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JP5056019B2 - 刃部交換式切削工具 - Google Patents

刃部交換式切削工具 Download PDF

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本願発明は、刃部交換式切削工具に関する。
刃部交換式切削工具において、刃部と工具本体とを固定する方法が特許文献1から5に開示されている。
特開平7−276127号公報 特開2005−34939号公報 特表平11−500967号公報 特表2002−501441号公報 特許第2656949号公報
特許文献1は、刃部に設けられた貫通孔にボルトを通し工具本体と固定する構成を開示している。しかし、この構成では貫通孔が刃部の強度を大きく低下させるとともに、刃部形状が制約される為、ボールエンドミル等の複雑形状を形成できない欠点がある。特許文献2は、刃部自体の端部にネジを形成し工具本体と螺合する構成を開示している。しかし、この構成では硬質材料からなる刃部自体にネジを形成するため、その加工が困難であり高精度化ができないとともに、ネジの谷部に応力が集中し低応力で破損してしまう欠点がある。一方、これらの欠点を改善するため、特許文献3は、工具本体の側面にネジ穴を設け、このネジ穴に通したボルトにより、工具本体に挿入された刃部後端の側面を押し付け固定する構成を開示している。しかし、工具本体に挿入された刃部後端の側面をボルトにて押し付け固定するといった構成では、刃部が簡便に交換できるという利点があるものの、刃部と工具本体との中心軸を一致させることが難しく、高精度の加工ができない欠点がある。また、刃部にかかる切削トルクを支える拘束面が小さく、しかも、工具軸線の近傍に形成されているため、刃部を把握する力が小さく、重切削に使用できない欠点がある。特許文献4は、ホルダの弾性変形を利用して刃部を固定する構成を開示している。しかし、工具本体の弾性変形を利用して刃部を固定する構造では、良好な作業性を維持しつつ刃部と工具本体との中心軸を一致させることが可能ではあるが、工具本体の弾性変形作用だけで刃部を固定しているため、刃部の交換を繰り返すうちに工具本体の特定部位に無理な力が繰り返し加わり、その結果、ホルダの弾性力が弱まってしまい、刃部が工具本体から脱落したり、破損したりする問題がある。特許文献5は、フック型手段を用いて刃部を工具本体に引き込む構成を開示している。しかし、フック型手段を用いて刃部を工具本体に引き込む構成では、フック部が刃部を工具本体側に引き込む力が工具軸線に平行でなく、刃部と工具本体の間に偏心を生じる方向に作用してしまう。しかも、刃部に設けられたフック部が、刃部と工具本体の同軸装着を目的とするテーパー部の中に形成されているため、刃部のテーパー部外周面が取付け孔のテーパー孔内周面を押圧する力も大きく偏ることとなり、上記刃部の偏心がより顕著になってしまう。この為、高精度の加工ができない欠点がある。また、刃部にかかる切削トルクと刃部を工具本体に引き込む力を支える拘束面はフック部単一であり、その面積は小さいため応力集中が大きく、脆弱なフック部が変形、破損する問題がある。
そこで、本願発明が解決しようとする課題は、刃部の交換が容易で、刃部を高強度且つ、高精度に取り付けられる刃部交換式切削工具を提供することである。
本願発明は、刃部(1)と工具本体(2)とを着脱自在に固着して成る刃部交換式切削工具において、該刃部(1)の工具回転軸方向後方に延在する接続部(3)は、着脱可能な刃部固定用部材(4)を取り付け、該刃部固定用部材(4)を介して該工具本体(2)に装着され、該刃部固定用部材(4)は、工具軸方向に沿って該刃部固定用部材(4)の側面に設けられた開口部(18)を有し、該接続部(3)の側面に該刃部固定用部材(4)の開口部(18)から工具軸直角方向となる装着方向(12)へ押し込んで嵌合し、該刃部固定用部材(4)が該接続部(3)に嵌合した状態の工具軸直角断面において、該接続部(3)と該刃部固定用部材(4)は、該装着方向(12)と平行な平坦領域(10、10)と、該装着方向(12)と垂直な平坦領域(11)とで略U字形状をなす複数の面を有し、該刃部固定用部材(4)の該開口部(18)は、該接続部(3)の円形の面(19)に対応するように嵌合し、該接続部(3)の工具回転軸方向後方には、該接続部(3)よりも径の大きな円筒部(9)を有し、該刃部固定用部材(4)の外周の雄ネジ(13)と、該工具本体(2)の取付け孔(5)に設けた雌ネジ(14)とを螺合させて、該刃部(1)を該工具本体(2)に装着したことを特徴とする刃部交換式切削工具である。