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JP4985423B2 - 排ガス成分浄化用触媒材及び排ガス成分浄化用触媒 - Google Patents

排ガス成分浄化用触媒材及び排ガス成分浄化用触媒 Download PDF

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Description

この発明は、排ガス成分浄化用触媒材、及び、該排ガス成分浄化用触媒材が含有された触媒層をもつ触媒担体基材を備えた排ガス成分浄化用触媒に関する。
例えば自動車等の車両においては、エンジンから排出される排ガスを浄化するために、エンジンの排ガス経路に排ガス成分浄化用触媒が設けられている。特に、ディーゼルエンジンや希薄燃焼ガソリンエンジンを備えた車両では、排ガス成分浄化用触媒として、排ガス中の未燃カーボン状物質(所謂パティキュレートマター:PM)や窒素酸化物(NOx)を低減する排ガス成分浄化用触媒が求められている。
例えばディーゼルエンジンの排ガス中に含まれるPMは環境汚染に繋がる懸念があり、その排出が規制されている。このため、ディーゼルエンジン搭載車両には、ディーゼル・パティキュレート・フィルタ(DPF)が排ガス経路内に装着される。DPFは、炭化ケイ素(SiC)やコーディエライト等からなる耐熱性セラミック材が三次元網目状タイプもしくはウォールフロータイプと呼ばれる形状に成形されるもので、排ガス中のPMはDPFを通過する過程で捕集されるようになっている。
ところで、捕集されたPMは運転時間に応じて次第にDPFに堆積していくため、背圧が高まっていき、エンジン出力が低下して燃費が悪くなる等の問題があるが、これに対処して、排気上流側からHC成分(例えば燃料)を過剰に流し、DPFの上流側に配置される触媒でHC成分を燃焼させ、その燃焼熱を利用してDPFの温度を上げることで、PMの着火燃焼を促進する方法が知られている。更に、近年では、PMの着火燃焼を効果的に促進するために、DPFの排ガス通路面にアルミナ等とともに酸素吸蔵材を含む触媒層を設けておき、その酸素吸蔵材に吸蔵される酸素成分を利用することが提案されている。
この酸素吸蔵材は、排ガス雰囲気が酸素過剰の状態にある場合には酸素を吸蔵し、排ガス雰囲気が酸素不足の状態にある場合には吸蔵していた酸素を放出する特性(所謂酸素吸蔵放出能)を有しており、この特性によって、排ガス中のHC,CO,NOを浄化できる空燃比が拡がり、排ガス浄化性能が向上させられる。
従来、この酸素吸蔵材として、CeとZrとを含む複合酸化物が知られているが、本願出願人は、例えば下記特許文献1において、かかる複合酸化物に関し、その結晶格子又は格子点間に触媒金属(厳密には触媒貴金属)を配置させた酸素吸蔵材及びこれを含んだ排気ガス浄化用触媒を提案している。この特許文献1では、触媒貴金属がCeとZrとを含む複合酸化物の結晶格子又は格子点間に配置される技術が開示されている。かかる技術によれば、酸素吸蔵能が向上するとともに、触媒貴金属のシンタリングが防止され、その結果、長期に亘って高い浄化性能を維持することが可能となる。加えて、下記特許文献1では、Ce,Zr及び触媒貴金属以外に、ネオジム(Nd)を含ませた酸素吸蔵材が開示されている。
一方で、DPF本体の排気ガス流路の壁面に形成された触媒層内に、PMを酸化燃焼させるための触媒貴金属と、Ceを含まない複合酸化物であって、Zr及び希土類金属Yを含有し、酸素イオン伝導材として作用する複合酸化物とを含む触媒が提案されている(例えば下記特許文献2参照)。この触媒では、前述した酸素吸蔵材と異なり、酸素イオン伝導材粒子近傍で酸素濃度の違いがあると酸素濃度の高い部分から酸素濃度の低い部分に該粒子の内部を酸素イオンが通り、活性酸素が送り出される。これにより、PMを酸化燃焼させるための火種の発生後、燃焼領域の拡大が促進され、PMの酸化燃焼が効率的に行える。
また、酸素過剰状態で燃焼が行われるディーゼルエンジンや希薄燃焼ガソリンエンジンの排ガス中に含まれるNOxも環境汚染に繋がる懸念があるので、その排出が規制されている。このため、ディーゼルエンジンや希薄燃焼ガソリンエンジンの排ガス経路内にNOx吸蔵還元触媒を設け、通常運転時のリーン時に排ガス中のNOxを吸蔵し、一時的につくられるリッチ時にNOx吸蔵還元触媒に吸蔵させたNOxを還元させ、排ガス中のNOxを浄化することが知られている。
このNOx吸蔵還元触媒では、燃料に含まれる硫黄成分と反応し性能が劣化することが問題となるが、これに対処するものとして、例えば特許文献3には、セリア、又は、酸化プラセオジウム、又はセリウム、ジルコニウム、プラセオジウム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム及びランタンから選ばれる少なくとも2つの元素の酸化物の混合物及び/又は複合酸化物からなる酸化物触媒成分を有する触媒を用いて、硫黄酸化物の存在下においても、窒素酸化物を接触還元する方法が記載されている。
特開2004−174490号公報 特開2005−262184号公報 特開2006−043533号公報
