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JP5048643B2 - イオン性液体を用いた過酸化水素の直接製造法 - Google Patents

イオン性液体を用いた過酸化水素の直接製造法 Download PDF

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Description

本発明は、触媒の存在下に、水素と酸素とを直接反応させることにより過酸化水素を製造する方法に関する。
過酸化水素は、酸化力を有し強力な漂白・殺菌作用を持つことから、紙、パルプ、繊維、水産加工品等の漂白剤、殺菌剤として利用されている。また、エポキシ化及びヒドロキシル化をはじめとする酸化反応に広範囲に用いられる重要な工業製品である。更には半導体産業における表面の清浄に、銅、錫及び他の銅合金表面の化学的研磨に、電子回路の蝕刻等に過酸化水素は用いられる。そして、過酸化水素は分解しても水と酸素にしかならないためグリーンケミストリーの観点から重要な位置付けがなされており、塩素系漂白剤の代替材料としても着目されている。
従来、過酸化水素は、有機法、アントラキノン法、電解法等より製造されており、特に工業的な製造方法としてアントラキノン法が用いられている。しかし、アントラキノン法は、アントラキノン媒体の還元、酸化、生成過酸化水素の抽出、精製、濃縮等といったように多段階からなり、エネルギーを多量に使用するため製造コストが非常に高くなるという欠点がある。
更に、アントラキノン法では、アルキルアントラキノンの劣化による損失、還元用触媒の劣化等の問題もある。これらの問題点を改善するために、上記製造方法以外の製造方法が試みられているが、その一つに、反応媒体中で触媒を用いて、酸素と水素から直接的に過酸化水素を製造する方法がある。既に、白金族金属を触媒として用い、酸素と水素から過酸化水素を製造する方法が提案されており、ある程度高い濃度の過酸化水素が生成することが示されている。(特公昭56−47121号、特公昭55−18646号、特公平1−23401号、特開昭63−156005号の各公報参照)。
これらの特許公報では反応媒体として酸及び/またはハロゲンイオンを含む水溶液のみを用いて反応を行わせることにより過酸化水素の水溶液を製造する方法を開示している。また、それ以外の方法として、反応容器内に有機溶媒と水を共存させた混合物を用いて反応を行う方法が開示されている。すなわち、特公昭61−17763、特公昭62−29363、及び特公昭62−30122では、反応器内に水と任意の割合で混ざり合うことのない有機溶媒を共存させ水相と有機溶媒相から成る2相液体混合物中で水素と酸素を接触させることにより過酸化水素を製造する方法を開示している。これらの方法で用いられている触媒は有機相中に均一に溶解させられており、酸素と水素からの過酸化水素の生成反応はもっぱら有機相中で進行させられている。有機相中で生成した過酸化水素は水相に抽出される結果、最終的には過酸化水素の水溶液が得られることになる。
しかしこれらの方法で得られる過酸化水素の濃度は、実用的に十分であるとは言えない。また特開平1−192710では、水と二液相を形成する含フッ素化合物と水からなる溶媒中で、疎水性担体上に金属を担持した触媒を用いて有機相中で反応を進行させ、水相中に過酸化水素を濃縮分離せしめる方法を開示している。この方法では、反応に使用出来る触媒担体の種類が疎水性でなければならないことから、大幅な制限を受けるという欠点、必ずしも反応選択率が高くないという欠点を有する。さらに、特開昭63−156005号等の先行技術が開示している反応選択率向上化の目的で水媒体中に添加する酸や助触媒を、有機溶媒中でそのまま用いる事は困難であり、効率的な反応の遂行を困難にする。また米国特許第3361533号では反応器内に酸素原子を含む有機溶媒と水を共存させる方法を開示しているが、この方法で用いられる有機溶媒はアルコールなどの水と任意に混じり合う有機溶媒である。この製造方法によると、得られた過酸化水素水は有機溶媒との混合物となり、過酸化水素水を得るためには反応後有機溶媒を分離除去するための後処理が必要であるという欠点を有する。
さらに、反応媒体中で酸素と水素を触媒と接触的に反応させ過酸化水素を製造する方法において、従来の公知技術では短時間の反応で高濃度の過酸化水素を得るためには水素分圧及び酸素分圧を高める方法が用いられている。しかし、水素ガスと酸素ガスの混合物の爆発の危険性をさけるために両者の混合比率は制限を受けるため、それぞれの分圧を高めるためには反応の全圧力を高める必要があった。このように反応全圧力を高くした場合、操作上の安全性に特に配慮が必要となると同時に装置建設費が高くなるという経済的な問題があった。
