JP5042263B2 - ポリアミド組成物 - Google Patents
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Description
また、家電などの電気及び電子産業において、表面実装(SMT)ハンダの鉛フリー化に対応すべく、ハンダの融点上昇に耐えることができる、ポリアミド材料に対する高耐熱化が要求されている。
PA6及びPA66などのポリアミドでは、融点が低く、耐熱性の点でこれらの要求を満たすことができない。
しかしながら、PA6Tは、融点が370℃程度という高融点ポリアミドであるため、溶融成形により成形品を得ようとしても、ポリアミドの熱分解が激しく起こり、十分な特性を有する成形品を得ることが難しい。
特許文献2には、ジカルボン酸単位として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を1〜40%配合した半脂環族ポリアミドの電気及び電子部材はハンダ耐熱性が向上することが開示され、特許文献3には、自動車部品では、流動性及び靭性などに優れることが開示されている。
また、特許文献5には、トランス/シス比が50/50から97/3である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を原料として用いたポリアミドが、耐熱性、低吸水性、及び耐光性などに優れることが開示されている。
特許文献4及び5に開示されたポリアミドも、靭性、剛性、及び流動性の面で改善が不十分である。
(1)
(A)(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)少なくとも50モル%の、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させたポリアミドと、
(B)ハロゲン系難燃剤と、を含有するポリアミド組成物。
(2)
前記主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが、2−メチルペンタメチレンジアミンである、(1)に記載のポリアミド組成物。
(3)
前記脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、(1)又は(2)に記載のポリアミド組成物。
(4)
前記ジカルボン酸が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸をさらに含む、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド組成物。
(5)
前記(A)ポリアミドが、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させたポリアミドである、(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド組成物。
(6)
前記(A)ポリアミドの融点が、270〜350℃である、(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアミド組成物。
(7)
前記(A)ポリアミドにおけるトランス異性体比率が、50〜85%である、(1)〜(6)のいずれかに記載のポリアミド組成物。
(8)
前記(A)ポリアミド100質量部に対して、前記(B)ハロゲン系難燃剤30〜60質量部を含有する、(1)〜(7)のいずれかに記載のポリアミド組成物。
(9)
前記(B)ハロゲン系難燃剤が臭素化ポリスチレンである、(1)〜(8)のいずれかに記載のポリアミド組成物。
(10)
前記(A)ポリアミド100質量部に対して、前記(B)ハロゲン系難燃剤30〜60質量部、(C)難燃助剤0〜30質量部、(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体0〜20質量部、及び(E)無機充填材0〜200質量部を含有する、(1)〜(9)のいずれかに記載のポリアミド組成物。
(11)
前記(C)難燃助剤が、酸化アンチモン類及び/又は水酸化マグネシウムである、(10)に記載のポリアミド組成物。
(12)
(1)〜(11)のいずれかに記載のポリアミド組成物からなる成形品。
(13)
(1)〜(11)のいずれかに記載のポリアミド組成物を含む電気及び電子用部品。
(A)ポリアミドと、(B)ハロゲン系難燃剤と、を含有する。
本実施の形態において用いられるポリアミドは、下記(a)及び(b)を重合させたポリアミドである:
(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸、
(b)少なくとも50モル%の、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミン。
本実施の形態において、ポリアミドとは主鎖中にアミド(−NHCO−)結合を有する重合体を意味する。
本実施の形態に用いられる(a)ジカルボン酸は、少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含む。
(a)ジカルボン酸として、脂環族ジカルボン酸を少なくとも50モル%含むことにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性などを同時に満足する、ポリアミドを得ることができる。
脂環族ジカルボン酸は、無置換でも置換基を有していてもよい。
脂環族ジカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
原料モノマーとしての脂環族ジカルボン酸は、トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、トランス体とシス体の種々の比率の混合物として用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸は、高温で異性化し一定の比率になることやシス体の方がトランス体に比べて、ジアミンとの当量塩の水溶性が高いことから、原料モノマーとして、トランス体/シス体比がモル比にして、好ましくは50/50〜0/100であり、より好ましくは40/60〜10/90であり、さらに好ましくは35/65〜15/85である。
脂環族ジカルボン酸のトランス体/シス体比(モル比)は、液体クロマトグラフィー(HPLC)やNMRにより求めることができる。