ところで、ディーゼルエンジンや希薄燃焼ガソリンエンジンを搭載した車両にパティキュレートフィルタを設ける場合には、パティキュレートフィルタの上流側にHC等を酸化させる酸化触媒が設けられることが多く、ディーゼルエンジンにおけるポスト噴射制御等により増量された燃料をこの酸化触媒で燃焼させることによりパティキュレートフィルタに導入される排気ガスの温度を上昇させ、PM燃焼を促進する手段などが講じられているが、この場合、PMの酸化燃焼のために燃料が余分に消費することは回避し得ない。かかる燃料の増大を軽減するには、上記特許文献2で開示されるようなZr及び希土類金属Yを含有する複合酸化物よりも、PMの燃焼速度の更なる向上を実現する複合酸化物を用いることが望まれる。一方、PM燃焼量が多くなるのに伴い、PMが不完全燃焼することにより一酸化炭素(CO)の排出量が増加することも懸念され、このPMの不完全燃焼に対する対策が講じられることも求められる。
また、ディーゼルエンジンや希薄燃焼ガソリンエンジンを搭載した車両では、PM低減に加えて、NOx浄化性能の更なる向上が求められている。上記特許文献3には窒素酸化物を接触還元する触媒が記載されているものの、排ガス中のNOx浄化性能の更なる向上を実現する複合酸化物が望まれている。
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、PMをより短時間で酸化燃焼させ、また、PM燃焼時のCOの排出を抑制することができるとともに、NOxを更に浄化することができる排ガス成分浄化用触媒材及び排ガス成分浄化用触媒を提供することを目的とする。
そこで、本願の請求項1に係る発明は、ジルコニウム(Zr)及びネオジム(Nd)を必須成分として含有し、更に、セリウム(Ce)及びネオジム(Nd)以外の希土類金属Rを含有した複合酸化物を含む排ガス成分浄化用触媒材であって、上記複合酸化物を構成する上記ジルコニウム,ネオジム及び希土類金属Rは酸化物として、Nd/(ZrO+Nd+RO)比が3mol%以上であるとともに、(Nd+RO)/(ZrO+Nd+RO)比が33mol%以下であり、かつ、RO/(ZrO +Nd +RO)比が12mol%以上であるように含有され、上記希土類金属Rが、イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),スカンジウム(Sc),ランタン(La),プラセオジム(Pr),サマリウム(Sm)から選択される少なくとも一金属であり、上記複合酸化物は触媒金属として白金(Pt)が担持され、パティキュレートフィルタ上の触媒層内に含有されている、ことを特徴としたものである。
本願の請求項1に係る発明によれば、排ガス成分浄化用触媒材として、ジルコニウム(Zr),ネオジム(Nd)及びセリウム(Ce)以外の希土類金属Rが酸化物として、Nd/(ZrO+Nd+RO)比が3mol%以上であるとともに、(Nd+RO)/(ZrO+Nd+RO)比が33mol%以下であり、かつ、RO/(ZrO +Nd +RO)比が12mol%以上であるように含有されるZr−Nd−R系複合酸化物を採用することで、ジルコニウム(Zr)及びネオジム(Nd)又はその他の希土類金属を含有する二元系複合酸化物に比べて、カーボンをより短時間で酸化燃焼させ、また、カーボン燃焼時のCOの排出を効果的に抑制することができる。また、Zr−Nd−R系複合酸化物は、BET比表面積の低下率が小さく、その結果、担持される触媒貴金属が当該複合酸化物内に埋没するのが抑制でき、また、高温エージング時にも結晶形態が保持され、排ガス浄化反応に寄与する触媒機能がより大きく、結果として、より良好な排ガス浄化性能を実現することができる。更に、後述するデータより明らかとなるが、これまで知られているセリアを含有する酸素吸蔵材とは異なる、触媒として有用な温度域で高い酸素吸蔵放出能を有するので、三元触媒やリーンNOx触媒等にも使用し得る。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、ディーゼルエンジンの排気通路1にDPF3が組み付けられた状態が示されている。この図において、排気通路1を構成する排気管は、その上流側(図中の左側)でディーゼルエンジン本体(不図示)に排気マニホールド(不図示)を介して接続される。そして、ディーゼルエンジン本体から排出される排気ガスは、排気通路1中を図1中の矢印で示す方向に流れることとなる。
排気通路1内には、排気ガス中のPMを捕集するDPF3が装着されている。図2及び3は、共に、DPF3を模式的に示す説明図である。本実施形態において、DPF3は、外径が円筒状に形成された所謂ウォールフロータイプのフィルタであって、コーディエライトやSiC,Si等の耐熱性セラミックスにより、多数の流通孔5a(図4参照)が形成された多孔質壁5で区画して排気経路に沿って互いに並行に延びる多数のセル4(通路)を有するハニカム形状に形成されたフィルタ本体6と、千鳥状に一部のセル4bの上流端側と他のセル4aの下流端側とを目封止する目封止部15とを備えている。
かかる構造を備えたDPF3では、図3中の矢印で示すように、上流端側が開口した上流側セル4aから流入した排気ガスが多孔質壁を通って下流端側が開口した下流側セル4bへ流れて排出され、その間にPMが捕集されるようになっている。なお、このDPF3に替えて、炭化ケイ素等の耐熱性材料を用いた、従来から知られている三次元網目構造担体を採用されてもよい。
