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JP4903531B2 - 太陽電池素子 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池素子に関する。
近年、環境保護の観点から家庭用の太陽電池の需要が著しく増加する傾向にある。太陽電池の構成としては、図1に示す通り、厚み0.2〜0.5mm程度、大きさ100〜150mm角程度の単結晶シリコンや多結晶シリコン等からなる一導電型の半導体基板を準備し、上述の半導体基板とは逆導電型の不純物を拡散させpn接合を形成している。また、半導体基板の受光面側に反射防止膜を設けることも一般的である。
電極形成には、印刷法が広く用いられる。印刷法は、自動化が容易で生産性が高いという利点を有していることから、種々の電子デバイスの電極形成の手法として一般的な手法である。印刷法は、導電を担う金属粉末を有機バインダーや有機溶剤と混練したペーストをスクリーン印刷などの手法で被形成体に塗布した後、これを熱処理炉内で焼成することで有機成分を蒸発させ、金属粉末の焼結体としての電極を形成する手法である。
太陽電池の場合は、アルミニウム粉末を含むアルミペーストをシリコン基板の裏面側に塗布し、これを焼成することで、裏面電極の形成のみならずp層の形成も併せて行える。具体的には、焼成によって裏面電極となるアルミニウムを主成分とするアルミ電極層が形成される際に、アルミニウム元素がシリコン基板中に拡散することで、アルミニウム元素を不純物として含むp層が形成される。裏面電極は、太陽電池において発生した電気を取り出す集電電極の役割を果たすものであり、p層は、いわゆるBSF(Back Surface Field)効果を生じさせることで、裏面での少数キャリア再結合を防止してキャリアの収集効率を向上させ、結果的に太陽電池特性を向上させる働きがある。
一方、太陽電池のコストダウンを図るべく、シリコン基板の厚みを200μm以下とする薄型化が検討されている。係る薄型化を実現する上での問題点として、シリコン基板を薄くするほど、アルミ電極層との熱膨張差に起因した反りがシリコン基板に生じやすくなるということがある。Siの熱膨張率は2.5×10−6/degであるのに対し、アルミニウムは23.25×10−6/degと、両者は約10倍程度異なっている。この問題の解決を意図とする技術として、例えば、SiOやAlなどを添加したアルミペーストを用いたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2003−223813号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、SiOやAlなどを添加したアルミペーストを用いて、太陽電池素子の裏面電極を形成しているが、この場合、シリコン基板の反りを低減することはできるものの、ペーストに添加したSiOやAlなどが焼成後もそのままの形で存在するため、裏面電極の抵抗損失が大きくなり、素子特性が低下するといった問題があった。また、シリコン基板とアルミ電極層との接着強度は、SiOやAlを含まないアルミペーストよりも劣るものとなっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、SiOやAlを含んだアルミ電極層よりも、太陽電池素子の変換効率、及び、半導体基板と焼成電極との接着強度を向上させることができるとともに、反りを緩和した太陽電池素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る太陽電池素子は、半導体基板と、前記半導体基板の少なくとも一部に形成されたアルミニウムを主成分とする焼成電極と、を備えた太陽電池素子であって、前記焼成電極は、酸化亜鉛の集合体から成る粒子を含んでなり、前記アルミニウム100重量部に対して、3重量部以上30重量部以下の前記酸化亜鉛を含むことを特徴とす
上記太陽電池素子によれば、SiOやAlを含んだ従来の焼成電極よりも、太陽電池素子の変換効率、及び、半導体基板と焼成電極との接着強度を向上させることができるとともに、アルミニウムの粒子よりも高い融点を有する酸化亜鉛の集合体から成る粒子は、電極焼成時でも固体として存在することでアルミニウム粒子同士のネッキングを抑制し、太陽電池素子の反りを緩和することができる。
さらに、従来のSiO やAl を焼成電極中に含むものよりも太陽電池素子の反り、変換効率、焼成電極と半導体基板との接着強度を同時に好適な値とすることができる。
