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JP5063470B2 - 車両用ラジエータ取付構造 - Google Patents

車両用ラジエータ取付構造 Download PDF

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JP5063470B2
JP5063470B2 JP2008121232A JP2008121232A JP5063470B2 JP 5063470 B2 JP5063470 B2 JP 5063470B2 JP 2008121232 A JP2008121232 A JP 2008121232A JP 2008121232 A JP2008121232 A JP 2008121232A JP 5063470 B2 JP5063470 B2 JP 5063470B2
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Description

本発明は、車両用ラジエータ取付構造の改良に関するものである。
従来の車両用ラジエータ取付構造として、車体前部にブラケットを介してラジエータが取付けられ、車両の前方から衝突物があった場合に、ブラケットからラジエータの上端が外れやすくされたもの(例えば、特許文献1参照。)、ブラケットが容易に変形するとともにブラケットへのラジエータの取付部が前後に容易に回動するもの(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
特許3085945号公報 特許3642754号公報
特許文献1の図3、図4を以下の図10(a),(b)で説明する。なお、符号は振り直した。
図10(a),(b)は従来の車両用ラジエータ取付構造を示す説明図である。
(a)において、車体側の上部クロスメンバ201にブラケット202が取付けられ、このブラケット202に上部サポートゴム203を介してラジエータ204の上端部が取付けられている。
(b)において、車体側の下部クロスメンバ206に支持ステー207が取付けられ、この支持ステー207に下部サポートゴム208を介してラジエータ204の下端部が取付けられている。
特許文献2の図3を以下の図11で説明する。なお、符号は振り直した。
図11は従来の車両用ラジエータ取付構造を示す斜視図であり、フロントバルクヘッド211の上部にステー212の一端部が取付けられ、ステー212の中間部でラジエータ213の上端部が支持され、ステー212の他端部がフロントバルクヘッド211を構成するサイドステー214の延長部216に車幅方向に延びるボルト217で取付けられている。
また、ラジエータ213の下端は、ラバーマウントを介してフロントバルクヘッド211の下部に取付けられている。
上記の特許文献1では、ブラケット202は、ラジエータ204を後方へ倒れやすくするために車両前方へ長くする必要があり、ラジエータ204がより前側に配置されるため、車両全長が大きくなる。
また、特許文献2では、ステー212の形状が、複雑となり、ステー212を変形させる荷重の設定も困難であるため、ステー212のコストが嵩む。
更に、上記特許文献1、特許文献2共に、ラジエータの下端は、車体フレーム側に固定されているため、ラジエータの後傾量、後退量が規制され、更に、ラジエータ後方のエンジン等によってもこれらが規制され、車体前部での衝突エネルギーを吸収するためのストローク量が規制を受ける。
本発明の目的は、車両の全長を大きくすることなしに簡単な構造で衝突エネルギーを吸収するためのストローク量を確保することにある。
請求項1に係る発明は、フロントバルクヘッドの上部にアッパブラケットを介してラジエータの上端部を取付ける車両用ラジエータ取付構造において、アッパブラケットに、ラジエータの上端部が取付けられる上端取付部に開けられた取付穴と、アッパブラケットに車両前方から荷重が入力されたときに上端取付部の上方への座屈を促すために取付穴に隣接させて車幅方向に延びるように上方に突出形成された凸状ビードとを備え、車両の前面衝突時にアッパブラケットに入力された荷重により上端取付部をラジエータの上端部から上方に離脱させることを特徴とする。
車両の前面衝突時に、ラジエータに車両前方から衝突力が作用すると、取付穴に隣接させて車幅方向に延びるように上方に突出形成された凸状ビードに沿って上部取付部が上方へ座屈する。この結果、アッパブラケットの取付穴からラジエータ上端部が抜けるように上部取付部がアッパブラケット上端部から上方へ離脱し、ラジエータ上端部がラジエータの下端部を支点にして後方へ倒れる。
