JP4935123B2 - 積層ポリプロピレン系無延伸フィルム - Google Patents
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シール強度:13.0N/15mm以上、シール開始温度:142℃以下、ヘーズ:11%以下、静摩擦係数:0.40以下、ブロッキング性:5mN以下、引張弾性率:400〜600MPa、降伏点強度:16〜24MPa、インパクト強度(23℃):0.4J以上。
この場合において、前記シール層が、スリップ剤として、少なくともエルカ酸アミドとベヘニン酸アミドとを含有することが好ましい。
また、この場合において、上記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合樹脂(A)が、シングルサイト触媒を用いて重合されてなることが好ましい。
また、この場合において、前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合樹脂(A)のα−オレフィン含有率が3〜7質量%であり、前記プロピレン・α−オレフィンブロック共重合樹脂(B)のα−オレフィン含有率が4〜8質量%であり、前記プロピレン・エチレンブロック共重合樹脂(C)のエチレン含有率が7〜14質量%であることが好ましい。
すなわち、シール強度が13.0N/15mm以上、シール開始温度:142℃以下、ヘーズが11%以下、静摩擦係数が0.4以下、ブロッキング性が5mN以下、引張弾性率が400〜600MPa、降伏点強度が16〜24MPa、インパクト強度(23℃)が0.4J以上であることを同時に満たすことが重要である。
樹脂(A)
本発明に係わる樹脂(A)は、α−オレフィンの含有量が2〜8質量%の範囲にあるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合樹脂である。α−オレフィンの含有量は3〜7質量%がより好ましく、4〜6質量%がさらに好ましい。α−オレフィンの含有量が2質量%未満では低温シール性が劣り、8質量%を超えると、耐ブロッキング性が悪化する。α―オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等が例示できる。これらの中では、エチレン及び/又は1−ブテンとのランダム共重合体が好ましい。又、MFRはフィルムとすることができる限り特に限定はされないが、通常0.5〜20g/10分、好ましくは2〜10g/10分の範囲にあることが好ましい。本発明に係わるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は通常、分子量分布(重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で表される)は、1.5〜3の範囲にあることが好ましい。3を超えると、低分子量物が増えて耐ブロッキング性が悪化する。従って、シングルサイト触媒を用いて重合されてなることが好ましい。
本発明に係わる樹脂(B)は、α−オレフィン含有量が好ましくは2〜10質量%、より好ましくは4〜8質量%の範囲にあるプロピレン・α―オレフィンブロック共重合樹脂である。α−オレフィンの含有量が2質量%未満では耐衝撃性が劣り、8質量%を超えると、透明性や剛性が悪化する。α―オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等が例示できる。これらの中では、エチレン及び/又は1−ブテンが好ましい。又、MFRはフィルムとすることができる限り特に限定はされないが、通常0.5〜10g/10分、好ましくは1〜5g/10分の範囲にある。MFRが0.5g/10分未満の場合は生産性に劣り、10g/10分を超える場合は耐衝撃性に劣る。
本発明に係わる樹脂(C)は、エチレン含有量が、6〜15質量%の範囲にあるプロピレン・エチレンブロック共重合樹脂である。該樹脂(C)は、20℃におけるキシレン可溶部の比率が5〜12質量%であり、かつ融点が、130〜150℃の範囲にあることが好ましい。
エチレン含有量は7〜14質量%がより好ましく、8〜13質量%さらに好ましい。エチレン含有量が6質量%未満では、柔軟性に乏しく好ましくない。逆に、15質量%を超えた場合は剛性が低下するので好ましくない。
上記キシレン可溶部の比率は6〜11質量%がより好ましく、7〜10質量%がさらに好ましい。該キシレン可溶部の比率が6質量%未満では、耐衝撃性が劣り好ましくない。逆に、12質量%を超えた場合は透明性が悪化するので好ましくない。
上記融点は135〜145℃がより好ましい。該融点が130℃未満の場合は耐ブロッキング性が悪化し、逆に、150℃以上の場合は低温シール性が悪化する。
対応により前記した各種特性のバランスを取ることが可能となる。