また、図4は、多孔質壁5を拡大して示す断面図である。排気ガスが流通するDPF3の内部流路には、図4に示すように、その内壁面にPMを燃焼させるパティキュレート酸化触媒がコーティングされることにより、酸化触媒層8が形成されている。本実施形態において、パティキュレート酸化触媒には、PMを燃焼させるための白金(Pt),パラジウム(Pd)又はロジウム(Rh)等の触媒貴金属と、この触媒貴金属を担持する担体として、ジルコニウム(Zr),ネオジム(Nd)、及びセリウム(Ce)とネオジム(Nd)以外の希土類金属Rを含有するジルコニウム−ネオジム−希土類金属R系複合酸化物(以下、Zr−Nd−R系複合酸化物)と高比表面積を有する酸化物粒子としてアルミナ(Al)とが含まれている。アルミナは、La等の希土類金属で安定化されたものが耐熱性の点で好ましく、更には、比表面積として250m/g以上を有するものが触媒貴金属のシンタリングを防止する上で好ましい。
なお、前述したZr−Nd−R系複合酸化物とアルミナとを混合して用いる場合には、これらZr−Nd−R系複合酸化物及びアルミナを共に10g/L〜150g/Lの範囲で含有させることが好ましい。これは、Zr−Nd−R系複合酸化物の含有量が上記範囲以下であると、PM燃焼性能が十分に発揮されず、また、アルミナの含有量が上記範囲以下であると触媒貴金属を担持する場合に、触媒貴金属の分散度合が低くなり、その結果、ライトオフ性能及びPM燃焼の際に生じる一酸化炭素の浄化性能の向上度合が芳しくなくなるためであり、更には、Zr−Nd−R系複合酸化物及びアルミナの含有量が上記範囲以上であると、DPF3にパティキュレートが捕集堆積した場合に背圧が高くなってしまうためである。これらのアルミナ及びZr−Nd−R系複合酸化物は、それぞれ所定量の触媒貴金属を担持させた後に混合されたDPF3の内部流路にコーティングされている。また、このパティキュレート酸化触媒から構成される酸化触媒層8は、フィルタ本体6の内部流路の全域に亘って形成されるものであってもよいし、内部流路の上流側、特に上流側セル4a及び流通孔5aの内壁面に形成されるものであってもよい。
触媒貴金属は、白金(Pt),パラジウム(Pd),ロジウム(Rh)等から選択される少なくとも一種が例示され、例えば白金(Pt)について上記複合酸化物にジニトロジアミン白金硝酸溶液を加えて混合し、蒸発乾固法によってこの複合酸化物に担持される。Zr−Nd−R系複合酸化物及びアルミナ(Al)のそれぞれには、触媒貴金属、例えば後述する実施例ではそれぞれに白金(Pt)が担持されている。この複合酸化物に対する触媒貴金属の担持量は、例えば白金(Pt)についてジニトロジアミン白金硝酸溶液の濃度や量により調整することができる。なお、担持する触媒貴金属は異種のものであってもよい。
ここで、Zr−Nd−R系複合酸化物において、ZrとNdとを必須成分として含有させる理由について説明する。以下の表1は、各種複合酸化物の熱処理後のBET比表面積を表すものであり、具体的には、大気中、各温度で熱処理した後の3種のジルコニウム系複合酸化物(ZrO−8mol%Nd,ZrO−8mol%Y,ZrO−8mol%Yb)のBET比表面積を表すものである。
Figure 0004985423
この表1から分かるように、Ndを含有するジルコニウム系複合酸化物は、熱履歴を経た後においてYやYbを含有するジルコニウム系複合酸化物よりもBET比表面積が大きい。BET比表面積が大きいということは、換言すれば、細孔が多いということであり、それによって、酸素吸蔵放出がスムーズに行われるというメリットに加え、担持される触媒貴金属が複合酸化物内に埋没するのが抑制されるため、排ガス浄化反応に寄与する触媒機能が増し、結果として、排ガス浄化性能が向上させられる。
また、ジルコニウム−ネオジム系複合酸化物は、セリウム(Ce)及びネオジム(Nd)を除く希土類金属を含有している。このジルコニウム−ネオジム系複合酸化物に含まれる希土類金属は、上記セリウム(Ce)を除く、Sc,Y,La,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luであり、なかでもイットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),スカンジウム(Sc),ランタン(La),プラセオジム(Pr),サマリウム(Sm)から選択される少なくとも一金属であることが好ましい。なお、各複合酸化物に含まれる希土類金属からセリウム(Ce)が除外されているのは、所定の条件において後述するような酸素イオン伝導性を発揮せず、電子移動媒体として機能する場合があることから、酸素イオン伝導性を有効に発揮させることが困難だからである。
酸化触媒層8を形成するには、前述したようにZr−Nd−R系複合酸化物及びアルミナのそれぞれに触媒貴金属(例えば白金)を担持させた後、この触媒貴金属を担持するZr−Nd−R系複合酸化物及び触媒貴金属を担持するアルミナを混合するとともにこの混合物を水及びバインダと混合してスラリーを生成し、このスラリーをフィルタ本体6の内部流路の内壁面にコーティングして、エアブローにより余分なスラリーを除去した後、乾燥,焼成する。この酸化触媒層8の層厚等は、スラリーの粘度や濃度等により調整可能である。
