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JP5062784B2 - 音叉型圧電振動片及び圧電デバイス - Google Patents

音叉型圧電振動片及び圧電デバイス Download PDF

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JP5062784B2
JP5062784B2 JP2011036699A JP2011036699A JP5062784B2 JP 5062784 B2 JP5062784 B2 JP 5062784B2 JP 2011036699 A JP2011036699 A JP 2011036699A JP 2011036699 A JP2011036699 A JP 2011036699A JP 5062784 B2 JP5062784 B2 JP 5062784B2
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Description

本発明は、振動腕に溝部が形成された音叉型圧電振動片、その圧電振動片を用いる圧電デバイスに関する。
例えば特許文献1は、CI(クリスタルインピーダンス)値を下げる音叉型圧電振動片を開示している。この音叉型圧電振動片の一対の振動腕は、表裏面に形成された溝部に励振電極を有している。また一対の振動腕は側面に形成された励振電極を有している。そして、特許文献1の音叉型圧電振動片は、これらの励振電極を断面で4つの領域に区別し、その4つの領域の厚みを調整することにより、振動の妨げになる要因を減らし、応力も減らして周波数に与える影響を低減している。さらに、音叉型圧電振動片はCI値を抑え周波数への影響を低減している。
特開2008−178022号公報
特許文献1では、励振電極の厚みをどのように調整するか開示されていないが、微小な振動腕の励振電極の厚みを4つの領域でそれぞれ調整することは困難である。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、一対の振動腕の励振電極を簡易に厚さ調整することで、振動の妨げになる要因を減らしCI値を抑えた圧電振動片および圧電デバイスを提供することを目的とする。
第1の観点の音叉型圧電振動片は、パッケージ内に導電性部材で固定される音叉型圧電振動片であって、導電性部材と電気的に接続する接続電極と、圧電材からなる基部から所定方向に伸び、接続電極と電気的に接続する励振電極が形成された一対の振動腕と、を備え、振動腕は、表裏面と表裏面の両側で交差する両側面とを有し、表裏面には所定方向に伸びる溝部がそれぞれ形成され、励振電極は、表裏面の溝部内にそれぞれ形成された表裏電極と、両側面にそれぞれ形成された側面電極と、を有し、表裏電極の膜厚は、接続電極の膜厚よりも薄い。
第2の観点の音叉型圧電振動片は、第1の観点において、接続電極および励振電極は、圧電材上に形成される第1層と第1層上に形成される第2層とからなり、表裏電極の第2層は、接続電極の第2層よりも薄い。
第3の観点の音叉型圧電振動片は、第1の観点または第2の観点において、表裏電極の膜厚は、接続電極の膜厚の20〜90%である。
第4の観点の音叉型圧電振動片は、第1の観点から第3の観点において、接続電極は基部に形成されている。
第5の観点の音叉型圧電振動片は、第1の観点から第3の観点において、一対の振動腕の両外側で基部から所定方向に伸びる一対の支持腕を備え、接続電極は支持腕の先端に形成されている。
第6の観点の音叉型圧電振動片は、第1の観点から第5の観点において、表裏電極の膜厚は、不活性ガスによるエッチング、レーザ照射又はメタルエッチングによって薄く形成される。
第7の観点の音叉型圧電振動片は、パッケージ内に固定される音叉型圧電振動片であって、圧電材からなる基部から所定方向に伸び、表裏面と表裏面を両側で交差する両側面とを有する一対の振動腕と、表裏面に形成された表裏電極と、両側面にそれぞれ形成された側面電極とを有する励振電極と、を備え、側面電極の膜厚又は表裏電極の膜厚と周波数温度特性の頂点温度との対応関係のデータに基づいて、側面電極の膜厚は、周波数温度特性の頂点温度が所望の温度となるように調整され、側面電極又は表裏電極に段差もしくは粗面が形成されている音叉型圧電振動片。
第8の観点の音叉型圧電振動片は、第7の観点において、頂点温度が所望の温度よりも高い際には、側面電極又は表裏電極の膜厚が厚くされる請求項7に記載の音叉型圧電振動片。
第9の観点の音叉型圧電振動片は、第8の観点において、側面電極又は表裏電極の膜厚は、スパッタリングまたは真空蒸着によって厚く形成される。
第10の観点の音叉型圧電振動片は、第7の観点において、頂点温度が所望の温度よりも低い際には、側面電極又は表裏電極の膜厚が薄くされる。
第11の観点の音叉型圧電振動片は、第10の観点において、側面電極又は表裏電極の膜厚は、不活性ガスによるエッチング、レーザ照射又はメタルエッチングによって薄く形成される。
第12の観点の音叉型圧電振動片は、第7の観点から第11の観点において、励振電極は、圧電材上に形成される第1層と第1層上に形成される第2層とからなり、側面電極又は表裏電極の第2層の膜厚が調整される。
第13の観点の圧電デバイスは、第1の観点から第12の観点の音叉型圧電振動片と、音叉型圧電振動片を収納するパッケージを有する。
本発明は、振動の妨げになる要因を減らしCI値を抑えた音叉型圧電振動片および圧電デバイスを提供できる。
