本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による無線通信システム100は、無線装置1〜12と、端末装置21〜26と、有線ケーブル50とを備える。
無線装置1〜12の各々は、固定された無線装置であり、たとえば、アクセスポイントからなる。そして、無線装置1〜12は、メッシュ状の無線ネットワークを構成する。無線装置12は、ルーツノード(root node)であり、無線装置1〜11は、無線装置12の配下に配置された無線装置である。すなわち、無線装置1〜11は、他の無線通信システム内に存在する無線装置と無線通信を行なうとき無線装置12を経由しなければならない。そして、無線装置12は、有線ケーブル50に接続される。
端末装置21〜23は、無線装置7の配下に配置され、無線装置7と接続関係を有する。端末装置24〜26は、無線装置9の配下に配置され、無線装置9と接続関係を有する。
なお、図1においては、無線装置7の配下に配置された端末装置21〜23、および無線装置9の配下に配置された端末装置24〜26が図示されているが、実際には、無線装置1〜6,8,10〜12の配下に配置された端末装置も、存在する。
無線装置1〜12の各々は、後述する方法によって、無線通信システム100における無線装置1〜12の配置状態を示すトポロジー情報TPIFを作成し、その作成したトポロジー情報TPIFを保持する。そして、無線装置1〜12の各々は、トポロジー情報TPIFに基づいて、各送信先へパケットを送信するときのルーティングテーブルを作成して保持する。
また、無線装置1〜12の各々は、無線通信システム100全体における無線装置と端末装置との接続関係を示すグローバル端末接続情報を構築して保持する。
無線通信システム100においては、異なる無線装置の配下に配置された端末装置間で無線通信が行なわれる場合、無線装置1〜12は、グローバル端末接続情報を用いて、送信元の端末装置と送信先の端末装置との間でパケットを中継する。
そこで、以下においては、無線通信システム100における負荷を低減して送信元の端末装置と送信先の端末装置との間でパケットを送受信する機構について説明する。
図2は、図1に示す無線装置1の構成を示す概略ブロック図である。図2を参照して、無線装置1は、アンテナ101と、送受信手段102と、情報作成手段103と、情報保持手段104と、ルーティングテーブル105と、グローバル端末接続情報106とを含む。
アンテナ101は、送受信手段102から受けたパケットを他の無線装置へ送信するとともに、他の無線装置から受信したパケットを送受信手段102へ出力する。
送受信手段102は、アンテナ101を介して受けた制御パケットPKT_CLおよびネイバーリストNTBLを情報作成手段103へ出力する。また、送受信手段102は、ネイバーリストNTBLまたはポロジー情報TPIFを情報保持手段104から読出し、その読出したネイバーリストNTBLまたはトポロジー情報TPIFをアンテナ101を介して他の無線装置へ送信する。さらに、送受信手段102は、情報保持手段104から読出したトポロジー情報TPIFに基づいて、各送信先へパケットを送信するときの最適経路を算出してルーティングテーブル105を作成する。さらに、送受信手段102は、無線装置1の配下に配置された端末装置の無線装置1へのアクセス状況に基づいて、無線装置1と無線装置1の配下に配置された端末装置との接続関係を示すローカル端末接続情報を作成する。そして、送受信手段102は、他の無線装置において作成されたローカル端末接続情報をアンテナ101を介して他の無線装置から受信する。そうすると、送受信手段102は、自己が作成したローカル端末接続情報と、他の無線装置から受信したローカル端末接続情報とに基づいて、無線通信システム100全体における無線装置と端末装置との接続関係を示すグローバル端末接続情報106を作成する。さらに、送受信手段102は、無線装置1の配下に配置された端末装置が変化(増加および/または減少)したとき、ローカル端末接続情報を更新し、ローカル端末接続情報の変化分だけをアンテナ101を介してフラッディングする。さらに、送受信手段102は、他の無線装置から受信したローカル端末接続情報のチェックサムと、既に受信したチェックサムとが一致しないとき、無線装置1からローカル端末接続情報の送信元である無線装置までのホップ数をトポロジー情報TPIFに基づいて算出し、その算出したホップ数に応じて決定された送信間隔で送信元の無線装置へローカル端末接続情報の送信要求を送信する。この場合、送受信手段102は、算出したホップ数が相対的に小さいとき、相対的に短い送信間隔でローカル端末接続情報の送信要求を送信元の無線装置へ送信し、算出したホップ数が相対的に大きいとき、相対的に長い送信間隔でローカル端末接続情報の送信要求を送信元の無線装置へ送信する。さらに、送受信手段102は、無線装置1が新規に無線通信システム100へ参加した場合、無線装置1に隣接する無線装置へグローバル端末接続情報の送信要求を送信する。さらに、送受信手段102は、無線装置1に隣接する無線装置からグローバル端末接続情報の送信要求を受信すると、グローバル端末接続情報106を隣接する無線装置へ送信する。さらに、送受信手段102は、無線装置1の配下に配置された端末装置から他の無線装置の配下に配置された端末装置宛てのパケットをアンテナ101を介して受信すると、送信先の端末装置が帰属する無線装置をグローバル端末接続情報106を参照して検出し、その検出した無線装置へ配下の端末装置から受信したパケットを送信する。さらに、送受信手段102は、無線装置1の配下に配置された端末装置宛てのパケットをアンテナ101を介して受信すると、その受信したパケットを無線装置1の配下に配置された端末装置へ送信する。
情報作成手段103は、送受信手段102が他の無線装置から受信した制御パケットPKT_CLを受けると、その受けた制御パケットPKT_CLに基づいて、無線装置1に隣接する無線装置のリストであるネイバーリストNTBLを作成し、その作成したネイバーリストNTBLを情報保持手段104に格納する。また、情報作成手段103は、送受信手段102が他の無線装置から受信したネイバーリストNTBLを受けると、その受けたネイバーリストNTBLに基づいて、後述する方法によってトポロジー情報TPIFを作成し、その作成したトポロジー情報TPIFを情報保持手段104に格納する。
情報保持手段104は、情報作成手段103が作成したネイバーリストNTBLおよびトポロジー情報TPIFを格納する。
図3は、図2に示すルーティングテーブル105の構成を示す概略図である。図3を参照して、ルーティングテーブル105は、送信先と、次の無線装置と、ホップ数とを含む。送信先、次の無線装置およびホップ数は、相互に対応付けられる。"送信先"は、送信先の無線装置のMACアドレスを表す。"次の無線装置"は、送信先にパケットPKTを送信するときに、次に送信すべき無線装置のMACアドレスを表す。"ホップ数"は、送信先までのホップ数を表す。例えば、図1において、無線装置1−無線装置3−無線装置9の経路によって無線装置1と無線装置9との間で無線通信が行なわれる場合、無線装置1のルーティングテーブル105のホップ数には、"2"が格納される。
図4は、図2に示すグローバル端末接続情報106の構成を示す概略図である。図4を参照して、グローバル端末接続情報106は、MAPアドレスと、STAアドレスと、シーケンス番号とからなる。MAPアドレス、STAアドレスおよびシーケンス番号は、相互に対応付けられる。
MAPアドレスは、無線装置1〜12のMACアドレスからなる。STAアドレスは、各無線装置の配下に配置された端末装置のMACアドレスからなる。シーケンス番号は、整数からなり、数値が大きい方が新しい端末接続情報であることを示す。
なお、各無線装置1〜12において作成されるローカル端末接続情報も、図4に示す"MAPアドレス"、"STAアドレス"および"シーケンス番号"からなる。
図5は、ネイバーリストNTBLの構成を示す概略図である。図5を参照して、ネイバーリストNTBLは、自己のアドレスと、隣接無線装置のアドレスとを含む。"自己のアドレス"は、ネイバーリストNTBLを作成する無線装置のMACアドレスからなる。"隣接無線装置のアドレス"は、ネイバーリストNTBLを作成する無線装置に隣接する無線装置のMACアドレスからなる。
この発明においては、各無線装置1〜12は、OLSRプロトコルに従ってルーティングテーブル105を作成する。OLSRプロトコルに従ったルーティングテーブル105の作成について詳細に説明する。無線装置1〜12は、ルーティングテーブル105を作成する場合、HelloメッセージおよびTCメッセージを送受信する。
Helloメッセージは、各無線装置1〜12が有する情報の配信を目的として、定期的に送信される。このHelloメッセージを受信することによって、各無線装置1〜12は、周辺の無線装置に関する情報を収集でき、自己の周辺にどのような無線装置が存在するのかを認識する。
OLSRプロトコルにおいては、各無線装置1〜12は、ローカルリンク情報を管理する。そして、Helloメッセージは、このローカルリンク情報の構築および送信を行なうためのメッセージである。ローカルリンク情報は、「リンク集合」、「隣接無線装置集合」、「2ホップ隣接無線装置集合とそれらの無線装置へのリンク集合」、「MPR集合」、および「MPRセレクタ集合」を含む。
リンク集合は、直接的に電波が届く無線装置(隣接無線装置)の集合へのリンクのことであり、各リンクは、2つの無線装置間のアドレスの組の有効時間によって表現される。なお、有効時間は、そのリンクが単方向なのか双方向なのかを表すためにも利用される。
