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JP5072170B2 - 3層構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表皮材、発泡層および基材からなる成形品であって、自動車用内装部品などに好適に使用できる3層構造体の製造方法に関する。
昨今、環境問題が大きく取り沙汰されており、自動車内装材部品についても、より環境負荷の低い材料や製造方法への改善が求められている。一方、市場ニーズからは、より質感の高く意匠性に優れたものが求められており、従来技術では到底これら全ての要求事項を満足し得る材料や製造方法がないのが現状である。
例えば、設計の自由度が高く質感も高い内装材の主流となる作製方法として知られているのが、表皮材は塩化ビニルやオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)もしくはウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)を素材としてスラッシュモールド法で成形し、基材はポリプロピレン(PP)もしくはABS等を射出成形法で成形し、これらの表皮材と基材とをそれぞれ金型(上側、下側いずれか一方の)内面に固定し、間隙(キャビティ)に液状の反応(硬化)発泡性のウレタン原料を注入し、金型内で発泡一体化させ、表皮材/発泡パッド材/基材の3層構造からなる内装用表皮材を一体で成形する方法である。
しかし、この方法では表皮材、発泡パッド材および基材の材質系がそれぞれ異なり、仮に表皮材をTPO、基材をPPのオレフィン系材料の同種系に合わせたとしても、発泡パッド材が熱硬化性の発泡ウレタン材料であり単一材料系でないため、リサイクル性に問題があった。
これらの観点から、表皮材、基材そして発泡パッド材もオレフィン系材料を用いる方法としてシート状の表皮材と発泡パッド材、場合によってはバリア材を積層化し、これを予め真空成形に賦形し、次にこの積層賦形成形物と基材PPとを射出成形やスタンピング成形で一体成形する方法が提案された。
しかし、この方法では発泡パッド材として耐熱性が高く、また硬度の高いものを使う必要があることや、工程が多岐に渡り、それらの製造工程で多くの端材を発生させてしまうため、廃棄物が多量に発生してしまうという問題があった。
これらの問題を解決するため特許文献1や特許文献2では、発泡剤を配合した発泡性オレフィン系熱可塑性エラストマーをキャビティムーブ法を用いて成形することで対応している。この方法によれば、発泡させることが難しかった固体状の熱可塑性樹脂でも比較的容易に発泡させることができ3層構造の一体成形が可能になった。
また特許文献3では、キャビティのクリアランスを1.00mm以下にして、そこへ化学発泡剤を混入したポリプロピレン溶融樹脂を供給し、この樹脂の供給中にキャビティ内の溶融樹脂の圧力が一定の範囲となるように可動型を移動させてキャビティクリアランスを拡げ、溶融樹脂の供給完了後に特定の圧をかけながらスキン層を形成させる方法が示されている。
特開平8−207074号公報 特開平9−157426号公報 特公平7−77739号公報
上述した先行技術にあってはウェルドラインによる問題を十分に解決できない。即ち、インストルメントパネルやドアトリムのような大型部品の成形になると、多点ゲートの金型を使用せざるを得ず、発泡性樹脂の金型内での流動樹脂の合せ目(ウェルドライン)に凹凸が残り、表皮材の表面からも凹凸が見えてしまうほど外観が悪くなる欠点が明らかになった。
上記ウェルドラインの問題は単一のゲートでも問題になるが、ゲートを複数にした場合で且つ発泡性樹脂の場合に特に問題となる。つまり、複数のゲートから溶融樹脂がキャビティ内に射出されるとゲートの部分を中心として溶融樹脂はキャビティ内で広がろうとするが、同様に他方のゲートから射出された溶融樹脂も広がろうとする。その結果、キャビティ内で一方のゲートから射出された溶融樹脂と他方のゲートから射出された溶融樹脂との間に密閉空間ができ、そのまま成形を継続すると当該密閉空間が狭くなるので、密閉空間内が高温・高圧になり、射出された溶融樹脂の表面が高温・高圧の影響で硬く且つ高密度になりウェルドラインの問題が顕著になる。
