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JP4913758B2 - Dsl状態及びラインプロファイルの制御 - Google Patents

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JP4913758B2 JP2007557625A JP2007557625A JP4913758B2 JP 4913758 B2 JP4913758 B2 JP 4913758B2 JP 2007557625 A JP2007557625 A JP 2007557625A JP 2007557625 A JP2007557625 A JP 2007557625A JP 4913758 B2 JP4913758 B2 JP 4913758B2
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Description

本発明は、デジタル通信システムを管理するための方法、システム及び装置に関する。さらに詳細には、本発明は、DSLシステム内のラインプロファイル等の操作状態を管理することに関する。
[関連出願の相互参照]
本願は、その開示がすべての目的のために全体として参照することにより本書に組み込まれている以下の出願に関する。
−通信システムの動的管理(DYNAMIC MANAGEMENT OF COMMUNICATION SYSTEM)と題され、2003年12月7日に出願された米国仮出願第60/527,853号(代理人整理番号第0101−p01p)の利点を、米国特許法第119条(e)の元で主張する、適応FECコードワード管理(ADAPTIVE FEC CODEWORD MANAGEMENT)と題され、2004年3月8日に出願された米国出願番号第10/795,593号(代理人整理番号第0101−p02号)
−通信システムの動的管理(DYNAMIC MANAGEMENT OF COMMUNICATION SYSTEM)と題され、2003年12月7日に出願された米国仮出願第60/527,853号(代理人整理番号第0101−p01p)の利点を、米国特許法第119条(e)の元で主張する、適応マージン及びバンド制御(ADAPTIVE MARGIN AND BAND CONTROL)と題され、2004年7月19日に出願された米国出願番号第10/893,826号(代理人整理番号第0101−p04号)
−通信装置識別(COMMUNICATION DEVICE IDENTIFICATION)と題され、2004年11月4日に出願された米国出願番号第10/981,068号(代理人整理番号第0101−p09号)
−既知のDSL回線走査及び不良スプライス検出機能を含むDSLシステム推定(DSL SYSTEM ESTIMATION INCLUDING KNOWN DSL LINE SCANNING AND BAD SPLICE DETECTION CAPABILITY)と題され、2005年3月1日に出願された米国出願番号第11/069,159号(代理人整理番号第0101−p10号)
デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)技術は、既存の加入電話回線(ループ及び/または銅設備と呼ばれている)に優る、デジタル通信用の潜在的に大きな帯域幅を提供する。加入電話回線は、音声専用バンド帯域アナログ通信のためのその元の設計に関係なく、この帯域幅を提供できる。特に、非対称型デジタル加入者回線(ADSL:Asymmetric DSL)は、該加入者線の各端部でモデム(通常は、送信機と受信機の両方として機能するトランシーバ)の訓練及び初期化の間に決定されるようにチャネル状態に適合できる、それぞれのトーン(つまりサブキャリヤ)に多くのビットを割り当てる離散マルチトーン(DMT:discrete multitone)回線コードを使用することによって該加入者線の特徴に適合できる。
配備されているADSL1 DSLAMの大部分では、「ラインプロファイル(line profile)」は、データレート、パワースペクトル密度(PSD:power spectral density)、マージン、順方向誤り訂正(FEC:forward error correction)パラメータ等のパラメータ、及びDSLAMに取り付けられている特定のDSLカスタマ/回線のためのキャリヤマスク(CMASK)を指定する。「ラインプロファイル」(「プロファイル」とも呼ばれる)は、カスタマの支払いまたは選択に応じて回線に所望される/可能にされるデータレート及び待ち時間範囲を指す「サービスタイプ」とは異なる。様々なカスタマが様々なプロファイルを有してよい。制御可能なプロファイルパラメータを一覧表示する例は、以下の表に表示される。
プロファイル名:Profile1
インタリーブ遅延:低(高速チャネル)
下りのための最大PSDレベル:−46dBm/Hz
最大下りレート:6016kbps
最小下りレート:192kbps
最大上りレート:416kbps
最小上りレート:64kbps
最大雑音マージン:16dB
目標雑音マージン:6dB
最小雑音マージン:0dB
使用されるキャリヤマスク(16進フォーマット):
FFF01FFF0FFFFFFFFFFFFFE0001FFFFF00000000000000000000000000000000
オペレータは、現在、これらのプロファイルを、個々の回線のデータレート、及びおそらくFEC設定値だけを制御するために単純に使用している。したがって、個々の回線のプロファイルは、多くの場合手動で選択され、多くの場合、障害報告表(trouble-ticket)の応答中に、あるいは別のDSLサービスに対するカスタマ要求に応えて該プロファイルを手動で変更しない限り、該回線をそのプロファイルに留まらせる。回線が自動的にいくつかの他のプロファイルに移動できるとしても、強力な制約が適用され、少数のプロファイルだけが移動のための候補として考えられる。さらに、任意のプロファイルの変更のための規則(rule)は、1つまたは非常に少数の回線特徴付けパラメータの固定されたまたは静的な関数として見ることができる。このような単純な遷移は、多様なサービスタイプを可能にせず、多様な雑音障害(例えば、インパルス雑音及び漏話雑音)を克服する及び/または対処するのを支援できず、それによりADSLとVDSLの配備されたデータレート及び/または範囲機能を制限する。
DSLシステムのような通信システムにおいて自動的に及び容易に多岐に渡るラインプロファイル及びこのようなプロファイル間の遷移の実現を可能にするシステム、方法及び技法は、当技術分野の大きな前進を表すであろう。特に、通信システムにおける遷移オプションの優先順位付けと実現は、DSLサービスレートの分野及び関連する範囲での大きな前進に相当するであろう。
[発明の簡単な概要]
DSLシステム等の通信システム内の回線のための状態及び/またはプロファイル間の遷移は、該回線の現在の状態及び1つまたは複数の目標状態を評価することによって制御できる。現在の状態に留まるか、または目標状態の1つに移動することの実現可能性の評価は、該通信システムから収集される操作データから抜き出される、報告され、推定されたデータの分布に基づくことがある。目標状態には、優先順位が付けられ、行列にまたは評価と選択をさらに単純にする他のフレームワークに配置されてよい。
実現可能性は、入手可能なデータ(報告された及び/または推定された)の十分性と、現在の状態及び検討中の任意の目標状態における該回線の挙動(behavior)の尤度との両方を考慮に入れてよい。操作及び/または性能の閾値を満たす確立は、出力が実現可能性の決定を規定する全体的な規則の中で結合できる多様なサブルールで使用できる。重み付けベクトルは、旧いデータに重みを付ける、または旧いデータを完全にパージ(purge)するために使用できる。DSLシステムでは、これらの重み付け、サブルール、及び他の要因は、上り(upstream)と下り(downstream)の挙動とデータ伝送の相違点を反映する場合がある。本発明の多様な態様は、変化する回線状態、性能目標等に対処するために適応的にまたは動的に調整及び/または更新されてよい。
本発明の実施形態による方法、技法、装置、プロセス及び設備は、コントローラ、DSL最適化ツール等で実現されてよい。このような実現は、動的スペクトル管理システムの一部であってよい。
本発明の追加の詳細及び優位点は、以下の詳細な説明及び関連する図面に提供されている。
本発明は、添付図面に関連して以下の詳細な説明によって容易に理解され、類似する参照番号は類似する構造要素を指定する。
[発明の詳細な説明]
本発明の以下の詳細な説明は、本発明の1つまたは複数の実施形態を参照するが、このような実施形態に限定されない。むしろ、詳細な説明は、例証的であることだけを目的とする。当業者は、図に関して本書に示されている詳細な説明が、本発明がこれらの限定された実施形態を超えるので説明のために提供されていることを容易に理解する。
本発明の実施形態は、1つまたは複数の単純な実現例で様々な状態遷移を柔軟に実現できる状態遷移を実現する。本書の説明で使用されているように(所与の例で逆に述べられていない限り)、「状態(state)」はプロファイルと同等である。プロファイルの集合を単一の状態にグループ化することが考えられる(例えば、状態がレートだけによって定義され、いくつかのサブステート(sub−states)は結果的に、FEC、PSD等の異なる設定値の関数として区別される)。このようなグループ化は、実現に依存することがある。
本発明の説明では、用語「プロファイル(profile)」は、「ラインプロファイル(line profile)」を意味する。これは、データレート、FEC設定値等の回線を操作するために使用されるパラメータの定義である。用語「状態(state)」は、所与の状態遷移図または他の方式での位置を指す。本発明のいくつかの実施形態では、2本以上の回線が、それらは異なる「状態」にあるが、同じ「プロファイル」を使用して作用してよい。例えば、回線1が、プロファイル1A(1.0Mbpsという最大データレートを使用)からプロファイル1B(1.5Mbpsという最大データレートを使用)に移動したと仮定する。さらに、回線2が、プロファイル2A(3.0Mbpsという最大データレートを使用)からプロファイル2B(1.5Mbpsという最大データレートを使用)に移動したと仮定する。回線1と2の両方とも現在は、1.5Mbpsという最大データレートを処理する同じ「プロファイル」を使用している可能性があるが、それらの前のプロファイル動作履歴及び/またはパラメータ選択が異なるために異なる状態にある可能性がある。最大データレートだけが同じである。それぞれの状態は最大データレートを有してよいが、同じ最大データレートのすべての回線が同じ状態に相当するのではない。同様に、同じ最大データレートのすべての回線が、同じプロファイルに相当しない可能性もある。したがって潜在的な以後の遷移を評価するために、プロファイル1Bとプロファイル2Bは同一のプロファイルであるが、異なる状態であってよい。当業者は、既存のDSLシステムが、状態、最大データレート、及びプロファイルがすべてほぼ同じ状況に相当するように3つすべての用語を同一視してよいことを理解するであろう。しかしながら、本発明の実施形態に応じて、本発明は、3つすべての用語が潜在的に異なることを可能にする。当業者は、使用され、そのように記述されている文脈及びシステムの性質によって、本書に特に説明され、それ以外の場合本発明によってカバーされる多様なケースを区別することができるであろう。
本発明の実施形態の本書に提示されている特定の例の多くでは、状態とプロファイルは同じであってよい。すなわち、前のプロファイル履歴は、回線の状態を決定する際に「直接的に」検討されない。代わりに、多くの実施形態では、状態遷移の実現可能性は、回線の前のプロファイル動作に関連する報告され、推定されたデータに重み付ける(無視すること及び/またはパージすることを含む)ことを含んでよい。したがって、将来の遷移の実現可能性(すなわち、目標プロファイルまたは状態の適合性)は、さらに詳細な状態定義システムによってそれ以外の場合何がおもな原因となる可能性があるのかを考慮に入れる。したがって、当業者によって理解されるように、「プロファイル」及び「状態」は、本発明の多くの実施形態で同じであるが、本書の何もこれらの用語を同じ事を意味するために制限せず、他の実施形態ではそれらは互いから実質的に異なる可能性がある。しかしながら、別段に示されない限り、本書に図解され、説明される実施形態は、状態とプロファイルが同じ事を意味するシステムを使用するであろう。
システムがプロファイルの概念に基づいて構築されておらず、代わりに個々の回線についてレート、電力等の独立した制御を可能にする場合には、現在少なくとも2つの解決策が考えられる―コントローラ(DSL最適化ツール(DSL optimizer等)がプロファイルの集合を構築し、個人ユーザごとにそれらの内の1つだけを使用できるか、あるいは代わりにコントローラは所与のサービスタイプについて使用するための最良のパラメータを計算し、該回線パラメータを相応して構成することができる。両方の解決策とも本開示を検討後に当業者に明らかになり、両方とも本発明の実施形態であるが、第1の解決策はさらに詳しく本書に説明される。
さらに詳しく後述されるように、本発明の1つまたは複数の実施形態を実現する状態−遷移制御装置(state-transition control unit)が、コントローラ(例えば、DSL最適化ツール、動的スペクトルマネージャ、またはスペクトル管理センター)の一部である場合がある。コントローラ及び状態遷移制御装置は、どこに位置してもよい。いくつかの実施形態では該コントローラ及び/または状態遷移制御装置はDSL CO内に常駐し、一方、他のケースではそれらはCOの外部に位置するサードパーティによって操作されてもよい。本発明の実施形態と関連して使用できるコントローラ及び/または状態遷移制御装置の構造、プログラミング及び他の特定の特長は、本開示を検討後、当業者に明らかになる。
DSL最適化ツール、動的スペクトル管理センター(DSMセンター)、「スマート」モデム及び/またはコンピュータシステム等のコントローラは、本発明の多様な実施形態と関連して説明されるように該操作データ及び/または性能パラメータ値を収集し、分析するために使用できる。該コントローラ及び/または他の構成要素は、コンピュータによって実現される装置または装置の組み合わせである場合がある。いくつかの実施形態では、該コントローラは該モデムから遠い位置にある。他のケースでは、該コントローラは、モデム、DSLAMまたは他の通信システム装置に直接的に接続されている装置として該モデムの一方または両方と結合されてよく、このようにして「スマート」モデムを作成する。語句「結合される(coupled to)」及び「接続される(connected to)」等は、2つの要素及び/またはコンポーネントの間の接続を説明するために本書で使用され、直接的にともに、または適切な場合には、例えば1つまたは複数の介入する要素を介して、あるいは無線接続を介して間接的にのどちらかで結合されることを意味することを目的とする。
