JP4925351B2 - 建設機械における化粧カバー構造 - Google Patents

Description

本発明は、タンクの上面に昇降可能な建設機械において、タンク側面を覆蓋するために設けられる化粧カバー構造の技術分野に属するものである。

一般に、油圧ショベル等の建設機械のなかには、該建設機械に搭載されるタンク（燃料タンクや作動油タンク）の上面を、メンテナンス作業や燃料補給を行なう場合等に足場や通路として用いるべく、作業員がタンク上面に昇降できるように構成したものがある。さらにこのものにおいて、タンク上面に昇降する作業員が通る側のタンク側面を、化粧カバーで覆蓋したものが知られている（例えば、特許文献１、特許文献２参照。）。
特開２００１−２６２６２０号公報 特開２００５−２４８６１８号公報

ところで、前記特許文献１、２の化粧カバーには、タンク上面に対して略面一状となる上面が形成されている。この化粧カバーの上面は、下側の足場とタンク上面とのあいだを昇降する作業員が踏み易い箇所であり、このため、化粧カバーは、作業員に踏まれても変形したり脱落したりしないように強度を有するものにしなければならず、コスト高になるという問題がある。
また、タンク上面を足場や通路として用いる場合には、前記特許文献１に示されるように、タンク上面に滑り止め機能を有する上面板を取付けるのが一般であるが、前述したように化粧カバーの上面も作業員に踏まれ易い箇所であるから、該化粧カバーの上面にも滑り止め機能を付与することが要求され、さらにコスト高になるという問題があり、ここに本発明が解決しようとする課題がある。

本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項１の発明は、タンクの上面に昇降可能な建設機械において、タンク上面に昇降する作業員が通る側のタンク側面を化粧カバーで覆蓋するにあたり、該化粧カバーの上部を、タンク上面に昇降する作業員が踏むことができない傾斜角度に設定された傾斜状面で形成したことを特徴とする建設機械における化粧カバー構造である。
請求項２の発明は、化粧カバーの傾斜状面は、タンク上面に昇降する作業員が踏む惧れのない部分を除いて、化粧カバーの上部全域に亘って形成されることを特徴とする請求項１に記載の建設機械における化粧カバー構造である。
請求項３の発明は、化粧カバーの傾斜状面の上端位置を、タンク上面よりも一段低くしたことを特徴とする請求項１または２に記載の建設機械における化粧カバー構造である。
請求項４の発明は、タンク上面に、滑り止め機能を有する上面板を取付け、該上面板の化粧カバー側縁部を下方に向けて折曲してタンク上面よりも垂下せしめる一方、該垂下部分によって、化粧カバーの傾斜状面の上端とタンク上面との間のタンク側面を覆蓋することを特徴とする請求項３に記載の建設機械における化粧カバー構造である。

請求項１の発明とすることにより、タンク上面に昇降する作業員が化粧カバーの上部を踏んでしまうことを確実に回避できることになり、而して、化粧カバーを、作業員が踏んでも耐えうる強度の構造や取付けにする必要がなくなって、軽量且つ安価なものにすることができると共に、滑り止め機能を付与する必要もなくなり、コストダウンに大きく貢献できる。
請求項２の発明とすることにより、作業員が化粧カバーを踏んでしまうことを、化粧カバーの上部全域に亘って防止することができる。
請求項３の発明とすることにより、タンク上面に掛かった作業員の足が傾斜状面の上端を踏んでしまう惧れを、確実に防止することができる。
請求項４の発明とすることにより、上面板の垂下部部によって、化粧カバーの傾斜状面の上端とタンク上面との間のタンク側面が覆蓋されることになり、而して、傾斜状面の上端位置をタンク上面よりも低くしても、タンク側面の上部が露出してしまうことなく、美観上好ましいものにすることができる。

次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、１は建設機械の一例である油圧ショベルであって、該油圧ショベル１は、クローラ式の下部走行体２と、該下部走行体２に旋回自在に支持される上部旋回体３とから構成されると共に、該上部旋回体３は、掘削等の作業を行なうフロント作業部４、キャブ５、図示しないエンジンやポンプユニット等の各種機器装置が収納されるエンジンルーム６、燃料タンク７、カウンタウエイト８、ペール缶や工具等を収納するストレージボックス９等を備えて構成されている。

前記ストレージボックス９は、上部旋回体３の左側（上部旋回体３の前方から視て左側、以下同様）前端部に配されており、また、燃料タンク（本発明のタンクに相当する）７は、ストレージボックス９の後側に配されているが、該燃料タンク７の上面７ａは、前記エンジンルーム６の上面やカウンタウエイト８の上面と共に、略面一状の機体上面１ａを形成していて、エンジンルーム６内の機器装置のメンテナンスや燃料補給等の作業を行なうような場合に、作業員の足場や通路として用いられるようになっている。