(a)は、第1音叉型圧電振動片100の平面図である。 (b)は、図1(a)のB−B断面における第1音叉型圧電振動片100の断面図である。 (c)は、図1(a)のC−C断面における第1音叉型圧電振動片100の断面図である。 (a)は、第1音叉型圧電振動片100のCI値と溝部第2層の膜厚/基部第2層の膜厚(F1/F2)との関係を示したグラフである。 (b)は、第1音叉型圧電振動片100のCI値と側面第2層532の膜厚/基部第2層51の膜厚(F4/F2)との関係を示したグラフである。 (c)は、レーザ光の照射により溝部第2層531Rの一部が除去された右溝領域13Rの写真である。 (d)は、スパッタリングにより側面第2層532Rの膜厚が厚くされた右溝領域13Rの断面図である。 (a)は、圧電デバイス1000の斜視図である。 (b)は、図3(a)及び図3(c)のE−E断面における圧電デバイス1000の断面図である。 (c)は、図3(b)のF−F断面における圧電デバイス1000の断面図である。 第1音叉型圧電振動片100の電極形成の第1フローチャートである。 第1音叉型圧電振動片100の電極形成の第2フローチャートである。 (a)は、第1音叉型圧電振動片100が形成された圧電材ウエハ150の平面図である。 (b)は、圧電材ウエハ150の拡大部160を示した図である。 (a)は、第1マスクカバー171の一部を拡大した図である。 (b)は、第2マスクカバー173の一部を拡大した図である。 第1音叉型圧電振動片100の電極形成の第3フローチャートである。 (a)は、第3マスクカバー175の一部を拡大した図である。 (b)は、第4マスクカバー177の一部を拡大した図である。 (a)は、周波数温度特性を示したグラフである。 (b)は、第1音叉型圧電振動片100における頂点温度ZTCと側面第2層の膜厚F4との関係を示したグラフである。 (c)は、第1音叉型圧電振動片100における頂点温度ZTCと溝部第2層531の膜厚F1との関係を示したグラフである。 (d)は、側面第2層532の膜厚F4を薄くした場合の右溝領域13Rの概略断面図である。 (e)は、側面第2層532の膜厚F4を厚くした場合の右溝領域13Rの概略断面図である。 音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCの調整方法を説明するためのフローチャートである。 第5マスクカバー179の一部を拡大した図である。 (a)は、第2音叉型圧電振動片200の平面図である。 (b)は、第2音叉型圧電振動片200のG−G断面における断面図である。 (c)は、圧電デバイス2000を−Z軸方向に見た断面図である。 (a)は、第3音叉型圧電振動片300の平面図である。 (b)は、図14(a)のK−K断面における、圧電デバイス3000を組み立てる前の状態を示した概略断面図である。 (c)は、図14(a)のH−H断面における第3音叉型圧電振動片300の断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<第1音叉型圧電振動片100の構成>
第1音叉型圧電振動片100について、図1を参照しながら説明する。
図1(a)は、第1音叉型圧電振動片100の平面図である。また、図1(b)は、図1(a)のB−B断面における第1音叉型圧電振動片100の断面図であり、図1(c)は、図1(a)のC−C断面における第1音叉型圧電振動片100の断面図である。以下、振動腕12が伸びている方向をY軸方向、一対の振動腕12が並んでいる方向をX軸方向、X軸方向とY軸方向とに直交する方向をZ軸方向として説明する。
第1音叉型圧電振動片100は、基部11と基部11からY軸方向に平行に伸びる一対の振動腕12とを備えている。振動腕12は表裏面と表裏面の両側で交差する両側面とを有している。また、第1音叉型圧電振動片100は圧電材CRを基材とする。圧電材CRには、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等が用いられる。
一対の振動腕12は、−Y軸側にY軸に伸びる溝部23および溝部23の両側の側面部24を有する溝領域13と+Y軸側に錘の役目を有する錘領域19とからなる。一対の振動腕12の+X軸側を右振動腕12Rと−X軸側を左振動腕12Lと呼ぶ。同様に、溝領域13の+X軸側を右溝領域13Rと−X軸側を左溝領域13Lと呼び、溝部23の+X軸側を右溝部23Rと−X軸側を左溝部23Lと呼び、錘領域19の+X軸側を右錘部19Rと−X軸側を左錘部19Lと呼ぶ。
第1音叉型圧電振動片100は小型化されると振動周波数が高くなる傾向がある。右錘部19Rおよび左錘部19Lは、第1音叉型圧電振動片100の振動周波数を低くし、振動腕12の振動を安定化させる役割がある。右溝部23Rおよび左溝部23Lは、後述する励振電極が形成され、CI値(クリスタルインピーダンス値)の上昇を抑える。
基部11のY軸方向の長さL1は、例えば0.58mmないし0.64mmに形成されている。また、振動腕12のY軸方向の長さL2は約1.45mmないし1.65mmに形成されている。従って、振動腕12の長さL2に対する基部11の長さL1は、約40パーセントとなっている。また、溝領域13のY軸方向の長さL3は振動腕12の長さL2の約60パーセントから70パーセントであり、0.87mmから1.12mmに形成されている。
基部11のX軸方向の長さW1は0.42mmないし0.50mm程度である。錘領域19のX軸方向の幅W2は、0.08mmないし0.12mm程度である。右溝領域13Rと左溝領域13Lとの間の距離W3は0.1mmないし0.15mm程度である。また、右溝部23R及び左溝部23Lの幅W4は、振動腕12の幅の約80パーセントで0.07mmから0.1mm程度である。
第1音叉型圧電振動片100の厚さD1は、0.08mmないし0.12mm程度である。また、+Z軸側及び−Z軸側の溝領域13の深さD2は、振動腕12の厚さの30パーセントから45パーセントであり、0.03mmから0.045mmとなる。
第1音叉型圧電振動片100には、基部11、錘領域19、溝領域13のそれぞれに電極が形成される。電極として用いられる金(Au)、銀(Ag)は圧電材CRに直接形成することが困難であるため、圧電材CRの表面に電極と同じ形状にCr、Ni等からなる第1層15を形成し、第1層15の表面に金、銀等からなる第2層(51、531、532、59)を形成している。つまり、電極は第1層15と第2層(51、531、532、59)とにより構成される。
第1層15の膜厚F3(図1(c)参照)は、50Å〜200Åで形成される。第1層15の膜厚F3は、基部11、溝領域13、錘領域19で略同じ厚さである。圧電材CRの形状、真空蒸着装置またはスパッタ装置内での圧電材CRの配置によって、第1層15の膜厚F3に違いが発生することはある。第1層15の膜厚F3はできるだけ薄い方が好ましい。第2層(51、531、532)の膜厚については後述する。
