JP5067919B2 - 吸収性複合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
近年、高齢者向けの紙おむつの需要が増し、吸収性複合体に一層の保水性が求められている。また、流通・ゴミ問題等から吸収性複合体に対して薄型化、軽量化という要求も強まっている。
これらに対応するため、吸収性複合体においては、基材の量を減らし、吸水性樹脂を増やすことが検討されているが、基材の量を減らし、吸水性樹脂を増加させた吸収性複合体は、基材に比して多量の吸水性樹脂が吸水により柔らかいゲル状となり、いわゆるゲルブロッキングという液の拡散を妨げる現象が生じ、保水性が低下するという問題がある。
ゲルブロッキングを防ぐ手段として、吸収性能の異なる2種類の吸収性樹脂を使用する方法(例えば、特許文献1参照)、カチオン性イオン交換ヒドロゲル形成ポリマーとアニオン性イオン交換ヒドロゲル形成ポリマーとを含む組成物を用いる方法(例えば、特許文献2参照)、表面の架橋密度を高い吸収性樹脂を用いる方法(例えば、特許文献3参照)、吸収性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物を発泡押し出ししてシート化する方法(例えば、特許文献4参照)などが提案されているが、いずれの場合も吸収性能を低下させた吸収性樹脂を使用することでゲルブロッキングを防いでいるため、吸収性能の点では十分とはいえない。
このように、吸収性複合体においては、十分な吸収性能の向上、薄型・軽量化が実現できていない。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
少なくとも基材と該基材に接着された吸水性樹脂粒子とから構成される吸収性複合体であって、前記吸水性樹脂粒子の50重量%以上が目の開き500μmの篩を通過できないものである吸収性複合体。
ただし、通常の測定方法で求めた粒子径を用いて大粒子を選別したのでは、細長い粒子や薄く扁平な粒子も大粒子に含まれてしまう可能性があり、確実に充填密度を下げることができない。そこで、本発明においては、大粒子の選別を、篩分けにより行うこととした。
また、粒子間隙は、液体の通路にもなるため、液体を基材へ素早く送り込むことができ吸収速度が向上する。
さらに、粒子間隙は、液体の横方向への拡散も促進させるため、吸収性複合体の利用効率を上げ、フィット性や着用感も改善できる。
本発明において、基材と基材に接着された吸水性樹脂粒子とを構成要素として含むものを吸収性複合体と呼ぶ。この際、接着形態は特に限定されず、基材表面に吸水性樹脂粒子が接着されていてもよいし、基材に吸水性樹脂粒子を絡ませてもよいし、ただ混ぜたものでもよい。基材と吸水性樹脂粒子は、1種類ずつを組み合わせてもよいし、複数の組み合わせでも構わない。
そのため、従来の吸収性複合体においては、基材と吸水性樹脂の合計重量に対する吸水性樹脂の比率を40重量%以上に増加させることは困難であった。しかし、本発明においては、特定の方法により選別した大粒子を用いて吸水性樹脂粒子間の間隙を確保したので、ブロッキングを起こすことなく吸水性樹脂の比率を増加させることが可能となった。
本発明においては、全吸水性樹脂粒子中の50重量%以上の粒子が目の開き500μmの篩を通過できないことが必須である。好ましくは、目の開き600μmの篩を通過できない吸水性樹脂粒子の割合が50重量%以上であり、より好ましくは、目の開き710μmの篩を通過できない吸水性樹脂粒子の割合が50重量%以上であり、さらに好ましくは、目の開き850μmの篩を通過できない吸水性樹脂粒子の割合が50重量%以上である。
また、目の開きが500μmの篩を通過できない粒子の割合は、55重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましい。一方、目の開き1400μmの篩を通過できない粒子は、50%重量以下であることが好ましく、30%重量以下であることがより好ましい。さらに、目の開き3000μmの篩を通過できない粒子は、20%重量以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは5重量%以下である。
特定の目の開きの篩を通過できない吸水性樹脂粒子の重量割合は、JIS規格K0069に従って求める。
平均粒子径も、JIS規格K0069に従った篩分けによって求める。篩は、目の開き106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、1700μm、2500μmのものを使用する。
二つのピークは、粒子径が2倍以上異なっていることが好ましく、3倍以上異なっていることがさらに好ましく、4倍以上異なっていることが最も好ましい。粒子径に差があると、粒子間の間隙は確保しつつも、細密充填に近くすることができ、大きな粒子と小さな粒子は膨潤時の接触が小さくなり、お互いの性能を発揮させることができる。
粉末であると、吸水後の形態安定性や吸水速度の点で好ましい。
吸水性樹脂粒子が固定されていないと、吸収性複合体中において吸水性樹脂の偏りが生じ、ブロッキングしやすくなるため、本発明の吸収性複合体においては、吸収性樹脂粒子を基材に接着して固定化する。もっとも、すべての吸水性樹脂粒子が基材に接着されている必要はなく、接着されていない吸水性樹脂粒子を含んでいてもよい。
本発明において、基材に吸水性樹脂粒子が接着されているとは、吸収性複合体の製造工程において接着するための処理を施したことをいい、結果的に一部の粒子が接着されていない場合も含む。
吸水性樹脂粒子中に繊維を入り込んだ形態とは、吸水性樹脂マトリックス中に基材中の繊維が存在している状態を表す。入り込んだ繊維の形状や長さは特に限定されない。この形態で接着していると、吸水性樹脂中に繊維を介して水を取り込むことができるため、吸収量、吸収速度の点で優れた性能を発揮する。吸水性樹脂中に繊維が入り込んだ形態で接着しているかどうかは、電子顕微鏡で確認することができる。
水の量が多いほど接着性が高くなり好ましいが、あまりにも高すぎると乾燥に時間がかかりすぎるため非効率的である。