隣接無線装置集合は、各隣接無線装置のアドレス、およびその無線装置の再送信の積極度(Willingness)等によって構成される。2ホップ隣接無線装置集合は、隣接無線装置に隣接する無線装置の集合を表す。
MPR集合は、MPRとして選択された無線装置の集合である。なお、MPRとは、各パケットPKTを無線通信システム100の全ての無線装置1〜12へ送信する場合、必要最小限な通信回数によってパケットPKTを全ての無線装置1〜12へ送信できるように中継無線装置を選択することである。MPRセレクタ集合は、自己をMPRとして選択した無線装置の集合を表す。
ローカルリンク情報が確立される過程は、概ね、次のようになる。Helloメッセージは、初期の段階では、各無線装置1〜12が自己の存在を知らせるために、自己のアドレスが入ったHelloメッセージを隣接する無線装置へ送信する。これを、無線装置1〜12の全てが行ない、各無線装置1〜12は、自己の周りにどのようなアドレスを持った無線装置が存在するのかを把握する。このようにして、リンク集合および隣接無線装置集合が構築される。
そして、構築されたローカルリンク情報は、再び、Helloメッセージによって定期的に送り続けられる。これを繰返すことによって、各リンクが双方向であるのか、隣接無線装置の先にどのような無線装置が存在するのかが徐々に明らかになって行く。各無線装置1〜12は、このように徐々に構築されたローカルリンク情報を蓄える。
更に、MPRに関する情報も、Helloメッセージによって定期的に送信され、各無線装置1〜12へ告知される。各無線装置1〜12は、自己が送信するパケットPKTの再送信を依頼する無線装置として、いくつかの無線装置をMPR集合として隣接無線装置の中から選択している。そして、このMPR集合に関する情報は、Helloメッセージによって隣接する無線装置へ送信されるので、このHelloメッセージを受信した無線装置は、自己をMPRとして選択してきた無線装置の集合を「MPRセレクタ集合」として管理する。このようにすることにより、各無線装置1〜12は、どの無線装置から受信したパケットPKTを再送信すればよいのかを即座に認識できる。
Helloメッセージの送受信により各無線装置1〜12において、ローカルリンク集合が構築されると、無線通信システム100全体のトポロジーを知らせるためのTCメッセージが無線装置1〜12へ送信される。このTCメッセージは、MPRとして選択されている全ての無線装置によって定期的に送信される。そして、TCメッセージは、各無線装置とMPRセレクタ集合との間のリンクを含んでいるため、無線通信システム100の全ての無線装置1〜12は、全てのMPR集合および全てのMPRセレクタ集合を知ることができ、全てのMPR集合および全てのMPRセレクタ集合に基づいて、無線通信システム100の全体または一部のトポロジーを知ることができる。各無線装置1〜12は、無線通信システム100全体のトポロジーを用いて最短路を計算し、それに基づいて経路表を作成する。
なお、各無線装置1〜12は、Helloメッセージとは別に、TCメッセージを頻繁に交換する。そして、TCメッセージの交換にも、MPRが利用される。
各無線装置1〜12は、上述したHelloメッセージおよびTCメッセージを送受信し、無線通信システム100全体のトポロジーを認識し、その無線通信システム100全体のトポロジーに基づいて、最短路を計算し、それに基づいて、図3に示すルーティングテーブル105を動的に作成する。
図6は、無線通信システム100内の無線装置が作成するネイバーリストを示す図である。図6を参照して、無線装置7の送受信手段102は、Helloメッセージ=[MACaddress2]を無線装置2から直接受信し、その受信したHelloメッセージ=[MACaddress2]を情報作成手段103へ出力する。
無線装置7の情報作成手段103は、Helloメッセージ=[MACaddress2]を送受信手段102から受け、その受けたHelloメッセージ=[MACaddress2]に基づいて、無線装置7におけるネイバーリストNTBL_7を作成する(図6の(a)参照)。そして、無線装置7の情報作成手段103は、その作成したネイバーリストNTBL_7を情報保持手段104に格納する。
無線装置7の送受信手段102は、ネイバーリストNTBL_7が情報保持手段104に格納されると、ネイバーリストNTBL_7を情報保持手段104から読出し、その読出したネイバーリストNTBL_7を含むHelloメッセージを作成して送信する。そして、無線装置7の送受信手段102は、無線装置7にとってのMPRである無線装置のIPアドレスを含むTCメッセージを作成して無線通信システム100内でフラッディングする。
また、無線装置2の送受信手段102は、上述した動作によって、ネイバーリストNTBL_2(図6の(b)参照)を作成し、その作成したネイバーリストNTBL_2を含むHelloメッセージを作成して送信する。これにより、無線装置1,6〜8の送受信手段102は、無線装置1,6〜8から2ホップの領域内にどのような無線装置が存在するかを知ることができる。そして、無線装置2の送受信手段102は、無線装置2にとってのMPRである無線装置のIPアドレスを含むTCメッセージを作成して無線通信システム100内でフラッディングする。
さらに、無線装置1,3は、上述した動作によって、それぞれ、ネイバーリストNTBL_1,NTBL_3(図6の(c),(d)を参照)を作成し、その作成したネイバーリストNTBL_1,NTBL_3を含むHelloメッセージを作成して送信する。これにより、ネイバーリストNTBL_1を含むHelloメッセージを受信した無線装置2〜5の送受信手段102は、無線装置2〜5から2ホップの領域内にどのような無線装置が存在するかを知ることができ、ネイバーリストNTBL_3を含むHelloメッセージを受信した無線装置1,4,8〜10の送受信手段102は、無線装置1,4,8〜10から2ホップの領域内にどのような無線装置が存在するかを知ることができる。そして、無線装置1,3の送受信手段102は、無線装置1,3にとってのMPRである無線装置のIPアドレスを含むTCメッセージを作成して無線通信システム100内でフラッディングする。
さらに、他の無線装置4,5,6,8〜12も、上述した動作によって、自己のネイバーリストを作成し、その作成したネイバーリストを含むHelloメッセージを送信するとともに、自己にとってのMPRである無線装置のIPアドレスを含むTCメッセージを作成して無線通信システム100内でフラッディングする。
上述した動作によって、無線装置7は、自己から2ホップの領域内に存在する無線装置1,2,6,8を知るとともに、無線装置1〜6,8〜12にとってのMPRである無線装置を知ることができる。
図7は、トポロジー情報の概念図である。なお、図7に示すトポロジー情報TPIFは、無線通信システム100を構成する無線装置1〜12の完全なトポロジーを示すものではなく、一部のトポロジーが欠けている。
図7を参照して、無線装置7において、送受信手段102は、自己から2ホップの領域内に存在する無線装置1,2,6,8を知るとともに、無線装置1〜6,8〜12にとってのMPRである無線装置を知ることによって、無線通信システム100を構成する無線装置1〜12のトポロジーを示すトポロジー情報TPIFを作成する。
図8は、ローカル端末接続情報の例を示す図である。また、図9は、グローバル端末接続情報の例を示す図である。図1に示す無線装置7の送受信手段102は、端末装置21〜23から受信するパケットのMACアドレスに基づいて、無線装置7の配下に存在する端末装置が端末装置21〜23であることを検知し、ローカル端末接続情報LAB1(図8の(a)参照)を作成するとともに、その作成したローカル端末接続情報LAB1を無線通信システム100内でフラッディングする。
また、無線装置9の送受信手段102は、同様にして、ローカル端末接続情報LAB2(図8の(b)参照)を作成するとともに、その作成したローカル端末接続情報LAB2を無線通信システム100内でフラッディングする。
この場合、無線装置7の送受信手段102は、ローカル端末接続情報LAB1を1つのパケットに収容可能であれば、ローカル端末接続情報LAB1を1つのパケットに収容してフラッディングし、ローカル端末接続情報LAB1を1つのパケットに収容不可能であれば、ローカル端末接続情報LAB1を2つ以上のブロックに分割し、その分割した2つ以上のブロックを2つ以上のパケットに収容してフラッディングする。無線装置9の送受信手段102も、同様にして、ローカル端末接続情報LAB2をフラッディングする。
なお、無線装置1〜6,8,10〜12の送受信手段102も、同様にして、ローカル端末接続情報を作成するとともに、その作成したローカル端末接続情報を無線通信システム100内でフラッディングする。
そうすると、無線装置7の送受信手段102は、無線装置7以外の無線装置1〜6,8〜12からローカル端末接続情報LAB2,・・・を受信し、その受信したローカル端末接続情報LAB2,・・・と、自己が作成したローカル端末接続情報LAB1とに基づいて、無線通信システム100全体における無線装置と端末装置との接続関係を示すグローバル端末接続情報106−1(図9参照)を作成し、その作成したグローバル端末接続情報106−1を保持する。
同様にして、無線装置1〜6,8〜12の各々も、グローバル端末接続情報106−1を作成するとともに、その作成したグローバル端末接続情報106−1を保持する。