溝領域13には、励振電極53が形成される。各振動腕12の溝領域13に形成される励振電極53は、図1(b)に示されるように、溝部23に形成される溝部第2層531と、+X軸及び−X軸側面に形成される側面第2層532とに分けることができる。右溝部23Rには溝部第2層531Rが形成され、左溝部23Lには溝部第2層531Lが形成される。また、右溝領域13Rの+X軸側面及び−X軸側面には側面第2層532Rが形成され、左溝領域13Lの+X軸側面及び−X軸側面には側面第2層532Lが形成される。
基部11には基部第2層51が形成されており、基部11の+X軸側に形成された基部第2層を51R、−X軸側に形成された基部第2層を51Lとする。図1(c)に示されるように、基部第2層51R及び基部第2層51Lはそれぞれ基部11の+Z軸側の面から側面を介して−Z軸側の面まで形成されている。
図1(a)〜(c)に示されているように、第1音叉型圧電振動片100に形成されている第2層は、基部第2層51Rと、側面第2層532Rと、錘領域第2層59Rと、溝部第2層531Lとが電気的に接続されている。また、基部第2層51Lと、側面第2層532Lと、錘領域第2層59Lと、溝部第2層531Rとが電気的に接続されている。図1(a)〜(c)では、同じ電位の第2層に対して同じ模様のハッチングが描かれている。
また、錘領域19には、錘領域第2層59が形成されており、右錘部19Rに錘領域第2層59Rが形成され、左錘部19Lに錘領域第2層59Lが形成される。
第1音叉型圧電振動片100を振動させる際には、基部第2層51R及び基部第2層51Lに電圧が印加される。電圧が印加されると、第1音叉型圧電振動片100は、例えば共振周波数32.768kHzで振動する。
(クリスタルインピーダンス(CI値)に関して)
<電極の膜厚に関して>
図1(b)又は図1(c)に示すように、振動腕12の溝部23に形成された溝部第2層531は膜厚F1で形成され、基部第2層51は膜厚F2で形成され、側面第2層532は膜厚F4で形成されている。なお、スパッタリングまたは真空蒸着の状況に応じて、膜厚F1、膜厚F2および膜厚F4の厚さが領域によって変動する。たとえば図1(b)に示されるように、溝部23にはZ軸方向に伸びる面とX軸方向に面とがある。スパッタリングなどでは溝部23のZ軸方向に伸びる面は膜厚F1が薄く形成されやすく、溝部23のX軸方向に伸びる面は膜厚F1が厚く形成されやすい。本明細書では、溝部第2層531の全体の厚さの平均の厚さを膜厚F1とする。
基部第2層51の膜厚F2は、500Å〜2000Åに形成される。基部第2層51の膜厚F2は500Å以上であることが好ましい。基部第2層51において、第1音叉型圧電振動片100はパッケージ70内の接続端子74(図3(b)及び図3(c)を参照)に固定される。基部第2層51と接続端子74との電気的接続を確実にするために、基部第2層51の膜厚F2は厚い方が好ましい。基部第2層51の膜厚F2が500Åより薄くなると、電気的接続抵抗が大きくなり第1音叉型圧電振動片100のCI値が上がってしまう。一方、製造コストの観点から基部第2層51の膜厚F2は2000Å以下が好ましい。
図2(a)は、第1音叉型圧電振動片100のCI値と溝部第2層531の膜厚/基部第2層51の膜厚(F1/F2)との関係を示したグラフである。図2(a)では、基部第2層51の膜厚F2を一定とし、溝部第2層531の膜厚F1を変えることによってF1/F2の値を変化させ、CI値が測定されている。また、このとき側面第2層532の膜厚F4は一定としている。
図2(a)のグラフに示されるように、F1/F2が約50%の時にCI値が最も低くなっている。溝部第2層531の膜厚F1は所定厚さ以上に厚くなれば圧電材CRの振動を妨げることになり、CI値が上昇する。また、溝部第2層531の膜厚F1は薄すぎると電気抵抗が増してしまうため、CI値が上昇する。F1/F2が約30〜80%の時にCI値は60kΩ以下となり、良好なCI値が得られる。そのため、基部第2層51の膜厚F2が1000Åであるとき、溝部第2層531の膜厚F1は約300Å〜800Åであることが好ましい。
また、基部第2層51の膜厚F2を変えて同様の測定を行ったところ、次のような結果が得られている。基部第2層51の膜厚F2が500Åであるとき、溝部第2層531の膜厚F1は150Å〜450Å程度であることが好ましい。この膜厚は基部第2層51の膜厚F2の30%から90%になる。また、基部第2層51の膜厚F2が2000Åであるとき、溝部第2層531の膜厚F1は400Å〜800Å程度であることが好ましい。この膜厚は基部第2層51の膜厚F2の20%から40%になる。そのため、基部第2層51の膜厚F2が500〜2000Åであるときは、溝部第2層531の膜厚F1は基部第2層51の膜厚F2の20%から90%が好ましい。
溝部第2層531に電圧が印加されると、振動腕12の錘領域19はX軸方向に振動する。このときに溝部第2層531の膜厚F1が厚いと、錘領域19の振動の妨げとなりやすい。つまり励振電極53の膜厚が厚いと振動腕12の振動に与える影響が大きくなる。このため溝部第2層531の膜厚F1の厚さは、基部第2層51の膜厚F2よりも薄い方が好ましい。しかし、溝部第2層531の膜厚F1が、基部第2層51の膜厚F2の20%以下になると、CI値が著しく増大してしまう。
図2(b)は、第1音叉型圧電振動片100のCI値と側面第2層532の膜厚/基部第2層51の膜厚(F4/F2)との関係を示したグラフである。図2(b)では、基部第2層51の膜厚F2を一定とし、側面第2層532の膜厚F4を変えることによってF4/F2の値を変化させ、CI値が測定されている。また、このとき溝部第2層531の膜厚F1は一定としている。図2(b)のグラフからは、側面第2層532の膜厚F4の厚さを変化させてもCI値は変化しないことが分かる。
図2(a)より、溝部第2層531の膜厚F1を調整することによりCI値を下げるための調整を行うことができることが分かる。CI値を下げるための調整では溝部第2層531の膜厚F1のみを調整しても良いし、側面第2層532の膜厚F4がCI値に関係していないため(図2(b)参照)、溝部第2層531の膜厚F1及び側面第2層532の膜厚F4を含んだ溝領域13全体の第2層の膜厚を調整しても良い。