一方、本願出願人は、特開平7−17702号において、水と任意の割合で混じり合わず、かつ、過酸化水素の溶解性が水に比べて小さな有機溶媒を反応系内に水と共に共存させ、水及び有機溶媒に不溶性である親水性白金族金属触媒を使用して、酸素と水素を接触的に反応せしめることを特徴とする過酸化水素の製造方法を開示し、良い結果を得ている。
しかし、過酸化水素の直接合成法において、有機溶媒を用いない系においても同様に優れた製造効率を有する製法が望まれている。
特公昭56−47121号公報 特公昭55−18646号公報 特公平1−23401号公報 特開昭63−156005号公報 特公昭61−17763号公報 特公昭62−29363号公報 特公昭62−30122号公報 特開平1−192710号公報 特開昭63−156005号公報 米国特許第3361533号公報 特開平7−17702号
かかる過酸化水素の直接合成法では、合成反応の選択性、生成速度等の因子からなる製造効率が重要となる。この点、上記従来法によれば、ある程度の過酸化水素を製造することができる。しかしながら、上記従来の方法では、選択性、生成速度等を総合的に満足させつつ反応を進行させるものではなく、また、高い反応圧力を必要とするものもあることから工業的製造に対応できるレベルにまで達していないのが現状である。
本発明は以上のような背景のもとになされたものであり、有機溶媒(例えば、特開平7−17702号に開示されるような有機溶媒)を用いない系においても高い製造効率をもって、十分な量の過酸化水素を安定的に製造することのできる方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、水溶液中で触媒の存在下に水素と酸素とを反応させる過酸化水素の直接製造方法において、反応系にブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのようなイオン性液体を特定量添加することによって、反応速度が向上し、達成される過酸化水素濃度が向上することを見出し本発明に想到した。
本発明の一実施形態は、水溶液中で触媒の存在下に水素と酸素とを反応させる過酸化水素の直接製造法において、反応系にイオン性液体を存在させることを特徴とする過酸化水素の直接製造法である。
本発明の好ましい態様では、上記イオン性液体が、陽イオンと陰イオンの塩で、かつ常温で液体である有機化合物である。また、本発明の別の好ましい態様では、上記イオン性液体が、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデカンホスホニウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,3−ジアリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ブチル−N−メチルピロリジウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェートからなる群から選ばれる1以上の化合物を含む。
また、本発明の別の好ましい態様では、上記イオン性液体を、イオン性液体と上記水溶液中の水溶媒との合計量に対して、1〜50重量%添加する。更に、本発明の別の好ましい態様では、上記触媒が、チタニア(二酸化チタン)に貴金属を担持させた触媒であるか、あるいは、上記触媒が、貴金属を含むコロイド粒子が分散した貴金属コロイド溶液である。
本発明方法によれば、従来反応速度の遅かった水溶媒中でもアルコールなどの有機溶媒中の反応速度と同じような速さで過酸化水素を製造することができ、水に溶解しないイオン性液体を選択すれば、液々分離をするだけで過酸化水素の水溶液を得ることができる。
以下に本発明をより詳細に説明する。
本発明は、水溶液中で触媒の存在下に水素と酸素とを反応させる過酸化水素の直接製造法において、反応系にイオン性液体を存在させることを特徴とする過酸化水素の直接製造法である。
本発明におけるイオン性液体とは、陽イオンと陰イオンの塩で、かつ常温で液体である有機化合物である。具体的には、好ましいイオン性液体とは、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデカンホスホニウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,3−ジアリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ブチル−N−メチルピロリジウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェートなどが挙げられる。これらのうち、より好ましくは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドおよび1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェートが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2以上を混合して使用してもよい。
