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JP5049529B2 - ロッキング機構用ロック装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基体に対して揺動体を初期位置へ復帰させる付勢力を常時付加した状態で揺動可能に支持するロッキング機構において、揺動体のロッキング動作を複数の傾き角度で固定可能なロック装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、ロックを解除操作ても、揺動体に負荷がかかっていない状態では揺動体のロックが解除されない安全機能を備えたロッキング機構用ロック装置に関するものである。
基体に対して揺動体を初期位置へ復帰させる付勢力を常時付加した状態で揺動可能に支持するロッキング機構には、揺動体のロッキング動作を複数の傾き角度で固定可能なロック装置を備えることがある。例えば椅子の背凭れを前後にロッキング可能とするロッキング装置には、背凭れをロッキング動作の途中で傾斜させた状態のまま固定できるロック装置が備えられている。このロッキング機構用ロック装置は、ロッキング動作の途中で背もたれが固定されているときには、背もたれを初期位置に復帰させる付勢力を反力ばねから得ているため、背もたれに体重がかかっていない状態でロック装置が解除されると、反力ばねの力で背凭れが急に跳ね上がってしまうおそれがある。なお、この椅子のロッキング機構用ロック装置としては、ロック機構付きのガススプリングの使用が一般的である。しかしながら、ガススプリングの使用は、その廃棄時に封入されている高圧ガスを抜かなければならないため、椅子の廃棄処分を困難とし、さらにはコスト高を招く問題を包含する。
そこで、ロック機構付きガススプリングに代わるロック装置として、図7並びに8に示すように、背もたれを支えるアーム状の揺動体101の一側であって、かつ該揺動体101の揺動中心となる支軸102を中心とする円弧上に複数の孔103を設ける一方、この孔103の1つに嵌合するロック部材104をケーシング105に出入り可能に収納させたロック機構106を座受け部材(メインフレーム)107の一側壁に固着された支持板108に備え、複数の孔103のいずれかにロック部材104を嵌め込むことで背もたれのロッキング動作を複数の傾き角度で固定可能とするロック装置が提案されている(特許文献1)。このロック装置においても、背もたれに体重がかかっていない状態でロック装置が解除されても、摩擦力によりロック部材104が孔103から離脱せず、体重が背もたれにかかった瞬間にロック部材104にかかっているばね力で孔103から引き抜かれるように作動させる自己保持機能を有する。ロック部材104はロック解除用ばね109によって孔103から離脱する方向に常時付勢される一方、図示していない操作レバーと連動する切替手段110を介してロック解除用ばね109よりも強いロック用ばね111によって孔103へ向けて付勢され、2つのばねの強さの差でロック部材104が揺動体101の孔103へ差し込まれるように設けられている。
また、座と背もたれを一体化した椅子において、座の前方にロック機構を備えることにより椅子に座った状態での操作性を容易にしたロッキング機構用ロック装置も提案されている(特許文献2)。このロック装置は、図9並びに10に示すように、操作レバー201と一体的に回る切換レバー202を保持部材203によりロック位置203aとロック解除位置203bとの2位置に保持可能とする一方、切換レバー202と同軸上にロック部材204と係合する切換アーム205及び該切換アーム205と切換レバー202とを連結するねじりコイルばね206とを備え、切換レバー202の回転をねじりコイルばね206を介在させて切換アーム205に伝達し、ばね力で切換アーム205ひいてはこれと係合するロック部材204を作動させるようにしている。他方、ロック部材204の移動方向の前方には、複数段の係合溝207を有する被ロック部材208が配置され、切換アーム205によって押し出されたロック部材204が被ロック部材208の係合溝207と向き合ったときに係合溝207内に挿入されるように設けられている。被ロック部材208は座板210に固定され、ロック部材204側は座受け部材211側に取り付けられている。そして、椅子に着座していない状態でロック解除操作がなされたときには、被ロック部材208とロック部材204との間の摩擦力でロック部材204の移動が阻害されるため、ねじりコイルばね206を捻って蓄勢することにより操作レバー201と共に回転する操作レバー202のみが回転して、ロック部材204を被ロック部材208の係合溝207内に留置することにより、座210と背が反力付与機構209の反力により急に跳ね上がることを防止するようにしている。
