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JP5052376B2 - ストレージシステム及びストレージシステムにおける論理ユニットの引継方法 - Google Patents

ストレージシステム及びストレージシステムにおける論理ユニットの引継方法 Download PDF

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Description

本発明は、ストレージシステム及びストレージシステムにおける論理ユニットの引継方法に関し、特に、ストレージシステムを構成する複数のストレージ装置が協調分散的に動作して論理ユニットを動的に引き継ぐデータマイグレーション技術に関する。
コンピュータシステムのデータ処理量の増大に伴い、データを格納するストレージ装置は大容量化している。また、近年のデータ量の成長は急激であり、このため、ストレージ装置の増強乃至は増設を余儀なくされている。
下記特許文献1は、第1ストレージ装置を既に含む計算機システムに新たに第2ストレージ装置を導入するための技術を開示する。即ち、特許文献1は、既存の第1ストレージ装置の論理デバイスに新たに導入した第2ストレージ装置の論理デバイスを割り当て、それによって、ホスト計算機が、既存の第1ストレージ装置の論理デバイスを新たに導入した第2ストレージ装置の論理デバイスとして認識する技術を開示する。また、特許文献1は、第1ストレージ装置内のデータを第2ストレージ装置へ段階的に移行する技術を開示する。
また、下記特許文献2は、第1のストレージサブシステムが有する記憶領域上のデータを第2のストレージサブシステムに移行するためのデータ移行技術を開示する。即ち、特許文献2は、データ移行に伴い、移行元及び移行先ストレージサブシステム双方が有する遠隔管理用インターフェースを用いて、移行元ストレージサブシステムの設定を移行先ストレージサブシステムに移動するとともに、計算機のアクセスパスを移行先ストレージサブシステムに切り替える技術を開示する。
さらに、下記特許文献3は、2台のストレージ装置における構成情報を相互に連携しうるデータレプリケーション技術を開示している。即ち、特許文献3は、上位装置からのデータを記憶する第1のストレージ装置と、当該データのバックアップデータを記憶する第2のストレージ装置とからなるストレージシステムを開示する。特許文献3において、第1のストレージ装置は、上位装置からの構成情報に関する変更要求に基づいて自身の構成情報を変更するとともに、当該変更要求を第2のストレージ装置に送信し、第2のストレージ装置は、当該変更要求に基づいて自身の構成情報を変更する。
さらにまた、下記特許文献4は、ストレージ装置の耐障害性を確保するため、既存のディスクの記憶領域からスペアの記憶領域を動的に確保する技術を開示する。
特開2004−220450号公報 特開2004−102374号公報 特開2008−9707号公報 特開2008−9767号公報
ストレージ装置の大容量化により、ストレージ装置に対する保守・管理は、ますます重要になってきている。例えば、ストレージ装置の交換・増設は、データ量の急激な成長及び装置寿命に対処するための欠かすことができない作業であり、典型的には、データの移行作業を伴う。一般に、ストレージシステムは、ミッションクリティカルなコンピュータシステムにおいて使用されるため、専門のシステム管理者が、その高度なスキルを駆使して、システム管理を行っている。
一方、近年のコンピュータシステムに対するニーズの多様化により、比較的小規模な一体型のストレージ装置群を用いて構成されたストレージシステムもある。このようなストレージシステムでは、内部のディスクドライブやコントローラ、電源ユニットといったコンポーネント自体の交換が不要であり、従って、比較的容易にシステム管理を行うことができるため、今後、ますます需要の伸びが期待される。
しかしながら、このような比較的小規模なストレージ装置群を用いて構成されたストレージシステムといえども、システム構成の変更を伴う装置の交換・増設に際して、十分に考慮されていなかった。例えば、装置の交換に際しては、データの移行先である新たなストレージ装置を予め用意しなければ、交換対象のストレージ装置を減設することができなかった。また、データの移行作業に際しても、システム管理者は、移行元及び移行先のストレージ装置に対して各種の複雑な設定を行わなければならず、過度の負担を強いられていた。特に、比較的小規模なストレージ装置を用いたストレージシステムでは、高度なスキルを持たないユーザであってもシステム管理を行えることが望まれる。
そこで、本発明は、ストレージ装置の交換等の保守管理を容易にするストレージシステム及びこれの制御方法を提案することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、ストレージシステムを構成する複数のストレージ装置が、自律的に協調分散的に動作して、相手のストレージ装置が有する論理ユニットを引き継ぐことを特徴とする。
即ち、ある観点に従う本発明は、少なくとも1つの論理ユニットが形成されるドライブユニットと、ホスト装置から送信されるアクセス要求に従って当該ドライブユニットを制御して、当該少なくとも1つの論理ユニットにアクセスするコントローラユニットと、を備えるストレージ装置である。当該コントローラユニットは、複数の他のストレージ装置に対して当該少なくとも1つの論理ユニットの引継要求を行う引継要求部と、当該引継要求部による引継要求に応答して当該複数の他のストレージ装置から送信される引継承認に従って、当該少なくとも1つの論理ユニットの引継を引き受ける当該複数の他のストレージ装置のそれぞれに形成された論理ユニットを当該少なくとも1つの論理ユニットに割り当てる外部ストレージ構成部と、当該外部ストレージ構成部によって割り当てられた当該複数の他のストレージ装置のそれぞれに形成された論理ユニットに、当該少なくとも1つの論理ユニット内のデータを移行するデータ移行部と、当該データ移行部により当該データの移行が完了した後に、当該ホスト装置からのアクセス要求が当該複数の他のストレージ装置のいずれか1つに与えられるように、パス切替要求を行うパス切替要求部と、を備える。当該コントローラユニット内のこれら機能実現部は、典型的には、ソフトウェアにより構成されるが、ファームウェアにより構成されても良い。
また、別の観点に従う本発明は、ネットワークを介して相互に接続された複数のストレージ装置から構成されるストレージシステムである。当該複数のストレージ装置のそれぞれは、少なくとも1つの論理ユニットが形成されるドライブユニットと、ホスト装置からのアクセス要求に従って当該ドライブユニットを制御して、当該少なくとも1つの論理ユニットにアクセスするコントローラユニットと、を備える。また、当該複数のストレージ装置のそれぞれのコントローラユニットは、自身の論理ユニットの引継要求を当該ネットワークに送信する引継要求部と、当該ネットワークから受信した論理ユニットの引継要求に対して、当該論理ユニットの引継を承認するか否かを判断する引継承認部と、当該引継承認部により引継を承認すると判断される場合に、所定の論理ユニットを作成する論理ユニット作成部と、自身以外のストレージ装置に形成された所定の論理ユニットを当該自身の論理ユニットに割り当てる外部ストレージ構成部と、当該外部ストレージ構成部によって割り当てられた当該所定の論理ユニットに当該自身の論理ユニット内のデータを移行するデータ移行部と、当該データ移行部により当該データの移行が完了した後に、当該ホスト装置から送信されるアクセス要求が当該自身以外のストレージ装置のいずれか1つに与えられるように、パス切替要求を行うパス切替要求部と、を備える。
さらに、別の観点に従う本発明は、ネットワークを介して相互に接続された複数のストレージ装置から構成されるストレージシステムにおける論理ユニットの引継方法である。即ち、当該論理ユニットの引継方法は、ホスト装置からアクセス要求を受け付ける第1ストレージ装置が、他のストレージ装置に対して第1論理ユニットの引継要求を送信するステップと、当該引継要求を受信した当該他のストレージ装置が、当該第1論理ユニットの引継を承認するか否かを判断するステップと、当該他のストレージ装置のうち当該論理ユニットの引継を承認すると判断した第2ストレージ装置が、当該第1論理ユニットを引き継ぐための第2論理ユニットを作成するステップと、当該第1ストレージ装置が、当該第1論理ユニットに当該第2論理ユニットを割り当てるステップと、当該第1ストレージ装置が、当該第1論理ユニット内のデータを当該第2論理ユニットに移行するため、当該データを当該第2ストレージ装置に送信するステップと、当該第2ストレージ装置が当該第1ストレージ装置から送信された当該データを受信して、当該第2論理ユニットに書き込むステップと、当該第1ストレージ装置が、当該データの送信が完了した後、当該ホスト装置から送信されるアクセス要求が当該第2ストレージ装置に与えられるように、パス切替要求を行うステップと、を含む。
本発明によれば、ストレージシステム内のストレージ装置を交換等する場合であっても、システム管理者は、ストレージ装置ごとに形成された論理ユニットの構成を特に考慮する必要がなく、各ストレージ装置が協調分散的に動作して動的に論理ユニットを引き継ぐので、ストレージシステムの保守管理が容易になる。
