JP5042778B2 - ワーク研磨用ヘッド及びこの研磨ヘッドを備えた研磨装置 - Google Patents
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Description
その結果、ワーク全面に亘って、特に外周部において平坦性を従来に比べ高く維持して研磨する事ができる。つまり、ワーク外周まで均一に研磨することができる研磨ヘッドとすることができる。
また、リテーナーリング等を使用しないため、発塵等の影響を抑制することができる。従って、ワーク表面にキズや欠陥が発生することを防止することができる研磨ヘッドとすることができる。
そして、研磨布に押圧するリテーナーリング等が無くても、外周ダレを抑制する事が可能な研磨ヘッドとすることができる。
このように、中板を研磨ヘッド本体から分離独立して高さを調整できるようにすることで、中板に固定されたラバー膜の高さを調節することができる。これによって、ラバー膜側面の剛性を利用して、ワーク外周部分に対する圧力を変化させる事が可能で、更に、中板の高さ位置を精密に制御する第1の高さ調整機構を付加する事で、ワークの加工前形状(ハネやダレ形状)に合わせて、加工条件を変化させて加工後のワークを平坦に加工する事がより容易となる。
このように、研磨ヘッド本体、つまりはガイドリングについても高さ調節機構(第2の高さ調整機能)を具備する事で、ガイドリングと研磨布の隙間を一定に保つ事が可能となり、よって、より安定してワークを保持し、研磨速度の低下やワークの表面品質を劣化させないでワークの研磨加工ができる。
また、研磨布とガイドリングの隙間をワークの厚みの25〜45%に保つことで、ガイドリングと研磨布との隙間が小さすぎる時に起こる研磨剤の供給不足によって発生する研磨速度の低下を防止することができ、また、隙間が大きすぎる場合に加工中にワークを保持できなくなることを防止することができる。
このように、前記第1、第2の高さ調整機構にボールネジを用いる事で、より精密な高さ方向の位置の調節が容易となり、より高精度で安定した研磨が可能となる。
このように、中板部分と研磨ヘッド本体部を弾性膜で連結し、中板と研磨ヘッド本体と弾性膜で密閉された第2の密閉空間部の圧力を調整することで、中板を上昇、下降させることができ、また、研磨ヘッド本体に取り付けられたストッパーの高さを調節する事で、中板の高さ位置を調整することができ、簡便な機構でラバー膜の高さ制御が可能となる。
このように、更にストッパーを圧電素子で形成して、印加電圧を制御することによってストッパー厚さを可変とすれば、ラバー膜を自動で任意の高さに調節でき、ワークの研磨前の形状に合わせて、外周部分の形状をダレからハネに任意に自動調節でき、ワークを更に平坦に加工することができる。
このように、本発明に係る研磨ヘッドを備えた研磨装置を用いてワークの研磨を行えば、ワーク全体に均一な研磨荷重を掛けてワークを研磨する事ができ、ワーク全面に亘って、特に外周部において平坦性を高く維持して研磨する事ができる。
このように、センサーで測定した研磨ヘッド本体から研磨布までの距離に応じて中板およびラバー膜の高さを調節する第1の高さ調整機構を備える事でワークの加工前の形状に合わせて形状を修正する研磨ができ、その結果、研磨されたワークの表面平坦性を良好にすることができる。更に、センサーで測定した研磨ヘッド本体から研磨布までの距離に応じて研磨ヘッド本体の高さを調節する第2の高さ調整機構を備えることで、研磨ヘッド本体に繋がるガイドリングと研磨布間の隙間を一定に保ち、安定にワークを保持し、研磨速度の低下やワークの表面品質を劣化させないでワークの研磨加工ができる。
前述のように、特に半導体シリコンウェーハのワークの場合には、表面の平坦性とキズや欠陥等のない表面の完全性についてより高い水準が求められている。ラバーチャック方式の研磨ヘッドの場合、従来のセラミックプレート等に接着して研磨する方式の研磨ヘッドに比べてより高平坦な加工が可能ではあるが、ワークの特に外周部分において外周ダレ等が発生する問題があった。また、このような外周ダレを改善する目的で、ワークの保持面の外側にリテーナーリングを配置し、ワーク研磨加工中にワークの外側部分の研磨布を押圧して外周ダレを抑制する方式の研磨ヘッドも提案されているが、リテーナーリングからの異物等の影響でワーク表面にキズが発生したり、リテーナーリングで研磨布を押圧するためにワーク表面に研磨剤が十分に供給されず研磨速度の低下を引き起こす等の問題も発生していた。このような問題を解決し、ワークを高平坦に加工できる研磨ヘッド及び研磨装置を提供するために、本発明者らは、実験及び検討を行った。
