横方向に延伸した。この例においては、熱固定処理は適用しなかった。最終的なフィルムの全厚は 100μm となり、透過性層は50μm となり、基材内の各層は完全に一体化し、強力に接着された。不均質な上部層の延伸により、硬い硫酸バリウムビーズの周りに、相互につながっているミクロボイドが生成し、これにより、この層が不透明(白色)かつ高度に多孔質かつ透過性となった。しかしながら、PETベース層は不透過性であり、その本来の透明性を保持していた。
【0043】
多孔質組成物1
水:66部
Aerosil Mox 80(商標)シリカ (Degussa Corporation):8部
Nalco 2329(商標)コロイド状シリカ (Nalco Chemical Co.) :18部
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン (United Chemicals Technologies, Inc.):1部
スチレン/アクリル酸ブチルコアシェルラテックス:6部
Kymene 557H(商標)湿潤紙力増強用樹脂 (Hercules inc.):1部
【0044】
上記Aerosil Mox 80(商標)シリカを、Nalco 2329(商標)コロイド状シリカの40%溶液に、撹拌しながら、1時間かけて添加した。この混合物に N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランを添加し、この混合物を12時間超音波処理した。得られた溶液に上記スチレン/アクリル酸ブチルコアシェルラテックス、および Kymene 557H(商標)湿潤紙力増強用樹脂を添加し、30分間撹拌した。
【0045】
多孔質組成物2
Syloid 620(商標)シリカ (Grace Davidson) : 6.5部
Gohsenol GH-23(商標)ポリビニルアルコール (The Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd.) : 3.5部
水:90部
【0046】
上記Gohsenol GH-23(商標)ポリビニルアルコールを、撹拌しながら、20分間かけて水に添加した。次に、この混合物を90℃に加熱し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。この溶液を室温まで冷却し、上記Syloid 620(商標)シリカを撹拌しながら添加した。
【0047】
多孔質組成物3
GASIL HP39(商標)シリカゲル (Crossfield Limited) : 6.5部
Gohsenol GH-23(商標)ポリビニルアルコール: 3.5部
水:90部
【0048】
Gohsenol GH-23(商標)ポリビニルアルコールを、撹拌しながら、20分間かけて、室温の水にゆっくりと添加した。次に、この混合物を90℃に加熱し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。この溶液を室温まで冷却し、上記GASIL HP39(商標)シリカゲルを撹拌しながら添加した。
【0049】
非多孔質組成物C−1
Gohsenol GH-23(商標)ポリビニルアルコール:10部
水:90部
【0050】
Gohsenol GH-23(商標)ポリビニルアルコールを、撹拌しながら、20分間かけて、室温の水にゆっくりと添加した。次に、この混合物を90℃に加熱し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。
【0051】
非多孔質組成物C−2
写真グレード骨ゼラチン:10部
水:90部
【0052】
写真グレード骨ゼラチンをゆっくりと水に添加した。この混合物を室温において30分間放置した。次に、この混合物を40℃に加熱し、透明な溶液が得られるまで撹拌した。
【0053】
本発明の要素1
上述のインク透過性ポリエステル基材に、室温において、ロッド塗布機を使用して、多孔質組成物1を塗布し、4μm の乾燥厚みとした。このコーティングを印刷の前に12時間風乾した。
【0054】
本発明の要素2
この要素は、多孔質組成物2を使用したことを除き、要素1と同様に調製した。
【0055】
本発明の要素3
この要素は、多孔質組成物3を使用したことを除き、要素1と同様に調製した。
【0056】
対照標準要素1
この要素は、非多孔質組成物C−1を使用したことを除き、要素1と同様に調製した。
【0057】
対照標準要素2
この要素は、非多孔質組成物C−2を使用して、40℃において塗布したことを除き、要素1と同様に調製した。
