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JP4983128B2 - 光学素子の製造方法、カラーフィルタの製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

光学素子の製造方法、カラーフィルタの製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インキジェットヘッドを有するインキジェット印刷装置を用いて、インキ皮膜を有する光学素子を製造する方法に関する。光学素子として、主として、カラーフィルタ及び有機エレクトロルミネッセンス素子を挙げることができる。
この本発明の光学素子の製造方法により、カラーフィルタの着色層、色変換フィルターの色変換層、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)の有機発光層、電荷輸送層等の各層を形成することができるほか、回路基板の回路パターン、薄膜トランジスタの配線パターン、マイクロレンズのレンズパターン、バイオチップの流路パターン等を形成することもできる。
例えば、カラーフィルタの製造方法としてはフォトリソグラフィー法、エッチング法等が知られている。フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタの製造方法は、基板全体に各色の感光性樹脂層の塗布膜を形成し、パターン状に露光した後に塗布膜の不要な部分を取り除き、残ったパターンを各画素とする。この方法では塗布膜の多くが現像除去されるため、大量の材料が無駄になる。さらに、画素ごとに露光、現像工程を行うため、工程数が多くなる。このフォトリソグラフィー方式は、カラーフィルタに限らず、有機エレクトロルミネッセンス素子等、種々の光学素子や電気素子の製造に利用されている。
しかし、カラーフィルタの基板サイズは年々大型化が進んでいる。カラーフィルタのコストダウン化を図るためには、従来のフォトリソグラフィー工程を繰り返す顔料分散法等は無駄が多く、近年、インキジェットヘッドを用いた製造方法が検討されている。
インキジェット印刷装置は、複数のノズルが整列配置されたインキジェットヘッドを備えている。インキジェット印刷装置では、ノズルと基板置台とを、基板置台面上に沿って相対的に移動させ描画を行っている。基板の大型化に伴い歩留まりを考慮し、インキジェット印刷装置は、インキジェットヘッドは複数個整列で配置して備え、吐出液量が均一になるような吐出パターン情報を作成している。また、インキジェット印刷装置を用いてストライプ状に並んだ複数色のパターンを有する光学素子等を作成する方法としていくつかの方法が知られている。例えば、ストライプ状パターンの長手方向と特定色のインキジェットヘッドの向きを略直交させ、このストライプ状パターンの長手方向に沿ってインキジェットヘッドを主走査する第1の方法(特許文献1及び特許文献2)や、ストライプ状パターンの長手方向と特定色のインキジェットヘッドの向きを略平行とし、このストライプ状パターンの長手方向と直交する方向にインキジェットヘッドを走査する第2の方法(特許文献3)が知られている。
インキジェット印刷装置においては、印刷中にノズルの高い位置精度が要求される。また近年、表示装置の高精細化が進行し、例えばフルスペックハイビジョン(横1920×縦1080)に対応する液晶表示装置用カラーフィルタにおいては、インキジェット印刷装置で製造する場合、従来よりも高度な画素密度を備えることが必要である。
しかし、前掲第1の方法では、画素密度の高い光学素子等を製造する場合にはインキジェットヘッドの配置が僅かでもずれると、混色を発生する問題があり、ずれを主走査の途中で修正することができないため、精度よく画素密度の高い光学素子等を製造することができなかった。
一方、前掲第2の方法においては、相違する色の画素間で混色が発生した場合であっても、インキジェットヘッドに属するノズルの吐出タイミングを変えることにより不良を防止することができる。しかし、第2の方法においては、ストライプ状パターンの長手方向とインキジェットヘッドの向きが平行であるため、インキジェットヘッドのノズルの間隔を狭め、インキジェットヘッドの吐出密度を上昇させる必要があった。このため、インキジェットヘッドがストライプ状パターンを通過する際には、このインキジェットヘッドに属する全てのノズルを使用し、吐出を行う必要があったが、インキジェットヘッドのノズル密度を上げ、全てのノズルを同時に吐出すると近傍のノズルの振動が互いに影響・干渉し、クロストークにより安定した吐出を行うことができなかった。
すなわち、インクジェットヘッドは、通常吐出されるインキが、共通した液室を通じて、多数のノズルに分配される構造となっている。このため、あるノズルに圧力が付加され吐出動作が行われると、そのノズルに近傍する他のノズル内に存在するインキに圧力が伝達され、この他のノズルの吐出量が不安定になる。
また、同時に全てのノズルの吐出動作を行うと、一度に大きな駆動電流が流れるため、インクジェットヘッドがジュール熱により発熱し、ノズル吐出の均一性に影響を与える問題がある。
そして、吐出の解像度を落としてクロストークを防止しようとすると、吐出したインキパターンの隙間が生じ、同一色間で白抜けや色むらが発生し、やはり不良の原因となる問題が生じていた。
さらに、前掲第2の方法においては、インクジェットヘッドに属する全てのノズルを使用して吐出を行うため、隔壁が、画素の短手方向と平行なパターンを含む場合(例えば、隔壁が格子状のパターンである場合)に、一部のノズルから吐出されたインクが隔壁に乗り上げる問題があった。
特開平8−292319号公報 特開2001−228320号公報 特開2003−127343号公報
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、前掲第2の方法における光学素子の製造方法に於いて、吐出の精度及び解像度を向上させ、以ってスジ状の抜けやムラを発生しない光学素子の製造方法を提供することを課題とする。
さらに具体的には、カラーフィルタのストライプ状のパターンを構成する特定の画素と、この画素と隣接する同一色の画素の間隔(ピッチ)との間の吐出の安定性及び解像度を向上させることを課題とする。
上記課題を解決するための本発明の構成を以下に示す。
第1の発明は、ほぼ第1の方向に均一の間隔で配列された複数のノズルを備え、このノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドを、前記第1の方向と略直交する第2の方向に相対的に主走査させながら、パターン状の隔壁が形成された基板にインクを吐出して、前記第2の方向に隣り合う画素が互いに異なる色となるように多数の画素を着色することにより光学素子を製造する方法であって、前記複数のノズルは、ノズルごとにインキを吐出し、前記複数のノズルのうち一部からインキを吐出して印刷する単位工程を繰り返すことにより、前記画素を印刷する方法において、前記複数のノズルのそれぞれを前記インクジェットヘッドの端部から順番に数えた自然数nで特定し、この自然数nを前記繰り返しの回数aで除したときの剰余をb(ただし、bは0≦b≦a−1を満たす整数)として、前記複数のノズルのそれぞれに剰余bを対応させると共に、前記単位工程が、特定の値の剰余bに対応する複数のノズルのうち、前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルを除くノズルから、選択的にインキを吐出して前記吐出位置に印刷する工程であることを特徴とする光学素子の製造方法である。
第2の発明は、上記において、前記複数のノズルと基板とを第2の方向に相対的に移動させながら、前記単位工程を連続して繰り返して、前記画素を印刷する方法であって、前記インキジェットヘッドに前記複数のノズルが配置されていて、このインキジェットヘッドと基板とを第2の方向に相対的に移動させることにより、前記複数のノズルと基板とを第2の方向に相対的に移動させると共に、前記剰余bの値が互いに同一である2個以上のノズルは同一のタイミングで吐出位置に到達するようにインキジェットヘッドに配置されており、他方、前記剰余bの値が互いに異なるノズルは互いに異なるタイミングで吐出位置に到達するようにインキジェットヘッドに配置されており、前記単位工程が、前記インキジェットヘッドと基板との幅方向への相対的な移動に伴い、前記剰余bの値が互いに同一である2個以上のノズルが吐出位置に到達したタイミングにおいて、吐出位置に到達したこれら2個以上のノズルからのインキ吐出を選択的に開始してその吐出位置に印刷する工程であることを特徴とする光学素子の製造方法である。
第3の発明は、上記において、前記インキジェットヘッドに於いて、前記複数のノズルを、前記複数のノズルのそれぞれを前記画素の端部から順番に数えた自然数nで特定し、繰り返し回数aを指定し、
式(1)及び式(2)からノズルの剰余bを演算し、
時間T[sec]を与え、
その時間における前記インキジェットヘッドの指定する剰余bを式(3)で示される関数β(T)とし、
吐出を開始する際に時間Tを進行させ、任意の時間Tにおいて、式(4)を満たすように前記インキジェットヘッド全体のノズルの吐出を行うことを特徴とする光学素子の製造方法である。
Figure 0004983128
Figure 0004983128
Figure 0004983128
Figure 0004983128
(なお、(x)mod(y)は、整数xを整数yで除したときの剰余となる整数を導出する関数とする。f(x)は実数xの小数点以下を切り捨てた整数を導出する関数とし、
πは正の実数とする。)
第4の発明は、上記において、前記インキジェットヘッドに於いて、前記複数のノズルを、前記複数のノズルのそれぞれを前記画素の端部から順番に数えた自然数nで特定し、そのノズルの前記第2の方向に沿った位置をY(n)としたときに、前記インキジェットヘッドに属するノズルであって、前記インキジェットヘッドの端部からn+a番目にあるノズルを式(5)を満たすように配置し、前記インキジェットヘッドの主走査の速度のうち、第2の方向に沿った成分をV[m/sec]とし、前記インキジェットヘッドに於いて任意のノズルを選択し、このノズルの属するインキジェットヘッドの最も端部に存在するノズルから当該ノズルまでの数えた数をnとしたときに、いずれのノズル(n=(aの倍数)となるノズルを除く。)においても式(6)を満たすように吐出を行うことを特徴とする光学素子の製造方法である。
Figure 0004983128
Figure 0004983128
第5の発明は、上記に於いて、前記単位工程が、特定の値の剰余bに対応する複数の前記ノズルのうち、前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルの除くノズルから選択的にインキを吐出する工程であり、かつ、剰余bに対応し、かつ前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルを吐出しないことによって、吐出を行うノズルのインクの吐出量に与える影響を測定する工程と、吐出を行うインクの吐出量が一定となるように、この測定した情報を反映する工程と、を含むことを特徴とする光学素子の製造方法である。
第6の発明は、上記のいずれかの光学素子の製造方法により、基板上に着色インキ層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
第7の発明は、上記において、基板がガラス基板であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
第8の発明は、上記において、前記インキが赤色、青色、緑色のうちいずれかより選択される色の着色顔料を含む着色インキであることを特徴とする格子状の隔壁を備えたカラーフィルタの製造方法である。
第9の発明は、上記において、赤色、青色、緑色の着色インキを吐出するインキジェットヘッドを備えたインキジェットヘッドユニットを用いて、前記着色層として赤色、青色、青色のインキを同時に吐出することを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルタの製造方法である。
第10の発明は、上記において、前記基板上に、この基板の表面を多数の領域に区分けする隔壁が設けられ、前記多数の領域内に、前記インキジェットヘッドからインキを吐出することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
第11の発明は、上記において、前記隔壁が黒色顔料を含む樹脂により形成されていることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
第12の発明は、上記において、前記隔壁が撥インキ成分を含む樹脂により形成されていることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
第13の発明は、上記において、前記着色インキの粘度が、2〜20mPa・Sであることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
第14の発明は、上記において、前記着色インキ層を、各色ごとのパターンが前記第1の方向と平行となるようにストライプ状の繰り返しパターン又は格子状の繰り返しパターンに形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
第15の発明は、上記において、光学素子の製造方法により、基板上に有機発光層を形成することを特徴とする格子状の隔壁を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
第16の発明は、上記において、前記基板がガラス基板又はフィルム状基板のいずれかであることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
第17の発明は、上記において、前記インキが赤色、青色、緑色のうちいずれかより選択される色の有機発光材料を含むインキであることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
第18の発明は、上記において、赤色、青色、緑色のインキを吐出するインキジェットヘッドを備えたインキジェットヘッドユニットを用いて、前記有機発光層として赤色、青色、青色のインキを同時に吐出することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
第19の発明は、上記に於いて、前記基板上に、この基板の表面を多数の領域に区分けする隔壁が設けられ、前記多数の領域内に、前記インキジェットヘッドからインキを吐出することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
第20の発明は、上記において、前記隔壁が黒色顔料を含む樹脂により形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
第21の発明は、上記において、前記隔壁が撥インキ成分を含む樹脂により形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
第22の発明は、上記において、前記インキの粘度が、2〜20mPa・Sであることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
第23の発明は、上記において、前記インキ層を、各色ごとのパターンが前記第1の方向と平行となるようにストライプ状又は格子状に形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
(第1の発明)