本発明におけるイオン性液体の添加量は、イオン性溶液と反応溶媒である水溶媒の合計量に対して、通常、1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは、4〜30重量%使用される。イオン性液体は、分離の点から水に溶解しないものが好ましい。イオン性液体の添加量が1重量%未満では、イオン性液体を添加する効果が表れないので好ましくない。また、50重量%を超えると、水溶媒との接触性が悪くなるので好ましくない。
本発明では、水溶液中で触媒の存在下に水素と酸素とを反応させる過酸化水素の直接製造方法において、反応系に上記のようなイオン性液体を特定量添加することによって、反応速度を上げ、生成する過酸化水素の濃度を向上させることができるという顕著な効果を有する。
本発明に使用される触媒としては、白金族元素を主体とする活性金属が好ましく使用される。具体的には、パラジウム、白金などを単独もしくは混合物または合金として用いることができる。更にそれらを主体とするルテニウム、オスニウム、ロジウム、イリジウムまたは金との混合物もしくは合金としても用いることが出来る。触媒の使用量は、金属として、反応溶液(上記イオン性溶液を含む)に対して0.0001〜0.1重量%である。
上記活性金属は、活性炭、無定型シリカ、ゼオライト、希土類酸化物、チタニアなど種々の担体に担持させた触媒として使用することも可能であるが、担体としては高比表面積を有するチタニア(二酸化チタン)が好ましい。活性金属を担体に担持する方法としては、含浸法とイオン交換法を適用することができる。含浸法としては、蒸発乾固法、平衡吸着法、ポアフィリング法などを適用することができる。上記活性金属の担体への担持量は、担体に対して、0.01〜10重量%であり、0.05〜5重量%が好ましい。
また、上記活性金属を貴金属コロイドとして用いることも可能である。即ち、本発明は、水素と酸素とを反応させる過酸化水素の直接製造法において、溶媒に不溶な数〜数百nmの貴金属を含むコロイド粒子が分散した貴金属コロイド溶液を触媒とすることもできる。
本発明における貴金属コロイドを構成する微小粒子は、白金、パラジウム、銀、金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウムといった貴金属を1種以上含む。好ましい貴金属コロイドは、単一粒子としては、白金またはパラジウム粒子を含むコロイドであり、また、白金/パラジウムコロイド、金/パラジウムコロイドのような2元系の貴金属コロイドも好ましい触媒である。また、コロイドを構成する貴金属粒子の粒径は1〜10nmのものが好ましい。これらの範囲外の粒径のコロイドを適用しても合成反応は生じるが、1〜10nmの領域のコロイドが特に活性が高いからである。
また、コロイド溶液には保護剤と呼ばれる化合物が含まれているのが一般的である。保護剤とは、コロイド溶液中でコロイド粒子の周辺に化学的又は物理的に結合、吸着する化合物であって、コロイド粒子同士の凝集を抑制し粒径分布を適性範囲に制御し安定化させるものをいう。保護剤を含むことで、細かな粒径のコロイド粒子が懸濁した状態を保持し、過酸化水素の合成反応を均質とすることができる。
この保護剤としては、コロイド粒子に対して化学的又は物理的に結合、吸着することができる有機化合物であれば、特に限定はなく、ポリビニルピロリドン(以下、PVPという。)、ポリエチレンイミン(以下、PEIという。)、ポリアクリル酸(以下、PAAという。)、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCという。)、ポリビニルアルコール(以下、PVAという。)クエン酸、酒石酸、アルギン酸、ポリリン酸、ポリ(N−カルボキシメチル)アリルアミン、ポリ(N,N−ジカルボキシメチル)アリルアミン、ポリ(N−カルボキシメチル)エチレンイミン等の有機化合物が適用できる。但し、本発明で好ましい保護剤は、中性又は酸性のものである。後述のように、本発明では反応系に、無機酸を添加することが好ましいが、アルカリ性の保護剤を含むコロイド溶液を適用する場合、これらの酸添加により保護剤の分解が生じ、コロイド粒子の安定化を阻害することになり、合成反応が進行しなくなるからである。この観点からすると、本発明でより好ましい保護剤は、PVP、PAA、CMC、PVA、クエン酸、酒石酸、アルギン酸、ポリリン酸であり、特に好ましくはPVPである。
尚、本発明で使用する貴金属コロイド溶液の製造は、まず、保護剤となる有機化合物とコロイド粒子となる貴金属の金属塩溶液とを混合し、これに還元剤を添加することで製造可能である。この際、金属塩溶液中の金属イオンが還元されるとともに保護剤がクラスター粒子に吸着し、コロイド溶液となる。尚、保護剤自体が還元作用を有する有機化合物である場合には、還元剤の添加は不要である。
