光走査装置は、例えば、画素の領域ごとにレーザ光が入射するタイミングを示す画素タイミング信号を用いて、光源部の駆動信号を生成する。画素タイミング信号を用いると、レーザ光の線速度が変化する場合であっても、画像信号に応じて変調されたレーザ光を正確な位置に入射させることが可能となる。しかしながら、レーザ光の線速度が変化する場合、略均一な光量のレーザ光を走査させても、被照射領域に照射するレーザ光の光量分布は不均一になってしまう。画像信号に応じてパルス振幅を制御するアナログ方式を用いて光源部を駆動する場合、1画素当りのレーザ光の照射時間が変化することにより、パルス振幅とは関係無く明るさが変化してしまう。例えば、二次元方向のうちの一次元方向についてレーザ光を往復させる場合、レーザ光の走査は、両端部に近いほど遅く、中央部に近いほど速くなる。この場合、画面上において、両端部が明るく、中央部が暗くなるような光量分布を生じることとなる。画像信号に応じてパルス幅を制御するディジタル方式を用いて光源部を駆動する場合も、1画素当りのレーザ光の照射時間が変化することにより、パルス幅とは関係無く明るさの変化が生じることとなる。さらに、ディジタル駆動の場合、パルス幅変調(Pulse Width Modulation、以下、「PWM」という。)が画素タイミング信号に追いつかなくなるという不具合を生じる場合もある。このような事態を回避する手段としては、レーザ光の線速度の変化に応じて光源部の駆動を調節することが考えられる。この場合、演算により各画素に対して求められたレーザ光の線速度を基にして光源部の駆動を制御することから、光源部の複雑な制御が必要となる。このように、従来の技術では、簡易な制御によってビーム状の光を良好な光量分布で走査させることが困難であるという問題を生じている。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、簡易な制御によってビーム状の光を良好な光量分布で走査させることが可能な光走査装置、光走査装置の制御方法、及びその光走査装置を用いる画像表示装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、画像信号に応じて変調されたビーム状の光を走査させる光走査装置であって、ビーム状の光を供給する光源部と、光源部からのビーム状の光を、第1の方向と、第1の方向に略直交する第2の方向へ走査させる走査部と、画像信号に応じて形成される画素の領域ごとにビーム状の光が入射するタイミングを表す画素タイミング信号を生成する画素タイミング信号生成部と、画素タイミング信号に基づいて、ビーム状の光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を有するパルス信号を生成するパルス信号生成部と、パルス信号及び画像信号に基づいて、光源部を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成部と、を有することを特徴とする光走査装置を提供することができる。
駆動信号生成部は、パルス信号生成部で生成されたパルス信号に基づいて、駆動信号を生成する。パルス信号生成部では、ビーム状の光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間のパルス幅を設定する。全ての画素について同じパルス幅のパルス信号を基準として駆動信号を生成可能であるから、ビーム状の光の線速度が変化する場合であっても、偏り無く略均一にビーム状の光を照射させることができる。また、画素タイミング信号を用いて駆動信号を生成することにより、画素を形成する各領域に対して良好な光量分布で光を照射させることが可能となる。本発明の光走査装置は、パルス信号のパルス幅を決定するときのみビーム状の光の線速度を用いる演算を行い、あとは画素タイミング信号に同期させたパルス信号を用いて簡易な手法により駆動信号を生成することができる。このため、演算により各画素に対して求められた線速度を基にして光源部の駆動を制御する場合に比較して、光源部の制御を簡易にすることが可能である。また、レーザ光の線速度の変動に対応して、容易に駆動信号を生成することが可能である。これにより、簡易な制御によってビーム状の光を良好な光量分布で走査させることが可能な光走査装置を得られる。
また、本発明の好ましい態様によれば、駆動信号生成部は、画像信号に応じて振幅が制御された駆動信号を生成することが望ましい。ビーム状の光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下にパルス幅を設定することから、振幅を制御するアナログ方式を用いる場合、1画素当りのビーム状の光の照射時間の変化を低減することが可能となる。これにより、振幅の制御を用いて、ビーム状の光を正確な光量に調節することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、駆動信号生成部は、画像信号に応じてパルス幅が制御された駆動信号を生成することが望ましい。ビーム状の光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下にパルス幅を設定することから、パルス幅を制御するディジタル信号を用いる場合、1画素当りのビーム状の光の照射時間の変化を低減することが可能となる。これにより、パルス幅の制御を用いて、ビーム状の光を正確な光量に調節することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、駆動信号生成部は、アナログ信号である画像信号に基づいて、駆動信号を生成することが望ましい。これにより、アナログ信号である画像信号に基づいて、ビーム状の光を正確な光量に調節することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、駆動信号生成部は、ディジタル信号である画像信号に基づいて、駆動信号を生成することが望ましい。