第1の発明は、ほぼ第1の方向に均一の間隔で配列された複数のノズルを備え、このノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドを、前記第1の方向と略直交する第2の方向に相対的に主走査させながら、パターン状の隔壁が形成された基板にインクを吐出して、前記第2の方向に隣り合う画素が互いに異なる色となるように多数の画素を着色することにより光学素子を製造する方法であって、前記複数のノズルは、ノズルごとにインキを吐出し、前記複数のノズルのうち一部からインキを吐出して印刷する単位工程を繰り返すことにより、前記画素を印刷する方法において、前記複数のノズルのそれぞれを前記インクジェットヘッドの端部から順番に数えた自然数nで特定し、この自然数nを前記繰り返しの回数aで除したときの剰余をb(ただし、bは0≦b≦a−1を満たす整数)として、前記複数のノズルのそれぞれに剰余bを対応させると共に、前記単位工程が、特定の値の剰余bに対応する複数のノズルのうち、前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルを除くノズルから、選択的にインキを吐出して前記吐出位置に印刷する工程であることを特徴とする光学素子の製造方法である。
すなわち、第1の発明は、単一の又は2以上のインキジェットヘッドを有するインキジェット印刷装置を用いて、前掲第2の方法により光学素子を製造する場合において用いられる方法に係るものである。
この第1の発明は、基板と、基板上を区切るように設けられた格子状の隔壁と、隔壁に区切られた細長い画素を多数配列して構成される光学素子を製造する方法である。この光学素子の例(カラーフィルタの場合)を図19に示す。
この第1の発明では、インクジェットヘッドに複数のノズルを、隣接するノズルの第2の方向に沿った間隔が等しくなるように配置する。
また、第1の発明では、まず繰り返し回数aを設定する。また、インキジェットヘッドに多数配列されたノズルに、最も端部に存在するノズルから順番に1からN(Nは、インクジェットヘッドに属するノズルの総数)まで番号nを設定する。
そして、このN個のノズルを、予め設定したa個の繰り返し回数のいずれかに属するように、ノズルごとに剰余bを割り振る。具体的にはnを、繰り返し回数aで除し、その剰余を求めて、これを剰余bとしてノズルごとに設定する。このようにして、1〜Nの全てのノズルに0乃至(a−1)のいずれかから選択される剰余bが付与される。図13に繰り返し回数aを4としたとき、N個のノズルを有するインキジェットヘッドのノズルに付与される剰余bを、ノズル番号nと合わせて表示した状態の例を示す。
インキジェットヘッドに属するノズルのうち、0以上かつ(a−1)以下の整数のうちいずれかから選択される任意の整数(Bとする。)と等しい剰余bを有するノズルを吐出する。
ここで、剰余bを有するノズルのうち、前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズル(以下、休止ノズルという。)については吐出を行わない。つまり、Bと等しい剰余bを有する複数のノズルのうち、休止ノズルを除いたノズルから吐出を行う。この工程を単位工程という。
図25には、B=1としたときに、吐出するノズルを黒で示し、吐出していないノズルを白で示した。
続いて、0以上かつ(a−1)以下の整数のうちいずれかから選択されるBと相違する任意の整数(Bとする。)と等しい剰余bを有するノズルのうち、休止ノズルを除いたノズルからインキを吐出する。
さらに、続いて、0以上かつ(a−1)以下の整数のうちいずれかから選択されるBと相違する任意の整数(Bとする。)と等しい剰余bを有するノズルのうち、休止ノズルを除いたノズルからインキを吐出することができる。
そして、0≦b≦a−1を満たす全ての剰余bの集合B={b|0≦b≦a−1}について、上記単位工程を行う。
このように、特定の整数を指定し、この整数と等しい剰余を有するノズルから休止ノズルを除いたノズルを同時に吐出させるステップと、この整数を変化させるステップを相互に行うことで、前傾第2の方法でインクジェットヘッドを第2の方向に主走査し、隔壁を有する光学素子を精度よく製造することができた。
隔壁が、画素の短手方向と平行なパターンを含む場合(例えば、隔壁が格子状のパターンである場合)あっても、一部のノズルから吐出されたインクが隔壁に乗り上げることがなくなった。このため、すべてのノズルを同時に吐出させる場合と比較して、インクの混色等の不良を低減ないし解消することができた。
なお、ここでいう1回の「インクの吐出」には、1のノズルから単一のインク液滴(ドロップ)を吐出する場合に限られず、1のノズルから多数のインク液滴(マルチドロップ)を1度に所定量まとめて吐出する場合を含むものとする。
(第2の発明)
第2の発明は、前記画素を印刷する方法において、前記複数のノズルと基板とを第2の方向に相対的に移動させながら、前記単位工程を連続して繰り返して、
前記インキジェットヘッドに前記複数のノズルが配置されていて、このインキジェットヘッドと基板とを第2の方向に相対的に移動させることにより、前記複数のノズルと基板とを第2の方向に相対的に移動させると共に、
前記剰余bの値が互いに同一である2個以上のノズルは同一のタイミングで吐出位置に到達するようにインキジェットヘッドに配置されており、他方、前記剰余bの値が互いに異なるノズルは互いに異なるタイミングで吐出位置に到達するようにインキジェットヘッドに配置されており、
前記単位工程が、前記インキジェットヘッドと基板との幅方向への相対的な移動に伴い、前記剰余bの値が互いに同一である2個以上のノズルが吐出位置に到達したタイミングにおいて、吐出位置に到達したこれら2個以上のノズルからのインキ吐出を選択的に開始してその吐出位置に印刷する工程であることを特徴とする光学素子の製造方法である。
すなわち、第2の発明では、同一の剰余bを有する複数のノズルを同時にさせることを前提とした上で、インキジェットヘッドを細長い第2の方向に相対的に移動させている。
そして、第2の発明では、インキ吐出の際に、前記剰余bの値が互いに同一である2個以上のノズルが、同時のタイミングで吐出されるだけでなく、その際に同時に吐出位置に到達するにように操作を行うことを特徴とする。
第2の発明は、例えば、具体的には、インキジェットヘッドに属するノズルを、全体としてほぼ第1の方向に均一の間隔で配列することを前提とした上で、ノズルの剰余bに応じて、第2の方向に周期的にずらして配列することにより実施することができる。このように配置すると、剰余bが等しいノズルの各位置成分のうち、第2の方向における位置成分が等しくなるから、インキジェットヘッドを第2の方向にそって走査する際に、等しい剰余bを有するノズルと吐出タイミングが同時になる。
これを換言すれば剰余bの値が互いに同一である2個以上のノズルは同一のタイミングで吐出位置に到達するようにノズルを配置する。具体的には、前記の方法でノズルに番号を付与したときのn番目のノズルの第2の方向に沿った位置と、n+a番目のノズルの第2の方向に沿った位置を同一又は略同一とする。
すると前記の方法でノズルに番号nを付与したときのノズルの第2の方向の位置をY(n)と表現したときに、このY(n+a)をY(n)と等しくするものである。なお、1番目のノズルの第2の方向に沿った位置(Y(1))からa−1番目のノズルの第2の方向に沿った位置(Y(a−1))までは任意の位置を設定することができる。
第2の発明に用いるインキジェットヘッドのノズルの配列の例を、図12に示す。
第2の発明によれば、第1の発明の「特定の剰余bを有するノズルのみを同時に吐出させるステップ」において、このステップで吐出されるインキが精度よく直線的に基板に付与された。このため、カラーフィルタ等ストライプ状パターンを有する光学素子の製造において、混色、白抜け不良等の発生しない高品質の製品を提供することができた。
第3の発明は、前記において、前記インキジェットヘッドに於いて、前記複数のノズルを、前記複数のノズルのそれぞれを前記画素の端部から順番に数えた自然数nで特定し、繰り返し回数aを指定し、式(1)及び式(2)からノズルの剰余bを演算し、
時間T[sec]を与え、その時間における前記インキジェットヘッドの指定する剰余bを式(3)で示される関数β(T)とし、吐出を開始する際に時間Tを進行させ、任意の時間Tにおいて、式(4)を満たすように前記インキジェットヘッド全体のノズルの吐出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法である。
Figure 0004983128
Figure 0004983128
Figure 0004983128
Figure 0004983128
(なお、(x)mod(y)は、整数xを整数yで除したときの剰余となる整数を導出する関数とする。f(x)は実数xの小数点以下を切り捨てた整数を導出する関数とし、
πは正の実数とする。)
すなわち、第3の発明は、前記の方法でノズルに番号を付与したときのn番目のノズルの剰余bをbとして設定する。また、吐出する剰余bを、時間Tにより変化する関数β(T)とする。πは、予め、任意の実数から選択することができる。
そして、ある時間Tにおいて、式(4)を満たす位置にあるノズルのみを同時に吐出することを特徴とする。ここで、β(T)は式(3)で表される。関数β(T)をa=3、a=4の場合を例に図11に示す。このようにβ(T)は、0〜(a−1)の整数を繰り返してなる関数である。繰り返し回数aによりこの繰返し周期が決まる。吐出条件が変化する周期の単位時間は、定数πと同一の時間(sec)となる。このような吐出を行うことにより、ある吐出条件に属するノズルのインキの吐出時間が常に、π(sec)となるため、インキ皮膜形状が一定で、色むら、混色等の発生しない光学素子を得ることができた。
第4の発明は、インキジェットヘッドに於いて、前記複数のノズルを、前記複数のノズルのそれぞれを前記画素の端部から順番に数えた自然数nで特定し、そのノズルの前記第2の方向に沿った位置をY(n)としたときに、
前記インキジェットヘッドに属するノズルであって、前記インキジェットヘッドの端部からn+a番目にあるノズルを式(5)を満たすように配置し、
前記インキジェットヘッドの主走査の速度のうち、第2の方向に沿った成分をVとし、
前記インキジェットヘッドに於いて任意のノズルを選択し、このノズルの属するインキジェットヘッドの最も端部に存在するノズルから当該ノズルまでの数えた数をnとしたときに、いずれのノズル(n=(aの倍数)となるノズルを除く。)においても式(6)を満たすように吐出を行うことを特徴とする光学素子の製造方法である。
Figure 0004983128
Figure 0004983128
すなわち、第4の発明では、まず、前記第2の発明に基づいてインキジェットヘッドにノズルを配置する。n番目のノズルの第2の方向の位置Y(n)を、a個分隣にあるノズルの第2の方向の位置Y(n+a)と同じになるようにすべてのノズルを配置し、インキジェットヘッドにa個ごとに繰り返しとなるノズルのパターンを形成する。
また、第3の発明と同様にしてβ(T)を設定する。そして、n=(aの倍数)となるノズルを除く全てのノズルについて、式(5)を満たすようにノズルを配置し、吐出を行う。
すなわち、主走査の速度をV[m/sec]としたときに、原則として隣合うノズルの第2の方向におけるノズル間隔(161、162)をVπ[m]ずらして配置する(図16)。換言すれば、隣り合うノズルの第2の方向における距離を予めL[m]としたときは、主走査をL/π[m/sec]の速度で行うことになる。
ただし、n=aの倍数(図16で示す場合においては、a=3であり、n=3、6、9、12)となるノズルの場合は、隣り合うノズル(すなわち、n=(aの倍数)+1となるノズル(図16に示す場合においては、n=4、7、10))に対して、式(6)を適用せず、式(5)を適用してノズルを配置する。このようにノズルを配置することにより、周期的にノズルの第2の方向における位置が変化するインキジェットヘッドが構成される。
第4の発明を用いた光学素子の製造方法におけるインキジェットヘッドの経時変化の例を図9に示す。図9には繰り返し回数a=3、n=1〜9のインキジェットヘッドが示されている(インキジェットヘッドのうち最上部のノズルをn=1とし、その下のノズルはn=2、n=3、…n=9となるものとする。)。図9に記載された3個のインキジェットヘッドは経時変化による吐出ノズルの状態を示している。最上部のインキジェットヘッドは0≦T<πのいずれかの時におけるインキジェットヘッドを示している。中央のインキジェットヘッドはπ≦T<2πのいずれかの時におけるインキジェットヘッドを示している。最下部のインキジェットヘッドは2π≦T<3πのいずれかの時におけるインキジェットヘッドを示している。この例において、b=0、b=1、b=2、b=0、b=1、b=2、b=0、b=1、b=2である。最初の状態(T=0)においては、インキジェットヘッド101のうち、剰余b=0のノズル102のみが同時に吐出される。剰余b=0のノズルは、第2の方向に沿って同じ位置に配置されているため、精度よくストライプ状パターンを形成することができた。
続いて、π[sec]時間経過し、次の状態(T=π)となると、インキジェットヘッド103のうち、剰余b=1のノズル104のみが同時に吐出される。ここで、インキジェットヘッド103は最初の状態から、主走査の速度のうち第2の方向に沿った速度成分Vに時間π(sec)を乗じた距離(Vπ[m])を移動している。したがって、ノズル102とノズル104の第2の方向に沿った位置を、予めVπ[m]ずらして配置しておくことで、次の状態(T=π)の吐出においても、最初の状態で吐出したインキと同じ第2の方向の位置にインキを付与することができた。さらに次の状態(T=2π)の吐出においても、インキジェットヘッド105のうち、剰余b=2のノズル106のみが同時に吐出される。ここで、インキジェットヘッド105は、は最初の状態から、主走査の速度のうち第2の方向に沿った速度成分Vに時間2π(sec)を乗じた距離(2Vπ)を移動している。そこで、ノズル102とノズル106の第2の方向に沿った位置を、予め2Vπずらして配置しておくことで、さらに次の状態(T=2π)の吐出においても、最初の状態で吐出したインキと同じ第2の方向の位置にインキを付与することができた。
本発明によれば、以上のようにして、インキジェットヘッドのノズルを同時に吐出しないことによりクロストークの発生を抑えつつ、かつノズルの位置をその吐出条件パラメータと主走査の速度によって一定の位置ずらすことにより、精度よくストライプ状パターンを形成することができたのである。
第5の発明は、上記において、前記単位工程が、特定の値の剰余bに対応する複数の前記ノズルのうち、前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルの除くノズルから選択的にインキを吐出する工程であり、
かつ、剰余bに対応し、かつ前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルを吐出しないことによって、
吐出を行うノズルのインクの吐出量に与える影響を測定する工程と、
吐出を行うインクの吐出量が一定となるように、この測定した情報を反映してインクの吐出量を決定する工程とを含むことを特徴とする光学素子の製造方法である。
即ち、第1の発明で述べたとおり、単位工程では、特定の値の剰余bに対応する複数の前記ノズルのうち、前記格子状の隔壁のうち、画素の短手方向に沿った繰り返しパターンに対応する位置に配置されたノズル(休止ノズル)を除くノズルから選択的にインキを吐出する。
しかし、このように休止ノズルを設けて吐出を行った場合、特定の値の剰余bに対応するノズルを全て吐出された場合と比較して、ノズルのインク吐出量の均一性が悪化する。
