JP5067177B2 - ディスプレイパネル用ガラス板 - Google Patents
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Description
また、無アルカリガラスは、熱膨張係数が低く、ガラス転移点(Tg)が高いため、LCDパネルの製造工程での寸法変化が少なく、LCDパネル使用時の熱応力による表示品質への影響が少ないことからも、LCDパネル用のガラス基板として好ましい。
無アルカリガラスは粘性が非常に高く、溶融が困難といった性質を有し、製造に技術的な困難性を伴う。
また、一般的に、無アルカリガラスは清澄剤の効果が乏しい。例えば、清澄剤としてSO3を使用した場合、SO3が(分解して)発泡する温度がガラスの溶融温度よりも低いため、清澄がなされる前に、添加したSO3の大部分が分解して溶融ガラスから揮散してしまい、清澄効果を十分発揮することができない。
しかしながら、B2O3を含有するガラス組成とした場合、ガラスを溶融した際に、特に溶解工程および清澄工程において、B2O3が揮散するため、ガラス組成が不均質になりやすい。ガラス組成が不均質になると、板状に成形する際の平坦性に影響を与える。LCDパネル用のガラス基板は、表示品質確保のため、液晶を挟む2枚のガラス間隔、すなわちセルギャップを一定に保つために高度の平坦度が要求される。このため所定の平坦度を確保するために、フロート法で板ガラスに成形された後、板ガラスの表面の研磨を行うが、成形後の板ガラスで所定の平坦性が得られていないと、研磨工程に要する時間が長くなり生産性が低下する。また、環境負荷を考慮すると、ガラスにB2O3が含まれないことが好ましい。
B2O3が含有しない例としては、PDPパネル用のガラス基板がある(特許文献3)。
だが、B2O3を実質的に含有せずに、LCDパネル用のガラス基板として好ましい熱膨張係数まで下げること、および粘性の上昇を抑えつつ所定のTg等を得ることは困難であった。また、耐BHF性(TFT製作時の耐バッファードフッ酸性)を確保することも困難であった。さらにB2O3を実質的に含有しないアルカリガラス基板は、疵つきやすいという問題を有していた。近年のガラスの大型化により、ガラス基板への疵はガラス割れの要因となり得る。
酸化物基準の質量%表示で、ガラス母組成として、
SiO2 73.5〜78.5、
MgO 10.6〜11.8、
Na2O 3.0〜15.0、
K2O 1.0〜12.0、
Na2O+K2O 6.0〜15.0、
からなり、密度が2.45g/cm3以下であり、50〜350℃の平均熱膨張係数が75×10-7/℃以下であり、ガラス転移点が610℃以上であり、ブリトルネスが6.5μm-1/2以下であり、粘度をηとするときlogη=2.5を満たす温度が1620℃以下であるディスプレイパネル用ガラス板を提供する。
また、本発明のディスプレイパネル用ガラス板は、疵つきにくいため(後述するブリトルネスが6.5μm-1/2以下)、特に大型(一辺が2m以上)のディスプレイパネル用ガラス板として好適である。
また、本発明のディスプレイパネル用ガラス板は、密度が2.45g/cm3以下と低いため、同様に大型のディスプレイパネル用のガラス板として好ましい。
また、本発明のディスプレイパネル用ガラス板は、50〜350℃の平均熱膨張係数が75×10-7/℃以下であり、Tgが610℃以上であるため、パネルの製造工程での寸法変化が少なく、パネル使用時の熱応力による表示品質への影響が少ないことから、特にLCDパネル用のガラス基板として好適である。
また、本発明のディスプレイパネル用ガラス板は、ガラス溶解温度において低粘性であるため、原料を溶融しやすく製造が容易である。また、清澄剤にSO3を用いるときは、低粘性であることから、清澄剤効果に優れ、泡品質に優れる。
本発明のディスプレイパネル用ガラス板は、LCDパネル用のガラス基板として好適であるが、他のディスプレイ用基板、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)、無機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレイなどに使用することができる。例えば、PDP用のガラス板として使用した場合、従来のPDP用のガラス板にくらべて熱膨張係数が小さいため、熱処理工程におけるガラスの割れを抑制することができる。
なお、本発明のディスプレイパネル用ガラス板は、ディスプレイパネル以外の用途にも用いることができる。例えば、太陽電池基板用ガラス板としても用いることができる。
本発明のディスプレイパネル用ガラス板は、実質的にB2O3を含有せず、
酸化物基準の質量%表示で、ガラス母組成として、