このように、実施の形態1においては、無線通信システム100内に存在する全ての無線装置1〜12がグローバル端末接続情報106−1を作成して保持する。これによって、たとえば、端末装置21から端末装置24宛てのパケットを受信した無線装置7の送受信手段102は、グローバル端末接続情報106−1を参照して、端末装置21から受信したパケットを端末装置24へ送信するには、パケットを無線装置9へ送信すればよいことを即座に検知できる。
端末装置21が端末装置24との間でパケットを送受信するときの詳細な動作について説明する。端末装置21は、端末装置24宛てのパケットを作成し、その作成したパケットを無線装置7へ送信する。
無線装置7の送受信手段102は、アンテナ101を介して端末装置21からパケットを受信し、その受信したパケットのヘッダを参照して、パケットの送信先が端末装置24であることを検知する。
そうすると、無線装置7の送受信手段102は、グローバル端末接続情報106−1を参照して、端末装置24が接続される無線装置が無線装置9であることを検知する。そして、無線装置7の送受信手段102は、ルーティングテーブル105を参照して、パケットを無線装置9へ送信する経路を無線装置7−無線装置2−無線装置8−無線装置3−無線装置9と決定し、その決定した経路に沿ってパケットを無線装置9へ送信する。
無線装置2,8,3の送受信手段102は、それぞれ、無線装置7,2,8から受信したパケットをそれぞれ無線装置8,3,9へ中継する。この場合、無線装置2,8,3の送受信手段102は、受信したパケットの送信先である端末装置24が自己の配下に配置された端末装置と異なることをグローバル端末接続情報106−1を参照して検知するので、受信したパケットをそれぞれ無線装置8,3,9へ中継する。
そして、無線装置9の送受信手段102は、無線装置7から送信されたパケットを受信し、その受信したパケットのヘッダを参照して、受信したパケットの送信先が端末装置24であることを検知する。その後、無線装置9の送受信手段102は、グローバル端末接続情報106−1を参照して、パケットの送信先である端末装置24が無線装置9の配下に配置された端末装置であることを検知し、無線装置3から受信したパケットを端末装置24へ送信する。そして、端末装置24は、無線装置9からパケットを受信する。これによって、パケットは、送信元である端末装置21から送信先である端末装置24へ送信される。
パケットを受信した端末装置24は、端末装置21宛てのパケットを作成して無線装置9へ送信する。そして、無線装置9の送受信手段102は、端末装置24からのパケットを受信し、その受信したパケットのヘッダを参照して、パケットの送信先が端末装置21であることを検知する。
そうすると、無線装置9の送受信手段102は、グローバル端末接続情報106−1を参照して、端末装置21が接続される無線装置が無線装置7であることを検知する。そして、無線装置9の送受信手段102は、ルーティングテーブル105を参照して、パケットを無線装置7へ送信する経路を無線装置9−無線装置3−無線装置8−無線装置2−無線装置7と決定し、その決定した経路に沿ってパケットを無線装置7へ送信する。
無線装置3,8,2の送受信手段102は、それぞれ、無線装置9,3,8から受信したパケットをそれぞれ無線装置8,2,7へ中継する。この場合、無線装置3,8,2の送受信手段102は、受信したパケットの送信先である端末装置21が自己の配下に配置された端末装置と異なることをグローバル端末接続情報106−1を参照して検知するので、受信したパケットをそれぞれ無線装置8,2,7へ中継する。
そして、無線装置7の送受信手段102は、無線装置9から送信されたパケットを受信し、その受信したパケットのヘッダを参照して、受信したパケットの送信先が端末装置21であることを検知する。その後、無線装置7の送受信手段102は、グローバル端末接続情報106−1を参照して、パケットの送信先である端末装置21が無線装置7の配下に配置された端末装置であることを検知し、無線装置2から受信したパケットを端末装置21へ送信する。そして、端末装置21は、無線装置7からパケットを受信する。これによって、パケットは、送信元である端末装置24から送信先である端末装置21へ送信される。
このように、無線装置1〜12が保持するグローバル端末接続情報106−1を用いて端末装置21と端末装置24との間で無線通信が行なわれる。
上述した方法によって、無線通信が行なわれる無線通信システム100において、負荷を低減する方法について説明する。
(低減方法1)
図10は、無線通信システム100における負荷を低減する低減方法1を説明するための図である。また、図11は、ローカル端末接続情報の変化分の構成を示す図である。さらに、図12および図13は、グローバル端末接続情報の他の例を示す図である。
実施の形態1においては、無線通信システム100を構成する無線装置1〜12の各々がグローバル端末接続情報106を保持することを前提として、各無線装置1〜12は、自己のローカル端末接続情報LABが変化した場合、その変化分のみを無線通信システム100内でフラッディングする。
ローカル端末接続情報LABが変化する場合としては、各無線装置1〜12の配下に配置された端末装置が増加する場合と、各無線装置1〜12の配下に配置された端末装置が減少する場合とがある。そして、ローカル端末接続情報LABが変化した無線装置は、ローカル端末接続情報LABの変化分LAB_dif(図11参照)を作成して無線通信システム100内でフラッディングする。この場合、変化分LAB_difは、変化情報IF_dif1〜IF_difj(jは正の整数)と、チェックサムCSMとからなる。
変化情報IF_dif1〜IF_difjの各々は、STAアドレスと、シーケンス番号と、MAPアドレスと、フラグとからなる。STAアドレスは、変化した端末装置のMACアドレスである。すなわち、STAアドレスは、追加された端末装置のMACアドレスまたは削除された端末装置のMACアドレスである。
シーケンス番号は、ローカル端末接続情報LABにおいて、変化した端末装置のMACアドレスに対応するシーケンス番号である。MAPアドレスは、変化した端末装置が帰属していた、または帰属する無線装置のMACアドレスである。
フラグは、変化情報IF_dif1〜IF_difjが追加された情報か削除された情報かを示す。そして、フラグは、IF_dif1〜IF_difjが追加された情報である場合、"1"からなり、IF_dif1〜IF_difjが作成された情報である場合、"0"からなる。
チェックサムCSMは、更新されたローカル端末接続情報LABのチェックサムからなる。
図10の(a)を参照して、無線装置7の配下に配置された端末装置が端末装置21〜23から端末装置21〜23,27に増加した場合、無線装置7の送受信手段102は、無線装置7に帰属する端末装置が端末装置21〜23から端末装置21〜23,27に増加したことを検知し、ローカル端末接続情報LABの変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/CSM1]を作成し、その作成した変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/CSM1]を無線通信システム100内でフラッディングする(図10の(a)において矢印はフラッディングを表す)。
そうすると、無線通信システム100内の無線装置1〜6,8〜12の各々は、無線装置7から送信された変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/CSM1]を受信する。そして、各無線装置1〜6,8〜12の送受信手段102は、受信した変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/CSM1]の"MACaddress27"、"MACaddress7"および"1"を検出して無線装置7に帰属する端末装置として端末装置27が追加されたことを検知する。各無線装置1〜6,8〜12は、無線装置7に帰属する端末装置として端末装置27が追加されたことを検知すると、無線装置7に帰属する端末装置として端末装置27をグローバル端末接続情報106−1に追加してグローバル端末接続情報106−1をグローバル端末接続情報106−2に更新する(図12参照)。
図10の(b)を参照して、無線装置7の配下に配置された端末装置が端末装置21〜23から端末装置22,23に減少した場合、無線装置7の送受信手段102は、無線装置7に帰属する端末装置が端末装置21〜23から端末装置22,23に減少したことを検知し、ローカル端末接続情報LABの変化分LAB_dif=[MACaddress21/10/MACaddress7/0/CSM2]を作成し、その作成した変化分LAB_dif=[MACaddress21/10/MACaddress7/0/CSM2]を無線通信システム100内でフラッディングする(図10の(b)において矢印はフラッディングを表す)。
そうすると、無線通信システム100内の無線装置1〜6,8〜12の各々は、無線装置7から送信された変化分LAB_dif=[MACaddress21/10/MACaddress7/0/CSM2]を受信する。そして、各無線装置1〜6,8〜12の送受信手段102は、受信した変化分LAB_dif=[MACaddress21/10/MACaddress7/0/CSM2]の"MACaddress21"、"MACadoress7"および"0"を検出して無線装置7に帰属する端末装置として端末装置21が削除されたことを検知する。各無線装置1〜6,8〜12は、無線装置7に帰属する端末装置として端末装置21が削除されたことを検知すると、端末装置21をグローバル端末接続情報106−1から削除してグローバル端末接続情報106−1をグローバル端末接続情報106−3に更新する(図13参照)。