図27には、剰余b=0のノズルをすべて吐出させた場合における1回当たりのインクの吐出量と、剰余b=0のノズルから休止ノズルを除いたノズルを吐出させた場合におけるインクの吐出量の比較を示す。
図27(a)には、R(赤色用)インクジェットヘッドの全ノズルを使用して、ストライプ状のR画素パターンを吐出した例を示す。この例では、繰り返し回数a=3とし、インクジェットヘッドは、下方向に主走査されることを前提とし、各ノズルから1回のみ吐出されることを前提としている。まずb=1のノズルを吐出し、次にb=2のノズルを吐出し、b=0のノズルを吐出している。すると、図に示すように、n=1〜24のノズルは、いずれも周囲のノズルの吐出条件に差異がないため、ほぼ均一量のインクを吐出できる。
一方、図27(b)には、R(赤色用)インクジェットヘッドの一部のノズルを使用して、ストライプ状のR画素パターンを形成を示す。この例では、繰り返し回数a=3とし、各ノズルから1回のみ吐出されることを前提としている。インクジェットヘッドは、下方向に主走査されることを前提としている。
この例では、パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズル(n=1、10、19)は吐出されない。吐出されないノズルは、いずれも剰余b=1に属する。
このため、剰余b=1に属するノズルは、全てのノズルを吐出する場合と比較して、吐出量に差が生ずる。図27(b)に示すとおり、剰余b=1に属するノズルの吐出量は、6plとなり、全てのノズルを吐出した場合(図27(a))と比較して、吐出量が1pl増加している。剰余b=0、2のノズルは、休止するノズルはないから、吐出量にむらが生じることはない。このように、剰余bが等しいノズルのうち、吐出を行わないノズルがあると、剰余bによって吐出量が変化し、色むらの発生原因となる。
そこで、本願発明では、吐出を行うノズルのインクの吐出量に与える影響を測定する工程と、吐出を行うインクの吐出量が一定となるように、この測定した情報を反映してインクの吐出量を決定する工程とを行うことにより、このような色むらの発生を防止する。
具体的には、隔壁のパターンにより、休止するノズルが、吐出を行うノズルのインクの吐出量に与える影響を測定する。図27(b)の例では、剰余b=1に属するノズルは、休止ノズル(n=1、10、19‥18+9×m(mは任意の自然数))が存在することにより、1ショットあたりの吐出量が、剰余b=1以外のノズルと比較して1.2倍となっている。そこで、図28における例では、剰余b=1に属するノズルの吐出回数を、他のノズルに比較して、1/1.2倍=5/6倍とすることにより、各ノズルから吐出されたインクの総量が等しくなるように吐出回数が決定されている。この例では、インクの吐出回数により、インクの吐出量が一定となるように調整している。この他、圧電素子に付与するパルス電流の電圧や波形を変化させて、ノズルから吐出される1ショット当たりのインクの量を調整することも可能である。
第6の発明は、上記の光学素子の製造法を用いて、基板上に着色インキ層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
この発明によれば、前掲第2の方法を用いたストライプ状の着色インキ層を有するカラーフィルタの製造に際して、着色インキ層の直線的な精度の良好なカラーフィルタを製造することができた。よって、インキの着弾精度の不良により発生する着色インキ層の「混色」「白抜け」「色むら」を防止することができた。
第7の発明は、上記において、基板がガラス基板であることを特徴とする請求項5に記載のカラーフィルタの製造方法である。ガラス基板を使用することにより耐熱性、耐候性、耐薬品性の優れたカラーフィルタを提供することができた。
第8の発明は、上記において、インキが赤色、青色、緑色のうちいずれかより選択される色の着色顔料を含む着色インキであることを特徴とする請求項5又は6に記載のカラーフィルタの製造方法である。インキが上記顔料を含むことにより、耐熱性、耐候性、耐薬品性の優れたカラーフィルタを提供することができた。
第9の発明は、上記において、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)の着色インキを吐出するインキジェットヘッドを備えたインキジェットヘッドユニットを用いて、前記着色層として赤色、青色、青色のインキを同時に吐出することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。RGB3色のいずれの吐出においても、上記の光学素子の製造方法を用いることで、いずれの色においても色むら、混色、白抜けの発生しないRGB3色のカラーフィルタを製造することができた。
第10の発明は、上記に於いて、基板上に、この基板の表面を多数の領域に区分けする隔壁が設けられ、前記多数の領域内に、前記インキジェットヘッドからインキを吐出することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。基板上に多数の領域に区分けする隔壁を設け、この多数の領域内に着色インキを吐出することで、混色の発生を確実に防止し、高品質のカラーフィルタを提供することができた。
第11の発明は、上記において、隔壁が黒色顔料を含む樹脂により形成されていることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。隔壁が黒色顔料を含むと、この隔壁が通過する光を遮断するため、ブラックマトリックスとして作用する効果を奏する。このため、コントラストが良好なカラーフィルタを提供することができた。
第12の発明は、上記に於いて、隔壁が撥インキ成分を含む樹脂により形成されていることを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。隔壁が撥インキ性分を含有することで、隔壁の混色防止作用が強化され、より高品質のカラーフィルタを提供することができた。
第13の発明は、上記において、着色インキの粘度が、2〜20mPa・Sであることを特徴とする請求項5〜11のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法である。着色インキの粘度を2mPa・s以上とすることにより、インキジェットヘッドのクロストークの影響を低減し、混色等を防止することができた。また着色インキの粘度を20mPa・s以下とすることにより、着色インキ層の形状を良好にして、色むらを低減することができた。
第14の発明は、上記において、着色インキ層を、各色ごとのパターンが第1の方向(主走査の方向と垂直な方向)と平行となるようにストライプ状の繰り返しパターン又は格子状の繰り返しパターンに形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。着色インキ層を、第1の方向と平行となるストライプ状の繰り返しパターンまたは格子状の繰り返しパターンとすることで、上記光学素子の製造方法を用いて、着色インキ層を精度よくかつ効率よく形成することができた。
第15の発明は、上記の光学素子の製造方法により、基板上に有機発光層を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。この発明によれば、前掲第2の方法を用いたストライプ状の有機発光層を有するカラーフィルタの製造に際して、有機発光層の直線的な精度の良好なカラーフィルタを製造することができた。よって、インキの着弾精度の不良により発生する有機発光層の「混色」「白抜け」「色むら(発光むら)」を防止することができた。
第16の発明は、上記に於いて、基板がガラス基板又はフィルム状基板のいずれかであることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。ガラス基板を使用することにより耐熱性、耐候性、耐薬品性の優れたカラーフィルタを提供することができた。また、フィルム状基板を使用することにより可撓性を有する有機EL素子を製造することが可能となった。
第17の発明は、上記において、インキが赤色、青色、緑色のうちいずれかより選択される色の有機発光材料を含むインキであることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。少なくともRGB3色のいずれか吐出において、上記の光学素子の製造方法を用いることで、各色においても色むら(発光むら)、混色、白抜けの発生しないRGB3色の有機EL素子を製造することができた。
第18の発明は、上記において、赤色、青色、緑色のインキを吐出するインキジェットヘッドを備えたインキジェットヘッドユニットを用いて、前記有機発光層として赤色、青色、青色のインキを同時に吐出することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。RGB3色のいずれの吐出においても、上記の光学素子の製造方法を用いることで、すべての色の有機発光層においても色むら(発光むら)、混色、白抜けの発生しないRGB3色の有機EL素子を製造することができた。
第19の発明は、上記において、基板上に、この基板の表面を多数の領域に区分けする隔壁が設けられ、前記多数の領域内に、前記インキジェットヘッドからインキを吐出することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。基板上に多数の領域に区分けする隔壁を設け、この多数の領域内にインキを吐出することで、混色の発生を確実に防止し、高品質の有機EL素子を提供することができた。
第20の発明は、上記において、隔壁が黒色顔料を含む樹脂により形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
隔壁が黒色顔料を含むと、この隔壁が通過する光を遮断するため、ブラックマトリックスとして作用する効果を奏する。このため、コントラストが良好な有機EL素子を提供することができた。
第21の発明は、上記において、隔壁が撥インキ成分を含む樹脂により形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。隔壁が撥インキ性分を含有することで、隔壁の混色防止作用が強化され、より高品質の有機EL素子を提供することができた。
第22の発明は、上記に於いて、インキの粘度が、2〜20mPa・Sであることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。インキの粘度を2mPa・s以上とすることにより、インキジェットヘッドのクロストークの影響を低減し、混色等を防止することができた。またインキの粘度を20mPa・s以下とすることにより、有機発光層の形状を良好にして、色むらを低減することができた。
第23の発明は、上記に於いて、有機発光層を、各色ごとのパターンが前記第1の方向と平行となるようにストライプ状又は格子状に形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。有機発光層を、第1の方向と平行となるストライプ状の繰り返しパターンまたは格子状の繰り返しパターンとすることで、上記光学素子の製造方法を用いて、有機発光層を精度よくかつ効率よく形成することができた。
以下、図面を参照し、本発明の光学素子の製造方法、カラーフィルタの製造方法、有機EL素子の製造方法を詳細に説明する。
(装置の実施形態)
図1には、本発明の実施に使用することができるインキジェット印刷装置および周辺設備の一例の全体図を示す。インキジェット印刷装置は、基板搬送ステージ2、インキジェットヘッドユニット14、インキジェットヘッドユニット移動軸4、メインコントローラ10、吐出制御部9で構成されている。インキジェットヘッドユニットは、単一の又は複数のインキジェットヘッドを搭載している。図1には複数のインキジェットヘッドを搭載したインキジェットヘッドユニット14の例を示す。インキジェットヘッドは、特定の方向に略配列された多数のノズル(図示せず)を備えてなる。
基板搬送ステージ2には塗工対象となる基板を搭載する。基板としてカラーフィルタ、有機エレクトロルミネセンス素子などの光学素子の他、配線回路基板、バイオチップなど精細なパターンを有する素子等を挙げることができる。基板搬送ステージ2は、所定の基板搬送ステージ搬送方向11に沿って移動する。基板搬送ステージ搬送方向11は主走査方向と平行である。
インキジェットヘッドユニット14はインキジェットヘッドユニット移動軸4上を主走査方向に沿って移動する。インキジェットヘッドユニット移動軸4は、インキジェットヘッドユニットの走査方向11と直交している。インキジェットヘッドユニットは、このインキジェットヘッドユニット移動軸に沿って副走査される。
以下、インキジェットヘッドユニットが副走査される方向を第1の方向とし、インキジェットヘッドユニットが主走査の方向を第2の方向とする。
基板搬送ステージ2は、基板1を固定するための真空吸着穴を備え、基板表面より突出するものなく基板を固定することができる。これによって、基板1とインキジェットヘッド13のギャップを極小に近づけられる。
吐出制御部9には、インキジェットヘッドユニット移動の軌跡の直線性の測定値を記憶する記憶部(図示しない)が内蔵されている。
これによって、インキジェットヘッドユニットの第1の方向軸上の任意の位置での直線性を把握することができ、仮にインキジェットヘッドユニット14が所望の位置において、第1の方向軸に対し直線でないとしても、その位置での直線性(ズレ)に応じてノズルの吐出タイミングを変えることで、塗工精度を補正することができる。
図2には、上記インキジェットヘッドユニット14およびその周辺機構図の詳細を示す。
インキジェットヘッドユニット14は複数のインキジェットヘッドを備えている。インキジェットヘッドは、インキを吐出する複数のノズルを備えている。このノズルは、第1の方向に沿った位置が、所定の等間隔になるように配置する。
インキジェットヘッドの配向が所定の向きからずれることをインキジェットヘッドの回転ズレという。このため、インキジェット塗工装置は回転方向(以下、θ方向ともいう)のズレを補正するためのθ調整機構15を備えている。θ調整機構15により、インキジェットヘッドユニットが複数のインキジェットヘッドを搭載する際、当該複数のインキジェットヘッドの全体の大まかな方向を調整することができる。
図1にはこのインキジェットヘッドの回転ズレを検出するための検出手段(倒立顕微鏡7)が2つ示されている。また、インキジェットヘッドが傾き、上下方向(第3の方向)のズレが生じる場合がある。この第3の方向のずれを修正するため、ギャップ調整機構(図示せず)を設けることが効果的である。
図3には、複数のインキジェットヘッドを備えたインキジェットヘッドユニットにおいて、各インキジェットヘッドの配列の例を示す平面図である。
インキジェットヘッド13は、第1の方向に沿って、平行に配置されている。また、ノズル範囲よりインキジェットヘッド本体の幅が広いため、隣り合うインキジェットヘッドは、第2の方向そってずらした千鳥状の配置となっている。このため、インキジェットヘッドに属するノズルの吐出タイミングを、当該インキジェットヘッドと隣接するインキジェットヘッドとの間に生じる第2の方向の距離に応じて、変えることによりインキ吐出を精度よく直線状とすることができる。
図10には、インキジェットヘッド131と、このインキジェットヘッド131に配置されたノズル132の一例を示す。インキジェットヘッド131には、ノズルがN個配置されているものとし、便宜的に各ノズルには左端部ないし右端部から1、2、3…と順番に自然数の番号nが付与されているものとする。各ノズル132からはインキが吐出され、各ノズルの吐出のタイミング、回数、インキの吐出量等は独立して制御できる。