特開平11−276287号 特開 2000−139602
しかしながら、引用文献1では、複数の孔103とこの孔103の1つに嵌合するピン形状のロック部材104とが座受け部材107や揺動体101の一方の側壁に備えられているので偏った力が加わるため、こじれや構造上のねじれを起こす問題がある。しかも、ピン形状のロック部材104と丸孔103とがほぼ点接触の状態で剪断力を受けるためピンの太さを細くすると強度的に弱くなる虞もある。さらに、ピン形状のロック部材104と孔103との位置合わせが精度良くできない場合もあり、組み立てが難しくなったり、調整工程が必要となるなどの他、ロック状態の確実性が損なわれる場合もある。
また、引用文献2のロック装置では、操作レバー201と同軸上あるいはその近傍に、切換レバー202、保持部材203、ロック部材204、切換アーム205、ねじりコイルばね206などの多くの部品が密集する構造であるため、脚柱ガススプリングを操作するレバーやリンク、反力機構などが集中して据え付けられる脚柱の上から座受け部材の前部にかけて当該ロック装置を搭載することは、構造上の制約が多く困難であるし、組み立て作業を著しく悪化させる問題がある。
そこで、本発明は、より確実にロック状態を保持できると共に組み込みやすいロッキング機構用ロック装置を提供することを目的とする。また、本発明は、固定位置の設定が細かなものとできるロッキング機構用ロック装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明にかかるロッキング機構用ロック機構は、基体と、この基体の前後方向中間部ないし前部で左右方向の支軸により軸着されるとともに背もたれまたは座を支持する揺動体と、基体内の前部に設けられこの基体に対して揺動体を前上方向へ付勢する反力ばねと、揺動体を所定の角度で揺動した状態で基体に対して固定するロック装置とを備え、このロック装置は、基体の最後端に相当する位置でかつ揺動体の左右方向中央部に位置してこの揺動体から垂下し支軸を中心とする円弧上に位置する複数の凹部を前面に有するロック部材と、基体の後部に支軸を中心とする円弧の径方向に往復動自在に設けられロック部材の凹部に係脱自在に係合するスライダと、操作部の操作に応じて揺動する切換レバーと、スライダと切換レバーとを連結するねじりコイルばねとを有し、このねじりコイルばねは、切換レバーがロック部材へ向けて揺動するときにスライダをロック部材へ向けて付勢する力を与えるように蓄勢され、切換レバーがロック部材から離れる方向へ揺動するときにスライダをロック部材から離れる方向へ付勢する力を与えるように蓄勢されるものであり、かつ前記操作部は前記ロック装置から離間した前記基体の前側に配置されるものである
また、 請求項2記載の発明にかかるロッキング機構用ロック機構は、脚柱上に固定された基体と、この基体に前記脚柱よりも前方の位置で前端部が左右方向の第1の支軸により軸着されて揺動すると共に背もたれを上側に支持するシンクロフレームと、このシンクロフレームの前端部に後端部が連結されると共に基体に前端部が連結れさてシンクロフレームを前上方向へ付勢する反力ばねと、後部がシンクロフレームにおける第1の支軸よりも後方の位置に第2の支軸により軸着されるとともに前部が基体の前部に可動に連結されることによりシンクロフレームの傾動に連動して傾動し座を上側に支持する座板と、シンクロフレームを所定の角度で揺動した状態で基体に対して固定するロック装置とを備え、このロック装置は、基体の最後端に相当する位置でかつ揺動体の左右方向中央部に位置してこの揺動体から垂下し支軸を中心とする円弧上に位置する複数の凹部を前面に有するロック部材と、基体の後部に支軸を中心とする円弧の径方向に往復動自在に設けられロック部材の凹部に係脱自在に係合するスライダと、操作部の操作に応じて揺動する切換レバーと、スライダと切換レバーとを連結するねじりコイルばねとを有し、このねじりコイルばねは、切換レバーがロック部材へ向けて揺動するときにスライダをロック部材へ向けて付勢する力を与えるように蓄勢され、切換レバーがロック部材から離れる方向へ揺動するときにスライダをロック部材から離れる方向へ付勢する力を与えるように蓄勢されるものであり、かつ前記操作部は前記ロック装置から離間した前記基体の前側に配置されるものである
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のロッキング機構用ロック機構において、ねじりコイルばねの両端部が、スライダおよび切換レバーにそれぞれ直接連結され、ねじりコイルばねのスライダへの連結点の軌跡がねじりコイルばねのねじり回転中心を中心とする円弧とほぼ重なるようにしている。
