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JP4907192B2 - ピリジル基を持つ1,3,5−トリアジン誘導体、その製法、およびそれを構成成分とする有機電界発光素子 - Google Patents

ピリジル基を持つ1,3,5−トリアジン誘導体、その製法、およびそれを構成成分とする有機電界発光素子 Download PDF

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JP4907192B2 JP2006045365A JP2006045365A JP4907192B2 JP 4907192 B2 JP4907192 B2 JP 4907192B2 JP 2006045365 A JP2006045365 A JP 2006045365A JP 2006045365 A JP2006045365 A JP 2006045365A JP 4907192 B2 JP4907192 B2 JP 4907192B2
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Description

本発明は、ピリジル基をもつ1,3,5−トリアジン誘導体、その製法、およびそれを構成成分とする有機電界発光素子に関するものである。
有機電界発光素子は、発光する化合物を含有する発光層を、正孔輸送層と電子輸送層で挟んだ構造を有する。さらにその外側に陽極と陰極を取付けて発光層に正孔および電子を注入し、これらが再結合するときに生成する励起子が失活する際の光の放出(蛍光またはりん光)を利用する素子である。
当該素子の正孔輸送層に用いられる正孔輸送材の研究は進んでいるものの、電子輸送層に用いられる電子輸送材の研究例は少ない。そのための材料としてトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(以下、Alqとする)が最も汎用的に用いられているが、安定性の問題が指摘されている。一方、1,3,5−トリアジン類縁体も最低非占分子軌道のエネルギー準位が低く、長寿命の電子輸送材として期待される化合物の一つである。例えば、アルキル基や芳香族基等で置換された1,3,5−トリアジニル基を4位および4’位に2つもつビフェニル化合物、ならびに2位および7位に2つもつフルオレン化合物を電子輸送材とする有機電界発光素子が、特許文献1に開示されている。
米国特許第6,225,467号明細書
特許文献1には、1,3,5−トリアジン骨格上にピリジル基を含む一般式が記載されているが、具体例としての明記がなくまた実施例もない。また、特許文献1に記載の方法で2つの1,3,5−トリアジニル基上にピリジル基をもつビフェニル誘導体およびフルオレン誘導体の合成を試みたところ、高い収率で得ることはできなかった。
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ジシアノ芳香族化合物とシアノピリジル化合物を金属モルホルドまたは金属アミドの存在下で反応させることにより、極めて効率良くピリジル基がトリアジンに結合した1,3,5−トリアジン誘導体を合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明者らは、これらの1,3,5−トリアジン誘導体を電子輸送層とした素子では、汎用のAlqや特許文献1に記載の4,4’−ビス(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)ビフェニル等を用いた素子に比べて駆動電圧が大幅に低下し、また、その際、輝度や発光波長はほとんど変化しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、一般式(1)
Figure 0004907192
[式中、Pyは2−ピリジル基、3−ピリジル基または4−ピリジル基を示し、4つのPyは同一または相異なっていても良い。Xはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、p−テルフェニレン基、[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニレン基、一般式(2)
Figure 0004907192
[式中、RおよびRは各々独立に水素原子、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基またはビフェニリル基を示す。]で表されるフルオレン−2,7−イレン基、または一般式(3)
Figure 0004907192
[式中、RおよびRは各々独立に水素原子、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基またはビフェニリル基を示す。]で表される置換3’,2’’−メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニレン基を示す。]で表されることを特徴とする1,3,5−トリアジン誘導体である。
また本発明は、一般式(4)
Figure 0004907192
[式中、Xは前記と同じ内容を示す。]で表されるジシアノ芳香族化合物と、一般式(5)
Figure 0004907192
[式中、Pyは前記と同じ内容を示す。]で表されるシアノピリジン化合物とを、一般式(6)
Figure 0004907192
[式中、Mはアルカリ金属原子を示す。]で表される金属モルホリド、または一般式(7)
Figure 0004907192
[式中、RおよびRは炭素数1から4のアルキル基を示す。RとRは一体となって、テトラメチレン基、ペンタメチレン基またはヘキサメチレン基を形成しても良い。Mはアルカリ金属原子を示す。]で表される金属アミドの存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法である。
さらに本発明は、一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体を構成成分とすることを特徴とする、有機電界発光素子である。以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において、Pyは、2−ピリジル基、3−ピリジル基または4−ピリジル基であるが、有機電界発光素子用材料としての性能が良い点で、2−ピリジル基が望ましい。
