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JP4931016B2 - 赤外線ヒータ - Google Patents

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JP4931016B2 JP2008001796A JP2008001796A JP4931016B2 JP 4931016 B2 JP4931016 B2 JP 4931016B2 JP 2008001796 A JP2008001796 A JP 2008001796A JP 2008001796 A JP2008001796 A JP 2008001796A JP 4931016 B2 JP4931016 B2 JP 4931016B2
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Description

本発明は、赤外線を放射する赤外線ヒータに関するものである。
特許文献1には、液体燃料燃焼式赤外線発生装置が開示されている。この赤外線発生装置には、燃焼筒の後部にノズル噴霧式バーナーが装着されている。また、この赤外線発生装置には、燃焼筒の前面に、多数の孔がほぼ均一に穿孔された穿孔金属板が装着されている。この種の赤外線発生装置は、燃焼筒内(燃焼室)において液体燃料を燃焼させ、穿孔金属板(放熱板)の前面から赤外線を放射する。
特開平5−322120号公報
赤外線ヒータとしては、少ない燃焼量でより暖かく、しかも、運転音が比較的小さいものが求められている。
バーナーとしては、回転気化筒、筒状の燃焼盤、および、燃焼盤との間にガス室を形成するための燃焼外筒が、内側からこの順序で配置されているロータリーバーナー(回転霧化式バーナー)が知られている。ロータリーバーナーは、気化された液体燃料と燃焼空気とを含む混合ガスを筒状の燃焼盤より吹き出して燃焼させるため、環状の青火が生成される。このようなロータリーバーナーを赤外線ヒータに搭載することにより、ガンタイプバーナー(ノズル噴霧式バーナー)を搭載した赤外線ヒータと比べて、燃焼効率が高く、そして、より暖かく、しかも、運転音が小さい赤外線ヒータが得られる。
しかしながら、ロータリーバーナーの内部には、残留した液体燃料がドレンとして溜まる。ロータリーバーナーの内部にドレンが溜まると、そのドレンに起因して青火燃焼に赤火燃焼が混ざり、効率が低下したり、燃焼が不安定になったり、臭いが発生する要因になったりするおそれがある。チャンバ内の熱あるいは放熱板からの輻射熱によりドレンが蒸散するのを待ったり、赤火燃焼が終わるのを待つ方法もあるが、赤火燃焼を発生させないか、あるいはできるだけ短期間に終わらせることが望ましい。また、ロータリーバーナーを上方に向けたときには、ドレンは蒸散され難くなり、ドレンが溜まると、赤火燃焼だけではなく、モータシャフトを逆流するような事態も発生し得る。
本発明の一態様は、外周が断熱壁により形成され、後方より前方が広がったチャンバと、チャンバの前方に配置された多孔性の放熱板と、チャンバの後方に配置されたロータリーバーナーおよびファンとを有し、ロータリーバーナーは、回転気化筒、筒状の燃焼盤、および、燃焼盤との間にガス室を形成するための燃焼外筒が内側からこの順序で配置されており、燃料タンクから供給された液体燃料を回転気化筒で気化させ、ファンから供給される燃焼空気とともに混合ガスとしてガス室を介して燃焼盤からチャンバに吹出させて燃焼させ、放熱板は前方に赤外線を放射する、赤外線ヒータである。この赤外線ヒータは、液体燃料を溜める燃料タンクを有し、さらに、ロータリーバーナーの一部と連通し、ロータリーバーナーの内部に残留した液体燃料をドレンとして燃料タンクに排出するためのドレンシステムを有している。ドレンシステムは、ドレンを燃料タンクの底部の近傍に導くタンク内配管を備えており、タンク内配管の先端は、燃料タンクの底部の近傍において、上向きにU字状に曲げられている。
この赤外線ヒータは、ロータリーバーナー(回転霧化式バーナー)を備えており、気化された液体燃料と燃焼空気とを含む混合ガスを筒状の燃焼盤より吹き出して燃焼させる。このため、ロータリーバーナーでは、環状の青火が生成され、燃焼騒音が小さく、燃焼効率を向上できる。この赤外線ヒータでは、ロータリーバーナーにより発生された熱は、チャンバを介して前方の放熱板を加熱し、放熱板から赤外線として主に外界に出力される。したがって、低騒音で高出力の赤外線ヒータを得ることができる。さらに、この赤外線ヒータによれば、ガンタイプバーナー(ノズル噴霧式バーナー)を備えた赤外線ヒータと比べて、燃焼効率が高く、そして、より暖かく、しかも、運転音が小さい赤外線ヒータを提供できる。
また、この赤外線ヒータは、ロータリーバーナーの一部と連通し、ロータリーバーナーの内部に残留した液体燃料をドレンとして燃料タンクに排出するためのドレンシステムを有しているため、ロータリーバーナーの内部にドレンが溜まるのを抑制できる。したがって、赤火燃焼などの不安定な燃焼は抑制され、青火で良好に燃焼させることができ、上記のロータリーバーナーによる効果をさらに効率良く得ることができる。しかも、除去したドレンを燃料タンクに戻すことができる。
さらに、この赤外線ヒータによれば、未燃ガスが流出することに起因するにおいを抑制することができる。すなわち、ロータリーバーナーの内部は、大気と比べて加圧された状態となるため、タンク内配管の先端が直管状であると、燃料タンク内の燃料が少なくなったときに、未燃ガスがドレンシステム内を吹き抜けて、燃料タンクに溜まり、さらに、燃料タンクのキャップに設けられた開口などから外部に漏れ、においの原因となるおそれがある。この赤外線ヒータが有するドレンシステムは、タンク内配管の先端が燃料タンクの底部の近傍において上向きにU字状に曲げられているため、タンク内配管の先端を液体燃料(ドレン)でシールできる。したがって、未燃ガスの外部への吹き抜けが抑制されるため、これらに起因するにおいを抑制できる。
