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JP5051768B2 - 運動器疾患の治療・予防用医薬組成物 - Google Patents

運動器疾患の治療・予防用医薬組成物 Download PDF

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Description

本発明は、酸化ストレス等に伴う軟骨基質分解酵素産生の抑制、軟骨基質合成能低下抑制を行い得る薬剤、特に、フラーレンを含有した薬剤に関する。さらに、本発明はフラーレンを含有した変形性関節炎等の軟骨変性を伴う運動器疾患の治療・予防用医薬組成物に関する。
高齢化社会の到来とともに、変形性関節症など骨関節・運動器疾患の対策と予防法の開発が社会的急務として注目されている。本邦において骨粗鬆症患者は約1000万人、変形性関節症患者も700万〜1000万人にのぼるとされており、年々日常生活障害を有する対象患者は増加傾向にある。関節・運動器疾患の治療は、日常生活動作の改善指導(筋力訓練、サポーター・装具等)、消炎鎮痛剤による対症療法がほとんどであり、その有効性は満足のいくものではない。加齢とともに関節症状は憎悪化し、骨関節破壊やアライメント不整を呈する症例には外科的療法(人工関節など)が選択されている。しかし、これら外科的治療には、コストや感染の問題、さらには長寿社会ゆえに数年〜数十年後に人工関節の再置換を迫られる症例があるなど問題点は多い。
運動器疾患は発症後経年的に組織が障害されること、関節軟骨組織が極めて修復能に乏しいことを考慮すると、予防法ならびに病早期からの疾患対策が求められているが、未だ有効な治療や医療技術は確立されていない。このため、高齢化社会において高い日常生活の活動性(activity of daily living: ADL)を維持するためには、加齢にともなう運動器疾患に対して臨床的有効性を示す新規の治療薬や治療戦略の確立が急がれる。
骨関節疾患成立の過程において、骨・軟骨細胞環境の破綻(外的ストレスにより生じる骨軟骨基質の変性と、引き続く酵素的分解、炎症や免疫応答等々)は骨関節組織の恒常性・修復能を低下させていき、関節変性・破壊は経年的に進行する。運動器疾患の誘導因子のなかでもっとも重要なものはoxygen free radical(酸化ストレス)である。すべての体細胞は生命活動の根源である細胞呼吸(ミトコンドリアの呼吸鎖機能:エネルギー産生)の過程で活性酸素種を産生する。加齢や様々な外的ストレスによる細胞呼吸鎖機能低下や抗酸化系酵素活性の低下は過剰な活性酸素(オキシジェン フリーラジカル)の原因となり、加齢に伴う変性疾患や癌などの疾患の病因・病態と密接な関連が示唆されている。
一方、活性酸素種の発生・漏出を抑制する材料として、ナノカーボン素材フラーレン(C60)が存在する。フラーレン(C60)は強力なフリーラジカル補足・消去能を持ち、様々な細胞異化(細胞機能・活性低下、細胞死)に抗して細胞環境を整え、細胞機能を維持し増強させる作用を有することが示唆されている(非特許文献1〜27)。
また、 最近、フラーレンの分子運動を利用した動摩擦ゼロの超潤滑システムが開発され、マイクロ・ナノマシン用の潤滑剤などへの応用が期待されている(特許文献1、非特許文献28 )。フラーレンは常にブラウン運動で回転しており、フラーレン分子の回転に起因した作用により動摩擦係数 0に近い超潤滑システムが観察され、フラーレンが極めて高性能の潤滑剤となりうることが示唆されている。
特開2003-06279 Li C, et al., Org Biomol Chem. 2004 Dec 7;2(23):3464-9. Mirkov SM, et al., Nitric Oxide. 2004 Sep;11(2):201-7. Zhang TH, et al., Org Biomol Chem. 2003 Dec 21;1(24):4403-7. Wei Y, et al., Bioelectrochemistry. 2003 Oct;61(1-2):51-6. Yamakoshi Y, et al., J Am Chem Soc. 2003 Oct 22;125(42):12803-9. Wolff DJ, et al., Arch Biochem Biophys. 2002 Mar 15;399(2):130-41. Huang SS, et al., Pharmacology. 2002 Feb;64(2):91-7. Chien CT, et al., J Am Soc Nephrol. 2001 May;12(5):973-82 Wolff DJ, et al., Biochemistry. 2001 Jan 9;40(1):37-45. Jin H, et al., J Neurosci Res. 2000 Nov 15;62(4):600-7. Fumelli C, et al., J Invest Dermatol. 2000 Nov;115(5):835-41. Lai HS, et al., Transplant Proc. 2000 Sep;32(6):1272-4. Bensasson RV, et al., Free Radic Biol Med. 2000 Jul 1;29(1):26-33. Wolff DJ, et al., Arch Biochem Biophys. 2000 Jun 15;378(2):216-23. Lee YT, et al., Proc Soc Exp Biol Med. 2000 Jun;224(2):69-75. Lai HS, et al., World J Surg. 2000 Apr;24(4):450-4. Wang IC, et al., J Med Chem. 1999 Nov 4;42(22):4614-20. Chueh SC, et al., Transplant Proc. 1999 Aug;31(5):1976-7. Huang YL, et al., Eur J Biochem. 