本発明の実施形態の以下の例のいくつかは、例示的な通信システムとしてADSLシステムを使用する。これらのADSLシステムの中では、特定の規約、規則、プロトコル等が例示的なADSLシステムの動作、及びカスタマ(「ユーザ」とも呼ばれる)及び/または該システム上の装置から入手できる情報及び/またはデータ、を説明するために使用されてよい。しかしながら、当業者によって理解されるように、本発明の実施形態は多様な通信システムに適用されてよく、本発明は特定のシステムに限定されない。本発明は、サービス品質が制御パラメータに関連してよい任意のデータ伝送システムで使用できる。
多様なネットワーク管理要素は、要素がADSLモデム対の中のパラメータまたは関数を、集合的にまたは個々の端部で参照する、ADSL物理層資源の管理のために使用される。ネットワーク管理フレームワークは、それぞれエージェントを含む1つまたは複数の管理ノード(managed node)からなる。該管理ノードは、ルータ、ブリッジ、スイッチ、ADSLモデム等となるであろう。多くの場合マネージャと呼ばれる少なくとも1つNMS(Network Management System)は、管理ノードを監視、制御し、通常は共通のPCまたは他のコンピュータに基づく。ネットワーク管理プロトコルは、管理情報及びデータを交換するために該マネージャとエージェントによって使用される。管理情報の単位はオブジェクトである。関連付けられたオブジェクトの集合体は、管理情報ベース(MIB:Management Information Base)として定義される。
図1は、すべての目的のために全体として参照され、本書に組み込まれ、本発明の実施形態を実施できるG.997.1規格(G.ploam)による参照モデルシステムを示している。このモデルは、すべて結合(bonding)あり及び結合なしで、G.991.1規格とG.991.2 SHDSL規格のみならず、ADSL1(G.992.1)、ADSL−Lite(G.992.2)、ADSL2(G.992.3)、ADSL2−Lite G.992.4、ADSL2+(G.992.5)及びVDSL規格から出現するG.993.x等の、スプリッタ(splitters)を含んでも含まなくてもよい様々な規格を満たすすべてのADSLシステムに適用する。このモデルは当業者には周知である。
該G.997.1規格は、G.997.1に定義される明確な埋め込み動作チャネル(EOC:embedded operation channel)、及びG.992.x規格で定義されるインジケータビット及びEOCメッセージの使用に基づいて、ADSL伝送システムのための物理層管理を規定している。さらに、G.997.1は、構成、障害及び性能管理のためのネットワーク管理要素コンテンツを規定する。これらの機能を実行する上で、該システムは、アクセスノード(AN:access node)で入手でき、アクセスノード(AN)から収集できる種々の操作データを活用する。また、ADSLフォーラムのTR69報告書も、MIB及びそれがどのようにしてアクセスされる可能性があるのかを一覧表示する。
図1では、カスタマの端末装置(TE)110が、ネットワーク終端装置(NT)120に結合されているホームネットワーク112に結合されている。ADSLシステムのケースでは、NT120は、ATU−R122(例えば、該ADSL規格の1つによって定義される、場合によってはトランシーバと呼ばれることもあるモデム)または任意の他の適切なネットワーク終端モデム、トランシーバ、または他の通信装置を含む。各モデムは、例えば製造メーカ及び型番で識別できる。当業者によって理解されるように、及び本書に説明されるように、各モデムはそれが接続される通信システムと相互伝達し、該通信システムにおける該モデムの性能の結果として操作データを作成してよい。
NT120は、管理エンティティ(ME:management entity)124も含む。ME124は、任意の適用可能な規格及び/または他の基準によって必要に応じて実行できるマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはファームウェアまたはハードウェア内の回路状態機械等の任意の適切なハードウェア装置である場合がある。ME124は、各MEによって維持される情報のデータベースであり、SNMP(Simple Network Management Protocol)、ネットワーク装置から情報を収集し管理者コンソール/プログラムに提供するために使用されるアドミニストレーションプロトコル等のネットワーク管理プロトコルを介して、またはTL1コマンドを介してアクセスできるそのMIBの中で性能データを収集し、記憶する。TL1は、電気通信ネットワーク要素の間で応答及びコマンドをプログラミングするために使用される長い伝統のあるコマンド言語である。
システム内の各ATU−Rは、COまたは他の中心位置の中のATU−Cに結合されている。図1では、ATU−C142は、CO146内のアクセスノード(AN)140に配置されている。当業者によって理解されるように、AN140は、DSLAM等のDSLシステムコンポーネントであってよい。ME144は、同様にATU−C142に関する性能データのMIBを維持(maintain)する。該AN140は、当業者によって理解されるように、広帯域(broadband)ネットワーク170または他のネットワークに結合されてよい。ATU−R122とATU−C142は、ADSLのケースでは通常は他の通信サービスも伝搬する電話ツイストペアであるループ130によって、ともに結合されている。
図1に示されているインタフェースのいくつかは、性能データを決定し、収集するために使用できる。Q−インタフェース155は、オペレータのNMS150とAN140内のME144との間にインタフェースを提供する。G.997.1規格に指定されるすべてのパラメータは、Q−インタフェース155で適用する。ATU−R122からの遠端(far-end)パラメータはUインタフェース上の2つのインタフェースのどちらかによって引き出すことができるが、ME144でサポートされている近端(near-end)パラメータはATU−C142から引き出される。埋め込みチャネル132を使用して送信され、PMD層で提供されるインジケータビット及びEOCメッセージは、ME144で必要とされるATU−R122パラメータを生成するために使用できる。代わりに、OAM(動作(Operations)、アドミニストレーション(Administrations)、及び管理(Management))チャネル及び適切なプロトコルは、ME144によって要求されるときにATU−R122からパラメータを取り出すために使用できる。同様に、ATU−C142からの遠端パラメータは、該Uインタフェース上の2つのインタフェースのどちらかによって引き出すことができる。該PMD層で提供されるインジケータビット及びEOCメッセージは、NT120のME122で必要とされるATU−C142パラメータを生成するために使用できる。代わりに、OAMチャネル及び適切なプロトコルは、ME124によって要求されるときに、ATU−C142から該パラメータを取り出すために使用できる。
該Uインタフェース(本質的にループ130である)には、2つの管理インタフェース、つまりATU−C142での管理インタフェース(U−Cインタフェース157)と、ATU−R122での管理インタフェース(U−Rインタフェース158)がある。インタフェース157は、Uインタフェース130上で取り出すために、ATU−R122にATU−C近端パラメータを提供する。同様に、インタフェース158は、U−インタフェース130上で取り出すために、ATU−C142にATU−R近端パラメータを提供する。適用するパラメータは、使用されているトランシーバ規格(例えば、G.992.1またはG.992.2)に依存してよい。
G.997.1規格は、該Uインタフェース全体でオプションのOAM通信チャネルを指定する。このチャネルが実現されると、ATU−CとATU−Rの対が、物理層OAMメッセージをトランスポートするためにそれを使用できる。したがって、このようなシステムのトランシーバ122、124がそのそれぞれのMIBで保持されている多様な操作データと性能データを共有する。
ADSL NMSに関するさらに多くの情報が、すべての目的のために全体として参照することにより本書に組み込まれている、1998年3月付けのADSLフォーラムからの「ADSLネットワーク要素管理(ADSL Network Element Management)」と題されているDSLフォーラム技術レポートTR−005に記載されている。また、2004年1月付けのDSLフォーラムからの「CPE WAN管理プロトコル(CPE WAN Management Protocol)」と題されているDSLフォーラムワーキングテキストWT−87(改訂6)がすべての目的のために全体として参照することにより本書に組み込まれている。最後に、2004年1月5日付けのDSLフォーラムからの「LANサイドDSL CPE構成仕様(LAN−Side DSL CPE Configuration Specification)」と題されているDSLフォーラムワーキングテキストWT−082v7がすべての目的のために全体として参照することによって本書に組み込まれている。これらの文書はCPEサイド管理のための様々な状況に対処する。
当業者に理解されるように、これらの文書に説明されている操作データ及び/またはパラメータの少なくともいくつかは、本発明の実施形態と関連して使用できる。さらに、システム説明の少なくともいくつかは同様に、本発明の実施形態に適用可能である。ADSL NMSから入手できる多様なタイプの操作データ及び情報が、その中に記載されている。それ以外についても当業者に公知であり得る。
多くのトランシーバ対が動作している、及び/または使用できるDSL設備の典型的なトポロジーでは、各加入者ループの一部がマルチペアバインダ(multi-pair binder)(つまりバンドル(bundle))の中の他のユーザのループと結び付けられている。加入者宅内機器(CPE:Customer Premises Equipment)に非常に近い台座(pedestal)の後で、ループはドロップワイヤ(drop wire)の形を取り、該バンドルを出る。したがって、加入者ループは2つの異なる環境を横切る。該ループの一部は、該ループが外部電磁干渉から遮断されることがあるが、クロストーク(漏話)にさらされるバインダ内部に配置されてよい。台座の後では、該ドロップワイヤは多くの場合、この対が該ドロップの大部分、他の対から遠いときにクロストークの影響を受けないが、該ドロップワイヤが遮蔽されていないために電磁干渉によって送信がさらに大きく減じられることもある。多くのドロップは、それらの中に2本から8本のツイストペアを有し、家庭への多重サービスまたはそれらの回線の結合(単一サービスの多重化及び逆多重化)の状況では、該ドロップセグメント内のこれらの回線の間で追加の大きなクロストークが発生することがある。
一般的で例示的なDSL配備シナリオが、図2に示されている。合計(L+M)人のユーザ291、292のすべての加入者ループが、少なくとも1つの共通バインダを通過する。各ユーザは専用回線を通って電話局(CO:Central Office)210、220に接続されている。しかしながら、各加入者ループが異なる環境及び媒体を通過してよいことがある。図2では、L人のカスタマまたはユーザ291が、一般的にファイバからキャビネット(FTTCab)またはファイバからカーブ(Curb)と呼ばれている光ファイバ213と銅ツイストペア217の組み合わせを使用してCO210に接続されている。CO210のトランシーバ211からの信号は、CO210及び光ネットワーク装置(ONU:optical network unit)218で光回線端末212及び光ネットワーク端末215によってそれらの信号を変換させる。ONU218のモデム216は、ONU218とユーザ291の間の信号用のトランシーバとしての機能を果たす。
残りのM人のユーザ292のループ227は、ファイバから交換機(FTTEx)と呼ばれるシナリオである、銅ツイストペアだけである。これにより加入者ループの銅部分が縮小し、その結果達成可能なレートが上昇するため、可能であり経済的に実行可能なときはいつでも、FTTCabはFTTExよりも好ましい。FTTCabループの存在はFTTExループにとって問題を生じさせることがある。さらに、FTTCabは、将来ますます一般的なトポロジーになると予想されている。この種のトポロジーは、多大なクロストーク干渉につながることがあり、多様なユーザの回線が、それらが動作する特定の環境のために異なるデータ搬送能力及び実行能力を有することを意味する場合がある。該トポロジーは、ファイバによって供給される「キャビネット」回線及び交換回線が同じバインダ内で混合できるほどである。
図2で分かるように、CO220からユーザ292への回線は、CO210とユーザ291の間の回線によって使用されていないバインダ222を共有する。さらに、別のバインダ240が、CO210とCO220への/からのすべての回線、及びそれらのそれぞれのユーザ291、292に共通である。
図3Aに示されている本発明の一実施形態に従って、状態遷移制御装置300は、ユーザ及び/または1つまたは複数のシステムオペレータまたはプロバイダが自らの該システムの使用を最適化するのを支援するコントローラ310(例えば、DSL最適化ツール、DSMサーバ、DSNセンター、または動的スペクトルマネージャ)等のDSLシステムに結合されている独立エンティティの一部であってよい。(DSL最適化ツールは、動的スペクトルマネージャ、動的スペクトル管理センター、DSMセンター、システムメンテナンスセンター、またはSMCとも呼ばれてよい)。いくつかの実施形態では、コントローラ310は、COまたは他の場所から多くのDSL回線を運用するILECまたはCLECであってよい。図3Aの破線346から分かるように、コントローラ310は、CO146内にあってよく、あるいは外部にあり、CO146及び該システム内で動作している任意の企業から独立してよい。さらに、コントローラ310は複数のCO内のDSL及び/または他の通信回線に結合されてよい、及び/または複数のCO内のDSL及び/または他の通信回線を制御してよい。
該状態遷移制御装置300は、収集手段320と分析手段340とを含む。図3Aで分かるように、該収集手段320は、AN140でNMS150、ME144、及び/またはME144によって保守されているMIB144に結合されてよい。また、データは、広帯域ネットワーク170(例えば、TCP/IPプロトコルまたは所与のDSLシステム内の通常の内部データ通信の外部の他のプロトコルまたは手段を介して)を通して収集されてよい。これらの接続の1つまたは複数によって、該状態遷移制御装置は該システムから操作データを収集できる。データは、一度にまたは経時的(長い間)に収集されてよい。場合によっては、収集手段320は要求に応じてまたは非周期的(例えば、DSLAMまたは他のコンポーネントが状態遷移制御装置にデータを送信するとき等)にもデータを収集できるが、収集手段320は周期的に収集し、このようにして状態遷移制御装置300が、所望される場合に、その情報、規則(ルール)、サブルール等を更新できるようにする。手段320によって収集されるデータは、分析及び状態遷移に関する任意の決定のために分析手段340に提供される。