従来のラバーチャック方式の研磨ヘッドは、図10(a)のように中板102aに凹部を設けて、該凹部開口端部にラバー膜104aを張設しているが、その為に、ラバー膜支持端がワーク保持部に近い構造となっており、ラバー膜支持端近傍は張力の影響で実効的なラバー膜の剛性が高くなり、ワークWの外周部分に掛かる圧力が高くなり、その結果、外周ダレが発生していた。また、図10(d)のようにラバー膜の支持部P(開口端部)の位置をワークWに対して上昇させて、外周部分の圧力を低減して外周ダレを抑制する方法も提案されているが、ラバー膜の支持端での張力のばらつきの影響でワークの周方向において形状が安定しない事がわかった。
図1は、本発明に係る研磨ヘッドの第一の態様を示している。この研磨ヘッド10は、末端部がOリング状となったブーツ状のラバー膜13(ラバー膜)を具備する。該ラバー膜13は、末端部のOリング部を、該Oリング部を保持するために設けられた円環状の溝を具備した略円盤状の中板12aと12bで挟持されている。ラバー膜13は、末端部のOリング等の挟み込み部のみで中板と接触し、該ラバー膜13の底面、側面は中板12bと接触しない状態で略円盤状の中板12a及び12bに挟持されている。また、ラバー膜13を挟持した略円盤状の中板12a及び12bは、フランジ構造の研磨ヘッド本体11に固定されている。研磨加工中にワークWのエッジを保持するための円環状のガイドリング19がワークWの外周に沿って配置され、該ガイドリング19は研磨ヘッド本体に連結されている。ラバー膜13で密閉された第1の密閉空間部14に第1の圧力調整機構15より流体が供給されることにより、該ラバー膜13が膨らみ、ワークW背面に荷重が掛かる構造となっている。
これによって、ワーク全面に亘って平坦性を従来に比べ高く維持することができ、外周部であってもハネやダレの発生が抑制されたワークを得ることができる研磨ヘッドとすることができる。
更に、リテーナーリング等を使用しないので、リテーナー材料などからの発塵が防止されているので、ワーク表面に傷が発生することを抑制することができる。そして、ワーク表面に研磨剤が十分に供給されるため、研磨速度の低下が引き起こされることが無い研磨ヘッドとすることができる。
そして、研磨ヘッド本体21は研磨加工中にワークWのエッジを保持するための円環状のガイドリング29が連結されており、研磨ヘッド本体21は第2の高さ調整機構27に連結されており、ガイドリング29の高さ方向の位置を上下に変化させる事ができる構造となっている。ガイドリング29の位置は、研磨布とガイドリングの隙間がワークWの厚みの25〜45%になるように調節する事ができる。
また、研磨布とガイドリングの隙間をワークの厚みの25〜45%に保つことで、ガイドリングと研磨布との隙間が小さすぎる時に起こる研磨剤の供給不足によって発生する研磨速度の低下を防止することができ、また、隙間が大きすぎる場合に研磨加工中にワークを保持できなくなることを防止することができる。
ボールネジを高さ調整機構に用いることによって、より精密な調節が容易となり、より高精度で安定した研磨が可能となる。
また、更にストッパーを圧電素子で形成して、ストッパー厚さを可変とすれば、ラバー膜を自動で任意の高さに調節でき、ワークの研磨前の形状に合わせて、外周部分の形状をダレからハネに任意に自動調節でき、ワークを更に平坦に加工することが容易となる。
このように、本発明に係る研磨ヘッドを備えた研磨装置を用いて、ワークの研磨を行えば、ワーク全体に均一な研磨荷重を掛けてワークを研磨する事ができ、ワーク全面に渡って、特に外周部において平坦性を高く維持して研磨する事ができる研磨装置とすることができる。
この測長用のセンサー57で、研磨布52までの距離(研磨布の厚さ)および研磨ヘッド本体55までの距離が測定され、その結果が第1の高さ調整機構58および第2の高さ調整機構59に送られる。
ワークWの厚さと研磨布52の厚さに応じて、ラバー膜の位置は、第1の高さ調整機構58により最適な位置に調整できるようになっている。また、ガイドリングの位置も同時に第2の高さ調整機構59を介して上下動機構により最適な位置に調整できるようになっている。