ウェルドライン発生の対策として、射出圧力を高めたり、射出時に金型内圧力を発泡圧以上に上げる方法もあるが、それでは樹脂の発泡が抑制されて発泡倍率が上がらない。また、発泡性樹脂として流動性の高いものを用いることも考えられるが、流動性がよく発泡性の良いものは現実にはないため、結局、成形条件として射出成形温度や射出スピードを上げざるを得なかった。しかしながら、射出温度や射出スピードを上げた場合、前述のキャビティムーブ法による射出成形であっても、射出機ゲート部から型内に発泡性樹脂が導入される際、予め型内に固定されている材料(表皮側あるいは基材側)が熱的ダメージや圧力的なダメージを被り易く、成形品の変形や、シワ、肉痩せの問題が生じる。
本発明は、自動車用内装材部品などに使用可能な表皮材、発泡層および基材からなる3層構造体について、表皮材や基材に熱的、圧力的ダメージによるシワや肉痩せを生じることなく、ウェルドによる成形表面の凹凸や変形の問題がなく、さらに意匠性、軽量性、柔軟性、クッション性、手触り性、リサイクル性等に優れた3層構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の3層構造体の製造方法は、固定型と可動型からなる射出成形用金型を用いた3層構造体の製造方法であって、前記固定型および可動型の一方の内面に基材を他方の内面に表皮材を固定する第1の工程と、前記金型を閉じて形成したキャビティ内に発泡層形成用熱可塑性エラストマーを射出する第2の工程と、第2の工程途中に前記可動型を移動させて前記キャビティのクリアランスを拡大させる第3の工程と、発泡の終了した表皮材、発泡層および基材からなる成形品を取り出す第4の工程とを含む。
上記構成とすることで、射出された溶融樹脂と溶融樹脂との間に形成される空間内のガスを抜くことができ、ウェルドラインの発生を有効に防止できる。
また、前記第3の工程において、前記可動型の移動は、前記発泡層形成用熱可塑性エラストマー全量の10〜95容量%を射出した時点で開始させることが好ましい。
前記表皮材および発泡層の材料としてそれぞれオレフィン系熱可塑性エラストマーを、また基材の材料として結晶性オレフィン樹脂を使用することがリサイクル性の面で好ましい。
また、前記表皮材の厚さおよび基材の厚さ厚を除いた前記キャビティの射出開始時点のクリアランスは1mm以上に設定し、前記第3の工程において、前記クリアランスを3〜6mmまで拡大させることが好ましい。
本発明の3層構造体の製造方法によれば、大型の金型による3層構造体の成形であっても、可動型を移動して金型のキャビティクリアランスを拡大開始するタイミング(コアバックタイミング)を射出完了前とすることで、ウェルドライン付近での発泡をスムーズに行える。その結果、表皮材の熱的、圧力的ダメージを防止することができ、また、コアバックタイミングを射出完了前に行うことで熱可塑性エラストマーの流動抵抗が低くなり、表皮材のシワを防止し、シボ流れも防止でき、熱可塑性エラストマーが型内で隅々まで流れやすくなる利点もある。
また、コアバックにより発泡時期が早まり熱可塑性エラストマーが金型内で冷え込む前に発泡できるため発泡倍率も高まり泡の均質性も良くなる。同時に、発泡剤の種類によってはガスが揮発する場合があるが、このガスを発泡層内から効率よく逃がすことできるため、ボイドの発生を押さえ込むことができ、結果的に脱型時間を短縮できコスト面においても有利である。
更に、前記表皮材および発泡層の材料としてそれぞれオレフィン系熱可塑性エラストマーを、また基材の材料として結晶性オレフィン樹脂を使用した場合には、3層がいずれもオレフィン系材料によって構成されるため、上記各効果に加えてリサイクル性をも向上させることができる。
以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
本発明で使用可能な射出成形機は、固定型と可動型とを組み合わせてキャビティを形成する射出成形用金型を搭載したものである。この金型は上記可動型を稼働させて金型を開閉するコアバック成形可能な金型であり、中でも印籠構造タイプの金型を用いるのが望ましい。
図1に、本発明で使用可能な射出成形機と金型の組合せの一例を断面図で示す。図1において、射出成形機1は原料樹脂ペレットを投入するためのホッパー2と、加温装置を備え成形機本体3、および加熱により溶融した樹脂を混練しかつ押し出すためのスクリュー4を主要構成部としている。また、金型5は射出成形機1に固定された固定型6、およびこれと噛み合わされてキャビティを形成するための可動型7とを主要構成部としている。
射出成形機1よりスクリュー4によって押出された発泡層形成用の熱可塑性エラストマー8は、固定型6と可動型7とによって形成されるキャビティ内へ固定型6に穿設された複数のゲート9を通じて射出される。なお、本図ではゲート9は2箇所であるが、この数は3箇所、6箇所等、適宜増加することができる。