なお、無線装置1〜6,8〜12の各々も、無線装置7と同様にして、自己のローカル端末接続情報LABの変化分LAB_difを作成して無線通信システム100内でフラッディングし、各無線装置1〜6,8〜12から変化分LAB_difを受信した無線装置は、上述した方法によって、自己のグローバル端末接続情報106を更新する。
また、ローカル端末接続情報LABの更新後のチェックサムCSMを変化分LAB_difに含めるのは、次の理由による。無線装置7に帰属する端末装置として端末装置27,28が追加された場合、無線装置7は、変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/MACaddress28/71/MACaddress7/1/CSM3]をフラッディングし、無線装置1〜6,8〜12の各々は、変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/MACaddress28/71/MACaddress7/1/CSM3]を受信する。この場合、無線装置1〜6,8〜12の各々は、変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/MACaddress28/71/MACaddress7/1/CSM3]の"MACaddress27/70/MACaddress7"を正確に受信し、"MACaddress28/71/MACaddress7"を正確に受信できないとする。
そうすると、無線装置1〜6,8〜12の各々は、"MACaddress27/70/MACaddress7"を自己のローカル端末接続情報LABに追加して自己のローカル端末接続情報LABを更新する。そして、無線装置1〜6,8〜12の各々は、更新したローカル端末接続情報LABのチェックサムCSMxを演算し、その演算したチェックサムCSMxと変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/MACaddress28/71/MACaddress7/1/CSM3]に含まれるチェックサムCSM3とが一致するか否かを判定し、チェックサムCSMxがチェックサムCSM3に一致しないことを検知する。
その結果、無線装置1〜6,8〜12の各々は、変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/MACaddress28/71/MACaddress7/1/CSM3]を正確に受信できなかったことを検知し、送信要求ABBRを無線装置7へ送信することによって、更新後のローカル端末接続情報LABを送信するように送信元の無線装置7に要求する。
一方、変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/MACaddress28/71/MACaddress7/1/CSM3]が正確に受信された場合、チェックサムCSMxがチェックサムCSM3に一致するので、無線装置1〜6,8〜12の各々は、チェックサムCSMxがチェックサムCSM3に一致することを確認することによって、変化分LAB_dif=[MACaddress27/70/MACaddress7/1/MACaddress28/71/MACaddress7/1/CSM3]を正確に受信したことを検知する。
このように、変化分LAB_difが正確に受信されたか否かをチェックするために、更新されたローカル端末接続情報LABのチェックサムCSMを変化分LAB_difに含めることにしたものである。
このように、負荷の低減方法1においては、各無線装置1〜12は、自己のローカル端末接続情報LABが変化した場合のみ、その変化分LAB_difを作成して無線通信システム100内でフラッディングするので、FDM(Full Base Diffusion Mode)に従ってローカル端末接続情報LABを定期的に無線通信システム100内でフラッディングする従来方式に比べ、無線通信システム100の負荷を低減できる。
(低減方法2)
負荷の低減方法2においては、各無線装置1〜12は、自己のローカル端末接続情報LABが変化した場合、CDM(Checksum Diffusion Mode)に従ってローカル端末接続情報LABのチェックサムを演算し、その演算したチェックサムを無線通信システム100内でフラッディングする。
図14は、負荷の低減方法2を説明するための図である。図14を参照して、たとえば、無線装置7の送受信手段102は、自己のローカル端末接続情報LABを更新すると、その更新したローカル端末接続情報LABのチェックサムCSMを演算し、その演算したチェックサムCSMを無線通信システム100内でフラッディングする。
無線装置1〜6,8〜12の各々において、送受信手段102は、無線装置7から送信されたチェックサムCSMを受信し、その受信したチェックサムCSMと、既に受信したチェックサムとを比較し、両者が不一致である場合、無線装置1〜6,8〜12からチェックサムCSMの送信元である無線装置7までのホップ数をトポロジー情報TPIFに基づいて検出する。
たとえば、無線装置2の送受信手段102は、無線装置2から無線装置7までのホップ数として"1"を検出し、無線装置1,6,8の送受信手段102は、無線装置1,6,8から無線装置7までのホップ数として"2"を検出する。また、無線装置3〜5の送受信手段102は、無線装置3〜5から無線装置7までのホップ数として"3"を検出し、無線装置9〜12の送受信手段102は、無線装置9〜12から無線装置7までのホップ数として"4"を検出する。
そうすると、無線装置1〜6,8〜12の送受信手段102は、検出したホップ数に応じて、ローカル端末接続情報LABの送信要求(ABBR:Association Base Block Request)を送信する送信間隔を決定する。すなわち、無線装置2の送受信手段102は、無線装置2から無線装置7までのホップ数が"1"と最も小さいので、最も短い送信間隔TT1を決定し、無線装置1,6,8の送受信手段102は、無線装置1,6,8から無線装置7までのホップ数が"2"と2番目に小さいので、2番目に短い送信間隔TT2を決定し、無線装置3〜5の送受信手段102は、無線装置3〜5から無線装置7までのホップ数が"3"と3番目に小さいので、3番目に短い送信間隔TT3を決定し、無線装置9〜12の送受信手段102は、無線装置9〜12から無線装置7までのホップ数が"4"と最も大きいので、最も長い送信間隔TT4を決定する。
この場合、各無線装置1〜12は、チェックサムCSMの送信元までのホップ数と送信要求ABBRの送信間隔との対応表を保持しており、チェックサムCSMの送信元までのホップ数を検出すると、対応表を参照して送信要求ABBRの送信間隔を決定する。
そして、無線装置2の送受信手段102は、ローカル端末接続情報LABの送信要求ABBRを送信間隔TT1で無線装置7へ送信し、無線装置1,6,8の送受信手段102は、ローカル端末接続情報LABの送信要求ABBRを送信間隔TT2で無線装置7へ送信し、無線装置3〜5の送受信手段102は、ローカル端末接続情報LABの送信要求ABBRを送信間隔TT3で無線装置7へ送信し、無線装置9〜12の送受信手段102は、ローカル端末接続情報LABの送信要求ABBRを送信間隔TT4で無線装置7へ送信する。その結果、無線装置2による送信要求ABBRの送信タイミングが最も早くなり、無線装置1,6,8による送信要求ABBRの送信タイミングが2番目に早くなり、無線装置3〜5による送信要求ABBRの送信タイミングが3番目に早くなり、無線装置9〜12による送信要求ABBRの送信タイミングが最も遅くなる。すなわち、無線装置1〜6,8〜12の送受信手段102は、チェックサムCSMの送信元である無線装置7から近い順にローカル端末接続情報LABの送信要求ABBRを無線装置7へ送信する。
チェックサムCSMの送信元である無線装置7の送受信手段102は、無線装置1〜6,8〜12からのローカル端末接続情報LABの送信要求ABBRを順次受信し、更新されたローカル端末接続情報LABを無線通信システム100内でフラッディングする。
そして、無線装置1〜6,8〜12の送受信手段102は、更新されたローカル端末接続情報LABを無線装置7から受信し、その受信したローカル端末接続情報LABに基づいて、自己のグローバル端末接続情報106を更新する。
このように、負荷の低減方法2においては、既に受信したチェックサムと異なるチェックサムCSMを受信した無線装置1〜6,8〜12の送受信手段102は、チェックサムCSMの送信元である無線装置7に近い順にローカル端末接続情報LABの送信要求ABBRを無線装置7へ送信するので、送信要求ABBRが無線装置7に集中するのを防止できる。その結果、無線装置1〜6,8〜12が送信要求ABBRを同じタイミングで送信する場合に比べ、無線通信システム100の負荷を低減できる。
また、無線装置7は、無線装置2から送信要求ABBRを受信すると、更新したローカル端末接続情報LABをフラッディングするので、無線装置7から最も遠い位置に存在する無線装置9〜11は、送信要求ABBRを無線装置7へ送信する前に無線装置7から更新されたローカル端末接続情報LABを受信できる場合があり、その場合には、そもそも送信要求ABBRを無線装置7へ送信しなくても済む。その結果、無線装置1〜6,8〜12が送信要求ABBRを同じタイミングで送信する場合に比べ、無線通信システム100の負荷を低減できる。