過酸化水素の製造反応は、水素ガス対酸素ガスの反応であるため、貴金属コロイド溶液を反応系に共存させるためには、両者の混合ガスを反応容器内の貴金属コロイド溶液中にバブリングする手法が一般的となる。ここで、貴金属コロイド溶液中の貴金属濃度は、0.0001〜0.1重量%とするのが好ましい。
尚、本発明に係る方法では、反応系に無機酸を添加して反応させるのが好ましい。これにより、過酸化水素合成反応の選択率を向上させ、製造効率を確保することができる。無機酸の添加量は、反応溶液(上記イオン性溶液を含む)に対して0.01〜10重量%とするのが好ましい。そして、この無機酸としては、ハロゲン化水素又は硫酸の適用が好ましく、両者のいずれか一方又は双方を添加するのが好ましい。
合成反応時の反応条件は、反応温度は、0〜100℃、特に5〜50℃の範囲が好ましい。反応の圧力は特に制限はないが、好ましくは大気圧〜10Mパスカルであり、特に大気圧〜2Mパスカルが適当である。反応時間は、通常0.1〜100時間、好ましくは0.5〜10時間である。この反応は回分式でも連続式でも行うことができる。また、原料となる水素ガスと酸素ガスの流量は、爆発範囲を避け、かつ、水素に対して酸素が過剰となるような割合が好ましい。
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
参考例1(触媒の製造)
堺化学製高表面積ルチル型チタニア(STR100N)10g、HAuCl40.05gおよびPdCl20.12gを水100mlに懸濁した。マグネチックスターラーで攪拌しながら、加熱して半液体状になるまで水分を除去した。さらに、マグネチックスターラーを除去後、60℃にて一晩乾燥した。この乾燥試料を粉砕後、0.5〜1.18mmに整粒し、450℃、40ml/minのH2気流中で4時間還元処理を行うことにより、青紫色の粒状触媒を得た。
実施例1
攪拌装置およびガス吹き込み管を備えたテフロン(登録商標)で内張りをした230mlのオートクレイブに、上記で製造したAu/Pd−ルチル型チタニア担持触媒1.5g、NaCl0.368g、硫酸2.8gおよび1-エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)6mlを蒸留水で希釈し、全量で75mlとして仕込んだ。オートクレイブを10℃に調整しながら、ガスを50ml/min(水素:2.5%、酸素:19.5%、窒素:30%、アルゴン:48%)でオートクレイブに吹き込みながら圧力を1Mパスカルに調整し、回転数800rpmで攪拌しながら2時間反応させた。
(1)過酸化水素の生成速度は、以下のように求めた。
過酸化水素生成速度=(生成した過酸化水素モル濃度)÷(反応時間)
なお、生成した過酸化水素のモル濃度は、硫酸チタニルを過酸化水素の発色剤として使用し、紫外可視分光光度計(商品名:V-550、日本分光製)を用いて測定した。
(2)水素の反応率は、以下のように求めた。
水素の反応率=(消費された水素量)÷(吹き込んだ水素の全量)
なお、消費された水素量は、ガスクロマトグラフィー(商品名:GC-8A、島津製作所製)を用いて測定した。
(3)過酸化水素の選択率は次式によって計算した。
過酸化水素の選択率(%)=[(反応により生成した過酸化水素のモル量)÷(消費された水素量から算出した過酸化水素の理論生成モル量)]×100
なお、生成した過酸化水素のモル量は、硫酸チタニルを過酸化水素の発色剤として使用し、紫外可視分光光度計(商品名:V-550、日本分光製)を用いて測定した。
(4)過酸化水素の収率は、以下のように求めた。
過酸化水素の収率=(水素の反応率)×(過酸化水素の選択率)
これらの結果を表−1に示す。
実施例2
イオン性液体として、実施例1の1-エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)に代えて、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた以外は実施例1と同様に実施した。実施例1と同様に測定した結果を表−1に示す。
実施例3
イオン性液体として、実施例1の1-エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)に代えて、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェートを用いた以外は実施例1と同様に実施した。実施例1と同様に測定した結果を表−1に示す。
比較例1
イオン性液体を用いなかった以外は、実施例1と同様に実施した。実施例1と同様に測定した結果を表−1に示す。
Figure 0005048643
参考例2(触媒の製造)