この赤外線ヒータにおいて、ロータリーバーナーが、回転気化筒の軸線が上側を向くように傾斜する姿勢を備えている場合、ドレンシステムは、燃焼外筒の下側後方とタンク内配管とを直に繋ぐ連結管をさらに含む。回転気化筒の軸線が上側を向くように傾斜する姿勢で使用する場合、燃焼外筒の下側後方にドレンが溜まりやすい。燃焼外筒の下側後方とタンク内配管とを直に繋ぐことにより、燃焼外筒の下側後方に溜まったドレンを良好に排出することができる。したがって、このようにすることにより、回転気化筒の軸線が上側を向くように傾斜する姿勢で使用する場合であっても、燃焼外筒の下側後方に液体燃料が残留することが殆ど無く、放熱板を上方に向けたり、放熱板の赤熱部分の調整などのために、ロータリーバーナーの姿勢を上方に向けることが可能となる。また、タンク内配管の先端をU字にして燃料タンク内の燃料によりドレン配管内を加圧しているので、燃焼中は加圧状態となる燃焼外筒(ガス室)とタンク内配管とを直に繋ぐことができ、燃焼外筒とタンク内配管との間からにおいが漏れることを抑制できる。
この赤外線ヒータが第1の方向に搬送可能である場合、タンク内配管の先端は、第1の方向と交差する方向にU字状に曲げられ。タンク内配管の先端が第1の方向に沿ってU字状に曲げられている場合、タンク内の燃料が少ないと、搬送時に急激に加速したり減速したりすると、タンク内配管のU字状に曲げられている部分に溜まっている液体燃料(ドレン)の液面が揺らぎ、U字状に曲げられている部分から液体燃料がこぼれ出てしまうおそれがある。また、赤外線ヒータには、傾けながら(ハンドルなどを持ち上げながら)第1の方向に搬送するものもある。このような赤外線ヒータの場合、タンク内配管の先端が第1の方向に沿ってU字状に曲げられていると、U字状に曲げられている部分に溜まっている液体燃料が特にこぼれ出やすい。U字状に曲げられている部分に溜まっている液体燃料がこぼれ出て圧力が低下すると、これによるシール効果が低下する。U字状に曲げられている部分に溜まっている液体燃料による圧力が、ロータリーバーナーの内部の圧力よりも小さくなると、未燃ガスが外部に吹き抜けてしまうおそれがある。タンク内配管の先端を第1の方向と交差する方向にU字状に曲げることにより、タンク内の燃料が少なくても、U字状に曲げられている部分に溜まっている液体燃料が搬送時にこぼれにくくなる。したがって、搬送時においてもU字状に曲げられている部分のシール効果が良好に保たれ、未燃ガスの外部への吹き抜けを抑止できる。
また、この赤外線ヒータによれば、タンク内配管のU字状に曲げられている部分の高さdは、以下の条件(a)を満たすことが好ましい。
7mm≦d≦12mm・・・(a)
タンク内配管のU字状に曲げられている部分の高さdが7mm以下であると、良好なシール効果が得られないおそれがある。また、タンク内配管のU字状に曲げられている部分の高さdが7mm以上であれば、おおむね良好なシール効果が得られるが、高さdが12mmを越えると、燃料タンク内にタンク内配管を挿入することが難しくなる。
さらに、この赤外線ヒータによれば、燃焼盤には、混合ガスを吹き出すための複数の開口が設けられており、これらの開口の直径Rおよびこれらの開口の炎孔負荷Lfは、それぞれ以下の条件(0)および(b)を満たすことが好ましい。
1.60mm≦R≦2.20mm・・・(0)
30kcal/個≦Lf≦35kcal/個・・・(b)
また、開口の直径Rは、以下の条件(1)を満たすことがさらに好ましい。
1.85mm≦R≦2.00mm・・・(1)
燃焼盤の複数の開口の直径Rが(0)式を満たし、炎孔負荷Lfが(b)式を満たすようにすると、燃焼効率が高く、しかも、運転音が小さい赤外線ヒータを得ることができる。燃焼盤の複数の開口の直径Rが(1)式を満たし、炎孔負荷Lfが(b)式を満たすようにすると、燃焼効率がさらに向上する。しかも、運転音をより小さくすることができる。
さらに、燃焼盤の複数の開口は千鳥状に2次元に配置されていることが望ましい。複数の開口の間隔(ピッチ)を確保できる。複数の開口は、第1の方向の1列おきのピッチP1と、第2の方向の1行おきのピッチP2とが以下の条件(2)を満たすことが望ましい。
5.0mm≦P1、P2≦8.0mm・・・(2)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態にかかる赤外線ヒータについて説明する。図1は、赤外線発生装置と燃料タンクとを備える赤外線ヒータ(例えば、赤外線暖房装置)を側面図により示している。図2は、赤外線ヒータを一部断面にして側面図により示している。図3は、赤外線ヒータを端面図(断面図)により示している。図4は、赤外線ヒータを傾けて使用する状態を示している。
図1および図2に示すように、赤外線ヒータ1は、赤外線発生装置10と、赤外線発生装置10を収納するハウジング2と、ハウジング2の下方に配置された燃料タンク11と、これらハウジング2および燃料タンク11を支持するフレーム3と、フレーム3に設けられた車輪4aおよびキャスター4bとを有する。ハウジング2は、旋回軸6を介して上下に旋回(回動)するようにフレーム3に支持されている。このため、赤外線発生装置10は、軸線L(ロータリーバーナー20の回転気化筒の軸線L)が略水平となる姿勢(図3参照)と、軸線Lが上側を向くように傾斜する姿勢(図4参照)との間で上下に旋回(回動)可能となっている。また、この赤外線ヒータ1は、車輪4aおよびキャスター4bによりX方向に沿って移動させたり、キャスター4bの動作より搬送方向を変化させたりすることができるようになっている。したがって、この赤外線ヒータ1は、任意の場所に移動させることができる。
ハウジング2の内部に収納された赤外線発生装置10は、前方が後方よりも広がった、ほぼ円錐台状または角錐台状のチャンバ12と、チャンバ12の前方に配置された多孔性の放熱板30と、チャンバ12の後方に配置されたロータリーバーナー20とを備えている。ロータリーバーナー20は、チャンバ12の後方の収容筒15に収納されており、そのさらに後方に、ファン13およびモータ14を収容するファンカバー16が配置されている。ハウジング2の前方には安全ガード7が取り付けられている。また、ハウジング2の上部には、ハウジング2の内部を換気するためのサーキュレータ65が取り付けられている。換気用の空気68は、ハウジング2の下部に設けられた吸引口61および62から吸い込まれ、ハウジング2の上部に設けられた放出口63から放出される。ハウジング2の内部を換気することにより、ハウジング2の内部温度が極端に上昇するのを防止する。それとともに、加熱された換気用の空気68をハウジング2の前面から放出することにより、放熱板30から放出される赤外線とともに室内を暖房することができる。