このパティキュレート酸化触媒に含まれるZr−Nd−R系複合酸化物は、酸素イオン伝導性を有している。この酸素イオン伝導性を有する複合酸化物を用いたパティキュレート酸化触媒によってPMを酸化させるメカニズムは次のように推測される。図5は、PMの酸化メカニズムを示す説明図である。
ディーゼルエンジン本体から排気ガスが排出され、DPF3にPMが捕集されると、この酸化触媒層8上にPMとしてのカーボン9が堆積する。このカーボン9は多孔質で酸素と結合しやすい特性を有するため、酸素過剰条件下では、このカーボン9が堆積した酸化触媒層8の表面部分において酸素の放出/脱離が起こり、この表面部分の酸素濃度が低下し、他の部分に対して微視的な酸素濃淡差が生じる。
このように酸化触媒層8の表面のある部分の酸素濃度が低下すると、この酸化触媒層8を構成するZr−Nd−R系複合酸化物が酸素イオン伝導性を有するため、酸素濃度が高い複合酸化物内部から酸素イオンO2−が酸素濃度が低下している表面部分に移動する。この酸素イオンO2−は、酸化触媒層8の表面に達して活性酸素となり、その結果、複合酸化物表面にカーボンの酸化反応を生じ易いところが局所的に生ずる。
そして、反応条件が最も整った部位において、カーボン9の酸化反応が始まる。この酸化反応が始まると、そこに火種10が生じ、この火種10によってその周囲の酸素は欠乏して酸素欠乏空間11が形成される。酸素欠乏状態になると、通常はカーボン9の酸化反応、すなわち火勢が弱まり、やがて火種10は消失するが、本実施形態に係るDPF3では、酸化触媒層8を構成するパティキュレート酸化触媒が酸素イオン伝導性を有するZr−Nd−R系複合酸化物を含有して構成されるため、この複合酸化物の働きによって酸素欠乏空間11に活性酸素が継続的に供給されることにより、カーボン9の酸化反応は促進され、火種10を中心として燃焼領域が拡大していく。
すなわち、酸素過剰雰囲気下では、酸素欠乏空間11とその周囲との間で酸素濃淡差を生じるとともに、この濃度差に基づき、酸化触媒層8の複合酸化物内部の微視的領域で電荷のアンバランスが生じ、これに伴って、この酸化触媒層8のZr−Nd−R系複合酸化物を介して酸素濃度の高い部分からこの酸素欠乏空間11へと酸素イオンが移動される。そして、この酸素イオンが酸素欠乏空間11に活性酸素として放出され、これによりカーボン9と活性酸素との結合燃焼、すなわち酸化が促進されることになる。したがって、酸化触媒層8の表面の一部で生じた火種10は消失することなく、燃焼領域を拡大させていくので、カーボン9であるPMを効率的かつ短期間に燃焼浄化することができ、また、このため、PMの燃焼速度を実質的に向上させることができる。
ここで、Zr−Nd−R系複合酸化物に希土類金属が含まれるため、Zr−Nd−R系複合酸化物の内部では、図5に示すように、ジルコニウム(Zr)の一部がネオジム(Nd)及び他の希土類金属(いずれも図中の黒丸で示す)で置換されており、これにより、酸素イオン空孔が存在し、酸素イオンはこの空孔を介して搬送されることになる。この図5において、アルミナは省略されている。
ところで、DPF3では、その上流側にHC等を酸化させる酸化触媒が設けられることが多く、ディーゼルエンジンにおけるポスト噴射制御等により増量された燃料をこの酸化触媒で燃焼させることによりDPF3に導入される排気ガスの温度を上昇させ、カーボン燃焼を促進する手段などが講じられているが、かかる場合、PMの酸化燃焼のために燃料が余分に消費するおそれがある。
しかしながら、本願発明者は、本実施形態に係るZr−Nd−R系複合酸化物を採用することで、従来のセリウム系複合酸化物、又は、Zr及び1種類の希土類金属Yを含有する複合酸化物よりも、カーボン燃焼速度の更なる向上を実現することができ、その結果、燃料の増大を軽減することができるということを実験により知見するに至った。
かかる効果を確認するために、DPFにおけるPMの燃焼性能についての評価のために行った実験及びその結果を次に説明する。
(A)カーボン燃焼速度評価実験
Zr−Nd−R系複合酸化物におけるカーボン燃焼速度の評価実験のために、パティキュレート酸化触媒に含まれるZr−Nd−R系複合酸化物の成分及び含有比率を変更した複数のサンプルを調製した。より詳しくは、Zr−Nd−R系複合酸化物について26種類のサンプル、及び、この比較のために4種類のサンプルの触媒層表面にそれぞれ模擬PMであるカーボンブラックを堆積させ、これらについて触媒入口ガス温度が590℃におけるカーボン燃焼速度を測定する実験を行なった。
なお、ここでは、アルミナ(Al)を混合することなく、触媒貴金属の全量をパティキュレート酸化触媒に含まれる複合酸化物に担持させたものを用いている。なお、本実験のDPF担体(フィルタ本体6)として、セルの構造が12mil/300cpsi(cell per square inch)の炭化ケイ素製のDPF担体から25mlの体積を有する円筒状テスト用サンプルを切り抜いたものを使用した。
(サンプル調製方法)
各サンプルの調製方法について説明する。