種々の置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基などのハロゲン基、炭素数3〜10のアルキルシリル基、並びにスルホン酸基及びナトリウム塩などのその塩である基などが挙げられる。
中でも、耐熱性及び低吸水性などの観点で、炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、及びエイコサン二酸などが挙げられる。
中でも、耐熱性などの観点で、セバシン酸及びドデカン二酸が好ましい。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
多価カルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸中の(a−2)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸の割合は、0〜50モル%であり、0〜40モル%であることが好ましい。
ジカルボン酸と等価な化合物としては、上記ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構造と同様のジカルボン酸構造となり得る化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ジカルボン酸の無水物及びハロゲン化物などが挙げられる。
本実施の形態に用いられる(b)ジアミンは、少なくとも50モル%の、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含む。
(b)ジアミンとして、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを少なくとも50モル%含むことにより、流動性、靭性、及び剛性などを同時に満足する、ポリアミドを得ることができる。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、剛性などの観点で、2−メチルペンタメチレンジアミンであることが好ましい。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
多価脂肪族アミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態において用いられるポリアミドは、靭性の観点で、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させることが好ましい。
本実施の形態に用いられる(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸とは、重縮合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味する。
ラクタム及び/又はアミノカルボン酸としては、好ましくは、炭素数4〜14のラクタム及び/又はアミノカルボン酸であり、より好ましくは、炭素数6〜12のラクタム及び/又はアミノカルボン酸である。
中でも、靭性の観点で、ε−カプロラクタム、ラウロラクタムなどが好ましく、ε−カプロラクタムがより好ましい。
アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸などが挙げられ、アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸なども挙げられる。
末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類などが挙げられ、ポリアミドの熱安定性の観点で、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。
末端封止剤としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
モノカルボン酸としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
モノアミンとしては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの組み合わせをポリアミドの成分として重合させることにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性に優れることを同時に満足する高融点ポリアミドとすることができる。
ポリアミド中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率は、ポリアミド中の脂環族ジカルボン酸全体中のトランス異性体である比率を表し、トランス異性体比率は、好ましくは50〜85モル%であり、より好ましくは50〜80モル%であり、さらに好ましくは60〜80モル%である。
(a−1)脂環族ジカルボン酸としては、トランス体/シス体比(モル比)が50/50〜0/100である脂環族ジカルボン酸を用いることが好ましいが、(a)ジカルボン酸と(b)ジアミンの重合により得られるポリアミドとしては、トランス異性体比率が50〜85モル%であることが好ましい。
トランス異性体比率が上記範囲内にあることにより、ポリアミドは、高融点、靭性及び剛性に優れるという特徴に加えて、高いガラス転移温度による熱時剛性と、通常では耐熱性と相反する性質である流動性と、高い結晶性及び低吸水性とを同時に満足するという性質を持つ。
ポリアミドのこれらの特徴は、(a)少なくとも50モル%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、(b)少なくとも50モル%の2−メチルペンタメチレンジアミンの組み合わせからなり、かつトランス異性体比率が50〜85モル%であるポリアミドで特に顕著である。
本実施の形態において、トランス異性体比率は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリアミドの製造方法としては、ポリアミドの重合度を上昇させる工程を、さらに含むことが好ましい。
1)ジカルボン酸及びジアミンの水溶液又は水の懸濁液、又はジカルボン酸及びジアミン塩と他の成分との混合物(以下、本段落において、「その混合物」と略称する。)の水溶液又は水の懸濁液を、加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)、