なお、上記においては、チェックサムCSMの送信元である無線装置7までのホップ数が同じである無線装置1,6,8は、同じ送信間隔TT2で送信要求ABBRを送信すると説明したが、この発明においては、無線装置1,6,8のうち、無線装置7にとってMPRになっている無線装置がMPRになっていない無線装置よりも短い送信間隔(すなわち、早い送信タイミング)で送信要求ABBRを無線装置7へ送信してもよい。無線装置3〜5および無線装置9〜12についても同様である。
(低減方法3)
図15は、負荷の低減方法3を説明するための図である。図15を参照して、無線装置13が無線通信システム100に新規に参加した場合、無線装置13の送受信手段102は、無線装置13に隣接する無線装置7へグローバル端末接続情報106の送信要求GAB_Reqを送信する。
そして、無線装置7の送受信手段102は、グローバル端末接続情報106の送信要求GAB_Reqを無線装置13から受信し、送信要求GAB_Reqに応じて、保持しているグローバル端末接続情報106−1(図9参照)を無線装置13へ送信する(なお、図15においては、グローバル端末接続情報を"GAB"と表記する)。
そうすると、無線装置13の送受信手段102は、グローバル端末接続情報106−1を無線装置7から受信し、その受信したグローバル端末接続情報106−1を保持する。
このように、負荷の低減方法3においては、無線通信システム100に新規に参加した無線装置13が存在する場合、新規に参加した無線装置13と、無線装置13に隣接する無線装置7との間で、グローバル端末接続情報106の送信要求GAB_Reqと、グローバル端末接続情報106(GAB)とが送受信される。すなわち、無線通信システム100の無線装置7−無線装置13間でのみ、無線通信が行なわれる。
したがって、無線通信システムに新規に参加した無線装置が存在する場合に、既に存在している無線装置の全てが新規に参加した無線装置へFDMに従ってローカル端末接続情報を送信する場合に比べ、無線通信システム100の負荷を低減できる。
上述した負荷の低減方法1,2は、各無線装置1〜12の配下に配置された端末装置が変化した場合に、その変化を他の無線装置へ広告するときの無線通信の負荷を低減することに相当し、上述した負荷の低減方法3は、無線装置13が無線通信システム100に新規に参加した場合に、新規に参加した無線装置13が無線通信システム100全体のグローバル端末接続情報106を取得するときの無線通信の負荷を低減することに相当する。
そして、各無線装置1〜12の配下に配置された端末装置が変化すること、および無線装置13が無線通信システム100に新規に参加することは、無線通信システム100のトポロジーが変化することに相当する。
したがって、実施の形態1における負荷の低減方法は、一般的には、無線通信システム100のトポロジーが変化した場合に、そのトポロジーの変化を必要最小限の通信によって送受信する低減方法であれば、どのような低減方法であってもよい。
なお、実施の形態1においては、無線装置1〜12は、「複数の無線装置」を構成し、無線装置7は、「第1の無線装置」を構成し、無線装置1〜6,8〜12は、「n(nは正の整数)個の第2の無線装置」を構成する。
また、無線装置13は、「第1の無線装置」を構成し、無線装置7は、「第2の無線装置」を構成する。
[実施の形態2]
図16は、実施の形態2による無線通信システムの概略図である。図16を参照して、実施の形態2による無線通信システム100Aは、図1に示す無線通信システム100の無線装置1〜11を無線装置1A〜11Aに代えたものであり、その他は、無線通信システム100と同じである。そして、実施の形態2においては、端末装置21〜23は、無線装置7Aに帰属し、端末装置24〜26は、端末装置9Aに帰属する。なお、図16には図示されていないが、無線装置1A〜6A,8A,10A,11A,12に帰属する端末装置も存在する。
図17は、図16に示す無線装置1Aの構成を示す概略図である。図17を参照して、無線装置1Aは、図2に示す無線装置1の送受信手段102およびグローバル端末接続情報106をそれぞれ送受信手段102Aおよび端末接続情報106Aに代えたものであり、その他は、無線装置1と同じである。
送受信手段102Aは、送受信手段102と同じように、無線装置1Aと、無線装置1Aに帰属する端末装置との接続関係を示すローカル端末接続情報LABを作成する。そして、送受信手段102Aは、その作成したローカル端末接続情報LABをユニキャストによってルーツノードである無線装置12へ送信する。
また、送受信手段102Aは、自己が作成したローカル端末接続情報LABと、他の無線装置から受信したローカル端末接続情報LABとに基づいて、端末接続情報106Aを作成する。送受信手段102Aは、その他、送受信手段102と同じ機能を果たす。
端末接続情報106Aは、グローバル端末接続情報106と同じ構成からなり(図4参照)、グローバル端末接続情報106よりも少ない接続情報を有する。すなわち、端末接続情報106Aは、無線通信システム100A全体における無線装置と端末装置との接続情報からなるのではなく、無線装置1Aにおいて作成されたローカル端末接続情報LABと、無線装置2A〜11A,12のうちの一部の無線装置が作成したローカル端末接続情報LABとからなる。
なお、無線装置2A〜11Aの各々は、図17に示す無線装置1Aと同じ構成からなる。
無線通信システム100Aにおいては、無線装置1A〜11Aの各々は、グローバル端末接続情報106を保持せず、ルーツノードである無線装置12のみがグローバル端末接続情報106を保持する。
ルーツノードである無線装置12がグローバル端末接続情報106を構築する場合、無線装置1A〜11Aの各々は、自己が作成したローカル端末接続情報LABをユニキャストによって無線装置12(ルーツノード)へ送信する。
そうすると、無線装置12(ルーツノード)の送受信手段102は、無線装置1A〜11Aからユニキャストによって送信された複数のローカル端末接続情報LABを受信し、自己が作成したローカル端末接続情報LABと、無線装置1A〜11Aから受信した複数のローカル端末接続情報LABとに基づいて、グローバル端末接続情報106を作成する。
この場合、各無線装置1A〜11Aがローカル端末接続情報LABを無線装置12(ルーツノード)へ送信するときの経路上に存在する無線装置の送受信手段102Aは、他の無線装置が作成したローカル端末接続情報LABを無線装置12(ルーツノード)へ中継するときに他の無線装置が作成したローカル端末接続情報LABを端末接続情報106Aに登録する。これによって、無線装置1A〜11Aの送受信手段102Aは、無線装置12(ルーツノード)がグローバル端末接続情報106を構築する過程において、端末接続情報106Aを作成できる。
上述した無線通信システム100Aにおいて、以下、負荷を低減する方法について説明する。
(低減方法4)
負荷の低減方法4においては、各無線装置1A〜11Aは、自己の配下に配置された端末装置から受信したパケットの送信先である端末装置が帰属する無線装置を知らない場合、ルーツノードである無線装置12を経由してパケットを送信先の端末装置へ送信する。
図18は、負荷の低減方法4を説明するための図である。また、図19は、ローカル端末接続情報の他の例を示す図である。図18においては、無線装置7Aの配下に配置された端末装置21と、無線装置9Aの配下に配置された端末装置24との間でパケットを送受信する場合を例にして負荷の低減方法4について説明する。この場合、無線装置7Aは、ローカル端末接続情報LAB3(図19の(a)参照)からなる端末接続情報106Aを保持し、無線装置9Aは、ローカル端末接続情報LAB4(図19の(b)参照)からなる端末接続情報106Aを保持する。
図18を参照して、無線装置7Aの送受信手段102Aは、自己の配下に配置された端末装置21から無線装置9Aの配下に配置された端末装置24宛てのパケットPKTを受信すると、送信先の端末装置24と、送信先の端末装置24が帰属する無線装置9Aとの接続関係を示す情報が端末接続情報106A(=ローカル端末接続情報LAB3)に含まれるか否かを判定する。
そして、無線装置7Aの送受信手段102Aは、端末装置24と無線装置9Aとの接続関係を示す情報が端末接続情報106A(=ローカル端末接続情報LAB3)に含まれていないと判定したとき、自己が作成したローカル端末接続情報LAB3(図19の(a)参照)と、自己の配下に配置された端末装置から受信したパケットPKTとを無線装置12(ルーツノード)へ送信する経路をルーティングテーブル105を参照して無線装置7A−無線装置2A−無線装置6A−無線装置5A−無線装置12からなる経路と決定し、その決定した経路に沿ってパケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を送信する。この場合、無線装置2A,6A,5Aの送受信手段102Aは、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を中継する。
無線装置12(ルーツノード)の送受信手段102は、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を受信し、その受信したパケットPKTのヘッダを参照して送信先の端末装置24を検出し、その検出した端末装置24が帰属する無線装置9Aをグローバル端末接続情報106を参照して検出する。
そうすると、無線装置12(ルーツノード)の送受信手段102は、ルーティングテーブル105を参照して、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を無線装置9Aへ送信する経路を無線装置12−無線装置4A−無線装置9Aからなる経路と決定し、その決定した経路に沿ってパケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を送信する。この場合、無線装置4Aの送受信手段102Aは、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を中継する。