Zr−Nd−R系サンプルの調製にあたっては、ジルコニウム酸化物(ZrO)に対するネオジム酸化物(Nd)の含有量、及び、セリウム(Ce)及びネオジム(Nd)以外の希土類金属Rの酸化物(RO)の含有量の異なる計26種類のZr−Nd−R系複合酸化物を用意する。ネオジム(Nd)以外の希土類金属としては、イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),スカンジウム(Sc),ランタン(La),プラセオジム(Pr),サマリウム(Sm)のいずれか一種、若しくは、ランタン(La)及びプラセオジム(Pr)の二種を採用した。これらのZr−Nd−R系複合酸化物は、イオン交換水に混合する各金属の硝酸塩を溶解し、アンモニアにより調整したアルカリ性溶液を滴下し、各金属元素を含む沈殿を生成し、濾過,水洗,乾燥,500℃で2時間の焼成を行って生成される。そして、これらのZr−Nd−R系複合酸化物に触媒貴金属として白金(Pt)を担持させる。この白金の担持量は、50g/L(DPF3の1L当たり50g)のZr−Nd−R系複合酸化物に対して0.5g/Lに設定している。
すなわち、それぞれNd及びROの含有量の異なる複合酸化物粉末の各々に、ジニトロジアミン白金硝酸溶液を加えて混合し、蒸発乾固法により白金(Pt)をジルコニウム−ネオジム系複合酸化物に担持させた。
これを乾燥させた後、乳鉢で粉砕し、電気炉において500℃の大気雰囲気で2時間加熱焼成を行い、Pt担持Zr−Nd−R系複合酸化物からなるZr−Nd−R系触媒粉末(Pt担持複合酸化物粉末)を得た。得られたPt担持複合酸化物を水及びバインダと混合してスラリーとし、目封止部15により目封止されたフィルタ本体6にスラリーを吸引させるとともに、エアブローによって余分なスラリーを除去することによりウォッシュコートし、乾燥させてから電気炉により500℃の大気雰囲気で2時間加熱を行って焼成し、フィルタ本体の内部流路の略全域に酸化触媒層8が形成されたZr−Nd−R系のサンプルを得た。
比較のためのサンプルとして、セリウム(Ce)及びネオジム(Nd)以外の希土類金属Rを共に含まず、それぞれNdの含有量の異なる4種類のZr−Nd系酸化物に、前述したZr−Nd−R系複合酸化物と同様に、白金(Pt)を担持させ、このPt担持酸化物をスラリーとし、吸引,除去,乾燥,焼成を行って、フィルタ本体の内部流路の略全域に酸化物触媒層が形成されたサンプルを得た。
(カーボン燃焼速度評価実験)
このようにして得られた各サンプルにつき、大気中、800℃の条件下で24時間放置するエージング処理を施し、模擬排気ガスを流通させるモデルガス流通触媒評価装置にセットした状態で、カーボン燃焼性能評価を調べるカーボン燃焼速度評価実験を行った。
この実験としては、PMの燃焼性能を求める指標として、PMの代わりにカーボンブラック粉末(シグマアルドリッチ製)をDPF3に堆積させ、模擬排気ガスを流しながら昇温させた際に、DPF3内部でのカーボン燃焼によって排出される、CO及びCOの濃度を用いて評価を行った。このカーボンブラック粉末の堆積は、10g/L相当のカーボンブラック粉末に10ccのイオン交換水を加え、スターラーを用いて5分間攪拌混合し、十分にカーボンブラック粉末を分散させる。これにサンプルであるフィルタ本体6の上流端側を浸すと同時に、浸した端面と逆側よりアスピレーターにより吸引を行った。この吸引により除去できない水分を、浸した端面側よりエアブローにより除去し、乾燥機にて150℃の温度で2時間かけて乾燥させた。
モデルガス流通触媒評価装置においては、15℃/minの割合で600℃まで昇温させつつ、酸素ガス及び水蒸気がそれぞれガスの総流量に対して10体積%、NO(一酸化窒素)が300ppm含まれ、残りが窒素ガス等とされた模擬排気ガスをその空間速度が80000/hとなるように流通させ、DPF3の出口部直後におけるCO,CO濃度を測定した。そして、このCO,CO濃度に基づいて次式に定めるカーボンの燃焼速度を求めた。なお、このカーボン燃焼速度とは、上記25mlの体積のテスト用DPF担体当たりに燃焼するカーボン量を示している。
Figure 0004985423
図6は、上記数式に基づき得られた、計26種類の各種Zr−Nd−R系複合酸化物に対応したサンプル(実施例1〜26)及び計4種類のZr−Nd複合酸化物に対応したサンプル(比較例1〜4)のカーボン燃焼速度の測定結果をあらわす表である。なお、この表には、CO発生量も併せて示す。また、図7は、図6に示されるカーボン燃焼速度の測定結果をグラフ化したもので、Zr−Nd−R系複合酸化物のうち、希土類金属Rとしてプラセオジム(Pr)又はランタン(La)を用いた場合、及びZr−Nd複合酸化物におけるネオジム(Nd)の含有量の変化に伴うカーボン燃焼速度の変化をあらわすグラフである。
これら図6及び7から分かるように、Zr−Nd−R系複合酸化物によってパティキュレート酸化触媒が構成されたZr−Nd−R系サンプルでは、比較例である各Zr−Ndサンプルよりも良好なカーボン燃焼速度が実現された。
具体的には、ネオジム(Nd)の含有量が、Nd/(ZrO+Nd+RO)比が3mol%以上であるように含有されるサンプルについては、比較例である各Zr−Ndサンプルよりも良好なカーボン燃焼速度が実現された。なお、図6から明らかなように、Nd/(ZrO+Nd+RO)比は6mol%以上にすることがより好ましく、12mol%以上にするとさらに好ましい。
