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JP5048267B2 - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 Download PDF

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JP5048267B2 JP2006124795A JP2006124795A JP5048267B2 JP 5048267 B2 JP5048267 B2 JP 5048267B2 JP 2006124795 A JP2006124795 A JP 2006124795A JP 2006124795 A JP2006124795 A JP 2006124795A JP 5048267 B2 JP5048267 B2 JP 5048267B2
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Description

本発明は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、圧縮永久歪み特性、ガスバリア性、及び制振性に優れた熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関するものである。
従来、弾性を有する高分子材料としては、天然ゴムまたは合成ゴムなどのゴム類に架橋剤や補強剤などを配合して架橋したものが使用されている。しかしながらこの様なゴム類では、高温高圧下で長時間にわたって架橋及び成形を行う工程が必要であり、加工性に劣る。また架橋したゴムは熱可塑性を示さないため、通常、熱可塑性樹脂のようにリサイクル成形を行うことができない。そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように熱プレス成形や射出成形、押出し成形などの汎用の溶融成形技術を利用して成形品を簡単に製造することのできる熱可塑性エラストマーが近年種々開発されている。このような熱可塑性エラストマーとしては、現在、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、スチレン系、塩化ビニル系などの種々の形式のポリマーが開発・市販されている。
このような熱可塑性エラストマーは、架橋型と非架橋型に分けることができる。
非架橋型熱可塑性エラストマーは、架橋反応を伴わないため品質のバラツキが少なく、また、製造コストも安価である。一方で、性能面から両者を比較すると、引張強度や破断伸度、あるいはゴム的性質(たとえば永久伸び、圧縮永久歪)や耐熱性の点では、非架橋型の熱可塑性エラストマーに比べて架橋型の熱可塑性エラストマーの方が優れている。
架橋型の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマーおよび不飽和二重結合含有ゴムからなるゴム状組成物をSiH基を有する架橋剤を含有するものが挙げられる(特許文献1)。これらの架橋型の熱可塑性エラストマーは、ゲル分率から判断して十分架橋がなされていると思えても、製造条件によっては、一旦ペレットにした後に成形を行う場合などに未反応架橋剤残留による成形不良を引き起こすことがあった。
特開平8−27319号公報
本発明においては、成形不良を引き起こしにくい、成形性に優れた熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を鑑み鋭意検討した結果、二軸押出機を用いて、熱可塑性樹脂存在下で被架橋成分を架橋剤により動的に架橋して熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法において、二軸押出機内の総せん断歪量εを所定の範囲とすることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、二軸押出機を用いて、熱可塑性樹脂存在下で被架橋成分と架橋剤とを溶融混練することにより、被架橋成分を架橋剤により動的に架橋して熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法において、混練時の二軸押出機内の総せん断歪量εを8000以上、20000以下とすることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関する。
本発明にかかる方法によれば、成形不良を引き起こしにくい熱可塑性エラストマー組成物を容易に得ることが可能となる。
本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法においては、二軸押出機を用いて、熱可塑性樹脂存在下で被架橋成分と架橋剤とを溶融混練することにより、被架橋成分を架橋剤により動的に架橋して熱可塑性エラストマー組成物を製造する際に、混練時の二軸押出機内の総せん断歪量εを8000以上、20000以下とする。
なお、二軸押出機内の総せん断歪量εは、以下に示される式から求めることができる。
Figure 0005048267
(式中、πは円周率、Dは押出機の口径(mm)、Nはスクリュー回転数(rpm)、tは滞留時間(秒)、hはスクリュー溝深さ(mm)である。)
本発明の製造方法によって製造される熱可塑性エラストマー組成物に含有される成分としては、熱可塑性樹脂、被架橋成分、架橋剤が含まれる。さらに必要に応じて架橋触媒、可塑剤、充填剤などが含まれる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、プラスチック類、ゴム類、及び熱可塑性エラストマー類よりなる群から選択される少なくとも1種が使用できる。プラスチック類としては、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABS、MBS、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
ゴム類としては、例えば、ポリエーテル、ポリブタジエン、天然ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。