図3Aの例示的なシステムでは、分析手段340はモデム及び/またはコントローラ310内のシステム操作信号生成手段350に結合されている。この信号生成器350は、命令信号を発生させ、モデム及び/または該通信システムの他のコンポーネント(例えば、該システム内のADSLトランシーバ及び/または他の装置、コンポーネント等)に送信するように構成される。これらの命令は、状態遷移命令または許容データレート、送信電力レベル、コーディング要件及び待ち時間要件等に関する他の命令を含んでよい。該命令は、コントローラ310が通信システム内で代替動作状態/プロファイルの優先順位と可用性を決定した後に生成されてよい。例えば、場合によっては、該命令信号は、該システムを使用している一人または複数のカスタマ及び/またはオペレータのための性能を改善する上で役立つことがある。
本発明の実施形態は、データベース、ライブラリ、または収集されたデータ、関連するパラメータに関して下された決定、後述されるもののような規則(ルール)及びサブルールを使用する過去の決定等に関するデータの他の集合体を活用できる。参照データのこの収集は、例えば、図3Aの該コントローラ310内のライブラリ348として記憶され、分析手段340及び/または収集手段320によって使用されてよい。
本発明のいくつかの実施形態では、該状態遷移制御装置300は、PC、ワークステーション等の1台または複数のコンピュータで実現されてよい。収集手段320及び分析手段340は、当業者によって理解されるように、ソフトウェアモジュール、ハードウェアモジュール、または両方の組み合わせであってよい。多数のモデムと連動するときに、収集されるデータの量を管理するためにデータベースが導入され、使用されてよい。
本発明の別の実施形態は、図3Bに示されている。DSL最適化ツール365は、DSLAM385または他のDSLシステム構成要素で、及び/またはDSLAM385または他のDSLシステム構成要素に関連して動作し、そのどちらかまたは両方とも電気通信会社(「電話会社」)の敷地395にあってよい。DSL最適化ツール365は、DSL最適化ツール365のための操作データを収集、アセンブル、調整、操作し、DSL最適化ツール365に対して供給できるデータ収集分析モジュール380を含む。モジュール380は、PC等のような1台または複数のコンピュータで実現できる。モジュール380からのデータ(さらに詳しく後述される報告されたデータ及び推定されたデータを含んでよい)は、分析(例えば、実現可能性試験、データ十分性評価、データパージと重み付け、状態優先順位の調整、行列とベクトルの調整、閾値テーブルの更新等)のためにDSMサーバモジュール370に供給される。また、情報は、電話会社に関連するまたは関連しない可能性があるライブラリまたはデータベース375から入手可能でもよい。プロファイルセレクタ390は、任意の状態及び/またはプロファイルの遷移決定及び/または命令に従ってプロファイル及び/または状態を選択し、実現するために使用されてよい。プロファイルは、当業者によって理解されるように、DSMサーバ370の管理下で、あるいは任意の他の適切な方法によって選択されてよい。セレクタ390によって選択されるプロファイルは、DSLAM385及び/または任意の他の適切なDSLシステム構成要素装置で実現される。このような装置は、加入者宅内機器399等のDSL装置に結合されてよい。図3Bのシステムは、本発明の実施形態を依然として実現する一方で差異が達成可能であるが、当業者によって理解されるように、図3Aのシステムに類似したやり方で動作することがある。
本発明の一態様の複数の実施形態が図4に示されている。状態図400は、説明及び図解のためにDSL回線と見なされる通信回線が動作してよい、8つのプロファイル402−1、402−2、402−3、402−4、402−5、402−6、402−7、及び402−8を描いている。この例では、各プロファイルは、最大達成可能データレート(192、384、768または1536Kbps)、及び待ち時間(「高速(Fast)」はインタリーブ(interleaving)なしを意味し、「H遅延(H delay)」はインタリーブが高い遅延を生じさせることを意味する)で定められる。
図4では、回線がプロファイル1を使用して動作している場合には、状態図と状態−遷移行列T1の両方から、プロファイル1、2、5及び6が考えられる遷移であることが分かる(プロファイル1に留まっていることは変化という意味では遷移ではないが、参照を容易にするために、同じプロファイルに留まることは本書では「遷移」と呼ばれてよい)。しかしながら、状態遷移行列T1は、たとえあったとしても遷移が他の遷移に上回って優先順位を有さなければならないことを意味しない。したがって、優先順位が整数値で指定される場合に、図4の行列T2への変化を行うことができる。正の整数値が高いほど、指定されるプロファイルはサービスプロバイダ実現例にとって魅力的ではなくなる。
遷移行列T2では、0は依然として、該遷移が許されていないことを意味し、任意の正の整数は該遷移が許されていることを意味する。最低の正の整数は他のあらゆる遷移を超える最高の優先順位を有している。例えば、プロファイル1の中の回線は可能であるならば(つまり、該優先順位が行列T2から1であるならば)、プロファイル2に移動しようとする。プロファイル2が適切ではない場合(例えば、コード違反がプロファイル2では高すぎると予想されるまたは測定される場合、「適切さ」は、さらに詳しく後述されるように実現可能性としていくつかの実施形態で定義できる)には、該回線はプロファイル6(つまり、行列T2から2という優先順位を有する)に移動しようとする。プロファイル6が適切ではない場合には、プロファイル1(3という優先順位を有する)が調べられ、プロファイル1が適切な場合には、該プロファイルは変更されないであろう。また、プロファイル1が適切ではない場合には、該回線は、最低の優先順位(つまり、4という優先順位)を有するプロファイル5に移動する。
図4の遷移行列T2は、このようにして各状態/プロファイルの遷移の可能性と優先順位の両方を示すことができる。T2の構造はデータレート、電力レベル、フラットなパワースペクトル密度(PSD)基準レベル、最大マージン、最小マージン、目標マージン、FEC遅延、FEC強度及びPSD整形(PSDMASKとして知られることもある)等の多くの異なったプロファイル特性の単純な変動を可能にする。例えば、特定の許容サービスタイプのセットに応じて、いくつかのプロファイルをブロックすることができ、また他のプロファイルはより低い優先順位を与えられる。代わりに、(経済的な要因がオペレータによって考慮に入れられる場合)、より小さいキャリヤマスクのあるプロファイルには相応して支払いをするカスタマのためのさらに高い優先順位を与えることができる。他の回線(場合によっては可能であるが、可能ではない場合もある、このような丁寧な(polite)バインダ共有の規制関係を考慮に入れない)で、さらに優れたサービスを実行できるようにするために、多様な回線はできる限りバンドの部分を生じさせるようにプログラミングできる。別の例としては、さらに高い目標マージン(TNMR)が設定されるプロファイルには、雑音レベル(複数の場合がある)で頻繁な変化を有する回線のためのさらに高い優先順位を与えることができる。したがって、重みが付けられた状態遷移行列T2は、プロファイル自体の動的な選択だけではなく、プロファイル選択のための規則(ルール)の動的な変化も可能にする。
状態遷移の多様な特長を介して収益及び/またはサービスの最大化または改善を図っているオペレータは、T2のプロファイルの数を拡大することを所望してよい。プロファイルは、データレート、PSDレベル、目標/最小/最大マージン、キャリヤマスク、FEC設定値等の組み合わせを含むために実現されてよい。その結果として、プロファイルの総数は数百より大きくなることがある。このようなケースでは、T2はおそらく、その要素の大部分が0に等しい疎行列(sparse matrix)になり、さらに管理可能な状態遷移行列は図4の行列Tである。
行列Tの列エントリは入手可能な「次の」状態を列ごとに優先順位降順で示す。例えば、第1の列が、プロファイル1の第1の優先順位がプロファイル2に移動することを示すと、該次の優先順位はプロファイル6に移動し、次にプロファイル1に留まる。これらのプロファイルのどれも実現可能ではない場合には、該回線は該第1の列の下部にあるプロファイル5に移動する。第5の列は、プロファイル5の第1の優先順位がプロファイル6に移動し、次にプロファイル5に留まることであることを示す。行列Tのフォーマットでは、該行列はN×Nよりはるかに小さいことがあり、ここではNはプロファイル/状態の総数であり、さらに状態−遷移情報のコンパクトな記憶及び/または伝送を可能にする。サービスプロバイダの変換装置は、ありとあらゆる回線(電話番号で識別されるような)のために該行列TをDSMコントローラ(例えば、DSL最適化ツール)に提供できるであろう。Tのこのような仕様は、該サービスプロバイダがサービス収益に影響を及ぼす、あるいは制御することができるようにする。その結果、このような記憶または伝送はTのよりコンパクトな形式(T2と比較して)でさらに効率的である。さらなる簡略化(本例には示されていない)は、プレーンテキストフォーマットで優先順位を書き込み、0を削除することによって可能である。
回線が未知の状態またはプロファイルにあるとき、あるいは回線の状態/プロファイルがTの一部ではない場合には、誘導規則(guidance rule)を適応できる。例えば、1つの規則は該回線をTの中の最も安全なプロファイルに移動する。別の誘導規則は、該回線をカレントプロファイル(データレート、FEC、マージン等に関して)に最も近いTの該プロファイルに移動する可能性がある。
各個別回線は別の状態−遷移行列を有することがある。例えば、さらに多く支払う、またはミッションクリティカルなサービスを必要とするカスタマは、何があってもできるだけ高いデータレートを達成しようとする遷移行列を与えられる可能性があり、一方、別のカスタマは、最大データレートがその回線に許されるプロファイル/状態の目標(指定)値に制限される間に、可能な限り多い電力とスペクトルを生じさせようとする遷移行列を与えられる可能性がある。不安定な雑音スペクトル特性を備えた回線は、多くの場合多様な許容プロファイルのために高TNMRが使用される遷移行列を与えられ、一方、安定した雑音スペクトル特性の回線には、低TNMRがより頻繁に使用される遷移行列が与えられる。これは、本来、多様なマージンの付いたプロファイルが入手可能である場合にだけ(あるいはプロファイルがレートプロファイル、PSDプロファイル、TNMRプロファイル等に分解される場合に)可能である適応マージン制御である。適応マージン制御及びそれを実現するための技法は、その開示全体が参照することにより本書に組み込まれている、適応マージン及びバンド制御(ADAPTIVE MARGIN AND BAND CONTROL)と題され、カリフォルニア州レッドウッドシティー(Redwood City,California)のアダプティブスペクトラムアンドシグナルアラインメント社(Adaptive Spectrum And Signal Alignment, Inc.)によって所有されている、2004年7月19日に出願された米国出願番号第10/893,826号(代理人整理番号第0101−p04号)にさらに詳細に説明されている。該遷移行列に加えて、後述される実現可能性閾値テーブルも、有利なプロファイルを試す攻撃性を調整するために回線ごとに修正できる。
回線の該遷移行列も動作中に必要に応じて、及び/または所望されるように更新できるであろう。例えば、より低いPSD及びより小さな帯域幅のプロファイルの優先順位は、該回線が複数の近傍の回線のための主要なFEXTソースである、あるいは特別カスタマの回線の中への侵入的な雑音ソースにすぎないと検出された場合、高めることができる。後に、元の優先順位は、該評価が正しくないことが示された場合、あるいは該評価が変化するカスタマトポロジ、要求及び慣行(practices)とともに変化する必要がある場合には復元できる。このような再優先順位付けは該コントローラ(例えば、DSL最適化ツール)とサービスプロバイダの間の合意を必要とする可能性がある。
状態の該優先順位付けを知っていることは、本発明のすべての実施形態で十分ではない。いくつかの実施形態では、状態/プロファイルの優先順位付けを決定するのを支援するために、使用可能な状態の実現可能性が評価され、定量化されるケースもある。例えば、一実施形態における関心のある任意の回線の場合、該遷移行列T及び現在の状態の情報は常に入手可能である。優先順位はTですでに指定されているため、DSL最適化ツール等のコントローラは候補遷移の実現可能性を調べ、最高の優先順位が付いた実現できる次の状態を選ぶ必要があるにすぎない(最低の優先順位の付いた該状態/プロファイルは調べなくてもいつでも実現可能であると見なされてよい)。当業者によって理解されるように、実現可能性は様々な方法で決定されてよい。「最良の状態」及び「最良のラインプロファイル」または「最良の入手可能ラインプロファイル」は、実現可能であるだけではなく、最高の優先順位も所有する該状態及び/またはラインプロファイルを意味する。本発明の実施形態のいくつかにおけるように「無罪推定(presumption of innocence)」が使用されるケースでは、最良の状態及び/またはラインプロファイルは実現不可能であると見なされておらず、最高の優先順位を有する該状態及び/またはラインプロファイルである。
例えば、前記例では、(カスタマまたは他のユーザによって使用されてよい)ADSL回線は、「イン(in)」状態n(つまり、プロファイルn)を使用しているか、あるいは「イン」状態nにあり、その回線は状態m(つまり「目標状態」またはプロファイルm)への遷移のために検討されている。この例では、該2つのプロファイルnとmについて、データレート、PSD、TNMR(目標雑音マージン−これはITU規格におけるTSNRMである)、MAXNMR(最大雑音マージン−これはITU規格におけるMAXSNRMである)、MINNMR(最小雑音マージン、これはITU規格におけるMINSNRMである)、キャリヤマスク(ITU規格におけるCARMASK)またはFEC(ITU規格におけるINP及びDELAYである)の7つのフィールドの内の少なくとも1つが異なるであろう。この実施形態における状態mの実現可能性試験の基本は、この回線の場合、低(low)コード違反(CV)カウント、低再訓練カウント、低待ち時間のどれかまたはすべてを示唆または命令してよい、安定した性能を保証することである。(最後の項目、低待ち時間はネットワークゲームまたはVoIP等のアプリケーションを使用して待ち時間に敏感なユーザのためだけに保証される必要がある場合がある。しかしながら、当業者によって理解されるように、待ち時間に敏感なアプリケーションの使用が検出されない限り、それはユーザにとって重要ではない可能性があり、したがって待ち時間は本発明を説明する際にこれ以上詳しく扱われない)。