含水させる水に、不純物を含んでいても構わない。不純物としては、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、鉄イオンなどの陽イオン、塩素イオンなどの陰イオン、アセトン、アルコール類、エーテル類、アミン類などの水溶性有機化合物などが挙げられる。吸水性樹脂及び/又は吸収性複合体のpH調整のために、酸性又は塩基性のものを使用してもよい。吸水性樹脂と不織布の接触性や吸収能力の点から考えると、これら不純物のない蒸留水又はイオン交換水を単独で用いることが好ましい。
また、この水中に消臭等の機能を有する物質を溶解及び/又は分散させて製造させる吸収性複合体に機能付与することは好ましい方法である。ここで使用可能な消臭剤の例としては、有機系、無機系の消臭剤が挙げられる。水に不溶な消臭剤を使用する場合は、必要に応じて分散剤や界面活性剤を使用することが好ましい。また、無機系消臭剤は、その粒子径をナノレベルまで小さくすることで、分散剤を使用しなくても水中に分散させることが可能となるので、微粒子の無機系消臭剤を分散剤無しで使用することは好ましい。
含水方法には特に制限は無い。例えば、水浴につける方法、水を噴霧する方法、含水体と接触させる方法、加湿状態へ曝す方法等が挙げられる。これらの内、工業的に最も簡便で、かつ、含水量の調整が容易に方法である水噴霧方式が好ましい方法である。水噴霧に際しては、基材の含水率が均質になるような方式を採用することが好ましい。基材中の各場所における含水率にバラツキが大きい場合は、吸水性樹脂接触後、脱水乾燥の工程までの間に吸水性樹脂が吸水する量が場所により異なってしまい、乾燥工程時の脱水に伴う発泡挙動が異なり、乾燥後の吸収性複合体中の樹脂サイズが不均質になってしまう。サイズが不均質な樹脂粒子は配置された吸収性複合体は、風合いを悪化させることがある。
接触の方法の例としては、基材上に上部から吸水性樹脂粒子を散布する方法、ドラムでかきとった吸水性樹脂粒子を圧力で排出し接触させる方法、ドラムロールの中に吸水性樹脂粒子を充填しておき圧力で排出して接触させる方法などが挙げられる。吸水性樹脂粒子が膨潤した時に、吸水性樹脂粒子どうしが接触しないように配置できる方法が、吸水性樹脂の性能を無駄なく発揮しやすいため好ましい。
具体的には、加熱による乾燥、加熱ガス流通による乾燥、乾燥空気や窒素などを吹きかける方法、真空乾燥、凍結乾燥、共沸脱水、流動乾燥、マイクロウェーブによるなどが挙げられるが、加熱による乾燥、加熱ガス流通による乾燥が好ましい。加熱の条件は、70〜350℃で1秒〜1000秒の条件で行うことが好ましく、より好ましくは100〜340℃で1秒〜1000秒、さらに好ましくは120〜330℃で1秒〜1000秒、最も好ましくは150℃〜300℃で1秒〜1000秒である。高温であるほど短時間で乾燥が可能であるが、高温で長時間加熱を行うと樹脂の種類によっては吸収性能が低下する場合もある。乾燥と同時に、表面架橋などの表面処理を行ってもよい。
脱水は、最終製品になるまでの間であれば、いつ行われてもかまわないが、吸水性樹脂の劣化の点から、含水後に速やかに脱水を行うことが好ましい。
樹脂面積充填率とは、吸水性樹脂が液体を吸収した時に粒子どうしの接触しやすさを表す指標である。
樹脂面積充填率は以下のように測定する。
光学顕微鏡、又は電子顕微鏡により複合体の表面の写真を測定する。この時、吸水性樹脂と基材が区別でき、1枚の写真中に吸水性樹脂粒子が10個以上入る状態で撮影できるように測定条件、倍率を選択する。写真を拡大コピーし、吸水性樹脂粒子部分の面積を測定して以下の式にしたがって計算する。吸収体中の任意の点を5点以上撮影し、その平均値を面積充填率とする。吸水性樹脂を基材の両面に接着させる場合においては、それぞれの面において別々に測定する。
樹脂面積充填率(%)=吸水性樹脂粒子部分の面積/撮影箇所全体の重量×100
本発明において基材とは、シート形状を保てる素材のことをいう。
基材の素材はシート状であればどのような素材でも構わないが、好ましくは紙又は布である。
紙とは、JIS規格P0001で定義される広義の意味での紙のことを指し、布とはJIS規格L0206で定義されるシート状繊維製品の総称である。布はシートを形成する手段によって織物、編物、組み物、レース、網、不織布に分類されるが、本発明に使用する布は、織物、編物、不織布が好ましく、最も好ましくは不織布である。紙及び/又は布は、パルプなどの短繊維などと異なり形態安定性に優れているため好ましい。不織布とは、JISL0222により定義される。
厚さは好ましくは0.001mm〜1cm、より好ましくは0.01mm〜5mmであり、さらに好ましくは0.05mm〜3mmであり、最も好ましくは0.1mm〜1mmである。
重量は好ましくは0.1g/m2〜1kg/m2、より好ましくは0.5g/m2〜500kg/m2であり、さらに好ましくは1g/m2〜100g/m2である。薄すぎるもの、軽すぎるものについては、強度の点から好ましくない。
生理食塩水吸収後の引張破断強度とは、基材に生理食塩水を吸収させた後の引張破断強度のことをいう。
衛生材料においては、液吸収後もすぐに交換されずにそのまま使用されることもある。また、液吸収後、複数回にわたっての液吸収を求められることもある。一度吸収した後に使用を続けると、吸収体に水分がある状態で荷重がかかることとなる。荷重によって基材が破断してしまうと、通液性や液拡散性が低下することになり吸収体の性能を劣化させる。したがって、生理食塩水吸収後も、高強度を保つ基材ほど吸収体の耐久性の点において好ましいといえる。また、基材が含水するような製造プロセスの場合は、含水時の強度が低いと問題になることがあり、基材の強度が高いほど好ましいといえる。もっとも、強度は一定以上であればよく、それ以上高くても、実質的に性能の差はみられない。
試料:15cm×2cmの長方形型基材(方向を変えて何種類か用意する)
装置:引張試験機(島津のオートグラフ)
方法:1Lビーカーに0.9%生理食塩水を700g取り、基材を10分間浸漬させる。基材を引き上げ、キムタオル上に1分間放置し、間隔が10cmとなるように両端から2.5cmの部分をセットし、10mm/分のスピードで破断するまで引っ張り続ける。この時の力を記録し、最大値を強度N/20mmとする。方向があるものについては、方向を変えて何点か行い一番数値の低い値を強度とする。
強化のためや親水性付与のために処理を施していても構わない。