これにより、ディジタル信号である画像信号に基づいて、ビーム状の光を正確な光量に調節することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、パルス信号生成部は、第1の方向へビーム状の光を走査させる速度、及び第2の方向へビーム状の光を走査させる速度がいずれも最大であるときにビーム状の光が画素の領域を通過する時間以下の時間に相当するパルス幅を有するパルス信号を生成することが望ましい。例えば、反射ミラーに設けられた回転軸を中心として反射ミラーを回転させることで第1の方向、第2の方向へビーム状の光を走査させる場合、第1の方向、第2の方向のいずれについてもビーム状の光の線速度が変化することとなる。第1の方向、第2の方向のいずれについてもビーム状の光の線速度が最大であるとき、ビーム状の光が画素の領域を通過する時間は最も短くなる。第1の方向、第2の方向のいずれについてもビーム状の光の線速度が最大であるときビーム状の光が画素の領域を通過する時間以下の時間のパルス幅を設定することで、二次元方向について略均一にビーム状の光を照射させることができる。これにより、二次元方向について良好な光量分布を得ることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、走査部は、第1の方向へビーム状の光を走査させる周波数が、第2の方向へビーム状の光を走査させる周波数より高くなるように駆動され、かつ第2の方向についてビーム状の光を往復させることが望ましい。第2の方向についてビーム状の光を往復させる場合、第2の方向におけるビーム状の光の線速度が変化することが考えられる。第2の方向についてビーム状の光を往復させる場合に、良好な光量分布を得ることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、走査部は、第1の方向へビーム状の光を走査させる周波数が、第2の方向へビーム状の光を走査させる周波数より高くなるように駆動され、かつ第2の方向の一の向きへビーム状の光を走査させることが望ましい。第2の方向の一の向きへビーム状の光を走査させる場合、第2の方向におけるビーム状の光の線速度が変化することが考えられる。第2の方向の一の向きへビーム状の光を走査させる場合に、良好な光量分布を得ることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、光源部は、同色かつ複数のビーム状の光を供給し、走査部は、同色かつ複数のビーム状の光を並列させて走査させ、パルス信号生成部は、同色かつ複数のビーム状の光のうちの一のビーム状の光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を有するパルス信号を、同色かつ複数の各ビーム状の光に対して生成することが望ましい。同色とは、互いに同一又は近似する波長領域を有することをいうものとする。一のビーム状の光に着目して演算されたパルス幅を有するパルス信号を各ビーム状の光に対して生成することで、ビーム状の光ごとにパルス幅を演算する場合と比較して、光源部の制御を簡易にすることが可能である。これにより、同色かつ複数のビーム状の光を走査させる場合に、簡易な制御により、良好な光量分布を得ることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、複数の走査部を有し、パルス信号生成部は、複数の走査部のうちの一の走査部により走査させる一のビーム状の光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を有するパルス信号を、複数の走査部により走査させる各ビーム状の光に対して生成することが望ましい。例えば、略同一の速度でビーム状の光を走査させる複数の走査部を用いる場合に、一の走査部で走査させる一のビーム状の光に着目してパルス幅を演算する。かかるパルス幅を有するパルス信号を各走査部で走査させる各ビーム状の光について生成することで、ビーム状の光ごとパルス幅を演算する場合と比較して、光源部の制御を簡易にすることが可能である。これにより、複数の走査部を用いてビーム状の光を走査させる場合に、簡易な制御により、良好な光量分布を得ることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、走査部は、第1走査部及び第2走査部を有し、パルス信号生成部は、第1走査部で走査させる一のビーム状の光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を有するパルス信号を、第1走査部により走査させる各ビーム状の光に対して生成し、第2走査部で走査させる一のビーム状の光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を有するパルス信号を、第2走査部により走査させる各ビーム状の光に対して生成することが望ましい。走査部ごとに演算された最短パルス信号を用いてパルス信号を生成することで、走査部ごとに、ビーム状の光の光量分布を略均一にすることができる。これにより、走査部ごとに設定されたパルス信号を用いて、良好な光量分布を得ることができる。
さらに、本発明によれば、画像信号に応じて変調されたビーム状の光を走査させる光走査装置の制御方法であって、ビーム状の光を供給する光供給工程と、光供給工程において供給されたビーム状の光を、第1の方向と、第1の方向に略直交する第2の方向へ走査させる走査工程と、画像信号に応じて形成される画素の領域ごとにビーム状の光が入射するタイミングを表す画素タイミング信号を生成する画素タイミング信号生成工程と、画素タイミング信号に基づいて、ビーム状の光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を有するパルス信号を生成するパルス信号生成工程と、パルス信号及び画像信号に基づいて、光源部を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成工程と、を含むことを特徴とする光走査装置の制御方法を提供することができる。