図26には、このようなインクジェットヘッドの素子の構造の例を示す。図26には、圧電セラミックスを櫛歯状に加工し、上下に貼り合わせてピッチの細かな圧電セラミックスの溝を作り、その中に充填させたインクを吐出する素子の例が示されている。
このようなインクジェットヘッドを使用したインク吐出の例を図26により示す。インクジェットヘッドには各インク室が設けられており、それぞれ圧電素子、ノズル(開口部)が設けられており、独立に吐出を行うことができる。ここで圧電素子261の吐出動作に注目する。圧電素子261からインクを吐出する場合、まず、この圧電素子261に電圧を印可する。これをアクティブ状態という。すると圧電素子のインク液室内部が膨張し、インクが充填される。続いて、この圧電素子に逆の電圧を印可すると、圧電素子のインク液室内部が収縮し、インクに圧力がかかり、圧電素子261のノズル(図示せず)からインクが吐出される。これをインアクティブ状態という。拡がったインク液室を収縮させるため、インクアクティブ状態はアクティブ状態に比較して、通常2倍又はそれ以上の時間とすることが望ましい。
図26では、繰り返し回数a=2とすることを前提として、一つおきに隣合う別の圧電素子からもインクが吐出される例が示されている。
(プロセスにおける実施形態)
1.本発明の適用範囲
以下、本発明の好適な実施形態について製造工程を中心に説明する。本発明に係る光学素子として、表示ディスプレイの表示画面を構成する光学部品として使用される種々の部材を挙げることができる。
この本発明の目的とする光学素子として、例えば、カラー液晶ディスプレイの表示画面を構成するカラーフィルタが例示でき、この場合には、インキ皮膜は透過光を着色する着色インキ層を構成し、この着色インキ層は前記領域ごとに異なる色彩を有する複数色のものである。
また、光学素子として、有機エレクトロルミネセンス素子を例示することもでき、この場合には、吐出されたインキは有機発光層を構成する。また、本発明によれば、前記領域ごとに異なる色彩を有する複数色の有機発光層を有する光学素子を製造することができる。
なお、この外、本発明の光学素子の製造方法を用いて、同様にして、回路基板、薄膜トランジスタ、マイクロレンズ、バイオチップ等の製造方法に応用することができる。
2.基板
基板は、印刷物の支持基板として用いるものである。目的とする光学素子により、基板の種類は異なるが、例えば、硝子基板、石英基板、プラスチック基板等、ドライフィルム等、公知の透明基板材料を使用することができる。中でも硝子基板は、カラーフィルタ、有機EL素子用途において、透明性、強度、耐熱性、耐候性において優れている。
3.隔壁の形成
本発明ではインキジェット印刷装置により基板にインキを付与し、光学素子を形成する。異なる種類のインキ同士の混色(又は混合)を防止するため、基板上に予め隔壁を形成することが好ましい。
隔壁は、基板の表面を多数の領域に区分けすると共に、この多数の領域のそれぞれに吐出されたインキの混色を防止する機能を有するものである。混色を防止するため、隔壁には一定の撥インキ作用を示すものを用いることが望ましい。例えば、隔壁を撥インキ剤を含む樹脂組成部により形成する方法、樹脂組成物により形成した隔壁にプラズマ処理を行い撥インキ性を付与する方法、隔壁を光触媒層とともに形成し光触媒作用により隔壁に撥インキ性を付与する方法などを例示することができる。
また、光学素子がディスプレイの表示画面を構成するカラーフィルタ、有機EL素子である場合には、この隔壁に遮光性を付与することで、表示画面のコントラストを向上させることができる。いずれの場合であっても、隔壁を樹脂組成物より形成する場合には、樹脂バインダーと撥インキ剤とを必須成分として含有する必要がある。
この他、樹脂組成物には、必要に応じて相溶性のある添加剤、例えばレベリング剤、連鎖移動剤、安定剤、増感色素、界面活性剤、カップリング剤等を加えることができる。
隔壁の形成は、樹脂組成物を用いて、印刷法、フォトリソグラフィー法、転写法などで形成することができる。隔壁をフォトリソグラフィーによって形成する場合は、樹脂組成物に感光性を付与した感光性樹脂組成物を用いる。また、隔壁を印刷法で形成する場合には熱硬化性樹脂組成物などの樹脂組成物を用いることができる。
<印刷法による隔壁形成>
まず、前記隔壁を印刷法で形成する場合を説明する。基板上に印刷装置を用いて、樹脂組成物(以下、印刷材料とする)を印刷する。印刷材料は、樹脂バインダーと撥インキ剤を必須成分とし、さらに、架橋剤、溶媒を含む。また、さらに黒色顔料、前記添加剤を添加してもよい。印刷材料の臨界表面張力は、30〜40mN/mであることがのぞましい。30mN/mより小さいと、印刷された樹脂組成物が基板表面の凹凸の影響を受けやすく、40mN/mを超えると印刷性が悪化する。続いて、印刷材料を100℃〜250℃、1分〜60分の範囲で加熱する。
<フォトリソグラフィー法による隔壁形成>
前記隔壁をフォトリソグラフィー法で形成する場合を説明する。基板上にスピンコーター、スリットコーター等を用いて樹脂組成物(以下、感光性樹脂組成物とする)を塗布する。感光性樹脂組成物は大きくポジ型とネガ型に分類され、ネガ型感光性樹脂組成物の場合、樹脂バインダー、モノマー、光重合開始剤、前記撥インキ剤を含む。ポジ型感光性樹脂組成物の場合、ポジ型感光性樹脂、前記撥インキ剤を含む。これら感光性樹脂組成物には、さらに、必要に応じて、架橋剤、黒色顔料、顔料、溶媒、添加剤を添加してもよい。感光性樹脂組成物の臨界表面張力は、30〜40mN/mであることがのぞましい。30mN/mより小さいと、塗布された樹脂組成物は基板表面の凹凸の影響を受ける。40mN/mを超えると樹脂組成物の塗布性が悪化する。
続いて、感光性樹脂組成物が一面に塗布された基板を隔壁パターンのマスクを用いて露光する。基板を現像液で現像し不要な感光性樹脂組成物を除去して、基板上に隔壁を形成する。塗布された樹脂組成物の臨界表面張力が30〜40mN/m以下であると、現像時、表面に撥インキ剤が適度に集中するため、樹脂組成物下部の現像が上部と比べて進行する。この結果、隔壁が逆テーパー形状となるため、インキ吐出装置を用いて吐出形成されたインキ皮膜の形状が平坦になるという効果を奏する。その後、隔壁を100℃〜250℃、3分〜60分程度で加熱する。
<樹脂バインダー>
印刷材料ないし感光性樹脂組成物に含まれる樹脂バインダーは、隔壁を基板に固着して固定すると共に、隔壁に耐インキ性を付与するものである。バインダー樹脂としては、アミノ基、アミド基地、カルボキシル基、ヒドロキシル基を含有している樹脂が好ましい。具体的には、クレゾール−ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂バインダーは単独で用いても、2種類以上混合してもよい。
<撥インキ剤>
印刷材料ないし感光性樹脂組成物に含まれる撥インキ剤は、隔壁にインキに対する撥インキ性を付与するものである。この撥インキ剤としては、前記樹脂組成物に、樹脂バインダーとの相溶性を示す部位と撥インキ性を有する部位とを有する化合物を用いることができる。このような両部位を有する撥インキ剤は、経時的に、あるいは加熱により、隔壁表面に表出する。そして、樹脂バインダーとの相溶性を示す部位を内側に、撥インキ性を有する部位を外側にして、隔壁表面に止まり、その表面に前記した最適な臨界表面張力を付与する。
撥水性を有する部位はフルオロアルキル基を用いることができ、より好ましくは、パーフルオロアルキル基であることがより好ましい。樹脂バインダーとの相溶性を示す部位としては、アルキル基、アルキレン基、ポリビニルアルコールなど公知の親油性のポリマーを用いることができる。
撥インキ剤として、その他に、後述する含フッ素化合物もしくは含ケイ素化合物を同時に用いることができる。前記含フッ素化合物の例として、具体的には、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化エチレン等や、これらの共重合体等のフッ化樹脂などを挙げられることができる。また、これらの含フッ素化合物は、単独または二種類以上併用して用いることができる。前記含ケイ素化合物として、主鎖または側鎖に有機シリコンを有するもので、シロキサン成分を含むシリコン樹脂やシリコーンゴムなどを挙げられることができる。また、これらの含ケイ素化合物は、単独または二種類以上併用して用いることができる。さらに、前記含フッ素化合物と含シリコン化合物、あるいはその他のインキ反発性の成分を併用しても良い。撥インキ剤は、前記樹脂組成物に対し、好ましくは0.01重量%〜10重量%含むことが望ましい。
<黒色顔料>
黒色顔料は、隔壁に遮光性を付与し、表示画面のコントラストを向上させるものである。黒色遮光部材としては、黒色顔料、黒色染料、カーボンブラック、アニリンブラック、黒鉛、鉄黒、酸化チタン、無機顔料、及び有機顔料を用いることができる。これらの黒色遮光部材は単独で用いても、2種類以上混合してもよい。
<溶媒>
溶媒の一例として具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサノン、エチルアセテート、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エチルエトキシアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシエチルエーテル、2−エトキシエチルエーテル、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2’エトキシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等を用いることができる。溶媒の使用量は、基板上に印刷又は塗布した際に均質であり、ピンホール、塗りむらの無い塗布膜ができる塗布であることが望ましい。このような溶媒の含有割合として、樹脂組成物の全重量に対し、溶媒量が50〜97重量%になるよう調製することが好ましい。
<感光性樹脂組成物>
感光性樹脂組成物に適用されるモノマーとしては、ビニル基あるいはアリル基を有するモノマー、オリゴマー、末端あるいは側鎖にビニル基あるいはアリル基を有する分子を用いることができる。具体的には(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、無水マレイン酸、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類、及びこれらの誘導体を挙げることができる。好適な化合物としては、例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレートなど比較的低分子量の多官能アクリレート等を挙げることができる。これらのモノマーは単独で用いても、2種類以上混合してもよい。モノマーの量は、バインダー樹脂100重量部に対して1〜200重量部の範囲をとることが可能であり、好ましくは50〜150重量部である。
<光重合開始剤>
光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物が挙げられる。また、光重合開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン誘導体を使用することもできる。また、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン誘導体を使用しても良い。また、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体であっても良い。また、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体を使用することもできる。また、フェニルビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキシド等のアシルフォスフィン誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス(4’−メチルフェニル)イミダゾリル二量体等のロフィン量体、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、4,4’−ジアジドカルコン等の有機アジド類、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボキシ)ベンゾフェノン、キノンジアジド基含有化合物等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種類以上混合してもよい。光重合開始剤の量は、バインダー樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部の範囲をとることが可能であり、好ましくは1〜20重量部である。
<添加剤>
添加剤として、例えばレベリング剤、連鎖移動剤、安定剤、増感色素、界面活性剤、カップリング剤等を加えることができる。
4.インキの吐出
続いて、インキジェット印刷装置により基板にインキを付与し、光学素子を形成する。以下では、光学素子としてカラーフィルタを形成する場合を例に、着色インキ層を備えたRBG3色のカラーフィルタの製造方法を説明する。着色インキ層の代わりに有機発光層を形成することも可能である。
前述したとおり、インキジェット印刷装置によるカラーフィルタには、ストライプ状に付与されるインキの向きと、主走査方向を平行としながら、インキの吐出を行う方法(前掲第1の方法)が知られている。また、ストライプ状に付与されるインキの向きと、主走査方向が垂直としながら、インキの吐出を行う方法(前掲第2の方法)が知られている。第2の方法を用いたカラーフィルタの製造方法の概略を図4に示す。
RBG三色の着色インキを吐出するインキジェットヘッド42がそれぞれ(計3つ)配置されている。インキジェットヘッド42は、ノズルが、主走査の方向(第2の方向44)と略垂直になるように配置される。
この3個のインキジェットヘッドは一体不可分として単一のインキジェットヘッドユニットを構成している。このインキジェットヘッドユニットを、基板41上を、第2の方向に平行に走査し、RBG3色の着色インキ層43を形成する(図4(a))。着色インキ層43は、3色それぞれが第1の方向と平行になるようにストライプ状に形成される。着色インキ層43は、第1の方向と平行になる格子状に形成してもよい。基板41上には、あらかじめ、必要に応じて前述した隔壁を設けると着色インキの混色を効果的に防止することができる。また、基板41上に、透明な樹脂からなる受像層をあらかじめ、設けることもできる。続いて、インキジェットヘッドユニットは、第1の方向にそって副走査し、その後、さらに逆方向に主走査することができる(図4(b))。
図5に、1色のインキジェットヘッドの動作に注目した場合のインキジェットヘッドの動作を示す。インキジェットヘッドは、基板51上を第2の方向(図の矢印の向き)にそって走査され、一定の時間間隔でノズル54からインキが吐出され、一定距離間隔ごとに、ストライプ状の着色インキ層53が形成される。
この際、ノズルが吐出されるときには、一定の画素密度を維持するため、近接したノズルを同時に吐出動作させる必要があったが、前述したとおり、近傍に存在するノズル相互の振動の影響により、吐出量が不安定になったり、精度が悪化したりする問題が生じていた。本願発明では、以下の構成を採用することにより上記問題を解消した。以下にその構成の詳細を示す。
(方法1)
まず、基板と、この基板上の領域を格子状に区切るように設けられた隔壁と、この隔壁に区切られた長細い形状の画素を多数配列して構成される光学素子の前記画素を、インキジェットヘッドを使用して前記画素ごとに印刷形成するにあたり、前記インクジェットヘッドに複数のノズルを、隣接するノズルの第2の方向に沿った間隔が等しくなるように配置し、これら複数のノズルは、ノズルごとにインキを吐出し、