そして、無線装置9Aの送受信手段102Aは、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を受信し、その受信したローカル端末接続情報LAB3を端末接続情報106Aに登録する。また、無線装置9Aの送受信手段102Aは、その受信したパケットPKTのヘッダを参照してパケットPKTの送信先が端末装置24であることを検出する。その後、無線装置9Aの送受信手段102Aは、自己が作成したローカル端末接続情報LAB4(図19の(b)参照)を参照して、端末装置24が無線装置9Aの配下に配置された端末装置であることを検知し、パケットPKTを端末装置24へ送信する。そして、端末装置24は、端末装置21から送信されたパケットPKTを受信する。
端末装置24は、端末装置21から送信されたパケットPKTを受信すると、端末装置21宛てのパケットPKTを作成して無線装置9Aへ送信する。
無線装置9Aの送受信手段102Aは、端末装置24からパケットPKTを受信し、その受信したパケットPKTのヘッダを参照して、パケットPKTの送信先が端末装置21であることを検出する。そして、無線装置9Aの送受信手段102Aは、端末接続情報106Aを参照して、端末装置21が無線装置7Aに帰属することを検知する。そうすると、無線装置9Aの送受信手段102Aは、パケットPKTと、自己が作成したローカル端末接続情報LAB4とを無線装置7Aへ送信するための経路を、ルーティングテーブル105を参照して無線装置9A−無線装置3A−無線装置8A−無線装置2A−無線装置7Aからなる経路と決定し、その決定した経路に沿ってパケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB4を送信する。この場合、無線装置3A,8A,2Aは、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB4を中継する。
そして、無線装置7Aの送受信手段102Aは、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB4を受信し、その受信したローカル端末接続情報LAB4を端末接続情報106Aに登録する。また、無線装置7Aの送受信手段102Aは、その受信したパケットPKTのヘッダを参照してパケットPKTの送信先が端末装置21であることを検出する。その後、無線装置7Aの送受信手段102Aは、端末接続情報106Aを参照して、端末装置21が無線装置7Aの配下に配置された端末装置であることを検知し、パケットPKTを端末装置21へ送信する。そして、端末装置21は、端末装置24から送信されたパケットPKTを受信する。
パケットPKTが端末装置21と端末装置24との間で、1回、送受信されると、無線装置7Aは、ローカル端末接続情報LAB4を含む端末接続情報106Aを保持し、無線装置9Aは、ローカル端末接続情報LAB3を含む端末接続情報106Aを保持するので、以後、端末装置21および端末装置24は、無線装置7A−無線装置2A−無線装置8A−無線装置3A−無線装置9Aからなる経路を介して相互にパケットPKTを送受信する。
なお、パケットPKTが端末装置24から端末装置21へ送信される場合に、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB4を中継する無線装置3A,8A,2Aの送受信手段102Aは、ローカル端末接続情報LAB4を端末接続情報106Aに登録するようにしてもよい。
また、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を中継する無線装置2A,6A,5A,4Aの送受信手段102Aは、ローカル端末接続情報LAB3を端末接続情報106Aに登録するようにしてもよい。
さらに、無線装置7Aが端末装置21からパケットPKTを最初に受信したときにローカル端末接続情報LAB4を含む端末接続情報106Aを保持している場合、パケットPKTと自己のローカル端末接続情報LAB3とを無線装置7A−無線装置2A−無線装置8A−無線装置3A−無線装置9Aからなる経路に沿って無線装置9Aへ送信する。
さらに、上記においては、無線装置7Aの配下に配置された端末装置21と、無線装置9Aの配下に配置された端末装置24との間でパケットを送受信する場合を例にして負荷の低減方法4について説明したが、無線装置7A,9A以外の異なる2つの無線装置の配下に配置された2つの端末装置間でパケットを送受信する場合も、上述した方法によって無線通信が行なわれる。
上述したように、負荷の低減方法4においては、端末装置21からパケットPKTを受信した無線装置7Aは、パケットPKTの送信先である端末装置24が帰属する無線装置を検知できない場合、グローバル端末接続情報106を保持している無線装置12(ルーツノード)を経由して送信先の端末装置24へパケットPKTを送信する。
(低減方法5)
負荷の低減方法5においては、各無線装置1A〜11Aは、自己の配下に配置された端末装置から受信したパケットの送信先である端末装置が帰属する無線装置を知らない場合、送信先の端末装置が帰属する無線装置をルーツノードである無線装置12に問合わせをしてパケットを送信先の端末装置へ送信する。
図20は、負荷の低減方法5を説明するための図である。図20においては、無線装置7Aの配下に配置された端末装置21と、無線装置9Aの配下に配置された端末装置24との間でパケットを送受信する場合を例にして負荷の低減方法5について説明する。
図20を参照して、無線装置7Aの送受信手段102Aは、自己の配下に配置された端末装置21から無線装置9Aの配下に配置された端末装置24宛てのパケットPKTを受信すると、送信先の端末装置24と、送信先の端末装置24が帰属する無線装置9Aとの接続関係を示す情報が端末接続情報106Aに含まれるか否かを判定する。
そして、無線装置7Aの送受信手段102Aは、端末装置24と無線装置9Aとの接続関係を示す情報が端末接続情報106Aに含まれていないと判定したとき、ローカル端末接続情報LAB4(図19の(b)参照)の送信要求STA_Reqを作成し、その作成した送信要求STA_Reqをユニキャストによって無線装置12(ルーツノード)へ送信する。なお、図20において、無線装置7A→無線装置2A→無線装置6A→無線装置5A→無線装置12の経路に沿った点線は、送信要求STA_Reqの流れを表す。
無線装置12(ルーツノード)の送受信手段102は、ローカル端末接続情報LAB4の送信要求STA_Reqを受信すると、グローバル端末接続情報106からローカル端末接続情報LAB4を抽出し、その抽出したローカル端末接続情報LAB4を含む応答STA_Replを無線装置5A,6A,2Aを介してユニキャストによって無線装置7Aへ送信する。この場合、応答STA_Replを中継する無線装置5A,6A,2Aの送受信手段102Aは、応答STA_Replに含まれるローカル端末接続情報LAB4を抽出して端末接続情報106Aに登録する。なお、図20において、無線装置12→無線装置5A→無線装置6A→無線装置2A→無線装置7Aの経路に沿った点線は、応答STA_Replの流れを表す。
そして、無線装置7Aの送受信手段102Aは、応答STA_Replを受信し、その受信した応答STA_Replに含まれるローカル端末接続情報LAB4を抽出して端末接続情報106Aに登録する。
そうすると、無線装置7Aの送受信手段102Aは、端末接続情報106Aを参照すれば、端末装置21から受信したパケットPKTの送信先である端末装置24の帰属先が無線装置9Aであることを検知できるので、ルーティングテーブル105を参照して、パケットPKTおよび自己が作成したローカル端末接続情報LAB3を無線装置9Aへ送信するための経路を無線装置7A−無線装置2A−無線装置8A−無線装置3A−無線装置9Aからなる経路と決定し、その決定した経路に沿ってパケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を無線装置9Aへ送信する。なお、図20における実線の矢印は、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB(またはパケットPKT)の流れを表す。
この場合、無線装置2A,8A,3Aは、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を中継するので、無線装置2A,8A,3Aの送受信手段102Aは、ローカル端末接続情報LAB3を端末接続情報106Aに登録してもよい。
そして、無線装置9Aの送受信手段102Aは、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を受信し、その受信したローカル端末接続情報LAB3を端末接続情報106Aに登録する。また、無線装置9Aの送受信手段102Aは、その受信したパケットPKTのヘッダを参照して、パケットPKTの送信先が端末装置24であることを検出する。その後、無線装置9Aの送受信手段102Aは、端末接続情報106Aを参照して、端末装置24が無線装置9Aの配下に配置された端末装置であることを検知し、パケットPKTを端末装置24へ送信する。そして、端末装置24は、端末装置21から送信されたパケットPKTを受信する。
端末装置24は、端末装置21から送信されたパケットPKTを受信すると、端末装置21宛てのパケットPKTを作成して無線装置9Aへ送信する。