1998 May 15;254(1):38-43. Lu LH, et al., Br J Pharmacol. 1998 Mar;123(6):1097-102. Chen HH, et al., Toxicol Pathol. 1998 Jan-Feb;26(1):143-51. Satoh M, et al., Gen Pharmacol. 1997 Sep;29(3):345-51. Satoh M, et al., Eur J Pharmacol. 1997 May 30;327(2-3):175-81. Tsai MC, et al., J Pharm Pharmacol. 1997 Apr;49(4):438-45. Dugan LL, et al., Neurobiol Dis. 1996;3(2):129-35. Huang SS, et al., Free Radic Biol Med. 2001 Mar 15;30(6):643-9. 発行者 吉田孝、株式会社エヌ・ティー・エス、自己組織化によるナノマテリアルの創製と応用:第6講「ナノカーボン材料における自己組織化」 153-178, 2004. Superlubricty of C60 Intercalated Graphite Films. Kouji Miura and Daisuke Tsuda e-J. Surf. Sci. Nanotech. Vol. 3 (2005) 21-23, C60 Molecular Bearings. K.Miura, S.Kamiya and N.Sasaki. Physical Review Letters, Vol.90, No.5, 055509 (2003)
本発明者は、これまでに骨関節組織において、様々な内因性・外因性因子に反応して発生する一次的、二次的なストレスがゲノム不安定化を惹起し、関節構成細胞の活性・寿命の低下や機能低下に関連することを明らかにしてきた。日常生活の活動性を維持する上で重要な運動器において、こうした疾患成立に関与する活性酸素種の発生・漏出を抑制することができれば、有効な予防・治療法のない運動器疾患に対する新しい治療薬、治療デバイスを開発できるものと考える。
そこで、本発明は、活性酸素種の発生に伴う運動器疾患の新規な予防・治療剤を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明者は、上述したナノカーボン素材フラーレンに着目し、フラーレンによる変形性関節症(軟骨変性)に対する治療効果の有無につき鋭意研究を重ねた。その結果、培養実験系および変形性関節症家兎モデル動物を用いた研究においてフラーレンが軟骨変性に対する治療効果を有していることを見出した。具体的には、培養軟骨細胞に軟骨変性因子(IL-1β、H2O2)を作用させた際に観察される軟骨細胞の細胞増殖能の低下を水酸化フラーレンは抑制した。培養軟骨細胞に軟骨変性因子を作用させると軟骨基質分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)−1、3および13が産生されるが、水酸化フラーレン添加によりこれらMMP−1、3および13のいずれも産生が抑制された。培養軟骨細胞に軟骨変性因子を作用させると軟骨基質(プロテオグリカン)合成能が低下するが、水酸化フラーレン添加により軟骨基質(プロテオグリカン)合成能が回復した。また、関節靭帯を切除した変形性関節症家兎モデルの関節に水酸化フラーレンを注入したところ、コントロール群に比べて、変骨変性の進行が緩和された。また、関節組織においてフラーレンが関節摺動面の保護作用(関節軟骨の低摩擦性ならびに関節液の潤滑能の維持・向上効果)を有するものと仮説し、変形性関節症患者由来関節液、50%ポリエチレングリコール液、関節機能改善剤(ヒアルロン酸製剤)にフラーレンを添加して動摩擦係数を測定しフラーレンを添加しない場合と比較したところ、いずれの液においても、フラーレン添加は、動摩擦係数を減少させる結果が得られた。これらの結果より、本願発明者は、現在有効な治療法のない変形性関節症疾患の発症後比較的早期〜中期(early stageからadvanced stageに到るまで)の運動器(骨関節)をターゲットとした予防ならびに治療薬としてフラーレンを利用し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下に示す通りである。
1. フラーレン、包接化フラーレン、フラーレン誘導体およびその塩なる群から選択される少なくとも一つを含む、軟骨基質分解酵素産生抑制剤。
2. 軟骨基質分解酵素が、軟骨細胞において軟骨変性因子により誘導されるマトリックスメタロプロテアーゼである、上記1記載の軟骨基質分解酵素産生抑制剤。
3. 軟骨基質分解酵素がMMP−1、3および/または13である、上記1記載の軟骨基質分解酵素産生抑制剤。
4 フラーレン、包接化フラーレン、フラーレン誘導体およびその塩なる群から選択される少なくとも一つを含む、軟骨基質産生誘導剤。
5. 軟骨細胞において軟骨変性因子によって産生低下した軟骨基質を対象とする、上記4記載の軟骨基質産生誘導剤。
6. 軟骨基質がプロテオグリカンおよび/またはII型コラーゲンである、上記4記載の軟骨基質産生誘導剤。
7. フラーレン、包接化フラーレン、フラーレン誘導体およびその塩なる群から選択される少なくとも一つを有効成分として含む、運動器疾患予防治療剤。
8. C60フラーレン、包接化C60フラーレン、またはC60誘導体およびその塩なる群から選択される少なくとも一つを有効成分として含む、運動器疾患予防治療剤。
9. 水酸化C60フラーレンを有効成分として含む、運動器疾患予防治療剤。
10. 運動器疾患が酸化ストレスに伴う運動器疾患である、上記7から9のいずれかに記載の治療・予防用医薬組成物。
11. 運動器疾患が軟骨変性を伴う疾患である、上記7から9のいずれかに記載の治療・予防用医薬組成物。
12. 運動器疾患が変形性関節症である、上記7から9のいずれかに記載の治療・予防用医薬組成物。
