JP4908729B2 - 自動車用に好適な電気空気加熱装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気を加熱する電気加熱要素およびハウジングを備えた、自動車用に特に好適な電気空気加熱装置に関するものである。このハウジングは、接地接続部、電源接続部、および加熱要素の電源を制御するための電子回路を有し、加熱要素はここで、接地接続部および電源接続部に電気接続して配置される。
【０００２】
【従来の技術】
電気加熱要素がＰＴＣ加熱ロッドからなる電気空気加熱装置が知られている。公知の加熱装置では、ハウジングは可塑性材料からなり、成形または封止コンパウンドで設けられた加熱要素は、一方の側で電子回路により電源接続部に接続され、また他方の側で電気的に接続された接地板および接地ピンにより接地接続部に接続される。
【０００３】
公知の加熱装置では、ハウジングと、電子回路と、加熱要素の間の熱的または機械的接続は、複数の部品によって達成され、ここで公差に対する高い補償を得るために、接着剤および封止コンパウンドなど追加のフィラーを供給する必要がある。実際の封止機能はもちろん、接着剤および封止コンパウンドはまた、加熱装置のあらゆる力およびモーメントを吸収する機能を果たす。しかし、この場合、可塑性ハウジングと一般的にアルミニウム加熱ロッドからなる加熱要素の間の封止および接続は、容易には処理できず、また信頼性が低い。これまでは、必要とされる寿命を保証することができなかった。さらに、公知の加熱装置では、発生する力は、電子回路がその上に実装されたプリント回路基板にまで伝達される。この力が伝達した結果として、プリント回路基板に機械的応力がもたらされ、電子部品を損傷する危険性が高まる恐れがある。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、冒頭で述べたタイプの電気空気加熱装置であって、特にハウジングの領域において、少数の部品で済むものを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
この目的は、本発明に従えば、空気を加熱する電気加熱要素と；接地接続部、電源接続部、および前記加熱要素の電源を制御するための電子回路を備えたハウジングと；を備え、前記加熱要素が該ハウジングにおいて前記接地接続部および前記電源接続部と電気接触して配置された、自動車用に好適な電気空気加熱装置において、前記ハウジングが、導電性材料で構成され、且つ前記接地接続部(moulded-on ground connection)と一体成形され、前記加熱要素および前記電子回路が、前記ハウジングと直接電気接触して配置されたことを特徴とする装置によって達成される。
【０００６】
本発明による加熱装置では、ハウジングが、導電性材料からなり接地接続部と一体的に構成されていることから、接地電位がハウジングに存在し、それによりハウジング機能だけでなく、公知の加熱装置に存在して顧客が適宜採択していた接地板、接地ピン、および接地接続部の機能も果たす。その結果として、公知の加熱装置では個別の部品として設けられた、接地板、接地ピン、および封止コンパウンドは、本発明による加熱装置では不要となった。
【０００７】
本発明による加熱装置の特に好ましい発展形態および実施形態は下記のとおりである。
（１）前記加熱要素が、前記ハウジングに圧入されたことを特徴とする、前記加熱装置。
（２）前記加熱要素が、封止要素によって前記ハウジング内に配置されたことを特徴とする、前記加熱装置。
（３）前記加熱要素が、前記ハウジング内に取り付けられ、前記ハウジングに溶接されたことを特徴とする、前記加熱装置。
（４）熱伝導性材料の層が、前記加熱要素への電源を制御する電子回路を担持するプリント回路基板と前記ハウジングとの間に配置されたことを特徴とする、前記加熱装置。
（５）前記ハウジングの前記加熱要素に面する側に、冷却フィンが、前記ハウジングと一体的に設けられていることを特徴とする、前記加熱装置。
（６）前記ハウジングが、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であることを特徴とする、前記加熱装置。
【０００８】