無線装置9Aの送受信手段102Aは、端末装置24からパケットPKTを受信し、その受信したパケットPKTのヘッダを参照して、パケットPKTの送信先が端末装置21であることを検出する。そして、無線装置9Aの送受信手段102Aは、端末接続情報106Aを参照して、端末装置21が無線装置7Aに帰属することを検知する。そうすると、無線装置9Aの送受信手段102Aは、パケットPKTを無線装置7Aへ送信するための経路を、ルーティングテーブル105を参照して無線装置9A−無線装置3A−無線装置8A−無線装置2A−無線装置7Aからなる経路と決定し、その決定した経路に沿ってパケットPKTを送信する。
そして、無線装置7Aの送受信手段102Aは、パケットPKTを受信し、その受信したパケットPKTのヘッダを参照してパケットPKTの送信先が端末装置21であることを検出する。その後、無線装置7Aの送受信手段102Aは、端末接続情報106Aを参照して、端末装置21が無線装置7Aの配下に配置された端末装置であることを検知し、パケットPKTを端末装置21へ送信する。そして、端末装置21は、端末装置24から送信されたパケットPKTを受信する。
パケットPKTが端末装置21から端末装置24へ、1回、送信されると、無線装置7Aは、ローカル端末接続情報LAB4を含む端末接続情報106Aを保持し、無線装置9Aは、ローカル端末接続情報LAB3を含む端末接続情報106Aを保持するので、以後、端末装置21および端末装置24は、無線装置7A−無線装置2A−無線装置8A−無線装置3A−無線装置9Aからなる経路を介して相互にパケットPKTを送受信する。
なお、無線装置7Aが端末装置21からパケットPKTを最初に受信したときにローカル端末接続情報LAB4を含む端末接続情報106Aを保持している場合、パケットPKTと自己のローカル端末接続情報LAB3とを無線装置7A−無線装置2A−無線装置8A−無線装置3A−無線装置9Aからなる経路に沿って無線装置9Aへ送信する。
また、上記においては、無線装置7Aの配下に配置された端末装置21と、無線装置9Aの配下に配置された端末装置24との間でパケットを送受信する場合を例にして負荷の低減方法5について説明したが、無線装置7A,9A以外の異なる2つの無線装置の配下に配置された2つの端末装置間でパケットを送受信する場合も、上述した方法によって無線通信が行なわれる。
上述したように、負荷の低減方法5においては、端末装置21からパケットPKTを受信した無線装置7Aは、パケットPKTの送信先である端末装置24が帰属する無線装置を検知できない場合、グローバル端末接続情報106を保持している無線装置12(ルーツノード)から送信先の端末装置24が帰属する無線装置9Aに関する情報(=ローカル端末接続情報LAB4)を取得してパケットPKTを送信する。
上述した負荷の低減方法3,4においては、送信元の端末装置からパケットPKTを受信した無線装置7Aは、パケットPKTの送信先である端末装置の帰属先を知らない場合に、ルーツノードである無線装置12を経由して、またはルーツノードである無線装置12から帰属先の無線装置9Aに関する情報を取得してパケットPKTを送信先の端末装置24へ送信する。
したがって、実施の形態2における負荷の低減方法は、一般的には、送信元の端末装置からパケットPKTを受信した無線装置7AがパケットPKTの送信先である端末装置の帰属先を知らない場合に、ルーツノードである無線装置12の支援を得てパケットPKTを送信先の端末装置へ送信するものであればよい。
上述したように、実施の形態2においては、ルーツノードである無線装置12が無線通信システム100A全体におけるグローバル端末接続情報106を構築する場合、各無線装置1A〜11Aは、自己が作成したローカル端末接続情報LABをユニキャストによって無線装置12へ送信するので、無線装置12(=ルーツノード)においてグローバル端末接続情報106を構築する際の負荷を低減できる。その結果、無線通信システム100Aにおける負荷を低減できる。
また、実施の形態2においては、無線通信システム100A全体におけるグローバル端末接続情報106を保持するのは、ルーツノードである無線装置12のみであるので、無線通信システム100Aにおける負荷を低減できる。
さらに、実施の形態2においては、ローカル端末接続情報LABの送信要求STA_Reqおよび送信要求STA_Reqに対する応答STA_Replは、ユニキャストによって送信されるので、無線通信システム100Aにおける負荷を低減できる。
なお、実施の液体2においては、無線装置7Aは、「第1の無線装置」を構成し、無線装置9Aは、「第2の無線装置」を構成し、無線装置12は、「第3の無線装置」を構成する。
また、端末装置21は、「第1の端末装置」を構成し、端末装置24は、「第2の端末装置」を構成する。
[実施の形態3]
図21は、実施の形態3による無線通信システムの概略図である。図21を参照して、実施の形態3による無線通信システム100Bは、図16に示す無線通信システム100Aの無線装置12を無線装置12Aに代えたものであり、その他は、無線通信システム100Aと同じである。無線装置12Aは、図17に示す無線装置1Aと同じ構成からなる。
したがって、無線通信システム100Bにおいては、無線装置1A〜12Aの各々は、無線通信システム100B全体における無線装置と端末装置との接続関係を示すグローバル端末接続情報106を保持せず、端末接続情報106Aを保持する。より具体的には、無線装置1A〜12Aの各々は、最初、自己が作成したローカル端末接続情報LABからなる端末接続情報106Aを保持する。
図22は、図21に示す無線通信システム100Bにおける通信方法を説明するための図である。また、図23は、端末接続情報106Aの例を示す図である。
図22を参照して、無線装置7Aは、当初、自己の配下に配置された端末装置21〜23と自己との接続関係を示す端末接続情報106A−1(図23の(a)参照)を保持し、無線装置9Aは、当初、自己の配下に配置された端末装置24〜26と自己との接続関係を示す端末接続情報106A−2(図23の(b)参照)を保持している。
そして、無線装置7Aの送受信手段102Aは、送信元である端末装置21から端末装置24宛てのパケットPKTを受信すると、その受信したパケットPKTのヘッダを参照して、パケットPKTの送信先が端末装置24であることを検知する。
そうすると、無線装置7Aの送受信手段102Aは、端末接続情報106A−1を参照して、端末装置24が帰属する無線装置を探索するが、端末接続情報106A−1が端末装置24のMACアドレスを含まないため、端末装置24が帰属する無線装置を検出できない。
そこで、無線装置7Aの送受信手段102Aは、端末装置24が帰属する無線装置に関する情報の送信要求STA_Reqを作成し、その作成した送信要求STA_Reqを無線通信システム100B内でフラッディングする。
そうすると、送信先の端末装置24が帰属する無線装置9Aの送受信手段102Aは、無線装置7Aから送信された送信要求STA_Reqを受信し、その受信した送信要求STA_Reqに応じて、ローカル端末接続情報LAB4(図19の(b)参照)を含む応答STA_Replを作成する。そして、無線装置9Aの送受信手段102Aは、ルーティングテーブル105を参照して、応答STA_Replを無線装置7Aへ送信するための経路を無線装置9A−無線装置3A−無線装置8A−無線装置2A−無線装置7Aからなる経路と決定し、その決定した経路に沿って応答STA_Replをユニキャストによって無線装置7Aへ送信する。
この場合、無線装置3A,8A,2Aの送受信手段102Aは、応答STA_Replを中継するので、応答STA_Replに含まれるローカル端末接続情報LAB4を無線装置3A,8A,2Aの端末接続情報106Aに登録してもよい。
そして、無線装置7Aの送受信手段102Aは、無線装置9Aから送信された応答STA_Replを受信し、その受信した応答STA_Replからローカル端末接続情報LAB4を抽出して端末接続情報106A−1に登録し、端末接続情報106A−1を端末接続情報106A−3(図23の(c)参照)に更新する。
そうすると、無線装置7Aの送受信手段102Aは、端末接続情報106A−3を参照して、パケットPKTの送信先である端末装置24の帰属先が無線装置9Aであることを検知する。そして、無線装置7Aの送受信手段102Aは、ルーティングテーブル105を参照して、パケットPKTおよび自己が作成したローカル端末接続情報LAB3(図19の(a)参照)を無線装置9Aへ送信するための経路を無線装置7A−無線装置2A−無線装置8A−無線装置3A−無線装置9Aからなる経路と決定し、その決定した経路に沿ってパケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を無線装置9Aへ送信する。
この場合、無線装置2A,8A,3Aの送受信手段102Aは、パケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を中継するので、ローカル端末接続情報LAB3を無線装置3A,8A,2Aの端末接続情報106Aに登録してもよい。
そして、無線装置9Aの送受信手段102Aは、無線装置7Aから送信されたパケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を受信し、その受信したローカル端末接続情報LAB3を端末接続情報106A−2に登録し、端末接続情報106A−2を端末接続情報106A−4(図23の(d)参照)に更新する。また、無線装置9Aの送受信手段102Aは、その受信したパケットPKTのヘッダを参照して、パケットPKTの送信先が端末装置24であることを検知し、パケットPKTを端末装置24へ送信する。そして、端末装置24は、端末装置21から送信されたパケットPKTを受信する。
