JP5059920B2 - 自動変速機 - Google Patents
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Description
前記変速機ケースは、作動油が溜められ、油面より上方空間を外気と連通するブリーザ空間とする。
前記第1軸心を持つ変速軸は、前記変速機ケースに支持され、入力回転数を変速する変速機構を有する。
前記第2軸心を持つアイドラー軸は、前記第1軸心よりも上方位置にケース支持され、前記変速軸に設けられたアウトプットギヤに噛み合うアイドラーギヤを有する。
前記第3軸心を持つファイナル軸は、前記第1軸心と前記第2軸心よりも下方位置でケース支持され、前記アイドラー軸に設けられたアイドラーファイナルギヤに噛み合うデフファイナルギヤを有する。
前記オイルパンは、前記変速機ケースに設けられ、前記作動油を溜めると共に、オイルポンプの吸込み口に設定されたオイルストレーナーを有する。
前記内壁リブは、前記変速機ケースのうち前記デフファイナルギヤに沿うデフギヤ内壁に形成され、前記第1軸心と前記第3軸心の間の壁面領域にて前記ファイナル軸の軸周りケース強度を高める。
前記戻し流路は、前記内壁リブの上方位置に油流入口が開口され、前記作動油を、前記油流入口から前記オイルパンに戻す。
走行中、ブリーザ空間に移動や飛散した作動油は、内壁リブの上方位置に開口された油流入口から流入し、戻し流路を経過してオイルパンへ戻される。
すなわち、内壁リブより上方位置の油流入口からの速やかな油流入により、戻し流路からの戻し油量の増加→ブリーザ空間に淀んでいる油量の減少→ギヤによる飛散油量の減少、という作用の流れが繰り返される。
したがって、変速機ケースとオイルパンに溜められている作動油の有効油量の減少が抑えられ、油面レベルを所定レベルに維持するというように、作動油の油面が管理される。この油面管理された状態で、例えば、急発進や旋回走行等で油面傾斜が加わったとしても、オイルポンプがオイルストレーナーからエアーを吸い込むことが防止される。
この結果、自動変速機のユニット要求性能である軸支持強度性能とブリーザ性能と傾斜エアー吸い防止性能を併せて達成することができる。
図1は、実施例1の自動変速機の全体構成を示す展開断面図である。以下、図1に基づき全体構成を説明する。
ここで、静止油面Wとは、自動変速機ATを搭載した車両が平坦路面に停車しているときの油面をいい、油面変動の感度を鈍くすると共に、ブリーザ空間の体積を広く確保するため、第1軸心C1の高さより少し高い位置に設定される。そして、車両停止状態等においては、静止油面Wより下側のケース室36とオイルパン室37に作動油ATFが溜められている状態とする。
まず、「自動変速機のユニット性能について」の説明を行う。続いて、実施例1の自動変速機ATにおける作用を、「ユニット要求性能の達成作用」、「油流入口の傾斜面開口作用」、「作動油の油面管理作用」に分けて説明する。
自動変速機のユニット性能としては、ケースに支持される軸の支持強度を保つ軸支持強度性能と、ブリーザ室の大気連通を確保するブリーザ性能と、オイルポンプからのエアー吸いを防止する傾斜エアー吸い防止性能と、が要求される。
上記のように、自動変速機において、軸支持強度性能とブリーザ性能と傾斜エアー吸い防止性能を併せて達成することは重要な解決課題である。以下、これを反映する実施例1の自動変速機ATにおけるユニット要求性能の達成作用を説明する。
まず、デフファイナルギヤ24に沿うデフギヤ内壁46に形成された内壁リブ32と、デフファイナルギヤ24に沿うデフギヤ外壁49に形成された外壁リブ50と、により、ドライブ軸7,7の軸周りの変速機ケース1のケース強度が高められる。
このため、ドライブ軸7,7を回転可能に支持する第1デフ軸受け27の周囲のケース強度が高められることで、ドライブ軸7,7の支持強度が向上する。
走行中、ブリーザ空間に移動や飛散した作動油ATFは、図5に示すように、作動油ATFの静止油面Wより上方位置に開口された油流入口51から流入し、戻し流路33を経過してオイルパン室37へ戻される。