また、前記半導体基板は、p型シリコン基板であることが好ましく、上述の効果に加え、シリコンのp型不純物元素のひとつであるアルミニウム元素が焼成によって焼成電極からp型シリコン基板へ熱拡散して、p型シリコン基板中のキャリア再結合を防止する裏面電界領域が形成された太陽電池素子とすることができる。
また、前記焼成電極は、前記p型シリコン基板の一主面の略全面に形成されてなることが好ましく、上述の効果に加え、p型シリコン基板の略全面で裏面電界領域(BSF領域)を形成することができるため、より一層キャリアの再結合を防止し、変換効率の低下を抑制することができる。
前記焼成電極は、ガラスをさらに含んでなることが好ましく、上述の効果に加え、焼成電極と半導体基板との接着強度をより一層高め、半導体基板から焼成電極が剥がれることに起因した変換効率の低下を抑制することができる。
<太陽電池素子>
以下、本発明に係る太陽電池素子について説明する。
図1は本発明に係る太陽電池素子の一例を示す断面構造の概略図であり、図2(a)は本発明に係る太陽電池素子の表面電極を示す上視図、図2(b)は裏面電極を示す下視図である。なお、図中、1はシリコン基板、2は拡散層、3は反射防止膜、4は表面電極、5は裏面電極、5aは集電部、5bは出力取出部、6は裏面電界領域を示す。
ここで、図1に示す太陽電池素子の作用について簡単に説明する。
太陽電池素子の受光面側である反射防止膜3の側から光が入射すると、主にp型半導体であるシリコン基板1のバルク領域で吸収・光電変換されて電子−正孔対(電子キャリアおよび正孔キャリア)が生成される。この光励起起源の電子キャリアおよび正孔キャリア(光生成キャリア)によって、太陽電池素子の表側に設けられた表面電極4と、裏側に設けられた裏面電極5との間に光起電力を生じる。
反射防止膜3は、反射防止膜となる膜の屈折率と膜厚とによって所望の光波長領域で反射率を低減させて、光生成キャリア量を増大させる役割を果たし、太陽電池素子の光電流密度Jscを向上させる。
また、通常、シリコンに対してp型不純物元素として作用するアルミニウムをシリコン基板1の裏面に拡散させ、シリコン基板1の裏面側表層部にp領域となった裏面電界領域6を形成する。裏面電界領域6は、BSF(Back Surface Field)領域とも呼ばれ、シリコン基板1の裏面近くで光生成キャリアによる再結合による効率の低下を防ぐ。そのためシリコン基板1の裏面近くで発生した光生成キャリアが、この電界によって加速される結果、電力が有効に取り出されることとなり、特に長波長の光感度が増加する。この結果、光電流密度Jscが向上し、またこの裏面電界領域6(BSF領域)では少数キャリア(電子)密度が低減されるので、裏面電極5に接する領域でのダイオード電流量(暗電流量)を低減する働きをすることで、開放電圧Vocが向上する。
例えば、本発明の太陽電池素子は、上述した図1のような構造の場合、半導体基板1としてシリコン基板1を用い、アルミニウムを主成分とする焼成電極である集電部5aを備えた太陽電池素子とすることができる。そして、集電部5aは、酸化亜鉛の集合体から成る粒子を含んでなることを特徴とする。
ここで、アルミニウムを主成分とする集電部5aとは、酸化亜鉛の含有重量と比べてアルミニウムの含有重量の方が大きいものとする。
係る太陽電池素子によれば、SiOやAlを含む、従来のアルミニウム電極よりも、太陽電池素子の変換効率、及び、シリコン基板1と集電部5aとの接着強度を向上させることができるとともに、1000℃以上と高い融点を有する酸化亜鉛の集合体から成る粒子は、集電部5aの焼成時でも固体として存在することでアルミニウム粒子同士のネッキングを抑制し、太陽電池素子の反りを緩和することができる。
また、前記半導体基板1は、p型シリコン基板1であることが好ましい。シリコンのp型不純物元素のひとつであるアルミニウム元素は、集電部5aの焼成によって集電部5aからp型シリコン基板1へ熱拡散する。それゆえ、かかる太陽電池素子の裏面側には、p型シリコン基板1中のキャリア再結合を防止する裏面電界領域6(BSF領域)が形成される。
また、前記集電部5aは、前記p型シリコン基板1の一主面の略全面に形成されてなることが好ましく、上述の効果に加え、裏面電界領域6(BSF領域)を太陽電池素子の裏面側の略全面にて形成できるため、このBSF効果により開放電圧Vocの向上が可能となり、より変換効率を向上させることができる。
また、前記集電部5aは、ガラスをさらに含んでなることが好ましく、上述の効果に加え、シリコン基板1と集電部5aとの接着強度をより一層高めることができるため、シリコン基板1から集電部5aが剥がれることに起因した素子特性の低下を抑制できる。