第2層の膜厚の調整において膜厚を薄くする方法としては、アルゴン等の不活性ガスを用いたドライエッチング、レーザ光の照射による金属膜の昇華、又はレジストをマスクとしたメタルエッチング等により行うことができる。例えば、図2(c)には、レーザ光の照射により溝部第2層531Rの一部が除去された右溝領域13Rの写真が示されている。図2(c)では、レーザ光により溝部第2層531Rの金属膜が昇華された複数の領域60が観察される。ドライエッチング、レーザ光又はメタルエッチング等の方法により膜厚が薄くされた場合は、薄くされた膜の表面が粗面状に形成される。また、同様の方法により側面第2層532Rの膜厚F4を調整することもできる。
第2層の膜厚の調整において膜厚を厚くする方法としては、金属膜をスパッタリング又は真空蒸着等の方法によって追加成膜することにより行うことができる。例えば、図2(d)には、スパッタリングにより側面第2層532Rの膜厚F4が厚くされた右溝領域13Rの断面図が示されている。図2(d)では、初めに右溝領域13Rに側面第2層532Raが形成されており、さらに側面第2層532Raの表面に側面第2層532Rbがスパッタリングにより追加成膜されることにより、最終的に側面第2層532Rが形成されている。図2(d)では、側面第2層532Raと側面第2層532Rbとの境界に段差61が形成されている。同様の方法により、溝部第2層531Rの膜厚F1を調整することもできる。
上記のような膜厚の調整は、CI値の調整及び後述される頂点温度ZTCの調整時に行うことができる。またCI値及び頂点温度ZTCの調整は、図2(a)及び後述される図10(b)、図10(c)等に示されるような膜厚とCI値及び頂点温度ZTCとの対応関係のデータに基づいて好ましい膜厚が計算された後に行われることが望ましい。
<圧電デバイス1000の構成>
圧電デバイス1000は第1音叉型圧電振動片100を収納している。図3を参照して圧電デバイス1000について説明する。図3(a)は、圧電デバイス1000の斜視図であり、図3(b)は、図3(a)及び図3(c)のE−E断面における圧電デバイス1000の断面図であり、図3(c)は、図3(b)のF−F断面における圧電デバイス1000の断面図である。
圧電デバイス1000は、パッケージ70と、リッド71と、第1音叉型圧電振動片100とにより構成されている。パッケージ70は、セラミックスを基材とした凹型の箱である。パッケージ70に形成された接続端子74はパッケージ70の壁の中に形成されている導通部76を通して、パッケージ70の外面に形成されている外部端子75と電気的に接続されている。外部端子75は不図示のプリント基板などにハンダ等で電気的に接続される端子である。リッド71は、パッケージ70を密封する金属板である。リッド71とパッケージ70とは封止材72により封止される。
第1音叉型圧電振動片100は、リッド71とパッケージ70とにより形成されたキャビティ内に固定される。第1音叉型圧電振動片100の基部第2層51の一部の領域は接続電極の役割を担う。接続電極は、パッケージ70の内面に形成されている接続端子74と導電性接着剤73またはハンダなどの導電部材を介して電気的に接続される電極である。第1音叉型圧電振動片100は、基部第2層51の一部の領域に導電性接着剤73が塗布され、接続端子74上に固定される。
<音叉型圧電振動片の電極形成フローチャート>
第1音叉型圧電振動片100の電極形成では、複数の方法が考えられる。以下、第1フローチャート、第2フローチャート及び第3フローチャートを参考にして3つの第1音叉型圧電振動片100の電極形成の方法について説明する。
図4は、第1音叉型圧電振動片100の電極形成の第1フローチャートである。また、図6(a)は第1音叉型圧電振動片100が形成された圧電材ウエハ150の平面図であり、図6(b)は圧電材ウエハ150の拡大部160を示した図である。また、図7(a)は第1マスクカバー171の一部を拡大した図であり、図7(b)は第2マスクカバー173の一部を拡大した図である。図7では、図6(b)の拡大部160の第1音叉型圧電振動片100の外形を点線で示している。
図4、図6及び図7を参照して第1音叉型圧電振動片100への電極形成過程について説明する。
図4のフローチャートの開始時における第1音叉型圧電振動片100は、圧電材ウエハ150に第1音叉型圧電振動片100が形成された図6(a)の状態である。図6(b)で示されるように、圧電材ウエハ150には振動腕12の溝部23を有する第1音叉型圧電振動片100の外形が形成されている。圧電材ウエハ150は、例えば厚さ0.12mmの人工水晶からなり、直径は3インチまたは4インチである。さらに、圧電材ウエハ150の周縁部の一部には結晶方向を特定するためのオリエンテーションフラット151が形成されている。
ステップS101において、圧電材ウエハ150全体に金属膜を蒸着またはスパッタリング等の手法により形成する。金属膜は、圧電材ウエハ150上に第1層15(図1(b)及び図1(c)を参照)となる金属膜が形成され、第1層15上に第2層となる金属膜が形成される。第2層となる金属膜はたとえば400Å程度の厚さで形成される。
ステップS102では、第1層及び第2層が形成された圧電材ウエハ150に第1マスクカバー171または第2マスクカバー173を載置する。第1マスクカバー171または第2マスクカバー173は、図6(b)に示した圧電材ウエハ150の拡大部160に重ね合わされるように載置される。一度に圧電材ウエハ150の両面に金属膜を形成する場合には、両面にマスクカバーが載置される。
図7(a)に示されるように、第1マスクカバー171の領域231は開口領域であり、領域232はマスクされる部分である。第1マスクカバー171の領域232は第1音叉型圧電振動片100の溝領域13をカバーし溝領域13への金属膜の形成を防ぎ、領域231は基部11および錘領域19に金属膜の積層を許す。図7(b)に示されるように、第2マスクカバー173の領域236は開口領域であり、領域237はマスクされる領域である。第2マスクカバー173の領域237は第1音叉型圧電振動片100の溝領域13をカバーし溝領域13への金属膜の形成を防ぎ、領域236は基部11に金属膜の積層を許す。
ステップS103において、スパッタリング等の手法により圧電材ウエハ150に金属膜を形成する。第1マスクカバー171が載置されれば、第1マスクカバー171の領域231を介して基部11および錘領域19にたとえば600Åの金属膜が積層される。溝領域13には金属膜が積層されない。第2マスクカバー173が載置されれば、第2マスクカバー173の領域236を介して基部11にたとえば600Åの金属膜が積層され、溝領域13には金属膜が積層されない。第1マスクカバー171または第2マスクカバー173を使用して金属膜を積層した結果、溝領域13の溝部第2層531の膜厚F1は400Å程度に形成され、基部11の基部第2層51の膜厚F2は1000Å程度に形成される。