一方、走行中、ブリーザ空間に移動や飛散した作動油ATFのうち、油流入口51から流入せずに、ケース室36の油面に落下した作動油ATFは、その後、連通穴31を経過してオイルパン室37へ戻される。
すなわち、静止油面Wより上方位置の油流入口51から作動油ATFが流入する場合は、静止油面Wより下方位置の連通穴31に流入する場合に比べ、時間応答の良い速やかな油流入になる。この戻し流路33からの戻し油量が増加することにより、戻し流路33からの戻し油量の増加→ブリーザ空間に淀んでいる油量の減少→ギヤによる飛散油量の減少、という作用の流れが繰り返される。
このように、ブリーザ空間に淀んでいる油量が減少することで、ブリーザ出入口への油の淀みが解消され、ブリーザ機能が確保される。
上記のように、戻し流路33からの戻し油量の増加→ブリーザ空間に淀んでいる油量の減少→ギヤによる飛散油量の減少、という作用の流れが繰り返されることで、ケース室36とオイルパン室37に溜められている作動油ATFの有効油量の減少が抑えられる。言い換えると、静止油面Wのレベルを所定レベルに維持するというように、作動油ATFの油面が管理される。この油面管理された状態で、例えば、急発進や旋回走行等で油面傾斜が加わったとしても、連通油穴31を介したケース室36とオイルパン室37の作動油連通が確保され、オイルポンプ9がオイルストレーナー40からエアーを吸い込むことが防止される。
したがって、上記のように、自動変速機ATニット要求性能である軸支持強度性能とブリーザ性能と傾斜エアー吸い防止性能を併せて達成する。
すなわち、油路プレート10の取り付けケース部48と、ケースフランジ部44は、変速機ケース1のうち、剛性が高い部分である。つまり、剛性の高いケース部を利用し、第1内壁リブ32aと第2内壁リブ32bによるハの字状リブを形成し、ねじり強度対策とした。具体的には、静ねじり応力の解析と、応力集中の緩和と、を考慮することによりリブ形状を決定した。
したがって、ハの字状配置となる第1内壁リブ32aと第2内壁リブ32bにより、ドライブ軸7,7のねじり支持強度が向上し、騒音や振動を抑える。
ブリーザ空間に移動や飛散した作動油ATFが流入する油流入口51を、なぜ傾斜面に開口したかについて説明する。
まず、油戻り作用の観点から、油流入口51を水平面に設置すると、吸込み油量は増大するが、生産時、油戻り穴が深い位置にあり、バリ取りができない。一方、生産性の観点から、油流入口51を垂直面に設置すると、生産性は良いが、吸込み油量が減少する。
そこで、実施例1では、図5に示すように、デフギヤ内壁46に向かって斜め上方から視たとき、視線方向に対し垂直となる傾斜面に油流入口51を開口した。
したがって、工具を挿入仕手のバリ取りや開口縁部の丸み加工を行えるというように、生産性が確保される。また、油流入口51の垂直投影面積を確保することで、吸込み油量の増大が図られる。つまり、油流入口51を傾斜面への開口とすることで、良好な生産性の確保と、吸込み油量の増大と、の両立が図られる。
上記のように、作動油ATFがブリーザ空間に移動や飛散する場合、できる限り戻し流路33へ作動油を導く流れを継続させ、油面レベルを維持する油面管理を行うことが必要である。以下、これを反映する実施例1における作動油ATFの油面管理作用を説明する。
ギヤ掻き上げによる作動油ATFの流れのうち、アイドラーファイナルギヤ23とデフファイナルギヤ24の噛み合いにより、デフファイナルギヤ24に沿って右回転方向に掻き上げられた作動油ATFは、図6の矢印D方向に示すように、第1整流面35aによる整流作用により、上向きから斜め下向きへと方向を変えて落下する。
ギヤ掻き上げによる作動油ATFの流れのうち、アウトプットギヤ18とアイドラーギヤ19の噛み合いにより、アウトプットギヤ18に沿って右回転方向に掻き上げられた作動油ATFは、アイドラーギヤ19の外周に沿って左回転方向に案内される。そして、図6の矢印E方向に示すように、第2整流面35bによる整流作用により、下方向に落下する。