上記熱可塑性エラストマー類としては、例えば、ポリスチレンブロック等とポリブタジエンやポリイソプレンブロック等からなるブロック共重合体であるスチレン系エラストマー(芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー)、ポリプロピレン等のポリオレフィン成分とエチレン−プロピレンゴム等のゴム成分からなるオレフィン系エラストマー、結晶性及び非結晶性ポリ塩化ビニルからなる塩化ビニル系エラストマー、ポリウレタンブロックとポリエーテルブロック等からなるブロック共重合体であるウレタン系エラストマー、ポリエステルブロックとポリエーテルブロック等からなるブロック共重合体であるポリエステル系エラストマー、及び、ポリアミドブロックとポリエーテルブロック等からなるブロック共重合体であるアミド系エラストマー等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂はプラスチック類、ゴム類、及び熱可塑性エラストマー類の分類に関わらず、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
上記熱可塑性樹脂のうち、加工性、柔軟性、及び強度の点で、ポリプロピレン及びポリエチレン等のオレフィン系樹脂、及び芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーが好ましい。更に、オレフィン系樹脂としては圧縮永久歪みの良好なポリエチレンが好ましく、芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーとしては、ガスバリア性に優れた芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体中の芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、インデン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等が挙げられる。上記化合物の中でも、コストと物性及び生産性のバランスから、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンが好ましい。これらは、2種以上選択して用いてもよい。
また、ブロック共重合体の構造としては特に制限はないが、AB型あるいはABA型が好ましい。芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーでは、芳香族ビニル系化合物を構成単量体とするブロックとブタジエン及び/又はイソプレンブロックよりなるブロック共重合体やその水素添加物が挙げられる。例えば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)が挙げられる。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体の割合に関しては、特に制限はないが、物性と加工性のバランスから、イソブチレン系重合体ブロックなどのソフトセグメントが95〜20重量%、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックが5〜80重量%であることが好ましく、イソブチレン系重合体ブロックが90〜60重量%、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックが10〜40重量%であることが特に好ましい。
芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーの数平均分子量にも特に制限はないが、15,000から500,000が好ましく、40,000から400,000が特に好ましい。数平均分子量が15,000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500,000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
本発明において、被架橋成分とは架橋剤と反応して動的に架橋される成分のことである。被架橋成分は、熱可塑性エラストマー組成物中、20重量%以上、50重量%以下であるのが好ましい。これは、20重量%より小さいと動的架橋によって得られる圧縮永久歪みが十分改善されず、50重量%より大きいと動的架橋によって得られる熱可塑性エラストマー組成物の流動性が悪くなり、射出成形等をする際に事前に流動性の良い材料とブレンドをするといった工程が必要になるためである。なお、被架橋成分の重量%濃度は、例えば、熱可塑性エラストマーを熱キシレンに溶解させた不溶分の重量を測定することにより求めることができる。
被架橋成分としては、例えば、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴムが挙げられる。
不飽和結合を有するイソブチレン系重合体とは、イソブチレンを主成分とする重合体であって、以下に示すような不飽和結合を有する重合体を意味する。イソブチレン系重合体中の、イソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、イソプレン、ブタジエン、ジビニルベンゼン等のジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
イソブチレン系重合体の数平均分子量に特に制限はないが、1,000から500,000が好ましく、5,000から200,000が特に好ましい。数平均分子量が1,000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500,000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
本発明における不飽和結合とは、本発明の目的を達成するための成分の架橋反応に対して活性のある炭素−炭素二重結合であれば特に制限されるものではない。具体例としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基を挙げることができる。