ステップS104では、第2層の全面にフォトレジストをスプレーまたはスピンコートにより塗布する。その後フォトレジストを硬化させる。
ステップS105では、電極パターンと対応した不図示のフォトマスクを用意して、電極パターンをフォトレジスト膜が形成された圧電材ウエハ150に露光する。電極パターンは、第1音叉型圧電振動片100の両面に形成する必要があるため、圧電材ウエハ150の両面を露光する。
ステップS106では、フォトレジスト膜を現像後、感光したフォトレジスト膜を除去する。残るフォトレジスト膜は電極パターンと対応したフォトレジスト膜になる。さらに、不要な金属膜をエッチングにより除去する。例えば、第2層に用いられる金属は金であり、第1層15に用いられる金属はクロムである。金はヨウ素とヨウ化カリウムの水溶液でエッチングされ、クロムは硝酸第2セリウムアンモニウムと酢酸との水溶液でエッチングされる。
ステップS107において、圧電材ウエハ150のフォトレジストの除去を行う。これらの工程を経て第1音叉型圧電振動片100に第1層及び第2層が形成される。
ステップS108において、圧電材ウエハ150上の第1音叉型圧電振動片100の共振周波数及びCI値を測定する。共振周波数が目的の周波数でない場合には錘領域19にレーザ光を照射して金属膜を昇華させて周波数を調整する。
ステップS109において、圧電材ウエハ150から第1音叉型圧電振動片100を切り取る。
図5は、第1音叉型圧電振動片100の電極形成の第2フローチャートである。図5及び図7(b)を参照して第1音叉型圧電振動片100への電極形成過程について説明する。
ステップS201において、圧電材ウエハ150全体に金属膜を第1層及び第2層が蒸着またはスパッタリング等の手法により形成する。第2層となる金属膜はたとえば400Å程度の厚さで形成される。
ステップS202では、第2層の全面にフォトレジストを塗布する。
ステップS203では、電極パターンをフォトレジスト膜が形成された圧電材ウエハ150に露光する。
ステップS204では、フォトレジスト膜を現像後、感光したフォトレジスト膜を除去する。さらに、不要な金属膜をエッチングにより除去する。
ステップS205において、圧電材ウエハ150のフォトレジストの除去を行う。これらの工程を経て第1音叉型圧電振動片100に第1層及び第2層が形成される。
ステップS206では、第1層及び第2層が形成された圧電材ウエハ150に第2マスクカバー173を載置する。第2マスクカバー173は、図6(b)に示した圧電材ウエハ150の拡大部160に重ね合わされるように載置される。
図7(b)に示されるように、第2マスクカバー173の1つの開口領域236は、1つの第1音叉型圧電振動片100の基部第2層51Rと、隣接する第1音叉型圧電振動片100の基部第2層51L(図1を参照)とに金属膜の積層を許す。
ステップS207において、スパッタリング等の手法により圧電材ウエハ150に金属膜を形成する。第2マスクカバー173の領域236を介して、基部第2層51Rと第2層51Lとにたとえば600Åの金属膜が積層される。1つの第1音叉型圧電振動片100の基部第2層51Rと第2層51Lとの間には金属膜は形成されず、ショートすることはない。第2マスクカバー173を使用して金属膜を積層した結果、溝領域13の溝部第2層531の膜厚F1は400Å程度に形成され、基部11の基部第2層51の膜厚F2は1000Å程度に形成される。
ステップS208において、圧電材ウエハ150上の第1音叉型圧電振動片100の共振周波数及びCI値を測定し、調整する。
ステップS209において、圧電材ウエハ150から第1音叉型圧電振動片100を切り取る。
図8は、第1音叉型圧電振動片100の電極形成の第3フローチャートである。図8及び図9を参照して第1音叉型圧電振動片100への電極形成過程について説明する。また、図9(a)はエッチング用の第3マスクカバー175の一部を拡大した図であり、図9(b)はエッチング用の第4マスクカバー177の一部を拡大した図である。図9では、図6(b)の拡大部160の第1音叉型圧電振動片100の外形を点線で示している。
ステップS301において、圧電材ウエハ150全体に金属膜を蒸着またはスパッタリング等の手法により形成する。第2層となる金属膜はたとえば1000Å程度の厚さで形成される。
ステップS302では、第2層の全面にフォトレジストを塗布する。
ステップS303では、電極パターンをフォトレジスト膜が形成された圧電材ウエハ150に露光する。
ステップS304では、フォトレジスト膜を現像後、感光したフォトレジスト膜を除去する。さらに、不要な金属膜をエッチングにより除去する。
ステップS305において、圧電材ウエハ150のフォトレジストの除去を行う。これらの工程を経て第1音叉型圧電振動片100に第1層及び第2層が形成される。
ステップS306では、第1層及び第2層が形成された圧電材ウエハ150に第3マスクカバー175または第4マスクカバー177を載置する。第3マスクカバー175または第4マスクカバー177は、図6(b)に示した圧電材ウエハ150の拡大部160に重ね合わされるように載置される。
図9(a)に示されるように、第3マスクカバー175の領域233は開口領域であり、領域234はマスクされる領域である。第3マスクカバー175の領域234は第1音叉型圧電振動片100の錘領域19および基部11をカバーし錘領域19および基部11の金属膜が薄くなることを防ぎ、領域233は、溝部第2層531および側面第2層532(図1を参照)の金属膜が薄くなることを許す。図9(b)に示されるように、第4マスクカバー177の領域238は開口領域であり、領域239はマスクされる領域である。第4マスクカバー177の領域239は第1音叉型圧電振動片100の錘領域19、基部11、側面部24(図1を参照)をカバーし錘領域19、基部11、側面部24の金属膜が薄くなることを防ぎ、領域238は、溝部第2層531のみの金属膜が薄くなることを許す。
