JP5040916B2 - タンク用開閉装置 - Google Patents
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Description
燃料タンクへ燃料を供給する注入口を開閉するタンク用開閉装置において、
上記注入口と、該注入口を通じて給油ガンから供給される燃料を燃料タンクへ導く燃料通路とを有するタンク開口形成部材と、
弁体を備え、該弁体が上記注入口を開閉するとともに燃料タンクの内圧を調節する弁開閉機構と、
上記注入口の開口周縁部と上記弁体とにより挟持されることで上記弁体と上記注入口の開口周縁部との間をシールするガスケットと、
上記給油ガンまたは外力に連動して上記弁開閉機構を閉止位置と給油位置とを選択的に移動する待避機構と、
を備え、
上記閉止位置は、上記弁体が上記注入口を開閉することで燃料タンクの内圧を調節する位置であり、
上記給油位置は、上記弁体が上記注入口から待避して燃料を供給可能である位置である、
ことを特徴とする。
弁開閉機構は、給油時に開閉する開閉弁として機能するとともに、燃料タンクの内圧と外気との差圧が所定値を越えたときに開く調圧弁として機能するから、複数の弁を設ける必要がなく、スプリングなどの部品点数を削減することができる。
また、弁開閉機構は、給油時に開閉する開閉弁として機能するとともに、燃料タンクの内圧と外気との差圧が所定値を越えたときに開く調圧弁として機能するから、複数の弁を設ける必要がなく、スプリングなどの部品点数を削減することができる。上記弁開閉機構の好適な態様として、上記燃料タンクの内圧と外気との差圧が所定値を越えたときに開く負圧弁または正圧弁のいずれか一方を備えている構成をとることができる。
また、本発明の好適な態様として、上記タンク開口形成部材は、給油ガンを挿入するための開口部を備え、上記待避機構は、給油ガンまたは外力により上記開口部を開閉するシャッタ機構と、上記シャッタ機構に連動して上記弁開閉機構を開閉するリンク機構と、を備えている構成をとることができる。この構成により、シャッタ機構は、給油時以外にタンク開口形成部材の開口部を閉じているから、開口部を通じて弁開閉機構に達する大気中の塵などを防ぎ、弁開閉機構のシール性の低下を防止することができる。
上記作動部材は、上記アームの一端に固定され上記タンク開口形成部材に回動可能に支持された回動支持部と、上記押圧体と上記回動支持部との間に設けられたスライド体とを備え、上記シャッタ機構は、該シャッタ機構に設けられたスライドガイド部材を備え、該スライドガイド部材は、上記シャッタ機構の開き動作に連動して上記アームをスライドさせつつ上記回動支持部を中心に上記作動部材を回動させて上記押圧体で上記弁開閉機構を開き動作させるように構成することができる。この構成により、作動部材はシャッタ機構にスライド可能に支持されているので、リンク機構を簡略化することができる。
燃料タンクへ燃料を供給する注入口を開閉するタンク用開閉装置において、
上記注入口と、該注入口を通じて給油ガンから供給される燃料を燃料タンクへ導く燃料通路とを有するタンク開口形成部材と、
弁体と、該弁体を収納する弁支持移動体と、上記弁体を上記ガスケットに向けて付勢するスプリングとを有し、上記弁体が上記注入口を開閉するとともに燃料タンクの内圧を調節する弁開閉機構と、
上記注入口の開口周縁部と上記弁体とにより挟持されることで上記弁体と上記注入口の開口周縁部との間をシールするガスケットと、
上記弁支持移動体を上記注入口の開口周縁部に回動可能に支持する軸支部と、上記弁体が上記注入口を閉じる方向へ付勢するスプリングとを有する待避機構と、
を備えていることを特徴とする。
図2は閉止位置にある開閉機構を示す断面図である。
図3は給油位置にある開閉機構を示す断面図である。
図4は開閉機構を示す斜視図である。
図5は開閉機構を分解して示す斜視図である。
図6は弁支持移動体を下方斜めから見た斜視図である。
図7は弁開閉機構の動作を説明する説明図である。
図8は第2実施例にかかる開閉機構を示す断面図である。
図9は図8の開閉機構の動作を説明する説明図である。
図10は第3実施例にかかる開閉機構を示す断面図である。
図11は開閉部材および作動部材を下方から見た斜視図である。
図12は第3実施例の動作を説明する説明図である。
図13は図12に続く動作を説明する説明図である。
図14は第4実施例にかかるタンク用開閉装置を示す断面図である。