疎水性のものより親水性のものが吸液性、通水性に優れているため好ましい。親水性の基材のなかでも、特にセルロース系の基材が好ましい。本発明におけるセルロース系基材とは、セルロースを主原料とした布又は紙のことをいう。基材中のセルロースの割合は50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、99%以上であることが最も好ましい。セルロースは、例えばエステル化やエーテル化などの処理により誘導体化されたものを使用しても構わない。また、他の繊維を混ぜたものでもよい。セルロースとしては、綿、麻などの天然繊維、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、キュプラなどの再生繊維などがある。繊維としては再生繊維の方が好ましい。
基材の吸収倍率とは、基材が0.9%生理食塩水を60分間で吸収して何倍の重量になるかを測定したものであり、以下の式で表される。
基材の吸収倍率(g/g)=吸収後の重量(g)/吸収前の重量(g)
具体的には、以下のような方法で測定する。
基材を直径59.5mmの円形に切り取り、重量を記録した後、円周部分から1cmのところに針金を通す。1Lのビーカーに23℃の生理食塩水を500g以上用意しておき、基材を針金ごと生理食塩水に漬け込む。60分後、基材を針金ごと生理食塩水から取り出し、基材が他のものと触れないようにして10分間吊り下げる。10分後針金を抜いて含水基材と付着水の総重量を計測する。
基材の吸収速度とは、幅2cmの基材が0.9%生理食塩水を垂直方向に吸収していく速度のことを表す。
具体的には、下記のように測定する。
試料:10cm×2cmの長方形型基材(縦横方向があるものについては、方向を変えて2点以上用意する)
装置:電子天秤、直径90mmのシャーレ
方法:電子天秤上にシャーレをおき、基材をシャーレの10cm上から垂直に吊り下げる。シャーレを電子天秤から取り、他の天秤で0.9%の生理食塩水60gを量り取る。基材の下部を手でもち、生理食塩水にふれないようにしてシャーレを電子天秤上に再度設置し、天秤の値を0点に設定する。基材を静かに生理食塩水に漬け込み、電子天秤の値を経時的に記録する。時間(秒)と電子天秤の値の絶対値(mg)をグラフにプロットし、120秒後から240秒後までの間の傾き(mg/秒)を吸収速度とする。吸収速度が異なる方向があるものについては、方向を変えて何点か測定を行い、一番早い値を吸収速度とする。240秒前に、10cm以上のところまで吸水するような素材の場合は、長さを10cm以上にして測定すればよい。
基材の吸引速度とは、単位時間あたりに垂直方向への吸引していく速度のことである。
基材の吸収速度と基材の吸水倍率、目付けから以下の式1を用いて算出することができる。
(式1)
初期の吸引速度とは、基材を垂直に生理食塩水につけたときに、1分後に水面から上昇している高さのことを表す。吸収速度と拡散性が特に強く求められる場合には、初期の吸引速度が重要になる。
具体的には、吸収速度測定時の1分後の値から、以下の式2を用いて算出することができる。
(式2)
基材に吸収速度の違う方向が存在すると、特定の方向への通液性に優れ、特定方向に液体を拡散させやすいため、吸収体中において吸収のバランスをコントロールすることができる。特に、紙オムツや尿取りパッド、生理用品等の衛生材料に使用する場合、吸収体は長手方向と短手方向をもった形状になることが多く、長手方向へ優先的に拡散させることができれば、吸収体の利用効率が上がると共に、横からの漏れが起こりにくくなるため好ましい。
基材の縦方向と横方向の伸びの比は、好ましくは1.2倍以上であり、さらに好ましくは1.5倍以上、最も好ましくは2倍以上である。
本発明においては、強度が最大である方向を縦方向とし、それに対して垂直の方向を横方向とする。
基材の伸びと強度は、生理食塩水吸収後の基材の強度と同様の方法で、生理食塩水に浸さず乾燥状態において引っ張り試験を行うことで求めることができる。基材が破断するまで引っ張りの試験を行い、最大の強度を示した時の力を基材の強度とし、その時に伸びた距離を伸びとする。
接触角が小さいほど、基材と液体との親和性がよくなり、液体を速やかに拡散、吸収させるという点で好ましい。また、接触角が小さいと、基材と吸水性樹脂の親和性も高くなり、吸収性や接着性の点でも好ましい。
接触角とは、25℃で粘度74cpの44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液を基材へ接触させ、10秒後になす角として定義される。
測定は、FACE(協和界面科学株式会社)製の接触角計(CA−X150型)を用いて測定する。液は和光純薬の44%ポリアクリル酸アンモニウム水溶液(70〜110cp)を水で粘度調整して使用する。粘度は回転円盤粘度計を用いて測定する。
吸水性樹脂の種類に限定はなく、どのような吸水性樹脂でも構わない。
側鎖に酸基を有していることが好ましく、側鎖にカルボン酸基を有した樹脂であることがさらに好ましい。
また、酸基のうち50%以上が塩の形で中和されていることが好ましく、酸基のうち50%アンモニウム塩の形で中和されていることがさらに好ましい。
側鎖に酸基をもった吸水性樹脂は、液体吸収時に酸基どうしの静電反発が起こり、吸収速度が早くなるため好ましい。酸基が中和されていると、浸透圧により液体が吸水性樹脂内部に吸収されるため好ましい。アンモニウム塩の形で中和されていると、アンモニウム塩は水への親和性が高く吸収量が多くなるため好ましい。
その他単量体を共重合してもよく、共重合してもよい不飽和単量体は(メタ)アクリル酸、エタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、ソルビン酸、けい皮酸、それらの無水物、ビニルスルフォン酸、アリルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸、ビニルトルエンフルフォン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルフォン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルフォン酸、2−ヒドロキシルエチルアクリロイルオフォスフェート、2−ヒドロキシルエチルメタクリロイルフォスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルフォスフェート、ビニルリン酸などのアニオン性不飽和単量体及びその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクレリート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペジリン、N−アクリロイルピロリジンなどのノニオン性の親水性基含有不飽和単量体;また、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルなどの様に重合後の官能基の加水分解によって、吸水性樹脂を形成する親水性単量体を用いてもよい。