一方、樹脂の分子量分布(質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で表される)は、値が大きいほど分子量の分布が広くなるため、低分子量物が増加して耐ブロッキング性が悪化する。よって、低温ヒートシール性と耐ブロッキング性をバランスさせるためには、樹脂の分子量分布を狭めて低分子量物を減らすことが効果的である。この分子量分布を狭くするためには、活性が均一であるシングルサイト触媒を用いて重合することが有効である。
該基材フィルムは、熱可塑性樹脂からなるシート状またはフィルム状のものからなることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、種々公知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、ポリブテン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、あるいはこれらの混合物等を例示することができる。これらのうちでは、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等、延伸性、透明性が良好な熱可塑性樹脂が好ましい。又、かかる熱可塑性樹脂フィルムからなる基材は、無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであっても良いし、1種或いは2種以上の共押し出し成形、押出しラミネート、ドライラミネート、サーマルラミネート等で得られる積層体であっても良い。又、基材層の片面あるいは両面を、本発明の積層プロピレン系無延伸フィルムとの接着性を改良するために、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。基材層の厚さは、通常5〜500μm、好ましくは7〜70μmの範囲にある。
ボイルパンク率の評価方法
含気ボイル包装体用積層フィルムを内寸13cm×13cm、外寸14cm×14cmの三方シール袋に製袋する。製袋におけるシール条件は、加圧0.2MPa、時間1秒で、温度は200℃とする。該三方シール袋の内部に水200ccと空気200ccを充填し、上記と同じシール条件でシールして密封する。この密封袋100袋を60分間ボイル処理し、該ボイル処理中に破袋した袋の数を計数し、下記式によりボイルパンク率を求める。
ボイルパンク率(%)=(破袋数/100)×100
JIS K7210に従い、条件−14の方法(荷重2.16kg、温度230℃)で測定した。
プロピレン系共重合体(C)約6mgを秤量し、セイコ−電子工業株式会社製の示差走査熱量計(タイプ5200)を用いて、昇温速度;10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度;100℃/分で0℃まで冷却し、再度、昇温速度;10℃/分で0℃〜200℃まで昇温したときの融解曲線を測定し、かかる融解曲線から、JIS−K−7121 9.1 の方法に習い、融解曲線から最も高温側にある溶融ピークの頂点の温度を融点した。
試料5gを沸騰キシレン500mlに完全溶融した後、20℃に降温し、4時間以上放置した。その後、析出物と溶液にろ別し、ろ液を乾固して減圧下70℃にて乾燥した。得られた乾燥物の質量から20℃キシレン可溶部量を測定し、その比率を求めた。
高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616ページに記載されている方法により13C−NMR法で測定した。
JIS−K−6714に準拠し、東洋精機製作所製の「ヘーズテスターJ」を用いて測定した。
ATM−D1893−67に準じて、90Nの荷重をA4サイズの面積にかけ、60℃雰囲気下で2時間放置後に荷重を取り除いてから、φ5のアルミ棒による剥離抵抗を移動速度100mm/分の条件で測定した。
フィルムのシール面同士を合わせて滑り性をJIS−K7215−1987に準拠して測定した。
サンプルを、シール面同士が向かい合うようにし、更にその両側に二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績社製「東洋紡エステル」フィルム[E5100 12μm])を置き、熱傾斜式5点シーラーを使用して加圧0.2MPa、時間1秒でシールし、引張速度100mm/分にて引張試験機にてT型剥離し、MD方向のシール強度を測定した。シール温度を120℃〜140℃の5℃ピッチの5点として温度を横軸、シール強度を縦軸としたグラフを作成し、シール強度が4.9N/15mm(500g/15mm)に達する温度をグラフ上で読み取り、この温度をシール開始温度とした。