図15は図14の矢印d15の方向から見た図である。
図16はタンク用開閉装置を分解して示す断面図である。
図17は弁開閉機構の付近を拡大した断面図である。
図18は弁開閉機構の動作を説明する説明図である。
図19は弁開閉機構の動作を説明する説明図である。
図20は弁離間機構を説明する説明図である。
図21は図20の21−21線に沿った断面図である。
図22は弁離間機構の動作を説明する説明図である。
図23はタンク用開閉装置の給油動作を説明する説明図である。
図24は第5実施例にかかるタンク用開閉装置を示す断面図である。
図25は弁開閉機構の動作を説明する説明図である。
図26は弁開閉機構の開閉動作を説明する説明図である。
図27は図26に続く動作を説明する説明図である。
図28は第6実施例にかかるタンク用開閉装置を示す断面図である。
図29は押圧部材を弁本体から外した状態を示す斜視図である。
図30はタンク用開閉装置を分解して示す断面図である。
図31は第7実施例にかかる開閉機構を示す断面図である。
図32は作動部材を示す斜視図である。
図33は図32の33−33線に沿った断面図である。
図34はタンク用開閉装置の動作を説明する説明図である。
図35は図34に続く動作を説明する説明図である。
(1) タンク用開閉装置の概略構成
図1は本発明の第1実施例にかかるタンク用開閉装置の軸方向の断面図である。タンク用開閉装置10は、燃料キャップを用いないで、燃料タンクに燃料を供給するための機構であり、つまり給油蓋を開いた後に給油ガンからの外力などで燃料通路を開閉することで、給油ガンから燃料タンク(図示省略)へ燃料を供給するための機構である。以下、タンク用開閉装置の詳細な構成について説明する。
タンク用開閉装置10は、燃料タンクに接続される燃料通路11Pを有するタンク開口形成部材11と、燃料通路11Pを開閉する開閉機構30とを備えている。
タンク開口形成部材11は、燃料通路11Pを有する管体であり、燃料タンクに接続される接続管12と、接続管12の上端部に接続されるパイプ本体14と、パイプ本体14の上部に固定された開口形成部材16とを備えている。接続管12は、パイプ本体14の燃料タンク側を徐々に縮径した縮径部12aと、縮径部12aに接続された直管部12bとを備え、これらを一体に形成している。
パイプ本体14は、縮径部12aの上部に接続されている。パイプ本体14の上部は、上壁14aが一体に固定されている。上壁14aには、燃料通路11Pの一部を構成する注入口14Pになっている。また、パイプ本体14の内側の燃料通路11P内に支持壁14cが固定されている。支持壁14cには、貫通孔14dが形成されている。
開口形成部材16は、パイプ本体14の上部に装着され、円筒状の側壁部16aと、上壁部16bとを備えており、その下部の係合穴16cにパイプ本体14の上部に形成された係合爪14eを係合することによりパイプ本体14に装着されている。開口形成部材16の上壁部16bは、平面部16dと、傾斜面16eから構成されている。傾斜面16eは、ほぼ半円にわたって中心部が凹み、開口部16fに繋がり、かつ給油ガンを導くように形成されている。
図2および図3は開閉機構30を示す断面図であり、図2が開閉機構30の閉じ状態を、図3が開閉機構30の開き状態をそれぞれ示す。図2および図3において、開閉機構30は、シャッタ機構40と、弁開閉機構50と、リンク機構60とを備えており、給油時に、給油蓋を開き、給油ガンなどでシャッタ機構40を押し開けると、シャッタ機構40に連動してリンク機構60を介して弁開閉機構50を開き、燃料通路11Pを開くことで、給油する機構である。上記シャッタ機構40の一部およびリンク機構60は、待避機構を構成している。
図4は開閉機構30を示す斜視図、図5は開閉機構30を分解して示す斜視図である。シャッタ機構40は、開閉部材41と、スプリング42とを備えている。開閉部材41は、開口部16fを開閉する円板部41aと、円板部41aの端部に一体形成された回動支持部41bとを備えている。回動支持部41bは、開口形成部材16の内壁に平行に形成された支持体17(図5は一方を示す)の軸穴17aに軸41cを介して軸支されている。スプリング42は、コイルスプリングであり、回動支持部41bと支持体17の係合穴17bとの間に掛け渡されて、開閉部材41を閉じる方向に付勢している。
次にタンク用開閉装置10の動作について説明する。
(3)−1 閉じ状態
