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JP4982351B2 - 原子力発電プラントとその出力増大化の運転方法 - Google Patents

原子力発電プラントとその出力増大化の運転方法 Download PDF

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JP4982351B2
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Description

本発明は原子力発電プラント及びその運転方法に関わり、特に発電容量を増大させるのに好適な原子力発電プラント及びその運転方法に関する。
特許文献1には、新設の沸騰水型原子炉〔以下、BWR(Boiling Water Reactor)と称する〕を用いた原子力発電プラント(以下、BWR原子力発電プラントと称する)において、例えば、電気出力を増大するために燃料構成、又は燃料集合体の形状構成等を改良して、炉心での発熱量(熱出力)を増大させ、原子炉圧力容器の蒸気出口ノズル(原子炉出口)からの蒸気流量(以下、原子炉圧力容器の蒸気出口ノズルからの蒸気流量を主蒸気流量と称する)を増加させることで電気出力を増大させる技術が記載されている。
また、原子炉圧力容器から高圧タービンまでの主蒸気管を通過する蒸気を分岐して、高圧タービン出口から低圧タービンへ供給される蒸気を加熱し、低圧タービンの効率を向上させて電気出力の増大を図る湿分分離加熱器(湿分分離再熱器とも言う)が知られている。
更に、特許文献2には、既に運転を開始しているBWR原子力発電プラントにおいて、1体当たりの平均熱出力をより増大させることができる新型の燃料集合体の採用等の小規模の改造により、電気出力を増大するときの主蒸気流量の増加による高圧タービン等への影響を緩和するため、給水温度を低下させて、炉心の熱出力増大時における発生蒸気量の増加を抑制しつつ、高圧タービンから給水加熱器への抽気量を低減し、高圧タービンから低圧タービンへの蒸気流量を増加させて、発電量を増大させる技術が記載されている。
特開平9−264983号公報 特開2006−208238号公報。
しかしながら、前記した特許文献1に記載の従来技術を既設のBWR原子力発電プラントの電気出力の10%以上の大幅な増大、例えば、約15%増大に適用した場合、電気出力増大にほぼ比例して主蒸気流量が増加する。
既設のBWR原子力発電プラントでは、主蒸気流量の増加によって最初に設計余裕がなくなる可能性のある機器の一つが高圧タービンである。BWR原子力発電プラント以外の原子力発電プラント、例えば、加圧水型原子炉〔以下、PWR(Pressurized Water Reactor)と称する〕を用いた原子力発電プラント(以下、PWR原子力発電プラントと称する)においても、高圧タービンの設計余裕が比較的小さいプラントについては同様の課題があり、既設のPWR原子力発電プラントの電気出力の増大を図る場合、プラントの機器の大規模な改良、交換が必要になっていた。
また、主蒸気流量の増加を抑制するには給水温度(給水エンタルピ)を低下させれば良いが、単に全体的に給水加熱用の抽気を減少させると、熱効率が大幅に悪化して電気出力はほとんど増えないため現実的では無い。
既設の原子力発電プラントでは、一般に高圧タービン出口から低圧タービンまでの蒸気配管の途中に湿分分離器を設置して蒸気中の湿分を除去してから低圧タービンに蒸気を供給するものが多いが、湿分分離器を改造して最新の原子力発電プラントのように湿分分離加熱器とした場合、主蒸気流量を改造前と同じままとすると、湿分分離加熱器の加熱器用に供給できる高温蒸気流量が十分に確保できず、湿分分離加熱器での加熱量が十分でなく、熱効率向上の効果が低下するなど現実的でない。
このように、従来技術を既設の原子力発電プラントの電気出力の大幅な増大のために個別に採用しても、目的とする電気出力の大幅な増大ができなかった。
本発明は、既設の原子力発電プラントの大幅な出力増大に当たって、プラント機器の大幅な変更を行わずに、大幅な出力増大を可能にする原子力発電プラント及び運転方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明は、高圧タービン出口と低圧タービン入口との間に、高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている原子力発電プラントの既設状態に対して、
原子力発電プラントの出力増大後の状態では、
高圧タービン出口と低圧タービン入口との間に、高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、主蒸気管から分岐する蒸気のみにより高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、原子炉の定格熱出力を、原子力発電プラントの既設状態での原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、主蒸気管から湿分分離加熱器へ分岐する蒸気流量を、原子力発電プラントの既設状態での原子炉の定格熱出力運転時における主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、高圧タービンから抽気して給水加熱器に導く蒸気の抽気量を、原子力発電プラントの既設状態での原子炉の定格熱出力運転時における抽気量の39%以下とすることを特徴とする。
特に、原子力発電プラントの出力増大後の状態では、高圧タービンから給水加熱器への抽気量を、原子力発電プラントの既設状態での原子炉の定格熱出力運転時における給水加熱器への抽気量の1%以下、又は、原子炉への給水温度を原子力発電プラントの既設状態での原子炉の定格熱出力運転時におけるよりも20℃以上低下させて、原子炉の定格熱出力を原子力発電プラントの既設状態での原子炉の定格熱出力の115〜121%とすることが好ましい。
または、低圧タービンの出口流量の制限に対応した高圧タービン出口流量以下となるように、原子炉の熱出力(ひいては高圧タービンへの入口流量)と高圧タービンから給水加熱器への蒸気の抽気量を制御することが、より電気出力の増大を図る上で好都合である。
その他、特に、高圧タービン途中段から抽気して給水加熱器に導く高圧抽気管を削除することが、高圧タービン及び低圧タービン周囲の配管スペースを確保する上で好ましい方法の一つである。
本発明によれば、既設の原子力発電プラントの大幅な出力増大に当たって、プラント機器の大幅な変更を行わずに、大幅な出力増大を可能にする原子力発電プラント及び運転方法を提供することができる。
《ベースのBWR原子力発電プラント》
先ず、図1を参照しながら本発明のベースとする比較例の代表的なBWR5型の110万kWe級のBWR原子力発電プラントのヒートバランスについて説明する。図1は、ベースとする比較例のBWR原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。以下では、ベースとする比較例の代表的なBWR5型の110万kWe級のBWR原子力発電プラントを、原子力発電プラント110と称する。
図1に示すようにベースとする比較例の原子力発電プラント110では、原子炉圧力容器(原子炉)1A内で発生したエンタルピ2766kJ/kgの蒸気は、蒸気出口ノズル(原子炉出口)1aに接続する主蒸気管5を経由して多段の翼車で構成される高圧タービン7に流入し、高圧タービン7を駆動する。図1においては、蒸気出口ノズル1aからの蒸気流量を質量流量Gで100%と定義して、それ以降の下流における水あるいは蒸気の質量流量Gを%表示で示す。また、水あるいは蒸気のエンタルピ(kJ/kg)をHで示している。
また、原子力発電プラント110の原子炉の熱出力Qを100%、発電機10の電気出力Eを100%としている。
高圧タービン7に流入した100%の蒸気流量の内、6.2%は、高圧タービン7の途中段から抽気され、高圧抽気管24Aを経由し、タービン駆動給水ポンプ15A及び電動機駆動給水ポンプ15Bの下流に配された高圧給水加熱器(給水加熱器)17に導かれて給水を加熱後、給水加熱器ドレン管27を経由して、図1では5段に設けられている低圧給水加熱器(給水加熱器)13の内の高温側の第1段の低圧給水加熱器13a(図中、「第1」と表示)のドレン側に導かれる。
高圧タービン7に流入した100%の蒸気流量の内、残りは高圧タービン出口から出た後、84.2%がクロスアラウンド管21により湿分分離器8’に導かれて湿分分離器8’において湿分が除去され、9.6%が高圧抽気管24Bを経由して第1段の低圧給水加熱器13a(図中、「第1」と表示)に導かれて給水を加熱する。
ここで、クロスアラウンド管21が請求項に記載の「高圧タービン出口から低圧タービン入口までの配管」に対応する。
湿分分離器8’で湿分を除去された蒸気は再びクロスアラウンド管21を経由して、73.6%が低圧タービン入口から低圧タービン9に流入し、低圧タービンを駆動する。湿分分離器8’で湿分を除去された蒸気の内、1.6%はクロスアラウンド管21の途中の分岐から抽気されて、給水ポンプ用抽気管28を経由して、タービン駆動給水ポンプ15Aを駆動する給水ポンプ駆動タービン14に導かれ、その排気は給水ポンプ用タービン排気管29を経由して復水器11にダンプされる。
ちなみに、図1では、給水ポンプ駆動タービン14とタービン駆動給水ポンプ15Aは分離して描かれているが、実際は、一体に組み合わされ、給水ポンプ駆動タービン14の出力軸でタービン駆動給水ポンプ15Aが直接駆動される構造のものである。
湿分分離器8’で除去された湿分の質量流量8.9%は、ドレン管25を経由して、第2段の低圧給水加熱器13b(図中、「第2」と表示)に導かれ、給水を加熱する。
低圧タービン入口から低圧タービン9に流入した蒸気は、多段の翼車を含む低圧タービン9を駆動しながら、低圧タービン9の複数の翼車の段に配置された抽気口からそれぞれ2.0%,4.4%,4.4%,6.8%抽気されて、各低圧抽気管26A,26B,26C,26Dを経由して、第2段の低圧給水加熱器13b、第3段の低圧給水加熱器13c(図中、「第3」と表示)、第4段の低圧給水加熱器13d(図中、「第4」と表示)、第5段の低圧給水加熱器13e(図中、「第5」と表示)にそれぞれ導かれ、給水を加熱する。
高圧タービン7及び低圧タービン9は一軸に連結されて発電機10を駆動し、電気出力100%を出力する。
