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JP5068131B2 - 加硫モールドの予熱方法 - Google Patents

加硫モールドの予熱方法 Download PDF

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Description

この発明は、加硫モールドの交換後等に加硫モールドを加硫に適する温度付近まで予熱する予熱方法に関する。
一般に、加硫すべきタイヤの種類が変更されると、この変更に伴って加硫装置における加硫モールド、ブラダが対応するものに交換されるが、このとき、次使用の加硫モールド等は長時間保管ステーションで保管されていたものであるため、常温まで温度が低下している。この結果、加硫モールド等の交換後に温度の低い加硫モールドを用いて未加硫タイヤを加硫しようとすると、最初の未加硫タイヤの加硫時における加硫度の制御が困難となり、これにより、該最初の未加硫タイヤに対して適正な加硫を行うことができず廃棄せざるを得なかった。
このような課題を解決するため、従来、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが提案されている。
特開平10−006345号公報
このものは、交換作業前に次使用の加硫モールドを加熱プレート上に載置して該加熱プレートにより予熱しておき、この予熱された次使用の加硫モールドと使用済みの加硫モールドとを交換した後、予熱が残っている次使用の加硫モールドを用いて未加硫タイヤの加硫を行うというものである。
しかしながら、このように予熱しておいた加硫モールドに交換をして加硫を行うようにしても、加熱プレートから取り出した時点から加硫作業の開始時までの間にある程度の時間が経過するため、加硫モールドは放熱によって温度が不均一に低下し、この結果、適正な加硫を行うには予熱が不十分であるという課題があった。しかも、次使用の加硫モールドを予熱するために、予熱用の加熱プレートが必要となり、装置全体が構造複雑で高価となってしまうという課題もあった。
このような課題を解決するため、例えば、加硫モールド等を次使用のものに交換後、加硫モールドを閉止するとともに、この閉止状態の加硫モールドを、該加硫モールドに密着配置されている熱板に未加硫タイヤの加硫モールドへの搬入直前まで加熱流体を供給することで外側から加熱する一方、ブラダの内部に未加硫タイヤの加硫モールドへの搬入直前まで低圧の加熱流体を供給することで内側から加熱し、これにより、加硫モールドをブラダと共に予熱するようにすることも考えられる。
しかしながら、このようにすると、予熱時にブラダが加硫モールドの型付け面に直接接触して、該ブラダの模様が前記型付け面に転写されるため、未加硫タイヤを前述した加硫モールドを用いて加硫すると、該加硫モールドの型付け面に転写されたブラダの模様がタイヤに転写され、加硫済タイヤに外観不良が発生するという課題があった。
この発明は、予熱時におけるブラダと加硫モールドとの直接接触を阻止することで加硫済タイヤの外観不良を防止することができる加硫モールドの予熱方法を提供することを目的とする。
このような目的は、未加硫タイヤの外表面を型付けする閉止状態の加硫モールドに密着配置された熱板に未加硫タイヤの加硫モールドへの搬入直前まで加熱流体を供給するとともに、加硫時に未加硫タイヤを内側から加硫モールドに押し付けるブラダの内部に未加硫タイヤの加硫モールドへの搬入直前まで加熱流体を供給することにより、加硫モールドを予熱するようにした加硫モールドの予熱方法であって、前記ブラダとして、成形終了時における外径が軸方向一端部から軸方向他端部に至るまで実質上同一径である円筒状のものを用いるとともに、前記ブラダに供給する加熱流体の圧力を大気圧以上で 9.8kPa以下とし、さらに、前記ブラダと前記加硫モールドを構成する上、下モールドとの間に、該ブラダと上、下モールドの上、下サイドウォール部型付け面との直接接触を阻止する上、下離隔シートをそれぞれ介在させることにより、達成することができる。
この発明においては、ブラダと加硫モールドを構成する上、下モールドとの間に、該ブラダと上、下モールドの上、下サイドウォール部型付け面との直接接触を阻止する上、下離隔シートをそれぞれ介在させるようにしているため、予熱時におけるブラダから加硫モールド(上、下モールド)の上、下サイドウォール部型付け面に対する模様の転写が阻止され、この結果、加硫済タイヤのサイドウォール部における外観不良が防止される。