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1つに記載のロッキング機構用ロック機構において、揺動体が左右の側壁部を有し、ロック部材が揺動体の両側壁部間の全幅に渡る基部とこの基部から垂下した凹部を有する係合部とを有するものである。
また、請求項5記載の発明は、請求項2記載のロッキング機構用ロック機構において、第2の支軸をロック部材に貫通させるようにしている。
また、請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1つに記載のロッキング機構用ロック機構において、可撓性を有するとともに切換レバーの位置を保持可能な程度の剛性を有する連結ロッドにより、切換レバーと操作部とを連結するようにしたものである。
さらに、請求項7記載の発明は、請求項6記載のロッキング機構用ロック機構において、ロック装置によるロックが働く位置とロックが解除される位置とに操作部をそれぞれ保持する保持手段を連結ロッドよりも操作部側に設けるようにしている。
請求項1並びに2記載の発明によれば、ロック部材が揺動体の左右方向中央部に位置しており、かつ、その前面に位置する凹部にスライダが係合するため、偏った力が加わることがなく、ロック状態の確実性が高まる。また、反力ばねが基体の前側にあるため、基体の後側には余裕のスペースができて、ロック装置を組み込みやすい。また、ロック部材が基体の最後端に相当する位置にあるため、ロック部材を支軸から最大限離すことができるので、ロック部材の凹部とスライダとの係合による抗力を有効に働かせることができ、ロック状態の確実性が高まる。また、回転中心となる支軸から離してロック部材を設置できるので、可動範囲が広がり、同じ揺動角度でもより多くの凹部を形成でき、より多段階でのロックを可能にできるので、固定位置の設定が細かなものとできる。さらに、操作部の先端が座フレームの揺動中心の近傍に位置するように、座受け部材の前側に操作部を配置させているため、座の傾斜角度に拘わらず操作部の先端の位置がほとんど変化しないので、ほぼ一定の操作性を維持することができる。
また、請求項3記載の発明によると、回転する切換レバーと直線動するスライダとをねじりコイルばねにより直接連結することが可能になり、部品点数を減らすことができる。
また、請求項4記載の発明によると、強い力の加わるロック部材を確実に支持できる。
また、請求項5記載の発明によると、ロック部材に加わる負荷を第2の支軸も支えるので、強い力の加わるロック部材を確実に支持できる。
また、請求項6記載の発明によると、切換レバーやスライダを配置する位置の制約を受けずに、操作部を配置することができ、その配置の自由度が増し、例えば操作部を前側に配置するなどして、操作性を向上させることができる。
さらに、請求項7記載の発明によると、切換レバーの位置保持が離れた位置にある操作部および保持手段によってでき、ロック部材、スライダ、切換レバーの機構部分には、1つのばねで済み、シンプルに構成できる。これは、基体の後部に十分なスペースがとれないような場合に有利である。また、例えば、保持手段を大型で強力なものにして、切換レバーの位置保持を確実なものにするようなことも可能になる。さらに、この発明によれば、操作レバーが座の近傍に設けられているので、着座者は着座姿勢を崩すことなくロック機構の操作を行うことができ、高い操作性を得ることができる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。図1〜図6に本発明のロッキング機構用ロック装置を椅子に搭載した場合の実施形態の一例を示す。本明細書中で前後方向とは椅子についての前後方向を意味すると共に、左右方向とは椅子についての左右方向を意味して、上下方向とは椅子についての上下方向を意味している。
本実施形態の椅子用ロッキング機構は、背もたれと座がシンクロロッキングするタイプであり、基体となる座受け部材1と、この座受け部材1の前後方向中間部で左右方向の支軸2により座受け部材1に軸着されるとともに座受け部材1よりも上側に位置して背もたれ並びに座の後端を支持する揺動体としてのシンクロフレーム3と、座受け部材1の前部に設けられこの座受け部材1に対してシンクロフレーム3を前上方向(背もたれが起立する方向)へ付勢する反力ばね4と、シンクロフレーム3を所定の角度で揺動した状態で座受け部材1に対して固定するロック装置5とを備え、シンクロフレーム3に支持される背もたれ並びに座のロッキング動作を複数の傾き角度で固定可能にしている。