状態mの場合に実現可能性試験を実行するために、DSL最適化ツール等のコントローラが2つのタイプの「操作データ」を使用できる。第1に、報告されるデータ(該回線が、コントローラに報告される状態mにあった間に、直接的に観察される動作及び/または性能である)は、該回線の履歴が状態mでの短いまたは長い滞留(stay)、あるいは任意の関連する状態(つまり、状態mについて報告されるデータを、単純な数式を使用して計算できる状態)を含む場合にだけ入手できる。第2のタイプの操作データ、つまり推定されるデータは、状態mの通信回線の推定される動作及び/または性能である。この推定は、常に実行できる1つまたは複数の雑音スペクトル推定に基づいてよく、その結果推定されるデータは、たとえ該回線が状態mに、または関連する状態に以前に留まったことがない場合にも入手できる。報告データ及び推定データは、例えば図3Aまたは図3Bに描かれているように、DSL最適化ツール等のコントローラにおいてデータ収集モジュール及び/または収集手段を使用することによって、該通信システムから操作データを収集することによって取得、計算、決定等できる。
使用される実現可能性試験は、2つのタイプの性能の障害―つまり非インパルス雑音(AWGN、NEXT及びFEXT等)とインパルス雑音とを検討できる。当業者によって理解されるように、他の障害が存在することがあり、対処されてよい。非インパルス雑音に関連するDSLMAによって報告されるパラメータは、NMR(雑音マージン−これはITU規格におけるSNRMである)及びMAXR(最大達成可能データレート−これはITU規格のATTNDRである)である。インパルス雑音に関連するパラメータは、CV(コード違反カウント)及びFCC(FEC補正カウント)である。コード違反観察及び分散に統計的に基づいているINPを増加する(Nを減少する)ための技法及び装置、及び関連するFEC操作技法及び特性は、その開示全体が参照することにより本書に組み込まれている、適応FECコードワード管理(ADAPTIVE FEC CODEWORD MANAGEMENT)と題され、カリフォルニア州レッドウッドシティー(Redwood City,California)のアダプティブスペクトラムアンドシグナルアラインメント社(Adaptive Spectrum And Signal Alignment, Inc.)によって所有されている、2004年3月8日に出願された米国出願番号第10/795,593号(代理人整理番号第0101−p02号)に開示されている。NR(the number of trainings:訓練数)は、両方のタイプの雑音に関連する。該回線が時間間隔tの間に状態mにある場合、以下の5つのパラメータがDSLAMから(またはATU−RとDSL最適化ツール等のコントローラとの間の通信経路が使用可能な場合にはATU−Rから)周期的に収集されてよい。
RCVm,t:時間間隔tの間の報告コード違反カウント
RFCCm,t:時間間隔tの間の報告FEC補正カウント
RMm,t:時間間隔tの最後の報告雑音マージン
RRm,t:時間間隔tの最後の報告最大達成可能データレート
RNRm,t:時間間隔tの間の報告再訓練カウント数
(最後のパラメータ、再訓練カウントに関して:再訓練は、プロファイルの変化、モデムでの電力損失、及び高雑音電力または多数のコード違反等の多様な理由から開始できる。本例ではこれらの多様な理由の中から、高雑音/多数のコード違反によって引き起こされる再訓練だけを考慮する必要がある。
本説明の場合、
NRm,t=LOSm,t−LPRm,t−NPCm,t
この場合、LOSm,tは、信号損失の報告数であり、
LPRm,tは、電力損失の報告数であり、
NPCm,tは、プロファイル変化の数である。)
このようなパラメータの表記はPARAMm,tに一般化することができ、この場合PARAMは、RCV、RFCC,RNR、RMまたはRR等の検討中のパラメータである。該第1の文字「R」は、本書に定義され、区別されるように「推定(estimated)」データの「E」とは対照的に「報告された(reported)」データを示すために使用される。追加の説明は、該tの制約を省略し、結果的な量をランダム変数であると見なす。したがって、tがこれらの式から省略されると、特定のサンプルまたは該パラメータの「時間(time)」値の代わりに検討される、該ランダム変数の対応する分布がある。したがって、例えばNRmは多くの値をとることができるランダム変数である。DSL最適化ツール等のコントローラは、このランダム変数の分布を計算し、更新できる。
RCV:関心のある回線のコード違反カウントの報告数をモデル化するランダム変数。該分布は、データポイントの観察、RCVm,tに基づいてDSMセンターによって計算される。
RFCC:関心のある回線の報告FEC補正カウントをモデル化するランダム変数。
RNR:関心のある回線の再訓練カウントの報告数をモデル化するランダム変数。
RM:関心のある回線の報告雑音マージンをモデル化するランダム変数。
RR:関心のある回線の報告最大達成可能データレートをモデル化するランダム変数。
第1の3つのパラメータRCVm,t、RFCCm,t及びRNRm,tの報告されるデータポイントは、多くのDSLシステム内で通常15分おきに収集され、それぞれのこのような収集値は直前の15分の間隔で収集されたCV、FCCまたはNRの数に対応する。そのような各収集されたカウントは、対応するランダム変数のための分布を更新するのに使用することができる。前記の該5つのパラメータのすべての報告データポイントは、DSLAMからコントローラに報告することができ、その結果、すべては収集時に分布を更新させることができる。しかしながら、RMm,tとRRm,tは15分の間隔で測定されなかった可能性がある。
これらの報告されるデータ値のどれかの濃度(cardinality)は、C[PARAM]で示され、任意の特定のパラメータの該分布(該分布PARAM)の計算で使用されるデータポイント(PARAMm,t)数を表す。該濃度は、該ランダム変数の該分布を計算するために使用されるデータセットのサイズとして正しく定義されるが、該データセットの表記は定義されておらず、PARAMがC[]の内部で使用されるため、表記はいくぶん乱用されている。該表記はこのようにして簡単にするために本開示で使用されている。単純な確率分布計算は、特定のパラメータ値の発生数を任意の特定の状態に対するその濃度で除算するであろう。さらに精密な分布推定は、より最近に観察された(または報告された)値を支持しておそらく遠い過去の値の影響を削減し、いくつかのこのような方法は後述され、当業者によってよく理解される。
プロファイルmが次の状態の候補と見なされているとき、任意の最近の期間またはそれ以外の場合関連する期間中に計算され、おそらく更新される1つまたは複数の分布は、プロファイルmが実現可能であるか判断するために使用できる。例えば、RCVの低い値とRMの高い値の、及びRRのそれぞれの大きな(高い)確率が、該コントローラによって計算されている(すなわち、これらの値はおそらくすべての最近の滞留(stay)の間状態mにある)場合、該コントローラは回線を状態mに確信を持って移動できる(それらは本発明の他の実施形態では同等ではない可能性があるが、再び、「状態」及び「プロファイル」はこれらの実施形態に関して交換可能に使用される)。
しかしながら、場合によっては、状態mは簡単に使用されたにすぎない可能性があるか、あるいは前に一度も使用されたことがないため、観察された(または報告された)データの量は、目標プロファイルmに対して確実な決定を下すほど十分ではない可能性がある。このようなケースでは、推定されるデータは意思決定を助けるために使用できる。しかしながら、また、簡単な数式に基づいた以下の方法は、使用可能な報告されたデータのサイズ及び/または量を増加するためにデータタイプごとに使用できる。
RCVm,t−一例に、3つのタイプのFECレベル、つまりF(高速バッファ−インタリーブ(interleaving)なし)、M(中遅延インタリーブ)及びH(高遅延インタリーブ)を有するADSL1システムを検討する。さらに幅広い一連のFEC選択肢が使用可能であってよく、当業者が該3つのレベルの例を任意の他の状況に拡張することが簡単でなければならない。RCVi,tが、状態iが状態mと同じレート、PSD、TNMR及びキャリヤマスクを有するが、別のFECを有する場合に使用できるとき、RCVm,tを求めるために以下を使用できる。
Figure 0004913758
状態、f、md、及びhは、同じデータレート、PSD、TNMR及びキャリヤマスクを有するが、様々なFECレベル(f:高速バッファ(fast buffer)、md:中遅延(medium delay)、h:高遅延(high delay))を有する。CVは、FEC保護が強化するにつれ減少するため、第1の数式が当てはまる。第2の数式は、CV+FCCが有効インパルス総数であるため、当てはまる。当業者によって理解されるように、いくつかの状況で第2の数式が修正される必要がある場合がある。例えば、コーディング利得(coding gain)がH遅延の場合に最大になり、M遅延の場合最小である場合、DSLAMにとってRCVh,t+RFCCh,t≦RCVf,t≦RCVmd,t+RFCCmd,tである。
RMm,t―状態iが状態mの計画されているレートと同じカレント動作データレート(該プロファイルでは最大レートまたは最小レートではなく、該マージンが報告されたときのカレント動作データレート)、及び状態mと同じキャリヤマスクを有するが、異なるPSD、TNMR,またはFECレベルを有する場合にRMi,tが使用可能であるとき、RMm,tを求めるために以下の数式を使用でき、
Figure 0004913758
この場合PSDは送信電力スペクトル密度であり、CGはコーディング利得(すべてデシベル単位)である。
RRm,t―状態iが状態mと同じPSD、TNMR、キャリヤマスク及びFECを有するが、異なるレートを有する場合にRRi,tが使用できるとき、報告最大レートはカレントレートには無関係であるため、RRm,tを求めるために以下の数式を使用できる。
Figure 0004913758
コーディング利得の変更を反映するために任意の簡単な規則が使用される場合、FECに対する制約を取り除くことができる。(簡略な方法は、該コーディング−利得変化によって引き起こされるレートの増減を検出するためにウォータフィリング(water-filing)を行うことである可能性がある。しかしながら、このような方法は、ある程度のレベルの信号処理(ウォータフィリング)を必要とし、それは実現可能性試験のために報告データを使用する意図ではない。いずれにせよ、このような処理されたデータは、代わりに推定された最大レートを介して取得されてよい。)
NRに関しては、容易な近似方法はないため、ランダム変数NRとその結果的に生じる分布は、回線履歴が状態mでの任意の短い/長い滞留を含む場合にだけ使用できるであろう。
多様な技法を使用すると、推定された挿入損失(つまりHlog)は常に、DSL最適化ツール等のコントローラが使用でき、このため該雑音スペクトルは常に使用中の任意のプロファイルについて推定できる。このような技法は、その開示全体が参照することにより本書に組み込まれている、既知のDSL回線走査及び不良スプライス検出機能を含むDSLシステム推定(DSL SYSTEM ESTIMATION INCLUDING KNOWN DSL LINE SCANNING AND BAD SPLICE DETECTION CAPABILITY)と題され、カリフォルニア州レッドウッドシティー(Redwood City,California)のアダプティブスペクトラムアンドシグナルアラインメント社(Adaptive Spectrum And Signal Alignment, Inc.)によって所有されている、2005年3月1日に出願された、米国出願番号第11/069,159号(代理人整理番号第0101−p10号)に記載されている。事実上、コントローラは個々の回線に「雑音タイプ」の概念を使用することができ、新規に観察された雑音スペクトルは新しい雑音タイプとして登録され、前に登録された雑音タイプの雑音スペクトルに類似する任意の雑音スペクトルがその雑音タイプのカウント増加をトリガする。該雑音タイプとそれらのカウント(つまり、確率(複数の場合がある))は常に、該回線が動作している該プロファイル/状態と無関係に更新される。雑音タイプごとに、雑音マージン及び最大達成可能データレートはウォータフィリングを使用して計算することが可能であるため、ありとあらゆる雑音タイプの総発生回数は該推定されるNMR(雑音マージン)及び推定されるMAXR(最大達成可能データレート)の分布の濃度となる。したがって、状態mのマージン及び該最大達成可能レートを表すランダム変数の分布は、これらのタイプのそれぞれに新しい値を計算するために推定される雑音タイプごとにウォータフィリングを実行することによって、状態mのHlog、雑音タイプ、及びプロファイル情報に基づいて推定できる。このようなウォータフィリング技法の使用は周知であり、例えばDSLアドバンス(DSL Advances)(Starr、Sorbara、Cioffi及びSilverman、Prentice Hall、2003年)で扱われている。状態mと関連する該推定雑音マージン及び該推定最大達成可能レートの濃度は、通常、状態mと関連するこれらの同じ2つの量の報告される量の濃度よりはるかに大きい。
EMm:雑音タイプ及びその確率に基づく、プロファイルmの雑音マージンの推定分布に対応するランダム変数
ERm:雑音タイプ及びその確率に基づく、プロファイルmの最大達成可能レートの推定分布に対応するランダム変数
ウォータフィリングに基づくNMRとMAXRの推定は当業者にとっては簡単であり、詳しく検討されない。CV、FCC及びNRの推定はさらに微妙である。CV=FCC=0のときにDSL最適化ツール等のコントローラがインパルス雑音の電力及び周波数を推定する方法はないため、このようなインパルス雑音情報を獲得する唯一の方法は、高速データレートの、または小さなマージンのどちらかの状態を試すことである。また、該所望される状態が試されるまで、NRを推定するのは困難である。したがって、該ECV、EFCC及びENRの該濃度は、小さいまたは多くの場合はゼロとなると予想できる。