また、圧力が大気圧以上で 9.8kPa以下の加熱流体が内部に供給されたブラダは、閉止された加硫モールドおよび上、下離隔シートにより上下から押し潰されるため、拡径しながら円盤状に変形するが、前記ブラダとして、成形終了時における外径が軸方向一端部から軸方向他端部に至るまで実質上同一径である円筒状のものを用いたので、円盤状への変形後もブラダの外周面は軸方向にほぼ平行となる。
ここで、ブラダとして成形終了時における形状が樽状、即ち、外径が軸方向両端部から軸方向中央に向かうに従い徐々に大径となったものを用いると、前述と同様に円盤状に変形したとき、外周面は断面略U字形となるため、該外周面の中央部は本発明のブラダの外周面より半径方向外側に大きく突出し、加硫モールドのトレッド部型付け面に直接接触してしまう。
これに対し、本発明のブラダでは内部に前述した圧力の加熱流体が供給されているため、ゴムの伸長に基づく膨張は殆どなく、しかも、押し潰された状態でもブラダの外周面は前述のように軸方向にほぼ平行となっているので、ブラダの外周面のいずれの部位も加硫モールドのトレッド部型付け面に直接接触するようなことはなく、加硫済タイヤのトレッド部における外観不良も防止される。
また、請求項に記載のように構成すれば、ブラダを傷付けることのない上、下離隔シートを簡単かつ安価に製作することができる。
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1において、11は未加硫タイヤを加硫して加硫済タイヤとする加硫装置であり、この加硫装置11は静止した下基台12を有し、この下基台12には予熱時および加硫時に加熱流体、例えば蒸気、不活性ガス等からなる高温の気体が供給される下熱板(下プラテン)13が断熱材14を介して固定されている。前記下熱板13には下モールド15が密着配置された状態で着脱可能に取り付けられ、この下モールド15の上面には未加硫タイヤの下側サイドウォール部を主に型付けする型付け面16が設けられている。この結果、下モールド15は、下熱板13からの熱が伝熱により伝達され、効果的に加熱される。
17は下基台12の上方にこれから離れて設置された上基台であり、この上基台17は前記下基台12と対をなしている。そして、この上基台17は図示していない垂直なシリンダのピストンロッドに連結されており、この結果、該シリンダが作動すると、上基台17は昇降し、これにより、上基台17は下基台12に対して接近離隔する。
前記上基台17の下面には断熱材18を介して予熱時および加硫時に加熱流体、例えば高温の蒸気、不活性ガス等が供給される上熱板(上プラテン)20が固定されている。19は前記上基台17の直下に配置された水平な可動プレートであり、この可動プレート19には上モールド21が着脱可能に取り付けられ、この上モールド21の下面には未加硫タイヤの上側サイドウォール部を主に型付けする型付け面22が設けられている。
そして、後述の加硫モールドの閉止時には可動プレート19が上熱板20に面接触するが、このとき、上モールド21は金属製の可動プレート19を介して上熱板20に密着配置されることになり、これにより、上モールド21には上熱板20からの熱が伝熱により伝達され、該上モールド21は効果的に加熱される。
23は上基台17に取り付けられた垂直に延びるシリンダのピストンロッドであり、このピストンロッド23の先端(下端)には前記可動プレート19が連結されている。この結果、前記シリンダが作動してピストンロッド23が引っ込んだり突出したりすると、可動プレート19および上モールド21は上基台17と別個に一体的に昇降し、上基台17に対して接近離隔する。
26は可動プレート19および上モールド21を半径方向外側から囲むよう設けられたアウターリングであり、このアウターリング26の上端は前記上基台17の半径方向外端部に取り付けられている。そして、このアウターリング26の内周には下基台12に向かって拡開している円錐面の一部から構成された傾斜面27が形成されている。28は周方向に並べて配置された複数、ここでは9個の弧状をしたホルダであり、これらのホルダ28の上端は上モールド21より半径方向外側の可動プレート19に半径方向に移動可能に支持されている。
また、これらホルダ28の外周には前記アウターリング26の傾斜面27と同一勾配で円錐面の一部からなる傾斜面30が形成され、これら傾斜面30と前記傾斜面27とはあり継手によって連結されながら摺動可能に係合している。この結果、可動プレート19が上基台17に対し接近離隔してこれらの間の間隔が変化すると、ホルダ28は可動プレート19に支持されながら前記傾斜面27、30の楔作用によって半径方向に同期移動する。