上記の構成を採用することによって、刃部の交換が容易で、刃部を高強度且つ、高精度に取り付けられる刃部交換式切削工具が実現できる。
本願発明の刃部交換式切削工具は、該平坦領域(10又は11)を略平面に設けことが好ましい。該刃部(1)と該工具本体(2)との当接面(6)がテーパ形状であることであることが好ましい。該刃部(1)の少なくとも1部が、例えば超硬合金、サーメット、セラミックス、CBNなどの高硬度材料であり、該刃部固定用部材(4)が、例えば高速度工具鋼や他の鋼材等の高強度材料であることが好ましい。該刃部(1)に貫通孔(7)を有し、該工具本体(2)に貫通孔(8)を有し、該貫通孔(7)と該貫通孔(8)とを接続していることにより、切刃の近傍に切削油剤又は圧縮空気を直接供できるため、好ましい。
本願発明により、刃部の交換が容易で、刃部を高強度、且つ高精度に取り付けられる刃部交換式切削工具を実現できた。
本願発明の刃部交換式切削工具は、刃部(1)の1部に接続部(3)を設け、接続部の外周部分に着脱可能に装着された刃部固定用部材(4)を介して、工具軸線と平行に作用させた押込み力によって固定することが本質であり、刃部を刃部本体とその固定部材とに分離し、刃部(1)の接続部(3)に着脱可能な刃部固定用部材(4)を略対称に取り付けた後、刃部固定用部材(4)を介して刃部(1)を工具本体(2)に固定することで、刃部(1)の交換が容易で、刃部(1)を高強度、且つ、高精度に工具本体(2)に取り付けられることができる。
図1に本願発明の刃部交換式切削工具の1例として、その断面図を示す。
図1より、1つ以上の切刃を有する刃部(1)を工具本体(2)に固定するために接続部(3)に刃部固定用部材(4)を嵌合にて装着した後、これらを、工具本体(2)に押込んで螺合により固定する構造である。従って、刃部、刃部固定用部材(4)と工具本体(2)は、夫々最適な材質を選択することが可能となる。これに反して、刃部(1)と刃部固定用部材(4)とが一体で形成されていると、刃部(1)の高硬度化を優先することによって刃部固定部の強度が犠牲となり、刃部の固定強度が低下する欠点が現れる。
本願発明の刃部交換式切削工具は、刃部固定用部材(4)の外周に雄ネジを形成し、取付け孔(5)に付与した雌ネジ(14)と螺合し、接続部(3)と刃部固定用部材(4)をともに取付け孔(5)にねじ込む構成にすることで、工作機械上での刃部交換が容易となり、作業能率に優れ好ましい。
該接続部の工具回転軸方向後方に、該接続部(3)よりも径の大きな円筒部(9)を設けることにより、刃部固定用部材を工具回転方向後方に移動させないように作用し、刃部固定用部材が不要に工具回転軸方向後方に移動することを物理的に防止できて好ましい。
また、該刃部と該工具本体との当接面がテーパ形状とすることで、刃部をより高強度且つ、高精度に取り付けられるため好ましい。更に、刃部と工具本体を端面17とテーパ形状の当接面の2面拘束とすることで、高強度且つ、高精度な刃部の取付けができて好ましい。
該刃部の少なくとも1部が、例えば超硬合金、サーメット、セラミックス、CBNなどの高硬度材料であり、該刃部固定用部材が、例えば高速度工具鋼等の鋼材の高強度材料であることが好ましい。特に本願発明では、刃部と工具本体とが、例えば超硬合金、サーメット、セラミックス、CBNなどの高硬度材料同士の場合、この両者を高強度材料の刃部固定用部材によって取り付けることにより、高硬度の刃部、工具本体が高強度の刃部固定用部材を介して高強度に取り付けることができて、より好ましい形態である。