これら複数のノズルの位置が互いに第1の方向に異なる位置となるようにインクジェットヘッドを配置し、
これら複数のノズルのうち一部からインキを吐出して印刷する単位工程を繰り返すことにより、前記画素を印刷する方法において、
前記複数のノズルのそれぞれを前記インクジェットヘッドの端部から順番に数えた自然数nで特定し、この自然数nを前記繰り返しの回数aで除したときの剰余をb(ただし、bは0≦b≦a−1を満たす整数)として、前記複数のノズルのそれぞれに剰余bを対応させると共に、
前記単位工程が、特定の値の剰余bに対応する1個又は2個以上の前記ノズルから選択的にインキを吐出して前記吐出位置に印刷する工程であり、
前記格子状の隔壁の第1の方向に沿ったパターンの間隔が、
前記インクジェットヘッドの隣接するノズルの間隔に繰り返し回数aを乗じた距離の整数倍であることを特徴とする光学素子の製造方法である。
この方法1によれば、インキジェットヘッドのノズルごとに端部に存在するものから順番にノズルに番号n(1から始まる自然数)を順番に付与する(図10参照)。そして、このノズルに、番号nに応じて、nを繰り返し回数aで除した剰余となる数を求め、剰余bとして付与する。即ち、剰余bは、ノズル番号nを繰り返し回数aで除したときの剰余となる自然数ということができる。
繰り返し回数aは、印刷の前に予め設定し、2以上の自然数から選択される。繰り返し回数aは、大きすぎると、吐出動作が煩雑になり精度が悪化したり、インキジェットヘッドのサイズが大型化する問題が生じる。一方、小さすぎると、ノズル相互の振動(クロストーク)の影響を十分に低減することができない。このため、繰り返し回数aは、好ましくは、3乃至5のいずれかの自然数とすることが好ましい。
そして、このようにノズルごとに吐出条件数を設定した上で、0乃至(a−1)の自然数のいずれかから任意の数(B)を選択し、この数と剰余bが等しくなるノズルのみを選択的にインキ吐出させる(これを最初の吐出とする。)。このようにすると、すべてのノズルを同時に吐出させた場合と比較して、隣接するノズルの吐出振動の影響を低下させることができる。また、同時に吐出動作を行うノズル同士が常に(a)×(隣接するノズル同士の距離)だけ、隔てられるため、ノズルの吐出振動の影響にばらつきがなく、「クロストークの影響のばらつき」に由来する「吐出のばらつき」を最小限におさえることができる。
さらに、前記設定した数を別の数(B)に設定しなおし、この別の数と吐出条件パラメータが等しくなるノズルのみを選択的にインキを吐出させる(次の吐出)。すると、最初の吐出で使用されるノズルと次の吐出で使用されるノズルが相違するため、同一のノズルを連続して吐出させた場合に比較してノズルの吐出振動の影響を低減させることができる。
さらに、同様に、この「別の数」と相違する「さらに別の数(B)」を選択し、同様に吐出を行うことができる。この「さらに別の数(B)」は、a=2の場合を除いて、最初の吐出の時の数(B)と相違する数とすることが望ましい。この数を周期的に変化することにより安定した吐出を実現することができる。一例として、繰り返し回数a=4とし、最初の吐出の「数」を0とし、次の吐出の「別の数」を1とした場合のインキジェットヘッドとノズルとの関係を、図14及び図15に示す。図14に、最初の吐出において使用されるノズルを黒丸で示し、図15に次の吐出において使用されるノズルを黒丸で示す。
ところで、従来、特にピエゾ型圧電素子によるインクジェットヘッドを使用した印刷において、各ノズルにインクを供給する液室の振動部が近接していることから、ある特定のノズルからインクを吐出させた際に、お互いのノズルの圧力干渉(クロストーク)の影響を受け、吐出するノズルの選択や吐出する条件等によって、各ノズルの吐出量が相違する問題があった。
例えば、あるノズル(n=nとする)のインク吐出量は、隣接する複数のノズル(n=nx−1、nx−2、nx−3…、nx+1、nx+2、nx+3…)の吐出による振動の有無等により相違する。
これを図25を例に説明すると、a=3であるから、b=1を満たすノズルを吐出するとした場合に、原則として、これを満たすn=1、4、7…(以下、n=3m×1(mは3以上の整数))のノズルを吐出することになる。しかし、n=4、8、12…(以下、n=4×m(mは4以上の整数))のノズルでは、吐出するインクが隔壁パターンと重なるため、吐出を行うことができない。すると結局、n=4、16、28…(以下、n=12×m+4(mは3以上の整数))のノズルでは、b=1を満たすが吐出は行われない。
このため、n=1、7、13、19…(以下、n=6×m+1(mは4以上の整数))を満たすノズルでは、片側に隣接する5個のノズルが吐出されず、反対側に隣接する2個のノズルが吐出されない状態となる一方、n=10、22…(以下、n=12×m+10(mは2以上の整数))を満たすノズルでは、両側に隣接する2個のノズルが吐出されない状態となる。
以上より、図25の場合は、b=1を満たすノズルにおいて、近接するノズルの状態が相違する2種のノズルが存在していることが示される。
このように近接するノズルの状態が相違すると、この近接するノズルから受ける振動の影響が相違するため、ノズルにより、吐出されるインクの量が相違する問題が生じていた。
このような問題を解決するため、方法1によれば、さらに、上記(繰り返し回数a×ノズル間隔)の距離又はこの距離の整数倍の距離を、基板上の格子状の隔壁の第1の方向に沿ったパターンの間隔と等しくする。図24には、上記条件を満たすインクジェットヘッドと、隔壁を有する光学画素の例を示す。図24の格子状の隔壁の長手方向に沿ったパターンの間隔241と、繰り返し回数a×ノズル間隔241は同一である。
そして、このようにすると、繰り返し回数a個の単位工程のうち、ノズルの位置が、隔壁の第1の方向に沿ったパターンと重なる単一の単位工程以外の工程では、吐出を休止するノズルがないため、ノズルから吐出するインクの量に対する休止したノズルの影響を最小限に抑えることができる。
このため、第1の方法においては、上記構成を採用することにより、ノズルによりインキの吐出量が変動する影響が低減し、色むら等を発生することがなくなる効果を奏する。
(方法2)
さらに、本発明では、以下のようにノズル配置を行うことが望ましい。前記複数のノズルと基板とを第2の方向に相対的に移動させながら、前記単位工程を連続して繰り返して、前記画素を印刷する方法において、前記剰余bの値が互いに同一である2個以上のノズルは同一のタイミングで吐出位置に到達するようにインキジェットヘッドに配置し、他方、前記剰余bの値が互いに異なるノズルは互いに異なるタイミングで吐出位置に到達するようにインキジェットヘッドに配置する。
具体的には、インキジェットヘッドに於いて任意のノズルnを選択し、このノズルの前記第2の方向に沿った位置をY(n)としたときに、インキジェットヘッドの端部からn+a番目にあるノズルの位置Y(n+a)をY(n)と等しくなるようにする。
なお、n=1〜aまでのノズルの位置Y(n)は、任意に設定できるが、後述する方法により配置することが好ましい。一例として、図6にa=3としたときのインキジェットヘッドのノズル配置の例を示す。1番目のノズル、4番目のノズル、7番目のノズル、10番目のノズルはいずれも第2の方向(矢印の方向)に沿って同じ位置に配置されていて、2番目のノズル、5番目のノズル、8番目、11番目のノズルは第2の方向に沿って同じ位置に配置されており、3番目のノズル、6番目のノズル、9番目、12番目のノズルは第2の方向にそって同じ位置に配置されている。
図7にa=4としたときのインキジェットヘッドのノズル配置の例を示す。1番目のノズル、5番目のノズル、9番目のノズルは第2の方向に沿って同じ位置に配置されていて、2番目のノズル、6番目のノズル、10番目のノズルは第2の方向に沿って同じ位置に配置されていて、3番目のノズル、7番目のノズル、11番目のノズルは第2の方向に同じ位置に沿って配置されていて、4番目のノズル、8番目のノズル、12番目のノズルは第2の方向に沿って同じ位置に配置されている。
上記の通り、任意のn番目のノズルと、(n+a)番目のノズルは、常に同時に吐出が行われるので、インキジェットヘッドにおいて、ノズルをこのように配置することにより、吐出されるインキが精度よく直線的に基板に付与される。
また、隣接するノズル同士を第2の方向にずらして配置することにより、すべてのノズルを一直線に配置した場合と比較して、吐出に使用されたノズルの振動が吐出後も暫く残響して、隣接するノズルに振動を与える影響を、最小限に押さえることができる。
上記の方法は、特に、ピエゾ型インキジェットヘッドを使用し、第2の方法を用いて光学素子を製造する場合に有効である。この方法によれば、混色、白抜け不良等の発生しない高品質のカラーフィルタ等ストライプ状パターンを有する光学素子を提供することができる。
(方法3)
さらに、以下のように吐出を行うことが望ましい。
上記において、前記インキジェットヘッドに於いて、前記複数のノズルを、前記複数のノズルのそれぞれを前記画素の端部から順番に数えた自然数nで特定し、繰り返し回数aを指定し、
式(1)及び式(2)からノズルの剰余bを演算し、
時間T[sec]を与え、
その時間における前記インキジェットヘッドの指定する剰余bを式(3)で示される関数β(T)とし、
吐出を開始する際に時間Tを進行させ、任意の時間Tにおいて、式(4)を満たすように前記インキジェットヘッド全体のノズルの吐出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法。
Figure 0004983128
Figure 0004983128
Figure 0004983128
Figure 0004983128
(なお、(x)mod(y)は、整数xを整数yで除したときの剰余となる整数を導出する関数とする。f(x)は実数xの小数点以下を切り捨てた整数を導出する関数とし、
πは正の実数とする。)
上記式(3)によれば、β(T)は、T=0(sec)においてβ(T)=0であり、T=π(sec)においてβ(T)=1となり、T=2π(sec)においてβ(T)=2(a=2の場合を除く)となり、β(T)=a−1を超えない限りにおいて、π(sec)ごとに周期的に1ずつ増加し、β(T)=a−1となったときは、さらにπ(sec)経過後β(T)=0となる。一例として、図11にa=3及びa=4の場合のβ(T)の変化を示す。β(T)は、0〜(a−1)の整数を繰り返してなる関数である。繰り返し回数aにより、この繰返し周期の時間の長さaπ(sec)が決まる。このような吐出を行うことにより、ある吐出条件に属するノズルのインキの吐出時間が常に、π(sec)となるため、インキ皮膜形状が一定で、色むら、混色等の発生しない光学素子を得ることができる。
(方法4)
さらに、方法3において、以下のように吐出を行うことが望ましい。前記インキジェットヘッドに於いて、前記複数のノズルを、前記複数のノズルのそれぞれを前記画素の端部から順番に数えた自然数nで特定し、そのノズルの前記第2の方向に沿った位置をY(n)としたときに、
前記インキジェットヘッドに属するノズルであって、前記インキジェットヘッドの端部からn+a番目にあるノズルを式(5)を満たすように配置し、
前記インキジェットヘッドの主走査の速度のうち、第2の方向に沿った成分をV[m/sec]とし、前記インキジェットヘッドに於いて任意のノズルを選択し、このノズルの属するインキジェットヘッドの最も端部に存在するノズルから当該ノズルまでの数えた数をnとしたときに、いずれのノズル(n=(aの倍数)となるノズルを除く。)においても式(6)を満たすように吐出を行うことを特徴とする請求項3に記載の光学素子の製造方法。
Figure 0004983128
Figure 0004983128
第4の方法では、まず、上記と同じ方法に基づいて、インキジェットヘッドにノズルを配置する。n番目のノズルの第2の方向の位置Y(n)を、a個分隣にあるノズルの第2の方向の位置Y(n+a)と、同じになるようにすべてのノズルを配置し、インキジェットヘッドにa個ごとに繰り返しとなるノズルのパターンを形成する。
また、第3の発明と同様にしてβ(T)を設定する。そして、n=(aの倍数)となるノズルを除く全てのノズルについて、式(6)を満たすようにノズルを配置し、吐出を行う。
すなわち、主走査の速度をV[m/sec]としたときに、原則として隣合うノズルの第2の方向におけるノズル間隔(161、162)をVπ[m]ずらして配置する(図16)。換言すれば、隣り合うノズルの第2の方向における距離を予めL[m]としたときは、主走査をL/π[m/sec]の速度で行うことになる。
ただし、n=aの倍数(図16で示す場合においては、a=3であり、n=3、6、9、12)となるノズルの場合は、隣接するノズル(すなわち、n=(aの倍数)+1となるノズル(図16に示す場合においては、n=4、7、10))に対して、式(6)を適用せず、式(5)を適用してノズルを配置する。このようにノズルを配置することにより、周期的にノズルの第2の方向における位置が変化するインキジェットヘッドが構成される。
第4の方法を用いた光学素子の製造方法におけるインキジェットヘッドの経時変化の例を図9に示す。図9には繰り返し回数a=3、n=1〜9のインキジェットヘッドが示されている(インキジェットヘッドのうち最上部のノズルをn=1とし、その下のノズルはn=2、n=3、…n=9となるものとする。)。図9に記載された3個のインキジェットヘッドは経時変化による吐出ノズルの状態を示している。最上部のインキジェットヘッドは0≦T<πのいずれかの時におけるインキジェットヘッドを示している。中央のインキジェットヘッドはπ≦T<2πのいずれかの時におけるインキジェットヘッドを示している。最下部のインキジェットヘッドは2π≦T<3πのいずれかの時におけるインキジェットヘッドを示している。この例において、b=1、b=2、b=0、b=1、b=2、b=0、b=1、b=2、b=0である。最初の状態(T=0)においては、インキジェットヘッド101のうち、剰余b=1のノズル102のみが同時に吐出される。剰余b=1のノズルは、第2の方向に沿って同じ位置に配置されているため、精度よくストライプ状パターンを形成することができた。
続いて、π時間経過し、次の状態(T=π)となると、インキジェットヘッド103のうち、剰余b=2のノズル104のみが同時に吐出される。ここで、インキジェットヘッド103は最初の状態から、主走査の速度のうち第2の方向に沿った速度成分Vに時間π(sec)を乗じた距離(Vπ[m])を移動している。したがって、ノズル102とノズル104の第2の方向に沿った位置を、予めVπ[m]ずらして配置しておくことで、次の状態(T=π)の吐出においても、最初の状態で吐出したインキと同じ第2の方向の位置にインキを付与することができた。さらに次の状態(T=2π)の吐出においても、インキジェットヘッド105のうち、剰余b=0のノズル106のみが同時に吐出される。ここで、インキジェットヘッド105は、は最初の状態から、主走査の速度のうち第2の方向に沿った速度成分Vに時間2π(sec)を乗じた距離(2Vπ)を移動している。そこで、ノズル102とノズル106の第2の方向に沿った位置を、予め2Vπずらして配置しておくことで、さらに次の状態(T=2π)の吐出においても、最初の状態で吐出したインキと同じ第2の方向の位置にインキを付与することができた。
本発明によれば、以上のようにして、インキジェットヘッドのノズルを同時に吐出しないことによりクロストークの発生を抑えつつ、かつノズルの位置を、ノズルの剰余と主走査の速度によって一定の位置ずらすことにより、精度よくストライプ状パターンを形成することができたのである。
続いて、第5の方法について説明する。この方法によれば、上記第2の方法において、前記画素の幅の長さ、前記複数のノズルの相互の距離及びノズルと基板との前記移動速度に基いてインキ吐出のタイミングを制御して前記画素を印刷する。