なお、図1での各低圧抽気管26A,26B,26C,26Dの低圧タービン9側の抽気口の位置は、ヒートバランスの模式図を煩雑にしないため正確になっていないが、低圧抽気管26A,26B,26C,26Dの順に低圧タービン入口側に近い翼車の段から抽気していることは言うまでもないことである。
低圧タービン出口から排気される54.2%の蒸気は復水器11にダンプされ、ここで水に戻される。第1段の低圧給水加熱器13a、第2段の低圧給水加熱器13b、第3段の低圧給水加熱器13c、第4段の低圧給水加熱器13dに導かれた蒸気やドレンは、それらの低圧給水加熱器13a〜13dにおいて給水を加熱してドレンとなり、より低温側、例えば、第1段の低圧給水加熱器13aならば第2段の低圧給水加熱器13bへ、第2段の低圧給水加熱器13bならば第3段の低圧給水加熱器13cへ、それぞれのドレン側に給水加熱器ドレン管27を経由して送られ、給水を加熱し、最終段の第5段の低圧給水加熱器13eを経由したドレンは、復水器11へダンプされる。
復水器11へダンプされ凝縮された水は、給水配管30に導かれ、低圧復水ポンプ12A及び高圧復水ポンプ12Bで昇圧されて、多段の低圧給水加熱器13を低圧給水加熱器13e,13d,13c,13b,13aの順に経由して、タービン駆動給水ポンプ15A、及び電動機駆動給水ポンプ15Bにより更に昇圧されて、高圧給水加熱器17を経由して、原子炉圧力容器1Aの給水ノズル1bに戻る。この原子炉圧力容器1Aへの給水のエンタルピ(以下、給水エンタルピと称する)は924kJ/kgで、質量流量100%である。
ちなみに、高圧給水加熱器17で加熱される前の給水のエンタルピは812kJ/kgである。
ところで、図1を含め以下に示すヒートバランスを説明する図は、模式的なヒートバランスであるので、原子力発電プラントの補機用に抽気される蒸気を省略したり、絶対%表示を小数点第2位で四捨五入して表示したりしてある関係で、マスバランスが取れていないように見える。
例えば、主蒸気管5から抽気される復水器11の真空度維持のための蒸気式空気抽出器用の抽気量や、高圧タービン7や低圧タービン9の軸シールのためのグラウンド蒸気発生用の抽気量等は省略されている。
なお、図1の原子炉圧力容器1Aにおいて、ヒートバランスに直接関係しないBWR5型原子炉の特徴である再循環ポンプや再循環ループの配管は省略してある。
また、原子炉圧力容器1Aで発生した蒸気が供給される蒸気出口ノズル1a(原子炉出口)から高圧タービン7までの主蒸気管5、高圧タービン7を含む低圧タービン入口までを高圧蒸気系と称し、低圧タービン9を含み、低圧タービン入口から復水器11の入口までを低圧蒸気系と称し、復水器11、復水器11から供給された給水を加熱する低圧給水加熱器(給水加熱器)13、及び高圧給水加熱器(給水加熱器)17を含み、復水器11から低圧給水加熱器13及び高圧給水加熱器17を経由して原子炉圧力容器1Aの給水ノズル1bまで給水を導く給水配管30を給水系と称する。
また、高圧タービン7から抽気して高圧給水加熱器17に導く高圧抽気管24Aの蒸気流量が、請求項に記載の「前記高圧タービンから抽気して前記給水加熱器に導く蒸気の抽気量」に対応する。
《第1の実施形態:低圧タービンの出口蒸気流量の設計余裕約112%の場合》
次に、図2を参照しながら適宜図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係わる原子力発電プラントについて説明する。
最近のBWR原子力発電プラントに用いられる燃料集合体は、運転時の熱的制限値や過渡時の熱的制限値に対して余裕のある燃料集合体が開発され、BWR原子炉の熱出力を増大させることが可能となっている。
BWR原子力発電プラントの一般的な高圧タービンは、約105%以下の蒸気流量増加に対応できる設計余裕がある。また、低圧タービンでも、出口蒸気流量に対する設計余裕は設計余裕の小さいBWR原子力発電プラントでも約112%であり、最大のものでは約120%、中にはそれ以上のものもある。
そこで原子力発電プラント110(図1)における高圧タービン7と低圧タービン9の設計余裕の範囲で、原子炉の熱出力Qを増大させ電気出力Eをできるだけ増大させるように、できるだけ小規模な改造で済ませる出力増大方法(原子力発電プラントの運転方法)を考えることが、BWR原子力発電プラントの発電コスト低減の観点から好ましい。
図2に示す本実施形態の原子力発電プラント100Aは、低圧タービン9の出口蒸気流量の設計余裕が約112%の場合の原子力発電プラント110における原子炉の熱出力Qを15%増大させ、電気出力Eを15%近く増大させるものである。その特徴は、湿分分離器8’を湿分分離加熱器8に改造、又は湿分分離器8’を取り外して新たに湿分分離加熱器8を設置するものであり、原子炉の熱出力増大による蒸気出口ノズル1aからの蒸気流量の増加分のほぼ全ての8.8%を湿分分離加熱器8の加熱器用に利用するものである。
なお、原子力発電プラント110の状態で運転していた場合の運転サイクルが請求項に記載の「第1の運転サイクル」に対応し、改造した後、原子力発電プラント100Aの状態で運転している場合の運転サイクルが請求項に記載の「第2の運転サイクル」に対応する。また、原子力発電プラント110の状態での運転時の原子炉の熱出力Q=100%が請求項に記載の「第1の熱出力」に、原子力発電プラント100Aの状態での運転時の原子炉の熱出力Q=115%が請求項に記載の「第2の熱出力」に対応する。
ちなみに、原子力発電プラント110,100Aにおいて、起動から燃料交換のために原子力発電プラント110,100Aの運転を停止するまでの期間を1つの運転サイクルと称する。
原子力発電プラント110から原子力発電プラント100Aに改造して、原子力発電プラント100Aにおいて原子炉の熱出力Qを増大させることは、運転中の制御棒の挿入量を第2の運転サイクルにおいて第1の運転サイクルよりも減ずることや、燃料集合体の種類を変更すること等の原子炉の反応度を高めることで実現可能である。
以下に、具体的な改造後の原子力発電プラント100Aの構成について、特にそのヒートバランスについて説明する。
BWR原子力発電プラントの出力増大の改造は、BWR原子力発電プラントの当初の設置許可を受けた段階における原子炉冷却材圧力バウンダリの健全性への要求(通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時において、原子炉圧力容器を含めた原子炉冷却材圧力バウンダリの最大使用圧力の所定倍(1.1倍)以下の圧力とする)を守る観点から、原子炉圧力容器1Aの通常運転時の圧力は増加させることはできないので、蒸気出口ノズル1aにおける蒸気のエンタルピ2766kJ/kgは、ベースとした比較例の原子力発電プラント110の場合と同じとしている。
図2は、ベースとする比較例の原子力発電プラントを電気出力で約15%出力増大の改造をした第1の実施形態に係わる原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。
本実施形態における原子力発電プラント100Aの構成は、ベースとした比較例の原子力発電プラント110とは、基本的に同じ構成であるが、湿分分離器8’が湿分分離加熱器8に改造又は置き換えられて設置されている。そして、主蒸気管5の高圧タービン入口の手前(上流側)から分岐して接続された加熱器用分岐管22が、湿分分離加熱器8に内蔵された図示しない加熱器用の管束に高温蒸気を供給するための加熱器入口に接続している。主蒸気管5から分岐された蒸気は、加熱器用分岐管22を通過後、湿分分離加熱器8の加熱器出口に接続している加熱器排気管23を経由して、高圧抽気管24Aの後記する流量調整弁18の下流側において高圧抽気管24Aと合流して高圧給水加熱器17に導かれ、給水を加熱する。そして、給水加熱器ドレン管27により、低圧給水加熱器13の各段の低圧給水加熱器13a〜13eのドレン側に順に供給され、最終的に復水器11にダンプされる。
ベースの原子力発電プラント110と同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図2において、熱出力Qの%表示、電気出力Eの%表示、及び質量流量Gの%表示は、前記したベースとする原子力発電プラント110における%表示と基準を同じにしたものであり、いわゆる、絶対%表示である。それらの値に付した( )内の%表示は、原子力発電プラント100Aにおける絶対%表示の値を、対応する原子力発電プラント110における絶対%表示の値と比較した相対%表示の値である。
なお、本実施形態には、原子力発電プラント110を当初建設したときに湿分分離加熱器8が設置されているが、その内蔵の加熱器に高温蒸気を通すための加熱器用分岐管22や加熱器排気管23が配管されておらず、単に、湿分分離器としての機能のみで運用され、その後に、原子炉の熱出力Qの増大の設置許可や工事認可等の官庁の許可を得て、第2の運転サイクルの前に改造工事で加熱器用分岐管22、加熱器排気管23等を追設する場合も含んでいる。
図2に示すように原子力発電プラント100Aでは、原子炉への給水エンタルピ(H=832kJ/kg、給水温度で約195℃)を第1の運転サイクルの給水エンタルピ(H=924kJ/kg、給水温度で約215℃)より92kJ/kg(給水温度で約20℃)だけ低下させているため、蒸気出口ノズル1aにおける蒸気流量は原子炉の熱出力の15%の増大に対して9.5%の増加となっている。
主蒸気管5から、主蒸気流量の約8.8%の蒸気を加熱器用分岐管22で分岐して湿分分離加熱器8の加熱器に回しているので、高圧タービン7への蒸気流量は100.4%(0.6%の増加)に抑制されている。そして、高圧タービン7に流入した100.4%の蒸気流量の内、高圧給水加熱器17への抽気は、高圧抽気管24Aの途中に、流路抵抗として作用させる電動機で開度を遠隔制御できる流量調整弁18を設けて、0.05%(99.2%の減少)に抑制されている。残りは高圧タービン出口から出た後、92.0%(9.3の増加)がクロスアラウンド管21により湿分分離加熱器8に導かれて湿分分離加熱器8において湿分が除去され、8.3%(13.5%の減少)が高圧抽気管24Bを経由して第1段の低圧給水加熱器13aに導かれ、給水を加熱する。
なお、前記した湿分分離加熱器8の加熱器用に主蒸気管5から分岐される蒸気流量8.8%は、高圧タービン7から低圧タービン9への増加した蒸気流量92.0%の加熱に見合った流量である。