33は各ホルダ28の半径方向内側面に着脱可能に取り付けられホルダ28と同数の弧状をしたセクターモールドであり、これらセクターモールド33の半径方向内側面には未加硫タイヤのトレッド部を主に型付けする型付け面34が形成されている。そして、これらセクターモールド33はホルダ28と共に半径方向内側限まで移動すると、互いに密着して連続リング状となるが、このとき、これらセクターモールド33は下降限まで下降している上モールド21および下モールド15に密着するため、これら上、下、セクターモールド21、15、33からなる加硫モールド35は閉止して内部に未加硫タイヤを収納するドーナツ状の空間を形成するとともに、型付け面16、22、34は連続して未加硫タイヤの外表面を型付けする型付け面36を構成する。
図1、2において、38は下基台12の中央部に遊嵌された上下方向に延びるバグ本体であり、このバグ本体38は図示していない流体シリンダ等により昇降される。このバグ本体38には該バグ本体38と同軸のセンターポスト39が摺動可能に挿入され、このセンターポスト39は図示していないシリンダ等によってバグ本体38と別個に昇降される。
このセンターポスト39の上端部には上クランプリング40が着脱可能に取り付けられており、この上クランプリング40は上、下モールド21、15間に位置するとともに、センターポスト39の上昇によって上モールド21の内端部に当接することができる。また、この上クランプリング40の半径方向外端部でその上側部には周方向に連続して延びる四角溝状の切り欠き41が形成されている。
一方、前記バグ本体38の上端部には下クランプリング42が着脱可能に取り付けられ、この下クランプリング42は上、下モールド21、15間に位置するとともに、バグ本体38が下降したとき、下モールド15の内端部に当接することで該下モールド15を下基台12に押付けることができる。43は屈曲容易で伸長可能な加硫済みゴムからなるブラダであり、該ブラダ43は、自身の成形終了時における形状、換言すれば内部に大気圧の空気が存在している自由状態での形状が、図2に実線で示すように住吉提灯状を呈し、上、下クランプリング40、42より大径の円筒部44と、円筒部44の軸方向両端からそれぞれ半径方向内側に向かって延びる円盤部45、46とから構成されている。
このように、この実施形態ではブラダ43として、外径が軸方向一端部から軸方向他端部に至るまで実質上同一径の円筒状のものを使用している。そして、このブラダ43の軸方向一端(上端)側に位置する円盤部45の半径方向内端部は上クランプリング40に、一方、軸方向他端(下端)側に位置する円盤部46の半径方向内端部は下クランプリング42に気密状態でそれぞれ把持されている。また、このブラダ43内には、加硫時に高温、高圧の加熱流体が供給され、未加硫タイヤを内側から加硫モールド35に押し付けることができる。
50、51は加硫時に使用することはなく、加硫モールド35を予熱する予熱時のみに使用する上、下離隔シートであり、これらの上、下離隔シート50、51は薄肉、例えば 0.5〜 2.0mm程度で鍔状を呈し、耐熱性樹脂から構成されている。ここで、前述の樹脂としては、ブラダ43を傷付けることなく、簡単かつ安価に製作することができる、ポリアミド樹脂、特にナイロンを用いることが好ましい。なお、他の樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、液晶ポリエステル樹脂を挙げることができる。
また、前記上離隔シート50は、その外径が加硫モールド35の型付け面36のうち、サイドウォール部を型付けする型付け面16、22とトレッド部を型付けする型付け面34との境界52における直径とほぼ同径であり、一方、その内径は切り欠き41の側面(半径方向内側面)における外径より僅かに大径である。そして、この上離隔シート50はその半径方向内端部が切り欠き41の下面にブラダ43を介して接触することで、上クランプリング40により下方から支持される。また、前記下離隔シート51はその外径が前記境界52における直径とほぼ同径であり、一方、その内径は、上クランプリング40の外径より若干大径である。
次に、前記実施形態1の作用について説明する。
前述のような加硫装置11を用いて未加硫タイヤの加硫を行うが、この際の工程は周知であり、説明が煩雑となるので、詳細説明は省略する。そして、加硫すべきタイヤの種類が変更されると、これに伴って加硫装置11における加硫モールド35、ブラダ43を次に加硫するタイヤに対応するものに交換する。なお、このとき、加硫モールド35と共に可動プレート19、アウターリング26、ホルダ28からなるコンテナ55も一体的に交換してもよい。