ステップS307では、アルゴン等の不活性ガスを使用したドライエッチング等により溝領域13または溝部23の金属膜を薄くする。第3マスクカバー175または第4マスクカバー177を使用して金属膜を薄くした結果、溝領域13の溝部第2層531(図1を参照)の膜厚F1はたとえば400Å程度に形成される。第3マスクカバー175を使用した場合は側面第2層532(図1を参照)の膜厚F4も薄くされ、たとえば400Å程度に形成される。
ステップS308において、圧電材ウエハ150上の第1音叉型圧電振動片100の共振周波数及びCI値を測定し、調整する。
ステップS309において、圧電材ウエハ150から第1音叉型圧電振動片100を切り取る。
なお、第3フローチャートにおいて、溝部第2層531の膜厚F1または側面第2層532の膜厚F4をドライエッチングではなく、レーザ照射により薄くしてもよい。
(頂点温度ZTCに関して)
<側面第2層の膜厚F4の調整>
次に、第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCの調整について説明する。実験を繰り返すことで、頂点温度ZTCと溝部第2層531の膜厚F1及び側面第2層532の膜厚F4とに関連があることを見出した。
図10(a)は、第1音叉型圧電振動片100の周波数温度特性を示したグラフである。図10(b)は第1音叉型圧電振動片100における頂点温度ZTCと側面第2層532の膜厚F4との関係を示したグラフである。図10(c)は、第1音叉型圧電振動片100における頂点温度ZTCと溝部第2層531の膜厚F1との関係を示したグラフである。図10(d)は側面第2層532の膜厚F4を薄くした場合の右溝領域13Rの概略断面図であり、図10(e)は側面第2層532の膜厚F4を厚くした場合の右溝領域13Rの概略断面図である。
図10(a)に示すように、第1音叉型圧電振動片100の周波数は、温度変化のよって放物線状の二次曲線となる。頂点温度ZTCは第1音叉型圧電振動片100の周波数が最も高くなる温度である。図10(a)では、第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCは約20℃を示している。
この第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCは、図10(b)に示されるように、側面第2層532の膜厚F4が変化することで、頂点温度ZTCも変化する。第1音叉型圧電振動片100の側面第2層532の膜厚F4が750Åの際に、第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCは約20℃であった。図10(d)に示すように第1音叉型圧電振動片100の側面第2層532の膜厚F4を500Åに薄くすると、第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCが約25℃であった。一方、図10(e)に示すように第1音叉型圧電振動片100の側面第2層532の膜厚F4を1000Åに厚くすると、第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCが約18℃であった。すなわち側面第2層532の膜厚F4が薄くすると頂点温度ZTCを上げることができ、側面第2層532の膜厚F4を厚くすると頂点温度ZTCを下げることができる。なお、図10(b)のグラフの頂点温度ZTCの測定は、基部第2層の膜厚F2を800Åとして固定し、側面第2層532の膜厚F4を変えることによって行った。また図10(b)では、溝部第2層531の膜厚F1を一定として測定している。
また図10(c)に示されるように、第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCは、溝部第2層531の膜厚F1の変化に対して放物線状の二次曲線として表わされる。溝部第2層531の膜厚F1がMF1の時に頂点温度ZTCは最大値MZTCをとり、溝部第2層531の膜厚F1がMF1との差が大きくなるに従って頂点温度ZTCは小さくなる。
圧電材ウエハ150のカットアングルずれ、第1音叉型圧電振動片100の形状のばらつき等の原因により、第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCはずれてしまうことがある。このような場合でも、溝部第2層531の膜厚F1又は側面第2層532の膜厚F4を調整することにより頂点温度ZTCの値を調整することができる。また、図2(b)に示されるように側面第2層532の膜厚F4はCI値に影響を及ぼさないため、頂点温度ZTCのみを調整したい場合は側面第2層532の膜厚F4を調整することがより好ましい。
<頂点温度ZTCの調整フローチャート>
圧電材ウエハ150上の各第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCが測定され、頂点温度ZTCが調整される。以下に、図11は、第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCの調整方法を説明するためのフローチャートである。
頂点温度ZTCの調整は、たとえば図4で示された電極形成の第1フローチャートのステップS108とステップS109との間に行われる。同様に、図5の第2フローチャートのステップS208とステップS209との間、または図8の第3フローチャートのステップS308とステップS309との間に行われてもよい。
ステップS501では、圧電材ウエハ150上に形成されている第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCを測定する。
次に、ステップS502において、頂点温度ZTCと目標温度とが異なるかどうかを判断する。目標温度は、第1音叉型圧電振動片100が使用される環境によって適宜決められる。頂点温度ZTC付近では使用環境温度の変化に対して最も周波数の変化が小さくなるためである。目標温度はたとえば25℃で設定される。頂点温度ZTCと目標温度とが同じ場合はステップS109(図4を参照)、ステップS209(図5参照)またはステップS309(図8参照)に進む。頂点温度ZTCと目標温度とが異なる場合にはステップS503に進む。