金型5を嵌合させる前に、固定型6のキャビティ形成面には基材10を固定しておく。基材10は予め固定型6の形状に合わせて射出成形や真空成形で形状やサイズを調整されたものであることが望ましい。もし製造する発泡体が単純な平板状であれば、押し出しシート品を金型サイズにカットして用いることもできる。基材10の厚みは、材質にもよるが自動車用内装材等にとって最終的に必要な剛性に合わせて適宜決定する。基材10の厚みは0.5mm〜5mmの間が一般的である。
また基材10には、射出成形機1のノズルより射出移送された熱可塑性エラストマー8がゲート9を通して、基材10と表皮材11との間に注入されるよう、予めゲート9の射出口形状に合わせた穴を開けておくことが好ましい。固定型6のゲート9は、成形品の重心位置近くに設けたダイレクトゲートであることが、成形時に発泡層の発泡倍率が均一に得られやすいため好ましい。
またダイレクトゲート9として、ストップバルブを設けたバルブゲートを採用し、射出完了時に速やかにストップバルブで射出停止することが、熱可塑性エラストマー8の逆流を防止することができ発泡成形品の寸法精度を高める点で好ましい。
図2に、本発明に係るバルブゲートの一例を断面図で示す。図2において、バルブゲート9には油圧シリンダー12によって前進後退が可能なバルブピン13が内部に設けられていて、油圧シリンダー12は油圧ポンプ14から得た圧力によって、矢印で示した熱可塑性エラストマー8の流れを停止することができる。
金型5の可動型7のキャビティ形成面には、表皮材11を固定しておく。表皮材11は予め可動型7の形状に合わせてパウダースラッシュ成形や真空成形、射出成形等で形状やサイズを調整されたものであることが望ましい。表皮材11の厚みは0.5mm〜5mmの間であるのが一般的である。
基材10および表皮材11の固定方法の例としては、固定型6や可動型7に真空装置を設けて減圧状態にしたり、粘着剤によって付着させる方法がある。なお、基材10および表皮材11はそれぞれ固定型6および可動型7のいずれにセットすることも可能であるが、固定型6にセットした積層材料にはゲート9用の穴をあける必要があるため、人目につきにくい基材10をこちらにセットするのが一般的である。
基材10と表皮材11との間に最初に設定する間隔、つまり射出開始時点のキャビティクリアランスが狭くなると熱可塑性エラストマー8の流動抵抗が増えて表皮材11が熱可塑性エラストマー8に押し流されてしまうことがあり、その結果成形品にシワが発生する問題や金型5内の熱可塑性エラストマー8の充填性が悪くなる傾向がある。しかし本発明においては、射出終了前にキャビティクリアランスを広げるため熱可塑性エラストマー8の流動抵抗が軽減される。したがって熱可塑性エラストマー8の射出開始時点のキャビティクリアランスは従来法よりも自由度が高くなり、例えば1mm以上のクリアランスがあれば極めて良好な結果が得られる。
また、キャビティクリアランスが1mm未満の場合は、既述のように熱可塑性エラストマー8の流動抵抗が増加する不利があるが、エアの巻き込みが防止できるという利点もある。本発明によればエアの巻き込みが発生しやすい成形初期のみキャビティクリアランスが1mm未満とし、その後キャビティクリアランスを広げて流動抵抗を小さくすることも可能である。
図3(a)〜(e)は本発明に係る製造方法の一例を金型の断面図で、(a)は、熱可塑性エラストマー8の射出前の金型5の状態である。この時点では、固定型6と可動型7とは一定のキャビティクリアランス15を確保して互いに噛みあっている。同図(b)では、キャビティクリアランス15内に熱可塑性エラストマー8がゲート9から射出されている状態を示し、同図(c)では可動型7が矢印方向に移動する状態が示され、同図(d)では可動型7は停止され、拡大したキャビティクリアランス15内が発泡体で満たされている。そして最後に同図(e)に示すように可動型7を固定型6から開放することにより3層構造体16が金型5から取り出される。
図ではゲート9を一対示しているが、実際の成形装置ではこの対をなすゲート9が紙面垂直方向に離間して複数対設けられている。そして、特に従来において問題となっているのは紙面垂直方向に離間している対をなすゲート9同士の間に形成されるウェルドラインであるが、後述するように可動型7のコアバックによって、射出された溶融樹脂間に形成される空間からガスを逃がすことでウェルドラインの発生を防止できる。