また、Nd/(ZrO+Nd+RO)比が12.0mol%であり、かつ、La/(ZrO+Nd+La)比が3mol%であり、その上、Pr/(ZrO+Nd+Pr)比が18mol%である実施例20では、カーボン燃焼時のCO発生量が他のサンプルと比較して増加しており、かかるCO発生量の増加傾向から、(Nd+RO)/(ZrO+Nd+RO)比が33mol%を越えることは好ましくないことが推測された。なお、図6の表でCO発生量で「−」は、いずれも1ppm未満である。
すなわち、ジルコニウム,ネオジム及び希土類金属Rが、Nd/(ZrO+Nd+RO)比が3mol%以上であるように、かつ、(Nd+RO)/(ZrO+Nd+RO)比が33mol%以下であるように含有されることで、カーボン9をより短時間で酸化燃焼させ、また、カーボン燃焼時のCOの排出を効果的に抑制することができる。
更に、図7から分かるように、希土類金属Rの含有量が、RO/(ZrO+Nd+RO)比が12mol%以上であるように含有された場合には、より確実に良好なカーボン燃焼速度が実現された。
(B)触媒物性評価実験
また、本願発明者は、前述したカーボン燃焼性能評価に加え、セリウム(Ce)及びネオジム(Nd)以外の希土類金属としてそれぞれランタン(La)及びプラセオジム(Pr)が含有された2種類のZr−Nd−R系複合酸化物のX線構造解析による触媒物性評価実験を行った。
図8及び9は、それぞれ、実施例7に係るZrO−12mol%Nd−6mol%La(以下、簡略してZr−12Nd−6Laと記す。他の複合酸化物も同じ。)複合酸化物及びZr−12Nd−6Pr複合酸化物のX線回折測定を行ったチャート図である。これらのサンプルは大気中、800℃、24時間のエージング処理を行っている。これらのグラフでは、共に、鋭いピークがあらわれており、各複合酸化物の結晶形態が保持されていることが分かる。すなわち、Zr−Nd−R系複合酸化物では、エンジン排ガスに晒される環境に対応した高温エージングを受けた場合にも結晶構造が保持でき、それにより酸素イオン伝導性が維持できるので、触媒材としての性能劣化が抑制できる。
本実施形態では、前述したように、複合酸化物としてジルコニウム−ネオジム系複合酸化物が選定されることから、BET比表面積の低下率が小さくなることに加えて、このように結晶形態が保持され、排ガス浄化反応に寄与する触媒機能がより大きく、結果として、より良好な排ガス浄化性能が得られる。
(C)酸素吸蔵放出能評価実験
更に、本願発明者は、前述したカーボン燃焼性能評価及び触媒物性評価に加え、2種類のZr−Nd−R系複合酸化物(図6中の実施例13に対応したZr−6Nd−6Pr,図6中の実施例20に対応したZr−12Nd−18Pr−3La)に関する酸素吸蔵放出能評価を行った。
酸素吸蔵放出能測定については、以下のように行った。
各サンプルは、予め白金(Pt)が1.0wt%で担持させられ、これに800℃の大気圧条件下で24時間放置するエージング処理を施した。これを100mgとり、固定床流通式の反応装置にセットした上で、酸素を吸蔵させるために、酸素ガスが5体積%含まれたHeバランスガスを100cc/minの流量で流しながら室温から600℃まで30℃/minで昇温した。
その後、600℃で5分保持した後、室温まで同ガス流通下で冷却する。続いて、COガスが2体積%含まれたHeバランスガスに切り替え、100cc/minの流量で室温から600℃まで20℃/minで昇温する。これにより、酸素が放出されCOと反応して、COが発生する。図10に示すグラフは、このとき発生したCO量をまとめたものである。
図10は、各種複合酸化物についての温度と酸素吸蔵放出能との関係をあらわすグラフである。ここでは、また、比較例として、ジルコニウム−イットリウム複合酸化物(Zr−8Y)及びセリウム系酸化物(金属元素としてCeを90mol%、Prを10mol%含有する複合酸化物;Ce0.9Pr0.1)の温度と酸素吸蔵放出能との関係も併せて示される。
このデータによると、2種類のZr−Nd−R系複合酸化物は、比較例としているZr−Yよりも全温度域でその酸素吸蔵放出能が大きいことが分かる。また、図6中の実施例13に対応したZr−6Nd−6Prは約220〜330℃の温度範囲において、また、図6中の実施例20に対応したZr−12Nd−18Pr−3Laは約180〜300℃の温度範囲において、酸素吸蔵放出能があることが周知であるセリウム系酸化物よりも高い酸素吸蔵放出能が確認された。この温度範囲は触媒貴金属が次第に活性を高めていく範囲であり、かかる範囲で高い酸素吸蔵放出能を有する複合酸化物を含有することは、HC,CO,NOxを対象とする排ガス成分浄化触媒として有用である。言い換えれば、実施例13及び20等のZr−Nd−R系複合酸化物を含む排ガス成分浄化用触媒材は、カーボン燃焼の用途に限らず、三元触媒やリーンNOx触媒、さらにはディーゼル酸化触媒として有用な触媒材であると言える。
(D)NOx浄化性能評価実験
また更に、本願発明者は、前述したカーボン燃焼性能評価、触媒物性評価及び酸素吸蔵放出能評価に加えて、5種類のZr−Nd−R系複合酸化物(図6中における実施例1に対応したZr−3Nd−6La、実施例8に対応したZr−12Nd−12La、実施例17に対応したZr−12Nd−12Pr、実施例18に対応したZr−12Nd−18Pr、実施例20に対応したZr−12Nd−18Pr−3La)に関するNOx浄化性能評価を行った。