ポリプロピレン系無延伸複合フィルムを、加圧0.2MPa、時間1秒、温度を180℃、200℃、220℃の3水準でヒートシールし、引張速度100mm/分にて引張試験機にてT型剥離し、MD方向のシール強度を求めた。
JIS K7127に準拠し、サンプル形状は1号形試験片に準拠したもの(サンプル長さ200mm、サンプル幅15mm、チャック間距離100mm)を用い、クロスヘッド速度500mm/分の条件にてMD方向(フィルム長手方向)について測定した。単位MPa。
株式会社東洋精機製作所製のインパクトテスターを用い、23℃の雰囲気下における フィルムの衝撃打ち抜きに対する強度を測定した。衝撃球面は、直径1/2インチのものを用いた。単位J。
(1)2層構成積層体
耐水易接着処理をした二軸延伸ポリアミドフィルム(東洋紡績製「ハーデン」フィルムN6062 25μm)とポリプロピレン系無延伸複合フィルムとを、ポリエステルウレタン系接着剤(主剤:二次転移点(Tg)が−16℃の芳香族/脂肪族共重合ポリエステルポリオール、架橋剤:ヘキサメチレンジイソシアネート三量体)を用い、接着剤の固形分濃度が2.5g/m2となるように塗布し、常法に従いドライラミネートして2層構成積層体を得た。得られた2層構成積層体を、内寸13cm×13cm、外寸14cm×14cmの三方シール袋に製袋した。シール条件は、加圧0.2MPa、時間1秒で、温度は200℃とした。内部には水200ccと空気200ccを充填し、同じシール条件でシールして密封した。この密封袋を60分間ボイル処理し、ボイルパンク率を求めた。
(2)3層構成積層体
耐水易接着処理をした二軸延伸ポリアミドフィルム(東洋紡績製「ハーデン」フィルムN6062 25μm)の代りに、耐水易接着処理をした二軸延伸ポリアミドフィルム(東洋紡績製「ハーデン」フィルムN6062 15μm)と無静防タイプ二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績製「パイレン」フィルムP2102 20μm)とをポリエステルウレタン系接着剤(主剤:二次転移点(Tg)が−16℃の芳香族/脂肪族共重合ポリエステルポリオール、架橋剤:ヘキサメチレンジイソシアネート三量体)を用いて接着剤の固形分濃度が2.5g/m2となるように塗布し、常法に従いドライラミネートして得た積層体を使用し、該積層体の二軸延伸ポリアミドフィルム側に、ポリプロピレン系無延伸複合フィルムをドライラミネートした以外は(1)と同様に積層して3層構成積層体を得、更に同様に充填、ボイル処理してボイルパンク率を求めた。
(3)ボイルパンク率の求め方
ボイルパンク率(%)=(破れた袋数/試験した密封袋数:100袋)×100
フィルム断面を切り出し、反射光にて光学顕微鏡を用いて測定した。
樹脂(A):メタロセン触媒で重合したプロピレン・エチレンランダム共重合体(エチレン含有量=4質量%、MFR=7)
樹脂(B):プロピレン・エチレンブロック共重合体(エチレン含有量=6質量%、MFR=2.5)
樹脂(C):プロピレン系共重合体(エチレン含有量=10質量%、20℃キシレン可溶部10%、融点140℃、MFR=3))
エラストマー:エチレン、プロピレン及びブテンよりなる三元系ランダム共重合体(ビカット軟化点38℃)
ラミネート層として、樹脂(A)60質量%、樹脂(B)20質量%、樹脂(C)20質量%、及び平均粒子径3μmの不定形シリカ(サイリシア550)600ppm、エルカ酸アミド400ppmよりなる組成物を、シール層として、樹脂(A)88質量%、樹脂(C)12質量%、及び平均粒子径3μmの不定形シリカ(サイリシア550)2000ppm、平均粒子径4μmの球状シリカ1000ppm、エルカ酸アミド600ppm、ベヘニン酸アミド200ppmよりなる組成物を、それぞれ別個の押出機を用い溶融押出しし、Tダイ出口樹脂温度250℃、速度50m/min、冷却ロール温度30℃の条件でTダイキャスティングして、ラミ層厚み15μm、シール層厚み25μmのポリプロピレン系無延伸複合フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
なお、上記無機粒子の平均粒子径は、Leeds&Northrup社製のレーザー回折粒度分布測定装置(日機装 マイクロトラックHRA model9320−X100)を用いて測定し、体積平均粒子径で表示した。
ラミ層の樹脂組成を表1に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系無延伸複合フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
シール層の樹脂組成を表1に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン系無延伸複合フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