本発明による加熱装置のさらなる発展形態および実施形態は、電子回路および電源スイッチを担持するプリント回路基板から加熱領域に熱を伝導させて除去できること、重量最適化(weight optimisation)されたハウジングにおける遮断(break)を介した熱移動により熱交換を表面損失なく行えること、全ての部品の機械的取り付けと、プリント回路基板の取り付けと、加熱装置の全体的な接地接触と、直接の接地接触とが、ハウジングに一体成形(moulded on to)された接地接続部を介して、顧客のケーブルに対して極性安全(polarity-safe)に行なえることを特に利点として有する。
【０００９】
製造に関して、部品の数が少なくなった結果、連続製造の際の製造ステップ数が少なくなり、また処理可能な方法(processable method)が使用できるという利点がある。
【００１０】
さらに、熱エネルギーを電源スイッチから加熱領域へと除去するための機械的熱伝達界面が簡易化され、電源スイッチからの熱は、ハウジングにより実際の加熱領域内に直接除去され、この中で接地接触を接地接続部により極性安全に行うことができ、加熱領域からの力およびモーメントを、部品を追加することなく吸収できる。
【００１１】
本発明による加熱装置の好ましい実施形態を、図面を参照して、以下に詳細に説明する。
【００１２】
【発明の実施の形態】
図１に示す実施形態における、特に自動車用の電気加熱装置は、主に電気加熱要素３を備え、この電気加熱要素は、一方の側で遠位カウンタ(distal counter)または外側サポート４に、他方の側でハウジング・カバー２により閉じられたハウジング１に配置される。
【００１３】
図２から詳細に分かる通り、加熱要素３は、ＰＴＣレンガで充填された加熱ロッド３ｂを備える。図６から分かる通り、接触舌片３ｃがロッド３ｂの内側に配置され、これによりロッド３ｂは、片側で外側接続を行う。ロッド３ｂにフィン３ａが取り付けられ、このフィンは、電力がロッド３ｂに供給される際に発生した熱を、周囲の空気に放出する。外側サポート４は、加熱要素３に取り付けられ、加熱要素３の外側接続側で、封止するための封止要素６が挿入され、これを通って接触舌片３ｃが突出する。加熱要素３は、ハウジング１に押圧される。
【００１４】
例えば、自動車内の取り付け空間との接触は、ハウジング１に設けられたシール５により行われる。
【００１５】
ハウジング１は、導電性材料、特にアルミニウムからなり、図６に示す方法で、接地ドームの形態で成型された接地接続部１ａと一体的に構成される。加熱ロッド３ｂは、ハウジング１および接地接続部１ａである接地ドームを介して外部接地接続部１ｂに接続され、この接地接続は顧客の要望通り設計することができる。また、加熱ロッド３ｂは、電源接続用の電源スイッチ７ａが取りつけられたプリント回路基板７を介して、接触舌片３ｃと接続され、この電源接続部は、加熱要素３の電源を制御するための電子回路を保持している。
【００１６】
図に示すハウジング１の接地接続部１ａである接地ドーム内の外部接地接続部１ｂは、ねじ込みボルトの形態で示されているが、同様に、挿入部品または圧入部品として構成されるか、またはねじによって接地接続部１ａである接地ドームの穴に埋め込まれるか固定されるものでもよい。
【００１７】
加熱要素用の電源スイッチ７ａを備えたプリント回路基板７は、熱伝導性材料８、例えば、接着剤、ペースト、または薄膜を介してハウジング１と熱接触する。このようにして、電源スイッチ７ａの動作中発生した熱は、プリント回路基板７および熱伝導性材料８を介して、ハウジング１に伝えられ、そこから加熱要素３、すなわちロッド３ｂを介して、フィン３ａに伝えられ、このフィンが熱を周囲の空気に放出する。
【００１８】
図９から１１に示す本発明による加熱装置の変更形態では、第１の実施形態で設けられた封止要素６はなくなり、代わりに加熱ロッド３ｂが、ハウジング１に溶接ジョイント９によって混合材料で、または混合材料なしで溶接される。ハウジング１の組み立て後、ロッド３ｂに形成される溶接継目は、ハウジング１の内側または外側に形成でき、両位置で溶接することも、図９および１１に示すように可能である。
【００１９】
変更実施例では、電源スイッチ７ａの熱は、プリント回路基板７を通り、溶接されたロッド３ｂを介して、取り付けられたフィンに伝達され、このフィンからこの熱は周囲の空気に放出される。
【００２０】
上記両方の実施形態で、ロッド３ｂは、ハウジング１に圧入されるか、または取り付けられ、溶接されるので、安定した基本構造が得られる。この基本構造は、機械的力およびモーメントを吸収する。ロッド３ｂの圧入、またはロッド３ｂの取り付けおよび溶接の結果、傾ぐことは最早不可能である。