2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と略称する場合がある。)、
3)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにニーダーなどの押出機で再び溶融して重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・押出重合法」と略称する場合がある。)、
4)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・固相重合法」と略称する場合がある。)、
5)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」と略称する場合がある)、
6)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド及びジアミンを用いて重合させる方法「溶液法」。
トランス異性体比率を上記範囲内に、特に、80%以下に維持することにより、色調や引張伸度に優れ、高融点のポリアミドを得ることができる。
ポリアミドの製造方法において、重合度を上昇させてポリアミドの融点を上昇させるために、加熱の温度を上昇させたり、及び/又は加熱の時間を長くする必要が生ずるが、その場合、加熱によるポリアミドの着色や熱劣化による引張伸度の低下が起こる場合がある。また、分子量の上昇する速度が著しく低下する場合がある。
ポリアミドの着色や熱劣化による引張伸度の低下を防止することができるため、トランス異性体比率を80%以下に維持して重合することが好適である。
重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、及びニーダーなどの押出機型反応器などが挙げられる。
バッチ式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒として、ポリアミド成分((a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、及び、必要に応じて、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸)を含有する約40〜60質量%の溶液を、110〜180℃の温度及び約0.035〜0.6MPa(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65〜90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。次いで、該濃縮溶液をオートクレーブに移し、容器における圧力が約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。その後、水及び/又はガス成分を抜きながら圧力を約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)に保ち、温度が約250〜350℃に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。その後、窒素などの不活性ガスで加圧し、ポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。該ストランドを、冷却、カッティングしてペレットを得る。
連続式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒としてポリアミド成分を含有する約40〜60質量%の溶液を、予備装置の容器において約40〜100℃まで予備加熱し、次いで、濃縮層/反応器に移し、約0.1〜0.5MPa(ゲージ圧)の圧力及び約200〜270℃の温度で約70〜90%に濃縮して濃縮溶液を得る。該濃縮溶液を約200〜350℃の温度に保ったフラッシャーに排出し、その後、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧する。その後、ポリアミド溶融物は押し出されてストランドとなり、冷却、カッティングされペレットとなる。
本実施の形態におけるポリアミドの分子量は、靭性及び剛性などの機械物性並びに成形性などの観点で、JIS−K6810に準じて測定した98%硫酸中濃度1%、25℃の相対粘度ηrにおいて、好ましくは1.5〜7.0であり、より好ましくは1.7〜6.0であり、さらに好ましくは1.9〜5.5である。
25℃の相対粘度の測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K6810に準じて行うことができる。
ポリアミドの融点Tm2を270℃以上とすることにより、耐熱性に優れるポリアミドとすることができる。ポリアミドの融点Tm2を350℃以下とすることにより、押出、成形などの溶融加工でのポリアミドの熱分解などを抑制することができる。
融点及び融解熱量の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCなどが挙げられる。
ガラス転移温度を90℃以上とすることにより、耐熱性や耐薬品性に優れるポリアミドとすることができる。また、ガラス転移温度を170℃以下とすることにより、外観のよい成形品を得ることができる。
ガラス転移温度の測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K7121に準じて行うことができる。
ガラス転移温度の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCなどが挙げられる。
溶融せん断粘度は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
溶融せん断粘度が上記範囲内にあることにより、流動性に優れるポリアミドを得ることができる。
引張強度の測定は、下記実施例に記載するように、ASTM D638に準じて行うことができる。
引張強度が70MPa以上であることにより、剛性に優れるポリアミドを得ることができる。
引張伸度の測定は、下記実施例に記載するように、ASTM D638に準じて行うことができる。
引張伸度が3.0%以上であることにより、靭性に優れるポリアミドを得ることができる。
吸水率は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