ハウジング(外装)2の後方には、ハウジング2の内部を前後に区切るように遮熱板66が配置されている。遮熱板66の前方には、チャンバ12とロータリーバーナー20とが収納され、遮熱板66の後方には、ファンカバー16に収納されたファン13およびモータ14とが収納されている。また、ロータリーバーナー20を収納した収容筒15と、ファンカバー16とは遮熱板66の前後にそれぞれ取り付けられている。遮熱板66の前方は発熱する部分が収納された区画であり、換気用の空気68によりハウジング2の前方の区画を換気している。遮熱板66によりハウジング2の前後を区切り、ハウジング2の後方の温度上昇を抑制することにより、ハウジング2の後方へ熱が放出されたり、ファンおよびモータが熱膨張(熱変形)の影響を受けるのを抑制できる。
図3および図4に示すように、赤外線発生装置10は、チャンバ12と、チャンバ12の前方に配置された多孔性の放熱板30と、チャンバ12の後方に配置されたロータリーバーナー20およびファン13と、ロータリーバーナー20が備える回転気化筒21およびファン13を回転させるためのモータ14と、ロータリーバーナー20を収容する収容筒15と、ファン13およびモータ14を収容するファンカバー16とを有している。
チャンバ12は、前側に向かって径が大きくなるように開いた形状に形成されている。チャンバ12の外周は、断熱材の壁(断熱壁)17により形成されている。チャンバ12の後方には、収容筒15が設けられており、この収容筒15の内部にロータリーバーナー20が収容されている。収容筒15の後方には、ファンカバー16が設けられており、このカバー16の内部にモータ14およびファン13が収容されている。したがって、本例では、ロータリーバーナー20の後方にモータ14が設けられ、モータ14の後方にファン13が設けられている。
ロータリーバーナー20は、筒状の回転気化筒21と、筒状の燃焼盤22と、筒状の燃焼外筒23とが、内側からこの順序で配置されている。回転気化筒21は、前側に端壁21aを有する有底円筒状(カップ状)の部材である。回転気化筒21の端壁21aの内側には、回転気化筒21に液体燃料(例えば、灯油)Fを導くための略円錐形状の拡散体24が設けられている。拡散体24は、回転気化筒21と一体となってモータ14により回転する。燃焼盤22は、後側に端壁22aを有する有底円筒状の部材であって、端壁22aは環状で中央には、開口22bが設けられており、この開口22bと面するように回転気化筒21が設けられている。この開口22bの縁と、回転気化筒21との隙間は、起動時などにおいて気化されない燃料が噴霧される燃料飛散孔(隙間)25となる。
燃焼盤22の外側に配置された燃焼外筒23もまた、後側に端壁23aを有する有底円筒状の部材であって、燃焼盤22よりも一回り大きく形成されている。端壁23aは環状で中央に開口23bが設けられているとともに、この開口23bの縁から、回転気化筒21の内側に向かって、隔壁23cが立ち上がっている。隔壁23cの内側がファン13から燃焼空気を回転気化筒21に供給するための空間となる。また、燃焼盤22は、複数の孔(開口、多孔、炎孔)22cが千鳥状に配置された多孔の部材である。燃焼盤22と燃焼外筒23との間が、回転気化筒21により気化した液体燃料と、燃焼空気とが混合された混合ガスを、燃焼盤22の多孔22cから吹き出すためのガス室26となる。
燃料タンク11には、液体燃料を補給するための給油口11cが設けられており、この給油口11cには、キャップ11aが設けられている。燃料タンク11内の液体燃料Fが使用により減少したときに、燃料タンク11内が負圧になることを抑制するために、キャップ11aには、開口(小開口、ガス抜き穴)11bが設けられている。ロータリーバーナー20は、燃料タンク11と燃料パイプ41により接続され、パイプ41の途中には、ポンプ42が設けられている。ポンプ42を駆動させることにより、燃料タンク11から供給された液体燃料Fは、燃料パイプ41を介して回転気化筒21の拡散体24に吹き付けられ、モータ14により、回転気化筒21と一体に拡散体24を回転させると、液体燃料Fが遠心力により、拡散体24の内面に薄膜状に広がりながら、蒸発する(気化する)。そして、蒸発した液体燃料Fは、まず、燃料飛散孔25から吹き出されて燃焼する。次に、気化した液体燃料Fは、ファン13から供給される燃焼空気(図3の矢印D参照)と混合してガス状となり、ガス室26を介して燃焼盤22の多孔22cから混合ガスBとして吹出され、燃焼盤22の近傍で燃焼する。
燃焼盤22の内側には、フレームロッド18と、着火用の点火棒(電極)19が配置されている。点火するときは、回転気化筒21に設けられた燃料飛散孔25から放出された燃料が、点火棒19によって着火される。そして、燃焼盤22の近傍で燃焼が起き、チャンバ12の内部が加熱されると、回転気化筒21の拡散体24で気化した液体燃料Fと燃焼空気とが混合した混合ガスBが得られ燃焼が継続される。
放熱板30は、前側に張り出すような湾曲形状に形成されている。この赤外線発生装置10では、燃料タンク11から供給された液体燃料Fを気化した混合ガスBをロータリーバーナー20の燃焼盤22で環状に燃焼させ、その燃焼により発生した熱で放熱板30を加熱する。燃焼済みの燃焼ガスは、チャンバ12を介して多孔状の放熱板30を加熱し、さらに、放熱板30の多孔を介して前方に放出される。この赤外線発生装置10においては、放出される燃焼ガスによる放熱もあるが、混合ガスBの燃焼により得られる熱エネルギーは、主に放熱板30から前方に放射される赤外線として外部に放出される。
このように、この赤外線発生装置10は、ロータリーバーナー(回転霧化式バーナー)20を備えており、バーナー内で液体燃料Fを気化させて吹き出し、燃焼させる。このため、ロータリーバーナー20における燃焼は、気化が進んだ混合ガスBの燃焼による青火燃焼となり、燃焼効率が良い。また、混合ガスBは、筒状の燃焼盤22から環状に吹き出され、青火Fb(図8参照)も環状に形成される。さらに、この赤外線発生装置10によれば、混合ガスBは短い距離で完全燃焼する。このため、放熱板30とロータリーバーナー20との距離を近づけることができる。
したがって、この赤外線発生装置10は、燃焼効率の良いロータリーバーナー20により、チャンバ12の前面の放熱板30を効率的に加熱できる。このため、少ない燃焼量でより多くの赤外線を放出し、暖かい赤外線ヒータ1を提供できる。しかも、液体燃料をバーナー内部で気化した後に吹き出して燃焼するロータリーバーナー20は運転音も比較的小さい。本例の赤外線発生装置10においては、運転音は55dB程度であった。