そして、両方から落下した作動油ATFは、アプローチ案内面34の端部位置にて集めて受けられ、集めた作動油ATFを、アプローチ案内面34に沿って抵抗少なくスムーズに図6の右方向に流して油流入口51へ導く。
したがって、ブリーザ空間から落下した作動油ATFを集めて受け、抵抗なくスムーズに油流入口51へ導く案内作用を示し、戻し流路33へ作動油ATFを導く流れが継続される。
そして、第1整流面35aにより、デフファイナルギヤ24の回転により掻き上げ移動する作動油ATFを、アプローチ案内面34へ向かうように整流する。第2整流面35bにより、アイドラーギヤ19の回転により移動する作動油ATFを、アプローチ案内面34へ向かうように整流する。
したがって、ギヤ掻き上げによる作動油ATFの流れを有効にアプローチ案内面34に導く整流作用を示し、油流入口51から流入してオイルパン室76へ戻される作動油ATFの油量が確保される。
実施例1の自動変速機ATにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記変速機ケース1に支持され、入力回転数を変速する変速機構を有する第1軸心C1を持つ変速軸(変速機入力軸4、変速機出力軸5)と、
前記第1軸心C1よりも上方位置にケース支持され、前記変速軸(変速機出力軸5)に設けられたアウトプットギヤ18に噛み合うアイドラーギヤ19を有する第2軸心C2を持つアイドラー軸6と、
前記第1軸心C1と前記第2軸心C2よりも下方位置でケース支持され、前記アイドラー軸6に設けられたアイドラーファイナルギヤ23に噛み合うデフファイナルギヤ24を有する第3軸心C3を持つファイナル軸(ドライブ軸7,7)と、
前記変速機ケース1に設けられ、前記作動油ATFを溜めると共に、オイルポンプ9の吸込み口39に設定されたオイルストレーナー40を有するオイルパン30と、
前記変速機ケース1のうち前記デフファイナルギヤ24に沿うデフギヤ内壁46に形成され、前記第1軸心C1と前記第3軸心C3の間の壁面領域にて前記ファイナル軸(ドライブ軸7,7)の軸周りケース強度を高める内壁リブ32と、
前記内壁リブ32の上方位置に油流入口51が開口され、前記作動油ATFを、前記油流入口51から前記オイルパン30に戻す戻し流路33と、
を備える。
このため、自動変速機ATのユニット要求性能である軸支持強度性能とブリーザ性能と傾斜エアー吸い防止性能を併せて達成することができる。
このため、(1)の効果に加え、油流入口51を傾斜面への開口とすることで、良好な生産性の確保と、吸込み油量の増大と、の両立を図ることができる。
このため、(1)または(2)の効果に加え、ブリーザ空間から落下した作動油ATFを集めて受け、抵抗なくスムーズに油流入口51へ導く案内作用を示し、戻し流路33へ作動油ATFを導く流れを継続させることができる
(4) 前記変速機ケース1に形成され、前記デフファイナルギヤ24の外形に沿う形状とし、前記デフファイナルギヤ24の回転により掻き上げ移動する作動油ATFが前記アプローチ案内面34へ向かうように整流する第1整流面35aと、前記アイドラーギヤ19の外形に沿う形状とし、前記アイドラーギヤ19の回転により移動する作動油ATFが前記アプローチ案内面34へ向かうように整流する第2整流面35bと、を有する整流部35を備える。
このため、(3)の効果に加え、ギヤ掻き上げによる作動油ATFの流れを有効にアプローチ案内面34に導く整流作用を示し、油流入口51から流入してオイルパン室76へ戻される作動油ATFの油量を確保することができる。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、ハの字状配置となる第1内壁リブ32aと第2内壁リブ32bにより、ファイナル軸(ドライブ軸7,7)のねじり支持強度が向上し、騒音や振動を抑えることができる。
前記変速軸は、同じ第1軸心C1上に配置した変速機入力軸4と変速機出力軸5である。
このため、(1)〜(5)の効果に加え、平行3軸構造であって有段階の変速段を達成する自動変速機ATにおいて、ドライブ軸7,7の支持強度性能とブリーザ性能と傾斜エアー吸い防止性能を併せて達成することができる。
4 変速機入力軸(変速軸)