報告されるデータ及び推定されるデータは互いを補完する傾向があり、その結果状態遷移の実現可能性試験は両方のタイプのデータを使用することから恩恵を受ける。例えば、報告データはすべてのデータフィールドに供給するという点で完全であるが、推定データは不完全である(例えば、CV/FCC/NRに関する情報はない)。さらに、データ推定は、報告マージンの量子化及びクリッピング、及び送信電力のエラー(例えば、通信装置は0と31間だけの整数値のマージンを、0と20の間だけの整数値の送信電力を報告する可能性がある)、またはチャネルと雑音の推定値からの誤差等の特定の要因に苦しむことがある。また、推定データは入手可能であると保証されているが(それがコントローラ、DSL最適化ツール等によって生成されるので)、報告データは入手できない場合がある(例えば、それは、状態mまたは別の関連性のある状態が前に使用された場合にだけ入手できる可能性がある)。加えて、入手できる報告データの量は相対的に少なく(それが、回線が状態mまたは別の関連性のある状態にあるときだけに収集されるため)、一方、操作データを収集することができ、排他的なデータを絶えず計算できるため、通常は大量の推定データが入手できる。最後に、報告データは通常一時エラー(例えば、システムモデム内部での間違ったマージン及び最大レート計算、マージン、最大レート等の非同期データ収集時間)に対してさらに敏感であり、該報告データは、状態mまたは別の関連性のある状態から収集されるデータサンプル数が少ない(つまり、1つの誤ったデータの衝撃が大きくなる)場合にはきわめて誤解されやすいであろう。他方、推定データは、通常はサンプル数が大きく、それによって1つまたは相対的に少ない誤ったデータの影響(複数の場合がある)を削減するため、一般的にはあまり敏感ではない。
1回または複数の実現可能性試験が、状態n(プロファイルn)の回線が別の状態mに移動できるかどうかを決定できる。その決定は、該観察され、推定されるデータの分布に基づく(さらに精密な規則はデータを、その分布を超えて分析することによって使用でき、このような規則は簡略に後述される)。本発明のいくつかの実施形態での実現可能性試験の実施の場合、該最終決定は32の独立した状態、つまり16が下り伝送について、16が上り伝送についての結果に基づくことができる。下り伝送状態は以下の通りである。
RRDCn,ds:現在の状態nのための報告最大達成可能データレート分布状態
RRDCm,ds:目標状態mのための報告最大達成可能データレート分布状態
ERDCn,ds:現在の状態nのための推定最大達成可能データレート分布状態
ERDCm,ds:目標状態mのための推定最大達成可能データレート分布状態
RMDCn,ds:現在の状態nのための報告マージン分布状態
RMDCm,ds:目標状態mのための報告マージン分布状態
EMDCn,ds:現在の状態nのための推定マージン分布状態
EMDCm,ds:目標状態mのための推定マージン分布状態
RCVDCn,ds:現在の状態nのための報告コード違反カウント分布状態
RCVDCm,ds:目標状態mのための報告コード違反カウント分布状態
ECVDCn,ds:現在の状態nのための推定コード違反カウント分布状態
ECVDCm,ds:目標状態mのための推定コード違反カウント分布状態
RNRDCn,ds:現在の状態nのための再訓練カウント分布状態の報告数
RNRDCm,ds:目標状態mのための再訓練カウント分布状態の報告数
ENRDCn,ds:現在の状態nのための再訓練カウント分布状態の推定数
ENRDCm,ds:目標状態mのための再訓練カウント分布状態の推定数
状態の同じ集合は上り伝送のために検討でき、このようにして合計32の状態を生じさせる。本発明の一実施形態を図解するために、下り状態が詳しく後述される(したがって該識別子「ds」は省略される)。当業者によって理解されるように、類似する規則は上り状態にも適用する。前述されたように、CV及びNRは推定するのが容易ではないため、ECVDC及びENRDCはいくつかの実施形態ではまったく使用されない可能性がある。しかしながら、32すべての状態は、将来の学習がこの一般的な実現可能性試験構造に容易に統合できるように少なくとも検討できる。
状態遷移の実現可能性は、状態の内の複数が同時に満たされることを必要とする。したがって、場合によっては目標状態mの実現可能性に関する最終決定がサブルール、あらゆる適用可能な非常事態の規則、及び全体的な決定規則のすべてまたはいくつかの出力の結果に依存する可能性があり、その1つの例が後述される。ここで定義されるサブルールは、状態遷移を支配する規則について満たされなければならない複数の状態の内の1つとして定義されている。
各サブルールは、状態nまたはmのどちらかについて報告または推定のどちらかが行われるデータに基づいている。調べるデータがあまりに少ないかまったくないことがあり、該コントローラはこのような状態には非常事態規則を適用できる―本発明の学習ダイナミックスと以前の静的な非学習状態マシーンの間の相違点のいくつかを説明する。本発明の現在説明されている実施形態では、状態/プロファイルが、「有罪(guilty)」(つまり実現不可能(infeasible))と証明されるまでは「無実(innocent)」(つまり、実現可能(feasible))であると本質的に推測されている。保守的になり、好ましい状態を一度も試すことがないよりむしろ、新しい状態は、それが実現不可能であると証明されるまで試すことができる。このような無罪の推測の最悪のケースでは、該通信回線は、次のプロファイルが変化するまで不安定な性能を示す。しかしながら、行列Tの設計はリスクを最小限に抑えることができる。例えば、Tが状態遷移ごとにごく少量のレートの増加だけを可能にする場合には不安定性の影響は非常に小さい。一般的には、きわめて不安定な状態のリスクを最小限に抑えることと、より少ない数のプロファイルを使用する間に最良の状態に迅速に収束することの間にはトレードオフがある。このトレードオフは、行列T、及びDSL最適化ツールのようなコントローラによって試験される実現可能性の多様なプログラミングされる閾値を通して制御される。
大部分の回線の最大データレート、マージン等は時間的に変化するため、該関連するランダム変数の分布は多くの値に広がることがある。したがって、該サブルールは該分布に基づく。該報告最大達成可能データレート分布の使用を説明するために単純な例が示される。
[例]
回線のデータレートだけを1.5Mbps(プロファイルn、プロファイルの最大レート=1.5Mbps)から3Mbps(プロファイルm、プロファイルの最大レート=3Mbps)に変更することが重要である場合、報告最大レートに基づいた簡単な規則は以下の通りである可能性がある。
RRm,tのすべての値がすべての報告データポイント、RRm,tについて3.5Mbpsを超えている場合には、状態mに移動する。
この「常に3.5Mbpsよりよい」規則はいくつかの回線についてはうまくいくが、たまに非常に短い期間RRm,t=3Mbpsを経験する他の回線にとっては保守的すぎる可能性がある。この簡単な非確率的な条件を使用する代わりに、DSL最適化ツール等のコントローラは1つまたは複数の確率的な基準を採用でき、この場合RRの分布は複数の状態で該単一の静的な状態を置き換える。
以下の場合、状態mに移動する。
Pr{RR≧3.5Mbps}≧50%、かつ
Pr{RR≧3.0Mbps}≧99%、かつ
Pr{RR≧2.5Mbps}=100%
前記の確率論的ステートメントで述べられた状態を以下の表に要約する。
Figure 0004913758
該回線が代わりに3Mbpsで動作していたのであれば、最大レート=3.5Mbpsはマージン=8dBにほぼ相当する。最大レート=3Mbpsは6dB(つまり、一般的にはTSNRMであるが、この例では6dB)に相当する。最大レート=2.5Mbpsはマージン=4dBにほぼ相当し、6dBという典型的な目標マージン未満である。前記規則には以下の特徴がある。
(1)不定期にモデムを再訓練すると、時間の99%、3Mbpsとなる。
(2)雑音レベルが高められるとしても、マージンは4dB以上になることが保証されるため、再訓練はありそうにない。
(3)該マージンは少なくとも時間の50%の間8dBと同じまたは8dBを超えている。
多様な実現可能性−パラメータ値は、インデックスiと関連付けられ、f(m)と表記される。(正確に言うと、どのパラメータが検討されているのかを示すためには、fi,PARAM(m)が使用される必要がある。前記例では、該最大データレートを試験するための検討される3つの状態があり、したがってi=1,2,3である。該モデムの再訓練が無事にi番目の実現可能性−状態を満たす確率はp(m)と示される。やはり、pi,PARAM(m)はより正確な表記である。これらの実現可能性パラメータ及びその関連する確率は、状態またはプロファイルmの関数として明示的に示されている。これらのパラメータは、該コントローラ(DSL最適化ツール)にとって内部であってよく、回線、時間、モデムタイプ及び他の特徴的なパラメータのどれかまたはすべての関数として設定されてよい。
再び、最大データレートに関して2つのデータタイプ―該報告最大データレート(RRm,t)と該推定最大データレート(ERm,t)―が使用できる。該報告最大レートは該通信装置(例えば、DSLモデム)の内部で計算されるため、トーン単位のSNRに関する正確な情報が使用される。しかしながら、様々なベンダモデムが異なるローディングアルゴリズム及び異なるコーディング利得を使用するため、該RRm,tは多くの場合偏向されているか、あるいは誤解されやすい。他方、該推定最大レートはチャネル及び雑音の推定に基づいているため、トーン単位のSNRは推定誤差を含む可能性がある。しかしながら、共通のウォータフィリングアルゴリズム及び共通のコーディング利得が使用されるため、ERm,tは偏向されることも、誤解を招くこともない。このようにして該2つのデータタイプは互いを補完し、したがって両方とも該サブルールの一部として使用される。
各データタイプのために、状態は現在の状態n及び目標状態mについて調べられる。該現在の状態の状態が多くの状況で検討される必要がない可能性がある一方、該目標状態の状態はほぼ常に重要な役割を果たす(実現可能性は、該回線が該目標状態mに移動できるかどうかを確かめるために調べられているため)。それにも関わらず、該目標状態だけではなく該現在の状態のサブルールも完全性のために、そして考えられる将来の使用のためにも使用できる。
最初にRRDC(現在の状態nの報告レート分布状態)規則が検討され、複数のパラメータが次の通りに定義される。
RRn:RRの濃度(つまりC[RR])。CRRはRRの分布を計算するために使用可能なデータポイント数である。
RRn:RRの導出された分布の信頼性を保証するための必要とされるデータポイントの必要最小数。C[RR]≧MRRnの場合には、該導出分布は完全に信頼できると仮定される。そうでない場合は、該分布は信頼できない可能性がある。
Pr[ρ]:該特定のパラメータについてコントローラの計算された分布に基づいて計算されるρの確率。
RRn:RRDC規則のために調べられる状態数。
i,RRn(n):状態nについて調べられるi番目の状態に関連するi番目のカットオフ(cutoff)パラメータ。
i,RRn(n):状態nについて調べられるi番目の状態(サブルール)に関連するi番目の必要最小確率。
i,RRn(n):RRn,t≧fi,RRn(n)を満たす優れたデータポイント数。CRRn個の入手できるデータポイントの中で、いくつかは該i番目のカットオフパラメータfi,RRn(n)より大きくなり、いくつかは大きくならない。Gi,RRn(n)は該カットオフ値を満たすデータポイント数である。
i,RRn(n):RRn,t≧fi,RRn(n)を満たさない不良データポイント数。任意のiの場合Gi,RRn(n)+Bi,RRn(n)=CRRnであることに留意する。
RRDC規則が、該現在の状態の報告最大データレート、RRnの導出分布が該NRRnの状態のどれかに違反しているかどうかを調べる。該出力については、NOT_GOODは1つまたは複数の違反を示し、GOODは違反なしを示し、NOT_ENOUGH_DATAは信頼できる決定を下すことができないことを示す。
以下は報告レート分布状態(RRDCn)規則の簡単なバージョンである。
Figure 0004913758
最初のif節は、十分なデータポイントが入手可能であり、結果として生じる分布がNRRnの状態のどれかに違反する場合には、「NOT_GOOD」が返されなければならないと述べている。続く「elseif」節は、十分なデータポイントが入手可能であり、結果として生じる分布が該状態のどれにも違反しない場合には、「GOOD」が返されなければならないと述べている。データポイント数が少なすぎる場合(CRRn<MRRn)には、NOT_ENOUGH_DATAが報告される。
RRn<MRRnであっても、以下の不等式はCRRn<MRRnのときに常に当てはまるため、違反または違反なしを確実に主張することが可能な場合もある。
Figure 0004913758
将来のMRRn−CRRnデータポイントがすべてカットオフパラメータfi,RRn(n)を下回る場合(最悪のケースの仮定)には、左辺はPr[RRn≧fi,RRn(n)]に同等である。該将来のMRRn−CRRnデータポイントがすべてカットオフパラメータfi,RRn(n)を上回る場合(最良のケースの仮定)には、右辺はPr[RRn≧fi,RRn(n)]に同等である。したがって、以下の式が任意のiについて満たされない場合には、違反は確実に決定することができる。
Figure 0004913758
そして、以下の式は、次のMRRn−CRRnデータポイント集合体の後の違反なしを保証する。
Figure 0004913758
この追加の技法は場合によっては非常に役立つことがあるが、現在の状態nについて以下のRRDCn規則につながる(該2つの状況、CRRn≧MRRn及びCRRn<MRRnに対処するために最大関数が使用される)。
[サンプルサブルール1]
Figure 0004913758
実現可能性のためのNRRnの状態のそれぞれは、各状態nに2つの変数f(n)とp(n)が指定されることを必要とする。これらの変数は、例えば図3Aのコントローラ310のライブラリ348の中、または図3BのDSL最適化ツール365の中等、該コントローラに記憶される表に要約される。下記のような表は「RRDC閾値テーブル」と呼ぶことができ、サービスタイプまたは回線の状態に応じて様々な表を適応的に使用できる。
Figure 0004913758
DSL最適化ツール等のコントローラも、該表の項目を、時間、回線履歴及び装置等の適応動的関数にすることができる。
さらに一般的なシナリオでは、後述される「全体的な規則(overall rule)」が異なる閾値テーブルのK個の集合の出力を必要とする可能性がある。例えば、レートを加速するために使用される閾値テーブルは、レートを減速するために使用される該閾値テーブルとは異なるであろう。このようなケースでは、該2つの閾値テーブルに関連する2つのRRDC規則(RRDCn,1とRRDCn,2)を定義することができ、それぞれが独立したサブルールとして処理できる。各サブルールの出力(複数の場合がある)は「全体的な規則」を構築するために使用できる。
第2のサブルール、RRDCは、該サブルールが現在の状態nではなく該目標状態mに適用されるという点を除き、RRDCとほぼ同じである。該パラメータと該サブルールは以下のように要約できる。
RRm:RRの濃度(つまりC[RR])。CRRmはRRの分布を計算するために使用可能なデータポイント数である。
RRm:RRの導出された分布の信頼性を保証するための必要とされるデータポイントの必要最小数。C[RR]≧MRRmの場合には、該導出分布は完全に信頼できると仮定される。そうでない場合は、該分布は信頼できない可能性がある。
RRm:RRDC規則のために調べられる状態数。
i,RRm(m):状態mについて調べられるi番目の状態に関連するi番目のカットオフパラメータ。
i,RRm(m):状態mについて調べられるi番目の状態に関連するi番目の必要最小確率