また、併用できる疎水性単量体としては、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの中で1種類、もしくは2種類以上を添加することができる。
縮合型架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミンなどの多価アミン類;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの多価イオンなどが挙げられこれら架橋剤は2種以上用いてもよい。
重合性の架橋剤としては、ジエチレングリコールジアクリレート、N,N'−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルオキシ酢酸塩などが挙げられ、これら架橋剤は2種以上用いてもよい。
重合開始前に予め単量体溶液中の脱酸素操作を行うことは好ましい。具体的な方法として、十分な時間の不活性ガスによるバブリング等により溶存酸素を取り除く方法が挙げられる。
また、反応器内雰囲気も窒素、ヘリウムなどの不活性ガスに置換されていることは好ましい。反応器内は減圧、常圧、加圧のいずれであってもよい。
重合開始温度は、通常0〜70℃の範囲で行うことが好ましい。さらに好ましくは、10〜40℃の範囲である。開始温度が高すぎると、開始剤を加える前から熱による重合がおこってしまい好ましくない。また、開始温度が低すぎると、反応開始に時間がかかりすぎるため好ましくない。反応中の反応器内の温度は成り行きに任せてもよく、外部から冷却もしくは加熱により温度制御を行ってもよい。重合中の昇温速度や最高温度は特に問題とならず、最高温度が100℃を超えても問題はない。重合時の最高温度は、通常20〜140℃で、好ましくは、40℃〜120℃の範囲である。
単量体溶液の濃度は、10〜70%が好ましく、30〜50%が最も好ましい。濃度が濃すぎると、反応が暴走しやすいため好ましくない。濃度が薄すぎると、反応に時間がかかりすぎるし、その後の乾燥工程にも負荷がかかるため好ましくない。
重合時間は、反応溶液からの発熱が止まる時間付近に設定することが好ましい。重合後の後工程として、乾燥工程、後架橋工程等などの加熱工程が存在するので、反応溶液からの発熱が止まる前に重合を終了しても構わない。また、発熱終了後、数時間加温、保温しても構わない。
上記重合後に得られる重合体が含水ゲルである場合、乾燥を行うことが好ましい。この乾燥方法は特に限定されるものではないが、例えば共沸脱水、流動乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などが好ましく用いられ、特に熱風乾燥、真空乾燥が好ましい。含水率が30重量%以下、好ましくは10重量%以下まで乾燥する。乾燥はどのような形態の含水ゲルで行ってもよいが、粗解砕して表面積を増やしてから乾燥するのが好ましい。乾燥温度は70℃〜180℃の範囲が好ましく、特に好ましくは100〜140℃である。
乾燥後の重合体は、必要に応じて粉砕や分級等の操作によって粒子径が調整される。
上記無機粉末としては、例えば、水及び親水性有機溶媒に対して不活性な各種無機化合物の微粒子、粘土鉱物の微粒子等が挙げられる。特に無機粉末としては、水に対して適度な親和性を有し、かつ、水に不溶或いは難溶のものが好ましく、例えば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。
上記無機粉末の使用量は、通常は吸水性樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。吸水性樹脂と無機粉末の混合方法に特に制限はなく、ドライブレンド法、湿式混合法等で行われる。
残存モノマーが多いと、吸収体からの溶出が多くなり性能的に好ましくない。残存モノマーは、吸収性複合体製造時または完成後に加熱処理を施し重合を完結させることによっても低減できるが、出発原料としての吸水性樹脂は残存モノマーが10重量%以下まで重合が進んでいることが好ましい。出発原料に残存モノマー量が多いと、基材上で重合を完結させるのが困難であるし、最終的に残存モノマーが多量に残りやすいため好ましくない。
残存モノマー量は、2〜3mm以下の大きさに裁断した吸水性樹脂を、樹脂重量の250倍の0.9%生理食塩水に加え、撹拌しながら6時間程度抽出した後に濾過をする。濾液を、液体クロマトグラフィー法を用いて定量する。
吸収性能、コストなどの観点から、通常衛生材料用途に使用されているポリアクリル酸部分中和物架橋体が好ましい。
ポリアクリル酸部分中和物架橋体では、ポリマー分子鎖中における繰り返し単位の好ましくは50mol%以上がカルボキシル基含有単位である。より好ましくは80mol%以上、最も好ましくは90mol%以上である。繰り返し単位のうちのカルボキシル基含有単位が少ないと吸収性能の低下が見られるため好ましくない。
ポリマー分子鎖中のカルボキシル基は部分中和されていることが好ましく、塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、アンモニア等の含窒素塩基性物が挙げられる。カルボキシル基の50%以上が中和されていることが好ましく、70%以上が中和されていることがさらに好ましい。
塩の種類としては、アンモニアを含む少なくとも1種類以上で部分中和されることが好ましく、アンモニア単独で部分中和されることが最も好ましい。
吸収性能の観点から、ポリマー分子鎖中におけるカルボキシル基中和塩のうち50mol%以上がアンモニウム塩であることが好ましく、より好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上、最も好ましくは全てアンモニウム塩で中和される。アンモニウム塩の割合が高いと、吸収倍率、基材との接着性の点において好ましい。