このように、センサーで測定した研磨ヘッド本体から研磨布までの距離に応じて中板、つまりラバー膜の高さを調節することができる第1の高さ調整機構を備える事でワークの加工前形状に合わせて形状を修正する研磨ができ、その結果、研磨されたワークの表面平坦性をより良好にすることができる。更に、センサーで測定した研磨ヘッド本体から研磨布までの距離に応じて研磨ヘッド本体の高さを調節する第2の高さ調整機構を備えることで、研磨ヘッド本体に連結されたガイドリングと研磨布との間の隙間を一定に保ち、安定にワークを保持し、研磨速度の低下やワークの表面品質を劣化させないでワークの研磨加工ができる。
(実施例)
図2に示したような、厚さ3mm、外径293mmの中板2枚をボルトで連結して、末端部が直径289mmでOリング状形状(直径2mm)を有した、厚さ1mm、下面部の外径301mm、高さ6.5mmのブーツ形状のラバー膜を挟持した。また、ラバー膜の周囲に内径302mmのガイドリングを配設した。ラバー膜の上下機構やガイドリングの上下機構としてボールネジを使用した機構を用いた。
研磨の際には、研磨剤にはコロイダルシリカを含有するアルカリ溶液を使用し、研磨ヘッドと定盤はそれぞれ31rpm、29rpmで回転させた。ワークの研磨荷重(押圧力)は、ラバー膜で密閉された第1の密閉空間部の圧力が20kPaとなるようにした。研磨時間は80秒とした。ガイドリングと研磨布との隙間は250μmとなるように調整し、ラバー膜の高さは、ワークの背面の高さを基準の0mmとして、ラバー膜がワークから離れる方向をマイナスとして、−0.25mm、−0.15mm、0mm、+0.05mm、+0.10mmの5条件に設定して夫々ワークの表面研磨加工を実施した。
基準高さ0mmの条件では、ワーク外周部まで平坦に研磨されており、良好な結果であった。
また、ラバー膜の位置を変更することで、ワークの中心から約140mmよりも外側部分の研磨代が変化することも確認された。例えば、ワークを押し付けた+0.20mmの場合、ワークの外周部をダレ形状にすることができる。また、ラバー膜の外周部の膨らみを小さくした−0.25mmの場合、ワークの外周部を跳ね形状にすることができる。
図9に示したような、周囲にガイドリングを配設したワーク保持盤にバッキングフィルムを介してワークを保持するような研磨ヘッドを備えた研磨装置で、実施例と同じようにワークWの表面研磨加工を実施した。但し、ワークWに対して単位荷重として20kPaが掛かるように保持プレートに直接に荷重を加えた。
図10(b)で示したような、ラバー膜支持端がワーク保持部に近接した研磨ヘッドを備えた研磨装置で、実施例と同じようにワークの表面研磨加工を実施した。
(比較例2−2)
図10(d)で示したような研磨ヘッドを備えた研磨装置で、実施例と同じようにワークの表面研磨加工を実施した。また、ラバー膜の支持点Pは、比較例2−1に対しての上昇量は0.2mmとした。
前述したように、実施例の研磨ヘッドを用いて研磨したワークは、ワーク外周部まで平坦に研磨されており、良好な結果であった。
これに対し、比較例1の場合、保持プレートの凹凸の影響で、ワークの面内で微小に研磨代がばらついており、更に外周部分の研磨代が多くなっていた。
また、比較例2−1の場合、中板の凹部開口端部でラバー膜が支持されており、その付近の弾性膜の実効的な剛性が高くなり、ワークの外周部分に掛かる圧力が高くなり、ワークの外周部分の研磨代が極端に大きくなっている。
そして比較例2−2では、ラバー膜の支持点位置を比較例2−1に対して0.2mm上昇させたことで、若干、最外周部分のダレは改善されているが、逆に120mm付近から跳ね上がり形状となっており、研磨代均一性は悪化する結果となった。
また、研磨装置の構成も図5に示したものに限定されず、例えば本発明に係る研磨ヘッドを複数備えた研磨装置とすることもできる。
20…研磨ヘッド、 21…研磨ヘッド本体、 22a、22b…中板、 23…ラバー膜、 26…第1の高さ調整機構、 27…第2の高さ調整機構、 29…ガイドリング、
33…ラバー膜、
40…研磨ヘッド、 41…研磨ヘッド本体、 42a、42b…中板、 43…ラバー膜、 46…第2の密閉空間部、 47…弾性膜、 48…第2の圧力調整機構、 50…ストッパー、