NOx浄化性能測定については、以下のように行った。
各Zr−Nd−R系複合酸化物を、質量比で1:1のアルミナ(アルミナ:Zr−Nd−R系複合酸化物=1:1(質量比))、水及びバインダと混合してスラリーを生成し、このスラリーをフィルタ本体6としてコージェライトから成形されるハニカム担体に吸引させるとともに、エアブローによって余分なスラリーを除去することによりウォッシュコートさせ、乾燥・焼成してハニカム担体上に第1のウォッシュコート層を形成した。なお、第1のウォッシュコート層は、270g/L(ハニカム担体の1L当たり270g)に設定し、ハニカム担体は、セル密度4.5mil/400cpsiのものを使用した。
次に、触媒金属Rhが担持されたRh担持アルミナ、水及びバインダを混合してスラリーを生成し、このスラリーを第1のウォッシュコート層が形成されたハニカム担体に吸引させるとともに、エアブローによって余分なスラリーを除去することによりウォッシュコートさせ、乾燥・焼成してハニカム担体上に形成された第1のウォッシュコート層の上に第2のウォッシュコート層を形成した。なお、アルミナに担持される触媒金属Rhの担持量は0.5g/Lに設定し、第2のウォッシュコート層は50g/Lに設定した。
そして、第1のウォッシュコート層及び第2のウォッシュコート層が形成されたハニカム担体を、排ガス中のNOxをトラップするNOxトラップ材としてのバリウム及びストロンチウムを含む酢酸水溶液に浸漬させ、第1のウォッシュコート層及び第2のウォッシュコート層に酢酸バリウム及び酢酸ストロンチウムを含浸させた後に、乾燥、焼成を行うことにより、ハニカム担体上に第1の触媒層と第2の触媒層とを形成した。更に、第1の触媒層と第2の触媒層とが形成されたハニカム担体をジニトロジアミン白金硝酸溶液に浸漬させた後に、乾燥、焼成を行い、Zr−Nd−R系複合酸化物及びアルミナに触媒金属として白金を担持させた。なお、触媒金属Ptの含有量は2g/Lに設定し、バリウムの含有量は30g/Lに設定し、ストロンチウムの含有量は10g/Lに設定した。
図11は、NOx浄化性能評価用サンプルのハニカム担体上に形成された2層からなる触媒層を模式的に示す断面説明図である。上記のようにして調製されたNOx浄化性能評価用サンプル20は、図11に示すように、ハニカム担体21上に形成される触媒層22が、ハニカム担体21側の第1の触媒層23と、排ガスが流れる排ガス通路側の第2の触媒層24とからなり、第1の触媒層23には、高比表面積を有する酸化物粒子としてアルミナ25と、触媒金属として白金26と、Zr−Nd−R系複合酸化物27と、NOxトラップ材28とが含有され、Zr−Nd−R系複合酸化物27及びアルミナ25には、白金26とNOxトラップ材28とが担持されている。また、第2の触媒層24には、アルミナ25と、触媒金属としてRh29及びPt26と、NOxトラップ材28とが含有され、アルミナ25に、Rh29及びPt26とNOxトラップ材28とが担持されている。
また、比較のためのサンプルとして、1種類のZr系酸化物(Zr−20Pr)と3種類のZr−Nd系酸化物(図6中における比較例3に対応したZr−12Nd、比較例4に対応したZr−20Nd、Zr−1Nd−8La)をそれぞれ、前述したZr−Nd−R系複合酸化物に代えて用い、前述したZr−Nd−R系複合酸化物のサンプルと同様の方法によりサンプルを調製した。
(NOx浄化性能評価実験)
このようにして得られた各評価用サンプルについて、大気中、750℃の条件下で24時間放置するエージング処理を施し、模擬排気ガスを流通させるモデルガス流通触媒評価装置にセットした状態で、NOx浄化性能評価を調べるNOx浄化性能評価実験を行った。
模擬排気ガスとして、以下の表2に示すガス成分を有する、空燃比が28である(A/F=28)のリーンガスと、空燃比が14である(A/F=14)のリッチガスとを所定の温度に保持して一分毎に交互に流しながら、模擬排気ガスのリーン時におけるNOx浄化率を測定した。ここでは、空間速度SVを30,000/時間とし、所定のガス温度として200℃、250℃、300℃を用いた。
Figure 0004985423
図12に、NOxの浄化性能の測定結果を示す。図12に示すように、NOxの浄化性能については、実施例A、B、C、D、Eはそれぞれ、200℃、250℃、300℃の何れにおいても、比較例A、B、C、Dに比して、リーン時のNOx浄化率が高く、排ガス中のNOx浄化性能に優れていることが確認された。
このように、Nd/(ZrO+Nd+RO)比が3mol%以上であるように、かつ、(Nd+RO)/(ZrO+Nd+RO)比が33mol%以下であるように含有されるZr−Nd−R系複合酸化物が含有された触媒層をもつ触媒担体基材を備えた排ガス成分浄化用触媒において、触媒層が第1の触媒層及び第2の触媒層からなり、第1の触媒層に上記Zr−Nd−R系複合酸化物を含有させ、第1の触媒層及び第2の触媒層のそれぞれに、アルミナとPtとNOxトラップ材とを含有させることにより、リーン時のNOxを効果的に浄化することができる。