、R、RおよびRは、水素原子、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基、またはビフェニリル基を示すが、例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、フェニル基またはビフェニリル基等が例示でき、有機電界発光素子としての性能が良い点で、水素原子、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基またはビフェニリル基が望ましく、メチル基、エチル基、オクチル基またはフェニル基がさらに望ましい。
Xはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、p−テルフェニレン基、[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニレン基、一般式(2)で表されるフルオレン−2,7−イレン基、または一般式(3)で表される置換3’,2’’−メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニレン基を示すが、例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、1,8−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、ビフェニル−4,4’−イレン基、ビフェニル−3,3’−イレン基、p−テルフェニル−4,4’’−イレン基、p−テルフェニル−3,3’’−イレン基、[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基、[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−3,3’’’−イレン基、フルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジエチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジプロピルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジイソプロピルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジブチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジ−tert−ブチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジシクロヘキシルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジフェニルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ビス(ビフェニリル)フルオレン−2,7−イレン基等が例示できる。
また、3’,2’’−メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基、3’,2’’−(ジメチル)メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基、3’,2’’−(ジエチル)メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基、3’,2’’−(ジオクチル)メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基、3’,2’’−(ジフェニル)メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基または3’,2’’−[ビス(ビフェニリル)メタノ][1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基等が例示できる。
有機電界発光素子用材料としての性能が良い点で、m−フェニレン基、p−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ビフェニル−4,4’−イレン基、p−テルフェニル−4,4’’−イレン基、[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基、フルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジエチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジ−tert−ブチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジフェニルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ビス(ビフェニリル)フルオレン−2,7−イレン基、3’,2’’−メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基、3’,2’’−(ジメチル)メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基、3’,2’’−(ジエチル)メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基、3’,2’’−(ジオクチル)メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基、3’,2’’−(ジフェニル)メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基または3’,2’’−[ビス(ビフェニリル)メタノ][1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基が望ましい。
それらの中でも、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ビフェニル−4,4’’−イレン基、フルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジメチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジエチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ジフェニルフルオレン−2,7−イレン基、9,9−ビス(ビフェニリル)フルオレン−2,7−イレン基または3’,2’’−(ジフェニル)メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニル−4,4’’’−イレン基がさらに望ましい。