主蒸気管5から加熱器用分岐管22で湿分分離加熱器8の加熱器用に分岐された蒸気流量8.8%は、湿分分離加熱器8で高圧タービン7から排気された92.0%の蒸気流量を加熱した後、加熱器排気管23を経由して、高圧抽気管24Aの流量調整弁18Aの下流側に合流する。
湿分分離加熱器8で湿分を除去された蒸気は再びクロスアラウンド管21を経由して、80.1%(8.8%の増加)が低圧タービン入口から低圧タービン9に流入し、低圧タービンを駆動する。湿分分離加熱器8で湿分を除去された蒸気の内1.6%(2.4%の減少)はクロスアラウンド管21の途中の分岐から抽気されて、給水ポンプ用抽気管28を経由して、タービン駆動給水ポンプ15Aを駆動する給水ポンプ駆動タービン14に導かれ、その排気は給水ポンプ用タービン排気管29を経由して復水器11にダンプされる。
湿分分離加熱器8で除去された湿分の質量流量10.3%(15.7%の増加)は、ドレン管25を経由して、第2段の低圧給水加熱器13bに導かれ、給水を加熱する。
低圧タービン入口から低圧タービン9に流入した蒸気は、多段の翼車を含む低圧タービン9を駆動しながら、低圧タービン9の複数の翼車の段に配置された抽気口からそれぞれ1.9%(4%の減少),4.6%(4.9%の増加),4.3%(1.3%の減少),6.5%(4.7%の減少)抽気されて、各低圧抽気管26A,26B,26C,26Dを経由して、第2段の低圧給水加熱器13b、第3段の低圧給水加熱器13c、第4段の低圧給水加熱器13d、第5段の低圧給水加熱器13eにそれぞれ導かれ、給水を加熱する。
低圧タービン出口から復水器11にダンプされる蒸気流量は、61.1%(12.8%の増加)であり、ほぼ低圧タービン9の出口蒸気流量の設計余裕、約112%を満たしている。
前記のように主に高圧タービン7の途中段からの抽気量の減少及び低圧タービン9への蒸気流量の増加により、電気出力の増大は、熱出力の15%の増大に、ほぼ見合った114.4%となっている。
このとき、復水器11から給水配管30を経由して原子炉圧力容器1Aの給水ノズル1bに戻る給水の質量流量は109.5%(9.5%の増加)であるにも拘わらず、低圧給水加熱器13へ抽気される蒸気の抽気量は全部で35.9%(=8.3+10.3+1.9+4.6+4.3+6.5)であり、低圧給水加熱器13においてエンタルピ797kJ/kgまで加熱される。
高圧給水加熱器17への蒸気の抽気量も見かけは9.6%(0.8+8.8)であるが、その内の8.8%は湿分分離加熱器8の加熱器からの排気であり、最終段の高圧給水加熱器17で35kJ/kg(=797→832)だけ加熱されている。
ベースである比較例の原子力発電プラント110の場合の低圧給水加熱器13へ抽気される蒸気流量は36.1%(=9.6+8.9+2.0+4.4+4.4+6.8)と比較しても、低圧給水加熱器13への蒸気の抽気量は給水の質量流量の増加にも見合っておらず、高圧給水加熱器17での加熱量も給水の質量流量の増加に見合うものではない。
従って、給水のエンタルピは、ベースである比較例の原子力発電プラント110の状態における第1の運転サイクルでの給水エンタルピ924kJ/kgより低い832kJ/kg(給水温度約195℃)となっている。この低い給水エンタルピにより、原子炉の熱出力が原子力発電プラント100Aの状態における第2の運転サイクルで、改造前の第1のサイクルの115%に増大していても、主蒸気管5の蒸気流量は、109.5%に抑制されている。
本実施形態のように給水エンタルピを下げて、炉心内のボイド率(蒸気の体積割合)を減少させ、反応度を高めることによって原子炉の熱出力を増大させることができる。そのためには、高圧蒸気系及び低圧蒸気系から抽気して高圧給水加熱器17や低圧給水加熱器13に送る蒸気流量を減少させれば良いが、単に全体的に蒸気の抽気量を減少させると、原子炉の熱出力が、原子炉圧力容器1A内の水を飽和温度にまで上昇させるのに多く使われ、蒸気発生量が余り増加しないので、原子力発電プラント全体の熱効率が大きく減少して発電量をあまり増大させることができない。
従って、高圧タービン7の途中段、又は高圧タービン出口(実際には高圧タービン出口から湿分分離加熱器8の入口までの間)からの抽気蒸気量を選択的に減少させることで、低圧タービン9に流れる蒸気流量を増加させて発電量を増大させる。すなわち、原子炉での熱出力増大時に、湿分分離加熱器8の加熱器へ主蒸気管5から蒸気を8.8%(8〜9%)分岐させることにより、高圧タービン7への蒸気流量を抑制している。その上、高圧タービン7からの抽気量を低減して高圧タービン7を通過する蒸気流量及び低圧タービン9への蒸気流量を増加させつつ、高圧給水加熱器17での加熱量を35kJ/kg(=797→832)と、ベースである比較例における112kJ/kg(=812→924)よりも大幅に抑制して、給水エンタルピをベースである比較例よりも92kJ/kg(約20℃)下げることで、電気出力を増大させている。
《第1の実施形態に対する参考例と変形例》
(第1の実施形態に対する参考例)
次に、図3を参照しながら適宜図2を参照して本実施形態の出力増大方法に対する参考例について説明する。本参考例の原子力発電プラント120は、原子力発電プラント100Aと同じである。異なるのは原子力発電プラント100Aが原子炉の熱出力を15%増大させるときに、給水エンタルピをベースの原子力発電プラント110の924kJ/kgから92kJ/kgだけ低下させているのに対し、原子力発電プラント120では、ベースの原子力発電プラント110と同じ給水エンタルピとしている点である。
図3は、第1の実施形態の参考例の原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である
図3において、熱出力Qの%表示、電気出力Eの%表示、及び質量流量Gの%表示は、前記したベースとする原子力発電プラント110における%表示と基準を同じにしたものであり、いわゆる、絶対%表示である。それらの値に付した( )内の%表示は、原子力発電プラント120における絶対%表示の値を、対応する原子力発電プラント110における絶対%表示の値と比較した相対%表示の値である。
図3に示す出力増大の場合は、給水エンタルピを原子力発電プラント110と同じ924kJ/kg(給水温度約215℃)としているため、主蒸気管5の蒸気流量は、原子炉の熱出力の増大に比例した約115%(114.9%)である。湿分分離加熱器8へ、第1の実施形態の原子力発電プラント100Aと同じ8.8%を分岐して導いても、高圧タービン7への蒸気流量は約106%(105.8%)に増加している。また、高圧タービン7の途中段から高圧給水加熱器17への抽気量も3.2%(47.6%減)とベースの原子力発電プラント110における抽気量からの低減量も比較的小さいため、低圧タービン9への蒸気流量は約79%(7.0%の増加)と、第1の実施形態と同等であり、電気出力の増大も同等の約115%である。
高圧タービン7に流入した105.8%(5.8%の増加)の蒸気流量の内、残りは高圧タービン出口から出た後、91.2%(8.4の増加)がクロスアラウンド管21により湿分分離加熱器8に導かれて湿分分離加熱器8において湿分が除去され、11.3%(17.7%の増加)が高圧抽気管24Bを経由して第2段の低圧給水加熱器13bに導かれ、給水を加熱する。
主蒸気管5から湿分分離加熱器8の加熱器に分岐された蒸気流量8.8%は、湿分分離加熱器8で高圧タービン7から排気された91.2%の蒸気流量を加熱した後、加熱器排気管23を経由して、高圧抽気管24Aの流量調整弁18Aの下流側に合流する。
湿分分離加熱器8で湿分を除去された蒸気は再びクロスアラウンド管21を経由して、78.8%(7.0%の増加)が低圧タービン入口から低圧タービン9に流入し、低圧タービンを駆動する。湿分分離加熱器8で湿分を除去された蒸気の内の1.7%(7.0%の増加)はクロスアラウンド管21の途中の分岐から抽気されて、給水ポンプ用抽気管28を経由して、タービン駆動給水ポンプ15Aを駆動する給水ポンプ駆動タービン14に導かれ、その排気は給水ポンプ用タービン排気管29を経由して復水器11にダンプされる。
湿分分離加熱器8で除去された湿分の質量流量9.9%(11.2%の増加)は、ドレン管25を経由して、第2段の低圧給水加熱器13bに導かれ、給水を加熱する。
低圧タービン入口から低圧タービン9に流入した蒸気は、多段の翼車を含む低圧タービン9を駆動しながら、低圧タービン9の複数の翼車の段に配置された抽気口からそれぞれ1.9%(5.7%の減少),4.6%(4.5%の増加),4.1%(4.6%の減少),6.5%(5.6%の減少)抽気されて、各低圧抽気管26A,26B,26C,26Dを経由して、第2段の低圧給水加熱器13b、第3段の低圧給水加熱器13c、第4段の低圧給水加熱器13d、第5段の低圧給水加熱器13eにそれぞれ導かれ、給水を加熱する。
低圧タービン出口から復水器11にダンプされる蒸気流量は、60.7%(11.9%の増加)であり、低圧タービン9の出口蒸気流量の設計余裕、約112%を満たしている。
復水器11からの給水114.9%(14.9%の増加)は低圧給水加熱器13においてエンタルピ848kJ/kgまで加熱され、最終段の高圧給水加熱器17で76kJ/kg(=848→924)加熱されている。
前記のように主に高圧タービン7の途中段からの抽気量の減少及び低圧タービン9への蒸気流量の増加により、電気出力の増大は、熱出力の15%の増大に、ほぼ見合った約15%となっている。
図3に示した参考例の原子力発電プラント120における出力増大方法では、高圧タービン7への蒸気流量が約106%と、前記した一般的なBWR5の原子力発電プラント110の高圧タービン7の蒸気流量の設計余裕105%を超えており、高圧タービン7の改造又は交換が必要となる。一方、図2に示す第1の実施形態では、高圧タービン7への蒸気流量は設計余裕内であり、保守的に許容範囲を104.5%と小さめに設定しても高圧タービン7の改造又は交換は不必要である。
(第1の実施形態に対する変形例)
そこで、参考例の原子力発電プラント120を見直して、給水エンタルピを下げて高圧タービン7への蒸気流量を前記許容範囲の104.5%にする第1の実施形態に対する変形例を考える。そして参考例の原子力発電プラント120を見直したものを、以下では原子力発電プラント120Mと称する。
ただし、主蒸気管5から湿分分離加熱器8の加熱器用に分岐する蒸気流量は8.8%と固定する。