前記射出成形直前の金型5の固定型6と可動型7の型締め圧力は0MPa以上あればよく、最終的に所定の位置で可動型7が停止されれば良いが、パーティングライン17は閉じた状態である必要がある。
発泡剤を分散・溶存させた熱可塑状態の熱可塑性エラストマー8は射出成形機1によりゲート9から射出されるが、そのときの射出スピードはより速いほうが良く、30mm/秒以上が望ましい。またその際の射出圧力も高い方が良く、望ましくは150MPa以上、さらには200〜220MPaが良い。熱可塑性エラストマー8の射出時の温度としては、十分な流動性を確保できればどのような温度でも構わないが一例を示せば180〜230℃である。
可動型7のコアバック開始のタイミングは、射出し始めてから射出し終わる直前まで(フルストロークの100%未満)の間であれば良いが、熱可塑性エラストマー8が10〜95容量%(射出スクリュー4のフルストロークの10〜95%)射出された時点からコアバックを開始させ、可動型7を所定の位置まで移動させて停止させることで、ウェルドの発生を効果的に抑えられ、かつ樹脂の充填性を満足でき好ましい。さらに50〜95容量%でコアバックを開始すると、発泡性もさらに高まり樹脂の充填性も高まりさらに好ましい。
このような条件によりショートショットを起こさずバリが出ない発泡倍率の高い成形品が得られる。なお型開きは連続的でも良いし途中で変化させても良い。またその際のコアバックの速度は、型の構造や製品形状によって適宜選択でき、0.1〜50mm/秒が好ましい。なお、コアバックの開始が上記10%未満では、キャビティの端部付近まで熱可塑性エラストマー8が達する以前に可動型7が後退してキャビティクリアランス15が拡がり過ぎ、ショートショットを引き起こすことがある。また、ショートショットを防ぐために熱可塑性エラストマー8の充填量を増加させると発泡倍率の低下や発泡ムラを引き起こし製品品質が低下することがある。
金型5の冷却は、一般的に15〜80℃であるが30℃以下が好ましい。インサート成形やサンドイッチ成形等を行う時は、インサートやサンドイッチ材料の肉厚や材料の結晶化スピードを考慮して金型温度を調整する。最終的に、成形品形状、外見や寸法に影響を与えずに取り外しが可能な温度で金型5を開き、3層構造体16を脱型し取り出す。なお、発泡倍率については、3層構造体16の用途に応じて適宜決定することができるが、通常1〜10倍である。
基材10の原料としてはオレフィン系の結晶性樹脂を使用することが望ましい。このような樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが代表例として挙げられるがポリプロピレンを用いるのが好ましい。これらの結晶性樹脂に補強材として有機フィラーや無機フィラーを配合すると剛性が高まるため望ましい。
表皮材11は、後述の発泡層を形成させるオレフィン系熱可塑性エラストマーと同様の原料を使用することが、製品のリサイクルを考慮すると好ましい。
発泡層を形成するための熱可塑性エラストマー8としては、柔軟性のある熱可塑性エラストマー、すなわちオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ブタジエン系熱可塑性エラストマー、SBS系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
本発明では、好ましくは表皮材11として軟質の上記オレフィン系エラストマーを用い、硬質な基材10としてオレフィン系結晶性樹脂を用い、発泡性樹脂もオレフィン系の熱可塑性エラストマーとする。するとこれらは共にオレフィン系のため3層一体で射出成形時に相互の接着性が良好となり、かつ、リサイクルする場合に分別不要となる。さらに、オレフィン系樹脂は焼却するときに有害ガスを発生しないのでウレタン樹脂などの軟質樹脂に比べ環境に優しい。
本発明で用いる熱可塑性エラストマー8は、メルトフローレートが0.01〜30g/10分(ASTM D1238)、さらには5〜10g/10分であることが好ましい。メルトフローレートがこの範囲であると熱可塑性エラストマー8の流動性が金型5内で十分にあるとともに、金型5を早期にコアバックさせても漏れが起こりにくく、したがってバリが出にくい。熱可塑性エラストマー8の硬度については、発泡するためかなり広い範囲のものを用いることができ、表皮材の硬度との兼ね合いで選択し得るが、30/JIS−A〜70/JIS−Dの範囲のものを用いることが好ましい。