具体的には、前記第2の方向(第2の方向)を示す線上に複数の前記ノズルを投影したときのノズル投影像のそれぞれを、前記第2の方向(第2の方向)先端から数えた順序Uで特定すると共に、このノズル投影像同士の距離をD、前記画素の幅をL、前記移動速度をV、前記順序Uの値が1であるノズルからインキ吐出を開始するタイミングを、
1 startとして、次の式(7)を満たすタイミングT startで、特定の値の順序Uに対応するノズルから吐出を開始して前記位置に印刷し、次の式(8)を満たすタイミング
stopでその吐出を停止することを特徴とする光学素子の製造方法である。
Figure 0004983128
第5の方法によれば、全てのノズルを第2の方向上を示す線上に複数のノズルを投影する。そして、それぞれのノズルの投影像の第2の方向上における順序を順序Uとする。この際、最初に吐出するノズルにおける順序Uを1とする。この場合のインキジェットヘッド、インキジェットヘッドに設けられたノズル、形成されるべき長細い画素201、画素幅L、ノズル当影像間距離D、インキジェットヘッドの移動方向、インキジェットヘッドの移動速度Vの関係の一例を図20に示す。
この方法によれば、順序Uのノズルの吐出開始のタイミングT startを、順序Uに応じて、T startから(ノズル投影像間距離D)/Vだけずらしているので、いずれのノズルにおいても、常にノズルが目的の画素に達した瞬間に吐出を開始することができる。
また、この方法によれば、順序Uの吐出停止タイミングT stopを、順序Uに応じて、T startから(画素幅L)/Vだけずらしているので、いずれのノズルにおいても、常にノズルが目的の画素の通過が完了した瞬間に吐出を停止することができる。するといずれのノズルにおいても、吐出時間(T stop−T start)は、L/Vと等しくなる。
この方法によれば、各ノズルが実質的に吐出を行っているタイミングをずらして、ノズル同士の振動干渉を低減させつつ、精度良く、「白抜け」や「色むら」等の不良を発生させず、長細い画素を形成することができる。
続いて、第6の方法について説明する。第6の方法は、上記において、前記単位工程が、特定の値の剰余bに対応する複数の前記ノズルのうち、パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルの除くノズルから選択的にインキを吐出する工程であり、
かつ、剰余bに対応し、かつ前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルを吐出しないことによって、吐出を行うノズルのインクの吐出量に与える影響を測定する工程と、吐出を行うインクの吐出量が一定となるように、この測定した情報を反映してインクの吐出量を決定する工程とを含むことを特徴とする光学素子の製造方法である。
即ち、第1の方法で述べたとおり、単位工程では、特定の値の剰余bに対応する複数の前記ノズルのうち、前記格子状の隔壁のうち、画素の短手方向に沿った繰り返しパターンに対応する位置に配置されたノズル(休止ノズル)を除くノズルから選択的にインキを吐出する。
しかし、このように休止ノズルを設けて吐出を行った場合、特定の値の剰余bに対応するノズルを全て吐出された場合と比較して、ノズルのインク吐出量の均一性が悪化する。
図27には、剰余b=0のノズルをすべて吐出させた場合における1回当たりのインクの吐出量と、剰余b=0のノズルから休止ノズルを除いたノズルを吐出させた場合におけるインクの吐出量の比較を示す。
図27(a)には、R(赤色用)インクジェットヘッドの全ノズルを使用して、ストライプ状のR画素パターンを吐出した例を示す。この例では、繰り返し回数a=3とし、インクジェットヘッドは、下方向に主走査されることを前提とし、各ノズルから1回のみ吐出されることを前提としている。まずb=1のノズルを吐出し、次にb=2のノズルを吐出し、b=0のノズルを吐出している。すると、図に示すように、n=1〜24のノズルは、いずれも周囲のノズルの吐出条件に差異がないため、ほぼ均一量のインクを吐出できる。
一方、図27(b)には、R(赤色用)インクジェットヘッドの一部のノズルを使用して、ストライプ状のR画素パターンを形成を示す。この例では、繰り返し回数a=3とし、各ノズルから1回のみ吐出されることを前提としている。インクジェットヘッドは、下方向に主走査されることを前提としている。
この例では、パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズル(n=1、10、19)は吐出されない。吐出されないノズルは、いずれも剰余b=1に属する。
このため、剰余b=1に属するノズルは、全てのノズルを吐出する場合と比較して、吐出量に差が生ずる。図27(b)に示すとおり、剰余b=1に属するノズルの吐出量は、6plとなり、全てのノズルを吐出した場合(図27(a))と比較して、吐出量が1pl増加している。これは、主として、剰余b=1に属するノズルでは、近傍ノズルの振動の影響、クロストークが少なくなるためである。剰余b=0、2のノズルは、休止するノズルはないから、吐出量にむらが生じることはない。このように、剰余bが等しいノズルのうち、吐出を行わないノズルがあると、剰余bによって吐出量が変化し、画素内における色むらの発生原因となる。
図29には、5ノズルごとに1つ休止ノズルを追加したノズル配置を行った場合において、各ノズル1ショットごとの吐出された画素のドット径を示す。この例では、繰り返し回数a=3とし、6ノズルのうち5ノズルを画素形成用に使用し、周期的に1ノズルを休止させている。図29によると、休止パターンに対応しているノズルの剰余bに属するノズルであって、休止ノズル以外のノズルでは、インク吐出量が突出して増加していることが認められる。
また、吐出の際のクロストーク以外にも色むらの原因として以下のような問題が挙げられる。流動しているときと流動していないときでは、インクの液面の性状が変化する場合がある。つまり、一般的に、加振から時間が経過しているノズルでは、加振直後のノズルと比較して、内部のインクの流動性が低下し、インク吐出量が減少する。
また、連続吐出を開始する剰余bに属するノズルにおいては、他の剰余bに属するノズルと比較して、インク吐出が減少する。
例えば、吐出を剰余b=1のノズルから開始し、ついでb=2のノズル、b=0のノズルと順次行なった場合、b=2、0のノズルでは、その前の吐出の振動の影響で、インクの流動性が上昇している状態であるのに対し、剰余b=1のノズルではその前のb=0のノズルの吐出から大分時間が経過してしまっていることから、ノズル近傍のインクの液面(メニスカス)の性状の違い(例えば、乾燥による増粘度)が発生する。これを寝起き現象などという。この寝起き現象により、剰余bにより吐出量が相違し、色むらが発生する問題が生じる。
また、実際上、圧電素子の構造は必ずしも均一とは限らず、セラミックス室、圧電素子、ノズル径等の加工精度により、誤差が生じ、このため色むらが発生する場合も考えられる。
そこで、本願発明では、吐出を行うノズルのインクの吐出量に与える影響を測定する工程と、吐出を行うインクの吐出量が一定となるように、この測定した情報を反映してインクの吐出量を決定する工程とを行うことにより、このような色むらの発生を防止する。
具体的には、例えば、隔壁のパターンにより、休止するノズルが、吐出を行うノズルのインクの吐出量に与える影響を測定する。
例えば、全てのノズルが、単独で、吐出を行った場合におけるインク吐出量を、理想吐出量とする。理想吐出量と、休止ノズルの影響を織り込み実際に測定したノズルのインクの吐出量との比を、吐出係数(a)とする。

吐出係数(a)=実際の吐出量/理想吐出量
で表される。ここで、吐出係数(a)の逆数を反映して、光学素子を製造することにより、休止ノズルに由来する色むら等の問題を解消することができる。
図27(b)の例では、剰余b=1に属するノズルは、休止ノズル(n=1、10、19‥18+9×m(mは任意の自然数))が存在することにより、1ショットあたりの吐出量が、剰余b=1以外のノズルと比較して1.2倍となっている。つまり、吐出係数=1.2となる。そこで、図28における例では、剰余b=1に属するノズルの吐出回数を、他のノズルに比較して、1/1.2倍=5/6倍とすることにより、各ノズルから吐出されたインクの総量が等しくなるように吐出回数が決定されている。この例では、インクの吐出回数により、インクの吐出量が一定となるように調整している。この他、圧電素子に付与するパルス電流の電圧や波形を変化させて、吐出係数の逆数を吐出回数又はインク吐出量に比例させ、ノズルから吐出される1ショット当たりのインクの量を調整することも可能である。
また、発明者らの検討によれば、ノズルnにおける上記吐出係数(a)は、そのノズルの吐出回数と、そのノズルと同じ剰余bにおいてそのノズルに隣接する左右のノズルの吐出回数との差に応じて、一定の値をとることが分かった。
吐出係数は、そのノズルの吐出回数Dと、隣接するノズルの吐出回数Dn±1を引いた数ΔD(D−Dn±1)が、増加すると、増加する。番号nのノズルの吐出回数D及びΔDの算出方法を以下に示す。
図30によると、剰余b=1であるn=1、4、7、10‥のノズルを吐出している。いずれのノズルの吐出回数も1回であり、その吐出量の総量はいずれも6.0plである。吐出1回あたりのインク量は、いずれのノズルも、6.0plである。
図31は、剰余b=1であるノズルのみに注目したノズルの配置図である。
左のノズルの吐出回数は2回(2ドロップ)であり、右の吐出は1回(1ドロップ)である。ここで左のノズルは、2回目の吐出の際に、右に隣接するノズルが吐出が休止している影響をうけるから、インク吐出量が増加し、1回当たりのインクの吐出量が12.2pl/2=6.1plとなる。吐出係数(a)は6.1/6.0=1.017である。
一方、右のノズルは、1回目の吐出を左のノズルと同時に行うから、休止ノズルによる影響は受けず、インクの吐出量は6.0plであり、吐出係数は1.00である。
図32は、剰余b=1であるノズルのみに注目したノズルの配置図である。
左のノズルの吐出回数は3回(3ドロップ)であり、右の吐出は1回(1ドロップ)である。ここで左のノズルは、2回目及び3回目の吐出の際に、右に隣接するノズルが吐出が休止している影響をうけるから、インク吐出量が増加し、1回当たりのインクの吐出量が18.4pl/3=6.13plとなる。吐出係数(a)は6.13/6.0=1.022である。一方、右のノズルは、1回目の吐出を左のノズルと同時に行うから、休止ノズルによる影響は受けず、インクの吐出量は6.0plであり、吐出係数は1.00である。
図33には、右のノズルの吐出回数が、左のノズルの吐出回数よりも多い場合を示す。図32の場合と同様に、右のノズルの吐出係数が1.0よりも増加している。
このように、隣接する左右のノズルの吐出回数が相違すると、吐出回数が多い方のノズルの吐出係数が1.00からずれる現象が生じる。隣接するノズルが休止することにより、生じる吐出係数(a)は定量的に測定することができる。表1に、吐出係数(a)の測定結果を示す。縦軸は、あるノズルの吐出回数と、隣接するノズルとの吐出回数の差であり、横軸は、当該ノズルの吐出回数であり、表上クロスした数が、当該ノズルの吐出係数(a)である。例えば、あるノズル(番号n)の吐出回数が3回であり、同じ剰余bで右に隣接するノズル(番号n+a)の吐出回数が3回で、同じ剰余bで左に隣接するノズル(番号n−a)の吐出回数が1回である場合、当該ノズルの吐出係数(a)は、縦軸(3−1=2)及び横軸3が交差する1.03である。
図34には、ノズルの吐出回数が、そのノズルに隣接する左右のいずれのノズルの吐出回数とも相違する場合の例を示す。中央のノズルの吐出回数は3回であるのに対し、左のノズルの吐出回数は1回で、右のノズルの吐出回数は2回である。
このように、あるノズルの吐出回数と、当該ノズルと同じ剰余bで左右に隣接するノズルの吐出回数がいずれも相違する場合、当該ノズルの吐出係数(a)は、左のノズルにより受ける影響と、右のノズルにより受ける影響を合わせて吐出係数(a)を算出する。
当該ノズルの吐出係数は、左の隣接ノズルによる吐出係数(a、Left)と右の隣接ノズルによる吐出係数(a、Right)を乗じて求めることが出来る。
ノズルの吐出係数(a)=吐出係数(a、Left)×吐出係数(a、Right)
であるが、いずれの係数も1.0の近傍であるので、
ノズルの吐出係数(a)=吐出係数(a、Left)+吐出係数(a、Right)−1
により、近似値を求めることができる。
したがって、図34において、中央のノズルの吐出係数(a)を、表1より、
ノズルの吐出係数(a)=1.03×1.01≒1.03+1.01=1.04
と、求めることができる。
Figure 0004983128
上記したとおり、剰余bに対応し、かつ前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルを吐出しないことによって、吐出を行うノズルのインクの吐出量に与える影響を測定する工程を、吐出係数(a)を求めることにより行うことができる。
さらに、吐出係数(a)を踏まえて、吐出を行うインクの吐出量が一定となるように、この測定した情報を反映する工程とを均一にインクジェットヘッドからインクを付与し、色むらを防止し、精度良く光学素子を製造することができる。
ところで、表1によると、隣接するノズルとの吐出回数の差が大きくなるほど、吐出係数(a)が1.00より乖離していることが認められる。これは、隣接するノズルとの吐出回数の差が大きくなるほど、吐出されるインク量の均一性が失われることを示す。
吐出係数(a)が1.00より乖離する度合いが大きくなると、ノズルの吐出むらが生じ、吐出係数の信頼性が低下する。
このため、「吐出を行うインクの吐出量が一定となるように、この測定した情報を反映する工程とを均一にインクジェットヘッドからインクを付与する」際には、吐出係数(a)を1.00から乖離させない観点及び色むらの防止の観点から、隣接するノズルの吐出回数の差が少ないことが望ましい。具体的には、全てのノズルにおいて、そのノズルに隣接するノズルの吐出回数が、そのノズルの吐出回数の60%〜140%であることが望ましい。より好ましくは、80〜120%以内であることが望ましい。又は隔壁に区切られた1の画素に吐出を行う全てのノズルにおいて、そのノズルに隣接するノズルの吐出回数が、そのノズルの吐出回数の60%〜140%であることが望ましい。より好ましくは、80〜120%以内であることが望ましい。
また、例えば、ある特定のノズルが、連続かつ単独で、吐出を行った場合におけるインク吐出量を、理想吐出量とする。理想吐出量と、暫く不吐出時間を経過した後に吐出を行ったノズルの実際に測定したインクの吐出量との比を、
吐出係数(b)とする。例えば、

吐出係数(b)=実際の吐出量/理想吐出量
で表される。吐出係数(b)の逆数を反映して、光学素子を製造することにより、寝起き現象に由来する色むら等の問題を解消することができる。
また、例えば、全てのノズルの吐出のインク吐出量の平均を理想吐出量とし、理想吐出量と、実際に測定した各ノズルのインクの吐出量との比を、ノズルごとに、
吐出係数(n)とする。例えば、

吐出係数(n)=ノズルnの実際の吐出量/理想吐出量
で表される。吐出係数(n)の逆数を反映して、光学素子を製造することにより、ノズルの加工精度のむらに由来する色むら等の問題を解消することができる。
また、本願発明では、上記吐出係数(a)、吐出係数(b)、吐出係数(n)をそれぞれ相互に組み合わせて用いることで、さらに精度の高い吐出を行うことができる。
表2には、吐出係数(a)、吐出係数(n)を用いて、隔壁に囲まれた特定の画素内に約402plの着色インクの吐出を行なった場合の実施例を示す。