なお、吸水性樹脂中のアンモニウム塩の割合は、吸水性樹脂中の全窒素原子量を求めることで計算することができる。吸水性樹脂中の全窒素原子量はケルダール法により求めることができる。
上記加熱処理は、通常の乾燥機や加熱炉を使用することができ、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。
基材上へ接着する前の吸水性樹脂粒子の表面塩濃度は、50mol%以上であることが好ましく、さらに好ましくは60mol%以上、さらに好ましくは70mol%、最も好ましくは80mol%以上である。基材上へ接着する前の表面塩濃度が少なすぎると、粒子の接着性が低下する。
表面塩濃度とは、吸水性樹脂の表面部分の中和された基の割合をいう。
表面塩濃度は、赤外吸光分析法の一つである顕微ATR法によって測定することにより求めることができる。樹脂表面の中和率の測定は顕微ATR法にて直接表面を測定できる。内部部分については、ウルトラミクロトーム(Reichert製 ULTRACUT N)を用いることにより樹脂を割断して中心部を露出させてから顕微ATR法にて測定する。測定装置は、Bio−Rad社製 FTS−575を用いる。
以下、表面塩濃度の測定方法について、ポリアクリル酸系吸水性樹脂を例に挙げて、具体的に説明する。カルボン酸及びカルボキシレートの組成比を規定する指標として、1695cm-1(カルボン酸νC=0 ベースライン1774〜1616cm-1)及び1558cm-1(カルボキシレートνCOO- ベースライン1616〜1500cm-1)のピーク面積比(1695/1558cm-1)を計算し、別途、10mol%,30mol%,50mol%,70mol%,90mol%,100mol%アンモニア中和の部分架橋ポリアクリル酸を標準サンプルとして測定、作成した検量線より組成比を求める。
表面強度とは、粒子表面の変形しやすさを表すパラメータである。
表面強度が大きいということは、吸水性樹脂粒子が変形しにくいことを表す。変形しにくいということは、吸水性樹脂が吸収して膨潤するのに対し負の力が強いということになり、ひいては吸収容量を下げてしまうことになる。また、表面が変形しにくいと、接着面が小さくなり複合体からの粒子の脱離が起こりやすく好ましくない。
表面強度は、以下のように求める。
装置:島津オートグラフAG−1
試料:吸水性樹脂粒子0.10gを精秤し、底面に75μmの孔径のナイロンシートを貼り付けた内径20.5mm、高さ50mmの円筒容器の底に均一に入れる。50φのシャーレを用意し、0.90gの生理食塩水を入れ、吸水性樹脂粒子の入った円筒容器を静置し、1時間吸収膨潤させる。
測定:1kNのロードセルを使用し、直径19.7mmの円柱軸をとりつけた。測定レンジは0.2kNと設定し、ロードセルに荷重がかからない高さにあわせ、そこから降下速度0.6mm/分という一定の速度で下がるように設定する。ロードセルに加わる圧力を経時的に記録し、実体積になった時点における荷重(N)を表面強度とする。なお、吸水性樹脂の実体積は、生理食塩水の比重1.010g/cm3と吸水性樹脂の比重を利用して、以下の式を用いて計算する。
実体積(cm3)
=0.1/樹脂の比重(g/cm3)+0.9/生理食塩水の比重(g/cm3)
吸水性樹脂の吸収倍率が高いほど、使用する吸水性樹脂の量を減らすことができるため好ましい。
無加圧の吸収倍率とは、0.9%の生理食塩水を、吸水性樹脂に荷重がかからない状態において、自由に膨潤吸収できる量のことである。
吸水性樹脂の無加圧の吸収倍率は以下のような方法で測定する。
不織布製のティーバッグ式袋(60×40mm)の重量を測定し、吸水性樹脂粒子0.05gを均一に入れ、23℃の0.9%生理食塩水中に浸漬する。180分後にバッグを取り出し、ティーバッグの角を固定し斜めの状態で10分間吊るして水切り後、重量を測定する。吸水性樹脂を用いずに同様の操作を行い、重量を測定し、ティーバッグの吸水倍率を求める。以下の式に従って吸収倍率を算出する。測定は3回行い、平均値を無加圧の吸収倍率(1)とする。
吸水性樹脂粒子の無加圧の吸収倍率(g/g)
={(吸収後のティーバッグの重量)−(吸収前のティーバッグの重量×ブランクのティーバッグの吸水倍率)}/(吸水性樹脂粒子の重量)
加圧下吸収倍率は以下の方法により測定する。
吸水性樹脂粒子0.02gを内径25mm、高さ30mmで底部に250メッシュのナイロン不織布を備えたアクリル樹脂製円筒に入れ、円筒の中にスムーズに動くシリンダーを入れて測定装置とし、重量を測定する。測定装置のシリンダーの上部に0.8psi相当の278.33gの荷重を載せて荷重とし、0.9%生理食塩水60gを入れた内径120mmのシャーレに入れる。60分後に取り出してキムタオルの上に3秒間静置して水切りをし、荷重を取り除いた後の装置の重量を測定し、以下の式に従って加圧下吸収倍率を算出する。
吸水性樹脂粒子の加圧下の吸収倍率(g/g)=(吸収後の装置の重量(g)−吸収前の装置の重量(g))/(吸水性樹脂粒子の重量)
Y≦−1.6X+345
ただし、Yは加熱時間(分)、Xは加熱温度(℃)
図1は、本発明の吸収性複合体を製造するための好ましい製造装置の概略図である。図1中の各符号は以下を示す。
a:原反ロール(布状親水性基材)、b:水噴霧機、c:布及び/又は紙、d1、d2:吸水性樹脂粒子ホッパー、e1、e2:粒子接着用ドラム、f:吸水性樹脂粒子、g:乾燥装置、h:複合体ロール、i:小粒径粒子散布用ホッパー
原反ロール(a)から取り出された布状親水性基材は、水噴霧機(b)等の装置を用いて含水状態の布状親水性基材(c)にし、その後、ドラム上のくぼみ部分に粒子が置かれた粒子接着用ドラム(e1)より、含水した布状親水性基材へ吹き付けられ、布状親水性基材の片面に接着させ、その後、粒子が接着されていない面上へもドラム上のくぼみ部分に粒子が置かれた粒子接着用ドラム(e2)より、粒子が吹き付けられ、さらに、小粒径の粒子を(i)より均一に散布し、両面に粒子が接着された布状親水性基材が乾燥機を通り乾燥され、強固に粒子が接着された複合体が製造される。