13. フラーレン、包接化フラーレン、フラーレン誘導体およびその塩なる群から選択される少なくとも一つを配合剤と混合する工程を含む、運動器疾患予防治療剤の製造方法。
14. フラーレン、包接化フラーレン、フラーレン誘導体およびその塩なる群から選択される少なくとも一つを用いることを特徴とする、運動器疾患の予防または治療方法。
培養軟骨細胞に軟骨変性因子(IL-1βまたはH2O2)を作用させた際にフラーレン存在の有無により軟骨分解酵素MMP-1産生量が異なることを示すヒストグラムである。フラーレンの添加により軟骨変性因子により増加したMMP-1産生量が抑制される。 培養軟骨細胞に軟骨変性因子(IL-1βまたはH2O2)を作用させた際にフラーレン存在の有無により軟骨分解酵素MMP-3産生量が異なることを示すヒストグラムである。フラーレンの添加により軟骨変性因子により増加したMMP-3産生量が抑制される。 培養軟骨細胞に軟骨変性因子(IL-1βまたはH2O2)を作用させた際にフラーレン存在の有無により軟骨分解酵素MMP-13産生量が異なることを示すヒストグラムである。フラーレンの添加により軟骨変性因子により増加したMMP-13産生量が抑制される。 培養軟骨細胞に軟骨変性因子(IL-1βまたはH2O2)を作用させた際にフラーレン存在の有無により軟骨基質(プロテオグリカン)合成量が異なることを示すヒストグラムである。フラーレンの添加により、軟骨変性因子により低下していた軟骨基質の合成が回復した。 軟骨変性因子を作用させた後の培養軟骨細胞中のプロテオグリカンの産生量をウエスタンブロッティングにより測定した結果を示す写真である。軟骨変性因子とともにフラーレンを添加することにより、プロテオグリカンの合成量が回復することが示された。 変形性関節症モデル(家兎)の膝関節内に各種濃度の水酸化C60フラーレンまたはコントロールを投与し、関節液中のMMP-1濃度を経時的に測定した結果を示す図である。対照膝のMMP-1濃度は経時的に増加傾向を示したが、水酸化C60フラーレンを投与した膝では、MMP-1産生抑制効果が観察された。 変形性関節症モデル(家兎)の膝関節内に各種濃度の水酸化C60フラーレンまたはコントロールを投与し、関節液中のMMP-3濃度を経時的に測定した結果を示す図である。対照膝と水酸化C60フラーレンを投与した膝との間に、MMP-3濃度の顕著な差は観察され無かった。 変形性関節症モデル(家兎)の膝関節内に各種濃度の水酸化C60フラーレンまたはコントロールを投与し、関節液中のMMP-13濃度を経時的に測定した結果を示す図である。対照膝のMMP-13濃度は経時的に増加傾向を示したが、水酸化C60フラーレンを投与した膝では、MMP-13産生抑制効果が観察された。 変形性関節症モデル(家兎)を用い、水酸化C60フラーレンの薬効をヒアルロン酸製剤と比較した結果を示す図である。
本発明は、第一にフラーレン、包接化フラーレン、フラーレン誘導体およびその塩(以下、本明細書において「フラーレン類」とも称す。)を利用した軟骨変性を誘導し得る軟骨細胞における生物活性を抑制する薬剤を提供する。フラーレンは、一般的に、20個以上の炭素原子がそれぞれ隣接する三原子と結合している閉じた擬球構造を持つ分子であり、炭素原子数として、60,70,76,78などが知られている。本発明では活性酸素を除去し得る活性を有する限り、または関節摺動面の保護作用を有する限り、これらC60、C70などのフラーレンのいずれでも好適に使用できる。また、ヘテロフラーレン 、ノルフラーレン、ホモフラーレン、セコフラーレン、化学修飾フラーレン 、フラーレンポリマー等のフラーレン誘導体や、これらの塩も、上記活性または作用を有する限り、好適に使用できる。化学的な修飾としては、水素化、フラーレンへの置換基の付加が挙げられる。フラーレンに付加し得る置換基としては、例えば、水酸基などを挙げることができるが、フラーレンの活性酸素除去能を保持し、細胞毒性が低く維持し得るものであれば特に限定はない。また付加する置換基の炭素に対する割合は、活性酸素の除去能、細胞毒性への影響を考慮して適宜調整することができる。置換基による修飾の他にも、フラーレンの細胞や組織への適合性を向上させるため親水性高分子などにより修飾してもよい。このような親水性高分子としてはポリエチレングリコール、ヒアルロン酸などを挙げることができる。
フラーレンは通常、疎水性であり、水に難溶である。そこで本発明の薬剤にフラーレンを用いる際は、製剤化の便宜などの目的で、フラーレンを親水性にして(水溶化)使用しても良い。フラーレンを水溶化する手段としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基といった、親水性置換基付加を挙げることができる。好適に用いることができる親水性フラーレンの例として、水酸化フラーレンを挙げることができ、市販されている水酸化フラーレンの具体例として、フロンティアカーボン(株)社製「ナノムスペクトラ」を挙げることができる。
また、フラーレンを水溶化する別の手段として、水溶性高分子(例えば、ポリビニルピロリドン(PVP))で包接する方法や、水溶性の大環状化合物(例えば、シクロデキストリン)で包接する方法を挙げることができる。このような包接化されたフラーレン(包接化フラーレン)は、本発明の薬剤に好適に用いられる「フラーレン類」の一つである。
なお、フラーレン類について細胞毒性を測定する方法としては、例えば、後述する実施例1(2)に示すXTT法などを用いることができる。また、修飾等を施したフラーレン類の活性酸素除去能の測定は、フラーレン類の抗酸化能を測定する際の方法、一例をあげれば銅イオンの還元力を指標とした方法(Schitt AA., Pergamon Press, London, Newwork、Paris, 1966、Yamanishi Nらl. Alpha-tocopherol induces oxidative damage to DNA in the presence of copper (II) ions. Chemical Res. Toxicl. 11: 855-858, 1998)などを利用することができる。具体的には、Cu2+イオンとフラーレン類と接触させ、Cu2+からCu+への還元反応を阻害できるか(銅イオン還元力)を指標として評価することができる。 その他にも、活性酸素 (過酸化水素)が抗酸化物質(Y)と反応するときに発生する微弱発光を利用した抗酸化能評価法(活性酸素消去微弱発光分析)や、スーパーオキサイド消去活性(SOD 様活性)分析法、などによりフラーレン類の活性酸素除去能を測定してもよい。