特定の画素内に対応する各ノズルの「吐出回数」を定めると、それぞれのノズルの隣接ノズルの吐出回数の差が求められる。これに基づき、あらかじめ作成されたテーブル等の表により、左の隣接ノズルに基づく吐出係数(a、Left)および右の隣接ノズルに基づく吐出係数(a、Right)を足し合わせ、吐出係数(a)を求める。さらに、ノズル固有の吐出係数(n)を掛け合わせ、総係数を求める。そして、ノズルごとに、1ドロップあたりの理想吐出量×総計数×吐出回数を求めることによりインク量を算出する。
そして、特定の画素内に対応するすべてのノズルのインク量の合計が、402plと等しい、又は近似した吐出回数の組合せの解を、TRY&ERRORを繰り返して求める。
この際、複数の解が得られるが、上述したように、ノズルごとの吐出回数の差が一定以内となるようにすることが望ましい。
Figure 0004983128
光学素子として、カラーフィルタを形成する場合、着色インキを使用して、インキジェット印刷装置から吐出を行う。着色インキは、着色顔料、溶媒、樹脂バインダーを、必要に応じて含むことができる。溶媒、樹脂バインダーは、前記<隔壁の形成>で掲げたものと同様の材料を使用することができる。
<着色顔料>
着色顔料として色に応じ以下のものを使用できる。
赤色の着色顔料としては、C.I. Pigment Violet 19、C.I. Pigment Violet 23 、C.I. Pigment Violet 29、 C.I. Pigment Violet 30、 C.I. Pigment Violet 37、 C.I. Pigment Violet 40、 C.I. Pigment Violet 50、C.I. Pigment Red 7、C.I. Pigment Red 9、C.I. Pigment Red 14、C.I. Pigment Red 41、C.I. Pigment Red 48:1、C.I. Pigment Red 48:2、C.I. Pigment Red 48:3、C.I. Pigment Red 48:4、C.I. Pigment Red 97、C.I. Pigment Red 122、C.I. Pigment Red 123、C.I. Pigment Red 146、C.I. Pigment Red 149、C.I. Pigment Red 177、C.I. Pigment Red 178、C.I. Pigment Red 180、C.I. Pigment Red 184、C.I. Pigment Red 185、C.I. Pigment Red 187、C.I. Pigment Red 192、C.I. Pigment Red 200、C.I. Pigment Red 202、C.I. Pigment Red 208、C.I. Pigment Red 210、C.I. Pigment Red 216、C.I. Pigment Red 220、C.I. Pigment Red 221、C.I. Pigment Red 223、C.I. Pigment Red 226、C.I. Pigment Red 227、C.I. Pigment Red 240、C.I. Pigment Red 246、C.I. Pigment Red 255、C.I. Pigment Red 264、C.I. Pigment Red 272等が挙げられる。さらには、C.I. Pigment Red 254とC.I. Pigment Red 177の混合物を用いることができる。
また、緑色の着色顔料としては、C.I. Pigment Green 7、C.I. Pigment Green 36を使用することができる。さらには、C.I. Pigment Green 36とC.I. Pigment Yellow 150、C.I. Pigment Yellow 139またはC.I. Pigment Yellow 13との混合物を用いることができる。
また、青色の着色顔料としては、C.I. Pigment Blue 15、C.I. Pigment Blue 15:3、C.I. Pigment Blue 15:4、C.I. Pigment Blue 15:6、C.I. Pigment Blue 22、C.I. Pigment Blue 60等が挙げられる。また、これらに挙げた顔料は、2種以上を混合して用いても良い。
光学素子として、有機EL素子を形成する場合、有機発光材料を含むインキを使用して、インキジェット印刷装置から吐出を行う。このインキは、有機発光材料、溶媒、樹脂バインダーを、必要に応じて含むことができる。溶媒、樹脂バインダーは、前記<隔壁の形成>で掲げたものと同様の材料を使用することができる。
<有機発光材料>
有機発光材料としてクマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系等の有機溶剤に可溶な有機発光材料や該有機発光材料をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系などの高分子有機発光材料が挙げられる。
以下、本発明の光学素子の製造方法を、カラーフィルタの製造方法を例として、図面等を参照して詳細に説明する。
図19は、実施例の製造目的となるカラーフィルタの一部を拡大したものである。カラーフィルタは、液晶表示装置、白色光源型EL表示装置等の前面に装着されているものである。カラーフィルタは、R(赤)、G(緑)、B(青)に着色された着色インキ層がストライプ状又は格子状に配列されて構成されている。
図18に、カラーフィルタの製造工程の側断面図を示す。基板181として、ガラス基板が使用される(図18(a))。まず、カラーフィルタのパターニングの精度を向上させるために、基板洗浄を行う。次に、基板181上に隔壁182を設ける(図18(b))。隔壁は、フォトリソグラフィー法により形成する。具体的には、隔壁は、黒色顔料(カーボンブラック)、撥インキ剤(フッ素系化合物)を含む樹脂組成物を用いて、基板181上にこれを約1μmの厚さで塗布する。この際に使用する樹脂組成物の臨界表面張力は、30〜40mN/mであることが望ましい。
これに、フォトマスクを通じて、ストライプ状又は格子状のパターンに樹脂組成物を露光する。さらに、この基板に現像液を適用して、現像を行う。なお、後にインキジェット印刷装置による吐出において、インキの混色を防止するため、隔壁182は一定の領域を区切るように形成する。
さらに、この基板181に対し、200℃のオーブンで10分で加熱処理(Post Bake)を行い、隔壁182を硬化させる。この際に、隔壁182に含まれる撥インキ剤が、隔壁上部表面に集中し、隔壁182の混色防止作用が強化される。
続いて、図18(c)に示すとおり、インキジェットヘッドを用いて、赤色(Red)、青色(Blue)、緑色(Green)の着色インキを隔壁182の開口部に吐出して付与する。
吐出直後の着色インキ層183は、その表面張力のため、図18(c)に示すとおり、上部に盛り上がった形状をしている。基板181上に、着色インキ層183を形成する具体的な方法については、後に詳述する。
続いて、基板全体を加熱処理(Post Bake)し、190℃で30分加熱し、溶媒を蒸発させる。すると、図18(d)に示すとおり、着色インキ画素183は、溶媒が蒸発し、中央部の凸形状が緩和された。このようにしてカラーフィルタを得た。
続いて、本発明の実施形態について光学素子として有機EL素子を製造した例を詳細に説明する。
(隔壁形成用感光性樹脂組成物の調合)
バインダー樹脂;V259(新日鉄化学社製) 100g
不飽和二重結合を有する化合物;ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.65g
光重合開始剤;オキシム系光重合開始剤(チバスペシャリティケミカル社製CGI−124) 4.95g
分散剤;黒色顔料を分散剤と共に溶剤に分散させた市販の溶液(御国色素社製)EX―2906 159g
撥インキ剤“モディパーF2020”(日本油脂製) (表1欄A参照)
溶剤;プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート 201g
レベリング剤;BYK−330(ビックケミー社製) 0.003g
各成分を上記の割合で混ぜ、攪拌、溶解させることで隔壁形成に用いる感光性樹脂組成物Aを作製した。
(陽極の形成)
基板101として無アルカリガラス(コーニング社製「♯1737」)を用いた。基板101上にスパッタリング法でITO膜を150nm厚で形成した後に、フォトリソグラフィー法及びウェットエッチング法によって、ITO膜をパターンニングし基板側電極層201とした(図23(a))。
(隔壁の作成)
前記基板101上に前記感光性樹脂組成物Aを、全面に膜厚5.0μmの薄膜状に塗布し、その後プリベークした。その後格子状のパターンを有するフォトマスクを用いて、超高圧水銀灯により50mJ/cmで露光を行った。30秒間10%炭酸ナトリウム水溶液にて現像処理を行い、樹脂組成物の隔壁301をストライプ状に形成した。この基板をオーブンにいれ熱硬化処理を行った。
(PEDOT層の形成)
基板上に、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)水溶液を、スピンコート法により塗布し、正孔輸送材料層を形成した。
(有機発光層の形成)
ポリアリーレンビニレンを有機発光材料とするポリアリーレンビニレン1.0重量%のトルエン溶液をインキとして調整した。基板上に設けられた隔壁の開口部に対して、インキジェット印刷装置を用いて、前記インキを印刷し、有機発光層を形成した。
(有機EL素子の形成)
次に、有機発光媒体層4上に、封止側電極層の電子注入層51としてCa膜を5nm厚で形成した。次に、Ca膜が形成された有機発光媒体層4上に、透明電極層52としてITO膜をスパッタリング法により100nm厚で形成した。最後に、UV硬化性樹脂を用いて封止を行い、有機EL素子とした。
次に、図17は、この実施例のカラーフィルタ又は有機EL素子の製造に使用するインキジェット印刷装置の構成を示すブロック図である。
図17において、171は全体の制御を行うメインコントローラである。なお、この図とは別に上位パーソナル・コンピュータ(以下上位PCという。)には、カラーフィルタの描画情報をもとに作成された吐出パターン情報を蓄積している。そして、吐出を行う前に吐出パターン情報を、この上位PCから、メインコントローラ171を介して、ヘッドドライバー175に転送し、ヘッドドライバー175上のメモリ176に格納する。
172は基板搬送ステージを制御するステージコントローラである。173は吐出を開始するタイミングを制御するトリガーコントローラである。174は基板搬送ステージの位置情報を制御するエンコーダコントローラである。175はインキジェットヘッド(又はインキジェットヘッドユニット)の駆動・動作を制御するヘッドドライバーである。176は吐出パターン情報を記録しているメモリである。177はパターン演算生成器で、メモリ176に格納された吐出パターン情報を、トリガーコントローラ173及びエンコーダコントローラ174からの情報に基づき、インキジェットヘッド178に吐出情報を送信する。
図21において、カラーフィルタを例に本発明の別の実施態様を示す。ガラス基板上には、細長い画素212と、隔壁211が形成されている。隔壁は、画素212の長手方向に沿った線状のパターンだけでなく、画素212の幅方向に沿った線状のパターンを含む格子状の形状となっている。隔壁を格子状に形成すると、隔壁をストライプ状に形成した場合と比較して、コントラスト比が向上し、混色が発生した場合にその影響を最小限に抑制することができる。
上記カラーフィルタを製造する場合においては、インキジェットヘッドに配置された複数のノズルのうち、一部を吐出しないようにする必要がある。全てのノズルで吐出を行なうと、走査時に、格子状の隔壁のうち第2の方向に沿った線上に存在するノズルから吐出されたインキが、隔壁上に乗り上げ、「混色」等の不良の発生原因となるためである。
このため、図21の場合においては、n=4、n=8、n=12のノズルは吐出に使用しないことが望ましい。
ところで、特に圧電素子型(ピエゾ型)のインキジェットヘッドの場合においては、ノズルから吐出されるインキの量は、近傍に存在するノズルの振動により影響を受け、増減する。
このため、あるノズルの近傍に存在する複数ノズルのうち、1又は2以上のノズルが休止していると、近傍のノズルが全て吐出を行っている場合と比較して、吐出量が変化する。従って、吐出を行うノズルと、吐出しないノズルが不均一に存在した場合、ノズルの位置により、吐出されるインキの量が相違し、色むらの原因となる。
図22において、上記色むらが発生する場合の例を示す。図22では、ある特定のインキジェットヘッドに注目した際のノズルの吐出の様子を表現したものである。nは各ノズルの番号、bは各ノズルの剰余である。この場合においては、繰り返し回数aを3とした場合の例であるから、bは0乃至2のいずれかから選択される。また、β(T)は、インキジェットヘッドのノズルのうち、吐出に使用するノズルを指定するための整数であり、経時的に0、1、2、0、1、2と周期的に変化するものである。
また、隔壁の形状は、第2の方向に沿った線状のパターンを含むから、混色防止のためにn=4、8、12のノズルは吐出しない。
最初の状態では、インキジェットヘッドのノズルのうち、b=1のノズルが吐出用のノズルとして選択される。しかし、n=4のノズルは、隔壁の線状パターンと重複する位置に存在するため吐出に使用できない。結局、n=1、7、10、13のノズルが吐出に使用される。すると、n=1、7、13のノズルは、吐出しないノズルが連続して5個隣接しているのに対し(n=16のノズル下部にも同様の吐出パターンのノズルが多数存在している。)、n=7のノズルは、吐出しないノズルが3個隣接して存在するのみである。
すると、n=1、7、13のノズル(n=2a×m(0以上の整数)+1を満たすノズル。)と、n=10のノズル(n=2a×m+4を満たすノズル。)は、連続して隣接するノズルの吐出状態が相違するから、互いのインキ吐出量が相違し、色むらの原因となる。
また、次の状態では、インキジェットヘッドのノズルのうち、b=2のノズルが吐出用のノズルとして選択される。しかし、n=8のノズルは、隔壁の線状パターンと重複する位置に存在するため吐出に使用できない。結局、n=2、5、11、14のノズルが吐出に使用される。すると、n=5、11のノズルは、吐出しないノズルが連続して5個隣接しているのに対し、n=2、14のノズルは、吐出しないノズルが3個隣接して存在するのみである。
すると、n=5、11のノズル(n=2a×m(0以上の整数)+5を満たすノズル。)と、n=2、14のノズル(n=2a×m+2を満たすノズル。)は、連続して隣接するノズルの吐出状態が相違するから、互いのインキ吐出量が相違し、やはり、色むらの原因となる。
また、さらに次の状態では、インキジェットヘッドのノズルのうち、b=0のノズルが吐出用のノズルとして選択される。しかし、n=12のノズルは、隔壁の線状パターンと重複する位置に存在するため吐出に使用できない。結局、n=3、6、9、15のノズルが吐出に使用される。すると、n=3、9、12のノズルは、吐出しないノズルが連続して5個隣接しているのに対し、n=10のノズルは、吐出しないノズルが3個隣接して存在するのみである。
すると、n=3、9、12のノズル(n=2a×m(0以上の整数)+3を満たすノズル。)と、n=10のノズル(n=2a×m+4を満たすノズル。)は、連続して隣接するノズルの吐出状態が相違するから、互いのインキ吐出量が相違し、やはり、色むらの原因となる。