尚、座受け部材1は脚柱36のガスプリング頂部に圧入固定されて支持され、脚柱36よりも前方の位置でシンクロフレーム3の前端部が座受け部材1の左右方向に掛け渡された支軸2により揺動自在に支持されている。このシンクロフレーム3は第2の支軸となる連結ピン31によって座板である座フレーム29の後端と回転自在に連結されている。また、座フレーム29は前端側が座受け部材1の先端の長孔37を貫通する連結シャフト30によって座受け部材1に対しても揺動自在に支持されている。これによって、シンクロフレーム3に支持される背もたれと座とがシンクロロッキングするように構成されている。そして、シンクロフレーム3の前端のピン32と座受け部材1との間に反力ばね4を含む反力付与機構が介在されて、図示していない背凭れ及び座のロッキング動作に対して反力を与えて初期位置に戻すように付勢している。
ロック装置5は、座受け部材1の最後端に相当する位置に配置されるロック機構主要部たる付勢手段と、座受け部材1の前部に配置されている操作部28並びにこれらを連動させる連結ロッド22から構成されている。付勢手段は、シンクロフレーム3の左右方向中央部に位置してこのシンクロフレーム3から垂下するロック部材7と、座受け部材1の後部に配置されロック部材7に向けて突出するスライダ6と、操作部28の操作に応じて揺動する切換レバー8と、スライダ6と切換レバー8とを直結するねじりコイルばね9とを有する。
ロック部材7は、その前面に支軸2を中心とする円弧上に位置する複数の凹部7aを有している。本実施形態における凹部7aは、支軸2を中心とする同一半径上に一定ピッチで複数設けて成るものであり、内歯歯車の歯面のような形状に形成されている。このため、シンクロフレーム3が支軸2の周りに回転するロッキング動作を起こしても、各凹部7aはいずれも同一の円弧上を移動するので、どの凹部7aに対してもスライダ6が嵌入することができる。この凹部7aの数は背凭れ及び座のロッキング動作時の固定可能な位置の数(すなわち段数)となる。また、凹部7aの間隔は背凭れ及び座の傾動のロック位置の間の傾斜角度を決定する。このため、凹部7aの数や間隔は、適用する椅子の操作性等を考慮して設定される。本実施形態の凹部7aは一定間隔で形成したが、場合によっては漸次間隔を増大または減少させるようにしても良いし、広い間隔の区間と狭い間隔の区間を混在させたり、全くの不等間隔とすることも可能である。なお、本実施形態における凹部7aは両側が開放された溝形状を成すが、場合によっては両側が閉じられたものとしても良いし、場合によっては孔に近づく形状であっても良い。
ここで、ロック部材7は、シンクロフレーム3とは別体に成形された部材であり、シンクロフレーム3の左右の側壁3aの間に跨るように全幅に渡って設けられた基部38に対して固定されている。基部38は、例えば図1に示すように両端に互いに逆向きのフランジが突出した変形のI形の板材から成り、シンクロフレーム3の両側壁3aの間に挿入されて溶接付けなどでシンクロフレーム3に固着されている。この基部38にロック部材7は図示してない締結ボルトなどを用いて着脱自在にボルト止めされている。同時に、ロック部材7は、座フレーム29とシンクロフレーム3とを連結する連結ピン31によってシンクロフレーム3に取り付けられている。この場合、ロック部材7は任意の材料の使用が可能であり、例えば高剛性を有する金属製等とすることができる。勿論、シンクロフレーム3とロック部材7とは同じ材質で一体形成しても良いし、インサート成形などで一体化しても良い。
他方、座受け部材1の後端側には、ロック部材7の凹部7aに向かって突出可能なスライダ6が備えられている。このスライダ6は、座受け部材1の後端に一体的に形成されたスライダ支持ブロック11のスライダ収容溝14内に収容され、支軸2を中心とする円弧の径方向に向かって往復動自在にスライダ支持ブロック11に支持されている。スライダ6は、ロック部材7の凹部7aに先端部が嵌合する厚さの板で構成されており、ねじりコイルばね9の一端9bが差し込まれる係合孔6aを有している。スライダ6は全体を板状に形成する必要はなく、少なくとも先端部分がロック部材7の凹部7aに嵌合する厚さを有していれば足りる。
スライダ6は、スライダ支持ブロック11のスライダ収容溝14に収容された状態で上から蓋板10で蓋がされ、スライダ支持ブロック11と蓋板10との間で摺動可能に挟持されている。また、スライダ支持ブロック11のスライダ収容溝14の終端部分にはロック部材7を導入するためのスペース12がスライダ支持ブロック11の両側壁部の間で形成されている。そして、ロック部材7のスライダ6が嵌合する凹部7aを構成する歯形のような凹凸部分が納められるスペース12部分にはスライダ収容溝14の底部が設けられないため、スライダ6両側縁部を支持するためのガイド溝13がスライダ支持ブロック11に設けられている。これによって、ロック部材7の凹部7aにスライダ6が嵌合している状態でも、スライダ6の先端部分はその両側縁部がスライダ支持ブロック11によって支持される。