図1の弁開閉機構50の閉じ状態において、弁開閉機構50の弁体52に加わっている力の関係、つまり大気圧による開き方向の力とタンク内圧およびスプリング58のスプリングによる閉じ方向への力との関係において、前者が後者を上回る負圧状態になると、図7に示すように、弁体52は、スプリング58の付勢力に抗して下方に移動し、ガスケットGSから離れ、その間に通気路を確保する。この通気路を通じて燃料タンクが大気に連通して燃料タンク内の負圧状態が解消する方向へ向かう。そして、弁体52に加わっている差圧がスプリング58の付勢力を下回ると弁体52が閉じる。
給油蓋を開けて、図3に示すように、タンク用開閉装置10の開口部16fに、給油ガンFGを挿入して開閉部材41の円板部41aを押すと、シャッタ機構40の円板部41aが回動支持部41bの軸41cを中心にスプリング42のスプリング力に抗して時計方向d1へ回動する。これにより、シャッタ機構40は、開口部16fを開く。
給油を終えて、給油ガンFGを注入口14P、開口部16fから抜くと、給油ガンFGが円板部41aを介してスプリング42のスプリング力が開放される。このスプリング力の開放により、円板部41aが回動支持部41bの軸41cを中心に反時計方向へ回動して、リンク棒62を引き下げ、さらに作動部材64を反時計方向へ移動させる。作動部材64が反時計方向へ回動すると、押圧体64cが弁開閉機構50の被押圧部53から外れる。これにより、スプリング57の復元力は、弁開閉機構50の弁支持移動体54および弁体52を一体に水平方向へ移動させ、弁体52が注入口14Pを閉じる。
上記実施例にかかるタンク用開閉装置10により、以下の作用効果を奏する。
(4)−1 弁開閉機構50は、給油時に開閉する開閉弁として機能するとともに、燃料タンクの内圧と外気との差圧が所定値を越えたときに開く調圧弁として機能するから、複数の弁を設ける必要がなく、スプリングなどの部品点数を削減することができる。
図8および図9は第2実施例にかかる断面図であり、図8がタンク用開閉装置の閉じ状態を、図9はタンク用開閉装置の開き状態をそれぞれ示す。本実施例の開閉機構30Bは、シャッタ機構およびリンク機構の構成を簡略化するとともに、弁開閉機構50Bを復帰させるスプリング機構に特徴を有する。すなわち、開閉機構30Bは、作動部材64Bと、スプリング42Bと、弁開閉機構50Bとを備えている。作動部材64Bは、第1実施例の作動部材と同様な形状であり、回動支持部64Baと、アーム64Bbと、押圧体64Bcとを備えている。回動支持部64Baは、支持体17Bに回転可能に支持され、アーム64Bbが開口部16Bfに臨んで配置されている。作動部材64Bは、支持体17Bに支持されたスプリング42Bにより作動部材64Bを開口部16Bfの方向に付勢され、支持体17Bに形成されたストッパ17Bdにより回転止めされている。
弁開閉機構50Bは、弁支持移動体54Bの側壁54Baに連結突起54Beが突設されている。連結棒59Bが軸59Baを中心に回動可能にパイプ本体14Bに支持されている。連結棒59Bの一端の長穴59Bbは、連結突起54Beを突入させ、その他端の支持端59Bcは、スプリング57Bの一端を固定している。この構成により、図9に示すように、開口部16Bfから給油ガンFGを挿入すると、給油ガンFGの先端が作動部材64Bのアーム64Bbを押して、スプリング42Bの付勢力に抗して作動部材64Bを回動させ、押圧体64Bc(図8)で弁開閉機構50Bの弁支持移動体54Bを水平方向へ移動させる。弁開閉機構50Bの弁支持移動体54Bが移動したときに、弁支持移動体54Bの移動力は、連結突起54Be、長穴59Bbを介して、連結棒59Bを軸59Baを中心に回動させ、これによりスプリング57Bが復帰用のスプリング力を付与する。
本実施例は、シャッタ機構を省略し、作動部材64Bを給油ガンで直接作動させることにより構成を簡単にしている。