5 変速機出力軸(変速軸)
6 アイドラー軸
7,7 ドライブ軸(ファイナル軸)
9 オイルポンプ
10 油路プレート
11 第1遊星ギヤ(遊星ギヤ)
12 第2遊星ギヤ(遊星ギヤ)
13 第1クラッチ(変速摩擦要素)
14 第2クラッチ(変速摩擦要素)
15 第3クラッチ(変速摩擦要素)
16 第1ブレーキ(変速摩擦要素)
17 第2ブレーキ(変速摩擦要素)
18 アウトプットギヤ
19 アイドラーギヤ
23 アイドラーファイナルギヤ
24 デフファイナルギヤ
30 オイルパン
31 連通油穴
32 内壁リブ
32a 第1内壁リブ
32b 第2内壁リブ
33 戻し流路
34 アプローチ案内面
35 整流部
35a 第1整流面
35b 第2整流面
36 ケース室
37 オイルパン室
39 吸込み口
40 オイルストレーナー
44 ケースフランジ部
46 デフギヤ内壁
47 軸受けボス
48 取り付けケース部
51 油流入口
C1 第1軸心
C2 第2軸心
C3 第3軸心
ATF 作動油
W 静止油面
Claims (6)
- 作動油が溜められ、油面より上方空間を外気と連通するブリーザ空間とする変速機ケースと、
前記変速機ケースに支持され、入力回転数を変速する変速機構を有する第1軸心を持つ変速軸と、
前記第1軸心よりも上方位置にケース支持され、前記変速軸に設けられたアウトプットギヤに噛み合うアイドラーギヤを有する第2軸心を持つアイドラー軸と、
前記第1軸心と前記第2軸心よりも下方位置でケース支持され、前記アイドラー軸に設けられたアイドラーファイナルギヤに噛み合うデフファイナルギヤを有する第3軸心を持つファイナル軸と、
前記変速機ケースに設けられ、前記作動油を溜めると共に、オイルポンプの吸込み口に設定されたオイルストレーナーを有するオイルパンと、
前記変速機ケースのうち前記デフファイナルギヤに沿うデフギヤ内壁に形成され、前記第1軸心と前記第3軸心との間の壁面領域にて前記ファイナル軸の軸周りケース強度を高める内壁リブと、
前記内壁リブの上方位置に油流入口が開口され、前記作動油を、前記油流入口から前記オイルパンに戻す戻し流路と、
を備えることを特徴とする自動変速機。 - 請求項1に記載された自動変速機において、
前記戻し流路は、前記デフギヤ内壁に向かって斜め上方から視たとき、視線方向に対し垂直となる傾斜面に前記油流入口を開口したことを特徴とする自動変速機。 - 請求項1または請求項2に記載された自動変速機において、
前記戻し流路は、前記第2軸心の下方位置であって前記内壁リブの上方位置に前記油流入口を開口し、前記第2軸心と前記第3軸心との間の前記デフギヤ内壁に、前記ブリーザ空間から落ちてくる前記作動油を受け、前記作動油を集めて前記油流入口へ導くアプローチ案内面を形成したことを特徴とする自動変速機。 - 請求項3に記載された自動変速機において、
前記変速機ケースに形成され、前記デフファイナルギヤの外形に沿う形状とし、前記デフファイナルギヤの回転により掻き上げ移動する作動油が前記アプローチ案内面へ向かうように整流する第1整流面と、前記アイドラーギヤの外形に沿う形状とし、前記アイドラーギヤの回転により移動する作動油が前記アプローチ案内面へ向かうように整流する第2整流面と、を有する整流部を備えることを特徴とする自動変速機。 - 請求項1から請求項4までの何れか1項に記載された自動変速機において、
前記内壁リブは、前記ファイナル軸の軸受けボスと前記第1軸心の周りに設けられた油路プレートの取り付けケース部とを径方向に繋ぐ第1内壁リブと、前記ファイナル軸の軸受けボスと前記変速機ケースのケースフランジ部とを径方向に繋ぐ第2内壁リブと、を有することを特徴とする自動変速機。 - 請求項1から請求項5までの何れか1項に記載された自動変速機において、
前記変速機構は、複数の遊星ギヤおよび複数の変速摩擦要素により有段階の変速段を達成する有段変速機構であり、
前記変速軸は、同じ第1軸心上に配置した変速機入力軸と変速機出力軸であることを特徴とする自動変速機。
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