刃部に貫通孔を形成し、工具本体の貫通孔と接続することで、切刃の近傍に切削油剤又は圧縮空気を直接供給することができる。これにより、切屑除去性と刃部冷却性に優れ、高硬度材をより高能率に切削することが可能となり好ましい。
本願発明の刃部交換式切削工具は、刃部固定用部材開口部(18)に、円形の面(19)の軸対称に補足する形で、補足材をセットしても良く、軸対称性が高まることで動バランスに優れ、より高精度加工が可能となり好ましい。
本願発明は、刃部の切刃形状を変更することにより、ドリル、リーマ等の様々な刃部交換式切削工具へ応用が可能である。また、刃部を射出成型法によって形成することにより、刃部の小径化が可能である。以下、本願発明の実施の1形態を添付図面により説明する。
本願発明の刃部交換式エンドミルの1例、本発明例1を、図2〜図5に示す。
図2より、本発明例1の刃部(1)は工具径6mmのスクエア形エンドミル形状を有する。刃部(1)の材質は、WC−Co系超硬合金から作製し、アークイオンプレーティング法を用いて、(TiSi)N系皮膜の被覆処理を施した。工具本体(2)もWC−Co系超硬合金材から作製した。本実施例では、工具本体(2)にWC−Co系超硬合金材を選択したが、HRC45のSKD61材等も選択できる。
図3より、刃部(1)は、工具回転軸方向後方に、工具本体(2)への同軸装着を目的とする当接面(6)を設け、当接面(6)は、5°テーパ形状を有する。更に、接続部(3)の工具回転軸方向後方に円筒部(9)を設けた。刃部固定用部材(4)を装着方向(12)より嵌合し、連結した接続部(3)を、装着方向(20)より工具本体(2)の取付け孔(5)に挿入し、該刃部固定用部材(4)の外周の雄ネジ(13)と、該工具本体(2)の雌ネジ(14)とを螺合させて、刃部(1)を工具本体(2)に固着した。刃部(1)の押込み力には刃部固定用部材(4)の外周に形成した雄ネジ(13)と、工具本体(2)の取付け孔(5)に形成した雌ネジ(14)との螺合による軸力を利用し、刃部(1)に形成したレンチ掛け(15)を使用することで容易に着脱が可能となった。
図4より、刃部固定用部材(4)はHRC45のSKD61材で作製し、刃部固定用部材(4)と嵌合する接続部(3)は、軸線方向の長さを8mmとした。刃部固定用部材(4)の工具回転軸方向後方には円筒部(9)を、該接続部(3)よりも径を大きくし、接触面(16)を設けることにより、当接面(6)と共に、刃部(1)と刃部固定用部材(4)の工具回転軸方向後方への相対移動は制限される。
図5の軸直角断面に示すように、接続部(3)、刃部固定用部材(4)には、装着方向(12)と平行な直線形状の平坦領域(10)を2箇所と、平坦領域(11)は、平坦領域(10)と軸線周りに90°の位置関係を有し、円形の面(19)は、そのまま残し刃部固定用部材(4)には、該円形の面(19)に対応する開口部(18)を設けた。これらの面を設けることにより、接続部3(と)刃部固定用部材(4)の装着を、装着方向(12)のみに限定することで、繰り返し取付け精度が向上した。
更に、該平坦領域(10)、(11)、(10)を略U字形状とすることで、接続部(3)と刃部固定用部材(4)とを容易に着脱可能とし、該平坦領域(10、10)及び(11)の3面で強固に拘束することができる。
更に、工具径の異なる点以外は本発明例1に準じた構造を有する本発明例2〜6を作製した。従来例7〜10には、フック型刃部交換式工具を用意した。
本発明例1〜6と従来例7〜10との評価項目は、刃部の振れ精度、これを繰り返し行った場合の取付け精度と取付け強度とした。評価方法は、レーザー式工具径測定器を使用し、刃部の振れ精度を測定した。また、これを10回繰り返し取り付けた場合の精度を評価した。刃部の取付け強度は、トルクレンチを用いて所定トルクまで締め付けを行い評価した。評価基準は、各締め付けトルクにおける接合部を観察し、損傷や破損の有無を評価した。評価結果として表1に示す。
Figure 0005056019