このように、アッパブラケットを上方へ撓ませて、ラジエータ上端部を後方へ移動させる構造であるから、アッパブラケットを車両前方へ延ばす必要がなく、また、衝突エネルギー吸収のためのストローク量も確保される。
更に、アッパブラケットは、取付穴及び凸状ビードが形成された簡単な構造であり、コストアップが抑えられる。
請求項2に係る発明は、フロントバルクヘッドの上部を構成するフロントバルクヘッドアッパに、車両の前面衝突時にラジエータの上端部が車両後方に移動したときのラジエータ上端部の後方移動を促す上部テーパ部が設けられていることを特徴とする。
フロントバルクヘッドアッパに上部テーパ部が設けられているため、車両の前面衝突時にラジエータに衝突力が作用してラジエータ上端部が車両後方へ移動したときに、ラジエータ上端部の移動量が大きくなる。
請求項3に係る発明は、ラジエータでは、その下端部が車体側に下端取付部を介して取付けられ、下端取付部が、車体側から車幅方向内側に延びるピンと、このピンを回動自在に支持するためにラジエータ側に設けられた受け部とからなり、この受け部が、断面C字形状に形成されるとともに、ラジエータの上端部が後方へ倒れた際にラジエータに作用する下向きの外力によりピンから受け部が離脱できる位置にC字の開口が形成されていることを特徴とする。
車両の前面衝突時に、ラジエータ上端部が車両後方へ倒れた際に、下端取付部を構成する車体側のピンの上方に受け部のC字の開口が移動する。この状態でラジエータに下向きの外力が作用すると、受け部は、C字の開口を通ってピンが相対移動するようにピンから外れ、車体側からラジエータ下端部が脱落する。
請求項4に係る発明は、フロントバルクヘッドの下部を構成するフロントバルクヘッドロアに、車両の前面衝突時にラジエータの上端部が車両後方へ移動したときのラジエータの脱落を促す前下がりの下部テーパ部が設けられていることを特徴とする。
フロントバルクヘッドロアに設けられた下部テーパ部によって、車両の前面衝突時にラジエータに衝突力が作用してラジエータ上端部が車両後方へ移動し、更に、ラジエータに下向きの外力が作用したときに、ラジエータ下端部の脱落が促される。
請求項1に係る発明では、アッパブラケットに、ラジエータの上端部が取付けられる上端取付部に開けられた取付穴と、アッパブラケットに車両前方から荷重が入力されたときに上端取付部の上方への座屈を促すために取付穴に隣接させて車幅方向に延びるように上方に突出形成された凸状ビードとを備え、車両の前面衝突時にアッパブラケットに入力された荷重により上端取付部をラジエータの上端部から上方に離脱させるので、通常走行時には、アッパブラケットによりラジエータの耐振動性を確保することができ、また、車両の前面衝突時には、アッパブラケットの凸形ビードを起点とした上方への座屈を促してラジエータ上端部からアッパブラケットを容易に離脱させることができ、ラジエータ上端部を後方へ移動させて衝突エネルギー吸収のための車体前部のストローク量を確保することができる。
また、従来のようにアッパブラケットを車両前方へ延ばす必要がなく、車両全長の拡大を防止することができ、更に、アッパブラケットは、取付穴及び凸状ビードが形成された簡単な構造の部材であるから、コストを抑えることができる。
請求項2に係る発明では、フロントバルクヘッドの上部を構成するフロントバルクヘッドアッパに、車両の前面衝突時にラジエータの上端部が車両後方に移動したときのラジエータ上端部の後方移動を促す上部テーパ部が設けられているので、ラジエータ上端部の後方への移動量を大きくすることができ、衝突エネルギー吸収のために必要な車体前部のストローク量を容易に確保することができる。
請求項3に係る発明では、ラジエータでは、その下端部が車体側に下端取付部を介して取付けられ、下端取付部が、車体側から車幅方向内側に延びるピンと、このピンを回動自在に支持するためにラジエータ側に設けられた受け部とからなり、この受け部が、断面C字形状に形成されるとともに、ラジエータの上端部が後方へ倒れた際にラジエータに作用する下向きの外力によりピンから受け部が離脱できる位置にC字の開口が形成されているので、車両の前面衝突時にラジエータ上端部が後方へ倒れ、ラジエータに下向きの外力が作用したときに、受け部をピンから離脱させる、即ち、ラジエータ下端部を車体側から脱落させることができ、ラジエータにより車体前部の変形が阻止されるのを防止することができる。従って、車体前部の衝突エネルギー吸収のためのストローク量を一層確保しやすくすることができる。
