JP5075184B2 - スクライビングホイール - Google Patents
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Description
本発明の第1の実施の形態によるスクライビングホイールについて説明する。図2(a)はこのスクライビングホイールの正面図、図2(b)はその右側面図である。これらの図に示すようにスクライビングホイール1Aは中央に円板状のホイール本体部2Aを有し、ホイール本体部2Aの厚さ方向の中央に一平面内に含まれる最大円周の稜線を含むテーパー状の部分が刃先部3Aとして形成されている。又ホイール本体部2Aの両側の側方に同軸に円柱軸部4及び5を有している。円柱軸部4及び5の夫々の外側の端部には同一の傾斜角度αを持つテーパー部6,7が夫々形成されている。このスクライビングホイール1Aは全てが焼結ダイヤモンドにより一体に形成されている。
さてこの素材ブロック10の中心軸に平行に円柱形の多数の部材をワイヤ放電加工によって切り取る。これによって図4Bに示すように細長い加工素材20を例えば40〜50本得ることができる。この加工素材20は例えば直径が2.0〜3.5mm、長さは16mmの円柱状の素材である。そしてこの加工素材20も超硬合金層21と焼結ダイヤモンド層22とから成り立っている。
次に図4Cにおいて、加工素材20の超硬合金層21の左側部分をチャックにより固定して一点鎖線で示す円柱の中心軸を中心として高速で回転させ、ワイヤ放電加工機によって放電し、超硬合金層21と焼結ダイヤモンド層22の部分を図4Cに示すように切り取る。ここで放電加工の軌跡を加工ライン30〜39で示す。加工ライン30は一点鎖線で示す円柱の中心軸に対して所定の角度で切欠くものであり、加工ライン31は中心軸に平行、加工ライン32はこれよりやや太めにテーパー状のラインを形成するものである。加工ライン33は中心軸に平行、加工ライン34は加工ライン33の終了後に径を異ならせてテーパー状に形成することによって形成される加工ライン、加工ライン35はホイール本体部2Aに刃先部3Aを形成するためのテーパー状部分、加工ライン36もこの逆の傾きを有するテーパー状部分である。又加工ライン37は直径を小さくするためのライン、加工ライン38は加工ライン33と対称であり同一の太さを有する中心軸に平行な加工ライン、加工ライン39は加工ライン32と対称な傾きを有する加工ラインである。ここで加工ライン31〜39は全て焼結ダイヤモンド層22で成形される。又加工ライン32,39はテーパー部6,7の斜面よりもわずかに大きく設定され、後述する研磨加工のための削りしろを残している。又加工ライン35,36は刃先部3Aの斜面よりもわずかに大きく設定され、後述する研磨加工のための削りしろを残している。
次に粗形状成形工程について説明する。放電加工の際には表面が高温になるため加工変質層が形成され、表面から数十μm内部まで変質している。このため、放電加工のままでは使用時に高精度を維持することはできない。特に図2(a)に示すテーパー部6,7は軸受と直接接触するため、加工変質層を除去した上、正確なテーパー状面とする必要がある。そこで加工ライン32とライン39に沿って放電加工した後に更に表面の精度を増すために研磨加工を行う。研磨工程ではワイヤ放電加工のときと同様に超硬合金層21の左側をチャックにより固定して円柱の軸を中心として回転させ、テーパー面の表面を研磨する。この研磨加工によって加工ライン32,39の加工時に形成された変質層を取り除き、左右の円柱軸部4,5の先端のテーパー部6,7のテーパー状部分の角度を正確に形成することができる。
図4Dにおいて一点鎖線で示す超硬合金層21側の焼結ダイヤモンド層の部分を切り離すことにより、図2に示すようにホイール本体部2A及び円柱軸部4,5の全部が焼結ダイヤモンド層22から成るスクライビングホイール1Aを得ることができる。この場合に切断した面を研磨して左右対称となるようにしてもよいが、テーパー状の更に先端部分は使用時には軸受の貫通孔に入り込むことになるため、図5に示すようにテーパー部6の先端を少し残しておいてもよく、研磨しなくてもよい。
次に本発明の第2の実施の形態について図6を用いて説明する。第2の実施の形態によるスクライビングホイール1Bもホイール本体部2B及び刃先部3B以外は第1の実施の形態と同様である。このスクライビングホイール1Bでは、ホイール本体部2Bを図6(a)に示すように2段のテーパー面となるようにしたものである。その他の構造については第1の実施の形態と同様である。そして左右のテーパー部6,7の研磨は第1の実施の形態と同様である。ホイール本体部2Bの研磨は、刃先部3Bの稜線に近い傾斜部分である左右の斜面の研磨加工で足りる。この場合には研磨加工の角度を刃先部3Bのみで適宜選択することができる。その後テーパー部6の先端で切断することによりスクライビングホイール1Bを完成させる。