スライダ支持ブロック11には、スライダ収容溝14の底部から側壁部にかけてねじりコイルばね9を収容するための窪み15とほぼ円形の穴16とが設けられている。スライダ支持ブロック11の側壁部分の円形の穴16には、ねじりコイルばね9のコイル部分が収納され、スライダ収容溝14の底部の窪み15にはねじりコイルばね9のスライダ6に連結される端部9bが収容される。窪み15は、ねじりコイルばね9の前方の移動端と後方の移動端とを規制するストッパ面15a,15bを有するほぼ台形の平面形状を有するものである。穴16の底部にはねじりコイルばね9の支柱を兼ねる段付きねじ19をねじ込むためのねじ穴17が穿設され、このねじ19の首下部20をスペーサとして介在させて切換レバー8をねじ19で揺動自在にねじ止めするように設けられている。またスライダ支持ブロック11には、蓋板10を固定するするためのねじ21をねじ込むためのねじ穴18が設けられている。なお、本実施形態において、スライダ支持ブロック11は、座受け部材1と一体的に成形されているが、これに特に限られるものではなく、座受け部材1と別体に成形されてからボルト止めなどで固着することによって一体化することも可能である。
ねじりコイルばね9は、コイル部分がねじ19の首下部20の周りに配置されるように穴16内に収容され、自由に回転・変形できるように装着され、上向きに折り曲げられた一方の端部9bがスライダ収容溝14の底部に設けられた窪み15から突出してスライダ6の孔6aに嵌合され、スライダ6の往復動方向に係合するように設けられている。また、ねじりコイルばね9の他端9aは、蓋板10の上で切換レバー8の裏面側に形成された半円形の縦溝8aあるいは穴に嵌合され、切換レバー8と共に端部9aを移動させることにより、ねじりコイルばね9に変位を与えるようにしている。このようにしてスライダ6と切換レバー8とはねじりコイルばね9で直結されている。ここで、ねじりコイルばね9とスライダ6との連結点における両者の移動軌跡、即ちスライダ6の往復直線移動軌跡とねじりコイルばね9の端部9bのねじり回転中心を中心とする円弧状の移動軌跡がほぼ重なっていることから、ねじりコイルばね9の端部9bとこれが挿入されているスライダ6の孔6aとの間の連結は若干のクリアランスがあれば十分に成立する。
ねじりコイルばね9は、切換レバー8が例えばロック部材7へ向けて揺動するときにスライダ6をロック部材7へ向けて付勢する力を与えるように蓄勢され、切換レバー8がロック部材7から離れる方向へ揺動するときにスライダ6をロック部材7から離れる方向へ付勢する力を与えるように蓄勢されるものである。そこで、ねじりコイルばね9は、ロック部材7の凹部7aに嵌入しているスライダ6が反力ばね4による摩擦力に打ち勝って凹部7aから抜け出すのに必要な力並びに保持部材27が操作レバー23をロック位置の凹部25aまたはロック解除位置の凹部25bで保持される力に比べて、付勢力が小さくなるようにばね強さが設定してある。このため、スライダ6がロック部材7との間の摩擦力で凹部7aから離脱できない場合には、ねじりコイルばね9がコイル巻部が解かれる方向即ち開かれる方向に変形しながら切換レバー8のみを回転させてねじりコイルばね9に逆向きの力即ちばねを閉じようとする方向に付勢するばね力が蓄勢される。このとき、ねじりコイルばね9に蓄えられた付勢力が操作レバー23を回転させる方向に作用しても、保持部材27の操作レバー23に対する保持力の方が強いので保持部材27により操作レバー23ひいては切換レバー8の位置が保持されてねじりコイルばね9が蓄勢される。
以上のようにして、スライダ6は、スライダ支持ブロック11と、蓋板10と、ねじりコイルばね9とによって保持されているので、切換レバー8の動きと連動してねじりコイルばね9をねじりながらスライダ収容溝14内を往復動する。したがって、スライダ6は、切換レバー8がロック位置にあるときにねじりコイルばね9を巻締めることで蓄勢されたばね力でロック部材7の凹部7aへ向けて付勢され、切換レバー8がロック解除位置にあるときにねじりコイルばね9を開くことで蓄勢されたばね力でロック部材7から離れる方向に付勢される。
また、切換レバー8は、連結ロッド22を介して座受け部材1の前部に配置されている操作部28の操作レバー23と連動するように設けられている。操作部28の操作レバー23は、操作軸24に固着されて図示していないグリップなどを利用して操作軸24を回転させることによってロック位置とロック解除位置の2位置のいずれかに選択的に切り換えられ、保持部材27によってその位置に保持される。ここで、ロック位置とはスライダ6をロック部材7の凹部7aに嵌入した状態に維持される位置を、またロック解除位置とはロック部材7の凹部7aからスライダ6が離脱した状態に維持される位置をそれぞれ意味する。