図10は第3実施例にかかる開閉機構を示す断面図である。本実施例の開閉機構30Cは、シャッタ機構40Cおよびリンク機構60Cの構成を簡略化した構成に特徴を有する。すなわち、シャッタ機構40Cは、開閉部材41Cを備えている。開閉部材41Cは、開口部16Cfを開閉する円板部41Caと、円板部41Caの端部で支持体17Cに回転可能に支持された回動支持部41Cbとを備えている。リンク機構60Cは、作動部材64Cと、作動部材64Cに閉じ方向のスプリング力を付勢するスプリング42Cとを備えている。図11は開閉部材41Cおよび作動部材64Cを下方から見た斜視図である。作動部材64Cは、第1実施例の作動部材64Cとほぼと同様な形状であり、回動支持部64Caと、アーム64Cbと、押圧体64Ccとを備え、さらにアーム64Cbの途中にスライド体64Cdが突設されている。図10に示す回動支持部64Caは、支持体17Cに回転可能に支持されている。作動部材64Cは、支持体17Cに支持されたスプリング42Cにより作動部材64Cを開口部16Cfの方向に付勢されている。また、図11に示す開閉部材41Cの裏面には、スライドガイド部材43Cが固定されている。スライドガイド部材43Cは、ガイド本体43Caと、ガイド本体43Caの両側で曲げられた脚部43Cbとを備え、ガイド本体43Caと開閉部材41Cの裏面との間をスライド間隙43Ccとしている。このスライド間隙43Ccに作動部材64Cのスライド体64Cdがスライド可能に支持されている。
(1) タンク用開閉装置の概略構成
図14は第4実施例にかかるタンク用開閉装置を示す断面図、図15は図14の矢印d15の方向から見た図である。第4実施例は、給油ガンの挿入により開閉機構が一体的に移動して注入口を開閉する構成に特徴を有する。以下、タンク用開閉装置の詳細な構成について説明する。
タンク用開閉装置100は、燃料タンク(図示省略)に接続される注入口114Pを有するタンク開口形成部材111と、注入口114Pを開閉する開閉機構120とを備えている。
(2)−1 タンク開口形成部材111
図16はタンク用開閉装置100を分解して示す断面図である。タンク開口形成部材111は、分岐管であり、燃料タンク(図示省略)に接続される接続管112と、接続管112の上端部に接続されるケーシング本体114と、ケーシング本体114の上部に固定された開口形成部材116とを備えている。接続管112は、燃料通路112Pを備え、ケーシング本体114から分岐し、かつ屈曲して形成されている。
ケーシング本体114は、半円筒状の側壁114aおよび板状の壁部114bにより側壁114cを構成し、その側壁114cを底壁114dで閉じ、その内側スペースを収納室114Sとしている。また、壁部114bには、収納室114Sを燃料通路112Pに接続するための注入口114Pが形成されている。また、ケーシング本体114の開口部にフランジ114eが形成されている。
開口形成部材116は、ケーシング本体114の一端部に装着され、円筒状の側壁部116aと、上壁部116bとを備えており、その下部の係合穴116cにケーシング本体114の上部に形成された係合爪114fを係合することによりケーシング本体114に装着されている。開口形成部材116の上壁部116bは、平面部116dと、傾斜面116eから構成されている。図15に示すように傾斜面116eは、ほぼ半円にわたって中心部が凹み、開口部116fに繋がるように形成されている。
図14において、開閉機構120は、移動ケーシング130と、移動ケーシング130に付勢するためのスプリング140と、弁開閉機構150とを備え、給油時に、給油蓋を開き、給油ガンなどで押されると、注入口114Pを開くことで、給油する機構である。
図16において、移動ケーシング130は、収納室114S内でスライド可能に収納され、燃料導入部131と、燃料通路部132と、弁開閉機構150の一部を構成している弁収納部134と、スプリング支持部135と、ガイドリブ137とを備え、これらを一体に形成している。燃料導入部131は、タンク開口形成部材111の開口部116fに接続される流入口131aを備え、流入口131aに向けて傾斜したガイド部131bと、架橋部131cとを備えている。架橋部131cは、流入口131aを横切って形成されており、給油ガンに押された力を受ける部位である(図15参照)。燃料通路部132は、流入口131aに接続され、90゜曲がった導入通路132aと、導入通路132aに接続される流出口132bを備えている。流出口132bは、移動ケーシング130の位置に応じて注入口114Pに接続される。弁収納部134は、弁開閉機構150を収納する弁室134Sを備え、連通孔134aで収納室114Sを経て大気に接続されている。スプリング支持部135は、スプリング140の一端を支持する。スプリング140は、ケーシング本体114の底壁114dとの間に掛け渡されることで移動ケーシング130を開口部116f側へ付勢している。ガイドリブ137は、ケーシング本体114の内壁に摺動することにより移動ケーシング130をガイドする。
(3)−1 弁開閉機構150の構成