イソブチレン系重合体の不飽和結合の導入方法としては特開平3−152164号公報や特開平7−304909号公報に開示されているような、水酸基などの官能基を有する重合体に不飽和基を有する化合物を反応させて重合体に不飽和基を導入する方法が挙げられる。またハロゲン原子を有する重合体に不飽和基を導入するためにはアルケニルフェニルエーテルとのフリーデルクラフツ反応を行う方法、ルイス酸存在下アリルトリメチルシラン等との置換反応を行う方法、種々のフェノール類とのフリーデルクラフツ反応を行い水酸基を導入した上でさらに前記のアルケニル基導入反応を行う方法などが挙げられる。さらに米国特許第4316973号明細書、特開昭63−105005号公報、特開平4−288309号公報に開示されているように単量体の重合時に不飽和基を導入することも可能である。この中でもアリルトリメチルシランと塩素の置換反応により末端にアリル基を導入したものが反応の確実性の点から好ましい。ただし、導入の方法や不飽和結合の導入位置については特に問うものではない。
イソブチレン系重合体の不飽和結合の量は、必要とする特性によって任意に選ぶことができるが、架橋後の特性の観点から、1分子あたり少なくとも0.2個のアルケニル基を末端に有する重合体であることが好ましい。0.2個未満であると架橋による特性改善効果が十分に得られない場合がある。
不飽和結合を有するイソブチレン系重合体を架橋する手段は特に制限はないが、副生成物の発生がなく、また不要な副反応を起こさない等の利点から、架橋剤としてヒドロシリル基含有化合物を用いて架橋することが好ましい。
架橋剤として用いられるヒドロシリル基含有化合物は特に制限はなく、各種のものを用いることができる。すなわち、一般式(I)または(II)で表される鎖状ポリシロキサン;
1 3SiO−[Si(R12O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR1 3 (I)
HR1 2SiO−[Si(R12O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR1 2H (II)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。aは0≦a≦100、bは2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす整数を示す。)
一般式(III)で表される環状シロキサン;
Figure 0005048267
(式中、R4およびR5は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R6は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。dは0≦d≦8、eは2≦e≦10、fは0≦f≦8の整数を表し、かつ3≦d+e+f≦10を満たす。)等の化合物を用いることができる。さらに上記のヒドロシリル基(Si−H基)を有する化合物のうち、相溶性が良いという点から、特に下記の一般式(IV)で表されるものが好ましい。
Figure 0005048267
(式中、g、hは整数であり2≦g+h≦50、2≦g、0≦hである。R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は炭素数2〜20の炭化水素基で1つ以上の芳香環を有していても良い。iは0≦i≦5の整数である。)
架橋剤としてヒドロシリル基含有化合物を使用する場合、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体とヒドロシリル基含有化合物は任意の割合で混合することができるが、架橋性の面から、不飽和結合とヒドロシリル基のモル比(不飽和結合のモル数/ヒドロシリル基モル数)が5〜0.05の範囲にあることが好ましく、さらに、2.5〜0.1であることが特に好ましい。モル比が5以上になると、硬化が不十分でべたつきのある強度の小さい架橋物しか得られず、また、0.05より小さいと、架橋後も架橋物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある架橋物が得られない。
熱可塑性エラストマー組成物には、架橋触媒を含有させてもよい。架橋触媒としては特に制限はないが、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
使用するラジカル開始剤としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
また、使用する遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジアルケニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。触媒量としては特に制限はないが、成分のアルケニル基1molに対し、10-1〜10-8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10-3〜10-6molの範囲で用いるのがよい。10-8molより少ないと硬化が十分に進行しない。またヒドロシリル化触媒は高価であるので10-1mol以上用いないのが好ましい。これらのうち、相溶性、架橋効率、スコーチ安定性の点で、白金ビニルシロキサンが最も好ましい。
架橋触媒として遷移金属触媒を使用するときは更に遷移金属触媒を有機溶剤で希釈することが好ましい。遷移金属触媒を単独でイソブチレン系重合体及び熱可塑性樹脂と混練した場合、樹脂焼けが発生し、得られる組成物が茶褐色に変色してしまうためである。この変色を抑えるためには架橋触媒は有機溶剤によって5重量%以下に希釈されることが好ましい。
上記、有機溶剤としては特に制限はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、アセトン、エタノール、ブタノール、ブチルクロライド、ピリジン等のヘテロ原子含有炭化水素等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、得られる熱可塑性エラストマー組成物中に有機溶剤が残存した場合、製品とした場合に有機溶剤がブリードするなどの不具合が生じるため、沸点が160℃以下の有機溶剤を用いることが好ましく、特に、溶融混練時に直ちに揮発せず、且つ架橋混練時にほぼ残存しないトルエン、及びキシレンが好ましい。