操作部28は、操作レバー23と、ロック位置とロック解除位置との2位置に回転した操作レバー23をそれぞれの位置で収める凹部25a,25bを有する波状の凹凸面を有するブロック25と、これを操作レバー23に対して浮き沈み可能に支持するばね26とで構成されている保持部材27とによって構成され、ロック位置とロック解除位置の2つの位置のいずれかに操作レバー23が安定的に保持されるように設けられている。即ち、操作レバー23は、ブロック25の表面の凹凸の上をブロック25の変位を伴いながら摺動することによって、2箇所の凹部25a,25bでその動きを止める共にクリック感を操作者に与える。尚、保持部材27は、凹部25a,25bを有するブロック25をばね26によって弾性支持することによって、操作レバー23のロック位置とロック解除位置との切換とその位置での保持を可能としているが、これに特に限られるものではなく、ブロック25そのものを樹脂で形成すると共に該ブロック25の下部に一体に薄肉の環状部を設けてばね構造部を備えるようにしたり、凹部25a,25bを形成する面そのものを薄い弾性板材例えば樹脂板などで形成することにより、弾性板材の弾性変形により操作レバー23の切換を可能とすることもある。この場合には、ばね26は不要となる。また、操作レバー23側にブロック25の凹凸に沿って変位可能なボールプランジャやばね支持のローラなどを備えねことによってブロック25側を固定するようにしても良い。
操作部28は支軸2の近傍、好ましくは支軸2よりもさらに座受け部材1の前側に配置させることである。すなわち、操作部28の先端は座フレーム29の揺動中心の近傍に位置している。このため、座の傾斜角度に拘わらず操作部28の先端の位置がほとんど変化しないので、ほぼ一定の操作性を維持することができる。
上述したロッキング機構用ロック装置によると、ロック解除状態にしたときは、背凭れに寄り掛かって体重を背もたれにかけることにより、シンクロフレーム3とこれに支持される背もたれや座が支軸2を中心に反力ばね4からの反力を受けながら回転して傾きを変える。
そして、座のロッキング動作をロックする場合は、操作レバー23を回して操作レバー23をロック解除位置の凹部25bからロック位置の凹部25aに移動させる。この操作レバー23の動きは連結ロッド22を介して座受け部材1の後端の切換レバー8に伝達され、切換レバー8を図3の(C)に示すロック解除状態から(A)に示すロック状態へと切り替える。そして、ねじりコイルばね9を介してスライダ6がロック部材7側に突出するように付勢する。このとき、ロック部材7のいずれかの凹部7aがスライダ6の摺動面と同じ高さであると、スライダ6がそのまま凹部7aに差し入れられる。
また、ロック部材7の凹部7aがスライダ6の高さとずれていると、スライダ6の先端がロック部材7の凹部7aの周りの凸面7bに当接して凹部7aに差し込まれないので、ねじりコイルばね9がねじられることによって切換レバー8のみの回転が許容される。したがって、スライダ6はねじりコイルばね9のばね力を受けてロック部材7へ向けて押し付けられた状態に保持される。そこで、座を僅かに傾動させてスライダ6が凹部7aと同じ高さになったときに、ばね力で凹部7aへ滑り込むように押し込まれる。
ここで、スライダ6の先端縁及び凹部7aの縁部は角取りしていれば、スライダ6の先端が凹部7aに容易に嵌入することができる。そして、スライダ6が凹部7aに嵌入することにより、スライダ6がスライダ支持ブロック11と蓋板10の間と凹部7aとに跨って存在してロック部材7の揺動を制限するので、シンクロフレーム3に支持される背もたれ並びに座のロッキング動作を固定することができる。
また、ロック解除の場合には、操作レバー23を逆回転させて操作レバー23をロック位置の凹部25aからロック解除位置の凹部25bに移し替える。この操作レバー23の動きが連結ロッド22を介して切換レバー8を図3の(A)に示す状態から(B)に示す状態へ切り替えられる。そして、切換レバー8の回転によりねじりコイルばね9を介してスライダ6をロック部材7の凹部7aから抜け出す方向に付勢する。
このとき、人が着座して体重を座あるいは背もたれに作用させていると、この体重と反力ばね4の反力とが釣り合って凹部7aとスライダ6との間に大きな摩擦力は生じないので、スライダ6が凹部7aから抜け出てロックを解除する。このため、ロック部材7ひいてはシンクロフレーム3に支持された背もたれあるいは座が揺動可能となる。