SiO2 73.5〜78.5、
MgO 10.6〜11.8、
Na2O 3.0〜15.0、
K2O 1.0〜12.0、
Na2O+K2O 6.0〜15.0、
からなり、密度が2.45g/cm3以下であり、50〜350℃の平均熱膨張係数が75×10-7/℃以下であり、ガラス転移点が610℃以上であり、ブリトルネスが6.5μm-1/2以下であり、粘度をηとするときlogη=2.5を満たす温度が1620℃以下であることを特徴とする。
本発明において「実質的に含有しない」と言った場合、原料等から混入する不可避的不純物以外には含有しないこと、すなわち、意図的に含有させないものを意味する。
本発明のディスプレイパネル用ガラス板は、実質的にB2O3を含有しない。そのためガラス板製造時にガラスを溶融する際の、溶解工程、清澄工程および成形工程での、特に溶解工程および清澄工程での、B2O3の揮散がなく、製造されるガラス基板が均質性および平坦性に優れる。その結果、高度の平坦性が要求されるLCDパネル用のガラス板として使用する場合に、従来のディスプレイパネル用ガラス板に比べて、ガラス板の研磨量が少なくすることができる。
SiO2の含有量は、74.0〜78.5%であることが好ましく、75.5〜78.5%であることがより好ましく、さらに好ましくは75.5〜78.0%である。
MgO含有量は、10.8〜11.8%が好ましく、より好ましくは11.0〜11.5%である。
Na2Oの含有量は、3.0〜8.0%であることが好ましく、より好ましくは4.0〜7.5%であり、さらに好ましくは6.0〜7.5%である。
K2Oの含有量は、3.0〜12.0%であることが好ましく、より好ましくは3.0〜10.0%であり、さらに好ましくは3.5〜8.0%である。
これらの合量は、10.0〜15.0%であることが好ましく、より好ましくは10.5〜14.0%であり、さらに好ましくは10.5〜13.0%である。
SiO2 73.5〜78.5、
MgO 10.6〜11.8、
Na2O 3.0〜8.0、
K2O 3.0〜12.0、
Na2O+K2O 10.0〜15.0、
からなり、密度が2.43g/cm3以下であり、50〜350℃の平均熱膨張係数が70×10-7/℃以下であり、ガラス転移点が630℃以上であり、ブリトルネスが6.0μm-1/2以下であり、粘度をηとするときlogη=2.5を満たす温度が1620℃以下であるディスプレイパネル用ガラス板であることが好ましい。
SiO2 75.5〜78.5、
MgO 10.8〜11.8、
Na2O 4.0〜7.5、
K2O 3.5〜8.0、
Na2O+K2O 10.5〜14.0、
からなり、密度が2.40g/cm3以下であり、50〜350℃の平均熱膨張係数が65×10-7/℃以下であり、ガラス転移点が640℃以上であり、ブリトルネスが5.5μm-1/2以下であり、粘度をηとするときlogη=2.5を満たす温度が1620℃以下であるディスプレイパネル用ガラス板であることがより好ましい。
SO3源として、硫酸カリウム(K2SO4)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)等の硫酸塩がガラス母組成原料に添加されるが、添加は母組成原料100%に対して硫酸塩をSO3換算で0.05〜1%であり、0.05〜0.3%であることが好ましい。
ディスプレイパネル用ガラス板の残存量(含有量)はSO3換算で100〜500ppmであり、好ましくは100〜400ppmである。
また、ガラスの化学的耐久性向上およびヤング率向上のため、ガラス中にY2O3、La2O3、TiO2を合量で5%以下含有させてもよい。
さらに、ガラスの色調を調整するため、ガラスがFe2O3、CeO2等の着色剤を合量で1質量%以下含有させてもよい。
50〜350℃の平均熱膨張係数は、70×10-7/℃以下であることが好ましく、より好ましくは50×10-7〜65×10-7/℃である。
なお、LCDパネル製造時に実施される熱処理工程での基板寸法変化許容量は、LCDパネルのサイズによって異なるので、ディスプレイパネル用ガラス板の50〜350℃の平均熱膨張係数は、75×10-7/℃以下、好ましくは70×10-7/℃以下、より好ましくは50×10-7〜65×10-7の中で製造するLCDパネルのサイズに応じて適宜選択することができる。
B=2.39×(c/a)3/2×P-1/4
単位はc,a:μm P:N B:μm-1/2
本発明のディスプレイパネル用ガラス板は、ブリトルネスが6.5以下であり、好ましくは6.0以下であり、より好ましくは5.5以下である。
ディスプレイパネル用のガラス板の製造工程において、ガラスを板状に成形する方法としては、近年の液晶テレビなどの大型化に伴い、大面積のガラス板を容易に、安定して成形できるフロート法を用いることが好ましい。