特に、ストレージシステム内の各ストレージ装置が空き記憶領域をお互いに融通し合うので、システム構成を柔軟に変更でき、従って、データ量の急激な膨張にも効率的に対応することができる。
本発明の他の技術的特徴及び利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態のより明らかにされる。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一の実施形態に係るストレージシステムを含むコンピュータシステムの概略構成を示す図である。
同図に示すように、コンピュータシステム1は、ネットワーク2を介して複数のホスト装置3に接続された複数のストレージ装置5からなるストレージシステム4を含んで構成される。コンピュータシステム1はまた、管理用ネットワークを介して複数のストレージ装置5を管理する管理装置6を備える。同図では、管理装置6は、ストレージシステム4の一部をとして構成されている。
ネットワーク2は、ストレージアクセスのためのSANであり、典型的には、スイッチやハブ(図示せず)を含んで構成される。ネットワーク2では、ファイバチャネルプロトコルやIPプロトコルが利用される。本実施形態では、ネットワーク2は、IPプロトコルベースのSAN(IP−SAN)であるものとし、その上位プロトコルとしてSCSI(即ちiSCSI)が利用されるものとする。
ホスト装置3は、所望の処理を遂行するコンピュータであり、典型的には、クライアントコンピュータ(図示せず)からの処理を遂行するサーバコンピュータである。ホスト装置3は、典型的には、プロセッサと、メインメモリと、通信インターフェースと、ローカル入出力装置等のハードウェア資源を備え、また、デバイスドライバやオペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム等のソフトウェア資源を備える(図示せず)。これによって、ホスト装置3は、プロセッサの制御の下、各種のプログラムを実行して、ハードウェア資源との協働作用により、クライアントコンピュータからの要求に応じた処理を実現する。例えば、ホスト装置3は、プロセッサの制御の下、業務アプリケーションプログラムを実行することにより、ストレージ装置5にI/Oアクセスし、所望の業務システムを実現する。
ストレージシステム4は、ホスト装置3にデータストレージサービスを提供するためのシステムであり、複数のストレージ装置5を含んで構成される。各ストレージ装置5は、物理デバイスとしての複数のドライブユニット51、及びホスト装置3からのI/O要求に応答し、ドライブユニット51に対するI/Oアクセスを制御するコントローラユニット52を備える。ストレージ装置5はまた、典型的には、電源ユニットや冷却ユニットを備える(図示せず)。ストレージ装置5は、それ単体で、ホスト装置3に対するデータストレージサービスを提供できるが、複数のストレージ装置から仮想的に構成される1つのストレージ装置が、ホスト装置に対するデータストレージサービスを提供してもよい。外部ストレージ構成技術は、このような仮想的に1つのストレージ装置を構成する技術として知られている。
ドライブユニット51は、例えば複数のハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶媒体を含んで構成される物理デバイス(PDEV)である。ドライブユニット51は、アレイ装置と呼ばれることもある。ドライブユニット51には、コントローラユニット52の制御の下、ホスト装置3に提供するための1つ以上の論理デバイス(LDEV)が形成される。論理デバイスは、RAID制御の下、いくつかのハードディスクドライブを仮想的に1つのデバイスにまとめた仮想デバイス(VDEV)に対して形成されてもよい。
論理デバイスは、ホスト装置3が認識しうる論理的な記憶装置であり、本実施形態では、論理ユニット(LU)が割り当てられる。即ち、各論理デバイスは、後述するコントローラユニット52におけるホストインターフェース523の各ポート5231に割り当てられ、これにより、ホスト装置3は、物理デバイス上に形成された論理デバイスを論理ユニットとして認識する。
各論理ユニットには、論理ユニット番号(LUN)が付与される。また、論理ユニットは、I/Oアクセスの最小単位であるブロックに分割され、各ブロックには、論理ブロックアドレス(LBA)が割り当てられる。ホスト装置3は、論理ユニット番号及び論理ブロックアドレスからなる論理アドレスを含むコマンドをストレージ装置4に与えることにより、特定の論理ユニットにおける特定のブロックに対してアクセスすることができる。
上述のようにiSCSIを利用した本実施形態では、ホスト装置3及びストレージ装置5はそれぞれ、iSCSIネームが割り当てられたiSCSIノードとしてのイニシエータ及びターゲットとして機能し、従って、ホスト装置3及びストレージ装置5は、IPアドレス及びTCPポート番号の組み合わせで特定されるネットワークポータルを介して、iSCSI PDUを送受する。従って、ホスト装置3は、iSCSIネーム、IPアドレス、及びTCPポート番号を指定することにより、ネットワーク2上のストレージ装置5を認識し、その論理ユニット内のブロックに対してアクセスする。
本実施形態では、説明を簡略化するため、通常の運用下においては、各ストレージ装置5が有する1つ以上の論理ユニットは、対応するホスト装置3によってアクセスされるものとする。そして、本実施形態では、所定の条件下で(所定のイベントを契機として)、ストレージシステム4におけるあるストレージ装置5の論理ユニットは、他のストレージ装置5に引き継がれ、これに伴って、ホスト装置3は、引き継いだ論理ユニットに対してアクセスすることになる。即ち、ストレージシステム4における各ストレージ装置5は、協調分散的に動作して、一のストレージ装置5の論理ユニットを他のストレージ装置5が引き継ぎ、データストレージサービスを継続する。
図2は、本発明の一の実施形態に係るストレージシステム4におけるストレージ装置5の協調分散動作を概念的に説明するための図である。具体的には、同図は、ストレージシステム4から一のストレージ装置5が減設される場合の論理ユニットの引継ぎを示している。
即ち、同図に示すように、複数のホスト装置3は、ネットワーク2を介して、ストレージシステム4を形成する複数のストレージ装置5に通信可能に接続されている。本例では、4つのホスト装置3a〜3d及び対応するストレージ装置5a〜5dが示されている。上述したように、iSCSI規格上、ホスト装置3はイニシエータとして機能し、ストレージ装置5はターゲットとして機能する。
今、ストレージ装置5bがストレージシステム4から取り除かれる状況を考える。このような状況は、例えば、ストレージ装置5bの交換作業(減設)により発生しうる。一方で、ストレージシステム4は、ホスト装置3bに対するデータストレージサービスを継続して提供する必要がある。
ストレージ装置5bがストレージシステム4から取り除かれる場合、他のストレージ装置5a、5c、及び5dは、ストレージ装置5bによって提供されていた論理ユニットLUを引き継ぐ。どのストレージ装置5がどのように論理ユニットLUを引き継ぐかは、ストレージ装置5同士の引継調停処理によって決定される。図中、引き継がれたストレージ装置5bの論理ユニットLUは破線で、また、ストレージ装置5bから引き継いだ論理ユニットLUは網掛けで示されている。
ストレージシステム4は、ストレージ装置5bによって提供されていた各論理ユニットLUをホスト装置3bが等価的に継続して使用できるようにするため、論理ユニットLUをそれぞれ引き継いだストレージ装置5a、5c及び5dの中の一のストレージ装置5がポータル装置を引き受けて、ホスト装置3bからのI/O要求を受け付ける。本例では、ストレージ装置5cがポータル装置を引き受けたものとする。つまり、ポータル装置としてのストレージ装置5cは、ホスト装置3cからのI/O要求に加え、ホスト装置3bからのI/O要求を受け付ける。これに伴い、ホスト装置3cは、ストレージ装置5bに代えて、ポータル装置としてのストレージ装置5cがターゲットとなるように、パスを切り替える。このようなパス切り替えは、ホスト装置3に実装された既知のパス交替プログラムによりなされる。或いは、ポータル装置であるストレージ装置5cが、ストレージ装置5bのターゲット情報(つまり、iSCSIネーム、IPアドレス及びTCPポート番号)を引き継ぐことによりなされても良い。
さらに、ポータル装置としてのストレージ装置5cは、ストレージ装置5bの論理ユニットLUが存在しているかのようにホスト装置3cに見せ掛けるため、ストレージ装置5bが提供していた論理ユニットLUに対するホスト装置3cからのI/O要求を、必要に応じて、論理ユニットLUを引き継いだストレージ装置5a及び5dに振り分ける。即ち、ポータル装置としてのストレージ装置5cは、外部ストレージ構成技術を用いて、ストレージ装置5a及び5dを外部ストレージ装置(スレーブ装置)に位置づける。
図3は、本発明の一の実施形態に係るストレージシステム4におけるストレージ装置5の協調分散動作を概念的に説明するための図である。具体的には、同図は、ストレージシステム4から一のストレージ装置5が減設された後、新たなストレージ装置5が増設された場合の論理ユニットの引継ぎを示している。