51…研磨装置、 52…研磨布、 53…定盤、 54…研磨剤供給機構、 55…研磨ヘッド、 56…研磨剤、 57…センサー、 58…第1の高さ調整機構、 59…第2の高さ調整機構、
81…研磨装置、 82…研磨布、 83…定盤、 84…研磨剤供給機構、 85…研磨ヘッド、 86…研磨剤、
91…研磨ヘッド本体、 92…ワーク保持盤、 93…バッキングフィルム、
101a…研磨ヘッド本体、 102a、102b…中板、 103a…第1の密閉空間部、 104a、104b…ラバー膜、 105a…第1の圧力調整機構、 106a…弾性膜、 107a…第2の密閉空間部、 108a…第2の圧力調整機構、 109a…ガイドリング、 109c…リテーナーリング、 110c…弾性膜、 111c…第3の密閉空間部、 112c…第3の圧力調整機構、
W…ワーク。
Claims (8)
- 少なくとも、研磨ヘッド本体の下部に、略円盤状の中板と、該中板に保持され少なくとも中板の下面部と側面部とを覆うラバー膜と、前記ラバー膜の周囲に設けられた円環状のガイドリングとを具備し、
前記中板と前記ラバー膜で囲まれた第1の密閉空間部を有し、第1の圧力調整機構で前記第1の密閉空間部の圧力を変化させることができるように構成され、
前記ラバー膜の下面部にワークの裏面を保持し、該ワークの表面を定盤上に貼り付けた研磨布に摺接させて研磨する研磨ヘッドにおいて、
前記ラバー膜は、前記中板に保持される末端部分がOリング状に形成され、前記中板は、上下に2枚に分割可能に形成されたものであって、
前記中板と前記ラバー膜は、前記中板の少なくとも下面部の全面と側面部との間に隙間を有するものであり、前記ラバー膜は前記中板に、前記ラバー膜のOリング状の末端部分を前記分割された中板に挟み込むことで保持されるものであることを特徴とする研磨ヘッド。 - 前記中板は、前記研磨ヘッド本体から分離されており、該中板の高さ方向の位置を前記研磨ヘッド本体から独立して調整する第1の高さ調整機構を具備するものであることを特徴とする請求項1に記載の研磨ヘッド。
- 前記研磨ヘッド本体は、前記中板から分離されており、該研磨ヘッド本体の高さ方向の位置を前記中板から独立して調整する第2の高さ調整機構を具備するものであって、該第2の高さ調整機構は前記研磨布と前記ガイドリングとの隙間の距離を前記ワークの厚みの25〜45%の幅に保つものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の研磨ヘッド。
- 前記第1の高さ調整機構および前記第2の高さ調整機構は、ボールネジを用いたものであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の研磨ヘッド。
- 前記中板と前記研磨ヘッド本体とを連結する弾性膜と、前記研磨ヘッド本体に取り付けられたストッパーとを具備し、
前記中板と前記研磨ヘッド本体と前記弾性膜で囲まれた第2の密閉空間部を有し、第2の圧力調整機構で前記第2の密閉空間部の圧力を変化させることができるように構成され、
前記第1の高さ調整機構が、前記ストッパーであることを特徴とする請求項2に記載の研磨ヘッド。 - 前記ストッパーは、圧電素子であることを特徴とする請求項5に記載の研磨ヘッド。
- ワークの表面を研磨する際に使用する研磨装置であって、少なくとも、定盤上に貼り付けられた研磨布と、該研磨布上に研磨剤を供給するための研磨剤供給機構と、前記ワークを保持するための研磨ヘッドとして、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の研磨ヘッドを具備することを特徴とする研磨装置。
- 前記研磨ヘッド本体から前記研磨布までの距離を非接触で検出するセンサーと、前記第1の高さ調整機構と、前記第2の高さ調整機構とを具備し、
前記第1の高さ調整機構は、前記センサーにて検出された前記研磨ヘッド本体から前記研磨布までの距離に応じて前記中板および前記ラバー膜の高さ方向の位置を調整し、前記第2の高さ調整機構は、前記センサーにて検出された前記研磨ヘッド本体から前記研磨布までの距離に応じて前記研磨布と前記ガイドリングとの隙間の高さ方向の位置を調整するものであることを特徴とする請求項7に記載の研磨装置。
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