こうして得られたガラスの密度、平均熱膨張係数(単位:×10-7/℃)、Tg(単位:℃)、ブリトルネス(単位:μm-1/2)ならびに高温粘度として、溶融ガラスの粘度が102.5dPa・sとなる温度T2.5(単位:℃)、104dPa・sとなる温度T4(単位:℃)および失透温度を測定し、表1に示した。以下に各物性の測定方法を示す。
密度:泡を含まない約20gのガラス塊をアルキメデス法によって測定した。
50〜350℃の平均熱膨張係数:示差熱膨張計(TMA)を用いて測定し、JIS R3102(1995年度)より求めた。
Tg:TgはTMAを用いて測定した値であり、JIS R3103−3(2001年度)により求めた。
高温粘度:回転粘度計を用いて粘度を測定し、粘度が102.5dPa・sとなるときの温度T2.5と、104dPa・sとなるときの温度T4を測定した。
失透温度:複数のガラス片をそれぞれ異なる温度で17時間加熱溶解し、結晶が析出しているガラスの中で最も温度が高いガラスのガラス温度aと結晶が析出していないガラスの中で最も温度が低いガラスのガラス温度bとの平均値((a+b)/2)を失透温度とした。
なお、表中のかっこ書きした値は、計算により求めたものである。
ガラス中のSO3残存量は100〜500ppmであった。
また、ブリトルネスが6.5μm-1/2以下であり疵つきにくい。また密度が2.45以下であり、大型のディスプレイ基板用ガラス板として適している。
また、T2.5が1620℃以下であり、ガラスの溶解工程において低粘性であり、生産性に優れる。
また、失透温度が温度T4以下であるのでフロート成形性に優れ、容易にフロート成形することができる。
一方、例6〜8はK2Oを含有していないため、Tgが610℃未満である。また、これらと同様の組成のガラス基板上にTFTを形成した場合、ガラスからTFTへアルカリが移動しやすいので好ましくない。
また、例9はB2O3を含有しているため、ガラス溶融時の揮散により、ガラスの均質性や板状に成形した際の平坦性に影響を及ぼしやすい。また、アルカリ酸化物を含有しないため、SO3による清澄が不十分となる。また、例10、11は平均熱膨張係数が約80×10-7/℃超と大きいため、LCDパネル製造工程での寸法変化に影響を及ぼす可能性がある。
本発明のガラスの溶解工程において清澄剤としてSO3を用いることにより、清澄効果に優れ、泡の少ないガラスが得られる。また、本発明のガラスの成形工程において、フロート法により成形を行う。容易にフロート成形が行え、B2O3を含有していないことから平坦性に優れたガラスが得られる。
したがって、本発明のディスプレイパネル用ガラス板は、特に大型のLCDパネル用ガラス基板として好適に用いることができる。
Claims (3)
- 実質的にB2O3を含有せず、
酸化物基準の質量%表示で、ガラス母組成として、
SiO2 73.5〜78.5、
MgO 10.6〜11.8、
Na2O 3.0〜15.0、
K2O 1.0〜12.0、
Na2O+K2O 6.0〜15.0、
からなり、密度が2.45g/cm3以下であり、50〜350℃の平均熱膨張係数が75×10-7/℃以下であり、ガラス転移点が610℃以上であり、ブリトルネスが6.5μm-1/2以下であり、粘度をηとするときlogη=2.5を満たす温度が1620℃以下であるディスプレイパネル用ガラス板。 - 実質的にB2O3を含有せず、
酸化物基準の質量%表示で、ガラス母組成として、
SiO2 73.5〜78.5、
MgO 10.6〜11.8、
Na2O 3.0〜8.0、
K2O 3.0〜12.0、
Na2O+K2O 10.0〜15.0、
からなり、密度が2.43g/cm3以下であり、50〜350℃の平均熱膨張係数が70×10-7/℃以下であり、ガラス転移点が630℃以上であり、ブリトルネスが6.0μm-1/2以下であり、粘度をηとするときlogη=2.5を満たす温度が1620℃以下であるディスプレイパネル用ガラス板。 - 実質的にB2O3を含有せず、
酸化物基準の質量%表示で、ガラス母組成として、
SiO2 75.5〜78.5、
MgO 10.8〜11.8、
Na2O 4.0〜7.5、
K2O 3.5〜8.0、
Na2O+K2O 10.5〜14.0、
からなり、密度が2.40g/cm3以下であり、50〜350℃の平均熱膨張係数が65×10-7/℃以下であり、ガラス転移点が640℃以上であり、ブリトルネスが5.5μm-1/2以下であり、粘度をηとするときlogη=2.5を満たす温度が1620℃以下であるディスプレイパネル用ガラス板。
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