駆動信号生成工程では、パルス信号生成工程にて生成されたパルス信号に基づいて、駆動信号を生成する。パルス信号生成工程では、ビーム状の光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間にパルス幅を設定する。全ての画素について同じパルス幅のパルス信号を基準として駆動信号を生成可能であるから、ビーム状の光の線速度が変化する場合であっても、偏り無く略均一にビーム状の光を照射させることができる。また、画素タイミング信号を用いて駆動信号を生成することにより、画素を形成する各領域に対して良好な光量分布で光を照射させることが可能となる。本発明の制御方法によると、パルス信号のパルス幅を決定するときのみビーム状の光の線速度を用いる演算を行い、あとは画素タイミング信号に同期させたパルス信号を用いて簡易な手法により駆動信号を生成することができる。このため、演算により各画素に対して求められた線速度を基にして光源部の駆動を制御する場合に比較して、光源部の制御を簡易にすることが可能である。これにより、簡易な制御によってビーム状の光を良好な光量分布で走査させることができる。
さらに、本発明によれば、光走査装置からの光により画像を表示する画像表示装置であって、光走査装置は、上記の光走査装置であることを特徴とする画像表示装置を提供することができる。上記の光走査装置を用いることにより、簡易な制御によってビーム状の光を良好な光量分布で走査させることができる。これにより、簡易な制御によって良好な光量分布で高品質な画像を表示することが可能な画像表示装置を得られる。
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る画像表示装置100の概略構成を示す。画像表示装置100は、スクリーン110の一方の面にレーザ光を供給し、スクリーン110の他方の面から出射される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタである。画像表示装置100に設けられた光走査装置120は、画像信号に応じて変調されたレーザ光を走査させる。画像表示装置100は、光走査装置120からのレーザ光をスクリーン110に透過させることで画像を表示する。
光走査装置120に設けられた光源部101は、ビーム状の光であるレーザ光を画像信号に応じて変調して供給する。光源部101としては、レーザ光を変調するための変調部を設けた半導体レーザや、固体レーザを用いることができる。光源部101は、振幅変調によりレーザ光を変調する。画像表示装置100は、光走査装置120によりR光、G光、B光を走査させることでカラー画像を表示する。このため、光走査装置120にはR光、G光、B光のそれぞれについて光源部が設けられているが、本実施例では、単独の色光を供給するための構成について図示及び説明を行うものとする。また、本実施例では単独の光源部を用いる構成について説明することとしているが、各色光について複数の光源部を用いることとしても良い。
光源部101からのレーザ光は、投写光学系102を透過した後、走査部200に入射する。走査部200は、光源部101からのレーザ光を走査させる。光源部101と走査部200との間に設けられた投写光学系102、及び走査部200とスクリーン110との間の投写光学系103は、光源部101からのレーザ光をスクリーン110上に結像させる。投写光学系102、103を用いることにより、スクリーン110に高精細な画像を表示することができる。
図2は、走査部200の概略構成を示す。走査部200は、反射ミラー202と、反射ミラー202の周囲に設けられた外枠部204とを有する、いわゆる二重ジンバル構造をなしている。外枠部204は、回転軸であるトーションばね206によって、不図示の固定部に連結されている。外枠部204は、トーションばね206の捩れと、元の状態への復元とを利用して、トーションばね206を中心として回動する。反射ミラー202は、トーションばね206に略直交する回転軸であるトーションばね207によって、外枠部204に連結されている。反射ミラー202は、光源部101からのレーザ光を反射する。反射ミラー202は、高反射性の部材、例えばアルミニウムや銀等の金属薄膜を形成することにより構成できる。
反射ミラー202は、外枠部204がトーションばね206を中心として回動することにより、スクリーン110においてレーザ光をY方向(図1参照)へ走査させるように変位する。また、反射ミラー202は、トーションばね207の捩れと、元の状態への復元とを利用して、トーションばね207を中心として回動する。反射ミラー202は、トーションばね207を中心として回動することにより、反射ミラー202で反射したレーザ光をX方向へ走査させるように変位する。このように、走査部200は、光源部101からのレーザ光を、被照射領域であるスクリーン110において第1の方向であるX方向と、第1の方向に略直交する第2の方向であるY方向へ走査させる。
図3は、走査部200を駆動するための構成を説明するものである。反射ミラー202がレーザ光を反射する側を表側とすると、第1の電極301、302は、外枠部204の裏側の空間であって、トーションばね206に関して略対称な位置にそれぞれが設けられている。第1の電極301、302に電圧を印加すると、第1の電極301、302と、外枠部204との間には、電位差に応じた所定の力、例えば静電力が発生する。外枠部204は、第1の電極301、302に交互に電圧を印加することにより、トーションばね206を中心として回動する。
トーションばね207は、詳細には、第1のトーションばね307と第2のトーションばね308とで構成されている。第1のトーションばね307と第2のトーションばね308との間には、ミラー側電極305が設けられている。ミラー側電極305の裏側の空間には、第2の電極306が設けられている。第2の電極306に電圧を印加すると、第2の電極306とミラー側電極305との間には、電位差に応じた所定の力、例えば静電力が発生する。第2の電極306のいずれにも同位相の電圧を印加すると、反射ミラー202は、トーションばね207を中心として回動する。走査部200は、このようにして反射ミラー202を回動させることで、レーザ光を二次元方向へ走査させる。走査部200は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により作成することができる。