また、図3に矢印Cで示すように、本例の赤外線発生装置10では、ロータリーバーナー20を収容筒15に収納し、燃焼外筒23と収容筒15との間に、ファン13により供給される空気の一部が冷却空気Aとして流れるようにしている。燃焼外筒23と収容筒15との間に、ファン13により供給される冷却空気Aを流すことにより、ガス室26の外側の燃焼外筒23を介してガス室26を冷却し、ガス室26の温度が上がり過ぎることを抑制できる。このようにすることにより、燃焼盤22と燃焼外筒23との間のガス室26内に炎が入り込む、いわゆるバック燃焼を抑制することができる。
ロータリーバーナー20では、気化された燃料を含む混合ガスBがロータリーバーナー20の近傍で燃焼するので、ロータリーバーナー20と放熱板30とを比較的狭い間隔で対峙(対面)させる配置を採用することができる。このため、コンパクトで、放熱板30の全面を加熱しやすい構成となる反面、放熱板30の輻射熱によりロータリーバーナー20も加熱されやすくなる。この結果、ロータリーバーナー20の温度が上がって、バック燃焼が発生しやすい。燃焼盤22を冷却することは、バック燃焼を抑制する一つの有効な方法である。しかしながら、燃焼盤22を冷却するために、ロータリーバーナー20の構成が複雑になったり、熱負荷によっては燃焼盤22を冷却することにより液体燃料の気化が促進され難くなったり、燃焼盤22から吹き出される混合ガスBの温度が低下する要因になる。ロータリーバーナー20を収容筒15に収納し、燃焼外筒23と収容筒15との間に空間を設け、その空間に冷却空気Aを流すことにより、簡易な構成でガス室26の温度上昇を抑制でき、燃焼盤22の温度が低下することを防止できる。
冷却空気Aは、燃焼用の空気に対して過剰な空気であることが望ましい。冷却空気Aを、炎とは反対の断熱壁17に沿った方向Cに吹き出したり、冷却空気Aの分布を燃焼外筒23の冷却に好適なように調整したりすることができる。
さらに、ハウジング2は、ロータリーバーナー20が備える回転気化筒21の軸線Lが略水平となる姿勢(図3参照)と、回転気化筒21の軸線Lが上側を向くように傾斜する姿勢(図4参照)との間で旋回(回動)するように、旋回軸6を介して、フレーム3に支持されている。ハウジング2を上下に旋回することにより、放熱板30の向きを上下に調整することができる。一方、赤外線発生装置10を、回転気化筒21の軸線Lが上側を向くように(前側が後側よりも高くなるように)傾斜する姿勢(図4参照)で使用する場合、燃焼盤22の下側後方や燃焼外筒23の下側後方に、未燃焼の液体燃料F(ドレン)が残留するおそれがある。ドレンはロータリーバーナー20の点火時、消火時および点火ミス時に発生しやすいが、さらに、バック燃焼を防止するように燃焼盤22および/または燃焼外筒23を冷却すると熱負荷によってはドレンが発生しやすくなる可能性がある。
図3に示すように、本例の赤外線発生装置10では、ドレンがチャンバ12に放出されて、気化あるいは燃焼されることを期待する代わりに、ロータリーバーナー20の一部と連通し、ロータリーバーナー20の内部に残留した液体燃料をドレンとして燃料タンク11に排出するためのドレンシステム(排出システム)70が設けられている。具体的には、燃焼盤22の周壁22dとその端壁22aとのコーナー部および燃焼外筒23の周壁23dとその端壁23aとのコーナー部に、それぞれ、排出経路となるドレン孔51および52が設けられている。また、収容筒15には、孔52と対向する位置に、ドレン配管53が設けられている。ドレン配管53は、パイプ(チューブ)54と接続されて、連結管55を形成している。連結管55の先端には、タンク内配管56が接続されている。収容筒15の内部は、連結管55およびタンク内配管56を介して、燃料タンク11と連通されている。収容筒15とタンク内配管56とは、連結管55により直に接続されている。また、タンク内配管56の先端56aは、燃料タンク11の底部近傍において、上向きにU字状に曲げられている。本例では、タンク内配管56の先端56aは、搬送方向(第1の方向、X方向)と交差する方向、例えば直交する方向(Y方向)にU字状に曲げられている。
したがって、赤外線ヒータ1が、回転気化筒21の軸線Lが略水平となる姿勢で使用する場合であっても、また、回転気化筒21の軸線Lが上側を向くように傾斜する姿勢で使用する場合であっても、燃焼盤22の下側後方および燃焼外筒23の下側後方から、ロータリーバーナー20に残留した液体燃料Fを燃料タンク11に戻すことができる。しかも、本例の赤外線ヒータ1では、タンク内配管56の先端56aがU字状に曲げられているため、タンク内配管56の先端のU字状に曲げられている部分56aに溜まるドレンによりオイルシールを形成することができる。したがって、気化した燃料Fがドレンシステム70を介して外部に漏れ出しにくい。
本例の赤外線ヒータ1では、ドレンシステム70には、主として、燃焼外筒23と収容筒15との間の冷却空気Aが流れる部分の圧力が加わる。したがって、タンク11内の燃料が少なく、タンク内配管56の先端がU字状に曲げられていないと、ドレンまたはガス室内の燃料ガスを含む空気がタンク11の内部に吹き出す。冷却空気Aはロータリーバーナー20により温められた空気であるため、ドレンシステム70内のドレンの一部を気化させたり、タンク内の燃料を気化させることで臭いの発生要因となる場合がある。本例の赤外線ヒータ1によれば、U字部分56aにオイルシールが形成されるため吹き抜けを防止でき、燃料ガスやドレン(燃料)が揮発したことによる臭いの発生を抑制できる。したがって、これらのガスや臭いがキャップ11aの開口11bなどを介して外部に漏れることを抑制でき、気化した燃料Fによるにおいの広がりを抑制できる。
本例の赤外線ヒータ1によれば、ロータリーバーナー20の内部、特に、燃焼盤22の下側および燃焼外筒23の下側に液体燃料がドレンとして溜まり難い。本例の赤外線ヒータ1によれば、点火時、消火時、点火ミス時などに、ドレンまたその気化成分が未燃分として放出されたり、ドレンがモータ軸などを介してロータリーバーナー20の後方に滲み出したりすることを抑制できる。このため、この赤外線ヒータ1においては、上向き30度まで傾けることができるようになっている。