i,RRm(m):RRm,t≧fi,RRm(m)を満たす優れたデータポイント数。CRRm個の入手できるデータポイントの中で、いくつかは該i番目のカットオフパラメータfi,RRm(m)より大きくなり、いくつかは大きくならない。Gi,RRm(m)は該カットオフ値を満たすデータポイント数である。
i,RRm(m):RRm,t≧fi,RRm(m)を満たさない不良データポイント数。任意のiの場合Gi,RRm(m)+Bi,RRm(m)=CRRmであることに留意する。
[サンプルサブルール2]
Figure 0004913758
RRDCにおいてのように、RRDC閾値テーブルは以下のように説明できる。
Figure 0004913758
ERDCは、前記サブルール1に類似したフォーマットで要約できる。唯一の相違点は、該報告最大達成可能レートの代わりに該推定最大達成可能レートが使用されるという点である。ERDCのための該7つのパラメータを適切に定義することによって、サブルール1とRRDCn閾値テーブルのフォーマットは、ERDCに再利用できる。ERDCは前記サブルール2に類似するフォーマットで要約できる。唯一の相違点は該報告最大達成可能レートの代わりに該推定最大達成可能レートを使用することから生じる。
マージンに関する規則は最大データレートに関する該規則にきわめて類似している。RMDCだけがここで提示されている。他の3つの規則は当業者に明らかになる。
[サンプルサブルール3]
Figure 0004913758
Figure 0004913758
CV(Code Violation:コード違反)に関する規則は、前記マージン規則が類推されたように、該最大データレート規則から類推できる。唯一の相違点は不等の方向である。遷移がデータレートの観点から有効となるためには、報告/推定されたレート値はカットオフ値未満になることはできない。他方、遷移がCVの観点から有効となるためには、該報告/推定されたCV値は該カットオフ値より大きくなることはできない。
したがって、以下の2つのパラメータの定義が変化する。
i,RCVm(m):RCVm,t≦fi,RCVm(m)を満たす優れたデータポイント数。CRRmの入手可能なデータポイントのうち、いくつかはi番目のカットオフパラメータ、fi,RRm(m)より小さくなり、いくつかは小さくならない。Gi,RCVm(m)は、該カットオフ値を満たす(該カットオフより小さい)データポイント数である。
i,RCVm(m):RCVm,t≦fi,RCVm(m)を満たさない不良データポイント数。任意のiについてGi,RCVm(m)+Bi,RCVm(m)=CRCVmであることに留意する。
NR(Number of Retrains:再訓練の数)に関する規則は、それらが前記マージン規則のためであったように該コード違反規則から類推できる。したがって、該NR規則は当業者に明らかとなるため、詳細に説明されない。
いったん根本的なサブルールの結果が取得されると、目標状態mの実現可能性に関する最終決定は、それらのサブルール出力の関数として決定できる。いくつかの実施形態では、前述された該32の規則を使用できる。それらの32の規則の中で、いくつかはより重要である可能性があり、いくつかはあまり重要ではない可能性があり、いくつかは意味がない可能性がある。したがって、特定の出力が重視されなければならず、及び/または他の出力は、実現可能性試験装置を設計する際に重視されるべきではない。本発明の1つの方法の好ましい実施形態を説明する前に、「上方へ移動(moving up)」と「下方へ移動(moving down)」という2つの有用な概念が定義される。また、いくつかの実施形態でやはり有用であるデータ収集に関する最小要件が説明される。
状態nから状態mへの状態遷移を検討するとき、「上方へ移動」を表すためには本書では表記「n<m」が使用される。「上方へ移動」の2つの異なる概念が本書に提示されている。第1の概念は、該プロファイルのデータレート、PSDレベル、雑音マージン及びキャリヤマスクを検討する。第2の概念は該プロファイルのFEC保護を検討する。以下の説明では、該第1の概念だけが「上方へ移動」と呼ばれ、一方、該第2の概念は該2つのプロファイルのコーディングレベル間の単純な不等(inequality)として示される。状態遷移は、以下の状態の内の少なくとも1つが厳密な不等を満たす一方で以下の状態のすべてが満たされる場合に、「上方へ移動」すると定義される。
Rate(n)≦Rate(m)、ここでRate(n)はプロファイルnの最大レートである
PSD(n)≧PSD(m)、ここでPSD(n)はプロファイルnのPSDレベルである
TNMR(n)≧TNMR(m)、ここでTNMR(n)はプロファイルnのTNMRである
CMASK(n)≦CMASK(m)、ここでCMASK(n)がCMASK(m)と同じ程度に制限的である、あるいはCMASK(m)より制限的ではないことを意味し、この場合CMASK(n)はプロファイルnのキャリヤマスクである。
同様に、状態遷移は、以下の状態のすべてが満たされ、一方、以下の状態の内の少なくとも1つが厳密な不等を満たす場合に「下方に移動」すると定義される。
Rate(n)≧Rate(m)、ここでRate(n)はプロファイルnの最大レートである
PSD(n)≦PSD(m)、ここでPSD(n)はプロファイルnのPSDレベルである
TNMR(n)≦TNMR(m)、ここでTNMR(n)はプロファイルnのTNMRである
CMASK(n)≧CMASK(m)、ここでCMASK(m)がCMASK(n)と同じ程度に制限的である、あるいはCMASK(n)より制限的ではないことを意味し、この場合CMASK(n)はプロファイルnのキャリヤマスクである。
状態遷移は、いくつかのパラメータが達成するのがさらに難しくなり、一方、他を達成するのがさらに容易になると、上方にも下方にも移動しない可能性がある。しかしながら、適切に策定されたT行列は状態遷移ごとに1つまたは2つのパラメータだけを変更させるため、各遷移が上方へ移動するのか、下方へ移動するのか、あるいは同じ状態にとどまるのかを簡略化する、及び/または明確にする(n=mつまり該プロファイルの該コーディングレベルだけが変更される)。
同様に、表記FEC(n)<FEC(m)は、プロファイルnのFEC補正機能がプロファイルmのFEC補正機能より低いことを示している。このようなFECの格付けは、次の3つの方法の内の1つで達成できる。(1)INP(G.992.3/5及びG.993.2規格のインパルス雑音保護電力)は、DELAYが両方について同じである間、プロファイルmについてよりプロファイルnについてさらに小さい。(2)DELAYは、INPが両方について同じである間、プロファイルmについてよりプロファイルnについてさらに大きい。あるいは(3)プロファイルmについてよりプロファイルnについて、INPはさらに大きく、DELAYはさらに小さい。INPとDELAYの両方ともさらに小さい場合には、順序付けはインパルス雑音の周波数に関する正確な情報だけで決定できる。(FECコードブロックごとのインパルスの最大数がnumINと定義される場合、INP(n)/numIN(n)<INP(m)/numIN(m)ならばFEC(n)<FEC(m)であり、この場合INP(n)はコーディングによって補正できるDMTシンボルの数である。該コントローラがnumIN情報を利用できない場合、INPとDELAY両方がプロファイルmについてよりプロファイルnについてさらに小さいかさらに大きいとき、FEC特徴は比較できない。)当業者によって理解されるように、FEC(n)=FEC(m)及びFEC(n)>FEC(m)は対応するように定義される。
場合によっては、データ収集システムは誤動作するかイナクティブとなる可能性があり、データがほとんど入手できないかまったく入手できないことを意味する。このようなケースでは、システムがNOT_ENOUGH_DATAを返すことは役立つであろう。その結果、回線が「有罪となるまでは無罪」に基づいて最良の状態まで積極的に上方に移動する可能性がある。このような不良動作を防止するために、プロファイル変化は、前回のプロファイル変化以降十分な余分なデータが収集されたケースだけに制限できる(例えば、マージンが0dB未満であるか、またはCVが巨大であるときでも)。
状態nの回線のためのデータ収集を検討する。該回線は状態nで動作しているため、あらゆる収集されたデータは状態nに関する情報を提供し、したがって状態nについて新たな入手可能なデータ数をカウントすることがきわめて妥当となる可能性がある。したがって、以下の規則を適用できる。
以下の状態が満たされる場合にだけ、実現可能性試験及び状態遷移を実行する。
プロファイルの前回の変化以降、
・C[ERn,ds]とC[ERn,us]のそれぞれがKERnを超えて増加した。
・C[RCVn,ds]とC[RCVn,us]のそれぞれがKRCVnを超えて増加した。そして
・C[RNRn,ds]とC[RNRn,us]のそれぞれがKRNRnを超えて増加した。
ERのための新しいデータポイントの数が、データレート規則及びマージン規則のすべてに密接に関連していることに留意する。前記規則は、実現可能性試験及び状態遷移が実行される前に満たされる必要がある。前記規則が満たされない場合には、新しいデータが収集されるまで、回線は単に現在の状態に留まる。
本発明のいくつかの実施形態では、全体的な規則は単に、その入力がサブルールの結果(例えば、前述された該32のサブルール)であり、その出力がnからmへの遷移に対する「イエス」または「ノー」のどちらかである関数にすぎない場合がある。1つの好ましい実施形態は、前記の最小の新しいデータ要件が満たされる場合にだけ呼び出される全体的な規則である。一例が図5に描かれているこのような規則は、2つの部分、つまり「優れた動作(good behavior)」必要条件と「不良な動作(bad behavior)」必要条件(つまり、不良な動作の十分の不在を示す)から構成されることがあり、状態mへの遷移は両方の必要条件が満たされる場合にだけ許可される。
前記に留意された該32のサブルールの例を使用すると、該32の出力の多くが図5の全体的な規則で使用される必要がない。当業者によって理解されるように、該32のサブルールは、データレート、マージン、コード違反及び再訓練が懸念事項であるときに一般的な構造を表し、全体的な規則に対する変化は該サブルールのサブコンビネーションを活用する可能性がある。
第1の部分(該優れた動作必要条件)は、該サブルールの少なくともいくつかが、遷移が許可されるために「良好(GOOD)」を報告しなければならないと述べている。該要件は以下の3つの状態からなってよい。
−現在の状態または目標状態のどちらかでのレートのための優れた動作
−現在の状態または目標状態のどちらかでのコード違反のための優れた動作
−現在の状態または目標状態のどちらかでの再訓練数のための優れた動作
レートのための優れた動作は類似する意味合いを有するので、マージンのための優れた動作は含まれない。
第2の部分(該不良動作の必要条件)は、不良動作が目標状態では予想されてはならないと述べる。当業者によって理解されるように、不良動作の定義は、状態が下方へ移動しているのか、あるいは上方へ移動しているのかに応じて異なる場合がある。下方へ移動しているときには、現在の状態nでの性能は該目標状態の予想性能の下限として役立つ。上方へ移動するときには該現在の状態の性能は該目標状態の予想性能の上限として役立つ。したがって、現在の状態に関連するサブルールが関与するときは常に、該規則はわずかに異なる。該遷移が上方へ移動するのでもなく、下方へ移動するのでもない場合には、それが上方へ移動していると仮定することによって保守的な決定が下される。
最大データレート特性の場合、ERDC及び結果として生じるERDCを計算するための方法が前記に要約されたようにRRDCを補足する。しかしながら、コード違反の場合、予想されるCVカウントを計算する具体的な方法はなく、したがって大体の場合ECVDC=ECVDC=NOT_ENOUGH_DATAが仮定される。
特殊な状況の場合、CVを予想することが可能である場合もある。例えば、任意のnとtについてRFCCn,t(時間間隔tでの状態nの報告FEC補正カウント)=0及びRCVn,t≦100の場合、15分の期間ごとに最高100回だけ発生する強力なインパルス雑音があると想像するのが妥当である可能性がある。該インパルス雑音の発生がそれほど低い場合、そしてさらに該インパルス雑音を、さらに高いマージンまたはさらに強力なFEC設定値で直すことができない場合には、該CVを無視し、データレート、マージン、及び再訓練規則に基づいて実現可能である最高のデータレートに単に移動することが賢明である可能性がある。これは、図5の全体的な規則にECVDCm,ds=GOOD及びECVDCm,us=GOODを渡すことによって実現できる。このようにして、ECVDCは、入手可能なとき、RCVDCとRCVDCを却下するために使用できる。
ECVDCに関する特定の規則は、該コントローラ(例えば、DSL最適化ツール)がネットワークの該インパルス雑音特性についてさらに学習するにつれて作成できる。多様なプロファイルのためにCV、ES、SES(Severely Errored Seconds:重度エラー秒−相互関連が閾値以下の、少なくとも2つの連続するADSL同期シンボルの秒数)及びFCCを収集した後に、インパルス雑音の統計的な研究を実行できる。いったん適切なパターンが識別されると、ECVDCを計算するための正確な方法が開発される可能性がある。
あらゆる適用可能なサブルールに加えて、他の規則を追加できる。例えば、待ち時間規則は、カスタマがゲイマー(gamer)またはVoIPユーザとして識別される場合には、高遅延プロファイルを禁止することが必要となる可能性があると述べることがある。SESサブルールが含まれる可能性があり、この場合このフィールドはカレントMIBを通して報告されるが、32のサブルールの例には含まれていない。最後に、MIBの他のデータフィールドが規則の一部として統合できる。
回線が状態mを試してから、再訓練の高い数(あるいはCV、低マージン、または他の「負の(negative)」状態の高い数)のためにさらに低い状態まで下方に移動する状況を考える。次に、状態mに関する該回線の不良履歴(つまり、前に収集/報告/観察/計算/推定されたデータ)は、状態mまで上方へ移動しようとする将来の試みを妨げ、これにより、状態mに関する該報告データ関連統計は絶対に変化しない可能性がある。何の処置も講じられない場合には、回線は状態mを試すことができないか、あるいは再び改善されないであろう。しかしながら、このような単独の障害は非常にまれな、あるいは完全にただ1つしかない干渉に起因する可能性がある。また、雑音状況及び干渉状況は、将来における電力とスペクトルのスマート/丁寧な適用のためにあるいは環境の変化のために改善する可能性がある。したがって、さらに優れた状態を試行するために旧いデータを取り除き、パージ(purging)し、無視する(discounting)方法が望ましい。これを達成するための種々の方法は当業者に明らかである可能性がある。他の表示が好ましい場合に将来自動的にさらに優れた状態を再び取り上げることができるようにする、旧いデータをパージするいくつかの方法が後に続く。前述されたように、これらの目標も、初期の状態及び/またはプロファイルでの動作を考慮に入れる状態及び遷移のより詳細なシステムで達成できるであろうことを留意する。旧いデータのパージ/無視を使用することによってさらに簡単な状態方式(前記に注記されたように本実施形態での「プロファイル」及び「状態」の等価も可能にする)の使用が可能になる。