吸水率が5.0%以下であることにより、低吸水性に優れるポリアミドを得ることができる。
本実施の形態のポリアミド組成物は、前記(A)ポリアミドと、(B)ハロゲン系難燃剤と、を含有するポリアミド組成物である。
本実施の形態におけるポリアミド組成物として、(B)ハロゲン系難燃剤を含有することにより、耐熱性、流動性、靭性、剛性、及び低吸水性に優れるポリアミドの性質を損なうことなく、ポリアミド組成物としても、耐熱性、流動性、靭性、剛性、及び低吸水性に優れ、さらに、難燃性に優れるポリアミド組成物とすることができる。
また、本実施の形態のポリアミド組成物は、(B)ハロゲン系難燃剤を含有しても、耐光性に優れ、ポリアミド組成物の色調としても優れるものである。
これら難燃剤を1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
臭素化ポリスチレン中の臭素含有量は55〜75質量%が好ましい。臭素含有量を55質量%以上とすることにより、少ない臭素化ポリスチレンの配合量で難燃化に必要な臭素量を満足させることができ、ポリアミドの有する性質を損なうことなく、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び剛性に優れ、かつ難燃性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。また、臭素含有量を75質量%以下とすることにより、押出や成形などの溶融加工時において熱分解を起こし難く、ガス発生などを抑制することができたり、耐熱変色性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
本実施の形態において用いられる(C)難燃助剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウムなどの酸化アンチモン類、一酸化スズ、二酸化スズなどの酸化スズ、酸化第二鉄、γ酸化鉄などの酸化鉄類、その他酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アルミニウム(ベーマイト)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化ニッケル、酸化銅、及び酸化タングステンなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、及び水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物;アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、スズ、アンチモン、ニッケル、銅、及びタングステンなどの金属粉末;炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸バリウムなどの金属炭酸塩;ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、及びホウ酸アルミニウムなどの金属ホウ酸塩;並びにシリコーン;などが挙げられる。
これら難燃助剤を1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
平均粒径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置や精密粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
本実施の形態において用いられる(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体としては、例えば、α,β不飽和ジカルボン酸無水物を共重合成分して含む重合体やα,β不飽和ジカルボン酸無水物で変性された重合体などが挙げられる。
一般式(1):
α,β不飽和ジカルボン酸無水物を共重合成分して含む重合体としては、例えば、芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体などが挙げられる。
α,β不飽和ジカルボン酸無水物で変性された重合体としては、例えば、α,β不飽和ジカルボン酸無水物で変性されたポリフェニレンエーテル樹脂やポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
一般式(2):
本実施の形態において、(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体が、芳香族ビニル化合物成分を含む場合には、芳香族ビニル化合物成分がハロゲン系難燃剤(臭素化ポリスチレンなど)と親和しており、また、α,β不飽和ジカルボン酸無水物部分がポリアミドと親和ないし反応することにより、ポリアミドマトリックス中に(B)ハロゲン系難燃剤が分散するのを助け、ハロゲン系難燃剤を微分散させることができると考えられる。
α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分の割合を1質量%以上とすることにより、靭性及び剛性などの機械物性及び難燃性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。また、α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分の割合を50質量%以下とすることにより、α,β不飽和ジカルボン酸無水物によるポリアミド組成物の劣化を防止することができる。
無機充填材としては、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(E)無機充填材としては、ウォラストナイトがより好ましく、ウォラストナイトの中でも、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が10〜500μmであり、前記アスペクト比(L/D)が3〜100であるものがさらに好ましく用いられる。
さらに、(E)無機充填材としては、タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素などがより好ましく、タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素などの中でも、数平均繊維径が0.1〜3μmであるものがさらに好ましく用いられる。