一方、前記ストレージボックス９の上面９ａは、ペール缶等の収納物を出し入れできるよう開閉自在に構成されていると共に、該ストレージボックス９の上面９ａの高さは、燃料タンク７の上面７ａよりも低く設計されている。さらに、燃料タンク７の前面７ｂには、燃料タンク７の上面７ａとストレージボックス９の上面９ａとの略中間の高さ位置に、作業員が足を掛ける昇降用ステップ１０が取付けられている。そして、作業員は、上記昇降用ステップ１０に足を掛けて、ストレージボックス９の上面９ａと燃料タンク７の上面７ａとのあいだを昇降できるようになっている。
尚、後述するように、燃料タンク７の前面７ｂは化粧カバー１１によって覆蓋されているが、該化粧カバー１１には、前記昇降用ステップ１０が貫通するステップ用開口１１ｆが開設されている。而して、燃料タンク７の前面７ｂに取付けられた昇降用ステップ１０は、前記化粧カバー１１のステップ用開口１１ｆを貫通して、化粧カバー１１の前方に突出するように設けられている。

さらに、１２は下部走行体２のフレーム２ａに取り付けられたステップ、１３は上部旋回体３の架台フレーム３ａに取り付けられたステップであって、作業員は、これらステップ１２、１３やクローラ２ｂの上面を通って、地上から前記ストレージボックス９の上面９ａにアクセスできるようになっている。また、１４は作業員が昇降するときに把持するための手摺りであって、該手摺り１４の一端側は、上部旋回体３の架台フレーム３ａの前側左端部に支持され、他端側は、燃料タンク７の上面７ａの左側端部に支持されている。

ここで、前記燃料タンク７の上面７ａには、滑り止め用の複数の突起１５ａを有する上面板１５が取付けられている。この上面板１５の前側縁部は下方に向けて折曲されていて、燃料タンク７の上面７ａから少し垂下する状態になっているが、該垂下部分１５ｂの上端のコーナー部１５ｃにも突起１５ａが形成されていて、作業員が上面板１５のコーナー部１５ｃに足を掛けても滑らないように配慮されている。

また、前記燃料タンク７の上面７ａと共に機体上面１ａを形成するエンジンルーム６の上面や、前記ストレージボックス９の上面９ａにも、図示しないが、滑り止め機能を有する面板が取付けられており、これによって、作業員が機体上面１ａに昇降するときや作業を行なうときの滑り止めがなされるように構成されている。

一方、前記燃料タンク７の前面７ｂは、ストレージボックス９の上面９ａから燃料タンク７の上面７ａに昇降する作業員が通る側のタンク側面であって、前述したように昇降用ステップ１０が取付けられているが、該燃料タンク７の前面７ｂは、化粧カバー１１によって覆蓋されている。

前記化粧カバー１１は、燃料タンク７の前面７ｂの溶接跡等を隠して美観を向上させるために設けられるものであるが、該化粧カバー１１は、前面１１ａと、左面１１ｂおよび右面１１ｃと、下面１１ｄとを有し、側面視において略直角三角形状をしていると共に、燃料タンク７の前面７ｂに対向する後面側が開口している。

前記化粧カバー１１の前面１１ａは、上側ほど燃料タンク７の前面７ｂに近接するよう傾斜しているが、該前面１１ａの上部は、ストレージボックス９の上面９ａと燃料タンク７の上面７ａとの間を昇降する作業員が踏むことができない傾斜角度に設定された傾斜状面１１ｅで形成されている。該傾斜状面１１ｅは、前記手摺り１４が配設されていて作業員が踏む惧れのない部分（本実施の形態では、化粧カバー１１の左側端部）を除いて、前面１１ａの上部全域に亘って形成されている。

さらに、前記傾斜状面１１ｅの上端位置は、燃料タンク７の上面７ａよりも一段低くなっている。これにより、作業員が上面板１５のコーナー部１５ｃに足を掛けても、該足が傾斜状面１１ｅの上端を踏んでしまうことを確実に回避できるようになっている（図６参照。）。

ここで、前述したように、上面板１５の前側縁部は下方に向けて折曲されていて、燃料タンク７の上面７ａから少し垂下しているが、該垂下部分１５ｂの下端は、傾斜状面１１ｅの上端位置よりも僅かに下位に位置するように設計されている。而して、上面板１５の垂下部分１５ｂによって、傾斜状面１１ｅの上端と燃料タンク上面７ａとの間の燃料タンク前面７ｂが覆蓋されるようになっている。