本発明者は、上記フラーレン類により酸化ストレスに起因した軟骨変性を誘導し得る軟骨細胞の種々の生物活性を改善することを見出している。この生物活性の一つとして、軟骨基質分解酵素産生が挙げられる。軟骨細胞に酸化ストレスが加わると、軟骨細胞より軟骨基質分解酵素の産生が増加する。この軟骨基質分解酵素産生の増加は、関節などでは軟骨基質の変性をもたらし、変形性関節症等の運動器疾患を惹起する。本発明のフラーレンを含有した薬剤は、こうした酸化ストレスに起因した軟骨基質分解酵素産生を抑制することができる。そこで、本発明の第一の側面として、フラーレン類を含有した軟骨基質分解酵素産生抑制剤を提供する。
軟骨基質分解酵素の産生を誘導する「酸化ストレス」は、過酸化水素などの直接的な活性酸素種の他にも、IL−1βなどの軟骨変性因子、関節軟骨に対する機械的刺激などにより間接的に生じる活性酸素種により軟骨細胞に与えられるストレスをいう。本発明のフラーレン類を含有した薬剤は、これら直接的な酸化ストレス、軟骨変性因子や機械的刺激により間接的に生じる酸化ストレスの双方により誘導される軟骨基質分解酵素の産生を抑制し得る。
また、「軟骨基質分解酵素」は、酸化ストレスにより誘導される軟骨基質の分解を誘導する酵素が包含され、具体的にはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)−1、3、13などを挙げることができる。これら酵素は軟骨マトリックスの主要構成コラーゲンであるII型コラーゲンに対する主要な分解酵素である。
軟骨基質分解酵素産生抑制剤としてフラーレン類を用いる場合、フラーレン類濃度はフラーレンの種類により適宜決定することができる。例えば、水酸化C60フラーレンの場合には、0.1μM〜1000μM、好ましくは、10μM〜200μM、さらに好ましくは10μM〜100μMとすることができる。他のフラーレン類の至適濃度の検討は、実施例1中(3)に示す方法に従って、実施することができる。
また、軟骨細胞にフラーレン類を作用させる際にフラーレン類を溶解する溶媒は、細胞や軟骨分解酵素産生抑制活性に悪影響を与えない溶媒であればよく、緩衝液、ポリエチレングリコール溶液、ヒアルロン酸溶液など適宜選択して用いることができる。
本発明の第二の側面として、フラーレン類を含有する軟骨基質合成促進剤を提供する。つまり、本発明は、フラーレン類のもう一つの新規な生物活性として、酸化ストレスによる軟骨基質合成能低下を改善し得るとの知見に基づくものである。上述したような酸化ストレスが軟骨細胞に加わると軟骨基質の合成能が低下するが、フラーレン類はこの低下した軟骨基質の合成能を向上させ得る。本発明の対象となる「軟骨基質」とは、酸化ストレスに起因して合成能が低下する軟骨基質、例えば、II型コラーゲン、グルコサミノグリカン、プロテオグリカンなどである。コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸などの多糖類から構成されるグルコサミノグリカンはさらにタンパク質と共有結合して高次の分子構造プロテオグリカンが形成される。これらグルコレミノグリカンおよびプロテオグリカンは、いずれもコラーゲン線維の間を埋め、あるいは架橋して軟骨基質を構成している。
本発明の薬剤は上述した軟骨基質の合成を誘導し得る。軟骨基質の合成を低下させる「酸化ストレス」は、過酸化水素などの直接的な活性酸素種の他、軟骨変性因子や関節に加わる機械的刺激などにより間接的に生じる活性酸素種などにより軟骨細胞に与えられる酸化ストレスの双方が含まれる。
軟骨基質合成促進剤としてフラーレン類を用いる場合には、フラーレン類濃度はフラーレンの種類により適宜決定することができる。例えば、水酸化C60フラーレンの場合には、0.1μM〜1000μM、好ましくは、10μM〜200μM、さらに好ましくは10μM〜100μMとすることができる。他のフラーレンの至適濃度は、実施例1中(4)に示す方法に従って、適宜決定することができる。また、軟骨細胞にフラーレン類を作用させる際にフラーレン類溶解に使用し得る溶媒は、上述の通り、緩衝液、ポリエチレングリコール溶液、ヒアルロン酸溶液など適宜選択して用いることができる。
本発明の第三の側面として、酸化ストレスを伴う運動器疾患の治療・予防用医薬組成物を提供する。酸化ストレスにより軟骨細胞・組織が変形すると、種々の運動器疾患が惹起される。本発明の医薬組成物は、フラーレン類により軟骨細胞・組織の変形を抑制あるいは上述した軟骨基質の合成を促すことにより、または、関節軟骨の低摩擦性および関節液の潤滑能向上により運動器疾患の治療・予防を図る。本発明の治療・予防対象の「運動器疾患」は、酸化ストレスにより誘導される運動器疾患、さらに言えば、酸化ストレスにより軟骨細胞・組織の変形や軟骨基質の合成能低下に伴う運動器疾患である。すなわち、酸化ストレスに起因した軟骨細胞・組織の変形により骨、腱、筋肉に障害がもたらされた運動器疾患が対象となる。こうした運動器疾患としては、変形性関節症、変形性脊椎症、リウマチなどにおける軟骨変性を伴う関節炎などが含まれる。
本発明の運動器疾患治療薬に用いるフラーレン類は、軟骨基質分解酵素産生抑制作用、軟骨基質産生誘導作用を有するか、あるいは、関節軟骨の低摩擦性または関節液の潤滑能の維持・向上効果を期待できるものが望ましい。軟骨基質分解酵素産生抑制作用または軟骨基質産生誘導作用を有するフラーレン類であるかどうかは、上述の方法によって知ることができる。また、あるフラーレン類が、関節軟骨の低摩擦性または関節液の潤滑能の維持・向上効果を期待できるフラーレン類であるかどうかは、後述する実施例3に記載の方法によって知ることができる。さらに本発明の運動器疾患治療薬に用いるフラーレン類は、生体親和性を考慮して親水性のフラーレン類を用いることが好ましい。親水性フラーレン類の例は上述したとおりであるが、好適な親水性フラーレンとしては、水酸化フラーレン、より好ましくは水酸化C60フラーレンを挙げることができる。フラーレンには水酸基などの官能基の他にも、運動器疾患治療に役立つ任意の物質を担持させてもよい。この物質としては、低分子化合物、高分子ポリマー、タンパク質、核酸など特に限定はない。