図23では、ある特定のインキジェットヘッドに注目した際のノズルの吐出の様子の別の例を示す。この場合においては、繰り返し回数aを4とした場合の例である。bは0乃至3のいずれかから選択される。また、β(T)は、インキジェットヘッドのノズルのうち、吐出に使用するノズルを指定するための整数であり、経時的に0、1、2、3、0、1、2、3と周期的に変化するものである。
また、隔壁の形状は、第2の方向に沿った線状のパターンを含むから、混色防止のためにn=4、8、12のノズルは吐出しない。
すなわち、この場合においては、隔壁の形状のうち、第2の方向に沿った線状パターンの同士の第1の方向に沿った間隔と、(繰り返し回数a)×(隣接するノズル間の距離)が等しくなっている。
最初の状態では、インキジェットヘッドのノズルのうち、b=1のノズルが吐出用のノズルとして選択される。従って、n=1、5、9、13のノズルが吐出に使用される。混色防止のため吐出しないノズルは、最初の状態で吐出されるノズルには含まれない。
次の状態では、インキジェットヘッドのノズルのうち、b=2のノズルが吐出用のノズルとして選択される。従って、n=2、6、10、14のノズルが吐出に使用される。混色防止のため吐出しないノズルは、最初の状態で吐出されるノズルには含まれない。
さらに次の状態では、インキジェットヘッドのノズルのうち、b=3のノズルが吐出用のノズルとして選択される。従って、n=3、7、11、15のノズルが吐出に使用される。混色防止のため吐出しないノズルは、最初の状態で吐出されるノズルには含まれない。
さらに次の状態では、インキジェットヘッドのノズルのうち、b=0のノズルが吐出用のノズルとして選択される。従って、n=4、8、12、16のノズルが選択される。
しかし、これらのノズルはいずれも混色防止のため、吐出に使用しないノズルであるので、結局、b=0の状態では、いずれのノズルも吐出を行わない。
このように、ある状態において、吐出に使用されるノズル同士の実質的な間隔を、隔壁形状のうち、第2の方向に沿った線状パターンの同士の第1の方向に沿った間隔と等しくすることにより、吐出に使用されるいずれのノズルにおいても、近傍のノズルから受ける振動の影響という観点に立てば、均等の状態となる。従って、ノズルによりインキの吐出量が変動することなく、色むら等を発生することがない。
図23では、ある状態bにおいて吐出に使用すべきノズルと、隔壁の第2の方向に沿った線状のパターンを完全に同期させ、このbにおいてすべてのノズルの吐出行わない場合の例を示したが、この方法の効果を奏するためには上記の例に限定されない。
すなわち、吐出するノズルと隔壁のパターンが完全に一致していなくとも、少なくとも、ある状態bにおいて、隔壁のパターンの間隔が、吐出するノズルの間隔の整数倍であれば、この方法の効果を奏することができる。
本発明の実施の形態に係るインキジェット印刷装置の全体図。 インキジェットヘッドユニットの構成図。 インキジェットヘッドの配置例を示す平面図。 第2の方法に係るインキジェット印刷装置の操作方法の概略図。 第2の方法に係るインキジェット印刷装置の操作方法の概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例を示す概略図。 ノズル吐出の経時変化を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例を示す概略図。 β(T)の経時変化を示すグラフ。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例を示す概略図。 本発明のインキジェットヘッドの駆動チャート。 インキジェット印刷を用いたカラーフィルタの製造工程を示す概略図。 カラーフィルタの画素パターンの一例を示す概略図。 ノズル間隔、画素幅、インキジェットヘッドの操作速度の関係を示す概略図。 インキジェットヘッドのノズルと画素を示す概略図。 インキジェットヘッドにおけるノズルの吐出状態の経時変化と画素パターンの関係を示す概略図。 インキジェットヘッドにおけるノズルの吐出状態の経時変化と画素パターンの関係を示す概略図。 インクジェットヘッドのノズル間隔と、基板上の隔壁の関係を示す概略図。 インキジェットヘッドのノズル間隔と、基板上の隔壁の関係を示す概略図。 本発明のピエゾ素子によるインクジェットヘッドのインク吐出概略図。 インクジェットヘッドのインク吐出量の概略図。 インクジェットヘッドのインク吐出量の概略図。 インクジェットヘッドの各ノズルにおけるインク吐出量の概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例とインク吐出量を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例とインク吐出量を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例とインク吐出量を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例とインク吐出量を示す概略図。 インキジェットヘッド上におけるノズルの配置例とインク吐出量を示す概略図。
符号の説明
1…基板
2…基板搬送ステージ
3…メンテナンスステーション
4…インキジェットヘッドユニット移動軸(第1の方向)
5…リニアスケール
6…インキジェットヘッドユニット移動ベース
7…倒立顕微鏡
8…搬送ステージ制御部
9…吐出制御部
10…メインコントローラ
11…基板搬送ステージ搬送方向(第2の方向)
12…インキジェットヘッドユニット移動方向(第1の方向)
13…インキジェットヘッド
131…インキジェットヘッド
132…ノズル
161…ノズル間隔
162…ノズル間隔
14…インキジェットヘッドユニット
15…θ調整機構(θ軸)
16…昇降機構(第3の方向)
17…第3の方向
18…θ方向
19…インキジェットヘッドベース板
20…アライメントマーク
41…基板
42…インキジェットヘッド
43…着色インキ層
44…第2の方向
45…第1の方向
51…基板
52…インキジェットヘッド
53…着色インキ層
54…ノズル

Claims (23)

  1. 略第1の方向に均一の間隔で配列された複数のノズルを備え、このノズルからインクを吐出する長方形のインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドを、前記第1の方向と略直交する第2の方向に相対的に主走査させながら、パターン状の隔壁が形成された基板にインクを吐出して、
    前記第2の方向に隣り合う画素が互いに異なる色となるように多数の画素を着色することにより光学素子を製造する方法であって、
    前記複数のノズルは、ノズルごとにインキを吐出し、
    前記複数のノズルのうち一部からインキを吐出して印刷する単位工程を繰り返すことにより、前記画素を印刷する方法において、
    前記複数のノズルのそれぞれを前記インクジェットヘッドの前記長方形の短辺側から順番に数えた自然数nで特定し、この自然数nを前記繰り返しの回数aで除したときの剰余をb(ただし、bは0≦b≦a−1を満たす整数)として、前記複数のノズルのそれぞれに剰余bを対応させると共に、
    前記単位工程が、特定の値の剰余bに対応する複数のノズルのうち、前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルを除くノズルから、インキを吐出して前記隔壁が存在しない前記基板の位置に印刷する工程であることを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 前記複数のノズルと基板とを前記第2の方向に相対的に移動させながら、前記単位工程を連続して繰り返して、前記画素を印刷する請求項1に記載の方法であって、
    前記インキジェットヘッドと基板とを前記第2の方向に相対的に移動させることにより、前記複数のノズルと基板とを前記第2の方向に相対的に移動させると共に、
    前記剰余bの値が互いに同一である2個以上のノズルは同一のタイミングで吐出位置に到達するようにインキジェットヘッドに配置されており、他方、前記剰余bの値が互いに異なるノズルは互いに異なるタイミングで吐出位置に到達するようにインキジェットヘッドに配置されており、
    前記単位工程が、前記インキジェットヘッドと基板との第2の方向への相対的な移動に伴い、前記剰余bの値が互いに同一である2個以上のノズルが吐出位置に到達したタイミングにおいて、吐出位置に到達したこれら2個以上のノズルからのインキ吐出を選択的に開始してその吐出位置に印刷する工程であることを特徴とする光学素子の製造方法。
  3. 前記インキジェットヘッドに於いて、前記複数のノズルを、前記複数のノズルのそれぞれを前記画素の端部から順番に数えた自然数nで特定し、繰り返し回数aを指定し、
    式(1)及び式(2)からノズルの剰余bを演算し、
    時間T[sec]を与え、
    その時間における前記インキジェットヘッドの指定する剰余bを式(3)で示される関数β(T)とし、
    吐出を開始する際に時間Tを進行させ、任意の時間Tにおいて、式(4)を満たすように前記インキジェットヘッド全体のノズルの吐出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法。
    Figure 0004983128
    Figure 0004983128
    Figure 0004983128
    Figure 0004983128
    (なお、(x)mod(y)は、整数xを整数yで除したときの剰余となる整数を導出する関数とする。f(x)は実数xの小数点以下を切り捨てた整数を導出する関数とし、
    πは正の実数とする。)
  4. 前記インキジェットヘッドに於いて、前記複数のノズルを、前記複数のノズルのそれぞれを前記画素の端部から順番に数えた自然数nで特定し、そのノズルの前記第2の方向に沿った位置をY(n)としたときに、
    前記インキジェットヘッドに属するノズルであって、前記インキジェットヘッドの端部からn+a番目にあるノズルを式(5)を満たすように配置し、
    前記インキジェットヘッドの主走査の速度のうち、第2の方向に沿った成分をV[m/sec]とし、前記インキジェットヘッドに於いて任意のノズルを選択し、このノズルの属するインキジェットヘッドの最も端部に存在するノズルから当該ノズルまでの数えた数をnとしたときに、いずれのノズル(n=(aの倍数)となるノズルを除く。)においても式(6)を満たすように吐出を行うことを特徴とする請求項3に記載の光学素子の製造方法。
    Figure 0004983128
    Figure 0004983128
  5. 前記単位工程が、特定の値の剰余bに対応する複数の前記ノズルのうち、
    前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルの除くノズルから選択的にインキを吐出する工程であり、
    かつ、剰余bに対応し、かつ前記パターン状の隔壁に対応する位置に配置されたノズルを吐出しないことによって、
    吐出を行うノズルのインクの吐出量に与える影響を測定する工程と、
    吐出を行うインクの吐出量が一定となるように、この測定した情報を反映する工程とを含むことを特徴とする請求項1〜4に記載の光学素子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学素子の製造方法により、基板上に着色インキ層を形成することを特徴とする格子状の隔壁を備えたカラーフィルタの製造方法。
  7. 前記基板がガラス基板であることを特徴とする請求項6に記載のカラーフィルタの製造方法。
  8. 前記インキが赤色、青色、緑色のうちいずれかより選択される色の着色顔料を含む着色インキであることを特徴とする請求項6又は7に記載のカラーフィルタの製造方法。
  9. 赤色、青色、緑色の着色インキを吐出するインキジェットヘッドを備えたインキジェットヘッドユニットを用いて、前記着色層として赤色、青色、青色のインキを同時に吐出することを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルタの製造方法。
  10. 前記基板上に、この基板の表面を多数の領域に区分けする隔壁が設けられ、前記多数の領域内に、前記インキジェットヘッドからインキを吐出することを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
  11. 前記隔壁が黒色顔料を含む樹脂により形成されていることを特徴とする請求項10に記載のカラーフィルタの製造方法。
  12. 前記隔壁が撥インキ成分を含む樹脂により形成されていることを特徴とする請求項9又は11に記載のカラーフィルタの製造方法。
  13. 前記着色インキの粘度が、2〜20mPa・Sであることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
  14. 前記着色インキ層を、各色ごとのパターンが前記第1の方向と平行となるようにストライプ状の繰り返しパターン又は格子状の繰り返しパターンに形成することを特徴とする請求項6〜13のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法。
  15. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学素子の製造方法により、基板上に有機発光層を形成することを特徴とする格子状の隔壁を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  16. 前記基板がガラス基板又はフィルム状基板のいずれかであることを特徴とする請求項14に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  17. 前記インキが赤色、青色、緑色のうちいずれかより選択される色の有機発光材料を含むインキであることを特徴とする請求項15又は16に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  18. 赤色、青色、緑色のインキを吐出するインキジェットヘッドを備えたインキジェットヘッドユニットを用いて、前記有機発光層として赤色、青色、青色のインキを同時に吐出することを特徴とする請求項17に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  19. 前記基板上に、この基板の表面を多数の領域に区分けする隔壁が設けられ、前記多数の領域内に、前記インキジェットヘッドからインキを吐出することを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  20. 前記隔壁が黒色顔料を含む樹脂により形成されていることを特徴とする請求項19に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  21. 前記隔壁が撥インキ成分を含む樹脂により形成されていることを特徴とする請求項19又は20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  22. 前記インキの粘度が、2〜20mPa・Sであることを特徴とする請求項15〜19のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  23. 前記インキ層を、各色ごとのパターンが前記第1の方向と平行となるようにストライプ状又は格子状に形成することを特徴とする請求項14〜21のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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