【００２１】
封止要素６が挿入される結果として、ロッド３ｂはハウジング１に対して封止され、プロセスが力・距離の測定、監視（force-distance measurement/monitoring）によって安全に整えられる。変更実施例では、封止は外周の溶接継目によって得られる。
【００２２】
可塑性材料で作られたハウジング・カバー２が、基本構造を完成させる。
【００２３】
図６に詳細に示す通り、ハウジング１と一体的に構成された冷却フィン１ｃが、加熱要素３に面するハウジング１側に設けられる。
【００２４】
上記実施形態で設けられた、導電性材料、特にアルミニウムでできた一体型ハウジング１は、ハウジングの複数の機能を果たす。この機能とは、すなわち、電子回路を保護すること、空調ボックス用フランジを提供すること、ロッド３ｂおよび接地板を機械的に安定して格納すること、プリント回路基板を格納すること、電源スイッチ７ａによって発生した加熱エネルギーを加熱要素３に伝達すること、ロッド３ｂを機械的に安定して格納すること、プリント回路基板７、加熱要素３、および接地接続部１ａである接地ドームを接地接触させること、すなわち、プリント回路基板７、加熱要素３、および外部接地接続部１ｂを接地接触させて、あるいは１つの部品の形態で、正の接続を極性安全に行うことである。
【００２５】
ハウジング１は接地電位にあり、したがって個別の接地板がなく、プリント回路基板７は熱伝導性材料８によってハウジング１に直接挿入される。
【００２６】
しかし、図８に示す通り、公知の加熱装置では、両方のハウジング部、すなわちハウジング・カバー２およびハウジング本体１０は、可塑性材料で作られており、接地ピン１２、接地板１１、および封止コンパウンド１３（これを介してロッド３ｂがハウジング本体１０に収容される）が、別々に設けられている。
【００２７】
この公知の設計に対し、上記本発明による加熱装置の実施形態では、接地板が加熱ロッドにクランプされることがなく、熱エネルギーは電源スイッチ７ａから加熱要素３の加熱領域に直接除去されるので、熱伝達界面が改良される。このようにして、最適な熱伝達が、加熱要素表面の方向に得られる。
【００２８】
しかし、本発明による加熱装置では、ハウジング１は伝えられた熱エネルギーを加熱要素表面に移動させるだけでなく、熱エネルギーは、内蔵ハウジングフィン１ｃによって周囲の空気に直接案内される。
【００２９】
温度変化が起った場合、公知の加熱装置に設けられた機械的クランプ接続のあらゆる緩みは、ハウジング１の一体型設計によって防止され、その中にはロッド３ｂが外部接地接続部１ｂにまで圧入されていた。
【００３０】
すでに上述したように、一体成形された接地接続部１ａである接地ドームを備えたアルミニウム製ハウジング１の設計により、接地電位は、直接外側に案内され、したがって、従来は別に接地板に設けられていた接地ピンは、不要である。外部接地接続部１ｂは、通常のねじ切り接続を介して両方の接続を極性安全に行うために、セルフ・タッピングねじ(self-tapping screw)として設けるか、または顧客の要望に応じて内蔵させてもよい。後の組み立ておよび接地接続ケーブルの使用中に生じるモーメントによって発生する荷重は、プリント回路基板から分断される。
【００３１】
加熱要素３のロッド３ｂの外部接地接続部１ｂへの接地接触は、したがって、ハウジング１を介して直接行われ、加熱ロッドにクランプされた接地板と接地板に固定された接地ピンの間のインターフェースが不要となる。
【００３２】
したがって、接地板、接地ピン、およびこれらの部品を扱うための対応する機械的装置の組み立ては、製造過程の中で不要である。
【００３３】
形状固定（form-locking）または形状適合(form fitting)、および加熱要素３の加熱ロッド３ｂのハウジング１への圧入または組み立て・溶接の結果として、力およびモーメントは、ハウジング１によって吸収される。そうしないと、この力およびモーメントは、種々の液体封止媒体を硬化させて導入しなければならないため、可塑性ハウジングに伝達される。
【００３４】