【0058】
対照標準要素3
この要素は、多孔質組成物1および米国特許第 5,354,601号明細書の例1、2、4および5において開示されている50μm のLumirror(商標)ボイド含有ポリエステルフィルム支持体 E-63S (Toray Industries, Inc.) を使用したことを除き、要素1と同様に調製した。
【0059】
対照標準要素4
この要素は、非多孔質組成物C−1および50μm のLumirror(商標)ボイド含有ポリエステルフィルム支持体 E-63Sを使用したことを除き、要素1と同様に調製した。
【0060】
対照標準要素5
この要素は、多孔質組成物1および米国特許第 5,354,601号明細書の例5において開示されている 100μm の Crisper(商標)ボイド含有ポリエステルフィルム支持体 G2312 (Toyobo Co., Ltd.) を使用したことを除き、要素1と同様に調製した。
【0061】
対照標準要素6
この要素は、非多孔質組成物C−1および 100μm の Crisper(商標)ボイド含有ポリエステルフィルム支持体 G2312を使用したことを除き、要素1と同様に調製した。
【0062】
対照標準要素7
この要素は、画像受容組成物をまったく用いずに、本発明の透過性支持体を単独で使用して試験した。
【0063】
対照標準要素8
この要素は、画像受容組成物をまったく用いずに、上記50μm のLumirror(商標)ボイド含有ポリエステルフィルム支持体 E-63Sを単独で使用して試験した。
【0064】
対照標準要素9
この要素は、画像受容組成物をまったく用いずに、上記 100μm の Crisper(商標)ボイド含有ポリエステルフィルム支持体 G2312を単独で使用して試験した。
【0065】
印刷
カラーインクカートリッジT005 011およびブラックインクカートリッジT003 011を使用する染料系インク用のEpson Stylus Color 900プリンターを使用して画像を印刷した。画像は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、グリーン、レッドおよびブルーの一連のストライプを含み、各々のストライプは、幅 1.1cm、長さ18cmの長方形の形とした。
【0066】
乾燥時間
プリンターから排出された直後に、印刷画像をゴムマットの上に(画像側を上にして)置き、この印刷画像の上に1枚のボンド紙を置いた。次に、このボンド紙の上にスチールのシリンダー(長さ33cm、直径5cm、質量1747g)を転がし、その後、ボンド紙を印刷画像から引き離した。ボンド紙上の染料の転写の長さおよびストライプの濃度に基づいて、各試料を乾燥時間について評価した。これは、印刷画像を乾燥させるのに必要とされる時間の見積もりである。ボンド紙へのインクの転写がまったく無かった場合の乾燥時間の等級を1とした。ボンド紙へのカラーストライプの全転写が有り、転写されたストライプの濃度が高かった場合には、乾燥時間の等級を5とした。転写の長さおよび濃度がその中間である場合は、1と5との間の等級とした。この乾燥時間の評価においては、シアン、マゼンタおよびイエローのストライプのみを測定した。
【0067】
画像濃度
印刷画像上のシアンのストライプのシアン濃度を、X-Rite(商標)820 型濃度計を使用して測定した。 1.0以上の濃度を、殆どの像形成用途に許容可能であるとみなした。以下の結果が得られた。
【0068】
【表1】
Figure 0005085820
【0069】
上記結果は、対照標準要素と比較して、本発明において用いられた受容要素が、良好な乾燥時間および良好な印刷濃度を両方とも与えたことを示している。対照標準要素1〜6は、良好な印刷濃度を得ることができることを示しているけれども、それらは乾燥時間の結果が不良であった。対照標準7は良好な乾燥時間を有していたけれども、それは低い印刷濃度を有していた。対照標準8および9は、不良な乾燥時間および低い印刷濃度を有していた。
【0070】
本発明の他の好ましい態様を、請求項との関連において、次に記載する。
【0071】
[1] ベースポリエステル層およびインク透過性上部ポリエステル層を含むインク透過性ポリエステル基材を含んでなるインクジェット記録要素であって、前記上部ポリエステル層が、乾燥時間が10秒未満となるインク吸収速度および少なくとも14cm3/m2の全吸収度を有する連続ポリエステル相を含んでなり、前記基材が、相互につながっているボイドを有する多孔質画像受容層を担持しているインクジェット記録要素。
【0072】