上記のとおり、フラーレン類は、運動器疾患治療または予防用医薬組成物の製造のために使用することができる。運動器疾患治療用医薬組成物の有効成分としてフラーレン類を用いる場合には、適宜、適当な添加剤と混合し、各種工程を経て製剤化することができる。製剤化する際に使用する添加剤は、薬理学的に許容され得るものの中から目的に応じて選択することができる。「薬学的に許容され得る添加剤」とは、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等が挙げられる。フラーレン類を直接、または適当な溶媒に溶解した後、各種添加剤と混合し、造粒工程、分級工程、練合工程、成形工程、乾燥工程、打錠工程、充填工程、滅菌工程、無菌ろ過工程、等の、所望の剤形に応じた各種工程を経て、運動器疾患治療用医薬組成物とすることができる。本発明による医薬組成物 の製剤形態は、患部に到達させ得る形態であれば経口薬剤(錠剤、顆粒剤、液剤、カプセル剤など)、注射剤、貼布剤、リニメント剤、懸濁剤、乳剤あるいは軟膏等でもよいが、患部へ確実に到達させる手法として、患部へ直接注入する注射剤等とすることが好ましい。注射剤の場合には、例えば薬学的に許容され得る担体中にフラーレンを下記投与量となるように溶解、懸濁または乳濁させることにより製造することができる。注射剤に使用する担体としては、生理食塩水あるいは市販の注射用蒸留水の他、非水性の希釈剤(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類など)を使用することができる。注射剤の無菌化は、バクテリア保留フィルターを通す濾過滅菌、殺菌剤の配合または照射により行うことができる。注射剤は、用時調製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥法などによって調製した無菌のフラーレン類を、使用前に無菌の担体に溶解して使用することができる。
また、本発明の医薬組成物の投与量は、患部の状態、サイズなどによって適宜決定することができるが、一患部あたり0.1μM〜1000μM、好ましくは、10μM〜200μM、さらに好ましくは10μM〜100μMとすることができる。投与量は、種々の条件により変動するため、上記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また上記の範囲を越える投与量が必要な場合もある。
本発明により、軟骨基質の変形を伴う運動器疾患の治療・予防し得る新規な薬剤が提供された。本発明の運動器疾患の治療・予防薬は、患部における軟骨細胞・組織の変形の進行を抑制し、また軟骨基質の合成を促すことにより治療、予防を図る。したがって、運動器疾患、例えば、変形性関節症などの早期段階から進行段階までの治療薬として有効となる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
〔実施例1〕培養軟骨細胞に対する影響
強力な酸化ストレス(oxygen free radical)の消去能を有するフラーレン類の運動器変性に対する抑制効果を細胞生物学的・薬理学的側面から検討した。
(1) 変形性関節症患者由来の軟骨細胞の培養
培養細胞はヒト関節軟骨組織から分離した軟骨細胞を用いた。インフォームド-コンセントを得た後、変形性関節症患者(8名)の手術組織から軟骨組織を採取し、細切したのち1.5 mg/ml collagenase Bを含有する液体低グルコースDulbecco’s modified Eagle’s medium (DMEM, Gibco社製)培地内(37℃)で一晩処理し、培養軟骨細胞を分離した。通常、細胞は培養フラスコ(培養面積25 cm2)で培養し、実験に使用する際にはポリスチレン性培養皿(直径6 cm)で培養した。細胞培養はDMEM培地に非働化ウシ胎児血清(FBS、TRACE社製)を培地容量の10 %添加し、さらに2 mM L-グルタミン, 25 mM HEPES, 100 units/mlのペニシリンとストレプトマイシンを添加したものを使用し、37℃、飽湿下、5%CO2+95% airに設定したCO2インキュベーター(正常酸素濃度環境)または1% O2+ 5% CO2 + 94% N2に設定した低酸素チャンバー(低酸素濃度環境)で行った。
細胞の継代はリン酸緩衝液(PBS、ニッスイ社製)液で洗浄後、0.25%トリプシン-PBS液(Gibco社製)を用いて細胞をはく離し、ピペッティングで細胞を分散させた後、培地で適当な濃度に希釈した。
(2) 水酸化C60フラーレンによる軟骨細胞毒性試験
水酸化C60フラーレンによる軟骨細胞に対する生存率への影響を、細胞毒性試験(XTT法)により評価した。水酸化C60フラーレン(フロンティアカーボン(株)社製)はポリエチレングリコールに溶解し、10 mMストックを調製し暗所にて-20℃で保管した。試験時の水酸化C60フラーレン濃度は1.0 μM, 10.0 μM, 100.0 μMとした。
対数増殖期にある軟骨細胞を5.0 x 105 個/mlの濃度で50 μlずつ96穴マイクロプレートに添加し、CO2インキュベーター(正常酸素濃度環境)または低酸素チャンバー(低酸素濃度環境)で24時間培養した。水酸化C60フラーレンを上述した各目的濃度(最終容量100 μl)で96穴マイクロプレートに加えて48時間または96時間培養後、培地を交換して水酸化C60フラーレンを除去した後さらに12時間培養した。生存細胞を染色するためにXTT(2,3bis(2-methoxy-4-nitro-5-sulfophenyl)-5-[(phenylamino)carbonyl]-2H-tetrazolium hydroxide,inner salt)試薬を50 μlずつ加え、4時間培養後、直ちにプレートリーダーにて450 nMの吸光度を測定、細胞生存率を解析した。なお、結果は水酸化C60フラーレンを添加していない培地のみのコントロール群を生存率100%とし、これに対する水酸化C60フラーレン投与群の生存率を相対値として示した。