形状適合封止(form-fitting sealing)は、ロッド３ｂへの圧入前に取り付けられた封止要素６によって、または外周上の溶接継目によって達成される。このようにして得られた安定性およびシールの結果として、シリコン・ビードおよび封止コンパウンドなど封止材料を不要にすることができ、このために必要な成形設備、炉、処理装置などの機械装置が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 ＰＴＣ加熱要素を備えた空気加熱装置の実施形態を示す斜視図である。
【図２】 図１に示した加熱装置を示す正面図である。
【図３】 図２の線Ｂ−Ｂに沿った、プリント回路基板を備えた加熱装置を示す断面図である。
【図４】 図３の線Ｄ−Ｄに沿った加熱装置を示す断面図である。
【図５】 図２の線Ｂ−Ｂに沿った、プリント回路基板および電源スイッチを備えた加熱装置を示す断面図である。
【図６】 図５の線Ｃ−Ｃに沿った加熱装置を示す断面図である。
【図７】 図６の線Ａ−Ａに沿った加熱装置を示す断面図である。
【図８】 図５の線Ｃ−Ｃに沿った断面図に対応する、従来の加熱装置の実施形態を示す断面図である。
【図９】 図３の線Ｄ−Ｄに沿った、本発明による加熱装置の変更形態を示す断面図である。
【図１０】 図５の線Ｃ−Ｃに沿った、加熱装置の変更形態を示す断面図である。
【図１１】 図１０の線Ａ−Ａに沿った、加熱装置の変更形態を示す断面図である。
【符号の説明】
１ ハウジング
１ａ 接地接続部（接地ドーム）
１ｂ 外部接地接続部
１ｃ 冷却フィン
２ ハウジング・カバー
３ 電気加熱要素
３ａ フィン
３ｂ 加熱ロッド
３ｃ 接触舌片
４ 外側サポート
５ シール
６ 封止要素
７ 電子回路
７ａ 電源スイッチ
８ 熱伝導性材料
９ 溶接ジョイント
１０ ハウジング本体
１１ 接地板
１２ 接地ピン
１３ 封止コンパウンド

Claims (7)

1. 空気を加熱する電気加熱要素（３）と、電源接続部と、ハウジング（１）と、ハウジングカバー（２）と、を備え、
   前記電気加熱要素（３）は、内部から突出する接触舌片（３ｃ）を端部に備えた加熱ロッド（３ｂ）の形態であり、
   前記ハウジング（１）は、接地接続部（１ａ）と、前記加熱ロッド（３ｂ）への電源を制御する電子回路（７）とを備え、
   前記加熱ロッド（３ｂ）の前記端部は、前記ハウジング（１）の前記接地接続部（１ａ）と電気的に接続するように配置される一方で、前記接触舌片（３ｃ）は、前記ハウジング（１）の穴を通過して突出して前記電源接続部に前記電子回路（７）を介して電気的に接続するように配置され、
   前記ハウジングカバー（２）は、前記電子回路（７）をカバーしている、自動車用に好適な電気空気加熱装置において、
   前記ハウジング（１）を導電性材料で構成し、且つ、前記接地接続部（１ａ）を前記ハウジング（１）と一体的に構成されるように一体成形するが、前記接地接続部（１ａ）を前記ハウジングカバー（２）でカバーせずにおくことにより、前記加熱ロッド（３ｂ）の前記端部および前記電子回路（７）を、前記ハウジング（１）を介してアースしたことを特徴とする電気空気加熱装置。
2. 前記加熱ロッド（３ｂ）の前記端部が、前記ハウジング（１）に圧入されたことを特徴とする、請求項１に記載の電気空気加熱装置。
3. 前記接触舌片（３ｃ）は、前記加熱ロッド（３ｂ）の前記端部と前記ハウジング（１）との間に配置された封止要素（６）を通過して前記穴から突出することを特徴とする、請求項１または２に記載の電気空気加熱装置。
4. 前記加熱ロッド（３ｂ）の前記端部が前記ハウジング（１）に溶接されたことを特徴とする、請求項１または２に記載の電気空気加熱装置。
5. 熱伝導性材料（８）の層が、前記加熱ロッド（３ｂ）への電源を制御する電子回路（７）を担持するプリント回路基板と前記ハウジング（１）との間に配置されたことを特徴とする、請求項１乃至４の何れか１項に記載の電気空気加熱装置。
6. 前記ハウジング（１）の前記加熱ロッド（３ｂ）に面する側に、冷却フィン（１ｃ）が、前記ハウジング（１）と一体的に設けられていることを特徴とする、請求項１乃至５の何れか１項に記載の電気空気加熱装置。
7. 前記ハウジング（１）が、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であることを特徴とする、請求項１乃至６の何れか１項に記載の電気空気加熱装置。

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