蒸気流量を前記許容範囲の104.5%にするには、図3のヒートバランスから主蒸気管5の蒸気流量を105.8%→104.5%に、つまり、1.3%だけ低減させれば良く、図2に示したヒートバランスと図3に示したヒートバランスから、給水エンタルピの必要な低下量は以下のように求められる。
(給水エンタルピの必要な低下量)=(必要な蒸気流量の低下量)/(図2と図3における給水エンタルピの差による蒸気流量の差)*(図2と図3における給水エンタルピの差)*(高圧タービンの入口流量が104.5%のときの給水流量=原子炉の蒸気発生量)/(図2における給水流量)=(1.3)/(114.9−109.5)*(924−832)*(114.9−1.3)/(109.5)=23.0kJ/kg
給水エンタルピの必要な低下量は23.0kJ/kg、つまり、約5℃の給水温度の低下が必要になる。
また、図3のヒートバランスから給水エンタルピを23.0kJ/kg低下させるために、高圧タービン7から高圧給水加熱器17への抽気量を低減させる必要がある。図2に示したヒートバランスと図3に示したヒートバランスから、高圧タービン7からの抽気量の低減量は以下のように求められる。
(図3における高圧給水加熱器への抽気量の低減量)=(必要な蒸気流量の低減量)/(図2と図3における給水エンタルピの差による蒸気流量の差)*(図2と図3における給水加熱器での加熱量の差=抽気量の差)*(高圧タービンの入口流量が104.5%のときの給水流量=原子炉の蒸気発生量)/(図2における給水流量)=(1.3)/(114.9−109.5)*(3.2−0.05)*(114.9−1.3)/(109.5)=0.79%
図3のヒートバランスにおける高圧タービン7からの抽気量を3.2%から0.8%減じた2.4%、つまり、ベースとなる比較例の原子力発電プラント110における6.2%を基準にすると相対%表示で約39%となる。
まとめると、本実施形態において、ベースである比較例よりも原子炉の熱出力(第2の熱出力)を115%に増大させて、電気出力を約15%増大させる方法として、次の2ケースが考えられる。
〈ケース1:原子力発電プラント100A〉
図2に示したように原子炉の蒸気発生量を、湿分分離加熱器8の加熱器用に8.8%の蒸気流量を主蒸気管5から分岐する量だけ増加させ(約109%)、略100%の蒸気流量を高圧タービン7に導き、高圧タービン7からの高圧給水加熱器17への抽気量を最小限の1%以下とするケース。
〈ケース2:原子力発電プラント120M〉
図3の参考例を修正した原子力発電プラント120Mのように、原子炉の蒸気発生量を、湿分分離加熱器8の加熱器用に8.8%の蒸気流量を主蒸気管5から分岐する量と、高圧タービン7の許容範囲104.5%とを合算した量、つまり、約113.5%に増加させ、高圧タービン7からの高圧給水加熱器17への抽気量を、ベースとする比較例に対する相対%で約39%とするケース。
そして、この2つのケースの間で、連続的に高圧タービン7への蒸気流量を100〜104.5%の間で調整し、それに応じて、高圧給水加熱器17への抽気量を、ベースとする比較例に対する相対%で1〜39%の間に設定することが可能である。
図4は、ベースとする比較例の原子力発電プラントにおける第1の運転サイクルと、第1の実施形態に係わる出力増大の改造後の原子力発電プラントにおける第2の運転サイクルとの比較図であり、(a)は湿分分離加熱器の加熱器用の分岐蒸気流量の比較、(b)は高圧給水加熱器への高圧タービンからの抽気量の比較図であり、(c)は原子炉の熱出力の比較図である。
湿分分離加熱器8の加熱器用に主蒸気管5から分岐する蒸気流量(図4の(a)では「分岐蒸気流量」と表示)は、前記した絶対%表示で第1の運転サイクルでは0(ゼロ)であるが、改造して出力増大後の原子力発電プラント100A,120,120Mにおける第2の運転サイクルでは8.8%(図4の(a)では、「8〜9%」と表示)である。
高圧給水加熱器17への高圧タービン7からの抽気量は、ベースとする比較例を100%とした相対%表示では、改造して出力増大後の原子力発電プラント100Aでは1%以下であり、参考例の原子力発電プラント120では、52%であり、原子力発電プラント120Mでは、39%である。
原子炉の熱出力は、ベースとする比較例を100%とすると、改造して出力増大後の原子力発電プラント100A、120,120Mでは115%である。
以上のように第1の実施形態の原子力発電プラント100A、及び第1の実施形態に対する変形例の原子力発電プラント120Mによれば、原子炉の炉心で生じた熱的制限に対する熱的余裕を用いて、高圧タービン7を改造・交換することなく原子炉の熱出力(第2の熱出力)を増大して約115%まで増大ができる。
また、第1の実施形態では、ベースとする比較例の原子力発電プラント110の場合よりも給水のエンタルピを92kJ/kg(20℃)低減しているので、次の効果がある。給水温度が低下すれば、原子炉での蒸気発生が抑制され、発熱体である燃料集合体の燃料棒周囲のボイド率が減少し、原子炉の炉心の熱的余裕(BWRの場合ではMCPRに相当)がベースとする比較例と比較して大きい。すなわち、熱的余裕の許容範囲内で原子炉の熱出力を増大させ易い。
従って、約115%の同じ原子炉の熱出力で約115%の電気出力を得られる前記したケース1の原子力発電プラント100Aと前記したケース2の原子力発電プラント120Mとでは、原子力発電プラント100Aの方が炉心の熱的余裕が大きく、運転の自由度や燃料集合体の取り出し燃焼度をより高い値にする核燃料の経済性の高い燃焼のさせ方ができる。
なお、図2に示すように、高圧タービン7から高圧給水加熱器17への抽気量を減少させる抽気点は、高圧タービン7の途中段の抽気点で抽気点が複数ある場合は、一番上流側の抽気点を選ぶと最も効果が高い。原子力発電プラント100Aでは、高圧タービン7から高圧給水加熱器17への高圧抽気管24Aの途中に、抽気量を調節する手段として電動機で開度を遠隔調整できる流量調整弁18を設け、その下流で湿分分離加熱器8からの加熱器排気管23と合流させて、高圧給水加熱器17へと導いている。このとき、高圧抽気管24Aの流量を調節する手段は、流量調整弁18に限定されるものではなく、流動抵抗となるものであれば良く、オリフィス等の静的機器でも良い。更に、高圧抽気管24Aの流量は、出力増大前の第1の運転サイクルにおける抽気量の相対%で1%以下であることから、他の低圧給水加熱器13への流量を調整する等で、高圧抽気管24Aの抽気量を0(ゼロ)とすることも可能であり、高圧抽気管24Aを閉止し削除できる。この場合は、追設する湿分分離加熱器8からの加熱器排気管23用の配置スペース確保が容易になる効果がある。
更に、本実施形態では、原子炉の熱出力を115%増大させる場合を例に説明したが、それに限定されることは無く、主蒸気管5から湿分分離加熱器8の加熱器用に分岐する蒸気流量約8%以上を確保できるように原子炉の熱出力を108%以上にベースとする比較例よりも増大させた電気出力が約108%以上のケースも含む。
《第2の実施形態:低圧タービンの出口蒸気流量の設計余裕約121%の場合》
更に、本発明の実施形態では給水のエンタルピをベースである比較例の原子力発電プラント110の場合よりも低減させることにより原子炉の炉心で生じた熱的余裕を用いて、高圧タービン7や低圧タービン9を改造又は交換することなく、高圧タービン7の入口蒸気流量の許容範囲(104.5%以下)及び低圧タービン9の出口蒸気流量の許容範囲(ベースの121%以下)に対する設計余裕の最大値まで活用することにより原子炉の熱出力を更に増大して約121%まで増大させることができる。
以下に、図5、図6を参照しながらそのような例である第2の実施形態の原子力発電プラントについて説明する。
図5は、第2の実施形態に係わる原子力発電プラントの構成を説明する模式図である。
図6は、ベースとなる比較例の原子力発電プラントを電気出力で約20%出力増大の改造をした第2の実施形態に係わる原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。
本実施形態の原子力発電プラント100Bでは、図5に示すように高圧タービン7の途中段から抽気して高圧給水加熱器17に導く高圧抽気管24Aと、高圧タービン出口から抽気して第1段の低圧給水加熱器13aに導く高圧抽気管24Bの中間には、例えば、電動機駆動の流量調整弁18A,18Bがそれぞれ配置され、流量制御部50によってその開度が制御される。また、低圧タービン出口には、流量検出センサ(フローエレメントとも言う)41が設けられ、流量検出センサ41からの信号を流量計43で流量信号に変換し、流量制御部50に送信する。
流量制御部50は、その流量信号を低圧タービン9の出口蒸気流量の制限値と比較し、制限値以内であれば高圧タービン7の途中段からの高圧抽気管24Aの流量調整弁18A及び高圧タービン出口からの高圧抽気管24Bの流量調整弁18Bを順次閉じて、低圧タービン9への蒸気流量を増加させる制御を行う。
流量制御部50における前記制御は、要求される発電出力に対して高圧タービン7及び低圧タービン9が追従するように、原子力発電プラント100Bの図示しない中央制御室に配置された制御盤と接続した制御コンピュータに搭載された原子力発電プラント制御ソフトウェアの内のタービン制御系のソフトウェアの一部として実行される。
前記以外の他の構成は、第1の実施形態と同じ構成であり、同じ符号を付し重複する説明を省略する。
次に、図6を参照しながら本実施形態の原子力発電プラントにおけるヒートバランスについて説明する。
図6において、熱出力Qの%表示、電気出力Eの%表示、及び質量流量Gの%表示は、前記したベースとする原子力発電プラント110における%表示と基準を同じにしたものであり、いわゆる、絶対%表示である。それらの値に付した( )内の%表示は、原子力発電プラント100Bにおける絶対%表示の値を、対応する原子力発電プラント110における絶対%表示の値と比較した相対%表示の値である。
図6に示すように原子力発電プラント100Bでは、原子炉への給水エンタルピ(H=811kJ/kg、給水温度で約190℃)を第1の運転サイクルの給水エンタルピ(H=924kJ/kg、給水温度約215℃)より113kJ/kg(給水温度で約26℃)だけ低下させているため、蒸気出口ノズル1aにおける蒸気流量は原子炉の熱出力の21%の増大に対して14%の増加となっている。
ここで、原子力発電プラント110の状態での運転時の原子炉の熱出力Q=100%が請求項に記載の第1の熱出力に、原子力発電プラント100Bの状態での運転時の原子炉の熱出力Q=121%が請求項に記載の第2の熱出力に対応する。