図17は弁開閉機構150の付近を拡大した断面図である。弁開閉機構150は、弁室134S内に配置された正圧弁160および負圧弁170と、ガスケットGS1と、弁開閉機構150の一部を構成している弁収納部134とから構成され、燃料タンク内の圧力を所定範囲内に調節する。ガスケットGS1は、ゴム材料から形成された環状の部材であり、ケーシング本体114の注入口114Pの開口周縁部に形成されたシール保持部114gに圧入固定されている。なお、弁開閉機構150は、移動ケーシング130とともに、給油ガンに連動して弁開閉機構150を閉止位置と給油位置とを選択的に移動させる待避機構を構成している。
上記弁開閉機構150の構成において、正圧弁160による燃料タンク内の調圧は、以下の動作により行われる。すなわち、図17に示す開閉機構120の閉弁位置にて、燃料タンク内の圧力が第1圧力値を超える正圧になると、図18に示すように第1スプリング162の付勢力に抗して正圧弁体161が上昇し、燃料タンク内が接続管112、注入口114P、第1弁流路160P、正圧弁体161の外周の間隙、および弁収納部134の連通孔134aなどを通じて外気に連通して燃料タンク内の正圧状態が解消する方向へ向かう。外気への連通により、正圧弁体161に加わっている差圧が第1スプリング162の付勢力を下回ると、第1スプリング162の付勢力により正圧弁体161が下げられて閉弁する。このように、燃料タンク内の圧力が第1圧力値を超えないように正圧弁体161が開閉する。
図20は弁離間機構180を説明する説明図である。弁離間機構180は、移動ケーシング130のスライド動作に伴って、弁開閉機構150をガスケットGS1から待避させるための機構であり、正圧弁体161、弁収納部134およびケーシング本体114にわたって形成されている。図21は図20の17−17線に沿った断面図である。正圧弁体161の外周部には、棒状の連結部181が突設され、弁収納部134には、連結部181を突入させる長穴182が形成され、ケーシング本体114の内壁には、ガイド溝183が形成されている。ガイド溝183は、径方向に傾斜して形成された傾斜溝183aと、移動ケーシング130のスライド方向に沿って形成されたストレート溝183bとを備えている。弁離間機構180の構成により、移動ケーシング130が図示左側へスライドすると、図22に示すように、連結部181がガイド溝183の傾斜溝183aからストレート溝183bを倣う。このとき、正圧弁体161は、ガスケットGS1から離れる方向、つまりガスケットGS1の軸方向へ移動する。
次にタンク用開閉装置100の開閉動作について説明する。
(5)−1 開き動作
図14に示すようにタンク用開閉装置100が閉じ状態にあるときに、給油蓋を開けて、タンク用開閉装置100の開口部116fに、給油ガンFGを挿入して図15に示す移動ケーシング130の架橋部131cを押すと、図23に示すように、移動ケーシング130が収納室114S内をスプリング140のスプリング力に抗して図示の左方向へスライドする。これにより、弁開閉機構150は、注入口114Pから外れて、燃料通路部132の流出口132bが注入口114Pに接続される。
このとき、図20に示すように、弁開閉機構150がスライドするときに、弁離間機構180の作用により、正圧弁体161の連結部181が長穴182を介してガイド溝183の傾斜溝183aからストレート溝183bを倣う。連結部181は、ガイド溝183の傾斜溝183aを倣うときに、注入口114Pより離れる方向へ移動する。これにより、図22に示すように連結部181と一体の正圧弁体161もガスケットGS1から離れる方向へ移動する。
このように、移動ケーシング130と一体に、弁開閉機構150が注入口114Pに対して待避することにより、注入口114Pが開かれ、給油ガンFGから注入口114P、燃料通路112Pに給油する。このように、給油ガンFGで移動ケーシング130を押せば、弁開閉機構150が注入口114Pを開くから、給油することができる。
給油を終えて、給油ガンFGを開口部116fから抜くと、給油ガンFGが移動ケーシング130を介してスプリング140のスプリング力が開放される。すなわち、スプリング力により、移動ケーシング130が収納室114S内を図示右側へ移動する。このとき、弁離間機構180の連結部181がガイド溝183のストレート溝183bを経て傾斜溝183aに入ると、正圧弁体161がガスケットGS1に着座する。これにより、正圧弁体161が注入口114Pを閉じる。