走査部200は、例えば画像の1フレーム期間において、垂直方向であるY方向へ1回レーザ光を走査させる間に、水平方向であるX方向について複数回レーザ光を往復させるように反射ミラー202を変位させる。このように、走査部200は、第1の方向であるX方向へレーザ光を走査させる周波数が、第2の方向であるY方向へレーザ光を走査させる周波数に比べて高くなるように駆動される。なお、X方向へのレーザ光の走査を高速に行うために、走査部200は、トーションばね207を中心として反射ミラー202を共振させる構成とすることが望ましい。反射ミラー202を共振させることにより、反射ミラー202の変位量を増大させることができる。反射ミラー202の変位量を増大させることにより、走査部200は、少ないエネルギーで効率良くレーザ光を走査させることができる。なお、反射ミラー202は、共振を用いず駆動することとしても良い。
なお、走査部200は、電位差に応じた静電力によって駆動する構成に限られない。例えば、電磁力を用いて駆動する構成や、圧電素子の伸縮力を用いて駆動する構成であっても良い。電磁力を用いる場合、電流に応じて反射ミラー202と永久磁石との間に電磁力を発生させることにより、走査部200を駆動できる。また、走査部200は、X方向にレーザ光を走査させる反射ミラーと、Y方向にレーザ光を走査させる反射ミラーとを設ける構成としても良い。
図1に戻って、走査部200からのレーザ光は、投写光学系103を透過した後、反射部105に入射する。反射部105は、筐体107の内面であって、スクリーン110と対向する位置に設けられている。反射部105は、光走査装置120からのレーザ光をスクリーン110の方向へ反射する。筐体107は、筐体107内部の空間を密閉する。スクリーン110は、筐体107の所定の一面に設けられている。スクリーン110は、画像信号に応じて変調された光走査装置120からのレーザ光を透過させる透過型スクリーンである。反射部105からの光は、スクリーン110の、筐体107の内部側の面から入射した後、観察者側の面から出射する。観察者は、スクリーン110から出射する光を観察することにより、画像を鑑賞する。
図4は、スクリーン110におけるレーザ光の走査の態様を説明するものである。走査部200は、スクリーン110の入射側から見てスクリーン110の左上部の画素からプラスX方向へレーザ光を走査させる。1行目の画素上の走査を終えた後、レーザ光の進行方向は、プラスX向きからマイナスX向きへと変換される。そして、走査部200は、2行目の画素についてマイナスX方向へレーザ光を走査させる。このような走査を繰り返すことにより、レーザ光は、スクリーン110上において、X方向に振動するサイン波形状の走査軌跡SCを描きながら移動する。
図5は、X方向へ走査させるレーザ光の線速度と、図4に示すX方向についての画素位置との関係について説明するものである。レーザ光の線速度は、進行方向が変換される位置に近い左端部P1、及び右端部P3において最も小さく、進行方向が変換される位置同士の中間位置である中央部P2において最も大きくなる。このため、レーザ光が左端部P1を通過するタイミングと右端部P3を通過するタイミングとの間の時間を単に画素数で割った時間を基にレーザ光を変調しても、画素は、中央部P2では小さく両端部P1、P3では大きく表示されてしまう。
そこで、光走査装置120は、レーザ光の線速度に基づいて生成された画素タイミング信号を用いて、光源部101の駆動信号を生成する。画素タイミング信号は、画素の領域ごとにレーザ光が入射するタイミングを表す信号である。画素タイミング信号を用いると、レーザ光の線速度が変化する場合であっても、画像信号に応じて変調されたレーザ光を正確な位置に入射させることが可能となる。なお、走査部200は、Y方向へレーザ光を走査させる周波数が、X方向へレーザ光を走査させる周波数に比べて高くなるように駆動する構成であっても良い。この場合、Y方向が第1の方向、X方向が第2の方向となる。
図6は、光源部101の駆動を制御するための構成を説明するものである。光源駆動部601は、駆動信号に基づいて光源部101を駆動する。ON/OFF制御部602は、駆動信号のパルス幅に応じて、光源部101のON/OFFを制御する。電流制御部603は、駆動信号の振幅に応じて、光源部101からのレーザ光の光量を制御する。本実施例の光走査装置120は、画像信号に応じて振幅が制御された駆動信号を用いるアナログ方式によりレーザ光の変調を行う。
図7は、レーザ光の走査を制御するための構成を説明するものである。画像信号入力部111は、入力端子から入力された画像信号の特性補正や増幅等を行う。例えば、画像信号入力部111は、図8に示すように、アナログ形式の画像信号を増幅部801で増幅することにより、アナログ形式の光源変調用強度信号を出力する。図7に戻って、同期/画像分離部112は、画像信号入力部111からの信号を、R光、G光、B光のそれぞれについての画像情報信号、垂直同期信号、水平同期信号に分離し、制御部113へ出力する。制御部113のうち、走査制御部123は、垂直同期信号、水平同期信号に基づいて、走査部200を駆動する駆動信号を生成する。走査駆動部115は、制御部113からの駆動信号に応答して走査部200を駆動する。
水平角度センサ125は、スクリーン110にてレーザ光をX方向へ走査させる反射ミラー202(図2参照)の振り角を検出する。垂直角度センサ126は、スクリーン110にてレーザ光をY方向へ走査させる反射ミラー202の振り角を検出する。信号処理部127は、垂直角度センサ126の変位からフレーム開始信号F_Sync、水平角度センサ125の変位からライン開始信号L_Syncをそれぞれ生成し、制御部113へ出力する。