本発明によって製造される組成物には、可塑剤を使用してもよい。可塑剤の種類は特に制限されないが、例えば、ゴムの加工の際に用いられる鉱物油、または液状もしくは低分子量の合成軟化剤が挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
鉱物油としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、及び芳香族系の高沸点石油成分が挙げられる。
液状もしくは低分子量の合成軟化剤としては、特に制限はないが、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、ポリαオレフィン類等が挙げられる。これらの可塑剤は1種以上を用いることができる。このなかでも架橋反応を阻害しないパラフィン系オイル及び/又はポリブテンが好ましい。
可塑剤の配合量は、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体100重量部に対し、10〜300重量部であることが好ましい。配合量が300重量部を超えると、機械的強度の低下や成形性に問題が生じる場合がある。
また本発明の組成物には、さらには、各用途に合わせた要求特性に応じて、物性を損なわない範囲で補強剤、充填剤、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、シリコンオイル等を適宜配合することができる。
本発明においては、上記成分を混練する際、二軸押出機を用いる。二軸押出機には、非かみ合い型同方向回転、かみ合い型同方向回転、非かみ合い型異方向回転、かみ合い型異方向回転の二軸押出機といった各種二軸押出機が含まれる。二軸押出機の中ではかみ合い型同方向回転の二軸押出機がセルフクリーニング性を有し、スクリュー回転数を高くできるので好ましい。
二軸押出機のバレル直径に対する長さ(L/D)は、好ましくは30〜100、より好ましくは35〜75である。L/Dが30より小さいと架橋反応を十分行うためには吐出量を落とさなければならず、生産効率が悪い。また、L/Dが100より大きいと樹脂温度が高くなりすぎたり、モーターの負荷が過大になる可能性がある。
混練を行う際の二軸押出機の設定温度は、好ましくは130〜300℃であり、より好ましくは130〜240℃である。130℃よりも低い温度では、熱可塑性樹脂の溶融が不十分となり、混練が不均一となる場合がある。300℃よりも高い温度では、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体の熱分解が起こるおそれがある。
また、動的に架橋を行う際の二軸押出機の総せん断歪量εは、8000以上、20000以下とする。総せん断歪量εが8000未満であると、反応不足によって成形不良や物性低下が引き起こされるおそれがある。また、20000より大きいと、過剰に材料にせん断力や熱が加わることになるため、生産効率が悪くなったり、樹脂の分解によって物性低下を引き起こすおそれがある。
上記各成分を混練する際は、イソブチレン系重合体は加温タンク等で可塑化させる方法またはコニカルフィーダ等に常温付近のまま食い込まさせる方法によってギヤポンプへ送液し、ギヤポンプで定量的に二軸押出機へ投入することができる。熱可塑性樹脂や必要に応じて添加される補強剤、充填剤、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、シリコンオイル等は、例えば定重量式フィーダにてホッパーから二軸押出機に投入したり、サイドフィーダから二軸押出機に投入する。架橋剤や架橋触媒、可塑剤は、例えば液体添加ポンプで二軸押出機へ投入することができる。これらの添加順序は特に問うものではないが、熱可塑性樹脂とイソブチレン重合体は異なる添加口から投入し、架橋剤と触媒は異なる添加口から投入するのが好ましい。さらには熱可塑性樹脂を最初に投入し、触媒を最後に投入する方法が、熱可塑性樹脂を容易に溶融させ、かつ、架橋反応を均一化しやすいために最も好ましい。
本発明の製造方法によって得られた熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂組成物に対して一般に採用される成形方法及び成形装置を用いて成形でき、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、ブロー成形などによって溶融成形できる。
本発明の製造方法によって得られた熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、圧縮永久歪み特性に優れているため、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体などの密封用材、CDダンパー、建築用ダンパー、自動車、車両、家電製品向け制振材等の制振材、防振材、自動車内装材、クッション材、日用品、電気部品、電子部品、スポーツ部材、グリップまたは緩衝材、電線被覆材、包装材、各種容器、文具部品として有効に使用することができる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。尚、実施例に先立ち各種測定法、実施例に使用した原料成分について説明する。
(圧縮永久歪み)JIS K 6262に準拠し、試験片は12.5mm厚さプレスシートを使用した。100℃×22時間、25%変形の条件にて測定した
(硬度)JIS K 6252に準拠し、試験片は12.0mm圧プレスシートを用いた。
(引張最大強度)JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(引張破断伸び)JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(成形性)170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて1分間溶融混練し、溶融した熱可塑性エラストマー組成物はただちに190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてプレス成形した。成形体の表面を目視で観察し、良好ならば○、ひび割れが観察、もしくは、タック性が認知されれば×とした。