ステップS503では、頂点温度ZTCが目標温度に対して高いかどうかが判断される。頂点温度ZTCが目標温度に対して高い場合にはステップS504に進み、低い場合にはステップS505に進む。
ステップS504では、図12に示す第5マスクカバー179を使用して、真空蒸着又はスパッタリングにより側面第2層532に金属膜を形成する。第5マスクカバー179は第1音叉型圧電振動片100のZ軸側の面が形取られた形状をしている。第5マスクカバー179は図6(b)に示した圧電材ウエハ150の拡大部160に重ね合わされるように載置される。そのため、第5マスクカバー179を使用した場合は、第1音叉型圧電振動片100の主面をカバーし、側面第2層532のみに金属膜の積層を行うことができる。
金属膜の積層厚を決めるためには図10(b)に示したようなグラフを用意し、これらのグラフの中から、頂点温度ZTCと側面第2層532の膜厚F4との関係がもっとも近いグラフを参考にして金属膜の形成量を決定する。たとえば頂点温度ZTCが26℃であった場合に、目標温度25℃で設定する際には、図10(b)から側面第2層の膜厚F4を約50Å積層する。
ステップS505では、図12に示す第5マスクカバー179を使用して、アルゴン等の不活性ガスにより側面第2層532のドライエッチングを行う。第5マスクカバー179を使用することにより、第1音叉型圧電振動片100の主面へ影響を及ぼすことなく、側面第2層532のみを薄くすることができる。
ステップS506において、第1音叉型圧電振動片100の頂点温度ZTCを確認する。ステップS507において、頂点温度ZTCと目標温度とが異なるかどうかを判断する。頂点温度ZTCと目標温度とが異なる場合にはステップS503に戻って頂点温度ZTCの再調整を行う。頂点温度ZTCと目標温度と同じ場合にはステップS109(図4参照)、ステップS209(図5参照)またはステップS309(図8参照)に進む。
<第2音叉型圧電振動片200に関して>
第1音叉型圧電振動片100と形状が異なる音叉型圧電振動片であっても、CI値を下げるために溝部第2層を厚くしてもよい。また頂点温度ZTCを調整するため側面第2層の厚さを調整することができる。
<第2音叉型圧電振動片200>
図13(a)は、第2音叉型圧電振動片200の平面図である。第2音叉型圧電振動片200は、基部11と基部11からY軸方向に平行に伸びる一対の振動腕12とを備え、さらに一対の振動腕12の両外側でY軸方向に伸びた一対の支持腕86(86R,86L)を有している。
+X軸側に位置している支持腕86Rには支持腕電極第2層85Rが、−X軸側に位置している支持腕86Lには支持腕電極第2層85Lが形成されている。支持腕電極第2層85R及び支持腕電極第2層85Lは、基部11から支持腕86の+Y軸方向の先端付近にまで形成されている。支持腕電極第2層85R及び支持腕電極第2層85Lは、励振電極から伸びた基部第2層51と接続されている。第2音叉型圧電振動片200の支持腕電極第2層85の先端領域は接続電極の役割を担う。接続電極は、パッケージ80の内面に形成されている導電性接着剤73またはハンダなどの導電部材を介して電気的に接続される電極である(図13(c)を参照)。
図13(b)は、図13(a)の圧電振動片200のG−G断面における断面図である。第1音叉型圧電振動片100と同様に支持腕電極第2層85の先端領域の膜厚F5を溝部第2層の膜厚F6及び側面第2層の膜厚F7よりも厚く形成することにより、CI値を低く保つことができる。支持腕電極第2層85の先端領域の膜厚F5は500Å〜2000Å、溝部第2層の膜厚F6及び側面第2層の膜厚F7は約300Å〜800Åであることが好ましい。
支持腕電極第2層85の先端領域を除く領域の膜厚は、溝部第2層の膜厚F6または側面第2層の膜厚F7と同じように薄くしてもよいし、先端領域の膜厚F5と同じ厚さであってもよい。第2音叉型圧電振動片200の基部第2層51も溝部第2層の膜厚F6または側面第2層の膜厚F7と同じように薄くしてもよいし、先端領域の膜厚F5と同じ厚さであってもよい。
また、第2音叉型圧電振動片200の場合も、第1音叉型圧電振動片100と同様に、第2音叉型圧電振動片200の側面第2層の膜厚F7を調整することにより頂点温度ZTCを調節することができる。
図13(c)は、圧電デバイス2000を−Z軸方向に見た断面図である。圧電デバイス2000には第2音叉型圧電振動片200が備えられている。第2音叉型圧電発振片200は、支持腕86R及び支持腕86Lの+Y軸側の先端付近に形成されている接続電極87に塗布された導電性接着剤73によって圧電デバイス2000のパッケージ80に固定され、電気的に接続されている。第2音叉型圧電振動片200は、支持腕86でパッケージ80と接続することにより、パッケージ80の固定箇所と振動腕12との間に距離を置くことができる。そのため、周囲の温度変化や落下の衝撃、接合箇所に生じた応力変化等が振動腕12に影響を及ぼしにくくなっている。このため第2音叉型圧電振動片200は第1音叉型圧電振動片100に比べて、温度特性などが良好となる。
<第3音叉型圧電振動片300に関して>
セラミックパッケージに収納されない音叉型圧電振動片であっても、頂点温度ZTCを調整するため側面第2層の厚さを調整することができる。
図14(a)は、第3音叉型圧電振動片300の平面図である。第3音叉型圧電振動片300は、基部11より互いに平行に伸びている一対の振動腕12と、Y軸方向に伸びた一対の支持腕306と、圧電振動片外枠部310とにより構成されている。Y軸方向に伸びた一対の支持腕306は圧電振動片外枠部310と基部11とを接続している。圧電振動片外枠部310は、基部11と、振動腕12と、支持腕306とを内側に囲む枠である。圧電振動片外枠部310は図14(b)に示されるリッド90とベース120とに接合される。
振動腕12に形成されている励振電極307から圧電振動片外枠部310にかけて電極が形成されている。この電極は第1音叉型圧電振動片100と同様に圧電材上に形成された電極第1層15と、電極第1層15上に形成された電極第2層311とから構成される。電極第2層311は、+X軸側に電極第2層311Rが配置され、−X軸側に電極第2層311Lが配置されている。圧電振動片外枠部310の角に位置する電極第2層311R及び電極第2層311Lの終端部分は接続電極となっている。