即ち、上述した図2の状態にあるストレージシステム4に対して、新たなストレージ装置5b’が増設される場合を考える。
この場合、新たなストレージ装置5b’は、ストレージ装置5a、5c及び5dに引き継がれていた論理ユニットLUをこれらから引き継ぐ。つまり、ストレージ装置5a、5c及び5dの論理ユニットLUは、新たなストレージ装置5b’に集約されることになる。また、ホスト装置3bは、ストレージ装置5b’が新たなターゲットとなるように、パス切替機能を用いてパスを切り替える。
このように、ストレージシステム4におけるあるストレージ装置5を減設する際には、残りのストレージ装置5が当該減設されるストレージ装置5の論理ユニットを動的に引き継ぐので、柔軟なシステム構成の変更が可能になる。また、減設後、新たなストレージ装置5を増設する場合においても、ストレージ装置5の論理ユニットが動的に新たなストレージ装置5に引き継がれるので、柔軟なシステム構成の変更が可能になる。
図4は、本発明の一の実施形態に係るストレージ装置5の構成を示す図である。上述したように、ストレージ装置5は、ドライブユニット51及びコントローラユニット51を備えるが、本実施形態のストレージ装置5は、同図に示すように、冗長構成を採用している。即ち、ストレージ装置5のコントローラユニット52は二重化され、これに伴い、ドライブユニット51内のハードディスクドライブ511に対するパスも二重化されている。
コントローラユニット52は、プロセッサ521と、メモリ522と、ホストインターフェース523と、キャッシュメモリ524と、ドライブインターフェース524と、データコントローラ526とを備える。
プロセッサ521は、メインメモリとして機能するメモリ522に保持された各種の制御プログラムを実行することにより、コントローラユニット42を統括的に制御する。メモリ422には、例えば、図5に示すように、I/O処理プログラム、引継調停プログラム、データ移行プログラム、イベント監視プログラム、外部ストレージプログラムといった制御プログラムに加え、論理ユニット管理テーブル600及び優先順位リストテーブル800等を含むシステム管理情報が保持される。
ホストインターフェース523は、複数のポート5231を備え、ネットワーク2を介して当該ポート5231に接続されたホスト装置3との間で通信を行うネットワークインターフェースである。ホストインターフェース523は、プロセッサ521の負荷軽減のため、TCP/IPプロトコルに加え、iSCSIプロトコルを実装していてもよい。ホストインターフェース523は、ホストバスアダプタと呼ばれることもある。
キャッシュメモリ524は、ホスト装置3に対して高い応答性能を提供するため、ホストインターフェース523とデバイスインターフェース525との間でやり取りされるデータを一時的に記憶(キャッシュ)するメモリである。キャッシュメモリ524は、典型的には、DRAM等の揮発性メモリで構成されるが、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリでその全部又は一部が構成されてもよい。
デバイスインターフェース525は、複数のポートを備え、ディスクチャネルを介して当該ポートに接続されたディスクデバイス41に対するI/Oアクセスの制御を行うインターフェースである。即ち、デバイスインターフェース525は、キャッシュメモリ524にキャッシュされたデータを取り出して、ドライブユニット51上の対応するブロックに格納し(デステージング)、また、ドライブユニット51上のブロックからデータを読み出して、キャッシュメモリ424に書き込む(ステージング)。例えば、ホスト装置3から読み出し要求を受け付けた場合であって、キャッシュメモリ524に当該要求されたデータが存在しない場合には、必要に応じてデステージングを行ってキャッシュ領域を確保した後、キャッシュメモリ524に当該要求されたデータをステージングする。
データコントローラ526は、上述したプロセッサ521、メモリ522、ホストインターフェース523、キャッシュメモリ524、及びデバイスインターフェース525を接続し、これらの間のデータのフローを制御するチップセットである。データコントローラ526はまた、もう一方のコントローラユニット52のデータコントローラ526に接続されている。
図6は、本発明の一の実施形態に係るストレージ装置5における論理ユニット管理テーブル600の一例を示す図である。論理ユニット管理テーブル600は、ホスト装置3が認識する論理ユニットLUと、当該論理ユニット管理テーブル600を保持するストレージ装置5自身が内部的に認識する論理ユニットLUとを関連付けるテーブルである。
同図に示すように、論理ユニット管理テーブル600は、ホスト論理ユニット番号601、ホスト開始アドレス602、容量603、装置論理ユニット番号604、装置開始アドレス605、マスタ装置ID606、スレーブ装置ID607、及び状態608を含む。
ホスト論理ユニット番号601は、ホスト装置3が認識する論理ユニットLUの論理ユニット番号である。ホスト開始アドレス602は、ホスト装置が認識する論理ユニットLUの開始アドレスであり、容量603は、当該論理ユニットLUの容量を示す。
装置論理ユニット番号604は、ストレージ装置5自身の配下にある論理ユニットLUを一意に認識するための論理ユニット番号である。即ち、装置論理ユニット番号604は、ストレージ装置5自身の内部に形成された論理ユニットLU(これを「内部論理ユニットILU」と表記する。)と、外部ストレージ構成の関係にあるストレージ装置5内に形成された論理ユニットLU(これを「外部論理ユニットELU」と表記する。)とを区別するために用いられる。また、外部論理ユニットELUには、マスタ外部論理ユニットMELUとスレーブ外部論理ユニットSELUとがある。マスタ外部論理ユニットMELUは、相手のストレージ装置5に対して、自身がマスタ装置であるときの外部論理ユニットELUであり、スレーブ外部論理ユニットSELUは、相手のストレージ装置5に対して自身がスレーブ装置であるときの外部論理ユニットELUである。マスタ外部論理ユニットMELUは、ホスト装置3に対して論理ユニットLUを仮想的に見せるための仮想論理ユニットであり、その実体は後述するスレーブ装置ID607で示されるストレージ装置5の対応するスレーブ外部論理ユニットSELUにある。
装置開始アドレス605は、当該論理ユニットILU又は外部論理ユニットELUの開始アドレスである。
マスタ装置ID606は、ストレージ装置5自身から見てマスタの関係にあるストレージ装置5の識別子であり、スレーブ装置ID607は、ストレージ装置5自身から見てスレーブの関係にあるストレージ装置5の識別子である。これらには、例えば、iSCSIネームを用いることができる。
状態608は、当該論理ユニットLUの状態を示す。状態608は、例えば、「正常」、「移行中」、「障害」、又は「休止」等の値を持つ。
図7は、本発明の一の実施形態に係るストレージシステム1における各ストレージ装置5の論理ユニットLU間の関係を示す図である。具体的には、同図は、図6で示した論理ユニット管理テーブル600を保持するストレージ装置5の論理ユニットLUと、他のストレージ装置5の論理ユニットLUとの関係を模式的に示している。ここでは、「Array_B」で示されるストレージ装置5(これを「ストレージ装置5B」と表記する。)が、図6で示した論理ユニット管理テーブル600を保持しているものとする。
即ち、ストレージ装置5Bは、ホスト論理ユニットHLU−1〜HLU−3にそれぞれ対応する内部論理ユニットILU−1〜ILU−3をその内部に有する。
また、ストレージ装置5Bは、ストレージ装置5Aの外部ストレージ装置として、ホスト論理ユニットHLU−4及びHLU−5にそれぞれ対応するスレーブ外部論理ユニットSELU10及びSELU11を有する。つまり、ストレージ装置5Bは、ストレージ装置5Aのスレーブ装置としてスレーブ外部論理ユニットSELU10及び11を有する。この場合、ストレージ装置5Aは、ホスト装置3にホスト論理ユニットHLU−1を仮想的に認識させるが、その実体は外部ストレージ装置であるストレージ装置5Bに存在している。
さらに、ストレージ装置5Bは、ホスト論理ユニットHLU−6に対応するマスタ外部論理ユニットMELU50及び51を有する。つまり、ストレージ装置5Bは、ストレージ装置5C及びストレージ装置5Dを外部ストレージ装置(スレーブ装置)として接続している。従って、ストレージ装置5Bは、ホスト論理ユニットHLU6に対するI/O要求を、そこで指定された論理アドレスに応じてストレージ装置5C又は5Dの論理ユニットLUに振り分ける。ストレージ装置5C又は5Dの論理ユニットLUは、それぞれの論理ユニット管理テーブル600においてスレーブ外部論理ユニットSELUとして認識されている。
以上から明らかなように、図6で示した論理ユニット管理テーブル600は、ストレージ装置5Bが、ポータル装置であるストレージ装置5Aの外部ストレージ装置(スレーブ装置)として振る舞う一方、外部ストレージ装置(スレーブ装置)として接続されたストレージ装置5C及び5Dに対してポータル装置(マスタ装置)として振る舞うことを示している。
図8は、本発明の一の実施形態に係るストレージ装置5における優先順位リストテーブル800の一例を示す図である。優先順位リストテーブル800は、ストレージシステム4内の自身以外のストレージ装置5について、引継を依頼する際の優先順位を定めたテーブルである。