上記実施例にかかるタンク用開閉装置100により、以下の作用効果を奏する。
(6)−1 弁開閉機構150は、給油時に開閉する開閉弁として機能するとともに、燃料タンクの内圧と外気との差圧が所定値を越えたときに開く調圧弁として機能するから、複数の弁を設ける必要がなく、スプリングなどの部品点数を削減することができる。
図24は第5実施例にかかるタンク用開閉装置200を示す断面図である。第5実施例にかかるタンク用開閉装置200は、タンク開口形成部材211に弁開閉機構220を回動可能に支持した構成に特徴を有する。すなわち、タンク開口形成部材211は、上壁211aと、上壁211aの外周部に筒状に形成された側壁211bとからなるパイプ形状であり、上壁211aに注入口212Pが形成されている。注入口212Pの開口周縁部には、シール保持部211cが形成され、ガスケットGS3が保持されている。
本実施例にかかるタンク用開閉装置200は、弁開閉機構220を待避機構230によりタンク開口形成部材211に対して軸支し、給油ガンFGで直接押すことにより注入口212Pを開くことができ、リンク機構が不要であり、構成が簡単である。
図28は第6実施例にかかるタンク用開閉装置300を示す断面図である。第6実施例にかかるタンク用開閉装置300は、弁開閉機構320に、正圧弁および負圧弁から構成される調圧弁と、ガスケットGS4とを組み付けた構成に特徴を有する。すなわち、弁開閉機構320は、弁支持移動体321と、弁体322と、スプリング328と、ガスケットGS4と、調圧弁を構成する正圧弁330および負圧弁340とを備えている。弁体322は、給油ガンに押されるための押圧部323aを有する押圧部材323と、押圧部材323を保持するための弁本体324とを備えている。
図31は第7実施例にかかるタンク用開閉装置を示す断面図である。本実施例のタンク用開閉装置は、タンク開口形成部材内に収納した待避機構の構成に特徴を有する。すなわち、タンク用開閉装置400は、タンク開口形成部材411の注入口411Pの上方に配置され、第5または第6実施例と同様な構成を適用できる弁体430Vと該弁体430Vを収納する弁支持移動体430Mとを有する弁開閉機構430、および弁開閉機構430を開閉動作させるための待避機構の一部を構成する開閉起動機構420を備えている。開閉起動機構420は、作動部材422と、作動部材422の一端に設けられた軸支部425と、作動部材422を閉じ方向へ付勢するスプリング(図示省略)を備えている。軸支部425は、タンク開口形成部材411の支持体412に作動部材422を回動可能に支持している。
また、開閉起動機構420は、第2実施例と同様に、シャッタ機構を省略し、作動部材422を給油ガンFGで直接作動させることにより構成が簡単である。
開閉起動機構420は、作動部材422のガイド凹所422bが給油ガンFGの先端を滑らせつつ、そして、作動部材422の押圧部422cが弁開閉機構430の被押圧部431に対して滑りつつ給油ガンFGの挿入力を弁開閉機構430に伝達するから、弁開閉機構430をスムーズに開閉動作させることができる。
さらに、作動部材422は、作動部材本体422aの両端から下方へ支持基部425aおよび押圧部422cがコ字形になるように突設され、つまり支持基部425aが軸方向上方に伸びているために、ガスケットGS4に干渉し難く、また、弁開閉機構430の回動伝達範囲を大きくすることができる。また、押圧部422cは弁開閉機構430の軸425bから離れた箇所を押すので、操作性がよい。
また、第7実施例において、注入口を開閉する手段として、調圧弁を備えた開閉起動機構を用いたが、これに限らず、弁体のないフラップ弁を用いてよい。
上記実施例では、給油ガンで押圧操作することにより開閉動作させたが、これに限らず、使用者の手動による押しボタンによる押圧操作する構成をとってもよい。
また、上記実施例において、ガスケットは、注入口の開口周縁部に装着した構成を示したが、これに限らず、弁体に装着する構成であってもよく、弁体と注入口の開口周縁部とで挟持されることで、その間をシールする構成および配置であればよい。
Claims (20)
- 燃料タンクへ燃料を供給する注入口を開閉するタンク用開閉装置において、
上記注入口と、該注入口を通じて給油ガンから供給される燃料を燃料タンクへ導く燃料通路とを有するタンク開口形成部材と、