請求項4に係る発明では、フロントバルクヘッドの下部を構成するフロントバルクヘッドロアに、車両の前面衝突時にラジエータの上端部が車両後方へ移動したときのラジエータの脱落を促す前下がりの下部テーパ部が設けられているので、下部テーパ部によってラジエータ下端部の脱落を促すことができ、確実にラジエータ全体を脱落させることができるから、車体前部の衝突エネルギー吸収のためのストローク量をより一層確保しやすくすることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るラジエータ取付構造を備える車両の前部を示す斜視図(図中の矢印(FRONT)は車両前方を表している。以下同じ。)であり、車体前部に設けられたフロントバルクヘッド11に、ラジエータ12と、このラジエータ12の前方に配置されたエアコンディショナ用のコンデンサ13とが取付けられている。
フロントバルクヘッド11は、上部を構成するバルクヘッドアッパ21と、このバルクヘッドアッパ21の下方に配置されたバルクヘッドロア22と、これらのバルクヘッドアッパ21及びバルクヘッドロア22のそれぞれの両端を接続する左右一対のサイドバルクヘッド23,24とからなり、サイドバルクヘッド23,24は、上部が左右のホイールハウスアッパメンバ26,27にぞれぞれ取付けられ、下部が前後方向に延びる左右のフロントサイドフレーム(不図示)にそれぞれ取付けられている。なお、31,32はエンジンルームの左右に設けられたダンパハウジングである。
図2は本発明に係るラジエータ取付構造を示す側面図(一部断面図)であり、車体側、詳しくは、フロントバルクヘッド11にラジエータ12及びコンデンサ13を取付けるためのラジエータ類取付部40は、ラジエータ12及びコンデンサ13のそれぞれの上端部を支持するためにフロントバルクヘッド11のバルクヘッドアッパ21に取付けられたアッパブラケット41と、ラジエータ12及びコンデンサ13のそれぞれの下端部が取付けられる下端取付部42とからなる。なお43はラジエータ12の後部に取付けられたシュラウドである。
バルクヘッドアッパ21は、平板状のアッパパネル45と、このアッパパネル45の下部に取付けられたロアパネル46とからなる。
ロアパネル46は、前フランジ51と、この前フランジ51の後端から後方斜め下方に延びる前傾斜部52と、この前傾斜部52の後端から後方斜め上方に延びる後傾斜部53と、この後傾斜部53から上方に立ち上がる後立上げ部54と、この後立上げ部54から後方に延びる後フランジ56とからなり、前フランジ51及び後フランジ56がアッパパネル45の下面に取付けられ、前フランジ51及び前傾斜部52にアッパブラケット41が取付けられている。
バルクヘッドロア22は、ロアパネル61と、このロアパネル61の上部に取付けられたアッパパネル62とからなる。
ロアパネル61は、上フランジ64と、この上フランジ64の下端から下方斜め前方に延びる前傾斜部65と、この前傾斜部65の下端から下方に延びる下方延出部66と、この下方延出部66の下端から後方に延びる底部67と、この底部67の後端から上方に延びる上方延出部68と、この上方延出部68の上端から後方に延びる後フランジ69とからなる。
アッパパネル62は、上フランジ71と、この上フランジ71の下端から後方斜め下方に延びる後傾斜部72と、この後傾斜部72の後端から後方に延びる後フランジ73とからなり、上フランジ71がロアパネル61の上フランジ64に取付けられ、後フランジ73がロアパネル61の後フランジ69に取付けられている。
ここで、符号75はフロントグリル、76はフロントグリル75の後部に一体に設けられるとともにアッパブラケット41に当てられたリブ、77はフード、78は鉛直線(後述する軸線105を通る線である。)である。図では、鉛直線105はラジエータ12の上部突出ピン12aの軸線をも通っている。
図3は本発明に係るラジエータ上端部の取付構造を示す要部斜視図であり、アッパブラケット41は、ラジエータ12及びコンデンサ13のそれぞれの上端部、詳しくは、上端部の左右端部を支持するために左右一対設けられた部材であり、ラジエータ12の上端部に左右一対設けられた上部突出ピン12aとコンデンサ13の上端部に左右一対設けられた上部弾性部13aとが左右のアッパブラケット41で支持される。