同図に示すように、優先順位リストテーブル800は、優先順位801、装置ID802、稼働状態803、空き容量804、及び引受履歴805を含む。
優先順位801は、引継依頼の優先順位を示し、値が小さいほど優先順位が高いことを示す。優先順位801は、同値のものを含んでいてもよい。
装置ID802は、ストレージシステム4内のストレージ装置5を一意に識別するための識別子である。稼働状態803は、当該ストレージ装置5の稼働状態を示し、例えば、「稼働」又は「休止」等の値を持つ。
空き容量804は、当該ストレージ装置5の空き容量値を示す。空き容量804は、ストレージ装置5の実際の空き容量ではなく、例えば、当該ストレージ装置5が提供可能な容量値であってもよい。
引受履歴805は、当該ストレージ装置5がストレージシステム4内で論理ユニットLUの引継ぎに関わった過去の履歴を示し、さらに引受提供回数805a及び引受回数805bを含む。引受提供回数805aは、当該ストレージ装置5自身が他のストレージ装置5に対して論理ユニット引継を引き受けた(協力した)回数を示す。これに対して、引受回数805bは、当該ストレージ装置5自身が他のストレージ装置5により論理ユニット引継を引き受けてもらった回数を示す。
ストレージ装置5は、これらの情報を、定期又は不定期に他のストレージ装置5から例えば図9(A)及び(B)に示すような容量申告コマンド900によって収集し、優先順位リストテーブル800を更新する。容量申告コマンド900を受信したストレージ装置5は、稼働状態803が「稼働」を示す他のストレージ装置5について、空き容量804、引受提供回数805a、及び引受回数805bをキーにして降順にソートする。
図10は、本発明の一の実施形態に係るストレージシステム4における論理ユニット引継処理を説明するための全体フローチャートである。論理ユニット引継処理は、あるイベントを契機に、例えば、あるストレージ装置5が経年劣化等による障害の発生を予測した時点で行われる。ストレージ装置5内のイベント監視プログラムは、例えば、S.M.A.R.T.機能を利用して、このような障害の発生を予測する。或いは、管理装置6からの指示を受けて、論理ユニット移行処理が行われても良い。
すなわち、同図に示すように、一のストレージ装置5は、あるイベントを契機に、まず、論理ユニット引継調停処理を行う(STEP1001)。一のストレージ装置5は、例えば、障害の発生が予想されるため、ストレージシステム4から取り除かれるべき装置である。このようなストレージ装置5は、論理ユニットLUの引継ぎを他のストレージ装置5に依頼する側の装置として振る舞うため、ここでは、「引継依頼装置」と呼ぶことにする。論理ユニット引継調停処理は、論理ユニットLUを引き継ぐ他のストレージ装置5(これを「引継装置」と呼ぶことにする。)を決定するとともに、その中から特定のストレージ装置5をポータル装置として決定するための処理である。論理ユニット引継調停処理の詳細は、図13を参照して説明される。
論理ユニット引継調停処理が完了すると、引継依頼装置としてのストレージ装置5の論理ユニットLUと引継装置としてのストレージ装置5の論理ユニットLUとの間で、データ移行処理が実行される(STEP1002)。従って、引継装置として複数のストレージ装置5が存在する場合、データ移行処理は、引継依頼装置としてのストレージ装置5の論理ユニットLUと引継装置としての各ストレージ装置5の論理ユニットLUとの間でそれぞれ実行される。データ移行処理は、引継依頼装置及び引継装置としてのストレージ装置5の論理ユニットLUをそれぞれマスタ外部論理ユニットMELU及びスレーブ外部論理ユニットSELUに設定することにより、実行される。
また、データ移行処理の実行中も、ストレージシステム4(つまり、引継依頼装置としてのストレージ装置5)は、対応するホスト装置3からのI/O要求を受け付ける必要があり、また、このような場合であってもデータの整合性は維持される必要がある。このため、引継依頼装置としてのストレージ装置5は、データ移行処理開始後現在までの間に受け付けたI/O要求に基づく差分データもまた、引継装置としてのストレージ装置5に送信する。これにより、引継依頼装置としてのストレージ装置5の論理ユニットLUは、データの一貫性を維持しつつ、引継装置としてのストレージ装置5の論理ユニットLUに引き継がれることになる。
データ移行処理が完了すると、引継装置であるストレージ装置5間で外部ストレージ構成の設定処理が実行される(STEP1003)。即ち、ポータル装置としてのストレージ装置5は、他の引継装置としてのストレージ装置5の論理ユニットLU(つまりスレーブ外部論理ユニットSELU)をマスタ外部論理ユニットMELUに割り当てる。
外部ストレージ構成の設定に伴い、パス切替処理が行われる(STEP1004)。典型的には、ホスト装置3は、パス切替機能を用いて、引継依頼装置としてのストレージ装置5からポータル装置としてのストレージ装置5にターゲットを変更すべく、iSCSIネーム及びネットワークポータル)を変更する。或いは、ホスト装置3における変更の代わりに、ポータル装置としてのストレージ装置5が引継依頼装置としてのストレージ装置5からそのiSCSIネーム及びネットワークポータル(IPアドレス及びTCPポート番号)を引き継ぐことにより行われてもよい。
このようにして、あるイベントを契機に、ストレージシステム4におけるあるストレージ装置5の論理ユニットLUは、他のストレージ装置5に動的に移行され、他のストレージ装置5によって引き継がれることになる。論理ユニットLUを引き継いだストレージ装置5のうちの一つはポータル装置として振る舞い、外部ストレージ機能を用いて、ホスト装置3からのI/O要求を、他のストレージ装置5a及び5dに振り分ける。従って、ホスト装置3は、引継依頼装置としてのストレージ装置5が提供していた論理ボリュームLUを、ポータル装置としてのストレージ装置5を介して引き続き利用できることになる。
各ストレージ装置5は、図11及び図12に示すようなコマンドをやり取りすることによって、協調分散的に論理ユニット引継調停処理を行う。図11は、引継要求プロトコルにおいて用いられるコマンドのフォーマットの一例を示し、図12は、引継要求に対する承認プロトコルにおいて用いられるコマンドのフォーマットの一例を示す。
図13及び図14は、本発明の一の実施形態に係るストレージ装置5における論理ユニット引継調停処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
即ち、まず、図13に示すように、引継依頼装置としてのストレージ装置5は、優先順位リストテーブル800を参照して、引継装置候補となるストレージ装置5を抽出する(STEP1301)。
引継依頼装置としてのストレージ装置5は、引継装置候補を一つ抽出すると、自身の論理ユニットLUが必要とする容量を当該抽出した引継装置候補によって確保できたか否かを判断する(STEP1302)。引継依頼装置としてのストレージ装置5は、抽出した引継装置候補によって必要容量を確保できないと判断する場合には(STEP1302のNo)、必要容量を確保できるまで順に引継装置候補を抽出していく(STEP1301)。引継装置候補は、典型的には、優先順位リストテーブル800においてランクが高い順に選択される。
引継依頼装置としてのストレージ装置5は、必要容量を確保できた場合(STEP1302のNo)、抽出した引継装置候補の中からポータル装置候補を一つ選択する(STEP1303)。ポータル装置候補には、例えば、優先順位リストテーブル800のうちランクが最も高いものが選択されても良いし、或いは、抽出した引継装置候補の中からランダムに選択されても良い。
続いて、引継依頼装置としてのストレージ装置5は、優先順位リストテーブル800を参照して、引継装置候補に対する役割分担を決定する。即ち、引継依頼装置としてのストレージ装置5は、各引継装置候補に対して要求する記憶容量等を決定する。引継依頼装置としてのストレージ装置5は、決定した役割分担に基づいて、図11(B)に示すような引継依頼コマンドを作成し(STEP1305)、ストレージシステム4における他のストレージ装置5に対してこれをブロードキャスト送信する(STEP1306)。
引継依頼コマンドを受信した他のストレージ装置5は、自身が引継装置候補に指定されている場合には、ポータル装置又は引継装置の引き受けを承認するか否かを判断し、回答コマンドによって応答する。
即ち、図14に示すように、引継依頼コマンドを受信した他のストレージ装置5は、ドライブユニット51の空き容量値を取得し(STEP1401)、要求された容量を確保できるか否かを判断する(STEP1402)。他のストレージ装置5は、要求された容量を確保できないと判断する場合には(STEP1402のNo)、否認コマンドを作成し、引継依頼装置としてのストレージ装置5に送信する(STEP1410)。
一方、引継依頼コマンドを受信した他のストレージ装置5は、要求された容量を確保できると判断する場合には(STEP1402のYes)、次に、ポート管理テーブルを参照して(STEP1403)、利用可能なポートがあるか否かを判断する(STEP1404)。他のストレージ装置5は、利用可能なポートがないと判断する場合には(STEP1404のNo)、否認コマンドを作成し、引継依頼装置としてのストレージ装置5に送信する(STEP1410)。