主蒸気管5から、主蒸気流量の約9.1%の蒸気流量を分岐して湿分分離加熱器8の加熱器に回しているので、高圧タービン7への蒸気流量は104.6%(4.6%の増加)に抑制されている。そして、高圧タービン7に流入した104.6%の蒸気流量の内、高圧給水加熱器17への抽気は、高圧抽気管24Aの途中に、流路抵抗として作用させる流量調整弁18Aを設けて、0.02%(99.7%の減少)に抑制されている。高圧タービン7に流入した104.6%の蒸気流量の内、残りは高圧タービン出口から出た後、97.7%(16.0の増加)がクロスアラウンド管21により湿分分離加熱器8に導かれて湿分分離加熱器8において湿分が除去され、6.9%(28.1%の減少)が高圧抽気管24Bを経由して第1段の低圧給水加熱器13aに導かれ、給水を加熱する。
主蒸気管5から湿分分離加熱器8の加熱器に分岐された蒸気流量9.1%は、湿分分離加熱器8で高圧タービン7から排気された97.7%の蒸気流量を加熱した後、加熱器排気管23を経由して、高圧抽気管24Aの流量調整弁18Aの下流側に合流する。
湿分分離加熱器8で湿分を除去された蒸気は再びクロスアラウンド管21を経由して、85.2%(15.6%の増加)が低圧タービン入口から低圧タービン9に流入し、低圧タービンを駆動する。湿分分離加熱器8で湿分を除去された蒸気の内1.6%(2.4%の増加)はクロスアラウンド管21の途中の分岐から抽気されて、給水ポンプ用抽気管28を経由して、タービン駆動給水ポンプ15Aを駆動する給水ポンプ駆動タービン14に導かれ、その排気は給水ポンプ用タービン排気管29を経由して復水器11にダンプされる。
湿分分離加熱器8で除去された湿分の質量流量10.9%(22.0%の増加)は、ドレン管25を経由して、第2段の低圧給水加熱器13bに導かれ、給水を加熱する。
低圧タービン入口から低圧タービン9に流入した蒸気は、多段の翼車を含む低圧タービン9を駆動しながら、低圧タービン9の複数の翼車の段に配置された抽気口からそれぞれ2.0%(3.7%の増加),5.0%(12.6%の増加),4.6%(6.1%の増加),7.0%(3.9%の増加)抽気されて、各低圧抽気管26A,26B,26C,26Dを経由して、第2段の低圧給水加熱器13b、第3段の低圧給水加熱器13c、第4段の低圧給水加熱器13d、第5段の低圧給水加熱器13eにそれぞれ導かれ、給水を加熱する。
低圧タービン出口から復水器11にダンプされる蒸気流量は、64.5%(19.2%の増加)であり、低圧タービン9の出口蒸気流量の設計余裕、約121%を満たしている
復水器11からの給水114%(14%の増加)は低圧給水加熱器13においてエンタルピ776kJ/kgまで加熱され、最終段の高圧給水加熱器17で35kJ/kg(=776→811)まで加熱されている。
前記のように主に高圧タービン7の途中段からの抽気量の減少及び低圧タービン9への蒸気流量の増加により、電気出力の増大は、熱出力の21%の増大に、ほぼ見合った119.9%となっている。
本実施形態におけるように湿分分離加熱器8の加熱器へ分岐する蒸気流量を出力増大前の第1の運転サイクルでの蒸気出口ノズル1aでの蒸気流量の約9%とし、低圧タービン9の出口蒸気流量の制限値に対応した高圧タービン出口蒸気流量の値以下となるように、原子炉の熱出力(ひいては高圧タービン入口での蒸気流量)を制御し、高圧タービン7から高圧給水加熱器17への蒸気の抽気量を制御することにより、低圧タービン9の出口蒸気流量を設計余裕の範囲内に抑制しつつ、原子炉の熱出力の増大又は変動に対応して、湿分分離加熱器8の加熱器へ分岐させる蒸気流量を確保しつつ、高圧タービン7及び低圧タービン9を通過する蒸気流量を最大とすることができ、設備の容量上許容される最大の出力向上が可能となる。つまり、発電機10の電気出力を最大にすることができる。
以上のように本実施形態の原子力発電プラント100Bによれば、原子炉で生じた熱的余裕を用いて、高圧タービン7及び低圧タービン9を改造・交換することなく原子炉の熱出力を約121%まで増大できる。
この第1の実施形態及びその変形例よりも更なる原子炉の熱出力増大において、本実施形態のように給水エンタルピを811kJ/kg(113kJ/kgの低下、給水温度26℃の低下に相当)とベースの原子力発電プラント110より低下させていることにより、次の効果がある。
給水温度が低下すれば、原子炉での蒸気発生が抑制され、発熱体である燃料集合体の燃料棒周囲のボイド率が減少し、炉心の熱的余裕がベースとする比較例と比較して大きい。すなわち、熱的余裕の許容範囲内で原子炉の熱出力を増大させ易い。
本実施形態で低圧タービン9の出口側に流量検出センサ41を設けて流量計43で蒸気流量を計測する構成としたが、それに限定されるものではなく、低圧タービン9の入口側に流量検出センサ41を設けて流量計43で蒸気流量を計測する構成としても良い。その場合、流量制御部50において、低圧タービン9の途中段段から抽気される蒸気流量を低圧タービン入口での蒸気流量の関数の形でデータを予め有し、低圧タービン9の出口流量を算出し、その上で、低圧タービン9の出口蒸気流量の制限値と比較し、流量調整弁18A,18Bの開度を調整する。
なお、第1の実施形態及びその変形例において、高圧抽気管24Aに第2の実施形態における流量検出センサ41及び流量計43のような流量検出センサと流量計を設けて高圧給水加熱器17へ抽気される蒸気流量を計測して、その信号を第2の実施形態におけるように流量制御部50に入力して原子炉の熱出力のレベルに応じて流量調整弁18の開度を制御しても良い。
同様に、第2の実施形態において、高圧抽気管24A,24Bに流量検出センサと流量計を設けて高圧給水加熱器17又は第1段の低圧給水加熱器13aへ抽気される蒸気流量を計測して、その信号を流量制御部50に入力して原子炉の熱出力のレベルに応じて流量調整弁18A,18Bの開度を制御しても良い。
また、第1の実施形態と、その変形例、及び第2の実施形態において、図1、図2、図3、図5及び図6には図示省略しているが、主蒸気管5には主蒸気流量を計測する流量検出センサ及び流量計が設けられている。この主蒸気流量に応じて高圧タービン7の入口流量が許容範囲を超えないように、例えば、ベースとする比較例の104.5%蒸気流量以下となるように、加熱器用分岐管22に流量調整弁と流量検出センサ及び流量計を設けて、流量制御部50において主蒸気流量に応じて加熱器用分岐管22の前記流量調整弁の開度を制御しても良い。
Figure 0004982351
表1は、第1の実施形態及び第2の実施形態におけるヒートバランスの原子炉の熱出力(%)、給水エンタルピ(kJ/kg)、主蒸気流量(%)、湿分分離加熱器へ分岐される蒸気流量(%)、高圧タービンへの蒸気流量(%)、低圧タービンの出口流量(%)、電機出力(%)をまとめた表である。
《他の実施形態:PWR原子力発電プラント》
次に本発明を間接サイクル型原子力発電プラントの一つであるPWR原子力発電プラントに適用した場合の実施形態について説明する。
図7、図8を参照しながらPWR原子力発電プラントに本発明を適用した場合の第3の実施形態について説明する。図7は、ベースとする比較例のPWR原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。以下では、ベースとする比較例のPWR原子力発電プラントを、原子力発電プラント210と称する。
(ベースのPWR原子力発電プラント)
図7に示すようにベースとする比較例の原子力発電プラント210では、原子炉容器(原子炉)1B、蒸気発生器2、加圧器3、一次冷却材ポンプ4、一次系配管35で、一次系が構成され、原子炉容器1B内の図示しない燃料集体で発生した熱は、炉心を循環する一次冷却材(原子炉で加熱された冷却材)に伝達され、蒸気発生器2で二次系の冷却材(二次冷却材)に伝達される。蒸気発生器2内で一次系と二次系との熱交換により二次冷却材は蒸気となり、エンタルピ2766kJ/kgの蒸気は、蒸気出口ノズル2aに接続する主蒸気管5を経由して多段の翼車で構成される高圧タービン7に流入し、高圧タービン7を駆動する。図7においては、蒸気出口ノズル2aからの蒸気流量を質量流量Gで100%と定義して、それ以降の下流における水あるいは蒸気の質量流量Gをパーセント表示で示す。また、水あるいは蒸気のエンタルピ(kJ/kg)をHで示している。
また、原子力発電プラント210の原子炉の熱出力Qを100%、発電機10の電気出力Eを100%としている。
高圧タービン7に流入した100%の蒸気流量の内、6.2%は、高圧タービン7の途中段から抽気され、高圧抽気管24Aを経由し、タービン駆動給水ポンプ15A及び電動機駆動給水ポンプ15Bの下流に配された高圧給水加熱器(給水加熱器)17に導かれて給水を加熱後、給水加熱器ドレン管27を経由して、図7では5段に設けられている低圧給水加熱器(給水加熱器)13の内の高温側の第1段の低圧給水加熱器13a(図中、「第1」と表示)のドレン側に導かれる。
高圧タービン7に流入した100%の蒸気流量の内、残りは高圧タービン出口から出た後、84.2%がクロスアラウンド管21により湿分分離器8’に導かれて湿分分離器8’において湿分が除去され、9.6%が高圧抽気管24Bを経由して第1段の低圧給水加熱器13a(図中、「第1」と表示)に導かれて給水を加熱する。
湿分分離器8’で湿分を除去された蒸気は再びクロスアラウンド管21を経由して、73.6%が低圧タービン入口から低圧タービン9に流入し、低圧タービンを駆動する。湿分分離器8’で湿分を除去された蒸気の内、1.6%はクロスアラウンド管21の途中の分岐から抽気されて、給水ポンプ用抽気管28を経由して、タービン駆動給水ポンプ15Aを駆動する給水ポンプ駆動タービン14に導かれ、その排気は給水ポンプ用タービン排気管29を経由して復水器11にダンプされる。
ちなみに、図7では、給水ポンプ駆動タービン14とタービン駆動給水ポンプ15Aは分離して描かれているが、実際は、一体に組み合わされ、給水ポンプ駆動タービン14の出力軸でタービン駆動給水ポンプ15Aが直接駆動される構造のものである。
湿分分離器8’で除去された湿分の質量流量8.9%は、ドレン管25を経由して、第2段の低圧給水加熱器13b(図中、「第2」と表示)に導かれ、給水を加熱する。