上記排ガス成分浄化用触媒は、第1の触媒層に含有される上記Zr−Nd−R系複合酸化物が、酸素イオン伝導性が高く、リーン時に雰囲気中の酸素を取り込んで活性酸素を放出する酸素交換反応に優れているので、トラップするNOxの酸化反応を促進させ、硝酸塩としてトラップすることができるので、NOx浄化性能を向上させることができる。加えて、上記Zr−Nd−R系複合酸化物が塩基性質であるためNOxを引き付けやすく、NOxを有効にトラップすることができる。
一方、上記排ガス成分浄化用触媒は、リッチ時に、トラップしていたNOxを還元する際においても、上記Zr−Nd−R系複合酸化物が、酸素放出量がCe系複合酸化物に比べて少ないので、NOxの還元反応を阻害することなく、NOxを効果的に浄化することができる。
また、第2の触媒層に含有されるアルミナにロジウムと白金とを担持させることにより、第2の触媒層にトラップさせたNOxを脱離させる際に、該NOxの殆どは第1の触媒層を通過するので、NOxの還元反応を促進させるRhによって脱離NOxの効率的な還元浄化を促進することができ、上記効果をより有効に奏することができる。
本実施形態では、排ガス通路側より下側の第1の触媒層にのみ上記Zr−Nd−R系複合酸化物を含有させているが、排気ガス通路側の第2の触媒層にも上記Zr−Nd−R系複合酸化物を含有させるようにしてもよい。また、NOxトラップ材として、バリウム及びストロンチウムを用いているが、バリウム及びストロンチウム以外のアルカリ土類金属、カリウム、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、セリウム、ランタン、プラセオジムなどの希土類金属などを用いることができる。
また、本実施形態では、触媒担体基材上に2つの触媒層が形成されているが、3つ以上の複数の触媒層を形成する場合においても、上記複数の層のうち少なくとも排ガス通路側の層より下側の層に上記複合酸化物を含有させ、上記複数の層のそれぞれに、高比表面積を有する酸化物粒子と、上記触媒金属として白金(Pt)と、NOxをトラップするNOxトラップ材とを含有させることで、同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明は、例示された実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば前述した実施形態では、DPFとして、ウォールフロータイプのパティキュレートフィルタが用いられたが、これに限定されることなく、三次元網目状タイプのパティキュレートフィルタが採用されてもよい。若しくは、さらに、本発明に係る複合酸化物は酸素イオン伝導性を有することから上記PM燃焼に有効である点、並びに、酸素吸蔵放出能も有することからDPFの上流に配設されPMが堆積するストレートフロー式ハニカム担体上のディーゼル酸化触媒やリーンNOx触媒に含有されてもよい。
ディーゼルエンジンの排気通路にDPF及び酸化触媒を組み付けた状態を示す説明図である。 本実施形態のDPFを模式的に示す正面図である。 上記DPFを模式的に示す縦断面図である。 上記DPFの多孔質壁を拡大して示す断面図である。 PMの燃焼メカニズムを示す説明図である。 各種Zr−Nd−R系複合酸化物(実施例)及びZr−Nd複合酸化物(比較例)のカーボン燃焼速度をあらわす表である。 Zr−Nd−R系複合酸化物及びZr−Nd複合酸化物におけるNdの含有量(Zr+Nd+R)の変化に伴うカーボン燃焼速度の変化をあらわすグラフである。 Zr−12Nd−6La−OのX線回折測定チャート図である。 Zr−12Nd−6Pr−OのX線回折測定チャート図である。 各種複合酸化物についての温度と酸素吸蔵放出能との関係をあらわすグラフである。 NOx浄化性能評価用サンプルのハニカム担体上に形成された2層からなる触媒層を模式的に示す断面説明図である。 NOxの浄化性能の測定結果をあらわす表である。
符号の説明
1…排気通路,3…DPF,6…フィルタ本体,8…酸化触媒層,9…カーボン,20…排ガス成分浄化用触媒材,21…ハニカム担体,22…触媒層,23…第1の触媒層,24…第2の触媒層

Claims (1)

  1. ジルコニウム(Zr)及びネオジム(Nd)を必須成分として含有し、更に、セリウム(Ce)及びネオジム(Nd)以外の希土類金属Rを含有した複合酸化物を含む排ガス成分浄化用触媒材であって、
    上記複合酸化物を構成する上記ジルコニウム,ネオジム及び希土類金属Rは酸化物として、Nd/(ZrO+Nd+RO)比が3mol%以上であるとともに、(Nd+RO)/(ZrO+Nd+RO)比が33mol%以下であり、かつ、RO/(ZrO +Nd +RO)比が12mol%以上であるように含有され
    上記希土類金属Rが、イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),スカンジウム(Sc),ランタン(La),プラセオジム(Pr),サマリウム(Sm)から選択される少なくとも一金属であり、
    上記複合酸化物は触媒金属として白金(Pt)が担持され、パティキュレートフィルタ上の触媒層内に含有されている、ことを特徴とする排ガス成分浄化用触媒材。
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