次に本発明の第3の実施の形態について図7を用いて説明する。第3の実施の形態によるスクライビングホイール1Cもホイール本体部2C及び刃先部3C以外は第1の実施の形態と同様である。このスクライビングホイール1Cは、ホイール本体部2Cを2段のテーパー面となるようにしたものである。その他の構造については第1の実施の形態と同様である。ホイール本体部2Cの研磨は、稜線に近い刃先部3Cの傾斜部分である左右の斜面のみの研磨加工で足りる。この場合にも研磨加工の角度を刃先部3Cのみで適宜選択することができる。その後テーパー部6の先端で切断することによりスクライビングホイール1Cを完成させる。ここで図7に示すように、ホイール本体部2Cの一対の傾斜面を示す直線の延長線のなす角度を刃先の稜線部の頂角より小さくしておくものとする。
次に本発明の第4の実施の形態について図8を用いて説明する。第4の実施の形態によるスクライビングホイール1Dもホイール本体部2D及び刃先部3D以外は第1の実施の形態と同様である。このスクライビングホイール1Dは、ホイール本体部2Dを3段のテーパー面となるようにしたものである。その他の構造については第1の実施の形態と同様である。そして左右のテーパー部6,7の研磨は第1の実施の形態と同様である。ホイール本体部2Dの研磨は、稜線に近い刃先部3Dの傾斜部分である左右の斜面のみの研磨加工で足りる。この場合にも切削加工の角度を刃先部3Dのみで適宜選択することができる。その後テーパー部6の先端で切断することによりスクライビングホイール1Dを完成させる。ここで図8に示すように、ホイール本体部2Dの一対の傾斜面を示す直線の内側同士及び外側同士の延長線のなす角度を刃先の稜線部の頂角より小さくしておくものとする。
次に本発明の第5の実施の形態について図9を用いて説明する。第5の実施の形態によるスクライビングホイール1Eもホイール本体部2E及び刃先部3Eのみが異なり、その他の部分は第1の実施の形態と同様である。第5の実施の形態のスクライビングホイール1Eでは図9及び図10の部分拡大図に示すように、刃先部3Eはホイール本体部2Eの中央に設けられた円板部40を有し、その稜線をテーパー状の刃先に構成したものである。円板部40の厚さは刃先部3Eの厚さであり、これをw5bとする。円板部40の両側にはテーパー状の傾斜部41,42及び43,44が設けられる。こうすれば円板部40の厚さw5bを薄くしても傾斜部41〜44により強度が維持される。また左右のテーパー部6,7の研磨は第1の実施の形態と同様である。ホイール本体部2Eの研磨は刃先部3Eの稜線を形成する斜面のみの研磨加工で足りる。この場合にも研磨加工の角度を刃先部3Eのみで適宜選択することができる。その後テーパー部6の先端で切断することによりスクライビングホイール1Eを完成させる。ここで図9に示すように、ホイール本体部2Eの一対の傾斜面を示す直線の内側同士及び外側同士の延長線のなす角度を刃先の稜線部の頂角より小さくしておくものとする。
2A,2B,2C,2D,2E ホイール本体部
3A,3B,3C,3D,3E 刃先部
4,5 円柱軸部
6,7 テーパー部
10 素材ブロック
11,21 超硬合金
12,22 焼結ダイヤモンド層
20 加工素材
30〜39 加工ライン
40 円板部
41,42,43,44 傾斜部
Claims (2)
- 中心に一平面内の円形の稜線を有し、焼結ダイヤモンドにより形成された円板状のホイール本体部と、
前記ホイール本体部の左右に同軸に前記焼結ダイヤモンドにより前記ホイール本体部と一体に形成された円柱軸部と、を具備するスクライビングホイールにおいて、
前記円柱軸部は、夫々の外側端部に同軸に所定の角度となるように形成されたテーパー部を有するものであり、
前記ホイール本体部は、ホイール本体部の中央に設けられ、その稜線部の頂角が所定の角度となるように形成された円板部から成る刃先部と、
前記円板部の両側の面に前記円柱軸部から連続して形成されたテーパー状の傾斜部と、を有し、前記傾斜部のなす角度は前記稜線部の頂角より小さいものであるスクライビングホイール。 - 前記円板部の厚さは0.4〜0.03mmの範囲とした請求項1記載のスクライビング
ホイール。
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