(A)ポリアミドと(B)ハロゲン系難燃剤の混合方法としては、例えば、(A)ポリアミドと(B)ハロゲン系難燃剤と、任意に、(C)難燃助剤、(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体、及び/又は(E)無機充填材とをヘンシェルミキサーなどを用いて混合し溶融混練機に供給し混練する方法や、単軸又は2軸押出機で(A)ポリアミドと(B)ハロゲン系難燃剤と、任意に、(C)難燃助剤及び/又は(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体とを予めヘンシェルミキサーなどを用いて混合したものを溶融混練機に供給し混練した後に、任意に、サイドフィダーから(E)無機充填材を配合する方法などが挙げられる。
溶融混練時間は、0.5〜5分程度であることが好ましい。
溶融混練を行う装置としては、公知の装置、例えば、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー、及びミキシングロールなどの溶融混練機が好ましく用いられる。
ポリアミド組成物中の(B)ハロゲン系難燃剤の配合量は、(A)ポリアミド100質量部に対して、好ましくは30〜60質量部であり、より好ましくは35〜55質量部であり、さらに好ましくは40〜50質量部である。
(B)ハロゲン系難燃剤の配合量を30質量部以上とすることにより、難燃性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。また、(B)ハロゲン系難燃剤の配合量を60質量部以下とすることにより、溶融混練時に分解ガスの発生、成形加工時の流動性の低下や、成形金型に汚染性物質の付着を抑制することができる。さらに、靭性及び剛性などの機械物性や成形品外観の低下も抑制することができる。
(C)難燃助剤を配合することにより、さらに難燃性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。また、(C)難燃助剤の配合量を30質量部以下とすることにより、溶融加工時の粘度適切な範囲に制御することができ、押出時のトルクの上昇、成形時の成形性の低下及び成形品外観の低下を抑制することができる。また、靭性及び剛性などの機械物性に優れるポリアミドの性質を損なうことなく、靭性などに優れるポリアミド組成物を得ることができる。
(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体を配合することにより、相溶化によるポリアミド組成物中での(B)ハロゲン系難燃剤の微分散効果を高めることができ、難燃性や強度の向上効果に優れるポリアミド組成物を得ることができる。また、(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体の配合量を20質量部以下とすることにより、靭性及び剛性などの機械物性に優れるポリアミドの性質を損なうことなく、強度などに優れるポリアミド組成物を得ることできる。
α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分の量を0.02質量%以上とすることにより、ハロゲン系難燃剤の微分散を十分なものとすることができ、難燃性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。また、α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分の量を1.00質量%以下とすることによりα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分によるポリアミドとの親和による、ポリアミド組成物の溶融粘度の上昇を抑制でき、加工性に優れる適正な溶融粘度とすることができる。
無機充填材を配合することにより、ポリアミド組成物の靭性及び剛性などの機械物性が良好に向上し、また、無機充填材の配合量を240質量部以下、好ましくは200質量部以下とすることにより、成形性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
引張強度の測定は、下記実施例に記載するように、ASTM D638に準じて行うことができる。
引張強度が160MPa以上であることにより、剛性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
引張伸度の測定は、下記実施例に記載するように、ASTM D638に準じて行うことができる。
引張伸度の測定は、下記実施例に記載するように、ASTM D638に準じて行うことができる。
引張伸度が2,1%以上であることにより、靭性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
吸水率は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
吸水率が4.0%以下であることにより、低吸水性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
ポリアミド組成物の難燃性は、好ましくはV−2以上であり、より好ましくはV−1以上であり、さらに好ましくはV−0である。
流動長は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
流動長が15cm以上であることにより、流動性に優れるポリアミド組成物を得ることができる。
本実施の形態のポリアミド組成物は、周知の成形方法、例えば、プレス成形、射出成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形、及び溶融紡糸などを用いて各種成形品を得ることができる。
本実施の形態のポリアミド組成物から得られる成形品は、耐熱性、靭性、成形性に優れ、かつ難燃性に優れる。したがって、本実施の形態のポリアミド組成物は、自動車用、機械工業用、電気及び電子用、産業資材用、及び日用及び家庭品用などの各種部品材料として、また、押出用途などに好適に用いることができる。中でも、ワイヤーハーネスコネクターなどの自動車電装部品や表面実装に要求されるリフローはんだ工程でのリフロー性(低吸水かつ耐熱性を必要とする)に優れるためにSMT(表面実装技術)対応のコネクター、スイッチ類、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、スイッチなどの電気及び電子用部品に好適に用いることができる。