弁体と、該弁体を移動可能に収納する弁支持移動体と、上記弁支持移動体内に収納され上記弁体を上記注入口に向けて付勢するスプリングとを有し、上記弁体が上記注入口を開閉するとともに燃料タンクの内圧を調節する弁開閉機構と、
上記注入口の開口周縁部と上記弁体とにより挟持されることで上記弁体と上記注入口の開口周縁部との間をシールするガスケットと、
上記給油ガンからの力に連動して上記弁開閉機構を閉止位置と給油位置とを選択的に移動させる待避機構と、
を備え、
上記閉止位置は、上記弁体が上記注入口を開閉することで燃料タンクの内圧を調節する位置であり、
上記給油位置は、上記弁体が上記注入口から待避して燃料を供給可能である位置であり、
上記弁開閉機構は、上記弁体が上記スプリングの付勢力に抗して上記ガスケットの軸方向へ移動するように構成されるとともに、上記弁体が上記給油ガンからの力を受けることにより上記ガスケットから離れる方向であって該ガスケットの軸方向へ移動するように構成され、
上記待避機構は、上記弁体を介して上記給油ガンからの力を受けた上記弁開閉機構が上記注入口を開くように構成されていること、
を特徴とするタンク用開閉装置。 - 請求項1に記載のタンク用開閉装置において、
上記弁開閉機構(430)は、上記注入口(411P)を開閉するように上記タンク開口形成部材(411)に回動可能に支持され、
上記待避機構は、上記注入口より給油ガン(FG)を挿入する側に配置された開閉起動機構(420)を有し、該開閉起動機構(420)は、給油ガン(FG)によって押圧されることで回動して上記弁開閉機構(430)を開き動作させる作動部材(422)を有するタンク用開閉装置。 - 請求項2に記載のタンク用開閉装置において、
上記作動部材(422)は、給油ガン(FG)の先端で押されることで該作動部材(422)に回動力を加えるガイド凹所(422b)を有するタンク用開閉装置。 - 請求項3に記載のタンク用開閉装置において、
上記ガイド凹所(422b)は、給油ガン(FG)の先端を滑らせつつ上記作動部材(422)を回動させるように給油ガン(FG)の先端の半径よりも大きい半径で形成されているタンク用開閉装置。 - 請求項2に記載のタンク用開閉装置において、
上記弁体(430V)は、被押圧部(431)を有し、上記作動部材(422)は、上記被押圧部(431)を滑りつつ押圧することで上記弁開閉機構(430)を開き動作させる押圧部(422c)を備えているタンク用開閉装置。 - 請求項5に記載のタンク用開閉装置において、
上記作動部材(422)は、板状の作動部材本体(422a)を備え、
上記押圧部(422c)は、上記作動部材本体(422a)の下部から突設されているタンク用開閉装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のタンク用開閉装置において、
上記弁体は、上記ガスケットを押圧するシール部と、該シール部の外周部に円筒形状に延設された側壁部とを備えたカップ形状であるタンク用開閉装置。 - 請求項1に記載のタンク用開閉装置において、
上記弁開閉機構(430)は、上記弁体(430V)が給油ガンからの力を受けて上記スプリングに抗して所定距離移動することで上記弁支持移動体(430M)によって該弁体(430V)の移動が規制されるように構成され、上記弁体(430V)が上記弁支持移動体(430M)によって移動が規制された状態にて、上記給油ガンからの力により、上記弁開閉機構(430)が上記注入口(411P)を開くように構成されたタンク用開閉装置。 - 請求項1に記載のタンク用開閉装置において、
上記待避機構(230)は、上記弁支持移動体(224)を上記注入口(212P)の開口周縁部に回動可能に支持する軸支部(231)と、上記弁体(222)が上記注入口(212P)を閉じる方向へ付勢するスプリング(232)とを有するタンク用開閉装置。 - 請求項1に記載のタンク用開閉装置において、
上記待避機構は、上記弁開閉機構(50)を上記軸方向と交差する方向へ移動することにより上記注入口(14P)を開くように構成されたタンク用開閉装置。 - 請求項1に記載のタンク用開閉装置において、
上記弁開閉機構(50)は、上記タンク開口形成部材(11)に固定され上記弁支持移動体(54)を交差する方向へ移動可能に支持する被支持機構(56)と、を備えているタンク用開閉装置。 - 請求項11に記載のタンク用開閉装置において、