図4は本発明に係るラジエータ上端部の取付構造を示す断面図であり、アッパブラケット41は、フロントバルクヘッド11(図2参照)に取付けられる傾斜部81及びこの傾斜部81の上端から折り曲げられて前方に延びる平坦部82と、この平坦部82の前端から折り曲げられて下方に延びる後垂下部83と、この後垂下部83の下端から折り曲げられて前方に延びるラジエータ支持部84と、リブ76からの外力を受けるためにラジエータ支持部84の前端から折り曲げられて前方斜め下方に延ばされたリブ受け部86と、このリブ受け部86の下端から後方斜め下方に折り曲げられてラジエータ12側に接近する前傾斜部87と、この前傾斜部87から折り曲げられて下方に延びる前垂下部88と、この前垂下部88の下端から折り曲げられて前方に延びるコンデンサ支持部89とからなる。
ラジエータ支持部84は、ラジエータ12の上端突出ピン12aに嵌合する弾性部材91を嵌合させるために開けられた後貫通穴84aと、この後貫通穴84aの車幅方向両側に形成された凸形ビード84b,84b(一方の符号84bのみ示す。図3も参照。)とが形成された部分である。
ビードとは、凸形又は凹形に形成された部分を言い、ここでは、アッパブラケット41の上面84cに凸形ビード84b,84bを形成することで、ラジエータ支持部84に車両前方から外力が作用したときにラジエータ支持部84が凸形ビード84b,84bを起点にして上方に座屈変形しやすくなるようにしている。
リブ受け部86は、リブ76が当たりやすいように前垂下部88よりも前方に突出した部分である。
コンデンサ支持部89は、コンデンサ13のゴム製の上部弾性部13aが嵌合する前貫通穴89aが開けられた部分である。
図5は本発明に係るラジエータ下端部の取付構造を示す要部斜視図であり、下端取付部42は、ラジエータ12及びコンデンサ13のそれぞれの下端部、詳しくは、下端部の左右端部を支持するために左右一対設けられた部分であり、フロントバルクヘッド11、詳しくは、サイドバルクヘッド23,24(一方の符号23のみ示す。)に前後方向に延びるように取付けられた車体側ブラケット94と、この車体側ブラケット94に軸線が車幅方向に延びるように取付けられた固定ピン96と、ラジエータ12の下端部側面12c及びコンデンサ13の下端部側面13cに取付けられたラジエータ側ブラケット97と、このラジエータ側ブラケット97に軸線が車幅方向に延びるように取付けられるとともに固定ピン96に回動自在に嵌合するピン受け部材98とからなる。
図6は本発明に係るラジエータ下端部の取付構造を示す要部側面図であり、ラジエータ側ブラケット97(輪郭が太線で示された部品)は、ラジエータ12及びコンデンサ13のそれぞれの下端部を連結する部品であり、ラジエータ12の下端部側面12cに取付けられたラジエータ取付プレート部97aと、コンデンサ13の下端部側面13cに取付けられたコンデンサ取付プレート部97bと、これらのラジエータ取付プレート部97a及びコンデンサ取付プレート部97bのそれぞれを繋ぐ車幅方向に延びる段部97c(図5も参照)とからなる。
ピン受け部材98は、断面C字形状の部材であり、C字の開口98aは、ラジエータ12及びコンデンサ13が固定ピン96を中心にして時計回りに回動したときに上方あるいは上方斜め前方を向くとともに、ラジエータ12、コンデンサ13に下向きあるいは下方斜め後方の向きに外力が作用したときに、固定ピン96から開口98aを介してピン受け部材98が外れるように、ラジエータ12及びコンデンサ13が回動前は前方斜め上方を向いている。
ここで、符号101,101はラジエータ12にラジエータ側ブラケット97を取付けるビス、102,102はコンデンサ13にラジエータ側ブラケット97を取付けるビス、105は固定ピン96及びピン受け部材98の軸線である。
以上に述べたラジエータ取付構造の作用を図7〜図9で説明する。
図7は本発明に係るラジエータ取付構造の作用を示す第1作用図、図8は本発明に係るラジエータ取付構造の作用を示す第2作用図、図9は本発明に係るラジエータ取付構造の作用を示す第3作用図である。
図2に示した状態から、図7において、車両に白抜き矢印で示すように、衝突物110が前面衝突すると、衝突物110からフロントグリル75のリブ76を介してアッパブラケット41に衝突力が作用する。
この結果、アッパブラケット41のラジエータ支持部84は、凸形ビード84bを起点にした座屈変形によって上方へ凸状に湾曲するように変形し、ラジエータ支持部84は、その後貫通穴84a(図4参照)がラジエータ12の上部突出ピン12aに嵌合された弾性部材91から外れるように離脱し、矢印Aで示すように、バルクヘッドロア22側に設けられた固定ピン96を中心にして車両後方へ倒れる。このとき、アッパブラケット41のコンデンサ支持部89は、コンデンサ13の上部弾性部13aに嵌合している。