また、前記集電部5aは、アルミニウム100重量部に対して、3重量部以上30重量部以下の酸化亜鉛を含むものであることが好ましく、上述の効果に加え、シリコン基板1の反りを充分抑制でき、さらに充分な裏面電界領域6(BSF領域)が形成できるため、従来のSiOやAlをアルミニウム電極中に含むものよりも、接着強度、電気伝導性、及び出力特性を同時に好適な値とすることができる。
このように、本発明によれば、例えば200μm以下のシリコン基板1を用いる場合であっても、反りを低減することが可能である。
さらに、酸化亜鉛の集合体から成る粒子の純度は、98%以上であれば、特に特性に影響を与えることなく、シリコン基板1の反りを低減することができる。また、上記範囲であればガラス化することはない。
なお、電極中の酸化亜鉛の集合体から成る粒子の存在の有無を確かめる手法として、例えばEPMAによる測定が挙げられる。また、上述したアルミニウムと酸化亜鉛との重量部割合についても、EPMAによって測定することができる。
<太陽電池素子の製造方法>
以下、太陽電池素子の製造方法について説明する。
半導体基板1は、単結晶又は多結晶シリコンなどから成る。この半導体基板1として半導体シリコンを用いる場合、ボロン(B)などのp型の導電型を呈する半導体不純物を1×1016〜1018atoms/cm程度含有し、比抵抗0.2〜2.0Ω・cm程度の半導体基板1が好適に用いられる。単結晶シリコン基板1の場合は引き上げ法などによって形成され、多結晶シリコン基板1の場合は鋳造法などによって形成される。多結晶シリコン基板1は、大量生産が可能であり製造コスト面で単結晶シリコン基板1よりも有利であるので、ここでは多結晶シリコンを用いた例によって説明する。
多結晶シリコンのインゴットは、例えば、鋳造法によって形成され、500μm以下、より好ましくは350μm以下の厚みにスライスして、10cm×10cmまたは25cm×25cm程度の大きさに切断され、シリコン基板1とする。なお、シリコン基板1の切断面の機械的ダメージ層や汚染層を清浄化するために、表面をNaOHやKOHあるいはフッ酸やフッ硝酸などでごく微量エッチングすることが望ましい。
その後、ドライエッチング方法やウェットエッチング方法を用いて、シリコン基板1の表面に微小な突起を形成するのが望ましい。
次に、n型の拡散層2を形成する。n型化ドーピング元素としてはP(リン)を用いることが好ましく、シート抵抗が30〜300Ω/□程度のn型とする。これによって上述のp型バルク領域との間にpn接合部が形成される。
拡散層2は、ペースト状態にしたPをシリコン基板1表面に塗布して熱拡散させる塗布熱拡散法、ガス状態にしたPOCl(オキシ塩化リン)を拡散源とした気相熱拡散法、及びpイオンを直接拡散させるイオン打ち込み法などによって形成される。この拡散層2は0.2〜0.5μm程度の深さに形成される。なお、目的とする面と反対側の面にも拡散領域が形成される場合には、その部分に予め拡散防止膜(不図示)を形成したり、その部分を後からエッチングして除去すればよい。例えば、このシリコン基板1の表面側以外の拡散層2の除去は、シリコン基板1の表面側にレジスト膜を塗布し、フッ酸又はフッ酸と硝酸の混合液を用いてエッチング除去した後、レジスト膜を除去することにより行う。
なお、拡散層2の形成方法は上記方法に限定されるものではなく、例えば薄膜技術を用いて、水素化アモルファスシリコン膜や、微結晶シリコン膜を含む結晶質シリコン膜などを形成してもよい。さらに、シリコン基板1と拡散層2との間にi型シリコン領域(不図示)を形成してもよい。
次に、反射防止膜3を形成する。反射防止膜3の材料は、SiNx膜(Si34ストイキオメトリを中心にして組成比(x)には幅がある)、TiO2膜、SiO膜、MgO膜、ITO膜、SnO2膜、ZnO膜などを用いることができる。その厚みは、材料によって適宜選択されて、適当な入射光に対して無反射条件を実現できるようにする。例えば半導体基板1がシリコン基板1である場合、屈折率は1.8〜2.3程度、厚み500〜1200Å程度にすればよい。
反射防止膜3の形成方法は、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)法、蒸着法、スパッタ法などを用いて形成する。なお、反射防止膜3は、後述するファイヤースルー法で表面電極4を形成しない場合は、表面電極4を形成するために所定のパターンでパターニングしておく。パターニング法としてはレジストなどマスクを用いたエッチング法(ウェットあるいはドライ)や、反射防止膜3形成時にマスクを予め形成しておき、反射防止膜3形成後にこれを除去する方法を用いることができる。一方、反射防止膜3の上に表面電極4の電極ペーストを直接塗布し焼き付けることによって表面電極4と拡散層2を電気的に接触させる、いわゆるファイヤースルー法を用いる場合は前記パターニングの必要はない。なお、図2(a)ではファイヤースルー法を用いるため前記パターニングを行っていない。