画像処理部121は、制御部113に入力された画像情報を走査線ごとの情報に分けてフレームメモリ114に出力する。フレームメモリ114は、画像処理部121からの画像信号をフレーム単位で格納する。光源制御部122は、フレームメモリ114から読み出される行ごとの画像情報信号を出力する。また、制御部113は、フレーム開始信号F_Sync、ライン開始信号L_Syncから演算された線速度、及び垂直同期信号、水平同期信号に基づいて、画素タイミング信号を生成する。制御部113は、画素タイミング信号を生成する画素タイミング生成部である。なお、制御部113は、予め演算された線速度に基づいて画素タイミング信号を生成するほか、レーザ光の位置を検出する検出器からの信号に基づいて画素タイミング信号を生成することとしても良い。また、制御部113とは別に、画素タイミング生成部や、レーザ光の線速度を演算する線速度演算部を設けることとしても良い。
最短パルス幅演算部701は、画素タイミング信号に基づく演算により、レーザ光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を導き出す。パルス信号生成部702は、最短パルス幅演算部701で導き出されたパルス幅を有するパルス信号を生成する。駆動信号生成部703のうちON/OFF設定部704は、パルス信号生成部702からのパルス信号に同期させてON/OFFの切り換えを設定する。駆動信号生成部703のうち振幅設定部705は、アナログ形式の光源変調用強度信号に応じて振幅を設定する。
図9は、駆動信号生成部703で生成される駆動信号について説明するものである。図9では、1本の走査線のうち左端部、中央部、右端部の各近傍の画素についての画素タイミング信号、パルス信号、駆動信号の例を示す。画素タイミング信号は、画素の領域へレーザ光が入射するタイミングにおいて、LからHに切り換わる。画素タイミング信号がLからHに切り換わるタイミング同士の時間は、レーザ光が画素の領域を通過する時間に相当する。上述のように、レーザ光の線速度は、被照射領域中左端部及び右端部で小さく、中央部において大きくなる。従って、被照射領域のうち中央部において画素タイミング信号がLからHへ切り換わるタイミング同士の時間T1が、レーザ光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間である。
最短パルス幅演算部701は、画素タイミング信号を用いることにより、時間T1以下の時間に相当するパルス幅T2を導き出す。また、パルス信号生成部702は、画素タイミング信号と同じタイミングでLからHへ切り換わり、かつ最短パルス幅演算部701にて導き出されたパルス幅T2のパルスからなるパルス信号を生成する。さらに、駆動信号生成部703は、所定の振幅Iを最大値として、階調に応じた振幅を決定する。以上のようにして、駆動信号生成部703は、パルス信号生成部702からのパルス信号、及び画像信号に基づいて、光源部101を駆動するための駆動信号を生成する。アナログ信号として入力された画像信号は、駆動信号生成部703により、振幅が制御された駆動信号となって出力される。光走査装置120は、振幅の制御を用いて、レーザ光を正確な光量に調節することができる。
光走査装置120は、全ての画素についてパルス幅T2のパルス信号を基準として駆動信号を生成する。観察者が目で感じる光の強さが光の強度と光の点灯時間との積であると考えると、同じパルス幅のパルス信号に基づいて駆動信号を生成することにより、レーザ光の線速度に関わらず画像信号に応じたレーザ光を照射させることが可能である。このため、レーザ光の線速度が変化する場合であっても、偏り無く略均一にレーザ光を照射させることができる。また、画素タイミング信号を用いて駆動信号を生成することにより、画素を形成する各領域に対して良好な光量分布で光を照射させることが可能となる。
光走査装置120は、パルス信号のパルス幅を決定するときのみレーザ光の線速度を用いる演算を行い、あとは画素タイミング信号に同期させたパルス信号を用いて簡易な手法により駆動信号を生成することができる。このため、演算により各画素に対して求められた線速度を基にして光源部101の駆動を制御する場合に比較して、光源部101の制御を簡易にすることが可能である。また、レーザ光の線速度の変動に対応して、容易に駆動信号を生成することが可能である。これにより、簡易な制御によってレーザ光を良好な光量分布で走査させることができるという効果を奏する。また、簡易な制御によって良好な光量分布で高品質な画像を表示することができる。
図10は、本発明の実施例2に係る光走査装置について説明するものであって、レーザ光の走査を制御するための構成を説明するものである。本実施例の光走査装置は、上記実施例1に係る画像表示装置100に適用することができる。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施例の光走査装置は、PWMを用いて光源部101からのレーザ光を変調することを特徴とする。画像信号入力部111は、図11に示すように、アナログ/PWM変換部1101により、アナログ形式の画像信号を、ディジタル形式の光源変調用パルス信号に変換する。
上記実施例1と同様に、パルス信号生成部702は、最短パルス幅演算部701で導き出されたパルス幅を有するパルス信号を生成する。PWM変調部1003は、光源変調用パルス信号を基に、画像情報に基づいたパルス信号を生成する。駆動信号生成部703のうちON/OFF設定部704は、PWM変調部1003からのパルス信号に同期させてON/OFFの切り換えを設定する。駆動信号生成部703のうち振幅設定部705は、振幅を所定値に設定する。