実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。なお、本実施例において、1Kg/cm2は、0.098MPaを意味する。
本実施例において下記化合物を用いた。
(a)ジカルボン酸
(1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA) イーストマンケミカル製 商品名 1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体(モル比)=25/75)
(2)テレフタル酸(TPA) 和光純薬工業製 商品名 テレフタル酸
(3)アジピン酸(ADA) 和光純薬工業製 商品名 アジピン酸
(4)スベリン酸(C8DA) 和光純薬工業製 商品名 スベリン酸
(5)アゼライン酸(C9DA) 和光純薬工業製 商品名 アゼライン酸
(6)セバシン酸(C10DA) 和光純薬工業製 商品名 セバシン酸
(7)ドデカン二酸(C12DA) 和光純薬工業製 商品名 ドデカン二酸
(8)テトラデカン二酸(C14DA) 東京化成工業製 商品名 テトラデカン二酸
(9)ヘキサデカン二酸(C16DA) 東京化成工業製 商品名 ヘキサデカン二酸
(10)2−メチルペンタメチレンジアミン(2MPD) 東京化成工業製 商品名 2−メチル−1,5−ジアミノペンタン
(11)ヘキサメチレンジアミン(HMD) 和光純薬工業製 商品名 ヘキサメチレンジアミン
(12)1,9−ノナメチレンジアミン(NMD) アルドリッチ製 商品名 1,9−ノナンジアミン
(13)2−メチルオクタメチレンジアミン(2MOD) 特開平05−17413号公報に記載されている製法を参考にして製造した。
(14)2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミンと2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミンの混合物(TMHD) アルドリッチ製 商品名 C,C,C−1,6−ヘキサメチレンジアミン
(15)ε−カプロラクタム(CPL) 和光純薬工業製 商品名 ε−カプロラクタム
(16)臭素化ポリスチレン ALBEMARLE CORPORATION製 商品名 SAYTEX(登録商標)HP−7010G (元素分析より 臭素含有量:63質量%)
(17)三酸化二アンチモン 第一エフ・アール製 商品名 三酸化アンチモン
(18)水酸化マグネシウム 協和化学製 商品名 キスマ(登録商標)5、平均粒径:0.8μm
(19)スチレンと無水マレイン酸の共重合体 NOVA Chemicals製 商品名 DYLARK(登録商標)332(スチレン85質量%及び無水マレイン酸15質量%の共重合体)
(20)ガラス繊維(GF) 日本電気硝子製 商品名 ECS03T275H 平均繊維径10μmφ、カット長3mm
(a−1)脂環族ジカルボン酸のモル%は、(原料モノマーとして加えた(a−1)脂環族ジカルボン酸のモル数/原料モノマーとして加えた全ての(a)ジカルボン酸のモル数)×100として、計算により求めた。
(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル%は、(原料モノマーとして加えた(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル数/原料モノマーとして加えた全ての(b)ジアミンのモル数)×100として、計算により求めた。
また、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸の・BR>c求唐ヘ、(原料モノマーとして加えた(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル数/原料モノマーとして加えた、全ての(a)ジカルボン酸のモル数+(b)全てのジアミンのモル数+(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸のモル数)×100として、計算により求めた。
なお、上記式により計算する際に、分母及び分子には、追添分として加えた(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル数は含まれない。
(1)融点Tm1、Tm2(℃)
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点に応じて300〜350℃まで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、昇温の最高温度の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最大ピーク温度を融点Tm2(℃)とし、その全ピーク面積を融解熱量ΔH(J/g)とした。なお、ピークが複数ある場合には、ΔHが1J/g以上のものをピークとみなした。例えば、融点295℃、ΔH=20J/gと融点325℃、ΔH=5J/gの二つのピークが存在する場合、融点は325℃とした。
ポリアミド30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、1H−NMRで測定した。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積とシス異性体に由来する1.77ppmと1.86ppmのピーク面積の比率からトランス異性体比率を求めた。
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。測定条件は、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させ、測定サンプルとした。そのサンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、30〜350℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定した。
JIS−K6810に準じて実施した。具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作成し、25℃の温度条件下で測定した。
ASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)を用いて、ASTM D638に準じて行った。成形試験片は、射出成形機(日精樹脂(株)製PS40E)にASTM引張試験(ASTM D638)用のダンベル試験片(3mm厚)の金型(金型温度=Tg+20℃)を取り付けて、シリンダー温度=(Tm2+10)℃〜(Tm2+30)℃で成形を行った。
ASTM引張試験用のダンベル射出成形試験片(3mm厚)を成形後の絶乾状態(dry as mold)で、試験前質量(吸水前質量)を測定した。80℃の純水中に24時間浸漬させた。その後、水中から試験片を取り出し、表面の付着水分をふき取り、恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下に30分放置後、試験後質量(吸水後質量)を測定した。吸水前質量に対しての吸水後質量の増分を吸水量とし、吸水前質量に対する吸水量の割合を、試行数n=3で求め、その平均値を吸水率(%)とした。
UL94(米国Under Writers Laboratories Incで定められた規格)の方法を用いて測定を行った。なお試験片(長さ127mm、幅12.7mm、厚みは1/32インチ)は射出成形機(日精樹脂(株)製PS40E)にUL試験片の金型(金型温度=Tg+20℃)を取り付けて、シリンダー温度=Tm2+20℃で成形を行った。射出圧力はUL試験片成形する際の完全充填圧力+2%の圧力で行った。
難燃等級には、UL94規格(垂直燃焼試験)に準じた。また、V−2不合格のものは、V−2outと記載した。
下記条件に設定した成形機で2mm厚×15mm幅を成形してその流動長(充填された長さ、cm)から流動性を評価した。
射出成形機(日精樹脂(株)製FN3000)に、流動性評価(2mm厚×15mm幅のスパイラル流路)の金型(金型温度=Tg+20℃)を取り付けて、シリンダー温度=Tm2+20℃、射出速度は20%設定、射出圧力は、34%設定で成形を行った。
[製造例1]
「熱溶融重合法」によりポリアミドの重合反応を実施した。
(a)CHDA896g(5.20モル)、及び(b)2MPD604g(5.20モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作った。該均一水溶液に2MPD15g(0.13モル)を追添した。
得られた水溶液を内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5Kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。槽内の圧力を約2.5Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約30Kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30Kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、最終温度−50℃になるまで加熱を続けた。液温が最終温度−50℃(ここでは300℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0Kg/cm2)になるまで120分ほどかけながら降圧した。
その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約350℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で400torrの減圧下に30分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、ポリアミドを得た。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表4(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率及び25℃の相対粘度)に示す。
製造例1において、(a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、及び(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸として、表1又は2に記載の化合物と量を用いたことと、樹脂温度の最終温度を表4又は5に記載の温度にしたこと以外は、製造例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った(「熱溶融重合法」)。
得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表4及び5に示す。
製造例1において、(a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、及び(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸として、表3に記載の化合物と量を用いたことと、樹脂温度の最終温度を表6に記載の温度にしたこと以外は、製造例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った(「熱溶融重合法」)。
比較製造例1においては、重合途中で、オートクレーブ内で固化したため、ストランドでの取り出しができなかったので、冷却後、塊で取り出し、粉砕機にて粉砕して、ペレットくらいの大きさにした。成形は発泡が激しかったため、成形品が得られなかった。
製造例1において、(a)ジカルボン酸、(b)ジアミン、及び(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸として、表3に記載の化合物と量を用いたことと、樹脂温度の最終温度を表6に記載の温度にしたこと以外は、製造例1に記載した方法でポリアミドの重合を行った(「熱溶融重合法」)。得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を表6に示す。
[実施例1]