このくぼみの配置は、設置される吸水性樹脂粒子が互い接触する確率を少なくするように配置されていること好ましい。吸収性複合体の吸収性能を向上させるためには、最適なくぼみの配置が存在する。即ち、吸水性樹脂が吸収により膨潤できるように近傍樹脂粒子との間隔が空いており、かつ、より多くの吸水性樹脂が布状親水性基材上に載せられている状態である。
くぼみの入り口の外径は、使用される吸水性樹脂の大粒径の粒子の粒径の1〜3倍のサイズを有する必要がある。好ましくは1.2〜2倍である。くぼみの入り口の外径とは、くぼみ入り口のドラム表面の縁取り線上の最も長くなる点間の距離である。ここで、大粒径の粒子の粒径とは、吸収性複合体上に載せられる吸収性樹脂粒子全体の粒子径の大きい側から20重量%取り出した粒子の平均粒子径をいう。ここでいう粒子径の測定法は、上限の間隔の篩を通過し、下限の間隔の篩上に残る粒子について、その上限と下限と平均値を該粒子の粒子径とする。但し、使用する篩の目の間隔の上限と下限の差は、400μm以下であることが好ましい。
くぼみの構造は、ドラム表面の縁取りが、円形、楕円形等に代表される無角形、三角形、四角形、五角形等に代表される角形、特定の形状と定義されない不定形などどのような形状でも構わない。ドラム製作上の観点からは、無角形や角形の定形が好ましく。ドラム製作上の簡便さと粒子のくぼみへの挿入と排出の容易さより、無角形が好ましい。
該くぼみ入り口の外径が大きすぎる場合は、多数の吸水性樹脂粒子がくぼみに挿入されてしまったり、挿入後の吸水性樹脂粒子が容易にくぼみより脱落してしまう確率確立が増してしまい、安定した運転が困難となる。また、該ドラム入り口の外径が小さすぎる場合は、吸引力を使用してくぼみ吸水性樹脂粒子を吸い付けても静電気等の原因でくぼみ以外の場所に付着した吸水性樹脂粒子を除去するプロセスでくぼみ中に存在する吸水性樹脂粒子まで除去されてしまうことがある。
該くぼみの深さが浅い場合は、吸引力を使用してくぼみ吸水性樹脂粒子を吸い付けても静電気等の原因でくぼみ以外の場所に付着した吸水性樹脂粒子を除去するプロセスでくぼみ中に存在する吸水性樹脂粒子まで除去されてしまうことがある。また、該くぼみの深さが深すぎる場合は、多数の吸水性樹脂粒子がくぼみに挿入されてしまい製造される吸収性複合体上の接着される樹脂量の調整が困難となったり、挿入後の吸水性樹脂粒子が排出されにくくなってしまい、安定した運転が困難となる。
ドラムによって粒子径の大きな樹脂を配置した後に、総表面積係数を満たすように粒子径の小さな樹脂を散布することが好ましい。散布は片面のみでも構わないし、布を逆にして両面に散布することも好ましい。脱離を減らすために、小粒径を散布する前に、基材に再び水を散布しておくことは好ましい。小粒径の散布の方法は特に限定されないが、なるべく均一にコントロールできる方法が好ましい。
(1)重なり指数
重なり指数とは、吸水性樹脂どうしの垂直方向における接触度合いを表す係数である。重なり指数が小さいと、粒子どうしの重なりが大きいためブロッキングしやすく、吸水性能の点から好ましくないので、重なり指数は0.3〜1.5であることが好ましい。
重なり指数は、試料に使用されている吸水性樹脂粒子を回収し、所定の粒径ごとに分け、粒径ごとの粒子重量、かさ比重を測定し、以下の式3を用いて算出した。
(式3)
ここで、Sは複合体の面積(cm2)、Aは面積充填率(%)、rは粒子径(cm)、
Wrは粒子径rの粒子の重量、ρrは粒子径rの吸水性樹脂のかさ比重(g/cm3)を表
す。
ここで、粒子径rは、目の開きが106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、2000μm、2500μmの篩を使用して篩い分けすることによって求めた。通過することのできた篩の目の開きと通過することのできない篩の目の開きの中間の値を粒子径とした。なお、106μmの篩を通過したものについては、53μmとし、2500μmの篩の上に残ったものについては、2700μmとした。この操作により、53μm、159μm、256μm、362.5μm、462.5μm、550μm、655μm、780μm、925μm、1090μm、1290μm、1700μm、2250μm、2700μmの粒径へと分類した。
また、かさ比重ρrは、2cm3のメスフラスコを使用して2cm3分の吸水性樹脂を測
り取り、その重量を計量し、重量を2で割ることによって求めた。測定は5回行い、平均値を取った。かさ比重は、篩い分け後のそれぞれの粒径において測定した。
試料の無加圧吸収倍率は、0.9%生理食塩水を自由吸収させた時、3時間後に吸収された量とした。具体的には、直径59.5mmの円状の複合吸収体を作製し、前述の基材の吸収倍率と同様の方法を用いて測定した。ただし、接着されていない吸水性樹脂粒子を含んでいる場合や、脱離がおきた場合においては、濾過を行って吸水性樹脂粒子を回収し、キムワイプ上で10秒以上静置して水切りを行い、その重量も加えて計算することにする。また、吸水性樹脂粒子が全く固定されていない試料の場合は、吸水性樹脂の吸収倍率の測定方法に準じて、T−Bagに吸収体をいれて測定した。
戻り量とは、体液吸収物品を使用したときの使用感を表す指標である。戻り量が多いと肌が濡れて装着に不快感を伴うこととなる。戻り量が少ないほど、物品の表面が乾いて快適な状態となるため好ましいといえる。
吸引速度は、吸収体内への液体の取り込まれやすさを示す指標である。吸引速度が速いほど、すばやく液体を吸収することが可能になるため好ましい。
戻り量、吸引速度は以下の方法により測定した。
試料の下面にポリエチレンシートを、上面にユニチャーム社製子供用紙オムツムーニーのびーるフィットから回収したトップシートを配置して画鋲で固定し、吸収性複合体を衛生材料に使用した場合と同様の状況を再現した。
試料の中心部分に直径60mm、重さ53.5gの円筒形のパイプを設置した。37℃に暖めた生理食塩水を80g量り取り、7〜8ml/秒の速度で試料の中心部分にパイプを通して滴下した。液滴下開始より、パイプ内部の生理食塩水が表面シートより上面に見えなくなった時点までの時間を吸引速度とした。液滴下開始から5分後に、アドバンテック製No2、直径150mmの濾紙を1辺10cmの正方形に切り取った濾紙を約90gになるように試料の上に重ねて液滴下部に静置し、直後に濾紙の上に3.5kgの荷重をかけた。荷重をかけてから3分後に、荷重をはずし、濾紙を試料からはずして重量を測定した。この時、もとの濾紙の重量から増加した重量を戻り量とした。
(製造例1)