各濃度の水酸化C60フラーレンを48時間または96時間の作用させた場合でもコントロール群と同等の生存率が得られた。このことから水酸化C60フラーレンは軟骨細胞に対して毒性を有していないことが示された。
(3) 水酸化C60フラーレンによる軟骨基質分解酵素産生の軽減作用
水酸化C60フラーレンの軟骨異化誘導因子により増強する軟骨基質分解酵素産生に対する影響を、酵素結合イムノアッセイ法(ELISA)を用いて解析した。
上記(1)の方法で分離培養した軟骨細胞を2回継代培養した後、サブコンフレントになったものを24 well培養プレートにそれぞれ1 ×105細胞/wellで播種した。12時間培養後、PBSで洗浄して新鮮な10%FBS含有DMEMに置換した。培養細胞に軟骨異化誘導因子インターロイキン (IL)-1βを10.0 ng/mlまたは過酸化水素水(H2O2、和光純薬より購入)を 100 μM添加し、さらに、水酸化C60フラーレンをそれぞれ50.0 μMまたは100.0 μMを添加して24時間培養した。コントールとして、培地のみの群、(IL)-1βまたは過酸化水素水のみ添加した群も並行して実験を行った。24時間培養後の培養上清を回収し、軟骨基質分解酵素マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP)-1, 3,および13濃度を測定した。
培養上清中のMMP-1, MMP-3, MMP-13濃度は、当技術分野で現在既知の標準的な技術であるELISAキット(MMP-1, MMP-3: R&D社製、MMP-13: アマシャム社製)を用いて決定した。このELISAは以下の標準的方法によって実施した。希釈した培養上清サンプルを感作プレート1ウェルあたり100μl添加し、室温に1時間静置した(一次反応)。一次反応後、洗浄瓶を用いて、各ウェルをPBSで4回以上、十分に洗浄した。0.1% Tween 20-PBSで3000倍希釈したホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(Horseradish Peroxidase:HRP)標識ヤギ抗ウサギIgG(H+L)抗体を各ウェルに100μlずつ分注し、室温に1時間静置した(二次反応)。二次反応後、同様に、PBSで洗浄した後、0.8 mM TMB(テトラメチルベンジジン:Tetramethylbenzidine)溶液を1ウェルあたり100μl添加し、30℃で5〜20分間発色させた(発色反応)。1.5N H3PO4を1ウェルあたり100μlずつ加えて発色反応を停止させ、マイクロタイタープレートリーダーを用いて、450nmにおける吸光度を測定した。製造元によって提供された説明書に従ってコントロール凍結乾燥試薬を用いて測定濃度を較正した。
図1、2、3にそれぞれMMP-1、3、13を測定した結果を示す。培養軟骨細胞に軟骨変性因子(IL-1β、H2O2)を添加して培養すると軟骨基質(マトリックス)分解酵素3種類(MMP-1、-3、-13)のいずれも産生が増加し、そこに水酸化C60フラーレン(50または100μM)が存在すると、いずれもその産生が抑制された。特に軟骨組織に近い低酸素環境下においても水酸化C60フラーレンの抑制効果はみられた。
(4) 水酸化フラーレンによる軟骨基質合成能の改善作用
(i) ELISA法による水酸化フラーレンの軟骨基質産生能の軽減作用
軟骨異化誘導因子により低下する軟骨基質(プロテオグリカン、II型コラーゲン)産生能に対する水酸化60フラーレンの影響を、ELISAを用いて解析した。
上記(1)の方法で分離培養した軟骨細胞を2回継代培養した後、サブコンフレントになったものを24 well培養プレートにそれぞれ1 ×105細胞/wellで播種した。12時間培養後、PBSで洗浄して新鮮な10%FBS含有DMEMに置換した。その後、軟骨異化因子インターロイキン (IL)-1β(Sigma社より購入) 10.0 ng/mlまたは過酸化水素水(H2O2、和光純薬より購入) 100 μMを添加した。これらIL-1βあるいはH2O2に加えて、水酸化60フラーレンをそれぞれ50.0 μMまたは100.0 μM添加して24時間培養した。コントールとして、培地のみの群、IL-1βまたは過酸化水素水のみ添加した群も並行して実験を行った。24時間培養後、培養上清を回収した。
培養上清中の軟骨基質(プロテオグリカン、II型コラーゲン)産生量(濃度)は、当技術分野で現在既知の標準的な技術であるELISAキット(プロテオグリカン: Biosource社製、II型コラーゲン: Chondrex社製)を用いて決定した。
図4に示す通り、培養軟骨細胞への軟骨変性因子であるIL-1βまたはH2O2の添加により、軟骨基質(プロテオグリカン)合成能は減少したが、これら軟骨変性因子の合成能の低下を水酸化60フラーレン(50、100μM)は回復させることができた。また、水酸化60フラーレン添加のみの群では、コントロール群に比べてプロテオグリカンの合成能が高まることが示された。
(ii) ウエスタンブロッティングによる水酸化60フラーレンの軟骨基質合成能増加作用の評価
上記の方法に従って調製した軟骨細胞、及び対照群の軟骨細胞をセルスクレーパーで回収し、遠心して上清を除いた後、0.5%トライトンX-100水溶液を加え氷中にて1分間超音波破砕し、タンパク抽出液とした。それぞれのタンパク液の濃度を測定し、5-10%勾配SDS−ポリアクリルアミド電気泳動ゲルにそれぞれ100ng/laneで試料をのせて電気泳動した。