表1より、本発明例16は、刃部の振れ精度が10μm以下となり、高精度に取り付けることができた。これは特に、接続(3)と刃部固定用部材(4)の嵌合、刃部固定用部材(4)と工具本体(2)の螺合で中心軸を一致させ、更に、接触面16を軸線と垂直な同一平面内に形成し、刃部(1)が押し込む力を軸線と平行にすることが有効であった。また、操作性に優れる刃部交換が可能であった。しかし、従来例は本発明例と比較すると、刃部の振れ精度が略4倍の大きな値となり、精度面で劣る結果となった。
本発明例の繰り返し取付け精度は8μm以下を示し、高精度に取り付けることができた。刃部と工具本体を端面17とテーパ形状の当接面の2面拘束としたことで高精度な刃部の取付けができた。しかし、従来例を本発明例と比較すると、約3倍の大きな値を示し精度面で劣る結果となった。
本発明例の締め付けは、接続(3)と刃部固定用部材(4)の嵌合、刃部固定用部材(4)と工具本体(2)の螺合及び当接面(6)、接触面(16)には損傷の無い状態であった。しかし、従来例はフック部の破損が生じた。従って、本発明例は従来例と比較すると、強い締め付けが可能であった。このことは、高送り加工又は深切込み加工において、切れ刃の震動を小さくできることから工具寿命が長く、被加工物の加工面が良好な状態となることを示す。
図1は、本発明の刃部交換式切削工具の1例断面図を示す。 図2は、本発明の斜視図を示す。 図3は、図2の斜視図を示す。 図4は、図3の断面図を示す。 図5は、図4A−A軸直角断面図を示す。
1:刃部
2:工具本体
3:接続部
4:刃部固定用部材
5:取付け孔
6:当接面
7:刃部の貫通孔
8:工具本体の貫通孔
9:接続部の円筒部
10:平坦領域
11:平坦領域
12:刃部固定用部材の接続部への装着方向
13:雄ネジ
14:雌ネジ
15:レンチ掛け
16:接触面
17:端面
18:開口部
19:円形の面
20:刃部の工具本体への装着方向

Claims (5)

  1. 刃部(1)と工具本体(2)とを着脱自在に固着して成る刃部交換式切削工具において、該刃部(1)の工具回転軸方向後方に延在する接続部(3)は、着脱可能な刃部固定用部材(4)を取り付け、該刃部固定用部材(4)を介して該工具本体(2)に装着され、該刃部固定用部材(4)は、工具軸方向に沿って該刃部固定用部材(4)の側面に設けられた開口部(18)を有し、該接続部(3)の側面に該刃部固定用部材(4)の開口部(18)から工具軸直角方向となる装着方向(12)へ押し込んで嵌合し、該刃部固定用部材(4)が該接続部(3)に嵌合した状態の工具軸直角断面において、該接続部(3)と該刃部固定用部材(4)は、該装着方向(12)と平行な平坦領域(10、10)と、該装着方向(12)と垂直な平坦領域(11)とで略U字形状をなす複数の面を有し、該刃部固定用部材(4)の該開口部(18)は、該接続部(3)の円形の面(19)に対応するように嵌合し、該接続部(3)の工具回転軸方向後方には、該接続部(3)よりも径の大きな円筒部(9)を有し、該刃部固定用部材(4)の外周の雄ネジ(13)と、該工具本体(2)の取付け孔(5)に設けた雌ネジ(14)とを螺合させて、該刃部(1)を該工具本体(2)に装着したことを特徴とする刃部交換式切削工具。
  2. 請求項1記載の刃部交換式切削工具において、該平坦領域(10又は11)を略平面に設けたことを特徴とする刃部交換式切削工具。
  3. 請求項1または2に記載の刃部交換式切削工具において、該刃部(1)と該工具本体(2)との当接面(6)がテーパであることを特徴とする刃部交換式切削工具。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の刃部交換式切削工具において、該刃部(1)の少なくとも1部が高硬度材料、該刃部固定用部材(4)が高強度材料であることを特徴とする刃部交換式切削工具。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載の刃部交換式切削工具において、該刃部(1)に貫通孔(7)を有し、該工具本体(2)に貫通孔(8)を有し、該貫通孔(7)と該貫通孔(8)とを接続したことを特徴とする刃部交換式切削工具。
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