さらに、シリコン基板1の裏面側には、一導電型半導体不純物元素が高濃度に拡散された裏面電界領域6(BSF領域)を形成することが望ましい。p型の不純物元素としてはB(ボロン)やAl(アルミニウム)を用いることができ、不純物元素濃度を高濃度として、p型とすることによって後述する裏面電極5との間にオーミックコンタクトを得ることができる。製法としてはBBr(三臭化ボロン)を拡散源とした熱拡散法を用いて温度800〜1100℃程度で形成したり、特にアルミニウムの場合はアルミニウム粉末と、有機ビヒクルなどからなる導電性ペーストを印刷法で塗布したのち、温度700〜850℃程度で熱処理(焼成)してアルミニウムをシリコン基板1に向けて拡散したりする方法を用いることができる。
有機ビヒクルは、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂およびメチルメタクレートなどのアクリル樹脂およびブチラール樹脂等から選択される少なくとも1種類の樹脂をブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ターピネオール、水素添加ターピネオール、水素添加ターピネオールアセテート、メチルエチルケトン、イソボニルアセテート、ノピルアセテート等の有機溶剤に溶解させたものを用いることができる。
ガラスフリットは、B、SiO成分を少なくとも含み、さらにPbO、ZnO等の成分を含むものなどから構成したガラスを用いることにより、集電部5aとシリコン基板1との接着強度をさらに高めることができるため好ましい。ガラスフリットは、アルミニウム100重量部に対して0.1〜5重量部ほど添加すればよいが、ガラスフリットの添加量が増えると、反りが増大する傾向があるため、より好ましくは1.5重量部以下であることが好ましい。
なお、この裏面電界領域6(BSF領域)を熱拡散法で形成する場合は、既に形成してある拡散層2には酸化膜などの拡散バリアをあらかじめ形成しておくことが望ましい。また導電性ペーストを印刷して焼成する方法を用いれば、印刷面だけに所望の拡散領域を形成することができるだけではなく、既に述べたように拡散層2形成時に同時に裏面側にも形成されているn型の逆導電型の拡散層を除去する必要もない。この裏面電界領域6(BSF領域)は、シリコン基板1の裏面近くでキャリアの再結合による効率の低下を防ぐために、シリコン基板1の裏面側に内部電界を形成するものである。
次に、表面電極4と、集電部5a及び出力取出部5bとから構成される裏面電極5を以下のようにして形成する。
表面電極4は、例えば銀等からなる金属粉末と有機ビヒクルとガラスフリットを銀100重量部に対してそれぞれ10〜30重量部、0.1〜5重量部を添加してペースト状にした銀ペーストを図2(a)に示される、格子状等の所定の電極形状に塗布し、最高温度が600〜850℃で数十秒〜数十分程度焼成することにより電極を形成する。塗布法としては、スクリーン印刷法などの周知の方法を用いることができ、塗布後、所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させたほうが好ましい。
集電部5aは、アルミニウム粉末と、有機ビヒクルを含有する導電性ペーストを図2(b)に示されるように、後述する出力取出部5bを形成する部位を除いて裏面のほぼ全面に塗布する。塗布法としては、スクリーン印刷法などの周知の方法を用いることができ、塗布後、所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させることが好ましい。
出力取出部5bは、表面電極4と同様に、例えば銀粉末などからなる金属粉末と有機ビヒクルとガラスフリットを銀100重量部に対してそれぞれ10〜30重量部、0.1〜5重量部を添加してペースト状にした導電性ペーストを図2(b)に示される、電極形状となるように塗布する。なお、導電性ペーストの一部と接する位置に、銀ペーストを塗布して、集電部5aと出力取出部5bとの一部が重なるように形成する。塗布法としては、スクリーン印刷法などの周知の方法を用いることができ、塗布後、所定の温度で溶剤を蒸散させて乾燥させることが好ましい。
そして、シリコン基板1に導電性ペースト及び銀ペーストを塗布・乾燥させた後、焼成炉内にて最高温度が700〜850℃で数十秒〜数十分程度焼成することにより裏面電極5(集電部5a、出力取出部5b)を形成する。
このようにして、本発明に係る太陽電池素子を作製することができる。
なお、上述した裏面電極5の形成方法が本発明の特徴部分であるため、その詳細について以下に説明する。