また、着座していない状態で操作レバー23がロック解除側に回されても、反力ばね4の反力により凹部7aに収まったスライダ6とロック部材7との間に大きな摩擦力が生じて、スライダ6が凹部7aの内部に差し込まれた状態が保持される。このため、座の位置がそのまま保持される自己保持状態となる。したがって、着座していないときに操作レバー23をロック解除側に操作しても、座及び背凭れが急に跳ね上がることを防止することができる。さらに、自己保持状態にある座に人が着座すると、着座者の体重と反力ばね4の反力とが釣り合ってスライダ6に掛かる摩擦力が解消するため、ばね力で凹部7aから抜き出され(ロック解除状態)、ロック部材7ひいては座を揺動可能とする。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では座フレーム29を設け、座受け部材1に操作部28を設けるようにしているが、座フレーム29を省略する場合もあり、その場合には座アウターシェルに操作部28を設ける。そして、この場合には、操作部28と切換レバー8とをワイヤー(柔軟性のある線状部材)で連結してもよい。この場合には、ワイヤーとレバーとの間に、切換レバー8を位置保持するためのばねを設けることが必要となる。
また、本実施形態では背もたれと座がシンクロロッキングするタイプの椅子を例に挙げて主に説明したが、これに特に限られるものではなく、背もたれのみがロッキングしたり、背もたれと座が一体にロッキングするタイプの椅子の場合、座の前部即ち座受け部材1の前後方向中間部よりも前側の領域に、ロッキング支点が設定されることもあり、そのときの反力ばね4の位置はロッキング支点よりも後ろ側とされる。
また、上述した実施形態ではロック部材7を揺動体であるシンクロフレーム3側に固定し、座受け部材1側にスライダ6を設置するようにしているが、これには限られずロック部材7を座受け部材1の後端側に形成すると共にスライダ6をシンクロフレーム3側に設置するようにしても良い。ロック部材7は、第1の支軸2を中心とする同一半径上に位置する凹凸を外向きに交互に複数設けて成る歯車の歯面のような形状に形成される。このため、シンクロフレーム3が回転しても各凹部7aはいずれも同一の円弧上を移動するので、どの凹部7に対してもスライダ6が嵌入することができる。この場合も、簡易で後付けが容易なロック装置5により自己保持機能を実現することができる。
さらに、上述した実施形態では揺動体をシンクロフレーム3とすると共に基体を座受け部材1としているが、これには限られず挟み合うように1つの回転軸を中心に一方の部材が揺動する二部材間で挟角が広がる方向に常時付勢される基体と揺動体とを備えたロッキング装置のロック装置の全てに応用できる。例えば揺動体を座や肘掛けとすると共に基体をこれらの支持部材としても良い。この場合、着座者がいないときに操作レバー23をロック解除25b側に操作すると、座や肘掛けが自己保持されるので、座や肘掛けが急に跳ね上がることを防止することができる。また、例えばかなりの重量のあるパソコンデスクのテーブルや製図台等に使用することができる。このようなテーブルトップでは、かなりの重量が有るのでバランスをとるために大きな反力を掛けている。この場合、テーブル板に荷重を掛けていないときに操作レバーをロック解除側に操作するとテーブル板が自己保持されるので、テーブル板が急激に跳ね上がる現象の発生を防止することができる。
本発明のロッキング機構用ロック装置を適用した椅子の座背もたれ支持構造を示す中央縦断面側面図である。 図1の平面図である。 ロック装置のスライダとその支持構造を示す平面図であり、(A)はスライダをロック部材に嵌合させている状態、(B)はロック解除位置に操作レバーが切り替えられているにもかかわらずスライダがロック部材に嵌合した状態である自己保持状態、(C)はロック部材との間の嵌合状態が解除されロック解除位置にスライダが戻った状態を示す。 ロック装置のスライダとその支持構造を一部断面して示す正面図である。 ロック装置のスライダとスライダ支持ブロックの構造を示す平面図であり、(A)はスライダをロック部材に嵌合させている状態、(B)はロック解除位置にスライダが戻った状態を示す。 スライダ支持ブロックの平面図である。 従来のロッキング機構とロック装置の斜視図である。 図7のロッキング機構とロック装置を示す側面図である。 従来の他のロッキング機構とロック装置の斜視図である。 図9のロッキング機構とロック装置の縦断面図である。
符号の説明
1 座受け部材(基体)
2 支軸(第1の支軸)
3 シンクロフレーム(揺動体)
4 反力ばね
5 ロック装置
6 スライダ
7 ロック部材
7a 凹部
8 切換レバー
9 ねじりコイルばね