本発明の一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体は、上述のように一般式(6)で表される金属モルホリドまたは一般式(7)で表される金属アミドを使用する方法により、収率よく製造することができる。これはChemical Communication、1356−1357ページ、2002年に記載の方法を応用したものである。
このときRおよびRとしては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が例示できる。またRとRが一体となって形成されるテトラメチレン基、ペンタメチレン基またはヘキサメチレン基等も例示できる。収率が良い点で、メチル基、エチル基またはテトラメチレン基が望ましい。
およびMとしては例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウム等を挙げることができる。収率が良い点で、リチウムが望ましい。
用いることのできる一般式(6)で表される金属モルホリドとしては、リチウムモルホリド、ナトリウムモルホリドまたはカリウムモルホリド等を例示できる。収率が良い点で、リチウムモルホリドが望ましい。また、金属リチウム、ブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウム等のリチウム試薬と、モルホリンを反応させた後、そのまま単離せずに用いても良い。
その際のブチルリチウムとモルホリンとのモル比は、1:1から1:3が望ましく、収率が良い点で1:1から1:1.5がさらに望ましい。
また、溶媒としてはテトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、キシレンまたは1,4−ジオキサン等が例示でき、これらを適宜組合わせて用いても良い。収率が良い点で、テトラヒドロフランを単独で用いることが望ましい。
また、用いることのできる一般式(7)で表される金属アミドは、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、ナトリウムジメチルアミド、ナトリウムジエチルアミド、カリウムジメチルアミド、カリウムジエチルアミド、リチウムピロリジド、ナトリウムピロリジドまたはカリウムピロリジド等が例示できる。また、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピペリジンまたはピロリジン等の二級アミンと金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、ブチルリチウムまたはtert−ブチルリチウム等の金属試薬を反応させ、系内で金属アミドを発生させ、そのまま単離せずに反応に供しても良い。その際の金属試薬と二級アミンのモル比は、1:1から1:3が望ましく、収率が良い点で1:1から1:1.5がさらに望ましい。また、溶媒としてはテトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、キシレンまたは1,4−ジオキサン等が例示でき、これらを適宜組合わせて用いても良い。収率が良い点で、テトラヒドロフランを単独で用いることが望ましい。
収率が良い点で、ブチルリチウムとピロリジンとを反応させて系内で発生したリチウムピロリジドを単離せずにそのまま用いることが望ましい。
一般式(6)で表される金属モルホリドまたは一般式(7)で表される金属アミドと、一般式(4)で表されるジシアノ芳香族化合物とのモル比は、量論比である2:1が望ましい。
一般式(4)で表されるジシアノ芳香族化合物と一般式(5)で表されるシアノピリジン化合物のモル比は、1:4の量論比でも十分であるが、収率が良い点で1:4.5から1:8がさらに望ましい。
これらの反応温度は−20℃から50℃が望ましく、収率が良い点で−20℃から室温がさらに望ましい。
反応時間は、1時間から48時間が望ましく、収率が良い点で10時間から30時間がさらに望ましい。
溶媒としては、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテルまたはキシレン等が例示でき、これらを適宜組合わせて用いても良い。収率が良い点で、テトラヒドロフランを単独で用いることが望ましい。
一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体の粗生成物は、反応終了後に溶媒を留去することにより得られる。粗生成物の精製方法としては、再結晶、カラム精製、溶媒抽出または昇華等の一般的な方法が例示できる。再結晶を行う場合は、粗生成物の溶解度にもよるが、ジクロロメタンに溶解後メタノールを加える方法が望ましい。カラム精製を行う場合は、シリカゲルまたはアルミナを用いることが望ましい。溶離液はメタノール−クロロホルムの組合せが、収率が良い点で望ましい。メタノールとクロロホルムの容積比1:0から0:1の範囲から、分離・溶出の度合いに応じて適宜選ぶことができる。また、これらの比は精製中に適宜変化させても良い。溶媒抽出を行う場合は、粗生成物の溶解度にもよるが、クロロホルム層に抽出することが望ましい。
一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体から成る薄膜の製造方法に特に限定はないが、例えば有機電界発光素子用の薄膜を製造する場合には真空蒸着法による成膜が可能である。真空蒸着法による成膜は、汎用の真空蒸着装置を用いることにより行うことができる。真空蒸着法で膜を形成する際の真空槽の真空度は、有機電界発光素子作製の製造タクトタイムや製造コストを考慮すると、一般的に用いられる拡散ポンプ、タ−ボ分子ポンプ、クライオポンプ等により到達し得る1×10−2〜1×10−5Pa程度が望ましい。蒸着速度は、形成する膜の厚さによるが0.005〜1.0nm/秒が望ましい。また、一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体は、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、酢酸エチルまたはテトラヒドロフラン等に対する溶解度が高いため、汎用の装置を用いたスピンコ−ト法、インクジェット法、キャスト法またはディップ法等による成膜も可能である。