データ重み付けベクトル(W)は、観察及び/または推定されるデータのための重み付けを、該データがどの程度最新であるのかの関数として適用できるように各回線に与えることができる。例えば、重み付けベクトルがW1=[111]であるときには、最後の3回の更新期間(例えば、数日)からのデータは、データ分布を構築するために等しい重みを与えられる。重み付けベクトルがW2=[10000000.5]である場合には、最後の1回の更新期間からのデータは、重み付け1で使用され、早期の(例えば1週間前)7つの更新期間からのデータは重み付け0.5と使用される。他の更新期間からのデータは無視される。等しい重み付けの最後の2ヶ月だけのデータを使用することが所望される場合には、1日という更新期間を使用して重み付けベクトルはすべて1の(つまりW3=[111...111]のサイズ60となることがある。W3が回線に使用され、状態mが失敗した場合、それはおそらく該失敗と関連する該データが無視される(すなわち、事実上パージされる)60日間以内に再び試される。
異なる重み付けベクトルは異なる規則に使用できる。例えば、W3はCVDC規則に使用でき、W1は規則の残りに使用される可能性がある。したがって、重み付けベクトル(複数の場合がある)は、実現可能性規則の濃度及び分布の計算に影響を及ぼすことがある。
別の方法に従って、不良データを削除するための時間期間は、以下の例で説明されるように飛躍的に増加できる。
n+1日後にデータをクリアする。回線は状態mを試行し、データがただ1つしかなく、結果的に該回線のプロファイルが削減された(そのデータレートが削減された可能性が高い)ために失敗した。4日後、m上の「不良」データがパージされ、状態mは再びこの回線について試行される(該回線が再び「無実」と推定されるように、追加の「不良」データが観察または推定されない場合)。該回線が状態mで再び失敗すると、該ラインプロファイルは再び削減され、状態mは8日後に再度試行される。状態mがその後8日後に再び失敗すると、システム(例えば、コントローラまたはDSL最適化ツール)は、不良データがパージされるまで16日間待機してから、再び試行する。一般的に、状態mの「不良」データは前回の失敗から2n+1日後にクリアされ、この場合nは連続失敗の総数である。
この規則を施行するためには、DSL最適化ツールのようなコントローラは連続障害数、及び各状態の前回失敗の日付/時刻を追跡しさえすればよい(プロファイルがt日おきに変更/更新されるにすぎない場合、失敗はt日間の状態を支援できない失敗を意味する)。このようにして、該不良データは適切なときにパージできる。
最後に、別の方法は、大部分のDSLユーザがネットワークを常に使用していないという事実を使用する。したがって、該コントローラは、該ユーザが該ネットワークを使用する可能性が最も低い期間を特定するために各ユーザのネットワーク使用パターン(ATMセルカウント及び/または各ユーザのネットワーク使用活動を反映する任意の他のパラメータに基づいて)をモデル化できる。深夜または早朝である可能性が高いこの期間中、失敗した状態を試すことができ、旧いデータを置換するために新しい性能データを収集できる。新しく収集されたデータが優れた性能を示す場合には、該目標状態を再び試すことができる。それ以外の場合には、該回線は影響を受けないであろう。一般的には、最大レート制限ができるだけないレート適応プロファイルを試すことが最もよい可能性がある。TNMR、PSD、FEC及び/またはキャリヤマスクの多様な組み合わせは、新しい情報のエントロピーを最大にするために使用できる。
当業者によって理解されるように、前述された該3つの方法は多様に組み合わせできる。特に、最後の方法は最初の2つの方法のどちらとも容易に組み合わせることができる。
まさにT及び閾値テーブルのように、該パージ規則は回線/バインダ状況に応じて適応的に選ぶことができる。観察または推定されるデータの統計が大幅に変化するとき(例えば、CV+FECが1000という平均から0という平均に減少するとき、前に安定していたマージンが突然10dB変化する等である)、このような変化はおそらくバインダ構成の大きな変化によって引き起こされる(例えば、COのDSLAMに接続されている新しいDSL回線が活性化された、RTのDSLAMに接続された新しい回線が活性化された、回線の干渉がコントローラの動的制御のためにそれらの送信電力を削減した等)。即座の反応が必要とされる可能性がある。前記W3がパージデータに使用されていた場合には、データの最後の単独日だけに依存して迅速に適応するためにW4=[1]が代わりに使用できる。指数法が使用されていた場合には、近い将来に迅速な変更を加えることができるように、nは1にリセットできる。
まさにちょうど行列Tが、回線のサービスプロファイル及び該安定性の関数として多様な特長を提供するために使用できるように、閾値テーブルは個々の規則を重視する、または重視するのをやめるために使用できる。例えば、特定のベンダモデムが実際のレートよりも500Kbps高い最大レート数を報告することが知られている場合には、そのモデムのRRDC閾値テーブルは該バイアスをキャンセルするために500Kbps高いエントリ(他のモデムと比較して)を有することがある。同様に、MAXRR(報告された最大レート)が回線のために信頼できない場合には、RRDC閾値テーブルのエントリは通常のRRDCテーブルのエントリを基準にして1Mbpsだけ下方に調整できる。このようにして、RRDCは大体の場合制限規則となる代わりに、RMDC、ERDC及びEMDCは最大レートに関する制限規則となる。一般的には、該閾値テーブルは、該データフィールドのいくつかのセグメントが信頼できないと検出されるときは常に、あるいは閾値テーブルが制限的すぎるか十分に制限的ではないと検出されるときは常に更新できる。
別の状況では、DSLシステム等の通信システムで使用される個々のモデムは、報告されたデータおよび推定されたデータの該正確度、信頼性等を変更する、及び/または影響を及ぼす収集された操作データに影響を及ぼす可能性がある個々の特徴を有することがある。したがって、場合によっては、所与のシステムで使用されるモデム(複数の場合がある)について可能である及び/または実際的であるのと同じくらい多くの情報を獲得することが望ましい。当業者によって理解されるように、この種の情報を収集する多様な方法がある。モデム及びそれらの動作特徴を識別するための技法及び装置は、その開示全体が参照することにより本書に組み込まれている、通信装置識別(COMMUNICATION DEVICE IDENTIFICATION)と題され、アダプティブスペクトラムアンドシグナルアラインメント社(Adaptive Spectrum And Signal Alignment, Inc.)によって所有されている、2004年11月4日に出願された米国出願番号第10/981,068号(代理人整理番号第0101−p09号)に開示されている。
xDSLシステムでは、該データの一部は報告のための範囲限界を有している。例えば、報告できる最大マージンは31dBであってよく、報告できる最小電力はADSL1システムでは0dBmに過ぎないことがある。このようなパラメータを基準にした曖昧な情報が報告される場合には、このような曖昧な情報に基づいた最大レート、マージン等の任意の推定がそれ自体も曖昧である可能性がある。このようなケースでは、単純な解決策はこのようなデータポイントを、それらを無効とすることによって無視することである。しかしながら、さらに優れた解決策は、そのデータを確実に利用することが可能であるかを調べることであってよい。
例えばERDCm規則を考慮すると、たとえ真のマージンが31dB超であっても該報告マージンは31dBであってよい。DSL最適化ツール等のコントローラがマージンに31dBを使用する場合には、該推定最大レートは該真の最大レートより小さくなる。したがって、該最大レートが過剰に保守的に推定される結果となる。この保守的な推定が依然としてi番目の規則のためのGi,ERm(m)に向かってカウントされるほど十分に大きい場合、それにも関わらず該データは有効なデータとして見なされ、使用されなければならない。該保守的な推定が小さすぎてGi,ERm(m)にふさわしくない場合には、該データは該i番目の規則に対して無効と見なされ、したがって無視されなければならない。CERmは該無効データを無視するために調整される必要がある。コントローラはこのようなケースでも過剰に保守的な最大レートを検出するであろうために、報告された送信電力が0dBmであるときには類似した解決策を適用できる。規則の同じ修正はERDC、EMDC、EMDC、RMDC、及びRMDCに適用する。
該サブルールは、HMM(Hidden Markov Model:隠れマルコフモデル)等のさらに高度なモデルに対処するためにも修正できる。このようなケースでは、全体的な規則は、該サブルールの該出力が同じに保たれる限り独立したままとなることがある。該全体的な規則及びサブルールは、それぞれが他に対する変更を必要とせずに修正または更新できるように設計されている。
本発明の一実施形態は、図6の流れ図に示されている。方法600は、該T行列(または任意の他の状態遷移制御機構)、閾値テーブル(または同等物)、遷移を決定するあらゆる規則及び/またはサブルール、及び旧いデータをパージし、無視し、あるいはそれ以外の場合は重み付けるためのあらゆる規則の構築610(及び/または実現またはプログラミング)で開始する。「カレントプロファイル」つまり状態nが選択され、動作はこのプロファイルを使用して620で開始する。操作データは630で収集され、入手可能な任意の旧いデータが適宜に(例えば、データ重み付けベクトルWを使用して)パージされる、及び/または無視される。方法600は次に、640で任意の目標状態の実現不可能なことの評価を可能にするために(任意の状態が、不可能と証明されるまで実現可能であると推測される該規則を使用して)、十分な新しいデータ(例えば、報告データと推定データの両方)があることを検証する。十分な新しいデータが入手できない場合には、該方法は630のデータ収集に戻る。
十分な新しいデータが集められたら、どれかを不適格とできるかどうかを判断するために、すべての潜在的な状態mについて650で実現可能性試験を実行できる。いったん適格なターゲット状態が特定されると、該システムは660で入手可能な最高の優先順位状態に移動してよい。次にシステムは670でT行列、閾値テーブル、データ重み付け規則/ベクトル等の遷移規則とデータを更新し、次の遷移評価のために630のデータ収集に戻ることができる。
図7は本発明の別の実施形態を描いている。図7の方法は、図3Aと図3Bに示されている該システムを含む多様な装置で実現されてよい。該方法700は710で、所与のラインプロファイルを使用してDSL回線から、性能パラメータ値等の性能データを収集すること、またはそれ以外の場合取得することで開始する。この性能データは、コード違反、FEC補正カウント、雑音マージン、再訓練カウント等に関するデータ及び/または値を含んでよい。710で該性能データが収集/取得される該ラインプロファイルは、該DSL回線によって現在使用されている該ラインプロファイルであってよい。720では、該取得された性能データが、目標ラインプロファイルの中で該DSL回線の性能の推定値を生成するために評価される。該目標ラインプロファイルは該現在のラインプロファイルから異なってよく、あるいは該システムが現在の状態及び/またはプロファイルに留まることが実現不可能であるかどうかを評価しようと試行している場合には該現在のラインプロファイル自体であってよい。該所与のラインプロファイル及び目標ラインプロファイルが異なる場合、それらは、前記に留意されたように1つまたは複数の操作パラメータによって異なる可能性がある。さらに、図7の該方法は、当業者によって理解されるように報告データ及び/または推定データを適宜に使用してもよい。
一般的には、本発明の実施形態は、(そのすべてが本書では「コンピュータ」及び/または「コンピュータシステム」と交換可能に参照されてよい)ただ1台のコンピュータ、複数台のコンピュータ及び/またはコンピュータの組み合わせであってよい1つまたは複数のコンピュータシステムに記憶されるか、あるいは1つまたは複数のコンピュータシステムを通して転送されるデータを含む多様なプロセスを利用する。本発明の実施形態は、ハードウェア装置またはこれらの動作を実行するための他の装置にも関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構築されてよく、あるいはコンピュータプログラム及び/または該コンピュータに記憶されているデータ構造によって選択的に活性化されるか再構成される汎用コンピュータであってよい。本書に提示されている該プロセスは本質的にどの特定のコンピュータまたは他の装置にも関連していない。特に、多様な汎用機は、本書の教示に従って作成されたプログラムとともに使用されてよく、あるいは必要とされる方法ステップを実行するためにさらに特殊化された装置を構築する方がより便利である場合がある。種々のこれらの機械の特定の構造は、後述される説明に基づいて当業者に明らかになるであろう。
前述されたような本発明の実施形態は、コンピュータシステムに記憶されているデータを含む多様なプロセスステップを利用する。これらのステップは、物理的な量の物理的な操作を必要とするステップである。通常、必ずしもではないが、これらの量は記憶、転送、結合、比較でき、それ以外の場合操作できる電気信号または磁気信号の形を取る。これらの信号をビット、ビットストリーム、データ信号、制御信号、値、要素、変数、文字、データ構造等と呼ぶことは主に共通の使用の理由から便利なことがある。しかしながら、これらの及び類似する用語のすべてが適切な物理的な量と関連付けられなければならず、これらの量に適用される便宜的なラベルにすぎないことに留意しなければならない。
さらに、実行される該操作は多くの場合、識別する、適合する、または比較する等の用語で参照される。本発明の一部を形成する、本書に説明されている動作はいずれも機械動作である。本発明の実施形態の動作を実行するための有効な機械は、汎用デジタルコンピュータまたは他の類似の装置を含む。あらゆる場合に、コンピュータを操作する際の操作方法と、計算自体の方法の間の違いがあることを念頭に置く必要がある。本発明の実施形態は他の所望される物理信号を発生させるために電気信号または他の物理信号を処理する際にコンピュータを操作するための方法ステップに関する。
本発明の実施形態は、これらの動作を実行するための装置にも関連する。この装置は必要とされる目的のために特別に構築されてよく、あるいはそれは該コンピュータに記憶されているコンピュータプログラムによって選択的に活性化されるか再構成される汎用コンピュータであってよい。本書に提示される該プロセスは本質的に特定のコンピュータまたは他の装置に関連していない。特に、多様な汎用機械は本書の教示に従って作成されるプログラムとともに使用されてよく、あるいは必要とされている方法ステップを実行するためにさらに特殊化された装置を構築する方が便利な場合がある。種々のこれらの機械の必要とされている構造は前述の説明から明らかになるであろう。