図12は、駆動信号生成部703で生成される駆動信号について説明するものである。図12では、1本の走査線のうち左端部、中央部、右端部の各近傍の画素についての画素タイミング信号、パルス信号、駆動信号の例を示す。パルス信号生成部702において時間T1以下のパルス幅T2のパルスからなるパルス信号を生成する工程までは、上記実施例1と同様である。PWM変調部1003は、パルス幅T2を最大値として、階調に応じたパルス幅を決定する。駆動信号生成部703は、所定の振幅Iと、PWM変調部1003で決定されたパルス幅とを有するパルスからなる駆動信号を生成する。以上のようにして、駆動信号生成部703は、パルス信号生成部702からのパルス信号、及び画像信号に基づいて、光源部101を駆動するための駆動信号を生成する。
アナログ信号として入力された画像信号は、駆動信号生成部703により、パルス幅が制御された駆動信号となって出力される。光走査装置は、パルス幅の制御を用いて、レーザ光を正確な光量に調節することができる。本実施例の場合も、上記実施例1の場合と同様に、簡易な制御によってレーザ光を良好な光量分布で走査させることができる。なお、駆動信号生成部703は、画素タイミング信号がLからHへ変わるタイミングにパルスが立ち上がるような駆動信号を生成する場合に限られない。例えば、駆動信号生成部703は、画素タイミング信号がLからHへ変わるタイミング同士の中間や、画素タイミング信号がLからHへ変わる直前においてパルスが立ち上がるような駆動信号を生成しても良い。
なお、本発明の光走査装置は、アナログ信号である画像信号が入力される構成に限られず、ディジタル信号である画像信号が入力される構成であっても良い。例えば、画像信号入力部111は、図13に示すように、ディジタル/アナログ変換部1301によって、ディジタル信号である画像信号をアナログ形式の光源変調用強度信号に変換することとしても良い。かかる構成を用いる場合、ディジタル信号として入力された画像信号は、振幅が制御された駆動信号となって出力される。
また、画像信号入力部111は、図14に示すように、ディジタル/PWM変換部1401によって、ディジタル信号である画像信号を、ディジタル形式の光源変調用パルス信号に変換することとしても良い。かかる構成を用いる場合、ディジタル信号として入力された画像信号は、パルス幅が制御された駆動信号となって出力される。本実施例の光走査装置は、ディジタル信号である画像信号を入力する場合も、画像信号に基づいて、ビーム状の光を正確な光量に調節することができる。
図15は、本発明の実施例3に係る画像表示装置について説明するものであって、スクリーン110におけるレーザ光の走査軌跡SCを示す。本実施例は、第1の方向へレーザ光を走査させる速度、及び第2の方向へレーザ光を走査させる速度がいずれも最大であるときにレーザ光が画素の領域を通過する時間以下の時間に相当するパルス幅を用いてパルス信号が生成されることを特徴とする。本実施例の画像表示装置は、光源部の制御の態様が異なる他は、上記実施例1の画像表示装置100(図1参照)と同様の構成を有する。
図16は、第2の方向であるY方向におけるレーザ光の走査位置の変化を説明するものである。本実施例において、光走査装置は、図3に示す走査部200により、第1の方向であるX方向のみならず第2の方向であるY方向についてもレーザ光を往復させる。このことから、レーザ光は、X方向の場合と同様に、Y方向についてもサイン波に沿って変位する。スクリーン110上にてレーザ光を走査させるのは、図中両矢印で示すように、時間に対するレーザ光の位置の変化量が一定に近くなる期間である。
図17に示すように、Y方向についてのレーザ光の線速度は、X方向の場合と同様に、スクリーン110にてレーザ光を走査させる期間の中央にて最大となる。よって、Y方向についてのレーザ光の線速度は、レーザ光の進行方向が変換される位置に近い上端部P4、及び下端部P6において最も小さく、レーザ光の進行方向が変換される位置同士の中間位置である中央部P5において最も大きくなる。Y方向におけるレーザ光の線速度が中央部P5で最大、上端部P4及び下端部P6で最小となると、スクリーン110の中央部P5に近い部分で光量が少なく、上端部P4に近い部分及び下端部P6に近い部分で光量が多くなるという不具合を生じる。
本実施例において、最短パルス幅演算部701(図7参照)は、X方向へレーザ光を走査させる速度、及びY方向へレーザ光を走査させる速度がいずれも最大であるときにレーザ光が画素の領域を通過する時間以下の時間に相当するパルス幅を導き出す。まず、最短パルス幅演算部701は、X方向及びY方向のうちレーザ光を走査させる周波数が低いY方向において、レーザ光の走査速度が最大となる位置を割り出す。Y方向についてレーザ光を往復させる場合、Y方向についてレーザ光の走査速度が最大となるのは、中央部P5である。次に、Y方向についてレーザ光の走査速度が最大となる位置の走査線にて、X方向におけるレーザ光の走査速度が最大となる位置を割り出す。最短パルス幅演算部701は、このようにしてパルス幅を導き出す。
本実施例の場合、X方向及びY方向についてレーザ光の走査速度が最大となるのは、X方向について中央、かつY方向についても中央である、スクリーン110の中心部である。最短パルス幅演算部701は、スクリーン110の中心部の画素上を通過する時間以下の時間に相当するパルス幅を導き出す。このようにして決定されたパルス幅を用いて生成されたパルス信号を用いて光源部を制御することにより、二次元方向について略均一にレーザ光を照射させることができる。これにより、二次元方向について良好な光量分布を得ることができる。
なお、本実施例の画像表示装置は、第2の方向であるY方向についてレーザ光を往復させる構成に限らず、Y方向の一の向きにレーザ光を走査させる構成であっても良い。例えば、図18に示すように、スクリーン110の上端部P4から下端部P6へ、Y方向において下向きへのみレーザ光を走査させることとしても良い。走査部は、レーザ光を下向きへ走査させた後、レーザ光の走査位置を下から上へ瞬時に変化させ、再びレーザ光を下向きへ走査させるフライバック走査を繰り返す。この場合、スクリーン110上にてレーザ光を走査させるのは、図中両矢印で示すように、時間に対するレーザ光の位置の変化量が一定に近くなる期間である。