低圧タービン入口から低圧タービン9に流入した蒸気は、多段の翼車を含む低圧タービン9を駆動しながら、低圧タービン9の複数の翼車の段に配置された抽気口からそれぞれ2.0%,4.4%,4.4%,6.8%抽気されて、各低圧抽気管26A,26B,26C,26Dを経由して、第2段の低圧給水加熱器13b、第3段の低圧給水加熱器13c(図中、「第3」と表示)、第4段の低圧給水加熱器13d(図中、「第4」と表示)、第5段の低圧給水加熱器13e(図中、「第5」と表示)にそれぞれ導かれ、給水を加熱する。
高圧タービン7及び低圧タービン9は一軸に連結されて発電機10を駆動し、電気出力100%を出力する。
なお、図7での各低圧抽気管26A,26B,26C,26Dの低圧タービン9側の抽気口の位置は、ヒートバランスの模式図を煩雑にしないため正確になっていないが、低圧抽気管26A,26B,26C,26Dの順に低圧タービン入口側に近い翼車の段から抽気していることは言うまでもないことである。
低圧タービン出口から排気される54.2%の蒸気は復水器11にダンプされ、ここで水に戻される。第1段の低圧給水加熱器13a、第2段の低圧給水加熱器13b、第3段の低圧給水加熱器13c、第4段の低圧給水加熱器13dに導かれた蒸気やドレンは、それらの低圧給水加熱器13a〜13dにおいて給水を加熱してドレンとなり、より低温側、例えば、第1段の低圧給水加熱器13aならば第2段の低圧給水加熱器13bへ、第2段の低圧給水加熱器13bならば第3段の低圧給水加熱器13cへ、それぞれのドレン側に給水加熱器ドレン管27を経由して送られ、給水を加熱し、最終段の第5段の低圧給水加熱器13eを経由したドレンは、復水器11へダンプされる。
復水器11へダンプされ凝縮された水は、給水配管30に導かれ、低圧復水ポンプ12A及び高圧復水ポンプ12Bで昇圧されて、多段の低圧給水加熱器13を低圧給水加熱器13e,13d,13c,13b,13aの順に経由して、タービン駆動給水ポンプ15A、及び電動機駆動給水ポンプ15Bにより更に昇圧されて、高圧給水加熱器17を経由して、蒸気発生器2の給水ノズル2bに戻る。この蒸気発生器2への給水のエンタルピ(以下、給水エンタルピと称する)は924kJ/kgで、質量流量100%である。
ちなみに、高圧給水加熱器17で加熱される前の給水のエンタルピは812kJ/kgである。
また、蒸気発生器2で発生した蒸気が供給される主蒸気管5、高圧タービン7、及び低圧タービン9を以下では蒸気系と称し、復水器11、復水器11から供給された給水を加熱する低圧給水加熱器(給水加熱器)13、及び高圧給水加熱器(給水加熱器)17を含み、復水器11から低圧給水加熱器13及び高圧給水加熱器17を経由して蒸気発生器2の給水ノズル2bまで給水を導く給水配管30を給水系と称する。
また、高圧タービン7から抽気して高圧給水加熱器17に導く高圧抽気管24Aの蒸気流量が、請求項に記載の「前記高圧タービンから抽気して前記給水加熱器に導く蒸気の抽気量」に対応する。
以上のように、前記した第1の実施形態及び第2の実施形態におけるベースとする原子力発電プラント110とは、一次系を有している点が異なるだけで、二次系の蒸気出口ノズル2aから高圧タービン7、低圧タービン9、低圧給水加熱器13、高圧給水加熱器17等で構成される二次系の構成は同じである。従って、以下では原子力発電プラント110、100A、120,120Mと同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
また、図7に示すように原子力発電プラント210の二次系のヒートバランスは、図1に示した原子力発電プラント110と同じものである。
(第3の実施形態:低圧タービンの出口蒸気流量の設計余裕約112%の場合)
次に、図8を参照しながら適宜図7を参照して、本発明の第3の実施形態に係わる原子力発電プラントについて説明する。
PWR原子力発電プラントである原子力発電プラント210でも、高圧タービン7と低圧タービン9の設計余裕の範囲で、原子炉の熱出力Qを増大させ電気出力Eをできるだけ増大させるように、できるだけ小規模な改造で済ませる出力増大方法(原子力発電プラントの運転方法)を考えることが、PWR原子力発電プラントの発電コスト低減の観点から好ましい。
本実施形態の原子力発電プラント200Aは、低圧タービン9の出口蒸気流量の設計余裕が約112%の場合の原子力発電プラント210における原子炉の熱出力Qを15%増大させ、電気出力Eを15%近く増大させるものである。その特徴は、湿分分離器8’を湿分分離加熱器8に改造、又は湿分分離器8’を取り外して新たに湿分分離加熱器8を設置するものであり、原子炉の熱出力増大による蒸気出口ノズルからの蒸気流量の増加分のほぼ全ての8.8%を湿分分離加熱器8の加熱器用に利用するものである。
なお、原子力発電プラント210の状態で運転していた場合の運転サイクルが請求項に記載の「第1の運転サイクル」に対応し、改造した後、原子力発電プラント200Aの状態で運転している場合の運転サイクルが請求項に記載の「第2の運転サイクル」に対応する。また、原子力発電プラント210の状態での運転時の原子炉の熱出力Q=100%が請求項に記載の「第1の熱出力」に、原子力発電プラント200Aの状態での運転時の原子炉の熱出力Q=115%が請求項に記載の「第2の熱出力」に対応する。
原子力発電プラント210から原子力発電プラント200Aに改造して、原子力発電プラント200Aにおいて原子炉の熱出力Qを増大させることは、運転中の一次冷却材中のホウ素濃度を第2の運転サイクルにおいて第1の運転サイクルよりも減ずることや、燃料集合体の種類を変更すること等の原子炉の反応度を高めることで実現可能である。
以下に、具体的な改造後の原子力発電プラント200Aの構成について、特にそのヒートバランスについて説明する。
ここでは、蒸気出口ノズル2aにおける蒸気のエンタルピ2766kJ/kgは、ベースとした比較例の原子力発電プラント210の場合と同じとしている。
図8は、ベースとする比較例の原子力発電プラントを電気出力で約15%出力増大の改造をした第3の実施形態に係わる原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。
本実施形態における原子力発電プラント200Aの構成は、ベースとした比較例の原子力発電プラント210とは、基本的に同じ構成であるが、湿分分離器8’が湿分分離加熱器8に改造又は置き換えられて設置されている。そして、主蒸気管5の高圧タービン入口の手前(上流側)から分岐して接続された加熱器用分岐管22が、湿分分離加熱器8に内蔵された図示しない加熱器用の管束に高温蒸気を供給するための加熱器入口に接続している。そして、主蒸気管5から分岐された蒸気は、前記管束を通過後、湿分分離加熱器8の加熱器出口に接続している加熱器排気管23を経由して、高圧抽気管24Aの後記する流量調整弁18の下流側において高圧抽気管24Aと合流して高圧給水加熱器17に導かれ、給水を加熱して、給水加熱器ドレン管27により、低圧給水加熱器13の各段の低圧給水加熱器13a〜13eのドレン側に順に供給され、最終的に復水器11にダンプされる。
ベースの原子力発電プラント210と同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図8において、熱出力Qの%表示、電気出力Eの%表示、及び質量流量Gの%表示は、前記したベースとする原子力発電プラント210における%表示と基準を同じにしたものであり、いわゆる、絶対%表示である。それらの値に付した( )内の%表示は、原子力発電プラント200Aにおける絶対%表示の値を、対応する原子力発電プラント210における絶対%表示の値と比較した相対%表示の値である。
なお、本実施形態には、原子力発電プラント210を当初建設したときに湿分分離加熱器8が設置されているが、その内蔵の加熱器に高温蒸気を通すための加熱器用分岐管22や加熱器排気管23が配管されておらず、単に、湿分分離器としての機能のみで運用され、その後に、原子炉の熱出力Qの増大の設置許可や工事認可等の官庁の許可を得て、第2の運転サイクルの前に改造工事で加熱器用分岐管22、加熱器排気管23等を追設する場合も含んでいる。
図8に示すように原子力発電プラント200Aの二次系のヒートバランスは、図2に示した原子力発電プラント100Aと同じものであり、重複する説明を省略する。
なお、原子力発電プラント100Aの説明における蒸気出口ノズル1aは蒸気出口ノズル2aに、給水ノズル1bは給水ノズル2bに、原子炉で発生する蒸気は蒸気発生器2で発生する蒸気に読み直す。
本実施形態では、給水エンタルピは、ベースである比較例の原子力発電プラント210の状態における第1の運転サイクルでの給水エンタルピ924kJ/kgより低い832kJ/kg(給水温度約195℃)となっている。この低い給水エンタルピにより、原子炉の熱出力が原子力発電プラント200Aの状態における第2の運転サイクルで、改造前の第1のサイクルの115%に増大していても、主蒸気管5の蒸気流量は、109.5%に抑制されている。
本実施形態のように給水エンタルピを下げて、一次系冷却材の温度を低下させ、反応度を高めることによって原子炉の熱出力を増大させることができる。そのためには、高圧タービン7及び低圧タービン9から抽気して高圧給水加熱器17や低圧給水加熱器13に送る蒸気流量を減少させれば良いが、単に全体的に蒸気の抽気量を減少させると、蒸気発生器2において二次系の水を飽和温度にまで上昇させるのに多くの熱が使われ、蒸気発生量が余り増加しないので、原子力発電プラント全体の熱効率が大きく減少して発電量をあまり増大させることができない。
従って、高圧タービン7の途中段、又は高圧タービン出口(実際には高圧タービン出口から湿分分離加熱器8の入口までの間)からの抽気蒸気量を選択的に減少させることで、低圧タービン9に流れる蒸気流量を増加させて発電量を増大させる。すなわち、原子炉での熱出力増大時に、湿分分離加熱器8の加熱器へ主蒸気管5から蒸気を8.8%(8〜9%)分岐させることにより、高圧タービン7への蒸気流量を抑制しつつ、高圧タービン7からの抽気量を低減して高圧タービン7を通過する蒸気流量及び低圧タービン9への蒸気流量を増加させつつ、高圧給水加熱器17での加熱量を35kJ/kg(=797→832)と、ベースである比較例における112kJ/kg(=812→924)よりも大幅に抑制して給水エンタルピをベースである比較例よりも92kJ/kg(約20℃)下げることで、電気出力を増大させている。
(第3の実施形態に対する参考例と変形例)