製造例1のポリアミドを窒素気流中で乾燥し水分率を約0.2質量%に調整して用いた。2軸押出機(東芝機械(株)製TEM35φL/D=47.6、設定温度はポリアミドの融点(Tm2)+20℃(具体的には、製造例1のポリアミドを用いる場合、327+20=347℃)とした、スクリュー回転数300rpm、吐出量50kg/hr)を用いて、押出機最上流部に設けられたトップフィード口より(A)ポリアミド、(B)ハロゲン系難燃剤、(C)難燃助剤、及び(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体を予めブレンドしたものを供給し、押出し機下流側(トップフィード口より供給された樹脂が十分溶融している状態)のサイドフィード口より(E)無機充填材を供給し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズしてポリアミド組成物ペレットを得た。配合量は(A)ポリアミド100質量部に対して、(B)ハロゲン系難燃剤45.0質量部、(C)難燃助剤7.0質量部、(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体4.0質量部、及び(E)無機充填材70.0質量部とした。得られたポリアミド組成物の上記測定方法に基づいて行った測定結果を表4に示す。
製造例1のポリアミドに代えて製造例2〜21のポリアミドを用いる以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド組成物の上記測定方法に基づいて行った測定結果を表4及び5に示す。
(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体を配合せずに、(C)難燃助剤15.0質量部、及び(E)無機充填材75.0質量部とした以外は実施例5と同様に実施した。得られたポリアミド組成物の上記測定方法に基づいて行った測定結果を表5に示す。
(C)難燃助剤として水酸化マグネシウムを7.0質量部とした以外は実施例5と同様に実施した。得られたポリアミド組成物の上記測定方法に基づいて行った測定結果を表5に示す。
製造例1のポリアミドに代えて比較製造例1のポリアミドを用いる以外は実施例73と同様に実施しようとしたが、押出状態が非常に不安定で、ポリアミド組成物を得ることができなかった。
[比較例2〜7]
製造例1のポリアミドに代えて比較製造例2〜7のポリアミドを用いる以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド組成物の上記測定方法に基づいて行った測定結果を表6に示す。
これに対して、50モル%未満の50モル%未満の主鎖から分岐した置換基を持つジアミン(2−メチルペンタメチレンジアミン)を重合させたポリアミド(比較製造例1)を含有する比較例1では、押出状態が不安定なものであり、ポリアミド組成物を得ることができなかった。
また、50モル%未満の脂環族ジカルボン酸を重合させたポリアミド(比較製造例2、3、及び6)を含有する比較例2、3及び6では、耐熱性や剛性の点で十分なものではなかった。
さらに、特許文献1に開示されるように、脂環族ジカルボン酸の代わりに芳香族ジカルボン酸を用いて製造したポリアミド(比較製造例4)や比較製造例5のポリアミドを含有する比較例4及び5では、流動長が短く、流動性が低すぎるものであり、成形性の点で十分なものではなかった。また、引張伸度が小さく、靭性も十分ではなかった。
PA66(比較製造例7)を含有する比較例7では、耐熱性及び低吸水性の点で劣るものであった。
Claims (13)
- (A)(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)少なくとも50モル%の、炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミンを含むジアミンと、を重合させたポリアミドと、
(B)ハロゲン系難燃剤と、を含有するポリアミド組成物。 - 前記炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミンが、2−メチルペンタメチレンジアミンである、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 前記脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である、請求項1又は2に記載のポリアミド組成物。
- 前記ジカルボン酸が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 前記(A)ポリアミドが、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させたポリアミドである、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 前記(A)ポリアミドの融点が、270〜350℃である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 前記(A)ポリアミドにおけるトランス異性体比率が、50〜85%である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 前記(A)ポリアミド100質量部に対して、前記(B)ハロゲン系難燃剤30〜60質量部を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 前記(B)ハロゲン系難燃剤が臭素化ポリスチレンである、請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 前記(A)ポリアミド100質量部に対して、前記(B)ハロゲン系難燃剤30〜60質量部、(C)難燃助剤0〜30質量部、(D)α,β不飽和ジカルボン酸無水物を含む重合体0〜20質量部、及び(E)無機充填材0〜200質量部を含有する、請求項1〜9のいずれかに記載のポリアミド組成物。
- 前記(C)難燃助剤が、酸化アンチモン類及び/又は水酸化マグネシウムである、請求項10に記載のポリアミド組成物。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のポリアミド組成物からなる成形品。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のポリアミド組成物を含む電気及び電子用部品。
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