図8において、衝突物110が更に白抜き矢印で示すように車両後方へ進行すると、アッパブラケット41は更に変形し、変形したアッパブラケット41に押し付けられてラジエータ12が矢印Bで示すように更に車両後方に倒れる。
フロントバルクヘッド11のバルクヘッドアッパ21の下部前部には前傾斜部52が設けられているため、上記したラジエータ12の後方への倒れ量(即ち、ラジエータ12の上端部の移動量)を大きくすることができ、アッパブラケット41やその周囲の部品が変形するときに大きな衝突エネルギーを吸収することができる。
やがて、ラジエータ12の上端部である上部突出ピン12aや弾性部材91がバルクヘッドアッパ21の前傾斜部52に当たると、ラジエータ12には、衝突力の下向き、あるいは下方斜め後方の向きの成分、例えば矢印Cの向きの力が作用する。
この結果、図9において、バルクヘッドロア22側の固定ピン96からピン受け部材98が外れ、ラジエータ12及びコンデンサ13は矢印D、矢印Eで示すように、脱落する。
このとき、フロントバルクヘッド11のバルクヘッドロア22の前部には前傾斜部65が設けられているため、上記したラジエータ12及びコンデンサ13の脱落時の後方、下方への移動量を大きくすることができ、大きな衝突エネルギーを吸収することができる。
また、ラジエータ12及びコンデンサ13を脱落させる構造にすることで、ラジエータ12及びコンデンサ13が、例えば衝突物110とエンジンとの間に挟まれて車体前部の変形を阻止することが回避され、車体前部が変形しやすくなり、衝突物110が受ける衝突力を軽減することができる。
以上の図2〜図4に示したように、フロントバルクヘッド11の上部にアッパブラケット41を介してラジエータ12の上端部を取付ける車両用ラジエータ取付構造において、アッパブラケット41に、ラジエータ12の上端部が取付けられる上端取付部としてのラジエータ支持部84に開けられた取付穴としての後貫通穴84aと、アッパブラケット41に車両前方から荷重が入力されたときにラジエータ支持部84の上方への座屈を促すために後貫通穴84aに隣接させて車幅方向に延びるように上方に突出形成された凸状ビード84bとを備え、車両の前面衝突時にアッパブラケット41に入力された荷重によりラジエータ支持部84をラジエータ12の上端部から上方に離脱させるので、通常走行時には、アッパブラケット41によりラジエータ12の耐振動性を確保することができ、また、車両の前面衝突時には、アッパブラケット41の凸形ビード84bを起点とした上方への座屈を促してラジエータ12の上端部からアッパブラケット41を容易に離脱させることができ、ラジエータ12の上端部を後方へ移動させて衝突エネルギー吸収のための車体前部のストローク量を確保することができる。
また、従来のようにアッパブラケットを車両前方へ延ばす必要がなく、車両全長の拡大を防止することができ、更に、アッパブラケット41は、後貫通穴84a及び凸状ビード84bが形成された簡単な構造の部材であるから、コストを抑えることができる。
以上の図2に示したように、フロントバルクヘッド11の上部を構成するフロントバルクヘッドアッパ21に、車両の前面衝突時にラジエータ12の上端部が車両後方に移動したときのラジエータ12の上端部の後方移動を促す上部テーパ部としての前傾斜部52が設けられているので、ラジエータ12の上端部の後方への移動量を大きくすることができ、衝突エネルギー吸収のために必要な車体前部のストローク量を容易に確保することができる。
更に、図2、図5、図6に示したように、ラジエータ12では、その下端部が車体側に下端取付部42を介して取付けられ、下端取付部42が、車体側、即ち、サイドバルクヘッド23,24(図1も参照)から車幅方向内側に延びるピンとしての固定ピン96と、この固定ピン96を回動自在に支持するためにラジエータ12側、詳しくはラジエータ側ブラケット97に設けられた受け部としてのピン受け部材98とからなり、このピン受け部材98が、断面C字形状に形成されるとともに、ラジエータ12の上端部が後方へ倒れた際にラジエータ12に作用する下向き、あるいは下方斜め後方の向きの外力により固定ピン96からピン受け部材98が離脱できる位置にC字の開口98aが形成されているので、車両の前面衝突時にラジエータ12の上端部が後方へ倒れ、ラジエータ12に下向き、あるいは下方斜め後方の向きの外力が作用したときに、ピン受け部材98を固定ピン96から離脱させる、即ち、ラジエータ12の下端部を車体側から脱落させることができ、ラジエータ12により車体前部の変形が阻止されるのを防止することができる。従って、車体前部の衝突エネルギー吸収のためのストローク量を一層確保しやすくすることができる。
