JP4919857B2 - 圧延方向に板厚がテーパ状に変化する片面テーパ鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
また、被圧延材がめっき鋼板であっても、片面が健全なめっき層で覆われているテーパ鋼板を圧延により板厚精度よく製造する方法を提供することを目的とする。
重ね圧延は、圧延機とその前後に設置された2組のリールより構成される圧延設備を用いて連続的に行うことが好ましい。
S0=h0−P0 c/M (1)
Si=S0−1/M・(Pi-1−P0 c)−1/M・(Pi c−Pi-1 c)・Pi-1/Pi-1 c+Δhi (2)
ただし、S0:基準位置におけるロールギャップ
h0:基準位置の目標板厚
P0 c:基準位置の圧延荷重予測値
M:ミル剛性係数
Si:サンプリング点のロールギャップ
Pi c,Pi-1 c:サンプリング点と1つ前のサンプリング点の圧延荷重予測値
Pi-1:サンプリング点の1つ前のサンプリング点の圧延荷重測定値
Δhi:サンプリング点の基準位置に対する目標出側板厚差
重ね板圧延の際、圧延荷重式から隣接する制御のサンプリング点間の圧延荷重差を予測することにより圧延中の板厚制御を行っているのでロールギャップの変更精度を向上させることができ、従来技術と比較して高精度なテーパ部板厚精度を有する片面テーパ鋼板の製造が可能となる。
被圧延材としてめっき鋼板を用いれば、片面が健全なめっき層で覆われているテーパ鋼板を優れたテーパ部板厚精度で製造することができる。
本発明は、重ね板圧延の応用であり、図3に示すように、2枚の同一寸法の鋼板1,2を重ね合わせて圧延する際にロールギャップを圧延方向に連続的に変更・制御することにより鋼板1,2の重ね面3がフラットとなる片面テーパ鋼板を製造するものである。
すなわち、2枚の鋼板1,2が同一寸法であれば、基本的に圧延構成が上下対称となるため、その重ね面はフラットとなる。本方法によれば、特許文献2で提案されている方法のように、両面テーパ鋼板の片側のテーパ部をローラレベラにより押しつぶす必要がないため、薄板かつ高段差の場合にも座屈等の形状不良を生じずに片面テーパ鋼板の製造が可能となる。
また、前記したとおり、重ね板圧延の際の被圧延材として同一寸法のめっき鋼板を用いれば、圧延構成が上下対称となり、板間のすべりが抑制されるため重ね面におけるめっき層の圧延荷重に及ぼす影響が小さくなるので、めっき層を有する板材を重ね板圧延するときも同様に板厚制御を行うことができる。
S0=h0−P0 c/M (1)
そして、制御の各サンプリング点のロールギャップSiを(2)式で補正する。
Si=S0−1/M・(Pi-1−P0 c)−1/M・(Pi c−Pi-1 c)・Pi-1/Pi-1 c+Δhi (2)
ここで、Pi c,Pi-1 cはそれぞれ制御しようとしているサンプリング点と1つ前のサンプリング点の圧延荷重予測値、Pi-1は制御しようとしているサンプリング点の1つ前のサンプリング点の圧延荷重測定値、Δhiは制御しようとしているサンプリング点の基準位置に対する目標出側板厚差である。
P=b・L・(k−(σb+σf)/2)・fp (3)
L=√(R’・(H−h)) (4)
fp=1.08+1.79・μ・r・√(1-r)・√(R’/h)−1.02・r (5)
r=(H−h)/H (6)
R’=R・(1+C・P/(H-h)) (7)
C=16・(1−ν2)/(π・E) (8)
ここで、Pは圧延荷重、bは板幅、H,hは圧延機入側及び出側板厚、rは圧下率、R,R’はロール半径及び扁平ロール半径、kは材料の変形抵抗、σb,σfは圧延機入側及び出側のユニット張力、μは摩擦係数、Eはヤング率、νはポアソン比、Lは接触弧長、fpは圧下力関数である。
圧延荷重予測器21は、目標板厚差設定器20から入力された被圧延材18の目標出側板厚差Δhiと圧延条件入力器9に入力された圧延条件に基づき、Bland & Fordの式,Hillの式等の圧延荷重式により制御しようとしているサンプリング点と1つ前のサンプリング点の圧延荷重予測値Pi c,Pi-1 cを算出し、これをロールギャップ設定器22へ入力する。
また、ロールギャップ設定器22では、基準位置におけるロールギャップS0、基準位置の圧延荷重予測値P0 c、目標板厚差設定器20から入力された被圧延材18の目標出側板厚差Δhi、圧延荷重予測器21から入力された圧延荷重予測値Pi c,Pi-1 c及び制御しようとしているサンプリング点の1つ前のサンプリング点の圧延荷重測定値Pi-1に基づき、前述の(2)式を用いて各サンプリング点のロールギャップSiを算出し、これをロールギャップ位置制御系23に入力する。