一方、引継依頼コマンドを受信した他のストレージ装置5は、利用可能なポートがあると判断する場合には(STEP1404のYes)、次に、優先順位リストテーブル800を参照し(STEP1405)、当該引継依頼装置に対する引受回数が所定の回数以上であるか否かを判断する(STEP1406)。これは、引受回数が多いほど、引継依頼を受けたストレージ装置5に引継の承認させるということである。ただし、実装に際して、引受回数の判断ステップを省略しても良い。他のストレージ装置5は、引受回数が所定の回数以上でないと判断する場合には(STEP1406のNo)、否認コマンドを作成し、引継依頼装置としてのストレージ装置5に送信する(STEP1410)。
一方、引継依頼コマンドを受信した他のストレージ装置5は、引受回数が所定の回数以上であると判断する場合には(STEP1406のYes)、引継依頼コマンドにおいて自身がポータル装置要求されているか否かを判断する(STEP1407)。他のストレージ装置は、自身がポータル装置要求されていると判断する場合には(STEP1407のYes)、ポータル装置承認の承認コマンドを作成し、引継依頼装置としてのストレージ装置5に送信する(STEP1408)。一方、他のストレージ装置は、自身がポータル装置要求されていないと判断する場合には(STEP1407のNo)、通常の引継装置承認の承認コマンドを作成し、引継依頼装置としてのストレージ装置5に送信する(STEP1408)。
図13に戻り、引継依頼装置としてのストレージ装置5は、次に、引継依頼コマンドに応答して他のストレージ装置5から送信される回答コマンドをそれぞれ受信する(STEP1307)。回答コマンドは、例えば、図12(B)に示すように、引継ぎを承認するか否認するかのステータスを含んでいる。
次に、引継依頼装置としてのストレージ装置5は、ポータル装置候補としてのストレージ装置5から受信した回答コマンドが承認ステータスを含んでいるか否かを判断する(STEP1308)。引継依頼装置としてのストレージ装置5は、回答コマンドが承認ステータスを含んでいないと判断する場合(STEP1308のNo)、ポータル装置候補の選択を含め、引継装置候補の役割分担を再度決定するため、STEP1303の処理に戻る。
これに対して、引継依頼装置としてのストレージ装置5は、回答コマンドが承認ステータスを含んでいると判断する場合(STEP1308のYes)、続いて、他の引継装置候補としてのストレージ装置5から受信した回答コマンドが承認ステータスを含んでいるか否かを判断する(STEP1309)。引継依頼装置としてのストレージ装置5は、回答コマンドが承認ステータスを含んでいないと判断する場合(STEP1309のNo)、引継装置候補の役割分担を再度決定するため、STEP1304の処理に戻る。
引継依頼装置としてのストレージ装置5は、他の引継装置候補としてのストレージ装置5から受信した回答コマンドが承認ステータスを含んでいると判断する場合(STEP1309のYes)、引継装置候補としてのストレージ装置5に対して確認コマンドを送信する(STEP1310)。引継装置候補としてのストレージ装置5は、当該確認コマンドを受信すると、引継装置となって論理ユニットLUを引き継ぐことになる。引継装置としてのストレージ装置5は、図11(C)に示すような確認コマンドにより、どのストレージ装置5がポータル装置を引き受けたのかを認識することができる。
このようにして、ストレージシステム4におけるストレージ装置5は、引継依頼装置と引継装置候補との関係として、強調分散的に論理ユニット引継調停処理を行う。
図15は、本発明の一の実施形態に係るストレージ装置5におけるデータ移行処理を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、ポータル装置としてのストレージ装置5が引継依頼装置としてのストレージ装置5から論理ユニットLUを引き継ぐためのデータ移行処理を説明している。
即ち、同図に示すように、ポータル装置としてのストレージ装置5は、引継依頼装置としてのストレージ装置5から確認コマンド(図11(C))を受信すると(STEP1501)、当該確認コマンドに基づいて、論理ユニット管理テーブル600を更新することにより、外部論理ユニットELU(つまり、この時点ではスレーブ外部論理ユニットSELU)を作成するとともに、引継依頼装置としてのストレージ装置5からのデータを受信するため、当該外部論理ユニットELUに対するポートの割り当てを行う(STEP1502)。
次に、ポータル装置としてのストレージ装置5は、引継依頼装置としてのストレージ装置5から送信されてくる移行元の論理ユニットLU上のデータを受信し、これを作成した外部論理ユニットELUに書き込む(STEP1503)。引継装置としてのストレージ装置5は、送信されてきたデータの書き込みを完了すると、完了コマンドを引継依頼装置としてのストレージ装置5に送信する(STEP1504)。
続いて、ポータル装置としてのストレージ装置5は、論理ユニット管理テーブル600を更新することにより、自身以外の引継装置としてのストレージ装置を外部ストレージ装置(スレーブ装置)として設定する(STEP1505)。
次に、ポータル装置としてのストレージ装置5は、引継依頼装置としてのストレージ装置5から送信されてくる移行元の論理ユニットLUに対する差分データを受信する(STEP1506)。差分データは、引継依頼装置としてのストレージ装置5が、データ転送中にホスト装置3から書き込み要求を受け付けた場合に発生するデータである。
ポータル装置としてのストレージ装置5は、次に、差分データの宛先が自身の論理ユニットLUであるか否かを判断する(STEP1507)。ポータル装置としてのストレージ装置5は、差分データの宛先が自身の外部論理ユニットELUであると判断する場合には(STEP1507のYes)、当該差分データを自身の外部論理ユニットELUに書き込む(STEP1508)。これに対して、ポータル装置としてのストレージ装置5は、差分データの宛先が自身以外の引継装置の外部論理ユニットELUであると判断する場合には(STEP1507のNo)、外部ストレージ装置用に割り当てたポートを介して、当該受信した差分データを、その宛先である外部論理ユニットELUを有する他の引継装置としてのストレージ装置5に転送する(STEP1509)。
ポータル装置としてのストレージ装置5は、受信した差分データに対する書き込み又は転送処理を完了すると、完了コマンドを引継依頼装置としてのストレージ装置5に送信する(STEP1509)。そして、ポータル装置としてのストレージ装置5は、論理ユニット管理テーブル600を更新することにより、自身の外部論理ユニットELUを内部論理ユニットILUに設定し(STEP1505)、論理ユニット引継処理を終了する。
次に、本実施形態のストレージシステム4において一のストレージ装置5が減設された場合の論理ユニット引継処理の具体例について、図16〜図21を用いて説明する。
図16は、本発明の一の実施形態に係るストレージシステム4において一のストレージ装置5が減設された場合の論理ユニット引継処理を説明するためのシーケンスチャートである。
即ち、同図に示すように、ホスト装置3は、対応するストレージ装置5Aの論理ユニットLUにI/Oアクセスしているものとする(STEP1601)。このとき、ホスト装置3とストレージ装置5A(その論理ユニットLU)とは、図17(A)に示すように、1対1の関係にある。また、図18は、このときの各ストレージ装置5A〜5Cの論理ユニット管理テーブル600A〜600Cを示している。なお、ストレージ装置5B及び5Cの論理ユニット管理テーブル600B及び600Cは、当該ホスト装置3との関係でNULLであることを示しており、それぞれ対応するホスト装置3との関係で論理ユニットLUが定義されていてもよい。
あるイベントを契機にして、ストレージ装置5Aは、引継依頼装置として、他のストレージ装置5に対して引継調停を要求する(STEP1602)。本例では、ストレージ装置5Bがポータル装置を引き受けるとともに、ストレージ装置5Cが通常の引継装置を引き受けたものとする。また、ストレージ装置5Aの論理ユニットLUは、ストレージ装置5B及び5Cによって引き継がれるものとする。つまり、この場合、ストレージ装置5Aの論理ユニットLUは所定のサイズで2分割され引き継がれる。従って、ストレージ装置5A〜5Cは、図19に示すように論理ユニット管理テーブル600A〜600Cをそれぞれ更新する。即ち、ストレージ装置5B及び5Cは、ストレージ装置5Aをマスタ装置とするスレーブ外部論理ユニットSELUを作成する。
引継調停が成功すると、ストレージ装置5Aは、論理ボリュームLU上のデータをストレージ装置5B及び5Cのそれぞれに送信し、ストレージ装置5B及び5Cは、送信されてくるデータを作成したスレーブ外部論理ボリュームSELUに書き込む(STEP1603)。上述したように、データ移行中も、ストレージ装置5Aの論理ボリュームに対して、ホスト装置3からのI/O要求によるアクセスが行われる。図17(B)は、データ移行中の論理ボリュームLU間の関係を示している。