加えて、本発明の実施形態はさらに、多様なコンピュータによって実施される動作を実行するためのプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体に関する。該媒体及びプログラム命令は本発明の目的のために特別に設計、構築されたものであってよく、あるいはそれらはコンピュータソフトウェア技術の当業者に周知であり、該当業者が利用できる種類であってよい。コンピュータ可読媒体の例は、ハードディスク、フレキシブルディスク及び磁気テープ等の磁気媒体、CD−ROMディスク等の光学媒体、フロプティカル(floptical)ディスク等の磁気光学媒体、及び読み取り専用メモリ装置(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)等の、プログラム命令を記憶し、実行するように特別に構成されているハードウェア装置を含むが、これらに限定されない。プログラム命令の例は、コンパイラによって生成されるようなマシンコードとインタープリタを使用するコンピュータにより実行されてよいさらに高水準のコードを含むファイルの両方を含む。
図8は、本発明の1つまたは複数の実施形態に従ってユーザ及び/またはコントローラによって使用できる典型的なコンピュータシステムを描いている。該コンピュータシステム800は、一次記憶装置806(通常、ランダムアクセスメモリ、つまりRAM)、一次記憶装置804(通常、読み取り専用メモリ、つまりROM)を含む記憶装置に接続されている、任意の数のプロセッサ802(中央演算処理装置、つまりCPUとも呼ばれる)を含む。本技術で周知であるように、一次記憶装置804はデータと命令を一方向でCPUまで転送するために働き、一次記憶装置806は通常双方向でデータと命令を転送するために使用される。これらの一次記憶装置の両方とも、前述された該コンピュータ可読媒体の任意の適切なものを含んでよい。大容量記憶装置808もCPU802に双方向で接続され、追加のデータ記憶容量を提供し、前述された該コンピュータ可読媒体のどれかを含んでよい。該大容量記憶装置808は、プログラム、データ等を記憶するために使用されてよく、通常は一次記憶装置より低速であるハードディスク等の二次記憶媒体である。該大容量記憶装置808の中に保持されている情報は、適切なケースでは、仮想メモリとして一次記憶装置806の一部として標準様式で組み込まれてよいことが理解される。CD−ROM814等の特定の大容量記憶装置はCPUに一方向でデータを渡してもよい。
また、CPU802は、ビデオモニタ、トラックボール、マウス、キーボード、マイクロフォン、タッチセンサ式ディスプレイ、トランスデューサ(transducer)カード読取装置、磁気テープまたは紙テープ読取装置、タブレット、スタイラス(styluses)、音声または手書き認識装置、または言うまでもなく他のコンピュータ等の他の周知の入力装置等の1台または複数の入力/出力装置を含むインタフェース810に結合されている。CPU802は、場合により概して812で示されているネットワーク接続を使用してコンピュータまたは電気通信ネットワークに接続されてよい。このようなネットワーク接続を用いると、CPUが該ネットワークから情報を受信する可能性があり、あるいは前述の方法ステップを実行する過程で該ネットワークに情報を出力する可能性があることが意図されている。前述された装置及び材料は、コンピュータハードウェア及びソフトウェア技術で当業者によく知られているであろう。前述されたハードウェア要素は本発明の動作を実行するための複数のソフトウェアモジュールを定義してよい。例えば、コードワード(codeword)構成コントローラを実行するための命令は大容量記憶装置808または814に記憶され、一次記憶装置806と関連してCPU802で実行されてよい。好ましい実施形態では、該コントローラがソフトウェアサブモジュールに分割される。
本発明の多くの特長及び優位点は記述された説明から明らかであり、したがって添付の特許請求の範囲は本発明のすべてのこのような特長及び優位点を保護することを目的としている。さらに、当業者は容易に多数の変型及び変更を思い浮かべることができるため、本発明は図解され、説明されたとおりの正確な構造及び動作に限定されない。したがって、現在または将来に予測可能であるのかあるいは予測不可能であるのかに関係なく、説明された実施形態は制限的ではなく、例証的として解釈されるべきであり、本発明は本書に示されている詳細に限定されるべきではないが、添付の特許請求の範囲及び同等物のその完全な範囲によって定義される必要がある。
G.997.1規格による概略ブロック参照モデルシステムである。 一般的で例示的なDSL配備を描く概略図である。 DSLシステムにおける本発明の一実施形態の概略ブロック図である。 DSLシステムにおける本発明の別の実施形態の概略ブロック図である。 状態遷移図及び多様な状態の間で入手可能な該遷移の優先順位付けを組み込む例示的な状態遷移図及び行列を含む図である。 目標状態が実現可能であるのか、あるいはいくつかの実施形態では実行不可能ではないかどうかに関する決定を生じさせるために多様なサブルールを活用する例示的な全体的な規則である。 DSL回線または他の通信回線の、現在の状態から1つまたは複数の目標状態への遷移動作が評価される、本発明の1つまたは複数の実施形態を示す流れ図である。 目標ラインプロファイルを使用してDSL回線のための性能データを推定するための本発明の別の実施形態の流れ図である。 典型的なコンピュータシステム、または本発明の実施形態を実施するのに適切な集積回路システムのブロック図である。

Claims (19)

  1. 現在のラインプロファイルから1つまたは複数の目標ラインプロファイルにデジタル加入者回線(DSL)の動作を遷移するかどうかを評価する方法であって、
    (1)−プロファイル状態遷移行列と、
    −複数の閾値テーブルと、
    −複数のサブルールと、
    −前記目標ラインプロファイルのそれぞれの実行不可能性を判別するために、前記サブルールからの出力を結合した全体的な規則と、を備えることと、
    (2)前記現在のプロファイルで動作することと、
    (3)操作データを収集することと、
    (4)前記現在のラインプロファイル、及び前記目標ラインプロファイルのそれぞれの実現可能性を評価することと、
    (5)選択されたラインプロファイルにおいて前記DSLを操作することと、を備え、
    前記選択されたラインプロファイルは、前記現在のラインプロファイルと前記目標ラインプロファイルのうちで、
    前記状態遷移行列で最高の優先順位を有し、
    実現不可能であると評価されないラインプロファイルを含む方法。
  2. 前記閾値テーブルが操作基準の発生の確率を含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記現在のプロファイルと目標プロファイルが、
    データレート、
    FEC(フォワード・エラー・コレクション)コーディング、
    PSD(パワースペクトル密度)、
    TSNRM(目標の信号対雑音比マージン)、
    MAXSNRM(最大の信号対雑音比マージン)、
    MINSNRM(最小の信号対雑音比マージン)、
    CARMASK(キャリヤマスク)、
    INP(インパルス雑音保護)、または
    遅延、
    の操作パラメータの少なくとも1つにおいて異なる請求項1に記載の方法。
  4. 前記収集された操作データが報告データと推定データとを提供するために使用される請求項1に記載の方法。
  5. 前記報告データが、
    報告最大達成可能データレート、
    報告フォワード・エラー・コレクション(FEC)カウント、
    報告雑音マージン、
    報告コード違反カウント、
    報告エラー秒、
    報告重度エラー秒、または
    報告再訓練カウント数
    の少なくとも1つを含む請求項4に記載の方法。
  6. 前記推定データが、
    推定最大達成可能データレート、
    推定フォワード・エラー・コレクション(FEC)カウント、
    推定雑音マージン、
    推定コード違反カウント、または
    推定再訓練カウント数
    の少なくとも1つを含む請求項4に記載の方法。
  7. 前記状態遷移行列が利用可能な状態に優先順位を付ける請求項1に記載の方法。
  8. 前記サブルールのそれぞれが、
    前記現在のラインプロファイルに関するデータの分布、または
    各目標ラインプロファイルに関するデータの分布
    の内の少なくとも1つの検査を備える請求項1に記載の方法。
  9. 前記現在のラインプロファイル及び前記目標ラインプロファイルのそれぞれの実現可能性を評価することは、旧いデータを重み付けすることを備える請求項1に記載の方法。
  10. 前記プロファイル遷移行列、
    少なくとも1つの閾値テーブル、または
    旧いデータに適用される重み付け
    の少なくとも1つを適応的に更新すること、をさらに備える請求項1に記載の方法。
  11. 前記現在のラインプロファイル及び前記目標ラインプロファイルのそれぞれの実現可能性を評価することは、任意のラインプロファイルの実現可能性を評価することの前提条件として最小のデータ量を必要とすることを備える請求項1に記載の方法。
  12. デジタル加入者回線(DSL)の動作を現在のラインプロファイルから1つまたは複数の目標ラインプロファイルに遷移するかどうかを評価する方法であって、
    前記目標ラインプロファイルの優先順位付けを備えるプロファイル状態遷移行列と、
    蓋然性のあるサブルールを備える複数の閾値テーブルと、
    可能性のある目標回線の実行不可能性を判別するために、前記サブルールからの出力を結合した全体的な規則と、
    を備えることと、
    前記現在のラインプロファイルで動作することと、
    前記現在のラインプロファイル、または
    前記目標ラインプロファイルの1つ、
    の少なくとも1つで、前記DSLの動作に関する報告データと推定データを生成するために、操作データを収集することと、
    前記現在のラインプロファイルから前記目標ラインプロファイルのそれぞれに移動することの実現不可能性を評価するために1つまたは複数の実現可能性試験を実行することと、
    最良のラインプロファイルで前記DSL回線を操作することと、を備え、
    前記最良のラインプロファイルが、前記現在のラインプロファイルと前記目標ラインプロファイルのうちで、
    前記状態遷移行列で最高の優先順位を有し、
    実現不可能であると評価されないラインプロファイルを含む方法。
  13. 前記現在のラインプロファイルと前記目標ラインプロファイルが、
    データレート、
    FEC(フォワード・エラー・コレクション)コーディング、
    PSD(パワースペクトル密度)、
    TSNRM(目標の信号対雑音比マージン)、
    MAXSNRM(最大の信号対雑音比マージン)、
    MINSNRM(最小の信号対雑音比マージン)、
    CARMASK(キャリヤマスク)、
    INP(インパルス雑音保護)、または
    遅延、
    の操作パラメータの少なくとも1つにおいて異なる請求項12に記載の方法。
  14. 前記報告データ及び前記推定データのそれぞれが、
    最大達成可能データレート、
    フォワード・エラー・コレクション(FEC)カウント、
    雑音マージン、
    コード違反カウント、
    エラー秒、
    重度エラー秒、または
    再訓練カウント数
    の少なくとも1つに関連するデータを備える請求項12に記載の方法。
  15. 現在のラインプロファイルで動作するデジタル加入者回線(DSL)に、複数の潜在的なラインプロファイルの1つで動作するように指示するかどうかを評価するためのデジタル加入者回線(DSL)最適化装置であって、前記システムは、
    データ収集モジュールと分析モジュールとを備えるコントローラであって、前記DSLと、前記現在のラインプロファイルを使用して前記DSL上で動作するDSL装置とを備えるDSLシステムに接続されるコントローラを備え、
    前記データ収集モジュールが前記潜在的なラインプロファイルの1つまたは複数での前記DSLの動作に関する操作データを収集し、前記潜在的なラインプロファイルが、
    前記現在のラインプロファイルと、
    1つまたは複数の目標ラインプロファイルと、の1つまたは複数を備え、
    さらに、前記分析モジュールが、
    前記潜在的なラインプロファイルの優先順位付けを備える状態遷移行列の実施と、
    1つまたは複数の規則の実施と、を備え、
    さらに、前記分析モジュールが、
    前記現在のラインプロファイルから前記潜在的なラインプロファイルのそれぞれに移動することの実現可能性を決定するために、1つまたは複数の実現可能性試験を実行し、
    前記DSL回線に最良の利用可能ラインプロファイルを使用して動作するように指示し、前記最良の利用可能ラインプロファイルが、
    前記状態遷移行列において最高の優先順位を有し、
    実現不可能であると判断されていない、前記潜在的なラインプロファイルを備える、
    DSL最適化装置。
  16. 前記1つまたは複数の規則が
    複数のサブルールと、
    前記複数のサブルールからの出力を使用して潜在的なラインプロファイルの実現可能性を決定する全体的な規則と、
    を備える請求項15に記載のDSL最適化装置。
  17. 前記収集された操作データが、報告データ及び推定データを生成するために使用される請求項15に記載のDSL最適化装置。
  18. 前記報告データ及び前記推定データのそれぞれが、
    最大達成可能データレート、
    フォワード・エラー・コレクション(FEC)補正カウント、
    雑音マージン、
    コード違反カウント、または
    再訓練カウント数
    の少なくとも1つに関連するデータを備える請求項17に記載のDSL最適化装置。
  19. 前記現在のラインプロファイルと各目標ラインプロファイルが、
    データレート、
    FEC(フォワード・エラー・コレクション)コーディング、
    PSD(パワースペクトル密度)、
    TSNRM(目標の信号対雑音比マージン)、
    MAXSNRM(最大の信号対雑音比マージン)、
    MINSNRM(最小の信号対雑音比マージン)、
    CARMASK(キャリヤマスク)、
    INP(インパルス雑音保護)、または
    遅延、
    の操作パラメータの少なくとも1つにおいて異なる請求項15に記載のDSL最適化装置。
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