11 スライダ支持ブロック
22 連結ロッド
23 操作レバー
25 ブロック
25a ロック位置の凹部
25b ロック解除位置の凹部
26 ばね
27 保持部材(保持手段)
28 操作部
29 座フレーム(座板)
31 連結ピン(第2の支軸)

Claims (7)

  1. 基体と、
    この基体の前後方向中間部ないし前部で左右方向の支軸により軸着されるとともに背もたれまたは座を支持する揺動体と、
    前記基体内の前部に設けられこの基体に対して前記揺動体を前上方向へ付勢する反力ばねと、
    前記揺動体を所定の角度で揺動した状態で前記基体に対して固定するロック装置とを備え、
    このロック装置は、前記基体の最後端に相当する位置でかつ前記揺動体の左右方向中央部に位置してこの揺動体から垂下し前記支軸を中心とする円弧上に位置する複数の凹部を前面に有するロック部材と、
    前記基体の後部に前記支軸を中心とする前記円弧の径方向に往復動自在に設けられ前記ロック部材の凹部に係脱自在に係合するスライダと、
    操作部の操作に応じて揺動する切換レバーと、
    前記スライダと前記切換レバーとを連結するねじりコイルばねとを有し、
    このねじりコイルばねは、前記切換レバーが前記ロック部材へ向けて揺動するときに前記スライダを前記ロック部材へ向けて付勢する力を与えるように蓄勢され、前記切換レバーが前記ロック部材から離れる方向へ揺動するときに前記スライダを前記ロック部材から離れる方向へ付勢する力を与えるように蓄勢されるものであり、
    かつ前記操作部は前記ロック装置から離間した前記基体の前側に配置されること
    を特徴とするロッキング機構用ロック機構
  2. 脚柱上に固定された基体と、
    この基体に前記脚柱よりも前方の位置で前端部が左右方向の第1の支軸により軸着されて揺動すると共に背もたれを上側に支持するシンクロフレームと、
    このシンクロフレームの前端部に後端部が連結されると共に前記基体に前端部が連結れさて前記シンクロフレームを前上方向へ付勢する反力ばねと、
    後部が前記シンクロフレームにおける第1の支軸よりも後方の位置に第2の支軸により軸着されるとともに前部が前記基体の前部に可動に連結されることにより前記シンクロフ レームの傾動に連動して傾動し座を上側に支持する座板と、
    前記シンクロフレームを所定の角度で揺動した状態で前記基体に対して固定するロック装置とを備え、
    このロック装置は、前記基体の最後端に相当する位置でかつ前記揺動体の左右方向中央部に位置してこの揺動体から垂下し前記支軸を中心とする円弧上に位置する複数の凹部を前面に有するロック部材と、
    前記基体の後部に前記支軸を中心とする前記円弧の径方向に往復動自在に設けられ前記ロック部材の凹部に係脱自在に係合するスライダと、
    操作部の操作に応じて揺動する切換レバーと、
    前記スライダと前記切換レバーとを連結するねじりコイルばねとを有し、
    このねじりコイルばねは、前記切換レバーが前記ロック部材へ向けて揺動するときに前記スライダを前記ロック部材へ向けて付勢する力を与えるように蓄勢され、前記切換レバーが前記ロック部材から離れる方向へ揺動するときに前記スライダを前記ロック部材から離れる方向へ付勢する力を与えるように蓄勢されるものであり、
    かつ前記操作部は前記ロック装置から離間した前記基体の前側に配置されること
    を特徴とするロッキング機構用ロック機構
  3. 前記ねじりコイルばねの両端部は、前記スライダおよび切換レバーにそれぞれ直接連結され、前記ねじりコイルばねのスライダへの連結点の軌跡が前記ねじりコイルばねのねじり回転中心を中心とする円弧とほぼ重なっている請求項1または2記載のロッキング機構用ロック機構
  4. 前記揺動体は、左右の側壁部を有し、
    前記ロック部材は、前記揺動体の両側壁部間の全幅に渡る基部と、この基部から垂下した前記凹部を有する係合部とを有する請求項1から3いずれか1つに記載のロッキング機構用ロック機構
  5. 前記第2の支軸を前記ロック部材に貫通させた請求項2記載のロッキング機構用ロック機構
  6. 可撓性を有するとともに前記切換レバーの位置を保持可能な程度の剛性を有する連結ロッドにより、前記切換レバーと前記操作部とを連結した請求項1から5のいずれか1つに記載のロッキング機構用ロック機構
  7. 前記ロック装置によるロックが働く位置とロックが解除される位置とに前記操作部をそれぞれ保持する保持手段を前記連結ロッドよりも前記操作部側に設けた請求項6記載のロッキング機構用ロック機構
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