ここで、次使用の加硫モールド35等は長時間保管ステーションで保管され常温まで温度が低下しているため、最初の未加硫タイヤから適正な加硫を行うには、加硫モールド35を加硫時の温度付近まで均一に予熱しておく必要がある。なお、ブラダ43に関しては、熱容量が加硫モールド35よりかなり小さいので、加硫を開始すると、急速に温度が上昇するので、予熱を行わなくても問題はないが、この実施形態では加硫モールド35に対する予熱により、ブラダ43は必然的に予熱される。
この場合には、一旦、上基台17等を上昇限まで上昇させるが、このとき、可動プレート19を上基台17に対して下降させることで、セクターモールド33を傾斜面27、30の楔作用により同期して半径方向外側に移動させ、上モールド21から離隔させる。これにより、加硫モールド35が開放される。また、このとき、センターポスト39を上昇させるとともに、ブラダ43の内部から流体を排出し、これにより、ブラダ43の上下端部における外径を上、下クランプリング40、42の外径とほぼ同径まで縮小するとともに、軸方向中央に向かうに従いその外径を徐々に小径として、ブラダ43を図2に仮想線で示すように鼓状に変形させる。
次に、作業者が手作業で下離隔シート51をブラダ43の外側に嵌合させながら水平に下降させ下モールド15(型付け面16)上に載置した後、上離隔シート50を切り欠き41の下面上に載置し、上クランプリング40により上離隔シート50を下方から支持させる。このときの状態が図2に仮想線で示されている。次に、上基台17、可動プレート19等を下降させると、この上基台17の下降の途中で上モールド21が上クランプリング40に当接するが、この当接は、センターポスト39を下降させることで、上クランプリング40を上モールド21に当接させながら上基台17と同一速度で下降させる。
次に、可動プレート19、上モールド21、ホルダ28、セクターモールド33、上クランプリング40が下降限まで下降して、ホルダ28が下熱板13、下モールド15に当接すると、前述した上モールド21等の下降が停止するが、その後も継続して上基台17を下降限まで下降させると、上熱板20は可動プレート19に面接触する。このとき、アウターリング26は上基台17と共に下降するので、セクターモールド33は傾斜面27、30の楔作用によって半径方向内側に同期移動して連続リング状となるとともに上、下モールド21、15に密着し、加硫モールド35が閉止される。これにより、閉止状態の加硫モールド35、詳しくは上モールド21に上熱板20が可動プレート19を介して密着配置される。
そして、前述した加硫モールド35の閉止時あるいはその前後から上、下熱板20、13に高圧で高温の加熱流体を供給するとともに、ブラダ43内に低圧で高温の加熱流体を供給し、これら上、下熱板20、13およびブラダ43からの熱を伝熱により上、下、セクターモールド21、15、33に伝達して、加硫モールド35およびブラダ43を加硫時の温度近傍まで予熱する。ここで、前述した低圧とは、ブラダ43の両端開口が閉止されているとき、内部に加熱流体が供給されると、成形終了時の形状とほぼ同一形状になる圧力で、ブラダ43自身にゴムの伸長が殆ど生じない程度の圧力をいう。
このとき、ブラダ43は膨らんで加硫モールド35に囲まれたドーナツ状空間内に侵入するが、その位置は上離隔シート50と下離隔シート51との間であるので、該ブラダ43と加硫モールド35を構成する上、下モールド21、15との間には、これら上、下離隔シート50、51がそれぞれ介在されることとなり、これにより、ブラダ43と上、下モールド21、15の上、下サイドウォール部型付け面22、16との直接接触が阻止される。
この結果、予熱時におけるブラダ43から加硫モールド35(上、下モールド21、15)の上、下サイドウォール部型付け面22、16への模様の転写が阻止され、これにより、加硫時に加硫モールド35に転写されたブラダ43の模様が未加硫タイヤに転写されることがなくなり、加硫済タイヤのサイドウォール部における外観不良が防止される。
また、内部に低圧の加熱流体が供給されたブラダ43は、図1に示すように、閉止された加硫モールド35および上、下離隔シート50、51により上下から押し潰されるため、拡径しながら円盤状に変形するが、前記ブラダ43として、成形終了時における外径が軸方向一端部から軸方向他端部に至るまで実質上同一径である円筒状のものを用いたので、円盤状への変形後もブラダ43の外周面は加硫モールド35の軸方向にほぼ平行となる。
ここで、ブラダ58として成形終了時における形状が、図3に仮想線で示すような樽状のもの、即ち、外径が軸方向両端部から軸方向中央に向かうに従い徐々に大径となったものを用いると、内部に供給された加熱流体の圧力が低圧であっても、前述と同様に上下から押し潰されることで円盤状に変形したとき、円盤状への変形後のブラダ58の外周面は、図3に実線で示すように断面略U字形となる。