また、図2に示したように、フロントバルクヘッド11の下部を構成するフロントバルクヘッドロア22に、車両の前面衝突時にラジエータ12の上端部が車両後方へ移動してアッパブラケット41から離脱したときのラジエータ12の下端部の脱落、移動(後方、下方、下方斜め後方又は下方斜め前方)を促す前下がりの下部テーパ部としての前傾斜部65が設けられているので、前傾斜部65によってラジエータ12の下端部の脱落、移動を促すことができ、確実にラジエータ全体を脱落、移動させることができるから、車体前部の衝突エネルギー吸収のためのストローク量をより一層確保しやすくすることができる。
尚、本実施形態では、図5、図6に示したように、サイドバルクヘッド23,24(一方の符号23のみ示す。)に車体側ブラケット94を介して固定ピン96を取付け、ラジエータ12及びコンデンサ13のそれぞれの下端部にラジエータ側ブラケット97を介してピン受け部材98を取付けたが、これに限らず、サイドバルクヘッド23,24に直接に固定ピン96を取付けてもよいし、ラジエータ12又はコンデンサ13の下端部に直接にピン受け部材98を取付けてもよい。
本発明のラジエータ取付構造は、自動車に好適である。
本発明に係るラジエータ取付構造を備える車両の前部を示す斜視図である。 本発明に係るラジエータ取付構造を示す側面図である。 本発明に係るラジエータ上端部の取付構造を示す要部斜視図である。 本発明に係るラジエータ上端部の取付構造を示す断面図である。 本発明に係るラジエータ下端部の取付構造を示す要部斜視図である。 本発明に係るラジエータ下端部の取付構造を示す要部側面図である。 本発明に係るラジエータ取付構造の作用を示す第1作用図である。 本発明に係るラジエータ取付構造の作用を示す第2作用図である。 本発明に係るラジエータ取付構造の作用を示す第3作用図である。 従来の車両用ラジエータ取付構造を示す説明図である。 従来の車両用ラジエータ取付構造を示す斜視図である。
符号の説明
11…フロントバルクヘッド、12…ラジエータ、21…バルクヘッドアッパ、22…バルクヘッドロア、41…アッパブラケット、42…下端取付部、52…上部テーパ部(前傾斜部)、65…下部テーパ部(前傾斜部)、84…上端取付部(ラジエータ支持部)、84a…取付穴(後貫通穴)、84b…凸形ビード、96…ピン(固定ピン)、98…受け部(ピン受け部材)、98a…開口。

Claims (4)

  1. フロントバルクヘッドの上部にアッパブラケットを介してラジエータの上端部を取付ける車両用ラジエータ取付構造において、
    前記アッパブラケットは、前記ラジエータの上端部が取付けられる上端取付部に開けられた取付穴と、前記アッパブラケットに車両前方から荷重が入力されたときに前記上端取付部の上方への座屈を促すために前記取付穴に隣接させて車幅方向に延びるように上方に突出形成された凸状ビードとを備え、
    、車両の前面衝突時に前記アッパブラケットに入力された荷重により前記上端取付部を前記ラジエータの上端部から上方に離脱させることを特徴とする車両用ラジエータ取付構造。
  2. 前記フロントバルクヘッドの上部を構成するフロントバルクヘッドアッパは、車両の前面衝突時に前記ラジエータの上端部が車両後方に移動したときのラジエータ上端部の後方移動を促す上部テーパ部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の車両用ラジエータ取付構造。
  3. 前記ラジエータは、その下端部が車体側に下端取付部を介して取付けられ、
    前記下端取付部は、前記車体側から車幅方向内側に延びるピンと、このピンを回動自在に支持するために前記ラジエータ側に設けられた受け部とからなり、この受け部は、断面C字形状に形成されるとともに、前記ラジエータの上端部が後方へ倒れた際にラジエータに作用する下向きの外力により前記ピンから受け部が離脱できる位置にC字の開口が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用ラジエータ取付構造。
  4. 前記フロントバルクヘッドの下部を構成するフロントバルクヘッドロアは、車両の前面衝突時に、前記ラジエータの上端部が車両後方へ移動したときのラジエータの脱落を促す前下がりの下部テーパ部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の車両用ラジエータ取付構造。
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