本発明の一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体から成る薄膜は、高い表面平滑性、アモルファス性、耐熱性、電子輸送能、電子注入能、正孔ブロック能、酸化還元耐性、耐水性、耐酸素性、蛍光発光等をもつため、有機電界発光素子の材料として用いることが可能で、とりわけ電子輸送材、電子注入材、正孔ブロック材、発光材、発光ホスト材などとして用いることができる。従って、一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体から成る薄膜は、有機電界発光素子の構成成分として利用することができる。
一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体は、本発明の方法により高い収率で得ることができる。また一般式(1)で表される1,3,5−トリアジン誘導体は、
ピリジル基を置換基として有するため、有機電界発光素子の構成成分として用いた場合に、ピリジル基の窒素原子がその非共有電子対を介して、種々の電極と相互作用し、電子注入効率の向上、ひいては駆動電圧の低下が期待される。また駆動電圧の低下は、省エネルギーの観点から効果的であるだけでなく、素子寿命の向上をもたらすことが期待される。そのため、省エネルギーで耐久性に優れた有機電界発光素子を作製することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)1,4−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ベンゼンの合成
アルゴン気流下、ピロリジン2.84g(40mmol)を400mLのテトラヒドロフランに溶解し、ブチルリチウムを40mmol含むヘキサン溶液25.6mLを0℃で滴下した。混合物を0℃で5分間攪拌後、テレフタロニトリル2.56g(20mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。この混合物に2−シアノピリジン8.33g(92.5mmol)を加え、室温で14時間撹拌した後、水20.0gを加え、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:100〜5:100)で精製後、ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、目的の1,4−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ベンゼンの白色固体(収量5.54g、収率51%)を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.51(ddd,J=7.6,4.7,1.1Hz,4H),7.94(ddd,J=7.9,7.6,1.8Hz,4H),8.81(brd,J=7.9Hz,4H),8.88−8.97(m,4H),8.95(s,4H).
13C−NMR(CDCl):δ125.1,126.4,129.7,137.1,139.5,150.6,153.4,171.9,172.6。
(実施例2)1,3−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ベンゼンの合成
アルゴン気流下、ピロリジン2.84g(40mmol)を400mLのテトラヒドロフランに溶解し、ブチルリチウムを40mmol含むヘキサン溶液25.6mLを0℃で滴下した。混合物を0℃で5分間攪拌後、イソフタロニトリル2.56g(20mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。この混合物に2−シアノピリジン8.33g(92.5mmol)を加え、室温で14時間撹拌した後、水20.0gを加え、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:100〜5:100)で精製後、ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、目的の1,3−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ベンゼンの白色固体(収量5.06g、収率46%)を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.49(ddd,J=7.6,4.7,1.1Hz,4H),7.75(t,J=7.8Hz,1H),7.92(ddd,J=7.9,7.6,1.8Hz,4H),8.85(brd,J=7.9Hz,4H),8.90−8.96(m,4H),9.01(dd,J=7.8,1.7Hz,2H),10.11(t,J=1.7Hz,1H).
13C−NMR(CDCl):δ125.1,126.4,129.3,130.4,133.7,136.3,137.1,150.5,153.4,171.8,172.5。
(実施例3)4,4’−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ビフェニルの合成
アルゴン気流下、ピロリジン2.84g(40mmol)を400mLのテトラヒドロフランに溶解し、ブチルリチウムを40mmol含むヘキサン溶液25.6mLを0℃で滴下した。混合物を0℃で5分間攪拌後、4,4’−ビフェニルジカルボニトリル4.08g(20mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。この混合物に2−シアノピリジン8.33g(92.5mmol)を加え、室温で14時間撹拌した後、水20.0gを加え、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:100〜5:100)で精製後、ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、目的の4,4’−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ビフェニルの白色固体(収量2.93g、収率24%)を得た。
H−NMR(CDCl):δ7.49(ddd,J=7.6,4.7,1.1Hz,4H),7.86(d,J=8.5Hz,4H),7.92(ddd,J=7.9,7.6,1.8Hz,4H),8.79(brd,J=7.9Hz,4H),8.84−8.96(m,4H),8.89(d,J=8.5Hz,4H).