図14(b)は、図14(a)のK−K断面における、圧電デバイス3000を組み立てる前の状態を示した概略断面図である。圧電デバイス3000はリッド90とベース120と第3音叉型圧電振動片300とにより構成されている。圧電デバイス3000の+Z軸側にはリッド90が配置されており、リッド90の−Z軸側の面にはリッド側凹部91が形成されている。圧電デバイス3000の−Z軸側にはベース120が配置されており、ベース120の+Z軸側の面にはベース側凹部121が形成されている。ベース120の+Z軸側の面の対角上に位置する2カ所の角には凹型段差部129が設けてあり、凹型段差部129の中には接続端子122が配置されている。また、ベース120の−Z軸側の面には外部端子125が2カ所に設けてある。接続端子122と外部端子125とは、スルーホール123を通して電気的に接続されている。第3音叉型圧電振動片300は、リッド90とベース120との間に配置されている。
第3音叉型圧電振動片300に形成されている接続電極317は、ベース120上に形成されている接続端子122と電気的に接続され、スルーホール123内に形成されている導通部126を通して外部端子125と電気的に接続される。また、圧電デバイス3000はリッド側凹部91とベース側凹部121とによって内部に空間が形成されており、第3音叉型圧電振動片300の振動腕12がZ軸方向に振動してもリッド90またはベース120に接触しないような構成になっている。
例えば、リッド90とベース120と第3音叉型圧電振動片300とは水晶を基材として形成される。その場合、リッド90とベース120と第3音叉型圧電振動片300との接合はシロキサン結合(Si−O−Si)技術によって行われる。シロキサン結合技術は水晶同士を直接接合する技術であり、封止材を用いる必要はない。また、電極第2層311と接続端子122との接続にも導電性接着剤を使用せずに直接接続させる。
図14(c)は、図14(a)のH−H断面における第3音叉型圧電振動片300の断面図である。振動腕12は第1音叉型圧電振動片100の振動腕12と同様の形状を有している。振動腕12の外側には支持腕306が位置しており、支持腕306の外側には圧電振動片外部枠310が位置している。第3音叉型圧電振動片300も第1音叉型圧電振動片100と同様に、振動腕12の側面第2層316の膜厚F8の厚さを調整することにより第3音叉型圧電振動片300の頂点温度ZTCの調整を行うことができる。
以上、本発明の最適な実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
11 基部
12 振動腕
13 溝領域
15 第1層
19 錘領域
23 溝部
24 側面部
51 基部第2層
53、307 励振電極
59 錘領域第2層
70、80 パッケージ
71 リッド
72 封止材
73 導電性接着剤
74、122 接続端子
75、125 外部端子
76 導通部
86、306 支持腕
90 リッド 91 リッド側凹部
100、200、300 音叉型圧電振動片
120 ベース
121 ベース側凹部
123 スルーホール
126 導通部
129 凹型段差部
150 圧電材ウエハ
151 オリエンテーションフラット
160 圧電材ウエハ150の拡大部
171 第1マスクカバー、 173 第2マスクカバー、 175 第3マスクカバー、 177 第4マスクカバー、 179 第5マスクカバー
231 第1マスクカバー171の領域
310 圧電振動片外枠部
531 溝部第2層、 531L 左溝部23Lに形成された溝部第2層、 531R 右溝部23Rに形成された溝部第2層
532 側面第2層、 532L 溝領域13Lに於ける側面第2層、 532R 溝領域13Rに於ける側面第2層
1000、2000、3000 圧電デバイス
CR 圧電材
D1 第1音叉型圧電振動片100の厚さ
D2 溝領域13の深さ
F1 溝部第2層531の膜厚
F2 基部第2層51の膜厚
F3 第1層15の膜厚
F4 側面第2層532の膜厚
L1 基部11のY軸方向の長さ
L2 振動腕12のY軸方向の長さ
L3 溝領域13のY軸方向の長さ
W1 基部11のX軸方向の長さ
W2 錘領域19のX軸方向の幅
W3 右振動腕12Rの右溝領域13Rと左振動腕12Lの左溝領域13Lとの間の距離
W4 右溝部23R及び左溝部23Lの幅

Claims (5)

  1. 圧電材からなる基部と前記基部から所定方向に伸びる一対の振動腕とを有し、パッケージ内に導電性部材で固定される音叉型圧電振動片であって、
    前記圧電材上に形成される第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有し、前記導電性部材と電気的に接続する接続電極と、
    前記一対の振動腕に形成され、前記圧電材上に形成される第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有し、前記接続電極と電気的に接続する励振電極と、を備え、
    前記振動腕は、表裏面と前記表裏面の両側で交差する両側面とを有し、
    前記表裏面には所定方向に伸びる溝部がそれぞれ形成され、
    前記励振電極は、前記表裏面の溝部内にそれぞれ形成された表裏電極と、前記両側面にそれぞれ形成された側面電極と、を有し、
    前記表裏電極の前記第2層の膜厚は、前記接続電極の前記第2層の膜厚の30〜80%である音叉型圧電振動片。
  2. 前記接続電極は前記基部に形成されている請求項1に記載された音叉型圧電振動片。
  3. 前記一対の振動腕の両外側で前記基部から前記所定方向に伸びる一対の支持腕を備え、
    前記接続電極は前記支持腕の先端に形成されている請求項1に記載された音叉型圧電振動片。
  4. 前記表裏電極の膜厚は、不活性ガスによるエッチング、レーザ照射又はメタルエッチングによって薄く形成される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された音叉型圧電振動片。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項の音叉型圧電振動片と、
    前記音叉型圧電振動片を収納するパッケージと、
    を有することを特徴とする圧電デバイス。
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