ゲル中のタンパクは、ポリビニリデンジフルオライド膜(Pharmacia社製)にセミドライブロッティング装置(Amersham社製)を用いて転写した。膜は5%スキムミルク(森永製)でブロッキングした後、5μg/mlの抗プロテオグリカンモノクローナル抗体(Chemicon社製)を室温で1時間処理した。0.01%Tween-20を含むPBS(以下、「TPBS」略す)で洗浄後、二次抗体として5000倍希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(Amersham社製)を室温で1時間処理し、再びTPBSで洗浄しECLウエスタンブロッティングキットを用いて発色させた。なお、調製時のタンパク量を標準化するためのインターナルコントロールとしてβ-アクチンも同様に視覚化した。
図5に示す通り、ウェスタンブロッティングの結果は上記プロテオグリカン測定のELISAの結果と同様の結果が得られた。すなわち、軟骨変性因子による軟骨基質プロテオグリカン産生阻害は水酸化C60フラーレン添加により抑制された。
〔実施例2〕家兎膝関節靭帯切除−変形性関節症モデルを用いたフラーレンによる軟骨変性の抑制
(1)変形性関節症(軟骨変性)家兎モデルの作製
変形性関節症の動物モデルは一般的な方法に従って作製した。家兎(系統 NZW、2 - 2.5kg、雄、北山ラベスから購入)を約1週間馴化後、塩酸ケタミン及びキシラジンの併用麻酔下(筋肉内投与、麻酔効果が低い場合は静脈脈内投与)で両膝関節部位を除毛し、ヨード系消毒薬で消毒した。膝関節内側の表皮を切開し、前十字靭帯と内側側副靭帯を露呈し、これを切断した。関節包を確認・切開した後、内側半月板を露呈・全摘出後、関節包周囲組織、膝蓋腱及び表皮を縫合した。尚、縫合の際、抗生物質(注射用ビクシリン、明治製菓(株))入りの生理食塩水(アンピシリンナトリウムとして500 mg(力価) /20.0 mL生理的食塩水) で手術部の洗浄を行った。前十字靭帯と内側側副靭帯の切断および内側半月板全摘出等により家兎の関節には外傷に伴なう酸化ストレスが生じ、変形性関節症の症状があらわれる。
一方、Sham operation群の手術は皮膚切開後、縫合のみとした。
(2)水酸化C60フラーレンによる家兎膝関節軟骨変性の抑制効果
手術後1週間目より、水酸化C60フラーレン溶液(100 μM, 溶媒: ポリエチレングリコールで調整) 2.0 mlを右膝関節腔内に、溶媒のみ2.0 mlを左膝関節腔内に23ゲージの注射針を用いて毎週2回関節内注入した。手術後0、2、4、6、8週目にペントバルビタール・ナトリウム過量投与により安楽死させた後、各群4匹8膝関節(左右後肢膝関節)を採取した。採取した膝関節は4%パラフォルムアルデヒド溶液で固定した後、脱灰処理後にパラフィン包埋切片を作製し、ヘマトキシレン-エオジン染色またはサフラニンO染色を行った後、エタノール脱水系列による処理、キシレンによる透徹を行った後、カナダバルサムを用いて封入し、光学顕微鏡下にて観察して関節変性を組織学的に解析し、変性軟骨層の厚さおよび変性軟骨層の軟骨細胞数を計測した。変性軟骨層の厚さは術直後(0週)の厚さを100%とした場合の相対値として表す。
また軟骨変性に伴う関節軟骨のプロテオグリカン含有量の低下はサフラニンO染色にて評価した。この評価結果は術直後のプロテオグリカン染色面積に対する面積比(%)として表した。
表2に示す通り、溶媒のみ投与群の膝関節軟骨において、術後2週目から経時的な軟骨変性の進行がみられた。一方、水酸化C60フラーレン投与群の膝関節の軟骨組織は軟骨組織の変性が軽度で、術後6週、8週目の時点においても軟骨細胞および軟骨基質は組織学的に保たれていた。
ポリエチレングリコール(2.0ml)のみの関節内注入では軟骨変性の自然経過に影響はなかった。
また、データとしては示さないが、動物実験(関節内注入)期間内において、溶媒のみ投与群ならびに水酸化C60フラーレン投与ともに関節局所の腫脹・発赤や全身状態への影響は観察されなかった。
以上の結果から、水酸化C60フラーレンには軟骨変性を抑制するポテンシャルを有することが明らかとなった。したがって、水酸化C60フラーレン製剤が変形性関節症(軟骨変性)に対する治療薬として有用である。
(3)各種濃度(0.1〜40.0μM)水溶化フラーレン関節内投与による関節軟骨変性抑制効果の検討
変形性関節症モデル動物(家兎)の右膝関節に0.1、1.0、10.0、または40.0μMの各濃度の水溶化フラーレン(シクロデキストリン包接C60)を、左膝関節にはコントロールとして溶媒のみを、週1回関節内注入し、投与開始後4週目または8週目に解剖し、サフラニン0染色を行い、脛骨内側および外側の軟骨変性度を比較した。
4週間投与および8週間投与のいずれにおいても、各濃度において関節軟骨変性の抑制効果が確認された。8週投与の結果を表3に示す。

表3に示すように水溶化フラーレン8週間投与は、0.1μM投与群では全4羽中4羽に軽度の有効性、1.0μM投与群では全4羽中2羽に中等度、1羽に顕著な有効性、10.0μM投与群では全4羽中3羽に顕著な有効性、40.0μM投与群では全3羽中の1羽に軽度の有効性、別の1羽に中等度の有効性を示した。特に、8週間投与においては、0.1μM投与群よりも1.0μMおよび10.0μM投与群で水溶化フラーレンによる軟骨変性抑制効果が顕著であった。これは4週投与においては0.1μM〜40μM投与群で軟骨変性抑制効果がほぼ同等であった(結果示さず)ことに対して、特筆すべき結果といえる。8週間の試験期間中、実験動物の体重減少、摂食不良、血尿、毛並み不良は観察されなかった。関節以外の臓器(脳、肺、肝、腎、副腎、精巣)の光学顕微鏡観察において、各組織の変性を示す所見は見られなかった。
また、血液、関節液の生化学検査を経時的(水溶化フラーレン投与開始前、投与後4週目、8週目)に行った。観察した生化学検査項目は、(A)肝機能(GOT,GPT)、腎機能(尿素窒素、クレアチニン)、電解質(Na,K,Cl)、(B)細胞外マトリックス分解酵素産生能(MMP-1,-3,-13)、(C)軟骨基質合成能(プロテオグリカン)である。上記(A)は、市販の検査機器によって、上記(B)および(C)は、ELISA法によって測定した。