図19は、Y方向において下向きにレーザ光を走査させる場合のレーザ光の線速度の変化を示す。Y方向におけるレーザ光の線速度は、レーザ光の進行方向が上向きから下向きに変換された直後、及び下向きから上向きに変換させる手前にて小さくなる。このように、Y方向においてレーザ光を一つの向きへ走査させることでレーザ光の線速度が変化する場合も、レーザ光を往復走査させる場合と同様にパルス幅を決定することで、二次元方向について良好な光量分布を得ることができる。なお、本実施例により生成されたパルス信号は、実施例1と同様に、振幅が制御された駆動信号に変換しても良く、実施例2と同様に、パルス幅が制御された駆動信号に変換しても良い。
図20は、本発明の実施例4に係る画像表示装置について説明するものであって、スクリーン110に形成されるレーザ光のスポットSPを示す。本実施例の画像表示装置は、同色かつ複数のレーザ光を走査させる。ここで、同色とは、互いに同一又は近似する波長領域を有することをいうものとする。本実施例において、光源部は、同色のn個のレーザ光を供給する。本実施例の画像表示装置は、光源部の構成、及び光源部の制御の態様が異なる他は、上記実施例1の画像表示装置100(図1参照)と同様の構成を有する。
光源部は、各レーザ光のスポットSPを、第1の方向であるX方向へ並列させる。同色かつ複数のレーザ光を供給する光源部として、例えば、複数の半導体レーザを配列させた光源アレイを用いることができる。光走査装置は、光源部からのn個のレーザ光を、単独の走査部により走査させる。n個のレーザ光は、X方向へスポットSPを並列させた状態を保ちながら移動する。光源部は、複数の半導体レーザを配列させた構成の他、複数の発光部を配列させた半導体レーザを用いる構成としても良い。
図21は、第1の方向であるX方向におけるレーザ光の位置の変化を説明するものである。スクリーン110の左上部(図20参照)に最初に入射するレーザ1は、時間T1においてスクリーン110上を走査する。レーザ1の走査を開始させた後スクリーン110に最後に入射するレーザnは、レーザ1より遅れて時間T2においてスクリーン110上を走査する。この場合、スクリーン110にてレーザ1の走査を開始させるときのレーザ1の線速度と比較して、スクリーン110にてレーザnの走査を開始させるときのレーザnの線速度のほうが大きくなる。また、スクリーン110にてレーザ1の走査を終了させるときのレーザ1の線速度と比較して、スクリーン110にてレーザnの走査を終了させるときのレーザnの線速度のほうが小さくなる。
図22は、レーザ1の線速度L1、及びレーザnの線速度Lnの変化を説明するものである。図20の場合にてn個のレーザ光を左から右へ走査させるとき、レーザ1の線速度L1は、走査を開始させる位置に近い位置で最大となるのに比較して、レーザnの線速度Lnは、走査を終了させる位置に近い位置で最大となる。これとは逆に、n個のレーザ光を右から左へ走査させる場合は、走査を開始させる位置に近い位置でレーザnの線速度Lnが最大となり、走査を終了させる位置に近い位置でレーザ1の線速度L1が最大となる。このように、本実施例の場合、線速度が最大となる位置がレーザ光ごとに異なる。単にスクリーン110の中央部の画素上をレーザ光が通過する時間に基づいて求められたパルス幅からパルス信号を生成したとしても、略均一な光量分布を得られないこととなる。
図23は、本実施例においてレーザ光の走査を制御するための構成を説明するものである。最短パルス幅演算部701は、n個のレーザ光のうちの一のレーザ光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を導き出す。パルス信号生成部702は、最短パルス幅演算部701からの出力に応じて、光源部2301の各半導体レーザLDに対するパルス信号を生成する。例えば、n個のレーザ光のうちレーザ1に着目し、レーザ1が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下のパルス幅が求められる。パルス信号生成部702は、レーザ1に着目して求められたパルス幅を用いて、n個の各レーザ光に対するパルス信号を生成する。
一のレーザ光に着目して演算されたパルス幅を有するパルス信号を各レーザ光に対して生成することで、レーザ光ごとにパルス幅を演算する場合と比較して、光源部2301の制御を簡易にすることが可能である。これにより、同色かつ複数のビーム状の光を走査させる場合に、簡易な制御により、良好な光量分布を得ることができる。なお、本実施例において、レーザ光ごとに演算されたパルス幅を用いて、レーザ光ごとにパルス信号を生成することとしても良い。
図24は、本発明の実施例5に係る光走査装置2400の要部構成を示す。本実施例の光走査装置2400は、第1走査部2411、及び第2走査部2412を用いて赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光を走査させる。R光用光源部2401Rは、ビーム状のR光を供給する。G光用光源部2401Gは、ビーム状のG光を供給する。2つのB光用光源部2401B1、2401B2は、互いに同一又は異なる波長を有するビーム状のB光を供給する。
R光用光源部2401RからのR光、及びG光用光源部2401GからのG光は、第1走査部2411へ入射する。第1走査部2411は、R光及びG光をスクリーン110にてX方向及びY方向へ走査させる。2つのB光用光源部2401B1、2401B2からのB光は、第2走査部2412へ入射する。第2走査部2412は、B光をスクリーン110にてX方向及びY方向へ走査させる。第1走査部2411、第2走査部2412は、略同じ周期でレーザ光を走査させる。第1走査部2411、第2走査部2412は、第1の方向であるX方向について略同じ速度でレーザ光を走査させ、かつ第2の方向であるY方向について略同じ速度でレーザ光を走査させる。