端末装置21からのパケットPKTを受信した端末装置24は、端末装置21宛てのパケットPKTを作成して無線装置9Aへ送信する。
無線装置9Aの送受信手段102Aは、端末装置24からパケットPKTを受信すると、その受信したパケットPKTのヘッダを参照して、パケットPKTの送信先が端末装置21であることを検知する。そして、無線装置9Aの送受信手段102Aは、端末接続情報106A−4を参照して、送信先である端末装置21の帰属先が無線装置7Aであることを検出する。
そうすると、無線装置9Aの送受信手段102Aは、ルーティングテーブル105を参照して、パケットPKTを送信するための経路を無線装置9A−無線装置3A−無線装置8A−無線装置2A−無線装置7Aからなる経路と決定し、その決定した経路に沿ってパケットPKTを送信する。
無線装置3A,8A,2Aは、パケットPKTを中継し、無線装置7Aは、パケットPKTを受信する。そして、無線装置7Aの送受信手段102Aは、パケットPKTのヘッダを参照して、パケットPKTの送信先が端末装置21であることを検出し、その受信したパケットPKTを端末装置21へ送信する。これによって、端末装置21は、端末装置24から送信されたパケットPKTを受信する。
なお、無線装置7Aは、端末装置21からパケットPKTを受信したときに、パケットPKTの送信先である無線装置24が帰属する無線装置9Aを知っている場合、送信要求STA_ReqをフラッディングせずにパケットPKTおよびローカル端末接続情報LAB3を無線装置9Aへ送信する。
また、無線装置7A,9A以外の異なる2つの無線装置に帰属する2つの端末装置間で無線通信が行なわれる場合も、上述した方法によって無線通信が行なわれる。
図24は、図21に示す無線通信システム100Bにおける他の通信方法を説明するための図である。また、図25は、端末接続情報106Aの他の例を示す図である。
図24を参照して、無線装置7Aは、当初、自己の配下に配置された端末装置21〜23と自己との接続関係を示す端末接続情報106A−1(図23の(a)参照)を保持し、無線装置9Aは、当初、自己の配下に配置された端末装置24〜26と自己との接続関係を示す端末接続情報106A−2(図23の(b)参照)を保持し、無線装置12Aは、当初、自己の配下に配置された端末装置29〜31と自己との接続関係を示す端末接続情報106A−5(図25の(a)参照)を保持している。
そして、無線装置7Aの送受信手段102Aは、送信元である端末装置21から端末装置24宛てのパケットPKTを受信すると、その受信したパケットPKTのヘッダを参照して、パケットPKTの送信先が端末装置24であることを検知する。
そうすると、無線装置7Aの送受信手段102Aは、端末接続情報106A−1を参照して、端末装置24が帰属する無線装置を探索するが、端末接続情報106A−1が端末装置24のMACアドレスを含まないため、端末装置24が帰属する無線装置を検出できない。
そこで、無線装置7Aの送受信手段102Aは、端末装置21から受信したパケットPKTをユニキャストによってルーツノードである無線装置12Aへ送信する。なお、図24において、点線の矢印は、パケットPKTの流れを表す。
無線装置12A(=ルーツノード)の送受信手段102Aは、無線装置7AからのパケットPKTを受信し、その受信したパケットPKTのヘッダを参照して、パケットPKTの送信先が端末装置24であることを検知する。そして、無線装置12A(=ルーツノード)の送受信手段102Aは、端末接続情報106A−5にローカル端末接続情報LAB4(図19の(b)参照)が含まれていないことを検知し、端末装置24が帰属する無線装置に関する情報の送信要求STA_Reqを作成し、その作成した送信要求STA_Reqを無線通信システム100B内でフラッディングする。なお、図24において、実線の矢印は、送信要求STA_Reqの流れを表す。
そうすると、無線装置2A〜6A,8A〜11Aのいずれかの無線装置の送受信手段102Aは、無線装置12A(=ルーツノード)から送信された送信要求STA_Reqを受信し、その受信した送信要求STA_Reqに応じて、ローカル端末接続情報LAB4(図19の(b)参照)を含む応答STA_Replを作成する。そして、無線装置2A〜6A,8A〜11Aのいずれかの無線装置の送受信手段102Aは、ルーティングテーブル105を参照して、応答STA_Replを無線装置12A(=ルーツノード)へ送信するための経路を決定し、その決定した経路に沿って応答STA_Replをユニキャストによって無線装置12A(=ルーツノード)へ送信する。
この場合、無線装置2A〜6A,8A〜11Aのいずれかの無線装置から無線装置12Aまでの経路上に存在する無線装置の送受信手段102Aは、応答STA_Replを中継するので、応答STA_Replに含まれるローカル端末接続情報LAB4を自己の端末接続情報106Aに登録してもよい。
そして、無線装置12A(=ルーツノード)の送受信手段102Aは、無線装置2A〜6A,8A〜11Aのいずれかの無線装置から送信された応答STA_Replを受信し、その受信した応答STA_Replからローカル端末接続情報LAB4を抽出して無線装置12Aの端末接続情報106A−5に登録し、端末接続情報106A−5を端末接続情報106A−6(図25の(b)参照)に更新する。
そうすると、無線装置12A(=ルーツノード)の送受信手段102Aは、端末接続情報106A−6を参照して、パケットPKTの送信先である端末装置24の帰属先が無線装置9Aであることを検知する。そして、無線装置12A(=ルーツノード)の送受信手段102Aは、ローカル端末接続情報LAB4を含む応答STA_replを作成し、その作成した応答STA_replを無線装置7Aへ送信するための経路をルーティングテーブル105を参照して無線装置12A−無線装置5A−無線装置6A−無線装置2A−無線装置7Aからなる経路と決定し、その決定した経路に沿って応答STA_replをユニキャストによって無線装置7Aへ送信する。なお、太実線の矢印は、応答STA_replの流れを表す。
この場合、無線装置5A,6A,2Aの送受信手段102Aは、応答STA_replを中継するので、応答STA_replに含まれるローカル端末接続情報LAB4を自己の端末接続情報106Aに登録してもよい。
無線装置7Aの送受信手段102Aは、応答STA_replを受信し、その受信した応答STA_replに含まれるローカル端末接続情報LAB4を検出して端末接続情報106A−1(図23の(a)参照)に登録し、端末接続情報106A−1を端末接続情報106A−3(図23の(b)参照)に更新する。
その後、無線装置7Aおよび無線装置9Aは、図22および図23を参照して説明した通信方法に従って相互に無線通信を行なう。これによって、端末装置21および端末装置24は、相互に無線通信を行なうことができる。
このように、無線装置12(=ルーツノード)は、無線装置7AからのパケットPKTの送信要求に応じて、すなわち、必要なときに端末接続情報106A−6を構築し、無線装置7A−無線装置9A間の無線通信を支援する。
上述したように、実施の形態3においては、送信元の端末装置21からパケットPKTを受信した無線装置7Aは、パケットPKTの送信先である端末装置24の帰属先(=無線装置9A)を知らないとき、無線装置9Aと端末装置24〜26との接続関係を示すローカル端末接続情報LAB4を取得して端末接続情報106A−3を構築し、パケットPKTを無線装置9Aへ送信する。すなわち、無線装置7Aは、必要なときに端末接続情報106A−3を構築してパケットPKTを無線装置9Aへ送信する。
そして、無線装置9Aは、無線装置7AからのパケットPKTの受信に連動して無線装置7Aにおけるローカル端末接続情報LAB3を受信し、端末接続情報106A−4を構築する。
その結果、端末接続情報106Aは、無線通信システム100Bの一部で構築される。したがって、実施の形態3によれば、無線通信システム100Bにおける負荷を低減できる。
また、無線装置7Aが端末接続情報106A−3を構築するとき、無線装置9Aまたは12Aは、応答STA_Replをユニキャストによって無線装置7Aへ送信するので、無線通信システム100Bにおける負荷を低減できる。
上記においては、無線装置7Aは、応答STA_Replを無線装置9Aまたは12Aから受信すると説明したが、この発明においては、これに限らず、無線装置9A,12A以外の無線装置がローカル端末接続情報LAB4を保持している場合、無線装置7Aは、無線装置9A,12A以外の無線装置から応答STA_Replを取得してもよい。
また、実施の形態3による無線通信システムは、一般的には、必要に応じて端末接続情報106Aを構築し、送信元の端末装置と送信先の端末装置との間で無線通信を中継する無線装置を備えていればよい。その結果、無線通信システムにおいては、必要最小限の端末接続情報が構築されるので、無線通信システム100Bにおける負荷を低減できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1〜13,1A〜12A 無線装置、21〜31 端末装置、50 有線ケーブル、100,100A,100B 無線通信システム、101 アンテナ、102,102A 送受信手段、103 情報作成手段、104 情報保持手段、105 ルーティングテーブル、106,106−1,106−2,106−3 グローバル端末接続情報、106A,106A−1,106A−2,106A−3,106A−4,106A−5,106A−6 端末接続情報。