13C−NMR(CDCl):δ125.0,126.4,127.6,130.1,135.1,137.2,144.7,150.5,153.4,171.7,172.6。
(実施例4)2,7−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−9,9−ジメチルフルオレンの合成
アルゴン気流下、ピロリジン0.14g(2.0mmol)を25mLのテトラヒドロフランに溶解し、ブチルリチウムを2.0mmol含むヘキサン溶液1.30mLを0℃で滴下した。混合物を0℃で5分間攪拌後、2,7−ジシアノ−9,9−ジメチルフルオレン0.24g(1.0mmol)を加え、2時間還流した。室温まで冷ました後、この混合物に2−シアノピリジン0.42g(4.7mmol)を加え、室温で14時間撹拌した後、水5.0gを加え、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をジエチルエーテルで抽出した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:100〜5:100)で精製し、目的の2,7−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−9,9−ジメチルフルオレンの白色固体(収量0.30g、収率45%)を得た。
H−NMR(CDCl):δ1.70(s,6H),7.49(ddd,J=7.5,4.7,1.1Hz,4H),7.93(ddd,J=7.7,7.5,1.8Hz,4H),7.95(d,J=8.0Hz,2H),8.78(brs,2H),8.83(brd,J=7.7Hz,4H),8.83−8.89(m,2H),8.89−8.96(m,4H).
13C−NMR(CDCl):δ27.1,45.7,121.1,123.7,125.0,126.3,129.2,135.4,137.1,143.2,150.4,153.6,155.2,171.7,173.0。
(実施例5)2,7−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−9,9−ジエチルフルオレンの合成
アルゴン気流下、ピロリジン1.42g(20mmol)を300mLのテトラヒドロフランに溶解し、ブチルリチウムを20mmol含むヘキサン溶液13.0mLを0℃で滴下した。混合物を0℃で5分間攪拌後、2,7−ジシアノ−9,9−ジエチルフルオレン2.72g(10mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。この混合物に2−シアノピリジン4.16g(46.2mmol)を加え、室温で14時間撹拌した後、水10.0gを加え、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:100〜5:100)で精製後、ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、目的の2,7−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−9,9−ジエチルフルオレンの白色固体(収量5.20g、収率75%)を得た。
H−NMR(CDCl):δ0.31(t,J=7.3Hz,6H),2.31(q,J=7.3Hz,4H),7.50(ddd,J=7.6,4.7,1.1Hz,4H),7.95(ddd,J=7.8,7.6,1.8Hz,4H),7.95(d,J=8.0Hz,2H),8.76(brs,2H),8.81(brd,J=7.8Hz,4H),8.88(dd,J=8.0,1.5Hz,2H),8.91−8.97(m,4H).
13C−NMR(CDCl):δ8.7,32.7,57.1,120.8,123.7,125.1,126.4,129.2,135.3,137.2,145.6,150.4,151.6,153.5,171.6,173.2。
(実施例6)2,7−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−9,9−ジオクチルフルオレンの合成
アルゴン気流下、ピロリジン1.42g(20mmol)を200mLのジエチルエーテルに溶解し、ブチルリチウムを20mmol含むヘキサン溶液13.0mLを0℃で滴下した。混合物を0℃で5分間攪拌後、2,7−ジシアノ−9,9−ジオクチルフルオレン4.41g(10mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。この混合物に2−シアノピリジン4.16g(46.2mmol)を加え、室温で14時間撹拌した後、水10.0gを加え、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:クロロホルム=1:100〜5:100)で精製後、ジクロロメタン−メタノールで再結晶し、目的の2,7−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−9,9−ジオクチルフルオレンの白色固体(収量4.71g、収率55%)を得た。
H−NMR(CDCl):δ0.53−0.72(m,10H),0.85−1.12(m,20H),2.13−2.29(m,4H),7.49(ddd,J=7.6,4.7,1.1Hz,4H),7.94(ddd,J=7.8,7.6,1.7Hz,4H),7.94(d,J=8.0Hz,2H),8.73(brs,2H),8.79(brd,J=7.8Hz,4H),8.86(dd,J=8.0,1.4Hz,2H),8.89−8.96(m,4H).