アクリル酸は和光純薬製、試薬特級品を蒸留精製して使用した。試薬アクリル酸100gを水91.02gに溶解した。この水溶液を氷浴にて冷却し、液温30℃以下に保ちながら、25重量%のアンモニア水溶液117.94gを攪拌しながら徐々に加え40重量%のアクリル酸アンモニウム水溶液を得た(中和率100%)。
300mlセパラブルフラスコにこの40重量%アクリル酸アンモニウム水溶液を90g、N,N'−メチレンビスアクリルアミドを0.0187g添加した。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴した。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱気し、反応系中を窒素置換した。次に42重量%グリセリン水溶液をシリンジにて0.43g添加、よく攪拌した後にそれぞれ1gの水に溶かした30重量%過酸化水素水溶液0.0917gとロンガリット0.0415gを添加し重合を開始した。内部温度は30℃から開始して反応開始5分で100℃まで上昇した。その後、内部温度が70℃に保たれるように水浴にて3時間加熱した。その後、セパラフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させた。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、2000μm、2500μmの篩を用いて分級した。これを吸水性樹脂粒子1とした。この樹脂粒子の表面強度は0.5N、表面塩濃度は90%であった。
製造例1で製造した吸水性樹脂をイナートオーブンを用いて、180℃にて10分間加熱処理を行った。これを吸水性樹脂粒子2とした。表面塩強度は2.7Nであった。全体のアンモニウム塩濃度は70%、表面塩濃度は30%であった。
(製造例3)
300mlフラスコに試薬アクリル酸(和光純薬製、試薬特級品)81.73g、水185.71g、水酸化ナトリウム31.78gを氷冷しながら、液温が30℃を越えないようにゆっくり添加した(塩濃度70%)。300mlセパラブルフラスコにこの単量体溶液を90g、N,N'−メチレンビスアクリルアミドを0.0561g添加した。フラスコは30℃に液温が保たれるようにウォーターバスに浴した。水溶液を窒素ガスでバブリングすることにより脱酸素し、反応系中を窒素置換した。それぞれ1gの水に溶かした30重量%0.0826gとロンガリット0.0518gを添加し重合を開始した。内部温度は30℃から開始して反応開始から10分で70℃まで上昇した。最高到達温度に達してから5分後に内部温度が75℃に保たれるように水浴にて3時間加熱した。所定時間経過後、セパラブルフラスコよりゲルを取り出し粗解砕を行ってから100℃にてイナートオーブンを用いて4時間乾燥させた。乾燥終了後、ホモジナイザーにて粉砕し、106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、2000μm、2500μmの篩を使用して分級した。これを吸水性樹脂粒子3とした。この樹脂粒子の表面強度は0.9Nであった。
イソプロピルアルコール0.6g、グリセリン0.02g、水0.06gの混合液を作り、製造例3で製造した吸水性樹脂2gに均一に散布した。これをイナートオーブンを用いて180℃にて10分間加熱を行った。これを吸水性樹脂粒子4とした。この樹脂粒子の表面強度5.9Nであった。
(実施例1)
旭化成せんい社製の「ベンリーゼ」(登録商標)を繊維の縦方向に35cm、横方向に14cmに切り取った。ベンリーゼとは、セルロース100%の連続長繊維不織布である。吸水特性にすぐれたセルロース系不織布である。また、連続長繊維であるため、含水時の強度も十分あり、液拡散性にも優れている。テフロン(登録商標)のシートを同じように縦35cm、横14cmに切り取り、中に縦33cm、横12cmの線を引く。これを2枚用意した。1枚のテフロンシートの線の内側に製造例1の1000μmの篩の上に残った樹脂2.6gをなるべく粒子どうしの接触を避けるように均一に散布した。さらに212μmの篩に残った樹脂2gを300μmの篩を使用して均一に散布した。霧吹きを使用して、ベンリーゼに5gの水を散布した後、粒子の上に接触させた。もう一枚のテフロンシートに、1000μmの篩の上に残った樹脂2.6gを同様に散布した。霧吹きを使用して、テフロンシート上のベンリーゼに3gの水を散布し、粒子のない面を、あとから用意したテフロンシートの粒子に接触させた。布の上下にテフロンシートが接触している状態から、手で軽く荷重をかけて押さえ込み、粒子と布を密着させた。上面のテフロンシートを外し、樹脂のない部分に錘をおいて固定し、ベンリーゼの縮みを抑えながら、イナートオーブンを使用して180℃10分間の乾燥を行った。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、850μmの篩に残った樹脂を2.9gずつ両面に使用して吸収性複合体を作製した。
実施例1と同様の方法で、710μmの篩に残った樹脂を1gずつ両面に使用し、乾燥した後に、製造例2の樹脂のうち、300μmの篩に残った樹脂0.6gずつを両面に散布した。小粒径樹脂は接着していないため、偏りの問題は生じたが、大粒径樹脂が接着しているため最低限の性能は発揮できた。
(実施例4)
実施例1と同様の方法で、600μmの篩に残った樹脂を1.5gずつ両面に使用して吸収性複合体を作製した。
(実施例5)
実施例1と同様の方法で、500μmの篩に残った樹脂を1gずつ両面に、106μmの篩に残った樹脂を0.8gずつ両面に使用して吸収性複合体を作製した。
旭化成せんい社製の「ベンリーゼ」(登録商標)を繊維の縦方向に35cm、横方向に14cmに切り取った。端から1cmのところに線を引き、縦33cm、横12cmの長方形を描いた。ベンリーゼと同じ大きさに切り取ったテフロン(登録商標)のシートの上に、ベンリーゼを置く。霧吹きを使用して3gの水を散布した後、長方形の内側に製造例1の1000μmの篩の上に残った樹脂2.6gを20cmの高さからスプーンで均等に散布した。その後、さらに2gの水を散布し、212μmの篩に残った樹脂2gを散布した。霧吹きで1gの水を散布した後に、ベンリーゼと同じ大きさに切り取ったテフロンのシートを上に重ね、手で軽く荷重をかけて押さえ込んだ。テフロンのシートごと、上下を裏返し、粒子がない方のテフロンシートを剥がした。再び霧吹きを使用して3gの水を散布した後に、1000μmの篩の上に残った粒子2.6gを散布した。再びテフロンのシートをかぶせ、手で軽く荷重をかけて押さえ込み、テフロンのシートを剥がした。樹脂のない部分に錘をおいて固定し、ベンリーゼの縮みを抑えながら、イナートオーブンを使用して180℃10分間の乾燥を行った。実施例1と比較すると、粒子どうしの重なり合いが多かった。