(実施例等記載原料成分の内容)
実施例及び比較例で用いた材料の略号とその具体的な内容は、次のとおりである。
PE:高密度ポリエチレン、三井化学社製(商品名「HI−ZEX2200J」)
APIB:末端にアリル基を有するポリイソブチレン(製造例に記載)
可塑剤:パラフィン系プロセスオイル、出光興産社製(商品名「PW380」)
架橋剤(ヒドロシリル基含有化合物):シロキサン、GE東芝シリコーン社製(商品名「TSF−484」)
架橋触媒:0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体の3重量%キシレン溶液と可塑剤を1:400の重量比を混合したもの
(製造例)[末端にアリル基を有するポリイソブチレン(APIB)の製造]
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、エチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)142mL及びトルエン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)427mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー277mL(2934mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.85g(3.7mmol)及びα−ピコリン0.68g(7.4mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン5.8mL(52.7mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から2.5時間撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、アリルトリメチルシランの75%トルエン溶液1.68g(11mmol)を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから2時間後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。Mnが45500、Mw/Mnが1.10である末端にアリル基を有するポリイソブチレンが得られた。NMRから算出した末端アリル基の数は、一分子当たり2.0であった。
(実施例1〜2)
図1のような構成のかみ合い型同方向回転二軸押出機(神戸製鋼所社製、スクリュー直径46mm、L/D=63)を用いた。混練の様子について詳細に述べると、まず、二軸押出機1のホッパー2にポリエチレンを供給し、二軸押出機1内のスクリュー(図示せず)を回転させることにより、所定の温度に加熱された押出機1の内部にポリエチレンを定量的に投入した。二軸押出機1は所定の間隔に配置された添加口4〜8を有しており、これらの添加口からAPIB、充填剤、可塑剤、架橋剤および架橋触媒を順次供給することにより、樹脂を溶融混練しながら、APIBと架橋剤を動的に架橋させた。この混練物はダイス3から押し出され、これにより、ペレット状の樹脂組成物を得た。なお、押出条件・添加構成・添加量は表1に記載のようにした。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形し、得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。その結果を表2に示す。
(比較例1〜2)
実施例1および2と同様に、図1の構成の押出機を用いて、表1に示した押出条件・添加構成・添加量で押出しを行い、ペレット化した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形し、得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した結果を表2に示す。
Figure 0005048267
Figure 0005048267
表1および表2からは、本発明の製造方法によって得られた熱可塑性エラストマー組成物は、本発明とは総せん断歪量の比較例1と比べて引張特性および圧縮永久歪が優れており、成形不良も引き起こしておらず成形性が優れていることがわかる。なお、実施例においてはポリエチレンに、APIB、充填剤、可塑剤、架橋剤、架橋触媒を順番に添加したが、本願発明においては特に添加順序は問うものではない。
以上のように、本発明にかかる製造方法によれば、引張特性および圧縮永久歪に優れ、成形性の優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
二軸押出機の添加構成の模式図
符号の説明
1…二軸押出機
2…ホッパー
3…ダイス
4…APIB添加口
5…充填剤添加口
6…可塑剤添加口
7…架橋剤添加口
8…架橋触媒添加口

Claims (2)

  1. 二軸押出機を用いて、熱可塑性樹脂であるオレフィン系樹脂存在下で被架橋成分である不飽和結合を有するイソブチレン系重合体と架橋剤であるヒドロシリル基含有化合物とを溶融混練することにより、被架橋成分を架橋剤により動的に架橋して熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法において、混練時の二軸押出機内の総せん断歪量εを8000以上、20000以下とすることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  2. 被架橋成分を20重量%以上、50重量%以下とすることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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