ストレージ装置5B及び5Cは、書き込み後、外部ストレージ構成を設定し(STEP1604)、完了コマンドをストレージ装置5Aに送信する(STEP1605)。図20は、このときのストレージ装置5A〜5Cの論理ユニット管理テーブル600A〜600Cを示している。即ち、ストレージ装置5Bは、ストレージ装置5Cを外部ストレージ装置(スレーブ装置)に設定し、ストレージ装置5Cは、ストレージ装置5Bをマスタ装置に設定する。また、ストレージ装置5Aは、自身の内部論理ユニットILUを外部論理ユニットELUに変更する。
ストレージ装置5Aは、次に、データ移行開始後現在までに論理ボリュームLUに対して書き込まれたデータを差分データとして、ポータル装置としてのストレージ装置5Bに送信する(STEP1606)。ストレージ装置5Bは、図17(C)に示すように、受信した差分データが自身の論理ボリュームLU(つまりスレーブ外部論理ユニットSELU)に対するものであればそこに書き込むとともに、ストレージ装置5Cの論理ボリュームLU(つまりマスタ外部論理ユニットMELU)に対するものについては、ストレージ装置5Cに転送する(STEP1607)。
差分データの移行が完了すると、ストレージ装置5Aは、ホスト装置3に対してパス切替要求を送信する(STEP1608)。また、ストレージ装置5Bは、図21に示すように、自身のスレーブ外部論理ユニットSELUを内部論理ユニットILUに変更する(STEP1610)。ホスト装置3は、パス切替要求を受けて、ストレージ装置5Bをターゲットとするパス切替を行う(STEP1609)。これ以降、ホスト装置3は、ストレージ装置5Bに対してI/O要求を行うことになる。つまり、ホスト装置3は、引き継がれた論理ユニットLUをストレージ装置5Bを介して認識することになる。従って、ストレージ装置5Bは、ホスト装置3からのI/O要求が外部論理ユニットELUに対するものである場合には、外部接続用ポートを介して当該I/Oアクセスをストレージ装置5Cに転送し、ストレージ装置5Cから送信されるI/O応答をホスト装置3に転送する(STEP1611)。
次に、本実施形態のストレージシステム4において一のストレージ装置5が減設された後、別のストレージ装置5が追加された場合の論理ユニット引継処理の具体例について、図22〜図を用いて説明する。
図22は、本発明の一の実施形態に係るストレージシステム4において一のストレージ装置5が減設された後、別のストレージ装置5が追加された場合の論理ユニット引継処理を説明するためのシーケンスチャートである。
上述したように、ストレージ装置5B及び5Cは、ストレージ装置5Aの論理ユニットLUを引き継ぎ、ポータル装置であるストレージ装置5Bは、引き継いだ論理ユニットLUをホスト装置3に認識させている。つまり、ストレージ装置5Cは、ストレージ装置5Bの外部ストレージ装置(スレーブ装置)として機能し、ストレージ装置5Bは、ホスト装置3に対して、ストレージ装置5Cが引き継いだ論理ユニットLUを自身が引き継いだ論理ユニットLUとともにストレージ装置5Aが提供していた論理ユニットLUのように見せかける。従って、ホスト装置3は、ポータル装置であるストレージ装置5Bを介して、ストレージ装置5Aから引き継いだ論理ユニットLUにI/Oアクセスする(STEP2201)。図23(A)は、このときのホスト装置3とストレージ装置5B及び5Cの関係を示している。同図から明らかなように、ストレージ装置5Cは、ストレージ装置5Bの外部ストレージ装置(スレーブ装置)として機能している。また、図24は、このときの各ストレージ装置5A〜5Cの論理ユニット管理テーブル600A〜600Cを示している。
このような状態において、ストレージ装置5Dがストレージシステム4に追加されたとする。新たに追加されたストレージ装置5Dは、例えば、イニシャルシーケンスに従って、論理ユニットの引継調停(集約調停)を要求する(STEP2202)。本例では、ストレージ装置5Bの論理ユニットLU及びストレージ装置5Cの論理ユニットLUがストレージ装置5Dに集約されるものとする。従って、ストレージ装置5Dは、図25に示すように論理ユニット管理テーブル600Dを更新する。即ち、ストレージ装置5Dは、ストレージ装置5B及び5Cをマスタ装置とするスレーブ外部論理ユニットSELUを作成する。
集約調停が成功すると、ストレージ装置5Bは、論理ボリュームLU上のデータをストレージ装置5Dに送信し、ストレージ装置5Dは、送信されてくるデータを作成したスレーブ外部論理ボリュームSELUに書き込む。同様に、ストレージ装置5Cは、論理ボリュームLU上のデータをストレージ装置5Dに送信し、ストレージ装置5Dは、送信されてくるデータを作成したスレーブ外部論理ボリュームSELUに書き込む(STEP2203)。なお、ストレージ装置5Cは、上述したように、ストレージ装置5Bの外部ストレージ装置(スレーブ装置)であるため、ストレージ装置5Bが、マスタ外部論理ユニットMELUのデータを、一旦、ストレージ装置5Bの対応するスレーブ外部論理ユニットSELUから読み出して、これをストレージ装置5Dに転送してもよい。上述したように、データ移行中も、ストレージ装置5Aの論理ボリュームに対して、ホスト装置3からのI/O要求によるアクセスが行われる(STEP2204)。図23(B)は、データ移行中の論理ボリュームLU間の関係を示している。
ストレージ装置5Dは、書き込み完了後、外部ストレージ構成を設定し(STEP2205)、完了コマンドをストレージ装置5Aに送信する(STEP2206)。ストレージ装置5B及び5Cは、これを受けて、外部ストレージ構成を変更する。図26は、このときのストレージ装置5A〜5Cの論理ユニット管理テーブル600A〜600Cを示している。即ち、ストレージ装置5Bは、ストレージ装置5Dを外部ストレージ装置(スレーブ装置)に設定するとともに、ストレージ装置5Cを切り離す。図23(C)は、このときの論理ボリュームLU間の関係を示している。また、ストレージ装置5Dは、ストレージ装置5Bをマスタ装置に設定する。これにより、ホスト装置3からのストレージ装置5Bに対するI/O要求は、ストレージ装置5Dに転送されることになる。
次に、ストレージ装置5Dは、ホスト装置3に対してパス切替要求を送信するとともに(STEP2208)、自身のスレーブ外部論理ユニットSELUを内部論理ユニットILUに変更する(STEP2209)。ホスト装置3は、パス切替要求を受けて、ストレージ装置5Bをターゲットとするパス切替を行う(STEP2210)。これ以降、ホスト装置3は、ストレージ装置5Dに対してI/O要求を行うことになる(STEP2211)。図23(D)は、このときの論理ボリュームLU間の関係を示している。また、ストレージ装置5Bは、図27に示すように、自身のスレーブ外部論理ユニットSELUを内部論理ユニットILUに変更する(STEP1610)。つまり、ホスト装置3は、引き継がれた論理ユニットLUをストレージ装置5D上に認識することになる。
次に、本実施形態のストレージ装置5による寿命検出に従う論理ユニット引継処理例について説明する。
図28は、本発明の一の実施形態に係るストレージ装置4における交換時期確認テーブル2800の一例を示す図である。
同図に示すように、交換時期確認テーブル2800は、装置ID2801、装置保証年2802、稼働開始日2803、稼働延べ日数2804、及び残存寿命日数2805を含む。
装置ID2801は、ストレージ装置5自身を一意に識別するための識別子である。装置保証年数2802は、通常運用時における当該ストレージ装置5の動作保証年数であり、例えば、メーカがその試験実績乃至は経験則に基づいて決定した値である。稼働開始日2803は、当該ストレージ装置5が稼働を開始した日である。稼働延べ日数2804は、当該ストレージ装置5が実際に稼働していた延べ日数であり、例えば、保守・管理等により当該ストレージ装置5が休止していた日数が差し引かれる。残存寿命日数2805は、装置保証年数2802から稼働延べ日数を差し引いた日数である。
図29及び図30は、本発明の一の実施形態に係るストレージ装置5における寿命検出に従う論理ユニット引継処理を説明するためのフローチャートである。
即ち、同図に示すように、ストレージ装置5は、定期的にイベント監視プログラムを呼び出して、交換時期確認テーブル2800を参照し(STEP2901)、残存寿命日数2805が第1の閾値以下であるか否かを判断する(STEP2902)。第1の閾値は、例えば、60日に設定されている。ストレージ装置5は、残存寿命日数2805が第1の閾値以下でないと判断する場合には(STEP2902のNo)、STEP2901に戻り、次のタイミングまで待機する。
ストレージ装置5は、残存寿命日数2805が第1の閾値以下であると判断する場合には(STEP2902のYes)、続いて、残存寿命日数2805が第2の閾値以下であるか否かを判断する(STEP2903)。第1の閾値は、例えば、30日に設定されている。ストレージ装置5は、残存寿命日数2805が第2の閾値以下でないと判断する場合には(STEP2903のNo)、管理装置6に残存寿命日数2805が残り少なくなった旨を含むメッセージを送信する(STEP2904)。メッセージは、電子メールにより送信されても良い。また、メッセージは、例えば、第2の閾値になった時点で、論理ユニット引継処理が実行される旨を含んでいても良い。管理装置6は、これを受けて、ユーザインターフェース上に当該メッセージを表示する。システム管理者は、当該メッセージに基づいて、例えば、当該引継処理の中止指示を与えることができる。