図5は、赤外線発生装置10の放熱板30を正面図により示している。チャンバ12の前方に配置された放熱板30は多孔性で複数の孔31を備えている。複数の孔31は、上下方向においては、下側から上側に向かうに従って、段階的に孔径が小さくなっている。また、複数の孔31は、左右方向においては、中心に向かうに従って、段階的に孔径が小さくなっている。
本例の赤外線発生装置10は、縦約390mm、横約500mmの放熱領域を備えた放熱板30を備えており、その放熱板30の中心の縦約360mm、横約425mmの領域が千鳥状に複数の孔31が設けられて、多孔性になっている。放熱板30に設けられた複数の孔31は、4種類の大きさに分類される。1番目に大きな孔31aは、左端と右端にそれぞれ4列と下端2列とに設けられており、その直径は8.0mmであって、トータルで196個形成されている。2番目に大きな孔31bは、1番目に大きな孔31aの内側に、左右それぞれ4列、下側2列に設けられており、その直径は7.0mmであって、トータルで180個形成されている。3番目に大きな孔31cは、2番目に大きな孔31bの内側であって、中央付近を含むほぼ正方形の領域を形成するように設けられており、その直径は5.0mmであって、トータルで522個形成されている。4番目に大きな孔(一番小さな孔)31dは、上記のほぼ正方形の領域の上側(上端)5列に設けられており、その直径は2.8mmであって、トータルで90個設けられている。したがって、上述したように、この放熱板30の複数の孔31は、上下方向においては、下側から上側に向かうに従って、孔径が小さくなっており、左右方向においては、中心に向かうに従って、孔径が小さくなっている。
本願の発明者らの実験によると、均一な径の孔が開いた放熱板を用いた場合、ロータリーバーナーにより赤熱される赤熱部が放熱板の上半部の中央に限定されやすいことが分かった。これに対し、上記のような複数の径に孔を分布した放熱板30を採用すると、赤熱部は上下左右に、多孔状の領域にほぼ均等に広がり、放熱板30の温度が高くなる面積を拡大できることが判明した。この放熱板30を備えた赤外線発生装置10によれば、燃焼盤22の近傍の燃焼により生成される高温の熱風(燃焼ガス)が、チャンバ12の上方に偏り、放熱板の上方を集中的に加熱し、その結果、赤熱領域が限定されて赤外線の発生量が増加しないような不具合の発生することを抑制できる。すなわち、このような径の異なる孔が分布した放熱板30は、燃焼ガスの放出量(放出される際の差圧)を適切に調整でき、燃焼ガスの放出が放熱板30の周囲で多く、中心部で少なく、さらに上部で少ない状態にできると考えられる。その結果、チャンバ12内において、高温の燃焼ガスが上方に偏在することを抑制し、高温の燃焼ガスの分布を平均化し、放熱板30の周囲の加熱を促進することができると考えられる。したがって、放熱板30から前方に赤外線を均一に放射すること(赤熱部を均一に形成すること)ができる。
なお、放熱板30に形成される孔31は、段階的に形成されているものに限定されず、また、孔形も円形に限定されるものではない。全体として、上下方向においては、下側から上側に向かうに従って、孔径が小さくなっているとともに、左右方向においては、中心に向かうに従って、孔径が小さくなっていれば、放熱板30に形成される孔31は、楕円形状、矩形状、多角形状などに形成されていてもよい。また、このような放熱板30は、平板に孔を開けてから絞り加工などにより形成してもよく、また、金型で成型してもよい。
また、放熱板30は、全体の開口率が10%〜20%であることが好ましい。このタイプの赤外線ヒータでは、熱を熱風あるいは温風として放出するよりも、放熱板30から放出される赤外線として放出することが好ましい。したがって、従来知られている、ガンタイプバーナーを備えた赤外線発生装置では、放熱板の開口率は、1%〜5%程度であり、放熱板の表面温度は、大凡750℃である。これに対し、本例の赤外線ヒータ1では、ロータリーバーナー20を採用すると共に、ガンタイプとは逆に、放熱板の開口率を大きくして燃焼をさらに促進するようにしている。その結果、放熱板30の表面の温度をより高くすることができ、本例では、大凡830℃とすることができる。このため、赤外線として放出される熱量を増加でき、本例の赤外線発生装置10により得られる、暖かさ(放熱板30の表面温度)を約30%向上させることができる。
図6は、赤外線発生装置10が備える燃焼盤22を一部断面にして側面図により示している。この燃焼盤22の周壁22dには、混合ガスBを吹き出すための複数の孔(開口)22cが、千鳥格子状に形成されている。孔22cの径Rは、それぞれ1.90mmである。孔の横方向(周方向、第2の方向)のピッチP1(一列おき)は6.80mmである。孔の縦方向(前後方向、第1の方向)のピッチP2(一列おき)は6.00mmである。
従来のロータリーバーナーが備える燃焼盤は、孔の径が2.50mmであり、個数は648個、炎孔面積は3181mmである。これに対し、本例の赤外線発生装置10のロータリーバーナー20が備える燃焼盤22は、孔22cの径Rを小さくし、その分個数を1160個と増やしている。また、本例の赤外線発生装置10のロータリーバーナー20が備える燃焼盤22では、炎孔面積は、3287mmである。なお、この誤差は、孔のパターンによるものであり、基本的には、炎孔面積は、従来と殆ど変えていない。このため、炎孔負荷(1つの炎孔あたりの負荷、kcal/個)は、従来が46.3kcalであったのに対し、本例では30.0kcalと少なくなっている。
図7は、炎孔負荷Lfと運転音との関係を示している。図8の(a)〜(c)は、炎孔負荷Lfと炎(青火)Fbとの関係を模式的に示している。図7において、運転音は、JIS 8416に基づいて測定している。すなわち、図7は、無響音室において、赤外線ヒータ1の表面から1.5m、高さ1.0mの位置で、前後左右4方向で測定した騒音の最大値を示している。本例の赤外線ヒータ1では、前側(放熱板30側)が最大値となった。図7において、運転音は、A特性の値である。
孔22cの径Rを小さくしすぎたり、炎孔負荷Lfを30kcal/個未満とすると、青火Fbは図8(c)に示すようになり、共鳴音(ピー音、「ピー」という風切り音)が発生し、運転音が大きくなる。また、炎孔負荷Lfが35kcal/個を越えると、青火Fbは図8(a)に示すようになり、過負荷燃焼により、運転音が大きくなる。
したがって、図8(b)に示すように適正な青火Fbを形成するためには、孔22cの径Rは、以下の(0)式を満たすことが好ましい。
1.60mm≦R≦2.20mm・・・(0)