このように図3のような形状のブラダ58を用いると、成形終了時における容積が実施形態1のブラダ43と同一である場合でも、円盤状に変形したブラダ58の外周面の中央部は、実施形態1のブラダ43の外周面より半径方向外側に大きく突出し、加硫モールド35のトレッド部型付け面34に直接接触してしまうのである。この結果、加硫済タイヤのトレッド部にブラダ58の模様が転写され、外観不良が発生してしまうのである。
これに対し、実施形態1のブラダ43では内部に低圧の加熱流体が供給されているため、ゴムの伸長に基づく膨張は殆どなく、しかも、押し潰された状態でもブラダ43の外周面は前述のように軸方向にほぼ平行となっているので、該ブラダ43の外周面のいずれの部位も加硫モールド35のトレッド部型付け面34に直接接触するようなことはなく、加硫済タイヤのトレッド部における外観不良も防止される。
ここで、前述したブラダ43に供給する低圧である加熱流体の圧力は、大気圧以上で 9.8kPa(ゲージ圧)以下である。その理由は、前記圧力が大気圧未満であると、ブラダ43が充分に加硫モールド35のドーナツ状空間内に侵入できず、加硫モールド35の予熱が不十分となることがあり、一方、 9.8kPaを超えると、ブラダ43自身にゴムの伸長が発生して半径方向に拡径しトレッド部型付け面34に直接接触するおそれがあるが、前述の範囲内であると、ブラダ43が内圧に基づく伸長によってトレッド部型付け面34に接触する事態を強力に防止しながら、加硫モールド35を効果的に予熱することができるからである。
そして、前述した上、下熱板20、13およびブラダ43に対する加熱流体の供給は未加硫タイヤの加硫モールド35への搬入直前まで行われ、これにより、加硫モールド35、ブラダ43は内、外側から加熱されて加硫に適する温度付近まで均一に予熱される。その後、加硫終了時と同様に上基台17を上昇させて加硫モールド35を開放するが、このとき、ブラダ43に対する加熱流体の供給は停止する必要があるものの、上、下熱板20、13に対しては加熱流体の供給を停止してもよく、あるいは、継続して供給してもよい。なお、前述の予熱時間は加硫モールド35の大きさ、材質等に合わせて適宜決定すればよい。
次に、加硫装置11から上、下離隔シート50、51を手早く取り除いた後、未加硫タイヤを加硫装置11(加硫モールド35)に搬入し、その後、加硫モールド35を閉止するとともに、上、下熱板20、13およびブラダ43に高圧、高温の加熱流体を供給して、加硫温度まで温度が上昇した加硫モールド35により未加硫タイヤを加硫し加硫済タイヤとする。
なお、前述の実施形態においては、加硫モールド35を3分割された上、下、セクターモールド21、15、33から構成したが、この発明においては、加硫モールドを2分割された上、下モールドから構成してもよい。また、前述の実施形態においては、加硫モールド35、ブラダ43の交換後における加硫モールド35の予熱に適用したが、この発明は、未加硫タイヤの生産工程でのトラブル、長期休暇による生産工場の停止等によって加硫作業をある程度の期間停止させる場合にも適用することができる。
この発明は、加硫モールドの交換後等に加硫モールドを加硫に適する温度付近まで予熱する産業分野に適用できる。
この発明の実施形態1を示す正面断面図である。 ブラダ近傍の正面断面図である。 他形状のブラダを用いたときの予熱時の状態を説明する正面断面図である。
13、20…熱板 15…下モールド
16、22…型付け面 21…上モールド
35…加硫モールド 43…ブラダ
50…上離隔シート 51…下離隔シート

Claims (2)

  1. 未加硫タイヤの外表面を型付けする閉止状態の加硫モールドに密着配置された熱板に未加硫タイヤの加硫モールドへの搬入直前まで加熱流体を供給するとともに、加硫時に未加硫タイヤを内側から加硫モールドに押し付けるブラダの内部に未加硫タイヤの加硫モールドへの搬入直前まで加熱流体を供給することにより、加硫モールドを予熱するようにした加硫モールドの予熱方法であって、前記ブラダとして、成形終了時における外径が軸方向一端部から軸方向他端部に至るまで実質上同一径である円筒状のものを用いるとともに、前記ブラダに供給する加熱流体の圧力を大気圧以上で 9.8kPa以下とし、さらに、前記ブラダと前記加硫モールドを構成する上、下モールドとの間に、該ブラダと上、下モールドの上、下サイドウォール部型付け面との直接接触を阻止する上、下離隔シートをそれぞれ介在させたことを特徴とする加硫モールドの予熱方法。
  2. 前記上、下離隔シートをポリアミド樹脂から構成した請求項1記載の加硫モールドの予熱方法。
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