これに対して、ストレージ装置5は、残存寿命日数2805が第2の閾値以下であると判断する場合には(STEP2903のYes)、上述した論理ユニット引継処理を行う(STEP2905)。これにより、ストレージシステム4におけるストレージ装置5は、協調分散動作を行って、論理ユニットの引継ぎを行う。続いて、ストレージ装置5は、パスコードを作成し、管理装置6及びポータル装置であるストレージ装置5に送信する(STEP2906)。パスコードは、新たなストレージ装置5を追加する際の認証に用いられる。これにより、システム管理者は、管理装置6のユーザインターフェースを介して、パスコードを知ることができる。また、ポータル装置としてのストレージ装置5は、受信したパスコードを保持しておく。
システム管理者は、新たなストレージ装置5を入手した場合、これをストレージシステム4に追加すべく、必要な配線作業を行い、当該新たなストレージ装置5を起動する。また、システム管理者は、例えば、管理装置6のユーザインターフェースを用いて、ポータル装置としてのストレージ装置5にアクセスし、上述したパスコード及び当該新たなストレージ装置5の装置IDを入力する(図30のSTEP3001)。
ポータル装置としてのストレージ装置5は、これを受けて、保持していたパスコードと一致するか否かを判断し(STEP3002)、一致しないと判断する場合には(STEP3002のNo)、所定のエラー処理を行って(STEP3004)、当該処理を終了する。
これに対して、ポータル装置としてのストレージ装置5は、一致すると判断する場合には(STEP3002のYes)、装置IDで指定されたストレージ装置5を集約先のストレージ装置5であると認識して、上述したような集約処理を行う(STEP3003)。これにより、装置寿命に伴う論理ユニット引継・集約処理がきわめて円滑に行われることになる。
次に、本実施形態に係るストレージシステム4の応用例について説明する。図31は、本発明の一の実施形態に係るストレージシステム4による仮想ストレージ構成を説明するための概念図である。
即ち、同図に示すように、図示しないクライアントコンピュータ(ホスト装置3に対応付けることができる。)は、仮想的な1つのストレージ装置が提供する仮想ボリュームV−VOLを認識する。つまり、仮想ボリュームV−VOLは、実在のストレージ装置5a〜5dが提供するボリュームVOLから構成される。ストレージ装置5のいずれか一つは、上述したポータル装置(マスタ装置)として機能し、他のストレージ装置5は外部ストレージ装置(スレーブ装置)として機能する。従って、ポータル装置としてのストレージ装置5は、各クライアントコンピュータからのI/O要求を受け付けて、必要に応じて、外部ストレージ装置である他のストレージ装置5に対するアクセスし、I/O応答をクライアントコンピュータに送信する。これにより、ストレージシステムは、各クライアントコンピュータに対して、ポータル装置であるストレージ装置5を介して、見掛け上、1つの仮想ボリュームV−VOLを認識させることができる。
このような仮想ストレージ処理は、例えば、相互に独立の組織によるソフトウェア開発等の合同プロジェクトに利用することができる。つまり、プロジェクト発足により、各組織に属するクライアントコンピュータは、ポータル装置としてのストレージ装置5を介して、仮想ボリュームV−VOLを認識し、作業を行う。プロジェクト解散後は、各ストレージ装置5は切り離され、各組織において使用される。
図32は、本発明の一の実施形態に係るストレージシステム4の仮想ストレージ処理を説明するためのフローチャートである。
即ち、同図に示すように、各ストレージ装置5は、例えば、管理装置6を操作するシステム管理者の指示に従い、論理ボリュームの複製(複製ボリューム)を作成する(STEP3201)。次に、各ストレージ装置5のいずれか一つは、ポータル装置として決定される(STEP3202)。これは、例えば、システム管理者が一のストレージ装置5をポータル装置として指定しても良いし、各ストレージ装置5が、相互通信しながら、一のストレージ装置5をポータル装置として決定しても良い。
次に、各ストレージ装置5は、複製ボリューム間を関係づけて、外部ストレージ構成を構築する(STEP3203)。即ち、ポータル装置としてのストレージ装置5は、他のストレージ装置5を外部ストレージ装置に設定する。この状態で、各クライアントコンピュータは、ポータル装置としてのストレージ装置5を介して、あたかも仮想ボリュームV−VOLにアクセスするように、各ストレージ装置5の複製ボリュームにアクセスすることができるようになる。
そして、仮想ストレージを解除する場合には、各ストレージ装置5は、外部ストレージ構成を解除して、複製ボリュームを自身の内部ボリュームに変更する(STEP3204)。
このように、本発明を仮想ストレージ構成に応用すれば、物理的なストレージ装置5がなくとも、既存のストレージ装置5により記憶領域を融通し合って、仮想的な1つの論理ボリュームを複数のクライアントコンピュータに提供することができるようになる。
上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を上記実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。例えば、上記実施形態では、各種プログラムの処理をシーケンシャルに説明したが、特にこれにこだわるものではない。従って、処理結果に矛盾が生じない限り、処理の順序を入れ替えまたは並行動作するように構成しても良い。
本発明は、複数のストレージ装置から構成されるストレージシステムに広く適用することができる。
本発明の一の実施形態に係るストレージシステムを含むコンピュータシステムの概略構成を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージシステムにおけるストレージ装置の協調分散動作を概念的に説明するための図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージシステムにおけるストレージ装置の協調分散動作を概念的に説明するための図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置の構成を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置のメモリの内容を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット管理テーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージシステムにおける各ストレージ装置の論理ユニット間の関係を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における優先順位リストテーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置が発行する容量申告コマンドのフォーマットの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージシステムにおける論理ユニット引継処理を説明するための全体フローチャートである。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置が発行する引継/確認コマンドのフォーマットの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置が発行する承認コマンドのフォーマットの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット引継調停処理の詳細を説明するためのフローチャートである。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット引継調停処理の詳細を説明するためのフローチャートである。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置におけるデータ移行処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の一の実施形態に係るストレージシステムにおいて一のストレージ装置が減設された場合の論理ユニット引継処理を説明するためのシーケンスチャートである。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置の論理ユニット間の関係を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット管理テーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット管理テーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット管理テーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット管理テーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージシステムにおいて一のストレージ装置5が減設された後、別のストレージ装置が追加された場合の論理ユニット引継処理を説明するためのシーケンスチャートである。