次に、図9を参照しながら適宜図8を参照して本実施形態の出力増大方法に対する参考例について説明する。本参考例の原子力発電プラント220は、原子力発電プラント200Aと同じである。異なるのは原子力発電プラント200Aが原子炉の熱出力を15%増大させるときに、給水エンタルピをベースの原子力発電プラント210の924kJ/kgから92kJ/kgだけ低下させているのに対し、原子力発電プラント220では、ベースの原子力発電プラント210と同じ給水エンタルピとしている点である。
図9は、第3の実施形態の参考例の原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。
図9において、熱出力Qの%表示、電気出力Eの%表示、及び質量流量Gの%表示は、前記したベースとする原子力発電プラント210における%表示と基準を同じにしたものであり、いわゆる、絶対%表示である。それらの値に付した( )内の%表示は、原子力発電プラント220における絶対%表示の値を、対応する原子力発電プラント210における絶対%表示の値と比較した相対%表示の値である。
図9に示す出力増大の場合は、給水エンタルピを原子力発電プラント210と同じ924kJ/kg(給水温度約215℃)としている。
図9に示すように原子力発電プラント220の二次系のヒートバランスは、図3に示した原子力発電プラント120と同じものであり、重複する説明を省略する。
なお、原子力発電プラント120の説明における蒸気出口ノズル1aは蒸気出口ノズル2aに、給水ノズル1bは給水ノズル2bに、原子炉で発生する蒸気は蒸気発生器2で発生する蒸気に読み直す。
図9に示した参考例の原子力発電プラント220における出力増大方法では、高圧タービン7への蒸気流量が約106%と、前記した原子力発電プラント210の高圧タービン7の蒸気流量の設計余裕105%を超えており、高圧タービン7の改造又は交換が必要となる。一方、図8に示す第3の実施形態では、高圧タービン7への蒸気流量は設計余裕内であり、保守的に許容範囲を104.5%と小さめに設定しても高圧タービン7の改造又は交換は不必要である。
(第3の実施形態に対する変形例)
そこで、参考例の原子力発電プラント220を見直して、給水エンタルピを下げて高圧タービン7への蒸気流量を前記許容範囲の104.5%にする第3の実施形態に対する変形例を考える。そして参考例の原子力発電プラント220を見直したものを、以下では原子力発電プラント220Mと称する。
ただし、主蒸気管5から湿分分離加熱器8の加熱器用に分岐する蒸気流量は8.8%と固定する。
蒸気流量を前記許容範囲の104.5%にするには、図9のヒートバランスから主蒸気管5の蒸気流量を105.8%→104.5%に、つまり、1.3%だけ低減させれば良く、図8に示したヒートバランスと図9に示したヒートバランスから、給水エンタルピの必要な低下量は以下のように求められる。
(給水エンタルピの必要な低下量)=(必要な蒸気流量の低下量)/(図8と図9における給水エンタルピの差による蒸気流量の差)*(図8と図9における給水エンタルピの差)*(高圧タービンの入口流量が104.5%のときの給水流量=蒸気発生器の蒸気発生量)/(図8における給水流量)=(1.3)/(114.9−109.5)*(924−832)*(114.9−1.3)/(109.5)=23.0kJ/kg
給水エンタルピの必要な低下量は23.0kJ/kg、つまり、約5℃の給水温度の低下が必要になる。
また、図9のヒートバランスから給水エンタルピを23.0kJ/kg低下させるために、高圧タービン7から高圧給水加熱器17への抽気量を低減させる必要がある。図8に示したヒートバランスと図9に示したヒートバランスから、高圧タービン7からの抽気量の低減量は以下のように求められる。
(図9における高圧給水加熱器への抽気量の低減量)=(必要な蒸気流量の低減量)/(図8と図9における給水エンタルピの差による蒸気流量の差)*(図8と図9における給水加熱器での加熱量の差=抽気量の差)*(高圧タービンの入口流量が104.5%のときの給水流量=蒸気発生器の蒸気発生量)/(図2における給水流量)=(1.3)/(114.9−109.5)*(3.2−0.05)*(114.9−1.3)/(109.5)=0.79%
図9のヒートバランスにおける高圧タービン7からの抽気量を3.2%から0.8%減じた2.4%、つまり、ベースとなる比較例の原子力発電プラント210における6.2%を基準にすると相対%表示で約39%となる。
まとめると、本実施形態において、ベースである比較例よりも原子炉の熱出力(第2の熱出力)を115%に増大させて、電気出力を約15%増大させる方法として、次の2ケースが考えられる。
〈ケース1:原子力発電プラント200A〉
図8に示したように蒸気発生器2の蒸気発生量を、湿分分離加熱器8の加熱器用に8.8%の蒸気流量を主蒸気管5から分岐する量だけ増加させ(約109%)、略100%の蒸気流量を高圧タービン7に導き、高圧タービン7からの高圧給水加熱器17への抽気量を最小限の1%以下とするケース。
〈ケース2:原子力発電プラント220M〉
図9の参考例を修正した原子力発電プラント220Mのように、蒸気発生器2の蒸気発生量を、湿分分離加熱器8の加熱器用に8.8%の蒸気流量を主蒸気管5から分岐する量と、高圧タービン7の許容範囲104.5%とを合算した量、つまり、約113.5%に増加させ、高圧タービン7からの高圧給水加熱器17への抽気量を、ベースとする比較例に対する相対%で約39%とするケース。
そして、この2つのケースの間で、連続的に高圧タービン7への蒸気流量を100〜104.5%の間で調整し、それに応じて、高圧給水加熱器17への抽気量を、ベースとする比較例に対する相対%で1〜39%の間に設定することが可能である。
以上のように第3の実施形態の原子力発電プラント200A、及び第3の実施形態に対する変形例の原子力発電プラント220Mによれば、高圧タービン7を改造・交換することなく原子炉の熱出力を増大して約115%まで増大ができる。
また、第3の実施形態では、ベースとする比較例の原子力発電プラント210の場合よりも給水エンタルピを92kJ/kg(20℃)低減しているので、次の効果がある。給水温度が低下すれば、一次冷却材温度が低下し原子炉の熱出力を増大させ易い。
従って、燃料集合体の取り出し燃焼度をより高い値にする核燃料の経済性の高い燃焼のさせ方ができる。
なお、図8に示すように、高圧タービン7から高圧給水加熱器17への抽気量を減少させる抽気点は、高圧タービン7の途中段の抽気点で抽気点が複数ある場合は、一番上流側の抽気点を選ぶと最も効果が高い。原子力発電プラント200Aでは、高圧タービン7から高圧給水加熱器17への高圧抽気管24Aの途中に、抽気量を調節する手段として電動機で開度を遠隔調整できる流量調整弁18を設け、その下流で湿分分離加熱器8からの加熱器排気管23と合流させて、高圧給水加熱器17へと導いている。このとき、高圧抽気管24Aの流量を調節する手段は、流量調整弁18に限定されるものではなく、流動抵抗となるものであれば良く、オリフィス等の静的機器でも良い。更に、高圧抽気管24Aの流量は、出力増大前の第1の運転サイクルにおける抽気量の相対%で1%以下であることから、他の低圧給水加熱器13への流量を調整する等で、高圧抽気管24Aの抽気量を0(ゼロ)とすることも可能であり、高圧抽気管24Aを閉止し削除できる。この場合は、追設する湿分分離加熱器8からの加熱器排気管23用の配置スペース確保が容易になる効果がある。
更に、本実施形態では、原子炉の熱出力を115%増大させる場合を例に説明したが、それに限定されることは無く、主蒸気管5から湿分分離加熱器8の加熱器用に分岐する蒸気流量約8%以上を確保できるように原子炉の熱出力を108%以上にベースとする比較例よりも増大させた電気出力が約108%以上のケースも含む。
(第4の実施形態:低圧タービンの出口蒸気流量の設計余裕約121%の場合)
更に、本発明の実施形態では給水エンタルピをベースである比較例の原子力発電プラント210の場合よりも低減させることにより、高圧タービン7や低圧タービン9を改造又は交換することなく、高圧タービン7の入口蒸気流量の許容範囲(104.5%以下)及び低圧タービン9の出口蒸気流量の許容範囲(ベースの121%以下)に対する設計余裕の最大値まで活用することにより原子炉の熱出力を更に増大して約121%まで増大させることができる。
以下に、図10を参照しながらそのような例である第4の実施形態の原子力発電プラントについて説明する。
本実施形態の原子力発電プラント200Bでは、図10に示すように高圧タービン7の途中段から抽気して高圧給水加熱器17に導く高圧抽気管24Aと、高圧タービン出口から抽気して第1段の低圧給水加熱器13aに導く高圧抽気管24Bの中間には、例えば、電動機駆動の流量調整弁18A,18Bがそれぞれ配置され、流量制御部50によってその開度が制御される。また、低圧タービン出口には、流量検出センサ(フローエレメントとも言う)41が設けられ、流量検出センサ41からの信号を流量計43で流量信号に変換し、流量制御部50に送信する。
流量制御部50は、その流量信号を低圧タービン9の出口蒸気流量の制限値と比較し、制限値以内であれば高圧タービン7の途中段からの高圧抽気管24Aの流量調整弁18A及び高圧タービン出口からの高圧抽気管24Bの流量調整弁18Bを順次閉じて、低圧タービン9への蒸気流量を増加させる制御を行う。
流量制御部50における前記制御は、要求される発電出力に対して高圧タービン7及び低圧タービン9が追従するように、原子力発電プラント200Bの図示しない中央制御室に配置された制御盤と接続した制御コンピュータに搭載された原子力発電プラント制御ソフトウェアの内のタービン制御系のソフトウェアの一部として実行される。
前記以外の他の構成は、第3の実施形態と同じ構成であり、同じ符号を付し重複する説明を省略する。
次に、図10を参照しながら本実施形態の原子力発電プラントにおけるヒートバランスについて説明する。
図10は、ベースとなる比較例の原子力発電プラントを電気出力で約20%出力増大の改造をした第4の実施形態に係わる原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。
図10において、熱出力Qの%表示、電気出力Eの%表示、及び質量流量Gの%表示は、前記したベースとする原子力発電プラント210における%表示と基準を同じにしたものであり、いわゆる、絶対%表示である。それらの値に付した( )内の%表示は、原子力発電プラント100Bにおける絶対%表示の値を、対応する原子力発電プラント210における絶対%表示の値と比較した相対%表示の値である。