上記弁支持移動体(54)は、上記被支持機構(56)との摺動箇所に摺動抵抗を低減する片持ちスプリング(54j)を備えているタンク用開閉装置。 - 請求項11または請求項12に記載のタンク用開閉装置において、
上記被支持機構(56)は、上記弁支持移動体(54)を上記給油位置から上記閉止位置に向けて付勢する復帰用のスプリング(57)を備えているタンク用開閉装置。 - 請求項1に記載のタンク用開閉装置において、
上記タンク開口形成部材(11)は、給油ガンを挿入するための開口部(16f)を備え、
上記待避機構は、給油ガンからの力により上記開口部(16f)を開閉するシャッタ機構(40)と、上記シャッタ機構(40)に連動して上記弁開閉機構(50)を開閉するリンク機構(60)と、を備えているタンク用開閉装置。 - 請求項14に記載のタンク用開閉装置において、
上記リンク機構(60)は、上記シャッタ機構(40)の閉じ状態にて上記弁開閉機構(50)から離れておりかつ上記シャッタ機構(40)の開き動作に連動して弁開閉機構(50)を押圧して該弁開閉機構(50)を開き動作させる作動部材(64)を備えているタンク用開閉装置。 - 請求項15に記載のタンク用開閉装置において、
上記作動部材(64)は、アーム(64b)と、該アーム(64b)の一端に固定された押圧体(64c)を備え、
上記弁体(52)は、上記押圧体(64c)により押圧されることで上記弁開閉機構(50)を開き動作させる被押圧部(53)を備えているタンク用開閉装置。 - 請求項16に記載のタンク用開閉装置において、
上記作動部材(64C)は、上記アーム(64Cb)の一端に固定され上記タンク開口形成部材(11)に回動可能に支持された回動支持部(64Ca)と、上記押圧体(64Cc)と上記回動支持部(64Ca)との間に設けられたスライド体(64Cd)とを備え、
上記シャッタ機構(40C)は、該シャッタ機構(40C)に設けられたスライドガイド部材(43C)を備え、該スライドガイド部材(43C)は、上記シャッタ機構(40C)の開き動作に連動して上記アーム(64Cb)をスライドさせつつ上記回動支持部(64Ca)を中心に上記作動部材(64C)を回動させて上記押圧体(64Cc)で上記弁開閉機構(50C)を開き動作させるように構成したタンク用開閉装置。 - 請求項1に記載のタンク用開閉装置において、
上記弁開閉機構は、上記燃料タンクの内圧と外気との差圧が所定値を越えたときに開く負圧弁を備えているタンク用開閉装置。 - 請求項1に記載のタンク用開閉装置において、
上記弁開閉機構は、上記燃料タンクの内圧と外気との差圧が所定範囲内に向かうように調圧する正圧弁および負圧弁を備えているタンク用開閉装置。 - 燃料タンクへ燃料を供給する注入口(114P)を開閉するタンク用開閉装置において、
上記注入口(114P)と、該注入口(114P)を通じて給油ガンから供給される燃料を燃料タンクへ導く燃料通路(112P)とを有するタンク開口形成部材(111)と、
弁体(161)と、該弁体(161)を移動可能に収納する弁収納部(134)と、上記弁収納部(134)内に収納され上記弁体(161)を上記注入口(114P)に向けて付勢するスプリング(162)とを有し、該弁体(161)が上記注入口(114P)を開閉するとともに燃料タンクの内圧を調節する弁開閉機構(150)と、
上記注入口(114P)の開口周縁部と上記弁体(161)とにより挟持されることで上記弁体(161)と上記注入口(114P)の開口周縁部との間をシールするガスケット(GS1)と、
上記給油ガンからの力に連動して上記弁開閉機構(150)を閉止位置と給油位置とを選択的に移動させる待避機構と、
を備え、
上記閉止位置は、上記弁体(161)が上記注入口(114P)を開閉することで燃料タンクの内圧を調節する位置であり、
上記給油位置は、上記弁体(161)が上記注入口(114P)から待避して燃料を供給可能である位置であり、
上記弁開閉機構(150)は、上記弁体(161)が上記ガスケットから離れる方向であって該ガスケットの軸方向へ移動するように構成され、
上記待避機構は、上記弁収納部(134)を有する移動ケーシング(130)と、該移動ケーシング(130)が上記給油ガンからの力を受けて上記軸方向と交差する方向にスライドしたときに上記弁体(161)を上記ガスケットから離れる方向であって上記軸方向へガイドする弁離間機構(180)と、を備えていること
を特徴とするタンク用開閉装置。
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