また、化粧カバー１１の前面１１ａには、前述したように昇降用ステップ１０が貫通するステップ用開口１１ｆが開設されていると共に、化粧カバー１１を燃料タンク７の前面７ｂに取付けるためのボルト１６用の貫通孔１１ｇが、計四箇所に穿設されている。そして、化粧カバー１１の前方側から貫通孔１１ｇに挿入せしめたボルト１６を、燃料タンク７の前面７ｂに形成された螺子孔部７ｃに螺入せしめることで、化粧カバー１１を燃料タンク７の前面７ｂに取付けできるように構成されている。

叙述の如く構成された本形態において、機体上面１ａに載ってメンテナンスや燃料補給等の作業を行なう場合、作業員は、燃料タンク７の前側に配されたストレージボックス９の上面９ａを通って燃料タンク７の上面７ａに昇降することになるが、該燃料タンク７の前面７ｂ（燃料タンク７の上面７ａに昇降する作業員が通る側のタンク側面）は、化粧カバー１１によって覆蓋されていると共に、該化粧カバー１１の上部は、燃料タンク７の上面７ａに昇降する作業員が踏むことのできない傾斜角度に設定された傾斜状面１１ｅで形成されている。

この結果、燃料タンク７の上面７ａに昇降する作業員が化粧カバー１１の上部を踏んでしまうことを確実に回避できることになり、而して、化粧カバー１１を、作業員が踏んでも耐えうる強度の構造や取付けにする必要がなくなって、軽量且つ安価なものにすることができると共に、滑り止め機能を付与する必要もなくなり、コストダウンに大きく貢献できる。

しかも、前記傾斜状面１１ｅは、燃料タンク７の上面７ａに昇降する作業員が踏む惧れのない部分（本実施の形態では、手摺り１４が配設されていて作業員が踏む惧れのない左側端部）を除いて、化粧カバー１１の上部全域に亘って形成されているため、作業員が化粧カバー１１を踏んでしまうことを、化粧カバー１１の上部全域に亘って防止することができる。

さらに、前記傾斜状面１１ｅの上端位置は、燃料タンク７の上面７ａよりも一段低くなっているから、燃料タンク７の上面７ａに掛かった作業員の足が傾斜状面１１ｅの上端を踏んでしまう惧れを、確実に防止することができる。

また、燃料タンク７の上面７ａには、滑り止め用の複数の突起１５ａを有する上面板１５が取付けられていると共に、該上面板１５の前側縁部（化粧カバー１１が設けられる側の縁部）は、下方に向けて折曲されていて燃料タンク７の上面７ａから少し垂下しているが、該垂下部分１５ｂによって、化粧カバー１１の傾斜状面１１ｅの上端と燃料タンク上面７ａとの間の燃料タンク前面７ｂが覆蓋されることになる。而して、前述したように、傾斜状面１１ｅの上端位置を燃料タンク７の上面７ａよりも一段低くしても、燃料タンク７の前面７ｂの上部が露出してしまうことなく、美観上好ましいものにすることができる。

油圧ショベルの側面図である。 燃料タンク周りを示す斜視図である。 化粧カバーの正面図である。 （Ａ）は化粧カバーの左側面図、（Ｂ）は図３のＸ−Ｘ断面図、（Ｃ）は化粧カバーの右側面図である。 化粧カバーの取付け状態を示す図である。 図５の要部拡大図である。

符号の説明

７ 燃料タンク
７ａ 燃料タンクの上面
７ｂ 燃料タンクの前面
１１ 化粧カバー
１１ｅ 化粧カバーの傾斜状面
１５ 上面板
１５ｂ 上面板の垂下部分

Claims (4)

1. タンクの上面に昇降可能な建設機械において、タンク上面に昇降する作業員が通る側のタンク側面を化粧カバーで覆蓋するにあたり、該化粧カバーの上部を、タンク上面に昇降する作業員が踏むことができない傾斜角度に設定された傾斜状面で形成したことを特徴とする建設機械における化粧カバー構造。
2. 化粧カバーの傾斜状面は、タンク上面に昇降する作業員が踏む惧れのない部分を除いて、化粧カバーの上部全域に亘って形成されることを特徴とする請求項１に記載の建設機械における化粧カバー構造。
3. 化粧カバーの傾斜状面の上端位置を、タンク上面よりも一段低くしたことを特徴とする請求項１または２に記載の建設機械における化粧カバー構造。
4. タンク上面に、滑り止め機能を有する上面板を取付け、該上面板の化粧カバー側縁部を下方に向けて折曲してタンク上面よりも垂下せしめる一方、該垂下部分によって、化粧カバーの傾斜状面の上端とタンク上面との間のタンク側面を覆蓋することを特徴とする請求項３に記載の建設機械における化粧カバー構造。

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