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置の論理ユニット間の関係を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット管理テーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット管理テーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット管理テーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における論理ユニット管理テーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における交換時期確認テーブルの一例を示す図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における寿命検出に従う論理ユニット引継処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の一の実施形態に係るストレージ装置における寿命検出に従う論理ユニット引継処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の一の実施形態に係るストレージシステムによる仮想ストレージ構成を説明するための概念図である。 本発明の一の実施形態に係るストレージシステムの仮想ストレージ処理を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1…コンピュータシステム
2…ネットワーク
3…ホスト装置
4…ストレージシステム
5…ストレージ装置
51…ドライブユニット
52…コントローラユニット

Claims (11)

  1. 少なくとも1つの論理ユニットが形成されるドライブユニットと、ホスト装置から送信されるアクセス要求に従って前記ドライブユニットを制御して、前記少なくとも1つの論理ユニットにアクセスするコントローラユニットと、を備えるストレージ装置であって、
    前記コントローラユニットは、
    複数の他のストレージ装置に対して前記少なくとも1つの論理ユニットの引継要求を行う引継要求部と、
    前記引継要求部による引継要求に応答して前記複数の他のストレージ装置から送信される引継承認に従って、前記少なくとも1つの論理ユニットの引継を引き受ける前記複数の他のストレージ装置のそれぞれに形成された論理ユニットを前記少なくとも1つの論理ユニットに割り当てる外部ストレージ構成部と、
    前記外部ストレージ構成部によって割り当てられた前記複数の他のストレージ装置のそれぞれに形成された論理ユニットに、前記少なくとも1つの論理ユニット内のデータを移行するデータ移行部と、
    前記データ移行部により前記データの移行が完了した後に、前記ホスト装置からのアクセス要求が前記複数の他のストレージ装置のいずれか1つに与えられるように、パス切替要求を行うパス切替要求部と、
    を備えたことを特徴とするストレージ装置。
  2. ネットワークを介して相互に接続された複数のストレージ装置から構成されるストレージシステムであって、
    前記複数のストレージ装置のそれぞれは、
    少なくとも1つの論理ユニットが形成されるドライブユニットと、
    ホスト装置からのアクセス要求に従って前記ドライブユニットを制御して、前記少なくとも1つの論理ユニットにアクセスするコントローラユニットと、を備え、
    前記複数のストレージ装置のそれぞれのコントローラユニットは、
    自身の論理ユニットの引継要求を前記ネットワークに送信する引継要求部と、
    前記ネットワークから受信した論理ユニットの引継要求に対して、当該論理ユニットの引継を承認するか否かを判断する引継承認部と、
    前記引継承認部により引継を承認すると判断される場合に、所定の論理ユニットを作成する論理ユニット作成部と、
    自身以外のストレージ装置に形成された所定の論理ユニットを前記自身の論理ユニットに割り当てる外部ストレージ構成部と、
    前記外部ストレージ構成部によって割り当てられた前記所定の論理ユニットに前記自身の論理ユニット内のデータを移行するデータ移行部と、
    前記データ移行部により前記データの移行が完了した後に、前記ホスト装置から送信されるアクセス要求が前記自身以外のストレージ装置のいずれか1つに与えられるように、パス切替要求を行うパス切替要求部と、を備えることを特徴とするストレージシステム。
  3. 請求項2記載のストレージシステムであって、
    前記複数のストレージ装置のそれぞれのコントローラユニットは、
    前記自身以外のストレージ装置のそれぞれについて、前記自身の論理ユニットの引継の優先順位を定義した優先順位リストテーブルをさらに備え、
    前記引継要求部は、前記優先順位リストテーブルに従って、前記自身以外のストレージ装置に対する前記引継要求を作成することを特徴とするストレージシステム。
  4. 請求項2記載のストレージシステムであって、
    第1ストレージ装置のコントローラユニットは、第1論理ユニットの引継要求を前記自身以外のストレージ装置に送信し、
    第2ストレージ装置のコントローラユニットは、前記第1ストレージ装置が送信した引継要求を受信して、当該引継要求で指定される第1論理ユニットの引継を承認するか否かを判断し、当該引継を承認すると判断する場合に、第2論理ユニットを作成し、
    前記第1ストレージ装置のコントローラユニットは、前記第1論理ユニットを前記第2論理ユニットに割り当てて、前記第1論理ユニット上のデータを前記第2論理ユニットに移行し、前記ホスト装置から送信されるアクセス要求が前記第2ストレージ装置に与えられるようにパス切替要求を行って、
    前記第2ストレージ装置のコントローラユニットは、前記ホスト装置から送信されるアクセス要求を受け付けて、前記第2論理ユニットにアクセスすることを特徴とするストレージシステム。
  5. 請求項4記載のストレージシステムであって、
    前記引継要求を受信した第2ストレージ装置のコントローラユニットは、当該引継要求において自身がポータル装置に指定されている場合に、当該ポータル装置を引き受けるか否かを判断することを特徴とするストレージシステム。
  6. 請求項5記載のストレージシステムであって、
    前記第2のストレージ装置のコントローラユニットは、
    前記引継要求を受信した第3ストレージ装置に作成された第3論理ユニットを前記第2の論理ユニットに割り当てることを特徴とするストレージシステム。
  7. 請求項4記載のストレージシステムであって、
    前記第1ストレージ装置のコントローラユニットは、所定のイベントを契機に、前記引継要求を前記自身以外のストレージ装置に送信することを特徴とするストレージシステム。
  8. ネットワークを介して相互に接続された複数のストレージ装置から構成されるストレージシステムにおける論理ユニットの引継方法であって、
    ホスト装置からアクセス要求を受け付ける第1ストレージ装置が、他のストレージ装置に対して第1論理ユニットの引継要求を送信するステップと、
    前記引継要求を受信した前記他のストレージ装置が、前記第1論理ユニットの引継を承認するか否かを判断するステップと、
    前記他のストレージ装置のうち前記論理ユニットの引継を承認すると判断した第2ストレージ装置が、前記第1論理ユニットを引き継ぐための第2論理ユニットを作成するステップと、
    前記第1ストレージ装置が、前記第1論理ユニットに前記第2論理ユニットを割り当てるステップと、
    前記第1ストレージ装置が、前記第1論理ユニット内のデータを前記第2論理ユニットに移行するため、前記データを前記第2ストレージ装置に送信するステップと、
    前記第2ストレージ装置が前記第1ストレージ装置から送信された前記データを受信して、前記第2論理ユニットに書き込むステップと、
    前記第1ストレージ装置が、前記データの送信が完了した後、前記ホスト装置から送信されるアクセス要求が前記第2ストレージ装置に与えられるように、パス切替要求を行うステップと、
    を含むことを特徴とする論理ユニットの引継方法。
  9. 請求項8記載の論理ユニットの引継方法であって、
    前記第1ストレージ装置が、前記他のストレージ装置のそれぞれについて、前記自身の論理ユニットの引継の優先順位を定義した優先順位リストテーブルに従って、前記引継要求を作成するステップ、をさらに含むことを特徴とする論理ユニットの引継方法。
  10. 請求項9記載の論理ユニットの引継方法であって、
    前記第1ストレージ装置が、前記優先順位リストテーブルに従って、前記他のストレージ装置のいずれかをポータル装置に決定するステップ、をさらに含むことを特徴とする論理ユニットの引継方法。
  11. 請求項10記載の論理ユニットの引継方法であって、
    前記判断するステップは、前記第2ストレージ装置が、前記受信した引継要求により自身がポータル装置に指定されている場合に、当該ポータル装置を引き受けるか否かを判断するステップを含むことを特徴とする論理ユニットの引継方法。
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