本発明ではオレフィン系熱可塑性エラストマーを発泡層形成用の熱可塑性エラストマー8として用いることが好ましく、オレフィン系熱可塑性エラストマーが部分架橋するかまたは分枝構造が導入されているものが射出時の流動性と発泡性に支障をきたさないため極めて好ましい。このようなオレフィン系熱可塑性エラストマーは、オレフィン系共重合ゴムと結晶性オレフィン系プラスチックとの混練反応によって得られるものである。オレフィン系共重合ゴムとしてはエチレンとα−オレフィン(例えばプロピレン)の共重合体や、これに非共役ジエン成分を共重合したものが好適に使用される。結晶性オレフィンプラスチックとしては、プロピレン等のα-オレフィンの重合体、共重合体、またはこれらの混合物が用いられる。上記混練反応は架橋剤や架橋助剤の存在下で行なうこともできる。
熱可塑性エラストマー8に配合される発泡剤としては、熱分解してガスを発生する熱分解型発泡剤があり、具体的には、アゾジカーボンアミド(ADCA)、ジエチルアゾカルボキシレート、アゾジカルボン酸バリウム、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,3−ジスルホンヒドラジドフェニルスルホン酸、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジドトリアジンなどの有機発泡剤、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム等の無機発泡剤が挙げられる。特に有機発泡剤としては、アゾジカーボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トリヒドラジドトリアジンが好ましく、無機発泡剤としては炭酸水素ナトリウムが好ましい。熱分解型発泡剤に代えて、揮発性溶剤や水等の蒸気圧によって樹脂を発泡させることもできる。また、ガスそのものを発泡性樹脂基材に分散あるいは含浸させることもでき、この場合、二酸化炭素ガスや窒素ガスが発泡剤として挙げられる。
発泡層を形成するための熱可塑性エラストマー8には、上記熱分解型発泡剤を分散または、予め練り込んだマスターバッチを用いることが好ましい。また、熱分解型発泡剤を用いない場合は、射出成形時に、射出成形機1から熱可塑性エラストマー8を射出する前に、二酸化炭素や窒素のガス、または揮発性溶剤や水等を注入混合し、分散させておく方法を用いることができる。
本発明で熱分解型発泡剤を用いる場合は、たとえば、熱可塑性エラストマー8と発泡剤をV型ブラベンダー、タンブラーミキサー、リボンブラベンダー、ヘンシェルミキサーなどの混練機を用いて混練し、この混練に続いてさらに、押出機、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練する。この混練は熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度で行なうのが望ましい。熱分解型発泡剤または発泡用揮発性溶剤、水等は、未発泡の熱可塑性エラストマー100重量部に対して、通常0.05〜25重量部の割合で用いられる。これらの発泡剤は単独または複数の組合せ、またいわゆる分解助剤を併用することができる。また、発泡剤として二酸化炭素ガスや窒素ガスを使用する場合は、未発泡の熱可塑性エラストマー100重量部に対して、通常0.01〜1.5重量部の割合が好ましい。
本発明で用いられる、熱可塑性エラストマー8中には、その他必要に応じて各種架橋剤、架橋促進剤、発泡助剤、湿潤剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、老化防止剤、可塑剤、難燃剤、増粘剤、滑剤、着色剤など、熱可塑性エラストマー組成物に通常用いられる添加剤さらには各種充填材を、本発明の目的を損なわない範囲において添加することができる。添加剤および充填材は、上記溶融混練のいずれかの段階において配合する。これらによって調製される未発泡未架橋の発泡性樹脂のマスターバッチは、公知のペレタイザーでペレット形状にして用いるのが望ましい。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<実施例>
用いた射出成形機は、型締め力650トン、可塑化能力197kg/h、射出スクリュー径90mm、最大射出圧170MPa、射出スピード160mm/秒である。また金型は、幅280mm、長さ980mm、厚さ6mmの板状の噛み込み可能な構造を有し、バルブ付きダイレクトゲートを3点設けたものである。