13C−NMR(CDCl):δ14.0,22.5,23.9,29.1,29.3,29.9,31.7,40.3,55.9,120.8,123.6,125.0,126.3,129.1,135.4,137.0,145.1,150.5,152.4,153.7,171.7,173.2。
(比較例1)
特許文献1と同様の方法で、4,6−ビス(4−ブチルフェニル)−2−(ピリジン−3−イル)−1,3,5−トリアジンの合成を試みた。アルゴン下に3−ピリジンカルボン酸クロリド塩酸塩178mg(1.0mmol)をクロロホルム20mLに懸濁し、これにトリエチルアミン101mg(1.0mmol)を加え、3−ピリジンカルボン酸クロリドを含む溶液を調製した。得られた溶液に、p−ブチルベンゾニトリル318mg(2.0mmol)を加え、5塩化アンチモン299mg(1.0mmol)を0℃で滴下した。混合物を室温で1時間攪拌後、12時間還流した。室温まで冷却後、減圧下で低沸点成分を除去し、0℃で28%アンモニア水溶液50mLをゆっくりと加えた。得られた懸濁液を室温でさらに1時間攪拌した後、クロロホルム50mLで抽出した。有機層を減圧乾固した後、得られた粗生成物をH−NMRおよびGC−MSにより分析したが、目的とする4,6−ビス(4−ブチルフェニル)−2−(ピリジン−3−イル)−1,3,5−トリアジンは確認できなかった。
(比較例2)
特許文献1と同様の方法で、6−(4−ブロモフェニル)−2,4−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジンの合成を試みた。4−ブロモ安息香酸クロリド219mg(1.0mmol)と2−シアノピリジン208mg(2.0mmol)を20mLのクロロホルムにアルゴン下で溶解した。得られた溶液に、5塩化アンチモン299mg(1.0mmol)を0℃で滴下した。混合物を室温で1時間攪拌後、12時間還流した。室温まで冷却後、減圧下で低沸点成分を除去し、0℃で28%アンモニア水溶液50mLをゆっくりと加えた。得られた懸濁液を室温でさらに1時間攪拌した後、クロロホルム50mLで抽出した。有機層を減圧乾固した後、得られた粗生成物をH−NMRおよびGC−MSにより分析したが、目的とする6−(4−ブロモフェニル)−2,4−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジンは確認できなかった。
(実施例7)4,4’−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ビフェニルを構成成分とする有機電界発光素子の作製と性能評価
基板には2mm幅の酸化インジウム−スズ(ITO)膜がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用いた。この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄にて表面処理を行った。洗浄後の基板に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、断面図を図1に示すような発光面積4mmの有機電界発光素子を作製した。
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し1.0×10−4Paまで減圧した。その後、図1の1で示す前記ガラス基板上に有機化合物層として、正孔注入層2、正孔輸送層3、発光層4および電子輸送層5を順次成膜し、その後陰極層6を成膜した。正孔注入層2としては、昇華精製したフタロシアニン銅(II)を25nmの膜厚で真空蒸着した。正孔輸送層3としては、N,N’−ジ(ナフチレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)を45nmの膜厚で真空蒸着した。発光層4としては、Alqを40nmの膜厚で真空蒸着した。電子輸送層5としては、実施例3で得られた4,4’−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ビフェニルを20nmの膜厚で真空蒸着した。なお、各有機材料は抵抗加熱方式により成膜し、加熱した化合物を0.3〜0.5nm/秒の成膜速度で真空蒸着した。最後に、ITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極層6を成膜した。陰極層6は、フッ化リチウムとアルミニウムをそれぞれ0.5nmと100nmの膜厚で真空蒸着し、2層構造とした。
それぞれの膜厚は触針式膜厚測定計(DEKTAK)で測定した。さらにこの素子を酸素および水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気グローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと前記成膜基板エポキシ型紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いた。