さらに、孔22cの径Rは、以下の(1)式を満たすことが好ましい。
1.85mm≦R≦2.00mm・・・(1)
また、運転音を小さくするためには、炎孔負荷Lfは、以下の(b)式を満たすことが好ましい。
30kcal/個(約126kJ/個)≦Lf≦35kcal/個(約147kJ/個)
・・・(b)
最も好ましくは、炎孔負荷Lfは、32kcal/個(約143kJ/個)またはその近傍である。
また、孔22cのピッチが狭すぎると、複数の孔22cから吹き出される混合ガスBにより大きな炎が形成されてしまい、炎孔負荷を低くした効果が得られ難い。このため、ピッチP1およびP2は以下の(2)式を満たすことが望ましい。
5.0mm≦P1、P2≦8.0mm・・・(2)
孔22cを縦横に配置したときのピッチP1およびP2の範囲の一例は以下の式(3)のようなものである。
5.0mm≦P1≦7.0mm
5.8mm≦P2≦7.8mm・・・(3)
このような燃焼盤を有するロータリーバーナー20を採用することにより、燃焼効率が向上し、しかも、運転音のより小さな赤外線発生装置10を提供できる。また、この赤外線発生装置10を採用することにより、少ない燃焼量でより暖かく、しかも、運転音が比較的小さい赤外線ヒータ1を提供できる。
以上のように、本例によれば、燃焼効率が高く、そして、より暖かく、しかも、運転音が小さい赤外線ヒータが得られる。
ガンタイプバーナーを備えた赤外線発生装置においては、通常、放熱板に複数の孔を均一に形成している。しかしながら、本願発明者らは、ロータリーバーナーを備えた赤外線発生装置においては、放熱板に複数の孔を均一に形成するよりは、複数の孔の径を変えることにより、放熱板から前方に赤外線をより均一に放射され易い(赤熱部を均一に形成し易い)赤外線発生装置を提供できることをつきとめた。
すなわち、ロータリーバーナーにより発生された熱は、チャンバを介して放熱板を加熱する。赤外線を発生する面積を確保するためには放熱板の面積を大きくすることが望ましく、チャンバは後方より前方が広がったものになる。そのようなチャンバに取り付けられた放熱板の加熱状態を、放熱板に設けられた複数の孔の径を変えることにより制御できることを見出した。例えば、ロータリーバーナーを備えた赤外線発生装置においては、ロータリーバーナーから出力される熱は、輻射、高温の燃焼ガスを含めてチャンバ内を伝達するが、孔径を変えることにより、高温の燃焼ガスのチャンバ内における分布を均等化できるなどの効果が得られるためと考えられる。
この赤外線発生装置において、放熱板は多孔で、複数の孔を備えており、複数の孔は、上下方向においては、下側から上側に向かうに従って、孔径が小さくなっていることが好ましい。ほぼ水平な方向に向いて設置されたロータリーバーナーは、高温の燃焼ガスをほぼ水平方向に吹き出す。したがって、ガンタイプのバーナーにより霧状の燃料が水平に噴出され、バーナーの前方で火炎が発生する場合と比較すると、チャンバの上方に高温部が広がり易い。さらに、前面が放熱板となったチャンバは、放熱板の面積を確保するために後方から前方に向かって広がっており、ロータリーバーナーの前方には左右のみならず上下方向にも空間が広がる。したがって、放熱板の複数の孔を、下側から上側に向かうに従って径を小さくすることにより、チャンバ内において、高温部が上方に上がり難くすることができる。したがって、放熱板から前方に赤外線を均一に放射する(赤熱部を均一に形成する)ことができる。
さらに、放熱板の複数の孔は、左右方向においては、中心に向かうに従って、孔径が小さくなっていることが好ましい。このようにすることにより、左右にも広がったチャンバ内において高温部を左右にも広げる(拡散させる)ことができ、放熱板から前方に放射される赤外線の強度をより均一にすることができる。
また、これらの放熱板の多孔(複数の孔)は、連続的に孔径が変化していても良い。放熱板の制作上は、段階的に孔径が変化していることが望ましい。また、放熱板は、前方に湾曲したものが多く、プレス加工が施される。プレス加工の前に孔開けを行うことが可能であり、この場合、プレス加工により放熱板には楕円状の複数の孔が形成される。
また、本願発明者らは、ロータリーバーナーを備えた赤外線発生装置においては、燃焼盤と燃焼外筒との間のガス室内に炎が吹き込まれる、いわゆるバック燃焼(逆火)が生じる場合があることをつきとめた。バック燃焼が生じると、燃焼の継続が困難となるため、好ましくない。
この赤外線発生装置では、燃焼外筒の外側に設けられた収容筒をさらに有し、燃焼外筒と収容筒との間に、ファンにより供給される空気の一部を冷却空気として流すことが好ましい。燃焼外筒と収容筒との間に、ファンにより供給される冷却空気を流すことにより、ガス室の温度を低くすることができるため、燃焼盤と燃焼外筒との間のガス室内に炎が吹き込まれる、いわゆるバック燃焼を抑制することができる。その一方で、燃焼盤を直には冷却しないので、燃焼盤の温度が大きく低下することを抑制でき、液体燃料の気化を阻害したり、燃焼盤から吹き出される混合ガスの温度が大きく低下することを抑制できる。
この冷却空気は、チャンバ内に直に吹き出し、燃焼盤から吹き出す混合ガスの燃焼空気として燃焼に寄与することは期待されていない。したがって、燃焼外筒と収容筒との間に冷却空気を流す方法、および、冷却空気がチャンバに吹き出す方向などを、燃焼外筒を冷やすのに適したように自由に選択できる。チャンバの断熱壁の内側に沿って吹き出したり、収容筒の上方を流れる空気量を増やしたりすることが、例えば、可能である。
図9は、本発明の第2の実施形態にかかる赤外線ヒータ1を正面図により示している。図10は、図9の赤外線ヒータ1を、搬送している状態で、正面図により示している。図11は、図9の赤外線ヒータ1を端面図(断面図)により示している。
この赤外線ヒータ1は、赤外線発生装置10と、赤外線発生装置10を収納するハウジング(外装)2と、ハウジング2の下方に配置された燃料タンク11と、ハウジング2および燃料タンク11を支持する下部フレーム3aと、下部フレーム3aに設けられた車輪4aおよび脚部8とを備えている。下部フレーム3aは、その一部が上方に延び、取手(ハンドル)9と繋がっている。この赤外線ヒータ1は、図10に示すように、取手9を持ち上げることにより、車輪4aを利用し、X方向に沿って直線的に移動させたり、取手9を持って旋回することにより移動方向を変えることができる。したがって、この赤外線ヒータ1は、任意の場所に移動させることができる。また、この赤外線ヒータ1は、取手9を離すと、脚部8がストッパとなり、その場所に設置できる(図9参照)。