蒸留水25mlおよびエタノール25mlの混合溶液中に125μmolHAuCl4および375μmolPdCl2を加えた。さらに、コロイドを均一に分散するために、保護剤としてポリビニルピロリドン(分子量:40,000)0.43gを、還元剤としてシュウ酸二水和物1gを加えた。マグネチックスターラーで攪拌しながら、60分還流を行うことにより、赤褐色の粘稠な液体が得られた。
実施例4
攪拌装置およびガス吹き込み管を備えたテフロン(登録商標)で内張りをした230mlのオートクレイブに、上記で製造したAu/Pd−PVPコロイド溶液14ml、NaCl0.368g、硫酸2.8gおよび1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド 6mlを蒸留水で希釈し、全量で75mlとして仕込んだ。オートクレイブを10℃に調整しながら、ガスを250ml/min(水素:2.5%、酸素:19.5%、窒素:30%、アルゴン:48%)でオートクレイブに吹き込みながら圧力を1Mパスカルに調整し、回転数800rpmで攪拌しながら30分反応させた。実施例1と同様に測定した結果を表−2に示す。
実施例5
イオン性液体として、実施例4の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに代えて、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェートを用いた以外は実施例4と同様に実施した。実施例1と同様に測定した結果を表−2に示す。
比較例2
イオン性液体を用いなかった以外は、実施例4と同様に実施した。実施例1と同様に測定した結果を表−2に示す。
Figure 0005048643
上記表−1および表−2の結果から明らかなように、イオン性液体を特定量用いた本発明の実施例1〜5は、イオン性液体を用いない比較例1〜2と比べ、過酸化水素の生成速度が速く、過酸化水素の選択率および収率が高く、顕著に優れた効果を有することがわかる。

Claims (9)

  1. 水溶液中で触媒の存在下に水素と酸素とを反応させる過酸化水素の直接製造法において、反応系に、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデカンホスホニウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,3−ジアリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ブチル−N−メチルピロリジウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェートからなる群から選ばれる1以上の化合物を含むイオン性液体を存在させることを特徴とする過酸化水素の直接製造法。
  2. 前記イオン性液体が、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドおよび1−エチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルフェートからなる群から選ばれる1以上の化合物を含む請求項に記載の過酸化水素の直接製造法。
  3. 前記イオン性液体を、該イオン性液体と前記水溶液中の水溶媒との合計量に対して、1〜50重量%添加する請求項1または2に記載の過酸化水素の直接製造法。
  4. 前記イオン性液体の添加量が2〜40重量%である請求項に記載の過酸化水素の直接製造法。
  5. 前記触媒が、チタニア(二酸化チタン)に貴金属を担持させた触媒である請求項1からのいずれかに記載の過酸化水素の直接製造法。
  6. 前記貴金属が、白金、パラジウム、銀、金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群より選択される1種以上を含む請求項記載の過酸化水素の直接製造法。
  7. 前記触媒が、貴金属を含むコロイド粒子が分散した貴金属コロイド溶液である請求項1からのいずれかに記載の過酸化水素の直接製造法。
  8. 前記貴金属コロイド溶液を構成するコロイド粒子、白金、パラジウム、銀、金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム及びオスミウムからなる群より選択される1種以上を含む請求項記載の過酸化水素の直接製造法。
  9. 前記貴金属コロイド溶液が、保護剤として、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールクエン酸、酒石酸、アルギン酸、ポリリン酸、ポリ(N−カルボキシメチル)アリルアミン、ポリ(N,N−ジカルボキシメチル)アリルアミン及びポリ(N−カルボキシメチル)エチレンイミンからなる群から選択される1以上の有機化合物を含む請求項または記載の過酸化水素の直接製造法。
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