作製した有機電界発光素子に直流電流を印加し、TOPCON社製のLUMINANCE METER(BM−9)の輝度計を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流1.0mAでの駆動電圧(V)、輝度(cd/m)および発光波長(nm)を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)4,4’−ビス(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)ビフェニルを構成成分とする有機電界発光素子の作製と性能評価
実施例7の4,4’−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ビフェニルに替えて4,4’−ビス(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)ビフェニルを電子輸送層5として20nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を、実施例7と同様に作製した。作製した有機電界発光素子の評価も実施例7と同様に行った。結果を表1に示す。
(比較例4)Alqを構成成分とする有機電界発光素子の作製と性能評価
実施例7の4,4’−ビス[4,6−ジ(ピリジン−2−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]ビフェニルに替えてAlqを電子輸送層5として20nmの膜厚で真空蒸着した有機電界発光素子を、実施例7と同様に作製した。作製した有機電界発光素子の評価も実施例7と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 0004907192
表1から明らかなように、本発明の1,3,5−トリアジン誘導体を電子輸送層に用いた有機電界発光素子は、駆動電圧が大幅に低下するが、輝度や発光波長にはほとんど変化が見られなかった。
実施例7で作製した有機電界発光素子の断面図である。
符号の説明
1.ITO透明電極付きガラス基板
2.正孔注入層
3.正孔輸送層
4.発光層
5.電子輸送層
6.陰極層

Claims (7)

  1. 一般式(1)
    Figure 0004907192
    [式中、Pyは2−ピリジル基、3−ピリジル基または4−ピリジル基を示し、4つのPyは同一または相異なっていても良い。Xはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、p−テルフェニレン基、[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニレン基、一般式(2)
    Figure 0004907192
    [式中、RおよびRは各々独立に水素原子、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基またはビフェニリル基を示す。]で表されるフルオレン−2,7−イレン基、または一般式(3)
    Figure 0004907192
    [式中、RおよびRは各々独立に水素原子、炭素数1から8のアルキル基、フェニル基またはビフェニリル基を示す。]で表される置換3’,2’’−メタノ[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’]クアテルフェニレン基を示す。]で表されることを特徴とする1,3,5−トリアジン誘導体。
  2. Pyが2−ピリジル基である請求項1に記載の1,3,5−トリアジン誘導体。
  3. 一般式(4)
    Figure 0004907192
    [式中、Xは前記と同じ内容を示す。]で表されるジシアノ芳香族化合物と、一般式(5)
    Figure 0004907192
    [式中、Pyは前記と同じ内容を示す。]で表されるシアノピリジン化合物とを、一般式(6)
    Figure 0004907192
    [式中、Mはアルカリ金属原子を示す。]で表される金属モルホリド、または一般式(7)
    Figure 0004907192
    [式中、RおよびRは炭素数1から4のアルキル基を示す。RとRは一体となって、テトラメチレン基、ペンタメチレン基またはヘキサメチレン基を形成しても良い。Mはアルカリ金属原子を示す。]で表される金属アミドの存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1)
    Figure 0004907192
    [式中、PyおよびXは前記と同じ内容を示す。]で表される1,3,5−トリアジン誘導体の製造方法。
  4. Pyが2−ピリジル基である請求項3に記載の製造方法。
  5. 一般式(7)で表される金属アミドとして金属ピロリジドを用いる請求項3または請求項4に記載の製造方法。
  6. 一般式(1)
    Figure 0004907192
    [式中、PyおよびXは前記と同じ内容を示す。]で表される1,3,5−トリアジン誘導体を構成成分とすることを特徴とする、有機電界発光素子。
  7. Pyが2−ピリジル基である請求項6に記載の有機電界発光素子。
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