[2] 相互につながっているボイドを有する前記多孔質画像受容層が、高分子バインダー中に分散された粒子を含んでなる、[1]に記載の記録要素。
【0073】
[3] 前記粒子が無機質である、[2]に記載の記録要素。
【0074】
[4] 前記無機粒子が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムを含んでなる、[3]に記載の記録要素。
【0075】
[5] 前記粒子が有機質である、[2]に記載の記録要素。
【0076】
[6] 前記粒子が5nm〜15μm の粒径を有する、[2]に記載の記録要素。
【0077】
[7] 前記高分子バインダーが親水性バインダーを含んでなる、[2]に記載の記録要素。
【0078】
[8] 前記親水性バインダーが、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ポリ2-エチル -2-オキサゾリン、ポリ2-メチル -2-オキサゾリン、ポリアクリルアミド、キトサン、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースを含んでなる、[7]に記載の記録要素。
【0079】
[9] 前記高分子バインダーが疎水性バインダーを含んでなる、[2]に記載の記録要素。
【0080】
[10] 前記疎水性バインダーが、ポリ (スチレン-co-ブタジエン) 、ポリウレタンラテックス、ポリエステルラテックス、ポリアクリル酸n-ブチル、ポリメタクリル酸n-ブチル、ポリアクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-ブチルとアクリル酸エチルとのコポリマーまたは酢酸ビニルとアクリル酸n-ブチルとのコポリマーを含んでなる、[9]に記載の記録要素。
【0081】
[11] 前記粒子の前記バインダーに対する容量比が1:1〜15:1である、[2]に記載の記録要素。
【0082】
[12] 前記ベースポリエステル層が実質的に不透過性である、[1]に記載の記録要素。
【0083】
[13] 前記ベースポリエステル層が、25容量%未満の程度のボイド化剤を含んでなり、かつ実質的に不透過性である、[1]に記載の記録要素。
【0084】
[14] 前記ベースポリエステル層がポリエチレンテレフタレートを含んでなる、[1]に記載の記録要素。
【0085】
[15] 前記上部ポリエステル層の前記連続ポリエステル相が、ポリエチレンテレフタレート、ポリ (エチレン -1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート) 、またはそれらの配合物を含んでなる、[1]に記載の記録要素。
【0086】
[16] 前記インク透過性上部ポリエステル層が、前記透過性層の30容量%〜50容量%の量で存在するボイド化剤を含んでなる、[1]に記載の記録要素。
【0087】
[17] 前記インク透過性上部ポリエステル層が、相互につながっているボイドを有する、[16]に記載の記録要素。
【0088】
[18] 前記基材が、前記インク透過性上部ポリエステル層とは反対側に、前記ベースポリエステル層に隣接する、透過性がより低い層をさらに含んでなる、[1]に記載の記録要素。
【0089】
[19] 前記透過性がより低い層が、相互につながっているボイドを有する、[18]に記載の記録要素。
【0090】
[20] 前記基材が、前記ベースポリエステル層の、前記画像受容層を担持していない側に積層された紙をさらに含んでなる、[1]に記載の記録要素。

Claims (1)

  1. 実質的に不透過性のベースポリエステル層および連続ポリエステル相中に相互につながっているボイドを有するインク透過性上部ポリエステル層を含むインク透過性ポリエステル基材を含んでなるインクジェット記録要素であって、
    前記ベースポリエステル層および前記上部ポリエステル層が、共押出しされ、そして縦方向および横方向に延伸されており、それによりボイド化剤としてミクロビーズを用いる前記上部ポリエステル層中に、前記相互につながっているボイドが得られており、そして前記インク透過性上部ポリエステル層が、少なくとも28.0μm の厚み、乾燥時間が10秒未満となるインク吸収速度および少なくとも14cm3/m2の全吸収度を有し、
    前記基材が、その上に塗布された相互につながっているボイドを有する多孔質画像受容層を担持しているインクジェット記録要素。
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