本発明で用いる導電性ペーストは、アルミニウム粉末と、酸化亜鉛粉末とを含有してなるものである。
また、酸化亜鉛粉末の平均粒径は、5μm以下であることが好ましい。また、アルミニウム粉末及び酸化亜鉛粉末の形状は、球状、フレーク状、不定形状等の粉末を用いることができる。
なお、アルミニウム粉末としては、平均粒径が3〜20μm程度の粉末を用いればよく、有機ビヒクルはアルミニウム100重量部に対して10〜30重量部ほど添加すればよい。また、ペースト中にガラスフリットを添加してもよく、アルミニウム100重量部に対して0.1〜5重量部ほど添加すればよい。
本発明の太陽電池素子の製造方法は、このような導電性ペーストを、シリコン基板1に塗布する第1工程を有している。塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロールコーター方式及びディスペンサー方式など種々の手法を用いることができる。
その後、この導電性ペーストを所定温度で焼成する第2工程を経てなる。具体的には、焼成炉内にて最高温度が700〜850℃で数十秒〜数十分程度焼成することにより集電部5aを形成する。
このとき、酸化亜鉛粉末は、融点が1980℃程度と上述した焼成温度よりも高く、電極焼成時でも固体として存在して、アルミニウムに非接合状態で囲まれた酸化亜鉛の集合体から成る粒子によってアルミニウム粒子同士のネッキングを抑制すると考えられる。これにより、冷却過程で生じる導電性ペースト全体での収縮量を緩和することができると考えられる。それゆえ、シリコン基板1とアルミニウムとの熱膨張係数の差に起因したシリコン基板1の反りを緩和することができる。
また、集電部5aとシリコン基板1との接着強度が向上する理由、及び太陽電池素子の変換効率が向上する理由は、上述した第2工程で、酸化亜鉛粉末が熱処理されることにより、アルミニウム粒子中に酸化亜鉛が拡散することに起因するものと考えられる。
このように、前記導電性ペーストは、SiOやAlなどを含む、従来のアルミペーストと比較して、シリコン基板1の反りを緩和するだけではなく、集電部5aとシリコン基板1との接着強度の低下を抑制しつつ、さらにシリコン基板1と集電部5aとの電気伝導を高く維持して、太陽電池素子の変換効率の低下を抑制することができる。
特に、太陽電池素子特性向上の観点から、高速焼成による急昇温、急冷却であることが好ましいが、降温速度が30℃/秒以上の急冷却の場合、焼成後のシリコン基板1がより大きく反ることとなるが、本発明によれば、急冷却を行っても反りを十分に低減することが可能である。なお、降温速度とは、シリコン基板1に熱電対を取り付けて温度プロファイル(温度−時間)をとり、ピーク温度後の温度プロファイルの傾きから算出されるものである。
また、前記導電性ペーストは、前記アルミニウム粉末100重量部に対して、3重量部以上30重量部以下の酸化亜鉛を含むものであることが好ましい。前記導電性ペースト中の酸化亜鉛の含有量を上記範囲とすることで、上述した効果をより好適に得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正および変更を加えることが出来る。たとえば太陽電池素子の構造は、上述した構造に限定されるものではなく、焼成電極が片面にしかない太陽電池素子に使用することも可能であるし、結晶系シリコン太陽電池素子に限定されるものでもない。
そして、本発明の導電性ペーストを塗布・焼成して集電部5aを形成し、銀ペーストを塗布・焼成して出力取出電極5bを形成する際に、焼成工程を別々に行っても構わない。
また、導電性ペーストを塗布して、集電部5aを形成した後に銀ペーストを塗布して出力取出部5bを形成してもよいし、またその逆であっても本発明の効果を得ることができる。
さらに、導電性ペーストを塗布した後の乾燥は、次の導電性ペーストを塗布するときに印刷機の作業テーブルやスクリーンに前の導電性ペーストが付着するといった問題がなければ省略しても構わない。
厚みが150μmで、外形が15cm×15cmの多結晶シリコンのp型のシリコン基板1表面にリン原子を拡散させて、シート抵抗が70Ω/□となるn型の拡散層2を形成した。その上に窒化シリコン膜からなる反射防止膜3を形成した。そして、裏面側に導電性ペーストを14.5cm×14.5cmの面積で1600mg塗布した後、最高温度790℃、降温速度30℃/秒で焼成し、さらに、表面側と裏面側に銀ペーストを塗布・焼成して太陽電池素子を作製した。
試料番号1〜10は、アルミニウム粉末100重量部に対して、有機ビヒクル20重量部、ガラスフリット0.5重量部含有し、さらに、酸化亜鉛粉末を1重量部〜60重量部含有して集電部5aを形成したものである。