ハウジング2は、旋回台3cを介して下部フレーム3aに取り付けられた上部フレーム3bに支持されている。ハウジング2は、旋回軸6を介して上下に旋回(回動)するように、上部フレーム3bに支持されている。このため、赤外線ヒータ1は、その軸線(チャンバ12の中心を通る線、ロータリーバーナー20の回転気化筒21の軸線、ロータリーバーナー20の回転気化筒21の回転軸)Lが略水平となる姿勢と、軸線Lが上側を向くように傾斜する姿勢との間で、上下に旋回(回動)可能となっている。本例の赤外線ヒータ1は、軸線Lが水平線に対して、若干上側を向くように(前側が後側よりも若干高くなるように)、角度θ(図11参照)だけ傾いた姿勢を基本姿勢としている。傾き角度θは、例えば、15°程度とすることができる。
また、旋回台3cは、下部フレーム3aに対して上部フレーム3bを左右に旋回できる。したがって、車輪4aおよび脚部8を備えた下部フレーム3aに対して、ハウジング2の左右の向きを適当にセットできる。さらに、ハウジング2を左右の適当な角度範囲において繰り返し旋回させることができる。
また、上記実施形態では、ドレンシステム70は、連結管55により、収容筒15の下側後方とタンク内配管56とが直に繋がれているが、本例の赤外線ヒータでは、ドレンシステム70は、連結管55により、燃焼外筒23の下側後方とタンク内配管56とが直に繋がれている。すなわち、本例では、ドレンシステム70は、連結管55により、ガス室26とタンク内配管56とが、ファンネルなどを介さず、直に繋がれている。また、燃焼盤22の周壁22dとその端壁22aとのコーナー部に、燃焼盤22のドレンの排出経路となるドレン孔51が設けられている。
タンク内配管56は、タンク内配管56が挿入可能な大きさに形成された平面円形状の挿入口(開口)11dから燃料タンク11内に挿入されている。タンク内配管56と燃料タンク11との間(タンク内配管56と挿入口11dとの間)は、シール部材57によりシールされている。
収容筒15と燃焼外筒23との間には、ファン13により供給される空気の一部が冷却空気Aとして流通するため、収容筒15と燃焼外筒23との間は、通常、ガス室26内よりも高圧となっている。したがって、収容筒15の下側後方とタンク内配管56とを直に接続したドレンシステム70では、燃焼盤22や燃焼外筒23に溜まったドレンが収容筒15に流出しにくい場合がある。
本例の赤外線ヒータ1では、ドレンシステム70は、燃焼盤22の周壁22dとその端壁22aとのコーナー部にドレン孔51を設け、燃焼外筒23の下側後方とタンク内配管56とを直に繋いでいる。このため、燃焼盤22および燃焼外筒23に溜まったドレンが排出されやすい。このように、本例の赤外線ヒータ1では、ロータリーバーナー20の内部に残留した液体燃料をドレンとしてさらに良好に排出できる。このため、赤火燃焼などの不安定な燃焼は抑制され、青火で良好に燃焼させることができる。しかも、除去したドレンを燃料タンク11に戻すことができる。
タンク内配管56の先端56aがU字状に曲げられていないと、燃料タンク11の燃料が少ないときには、燃焼外筒23の下側後方とタンク内配管56とを直に繋ぐと、ガス室26内の燃料ガスがタンク11の内部に吹き抜けるおそれがある。本例の赤外線ヒータ1では、タンク内配管56の先端56aを、燃料タンク11の底部の近傍において、上向きにU字状に曲げ、ドレンおよび/または燃料によるオイルシールが、燃料タンク11の燃料が少ない状態になったときでも形成されるようにして、燃料ガスが燃料タンク内および外部に排出されないようにしている。
タンク内配管56の先端56aは、ガス室26内の圧力よりも、内部に溜まっている液体燃料による圧力の方が高くなるように、上向きにU字状に曲げることが好ましい。ガス室26内の圧力(連結管55内の圧力)は、使用するロータリーバーナーによっても異なるが、本例の赤外線ヒータ1では、5mmAq(5mmH0、約49Pa)程度である。また、本例の赤外線ヒータ1は、液体燃料として灯油を用いるものであり、灯油の水に対する比重は、約0.8である。このような場合、U字部分56aにおける圧力が大凡6.2mm灯油以上となれば、ドレンシステム70を介してガス室26内から燃焼ガスが外部に流出しない。すなわち、タンク内配管56のU字部分56aの高さdは、若干の余裕をもたせ、大凡7mm以上であれば、ドレンシステム70を介してガス室26内から燃焼ガスが外部に流出しない。本例では、タンク内配管56のU字部分56aの高さdを10mmとしている。
また、本例の赤外線ヒータ1では、製造上の観点から、挿入口11dの直径が30mm程度、タンク内配管56の直径(外径)が8mm程度であることが好ましい。また、U字部分56aの曲率半径(R)は30mm程度であることが好ましい。このような条件下では、タンク内配管56のU字部分56aの高さdが12mmを越えると、燃料タンク11内にタンク内配管56を挿入することが難しくなる。
したがって、この赤外線ヒータ1によれば、タンク内配管56のU字部分56aの高さdは、以下の条件(a)を満たすことが好ましい。以下の条件(a)を満たすように、タンク内配管56をU字状に曲げることにより、良好なオイルシールが得られ、しかも、タンク内配管56を燃料タンク11内に比較的簡単に挿入することができる。
7mm≦d≦12mm・・・(a)
また、本例の赤外線ヒータ1では、上述のように、取手9を持ち上げることにより、車輪4aを利用し、X方向に沿って移動させる。したがって、タンク内配管56の先端56aを、搬送方向(X方向、第1の方向)に曲げると、取手9により持ち上げられて赤外線ヒータ1を傾けたり、取手9を離してヒータ1の傾きを戻したときに、U字状の先端56aがU字に対して平行な方向に傾いたり戻されたりするので、U字状に曲げられている部分56aに溜められている液体燃料(オイル)の油面が大きく揺れ、U字状に曲げられている部分56aに溜められている液体燃料がこぼれやすい。U字状に曲げられている部分56aに溜められている液体燃料がこぼれ出て圧力が低下すると、U字状の部分に溜まった液体燃料F(ドレン)によるシール効果が低下する。U字状に曲げられている部分56aに溜められている液体燃料による圧力がロータリーバーナー20の内部の圧力、本例では、ガス室26内の圧力よりも小さくなると、燃料ガス(未燃ガス)が開口11bなどを介して外部に吹き抜けてしまう。したがって、本例でも、タンク内配管56の先端を、搬送方向(X方向、第1の方向)と交差する方向、例えば、直交する方向(Y方向)に、U字状に曲げている。