肝機能、腎機能および電解質バランスは、投与開始前、4週目、8週目の各時点において有意な変動はみられなかった。
血清中のMMP-1,-3,-13,プロテオグリカン濃度は、検出限界以下であった。関節液中のMMP-1,-13濃度は水溶化フラーレン投与の影響が見られた(図6,8)。関節液中のMMP-3とプロテオグリカン濃度については水溶化フラーレン投与の影響ははっきりしなかった(図7)。
上記のとおり、4週または8週の水溶化フラーレン反復投与による治療効果が確認できたことから、水溶化フラーレン単回投与による治療効果についても検討した。家兎変形性関節症モデル作製直後に、単回のみ水溶化フラーレンを投与し、8週目に関節軟骨組織標本を作製して治療効果を検討した。その結果、単回投与では、対照膝と比較して明瞭な軟骨変性抑制効果は観察されなかった。
(4)水溶化フラーレンと既存関節機能改善薬との薬効比較試験
水溶化フラーレン(シクロデキストリン包接C60)の薬効について、既存関節機能改善薬(ヒアルロン酸製剤スベニール(登録商標))と比較検討した。具体的には、下記(A)〜(E)5群のウサギの治療開始8週目の効果を検討した。各群4匹、投与用量はいずれも2.0(mL/匹)である。
試験群:(A)Sham-operation,スベニール投与群、(B)Sham-operation,50%ポリエチレングリコール投与群、(C)変形性関節症モデル,水溶化フラーレン1.0μM投与群、(D)変形性関節症モデル,50%スベニール投与群、(E)変形性関節症モデル,水溶化フラーレン1.0μMおよびスベニール投与群。
結果を図9に示す。軟骨基質分解酵素(MMPs)産生抑制効果、プロテオグリカン産生・維持効果のいずれにおいても、水溶化フラーレンのほうがヒアルロン酸製剤よりも顕著な効果を示した。
〔実施例3〕フラーレンの潤滑効果の検討
フラーレンの潤滑効果を異なる3種類の溶液において検討した。変形性関節症患者由来の関節液(A)、50%ポリエチレングリコール溶液(B)、関節機能改善剤:ヒアルロン酸製剤(C)を各溶液20 ml用意し、10 mlずつ2本に分注し、そのうち10 mlにフラーレン(C60)を最終濃度1.0 μMになるように混和した。もう一方の10 mlは対照液とした。各溶液の室温における動摩擦係数を振り子式動摩擦係数測定機(潤滑油協会)において3回測定して平均値を算定、フラーレン溶液と対照液の動摩擦係数を比較した。
その結果、上記3種類いずれの溶液においても、フラーレンの混和により動摩擦係数は減少する傾向がみられた(表4)。
上記のとおり、関節内にフラーレンを注入することにより関節軟骨の低摩擦性ならびに関節液の潤滑能が向上し、関節軟骨変性に対して抑制効果を持つことが示唆された。
本発明のフラーレン類を含有した薬剤によれば、酸化ストレス、軟骨変性因子などにより誘導される軟骨基質分解酵素の産生を抑制し、また、軟骨基質の合成能をも改善し、さらに関節軟骨の低摩擦性ならびに関節液の潤滑能の向上を図ることできる。また、本発明は、酸化ストレス等に起因した軟骨変性を伴う運動器疾患、例えば、変形性関節症の新規な治療薬としても有用である。

Claims (13)

  1. フラーレン、包接化フラーレン、ヘテロフラーレン 、ノルフラーレン、ホモフラーレン、セコフラーレン、化学修飾フラーレン 、フラーレンポリマーおよびその塩からなる群から選択される少なくとも一つを含む、軟骨基質分解酵素産生抑制剤。
  2. 軟骨基質分解酵素が、軟骨細胞において軟骨変性因子により誘導されるマトリックスメタロプロテアーゼである、請求項1記載の軟骨基質分解酵素産生抑制剤。
  3. 軟骨基質分解酵素がMMP−1、3および/または13である、請求項1記載の軟骨基質分解酵素産生抑制剤。
  4. フラーレン、包接化フラーレン、ヘテロフラーレン 、ノルフラーレン、ホモフラーレン、セコフラーレン、化学修飾フラーレン 、フラーレンポリマーおよびその塩からなる群から選択される少なくとも一つを含む、関節軟骨組織における軟骨基質産生誘導剤。
  5. 軟骨細胞において軟骨変性因子によって産生低下した軟骨基質を対象とする、請求項4記載の軟骨基質産生誘導剤。
  6. 軟骨基質がプロテオグリカンおよび/またはII型コラーゲンである、請求項4記載の軟骨基質産生誘導剤。
  7. フラーレン、包接化フラーレン、ヘテロフラーレン 、ノルフラーレン、ホモフラーレン、セコフラーレン、化学修飾フラーレン 、フラーレンポリマーおよびその塩からなる群から選択される少なくとも一つを有効成分として含む、関節軟骨の変性を伴う運動器疾患の予防治療剤であって、該運動器疾患が変形性関節症もしくは変形性脊椎症である予防治療剤
  8. フラーレンの炭素原子数が60である、請求項7記載の予防治療剤。
  9. 水酸化C60フラーレンを有効成分として含む、関節軟骨の変性を伴う運動器疾患の予防治療剤であって、該運動器疾患が変形性関節症もしくは変形性脊椎症である予防治療剤
  10. 運動器疾患が変形性脊椎症である、請求項7から9のいずれかに記載の予防治療剤。
  11. 運動器疾患が変形性関節症である、請求項7から9のいずれかに記載の予防治療剤。
  12. フラーレン、包接化フラーレン、ヘテロフラーレン 、ノルフラーレン、ホモフラーレン、セコフラーレン、化学修飾フラーレン 、フラーレンポリマーおよびその塩からなる群から選択される少なくとも一つを配合剤と混合する工程を含む、関節軟骨の変性を伴う運動器疾患の予防治療剤の製造方法であって、該運動器疾患が変形性関節症もしくは変形性脊椎症である予防治療剤の製造方法
  13. フラーレン、包接化フラーレン、ヘテロフラーレン 、ノルフラーレン、ホモフラーレン、セコフラーレン、化学修飾フラーレン 、フラーレンポリマーおよびその塩からなる群から選択される少なくとも一つを用いることを特徴とする、非ヒト哺乳類における関節軟骨の変性を伴う運動器疾患の予防または治療方法であって、該運動器疾患が変形性関節症もしくは変形性脊椎症である予防または治療方法
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