以下、本発明をその実施例を示す図面に基づき具体的に説明する。
図4に示すような重ね板圧延設備9において、図5に示した制御系を用いて、重ね圧延した。板厚1.8mm,板幅250mmのコイル状の普通鋼鋼板1,2をそれぞれリール5,6から払い出し、圧延機4により重ね板圧延を行った。目標とする片面テーパ形状は図6に示す薄肉部板厚1.0mm,厚肉部板厚1.5mm,薄肉部長さ100mm,テーパ部長さ300mm,厚肉部長さ200mmの形状とし、全長1000mmの片面テーパ形状に繰り返し圧延し、片面テーパ鋼板1,2を連続成形した。そして、圧延後の片面テーパ鋼板1,2をリール7,8で巻き取った。
なお、重ね板圧延においては、圧延荷重Pを2枚の鋼板の板厚合計値に等しい板厚を有する単板の圧延荷重に置き換え、Hillの式により算出した。また、板厚制御におけるサンプリングタイムについては、圧延長20mm間隔で制御を行うようにした。
被圧延材として層厚約25μmのめっき層を有する板厚2.0mm,板幅250mmのコイル状の普通鋼亜鉛めっき鋼板を用い、目標とする片面テーパ形状を図6に示す薄肉部板厚1.2mm,厚肉部板厚1.7mm,薄肉部長さ100mm,テーパ部長さ300mm,厚肉部長さ200mmの形状とし、全長1000mmの片面テーパ形状に、実施例1と同様の方法で繰り返し圧延し、テーパ状亜鉛めっき鋼板1,2を製造した。
圧延後のテーパ状亜鉛めっき鋼板1,2の板厚を測定した結果、目標値に対する平均偏差が25μm,最大偏差が45μmとほぼ目標通りの片面テーパ形状が得られた。そして、めっき層を調査した結果、圧延ロールと接触していた面はめっき層が大きく損傷していたが、重ね面はめっき層の損傷が少なく、厚みが約15μmの健全なめっき層で覆われていた。
5,6:圧延機の前に設置されたリール
7,8:圧延機の後に設置されたリール
9:重ね板圧延設備 10:パルス発生器
11:圧延機 12:ワークロール
13:圧下装置 14:圧下位置検出器
15:圧延荷重計 16:パルス発生器
17:板厚計 18:被圧延材
19:圧延条件入力器 20:目標板厚差設定器
21:圧延荷重予測器 22:ロールギャップ設定器
23:ロールギャップ位置制御系
Claims (4)
- 2枚の同一寸法の板材を重ねて同時に圧延した後2枚の板材を分離する重ね板圧延を行う際、ロールギャップを圧延方向に連続的に変化させることにより重ね面がフラットとなるテーパ鋼板を製造するにおいて、重ね板圧延時に板幅,接触弧長,材料の変形抵抗,圧延機入出側のユニット張力及び圧下力関数からなる圧延荷重式から隣接する制御のサンプリング点間の圧延荷重差を予測するとともに、出側板厚が圧延長に従ってテーパ状に変化するように隣接する制御のサンプリング点間の圧延荷重差を変数とし、圧延荷重,ロールギャップ及び鋼板の板厚の間に成り立つ関係式に基づいてロールギャップを制御することを特徴とする圧延方向に板厚がテーパ状に変化する片面テーパ鋼板の製造方法。
- 圧延荷重,ロールギャップ及び鋼板の板厚の間に成り立つ関係式として下記(1)式及び(2)式を用いる請求項1に記載の圧延方向に板厚がテーパ状に変化する片面テーパ鋼板の製造方法。
S0=h0−P0 c/M (1)
Si=S0−1/M・(Pi-1−P0 c)−1/M・(Pi c−Pi-1 c)・Pi-1/Pi-1 c+Δhi (2)
ただし、S0:基準位置におけるロールギャップ
h0:基準位置の目標板厚
P0 c:基準位置の圧延荷重予測値
M:ミル剛性係数
Si:サンプリング点のロールギャップ
Pi c,Pi-1 c:サンプリング点と1つ前のサンプリング点の圧延荷重予測値
Pi-1:サンプリング点の1つ前のサンプリング点の圧延荷重測定値
Δhi:サンプリング点の基準位置に対する目標出側板厚差 - 圧延機とその前後に設置された2組のリールより構成される圧延設備を用いてテーパ鋼板を連続成形する請求項1又は2に記載の圧延方向に板厚がテーパ状に変化する片面テーパ鋼板の製造方法。
- 2枚の板材がいずれもめっき鋼板である請求項1〜3のいずれかに記載の圧延方向に板厚がテーパ状に変化する片面テーパ鋼板の製造方法。
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