しかも、本例の赤外線ヒータ1によれば、タンク内配管56の先端56aが燃料タンク11の底部の近傍において上向きにU字状に曲げられているため、タンク11内の燃料が少ない場合でもU字状の部分にオイルを満たすことができ、タンク11が空に近い状態になってもタンク内配管56の先端56aをオイル(液体燃料Fおよび/またはドレン)でシールできる。したがって、ロータリーバーナー20の内部は大気に対して加圧コンディションとなるが、燃料ガスが、キャップ11aの開口11bから外部に漏れることがなく、これらが吹き抜けることにより発生するにおいを抑制できる。
さらに、本例の赤外線ヒータ1によれば、タンク内配管56の先端56aを、搬送方向と交差する方向にU字状に曲げているため、取手9を持ち上げてヒータ1を搬送しても、U字部分56aに溜められている液体燃料がこぼれ出にくい。したがって、搬送中および搬送後においても、燃料ガスの外部への吹き抜けを抑制できる。
また、燃焼外筒23の下側後方とタンク内配管56とを連結管55により直に繋いでいるため、燃焼外筒23の下側後方に溜まったドレンを速やかに排出することができる。また、燃焼外筒23とタンク内配管56とを直に繋ぐことにより、燃焼外筒23とタンク内配管56との間からにおいが漏れることを抑制できる。
この赤外線発生装置10は大量の赤外線を安価に放出できるので、室内外の暖房を主な目的としてヒータに適用されるのに適しているが、用途はヒータに限定されるものではない。他の用途、例えば、加熱あるいは乾燥を目的とした装置にも適用できる。
本発明の第1の実施形態にかかる赤外線ヒータを示す側面図。 図1の赤外線ヒータを一部断面にして示す側面図。 図1の赤外線ヒータを示す端面図(断面図)。 図1の赤外線ヒータが備える赤外線発生装置を傾けて使用する状態を示す端面図(断面図)。 図3の赤外線発生装置が備える放熱板の正面図。 図3の赤外線発生装置が備える燃焼盤を一部断面にして示す側面図。 炎孔負荷と運転音との関係を示す図。 (a)〜(c)は炎孔負荷と炎との関係を模式的に示す図。 本発明の第2の実施形態にかかる赤外線ヒータを示す正面図。 図9の赤外線ヒータを搬送している状態で示す正面図。 図9の赤外線ヒータを示す端面図(断面図)。
符号の説明
1 赤外線ヒータ(赤外線暖房装置)、 11 燃料タンク
12 チャンバ、 13 ファン、 17 断熱壁
20 ロータリーバーナー、 21 回転気化筒
22 燃焼盤、 22c 燃焼盤の開口
23 燃焼外筒、 26 ガス室、 30 放熱板
55 接続管、 56 タンク内配管
56a タンク内配管の先端、 70 ドレンシステム

Claims (6)

  1. 外周が断熱壁により形成され、後方より前方が広がったチャンバと、
    前記チャンバの前方に配置された多孔性の放熱板と、
    前記チャンバの後方に配置されたロータリーバーナーおよびファンとを有し、
    前記ロータリーバーナーは、回転気化筒、筒状の燃焼盤、および、前記燃焼盤との間にガス室を形成するための燃焼外筒が内側からこの順序で配置され、前記回転気化筒の軸線が上側を向くように傾斜する姿勢を備えており、
    液体燃料を前記回転気化筒で気化させ、前記ファンから供給される燃焼空気とともに混合ガスとして前記ガス室を介して前記燃焼盤から吹出させて燃焼させ、前記放熱板は前方に赤外線を放射する赤外線ヒータであって、さらに、
    前記液体燃料を溜める燃料タンクと、
    前記ロータリーバーナーの一部と連通し、前記ロータリーバーナーの内部に残留した液体燃料をドレンとして前記燃料タンクに排出するためのドレンシステムとを有し、
    前記ドレンシステムは、前記ドレンを前記燃料タンクの底部の近傍に導くタンク内配管および前記燃焼外筒の下側後方と前記タンク内配管とを直に繋ぐ連結管を備え、前記タンク内配管の先端は、前記燃料タンクの底部の近傍において、上向きにU字状に曲げられている、赤外線ヒータ。
  2. 外周が断熱壁により形成され、後方より前方が広がったチャンバと、
    前記チャンバの前方に配置された多孔性の放熱板と、
    前記チャンバの後方に配置されたロータリーバーナーおよびファンとを有し、
    前記ロータリーバーナーは、回転気化筒、筒状の燃焼盤、および、前記燃焼盤との間にガス室を形成するための燃焼外筒が内側からこの順序で配置されており、
    液体燃料を前記回転気化筒で気化させ、前記ファンから供給される燃焼空気とともに混合ガスとして前記ガス室を介して前記燃焼盤から吹出させて燃焼させ、前記放熱板は前方に赤外線を放射する赤外線ヒータであって、さらに、
    前記液体燃料を溜める燃料タンクと、
    前記ロータリーバーナーの一部と連通し、前記ロータリーバーナーの内部に残留した液体燃料をドレンとして前記燃料タンクに排出するためのドレンシステムとを有し、
    前記ドレンシステムは、前記ドレンを前記燃料タンクの底部の近傍に導くタンク内配管を備え、前記タンク内配管の先端は、前記燃料タンクの底部の近傍において、上向きにU字状に曲げられており、さらに、
    当該赤外線ヒータは、第1の方向に搬送可能であり、
    前記タンク内配管の先端は、前記第1の方向と交差する方向にU字状に曲げられている、赤外線ヒータ。
  3. 請求項1または2において、前記タンク内配管のU字状に曲げられている部分の高さdは以下の条件を満たす、赤外線ヒータ。
    7mm≦d≦12mm
  4. 請求項1ないしのいずれかにおいて、前記燃焼盤には、前記混合ガスを吹き出すための複数の開口が設けられており、前記開口の直径Rおよび前記開口の炎孔負荷Lfは、それぞれ以下の条件を満たす、赤外線ヒータ。
    1.85mm≦R≦2.00mm
    30kcal/個≦Lf≦35kcal/個
  5. 請求項において、前記複数の開口は千鳥状に2次元に配置されている、赤外線ヒータ。
  6. 請求項において、前記複数の開口は、第1の方向の1列おきのピッチP1が以下の条件を満たし、第2の方向の1行おきのピッチP2が以下の条件を満たす、赤外線ヒータ。
    5.0mm≦P1、P2≦8.0mm
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