本実施例において、最短パルス幅演算部701(図7参照)は、2つの走査部2411、2412のうちの一の走査部により走査させる一のレーザ光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を導き出す。パルス信号生成部702は、最短パルス幅演算部701から出力されたパルス幅を有するパルス信号を、各走査部2411、2412で走査させる各レーザ光に対して生成する。例えば、第1走査部2411で走査させるR光に着目し、R光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下のパルス幅が求められる。パルス信号生成部702は、R光に着目して求められたパルス幅を用いて、各色光に対するパルス信号を生成する。各色光用光源部2401R、2401B、2401G1、2401G2は、パルス信号生成部702からのパルス信号に基づいて生成された駆動信号により駆動される。
一の走査部により走査される一のレーザ光に着目して演算されたパルス幅を有するパルス信号を各レーザ光に対して生成することで、レーザ光ごとにパルス幅を演算する場合と比較して、光源部の制御を簡易にすることが可能である。これにより、複数の走査部を用いてビーム状の光を走査させる場合に、簡易な制御により、良好な光量分布を得ることができる。なお、本実施例の光走査装置2400は、複数の走査部を用いる構成であれば良く、2つの走査部を用いる構成に限られない。また、走査部と色光との組合せも本実施例で説明するものに限られず、適宜決定することができる。複数の走査部は、第1の方向、又は第2の方向について、レーザ光を異なる速度で走査させても良い。この場合、複数の走査部により走査される各レーザ光のうち、画素の領域を通過する時間が最短となる一のレーザ光に着目してパルス幅を決定することができる。
次に、本実施例の変形例について説明する。本変形例は、第1走査部2411、第2走査部2412の制御、光源部の制御の態様が異なる他は上記の光走査装置2400と同様の構成を有する。本変形例では、第1走査部2411、第2走査部2412が互いに異なる周期でレーザ光を走査させる。第1走査部2411、第2走査部2412は、第1の方向であるX方向について互いに異なる速度でレーザ光を走査させる。
例えば、スクリーン110において、R光用光源部2401RからのR光のスポット、及びG光用光源部2401GからのG光のスポットが、Y方向に並列するとする。また、2つのB光用光源部2401B1、2401B2からのB光のスポットも、Y方向に並列するとする。第1走査部2411は、各走査線についてR光及びG光を走査させる必要から、Y方向について走査位置を1行ずつシフトさせる。2つのB光用光源部2401B1、2401B2が同一又は近似する波長のB光を供給する場合、第2走査部2412は、走査位置を1行おきに移動させることが可能となる。このことから、第1走査部2411と第2走査部2412とでフレーム期間を一致させるには、第2走査部2412は、第1走査部2411に対して略半分の速度でレーザ光を走査させることとなる。
本変形例において、最短パルス幅演算部701(図7参照)は、第1走査部2411で走査させる一のレーザ光、例えばR光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を導き出す。パルス信号生成部702は、第1走査部2411について求められたパルス幅を用いて、第1走査部2411で走査させる各レーザ光に対するパルス信号を生成する。パルス信号生成部702は、R光に着目して求められたパルス幅を用いて、第1走査部2411で走査させるR光及びG光に対するパルス信号を生成する。
また、最短パルス幅演算部701は、第2走査部2412についても、一のレーザ光、例えば一のB光用光源部2401B1からのB光が画素の領域を通過する時間のうち最も短い時間以下の時間に相当するパルス幅を導き出す。パルス信号生成部702は、第2走査部2412について求められたパルス幅を用いて、第2走査部2412で走査させる各レーザ光に対するパルス信号を生成する。パルス信号生成部702は、一のB光用光源部2401B1からのB光に着目して求められたパルス幅を用いて、第2走査部2412で走査させる2つのB光に対するパルス信号を生成する。
このように、走査部ごとに演算されたパルス幅を用いてパルス信号を生成することで、走査部ごとに、レーザ光の光量分布を略均一にすることができる。これにより、走査部ごとに設定されたパルス信号を用いて、良好な光量分布を得ることができる。なお、本変形例は複数の走査部を用いる構成であれば良く、2つの走査部を用いる場合に限られない。また、複数の走査部により第1の方向について互いに異なる速度でレーザ光を走査させる場合に限られない。第1の方向、第2の方向の少なくとも一方について互いに異なる速度でレーザ光を走査させる場合であれば良い。また、第1の方向、第2の方向についていずれも略同じ速度でレーザ光を走査させる場合でも、走査部ごとに演算されたパルス幅を用いてパルス信号を生成することとしても良い。
図25は、本発明の実施例6に係る画像表示装置2500の概略構成を示す。画像表示装置2500は、観察者側に設けられたスクリーン2505にレーザ光を供給し、スクリーン2505で反射する光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるフロント投写型のプロジェクタである。画像表示装置2500は、上記実施例1と同様に、光走査装置120を有する。上記実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。光走査装置120からのレーザ光は、投写光学系103を透過した後、スクリーン2505に入射する。本実施例の場合も、簡易な制御によってビーム状の光を良好な光量分布で走査させ、高品質な画像を表示することができる。
なお、上記各実施例において、光走査装置はレーザ光を供給する光源部を用いる構成としているが、ビーム状の光を供給可能な構成であれば、これに限られない。例えば、光源部は、発光ダイオード素子(LED)等の固体発光素子を用いる構成としても良い。また、本発明の光走査装置は、画像表示装置に用いる以外に、例えば、レーザプリンタ等の、レーザ光を走査させる電子機器に用いることとしても良い。