ラミネート層として、樹脂(A)60質量%、樹脂(B)20質量%、樹脂(C)20質量%、及び平均粒子径3μmの不定形シリカ(サイリシア550)600ppm、エルカ酸アミド400ppmよりなる組成物を、中間層として、エチレン含有量が4質量%の樹脂[A]70質量%、樹脂(B)5質量%、樹脂(C)25質量%、及びエルカ酸アミド300ppmよりなる組成物を、シール層として、樹脂(A)88質量%、樹脂(C)12質量%、及び平均粒子径3μmの不定形シリカ(サイリシア550)2000ppm、平均粒子径4μmの球状シリカ1000ppm、エルカ酸アミド600ppm、ベヘニン酸アミド200ppmよりなる組成物を、それぞれ別個の押出機を用い溶融押出しし、Tダイ出口樹脂温度250℃、速度50m/min、冷却ロール温度30℃の条件でTダイキャスティングして、ラミ層厚み10μm、中間層厚み20μm、シール層厚み10μmのポリプロピレン系無延伸複合フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
なお、上記無機粒子の平均粒子径は、実施例1と同様の方法で測定した。
また、上記不定形シリカ、球状シリカ、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミドは、事前に樹脂(A)に高濃度で添加したマスターバッチを各々作製し、溶融押出し時に添加剤濃度が所定の値となるようにマスターバッチを添加した。
樹脂組成を表2に記載の通りとした以外は、参考例1と同様にしてポリプロピレン系無延伸複合フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2、表3に示す。
これに対し、ラミネート層が樹脂(A)のみである比較例6はシール強度が低く、含気ボイルパンク耐性が著しく劣る。また、中間層が樹脂(A)のみの比較例7はシール強度が低く、含気ボイルパンク耐性が劣り、中間層の樹脂(A)の比率の低い比較例8は透明性、耐ブロッキング性および引張り弾性率が悪化する。更に、ヒートシール層の樹脂(A)の比率の高い比較例9は低温シール性に劣り、ヒートシール層の樹脂(A)比率の低い比較例10は耐ブロッキング性が著しく悪化する。また、透明性も悪化する。
Claims (4)
- ラミネート層およびシール層の2層よりなる積層ポリプロピレン系無延伸フィルムであって、ラミネート層およびシール層の厚み比率がそれぞれ30〜45%および55〜70%であり、ラミネート層が、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合樹脂(A)を45〜65質量%、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合樹脂(B)および/またはキシレン可溶部が6〜11質量%であるプロピレン・エチレンブロック共重合樹脂(C)を35〜55質量%含有し、シール層が、前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合樹脂(A)を80〜90質量%、前記プロピレン・エチレンブロック共重合樹脂(C)を10〜20質量%含有することを特徴とし、さらに下記特性を同時に満足することを特徴とする積層ポリプロピレン系無延伸フィルム。
シール強度:13.0N/15mm以上、シール開始温度:142℃以下、ヘーズ:11%以下、静摩擦係数:0.40以下、ブロッキング性:5mN以下、引張弾性率:400〜600MPa、降伏点強度:16〜24MPa、インパクト強度(23℃):0.4J以上。 - 前記シール層が、スリップ剤として、少なくともエルカ酸アミドとベヘニン酸アミドとを含有することを特徴とする請求項1に記載の積層ポリプロピレン系無延伸フィルム。
- 前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合樹脂(A)が、シングルサイト触媒を用いて重合されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の積層ポリプロピレン系無延伸フィルム。
- 前記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合樹脂(A)のα−オレフィン含有率が3〜7質量%であり、前記プロピレン・α−オレフィンブロック共重合樹脂(B)のα−オレフィン含有率が4〜8質量%であり、前記プロピレン・エチレンブロック共重合樹脂(C)のエチレン含有率が7〜14質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層ポリプロピレン系無延伸フィルム。
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