(実施例7)
製造例3の樹脂を使用する以外は実施例1と同様に複合体を作製した。製造例1の吸水性樹脂に比べると、アンモニウム塩ではないため、樹脂としての吸収量が少ないため、複合体として吸収量が若干低下した。また、表面塩濃度がアンモニウム塩より若干低いため、作製後に脱離する粒子があった。
(実施例8)
ベンリーゼのかわりに王子キノクロス社製の「王子キノクロスKS−40」登録商標を使用する以外は実施例1と同様の方法で複合体を作製した。王子キノクロスは乾式パルプ不織布である。パルプの強度が弱いため、粒子をピンセットでつかむとパルプの繊維ごと簡単に脱離する程度の接着強度であった。
(実施例9)
加熱乾燥処理温度を60℃とし、乾燥時間を6時間とした以外は実施例1と同様の方法で複合体を作製した。低温だと乾燥までに長時間を要する。
(実施例10)
製造例1の樹脂のうち、500μmの篩に残った樹脂を0.8gずつ両面に使用する以外は実施例1と同様の方法で複合体を作製した。樹脂比率が低いため、吸水性能が低かった。
P&G社製の「パンパースコットンケア」(登録商標)Mサイズの吸収体部分から、パルプと吸水性樹脂の混合物を取り出し、比較例1とした。パルプと吸水性樹脂は接着しておらず、またパルプも綿状で形を保つことができないものであった。
(比較例2)
製造例1の樹脂のうち、212μmの篩に残った樹脂を5g、片面のみに使用する以外は実施例1と同様の方法で複合体を作製した。小粒径のみ使用しているため、粒子間隙間が十分でなく液の拡散性や吸引性に乏しかった。
(比較例3)
接着処理を施さない以外は実施例1と同様の方法で複合体を作製した。接着処理を施さないため、吸収体としての評価時にはほとんどの粒子が脱離してしまい、吸収体としての安定性に欠け、性能も発揮しにくいものであった。戻り性、吸引速度の測定は、粒子の偏りを意図的になくして測定した。液滴下付近に粒子が固まると吸引速度が遅くなり、粒子が端に偏ると戻り性が悪化した。
本発明の吸収性複合体は、吸収倍率、戻り量、吸引速度に優れていることが確認できた。
Claims (13)
- 少なくとも基材と該基材に接着された吸水性樹脂粒子とから構成される吸収性複合体であって、
前記基材は、布又は紙であり、
前記吸水性樹脂粒子は、側鎖にカルボン酸基を有した樹脂により構成され、
前記吸水性樹脂粒子の表面強度は、0.1〜5.5Nであり、
前記吸水性樹脂粒子の50重量%以上が目の開き500μmの篩を通過できないものであり、
以下式で示される重なり指数が0.3〜1.2である吸収性複合体。
(式中、Sは吸収性複合体の面積(cm 2 )、Aは面積充填率(%)、rは粒子径(cm)、W r は粒子径rの粒子の重量、ρ r は粒子径rの吸水性樹脂のかさ比重(g/cm 3 )を表す。
前記面積充填率Aは、吸収性複合体の表面の任意の5箇所を光学顕微鏡又は電子顕微鏡により撮影し、得られた各写真の拡大コピーを用いて以下の式に従って算出した値である。
面積充填率A(%)=吸水性樹脂粒子部分の面積/撮影箇所全体の面積×100
前記粒子径rは、吸水性樹脂粒子を目の開きが106μm、212μm、300μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、2000μm及び2500μmの篩を使用して篩い分けしたときの、通過することのできた篩の目の開きと通過することのできない篩の目の開きの中間の値(ただし、106μmの篩を通過したものについては53μm、2500μmの篩の上に残ったものについては2700μm)である。
かさ比重ρ r は、上記篩い分け後のそれぞれの粒子径rの吸水性樹脂粒子について、2
cm 3 のメスフラスコを使用して2cm 3 分を測り取り、その重量を計量し、重量を2で割ることによって求めた値である。) - 前記吸水性樹脂粒子が、前記基材と前記吸水性樹脂粒子の合計重量の60重量%以上を占める請求項1に記載の吸収性複合体。
- 前記吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径が、400μm以上2000μm以下である請求項1又は2記載の吸収性複合体。
- 前記吸水性樹脂粒子が、ポリアクリル酸塩共重合体を含む請求項1から3いずれか1項に記載の吸収性複合体。
- 前記吸水性樹脂粒子を構成する樹脂中の総酸基の50%以上がアンモニウム塩の形で中和されている請求項1から4いずれか1項に記載の吸収性複合体。
- 前記基材が、セルロース又はセルロース誘導体を50%以上含む請求項1から5いずれか1項に記載の吸収性複合体。
- 前記基材が、布又は紙である請求項1から6いずれか1項に記載の吸収性複合体。
- 前記基材の縦方向と横方向の引張破断伸び比が、1:1.2〜1:10で、かつ、縦方向と横方向の引張破断強度比が1.2:1〜10:1である請求項1から7いずれか1項に記載の吸収性複合体。
- 前記基材の溶液粘度74cpsのポリアクリル酸アンモニウム水溶液の接触角が、130度以下である請求項1から8いずれか1項に記載の吸収性複合体。
- 少なくとも基材と該基材に接着された吸水性樹脂粒子とから構成される吸収性複合体の製造方法であって、基材と含水した吸水性樹脂粒子とを接触させた状態で脱水することにより接着させる請求項1から9いずれか1項記載の吸収性複合体の製造方法。
- 前記含水が、吸収性樹脂粒子100重量部に対して10〜3000重量部の水を、吸水性樹脂粒子、基材、又は、吸水性樹脂粒子と基材の両方に対して付与することにより行われる請求項10に記載の吸収性複合体の製造方法。
- 前記脱水が、70〜350℃の加熱下で、処理時間1〜1000秒で行われる請求項10又は11に記載の吸収性複合体の製造方法。
- 請求項10〜12いずれか1項に記載の方法により製造された吸収性複合体。
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