なお、比較例として、試料番号11と試料番号12を用意した。試料番号11は、アルミニウム粉末100重量部に対して、有機ビヒクル20重量部、ガラスフリット0.5重量部含有して集電部を形成したものである。また、試料番号12は、アルミニウム粉末100重量部に対して、有機ビヒクル20重量部、ガラスフリット0.5重量部含有し、さらに、SiO粉末を15重量部含有して集電部を形成したものである。
上述のように作製した太陽電池素子について、太陽電池素子の反り量および素子特性を評価した。図3は、本実施例にかかる太陽電池素子の反り量の評価方法について説明するための図である。本実施の形態においては、シリコン基板1の厚みを含んだ値で反り量を評価した。具体的には、図3に示すように、水平面に載置した場合の最低部(水平面)と最高部との高さの差で反り量として評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 0004903531
表1に示すように、試料番号11では、反りの値が4.66mmであったのに対して、本発明である試料番号1〜10においては、反りの値が4.46mm以下であった。また、素子特性についても、本発明である試料番号1〜10においては、試料番号11と同様の値を維持することができた。さらに、試料番号2〜7によれば、試料番号11よりも反りを抑制しつつ、素子特性を試料番号11と同等な値に維持することができた。
また、本発明において、試料番号2〜7のように、アルミニウム100重量部に対して、3重量部以上30重量部以下の酸化亜鉛を含むものであれば、比較例である試料番号11の反りの値より0.3mm以上低減することができ、さらに、10重量部以上であれば、0.5mm以上低減することができた。さらに、本発明によれば、試料番号12よりも出力特性を高く維持することが確認できた。
次に、太陽電池素子の集電部5aとシリコン基板1との接着強度を接着テープによる引き剥がし試験で評価した。
上述した実施例1と同様の方法で太陽電池素子を作製した。試料番号13から22は、アルミニウム粉末100重量部に対して、有機ビヒクル20重量部、ガラスフリット0.5重量部含有し、さらに、酸化亜鉛粉末を1重量部〜60重量部含有して集電部5aを形成したものである。
なお、比較例として、試料番号23は、アルミニウム粉末100重量部に対して、有機ビヒクル20重量部、ガラスフリット0.5重量部含有し、さらに、SiO粉末を15重量部含有して集電部を形成したものである。
接着テープには、住友スリーエム社製、耐熱マスキングテープ2142を使用して、剥がれのひどいものを、接着強度が充分ではないとして不可と判定することとした。なお、表1中において、○は接着テープに付着がないもの、△は接着テープの付着面積に5分の1未満の付着があるもの、×は接着テープの付着面積に5分の1以上の付着があるものとした。
Figure 0004903531
このように、本発明において、試料番号13〜22によれば、比較例である試料番号23よりも接着強度を高く維持することができた。
一般的な太陽電池素子の一実施形態を示す図である。 本発明に係る太陽電池素子の電極形状の一例を示す図であり、(a)は受光面側(表面)、(b)は非受光面側(裏面)である。 シリコン基板の反り量の評価方法について説明するための図である。
符号の説明
1・・・半導体基板、シリコン基板、p型シリコン基板
2・・・拡散層
3・・・反射防止膜
4・・・表面電極
5・・・裏面電極
5a・・集電部(焼成電極)
5b・・出力取出部
6・・・裏面電界領域(BSF領域)

Claims (4)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の少なくとも一部に形成されたアルミニウムを主成分とする焼成電極と、を備えた太陽電池素子であって、
    前記焼成電極は、酸化亜鉛の集合体から成る粒子を含んでなり、前記アルミニウム100重量部に対して、3重量部以上30重量部以下の前記酸化亜鉛を含むことを特徴とする太陽電池素子。
  2. 前記半導体基板は、p型シリコン基板であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池素子。
  3. 前記焼成電極は、前記p型シリコン基板の一主面の略全面に形成されてなることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池素子。
  4. 前記焼成電極は、ガラスをさらに含んでなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の太陽電池素子。
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