先ず、上記金型の可動型面に、この面のサイズに合わせた厚さ1.00mmのオレフィン系熱可塑性エラストマー製の表皮材をセットし、また、固定型面には厚さ2mmのPP板材であってゲート部に相当する位置に予め穴を空けた基材をセットした。そしてキャビティクリアランスを約5mmに設定して金型を閉じた後に発泡層形成用の熱可塑性エラストマーを射出した。熱可塑性エラストマーの組成と射出条件の詳細は以下の通りである。
JIS−Aゴム硬度が50のオレフィン系熱可塑性エラストマーと、この熱可塑性エラストマー100重量部に対して0.2重量%の窒素ガスとを、230℃に加熱した射出成形機シリンダー内で溶融混合させた後、上記キャビティクリアランス内に射出した。このときの射出スピードは160mm/秒、金型温度は30℃、コアバック開始時期は射出スクリューのフルストロークに対し90%射出時、コアバックスピードは6mm/秒であった。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡硬化後、表皮材/発泡層/基材よりなる3層積層発泡成形品を取り出して測定したところ発泡倍率(発泡後比重と発泡前比重とを比較した)は約3倍であった。また、この成形品はゲート部対面位置の表皮材の熱および圧力的ダメージ(シワや肉痩せ)がなく、ウェルドラインも美麗になっており、表皮材表面から見たウェルド部の凹凸や成形品全体の変形もなく良好で、さらに手触り感も良好であった。
<比較例>
型開き開始時期を射出終了後とした以外は実施例1と同じ樹脂組成および射出条件で表皮材/発泡層/基材よりなる3層積層発泡成形品を製造した。この成形品の発泡倍率は約2.1倍と低く、ゲート部対面位置で熱および圧力ダメージがあったため熱痩せやシワが極めて大きく、さらにウェルドラインはスジ状に発泡していないため凹凸が著しく、表皮外観状態も不良であった。
本発明の3層構造体の製造方法によれば、多点ゲートを用いた大型の金型による3層構造体であっても、表皮材のシワ、変形、シボ流れ等の発生を防止でき、かつ、発泡層の発泡倍率を高め均質性も良好とすることができる。したがって高意匠、高機能の3層構造体を得ることができる。また、脱型時間を短縮できコスト面も有利であるため自動車内装用品の製造に好適に使用できる。さらに、前記表皮材および発泡層としてオレフィン系熱可塑性エラストマーを、また、基材として結晶性オレフィン系樹脂を使用した場合には、3層がいずれもオレフィン系材料によって構成されるため、リサイクル性をも向上させることができ産業上の利用性が一層高まる。
本発明で使用可能な射出成形機と金型の組合せの一例を示す断面図 本発明に係るバルブゲートの一例を示す断面図 本発明の3層構造体の製造方法の一例を示す金型の断面図
符号の説明
1…射出成形機、2…ホッパー、3…成形機本体、4…スクリュー、5…金型、6…固定型、7…可動型、8…熱可塑性エラストマー、9…ゲート、10…基材
11…表皮材、12…油圧シリンダー、13…バルブピン、14…油圧ポンプ、15…キャビティクリアランス、16…3層構造体。

Claims (2)

  1. 固定型と可動型からなる射出成形用金型を用いた3層構造体の製造方法であって、前記固定型および可動型の一方の内面に基材を他方の内面に表皮材を固定する第1の工程と、前記金型を閉じて形成したキャビティ内に発泡層形成用熱可塑性エラストマーを複数のゲートから射出する第2の工程と、第2の工程途中に前記可動型を移動させて前記キャビティのクリアランスを拡大する第3の工程と、発泡の終了した表皮材、発泡層および基材からなる成形品を取り出す第4の工程とを含み、前記第2の工程での前記発泡層形成用熱可塑性エラストマーの射出速度は30mm/秒以上、前記発泡層形成用熱可塑性エラストマーの射出圧力は150Mpa以上とし、前記第3の工程での可動型の移動を前記発泡層形成用熱可塑性エラストマー全量の50〜95容量%を射出し且つ前記ゲートから射出された溶融樹脂の間に密閉空間が形成された後に開始するとともに可動型の型開きは連続して0.1〜50mm/秒の速度でなすことを特徴とする3層構造体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の3層構造体の製造方法において、前記表皮材および発泡層の材料としてそれぞれオレフィン系熱可塑性エラストマー、および基材の材料として結晶性オレフィン樹脂を使用することを特徴とする3層構造体の製造方法。
JP2004030524A 2004-02-06 2004-02-06 3層構造体の製造方法 Expired - Fee Related JP5072170B2 (ja)

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