図10に示すように原子力発電プラント200Bの二次系のヒートバランスは、図4に示した原子力発電プラント100Bと同じものであり、重複する説明を省略する。
なお、原子力発電プラント200Bの説明における蒸気出口ノズル1aは蒸気出口ノズル2aに、給水ノズル1bは給水ノズル2bに、原子炉で発生する蒸気は蒸気発生器2で発生する蒸気に読み直す。
ここで、原子力発電プラント210の状態での運転時の原子炉の熱出力Q=100%が請求項に記載の第1の熱出力に、原子力発電プラント200Bの状態での運転時の原子炉の熱出力Q=121%が請求項に記載の第2の熱出力に対応する。
本実施形態におけるように湿分分離加熱器8の加熱器へ分岐する蒸気流量を出力増大前の第1の運転サイクルでの蒸気出口ノズル2aでの蒸気流量の約9%とし、低圧タービン9の出口蒸気流量の制限値に対応した高圧タービン出口蒸気流量の値以下となるように、原子炉の熱出力(ひいては高圧タービン入口での蒸気流量)を制御し、高圧タービン7から高圧給水加熱器17への蒸気の抽気量を制御することにより、低圧タービン9の出口蒸気流量を設計余裕の範囲内に抑制しつつ、原子炉の熱出力の増大又は変動に対応して、湿分分離加熱器8の加熱器へ分岐させる蒸気流量を確保しつつ、高圧タービン7及び低圧タービン9を通過する蒸気流量を最大とすることができ、設備の容量上許容される最大の出力向上が可能となる。つまり、発電機10の電気出力を最大にすることができる。
以上のように本実施形態の原子力発電プラント200Bによれば、高圧タービン7及び低圧タービン9を改造・交換することなく原子炉の熱出力を約121%まで増大できる。
この第3の実施形態及びその変形例よりも更なる原子炉の熱出力増大において、本実施形態のように給水エンタルピを811kJ/kg(113kJ/kgの低下、給水温度26℃の低下に相当)とベースの原子力発電プラント210より低下させていることにより、次の効果がある。
給水温度が低下すれば、一次冷却材の温度が低下し、原子炉の熱出力を増大させ易い。
本実施形態で低圧タービン9の出口側に流量検出センサ41を設けて流量計43で蒸気流量を計測する構成としたが、それに限定されるものではなく、低圧タービン9の入口側に流量検出センサ41を設けて流量計43で蒸気流量を計測する構成としても良い。その場合、流量制御部50において、低圧タービン9の途中段段から抽気される蒸気流量を低圧タービン入口での蒸気流量の関数の形でデータを予め有し、低圧タービン9の出口流量を算出し、その上で、低圧タービン9の出口蒸気流量の制限値と比較し、流量調整弁18A,18Bの開度を調整する。
なお、第3の実施形態及びその変形例において、高圧抽気管24Aに第4の実施形態における流量検出センサ41及び流量計43のような流量検出センサと流量計を設けて高圧給水加熱器17へ抽気される蒸気流量を計測して、その信号を第4の実施形態におけるように流量制御部50に入力して原子炉の熱出力のレベルに応じて流量調整弁18の開度を制御しても良い。
同様に、第4の実施形態において、高圧抽気管24A,24Bに流量検出センサと流量計を設けて高圧給水加熱器17又は第1段の低圧給水加熱器13aへ抽気される蒸気流量を計測して、その信号を流量制御部50に入力して原子炉の熱出力のレベルに応じて流量調整弁18A,18Bの開度を制御しても良い。
また、第3の実施形態と、その変形例、及び第4の実施形態において、図7、図8、図9及び図10には図示省略しているが、主蒸気管5には主蒸気流量を計測する流量検出センサ及び流量計が設けられている。この主蒸気流量に応じて高圧タービン7の入口流量が許容範囲を超えないように、例えば、ベースとする比較例の104.5%蒸気流量以下となるように、加熱器用分岐管22に流量調整弁と流量検出センサ及び流量計を設けて、流量制御部50において主蒸気流量に応じて加熱器用分岐管22の前記流量調整弁の開度を制御しても良い。
ベースとする比較例のBWR原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。 ベースとする比較例の原子力発電プラントを電気出力で約15%出力増大の改造をした第1の実施形態に係わる原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。 第1の実施形態の参考例の原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である ベースとする比較例の原子力発電プラントにおける第1の運転サイクルと、第1の実施形態に係わる出力増大の改造後の原子力発電プラントにおける第2の運転サイクルとの比較図であり、(a)は湿分分離加熱器の加熱器用の分岐蒸気流量の比較、(b)は高圧給水加熱器への高圧タービンからの抽気量の比較図であり、(c)は原子炉の熱出力の比較図である。 第2の実施形態に係わる原子力発電プラントの構成を説明する模式図である。 ベースとなる比較例の原子力発電プラントを電気出力で約20%出力増大の改造をした第2の実施形態に係わる原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。 ベースとする比較例のPWR原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。 ベースとする比較例の原子力発電プラントを電気出力で約15%出力増大の改造をした第3の実施形態に係わる原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。 第3の実施形態の参考例の原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。 ベースとなる比較例の原子力発電プラントを電気出力で約20%出力増大の改造をした第4の実施形態に係わる原子力発電プラントのヒートバランスを説明する図である。
符号の説明
1A 原子炉圧力容器(原子炉)
1a 蒸気出口ノズル(原子炉出口)
1b 給水ノズル
1B 原子炉容器(原子炉)
2 蒸気発生器
2a 蒸気出口ノズル
2b 給水ノズル
3 加圧器
4 一次冷却材ポンプ
5 主蒸気管
7 高圧タービン
8 湿分分離加熱器
8’ 湿分分離器
9 低圧タービン
10 発電機
11 復水器
12A 低圧復水ポンプ
12B 高圧復水ポンプ
13 低圧給水加熱器(給水加熱器)
13a 第1段の低圧給水加熱器
13b 第2段の低圧給水加熱器
13c 第3段の低圧給水加熱器
13d 第4段の低圧給水加熱器
13e 第5段の低圧給水加熱器
14 給水ポンプ駆動タービン
15A タービン駆動給水ポンプ
15B 電動機駆動給水ポンプ
17 高圧給水加熱器(給水加熱器)
18,18A,18B 流量調整弁
21 クロスアラウンド管
22 加熱器用分岐管
23 加熱器排気管
24A,24B 高圧抽気管
25 ドレン管
26A,26B,26C,26D 低圧抽気管
27 給水加熱器ドレン管
28 給水ポンプ用抽気管
29 給水ポンプ用タービン排気管
30 給水管
35 一次系配管

Claims (18)

  1. 原子炉と、
    該原子炉で発生した蒸気が供給される原子炉出口から高圧タービン入口までの主蒸気管、高圧タービン、及び高圧タービン出口から低圧タービン入口までの配管を含む高圧蒸気系と、
    前記低圧タービン入口から復水器の入口までの低圧蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備える原子力発電プラントの出力増大化の運転方法であって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている前記原子力発電プラントの既設状態に対して、
    前記原子力発電プラントの出力増大後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    前記原子炉の定格熱出力を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記高圧タービンから抽気して前記給水加熱器に導く蒸気の抽気量を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における抽気量の39%以下とすることを特徴とする原子力発電プラントの出力増大化の運転方法。
  2. 原子炉と、
    該原子炉で発生した蒸気が供給される原子炉出口から高圧タービン入口までの主蒸気管、高圧タービン、及び高圧タービン出口から低圧タービン入口までの配管を含む高圧蒸気系と、
    前記低圧タービン入口から復水器の入口までの低圧蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備える原子力発電プラントの出力増大化の運転方法であって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている前記原子力発電プラントの既設状態に対して、
    前記原子力発電プラントの出力増大後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    前記原子炉の定格熱出力を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記原子炉への給水温度を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時におけるより、5〜26℃までの範囲で低くすることを特徴とする原子力発電プラントの出力増大化の運転方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の原子力発電プラントの出力増大化の運転方法であって、
    前記原子力発電プラントの出力増大後の状態では、
    前記高圧タービンから給水加熱器への抽気量を前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における給水加熱器への抽気量の1%以下とするか、又は、前記原子炉への給水温度を前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時よりも20℃以上低下させて、前記原子炉の定格熱出力を前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力の115〜121%とすることを特徴とする原子力発電プラントの出力増大化の運転方法。
  4. 原子炉と、
    該原子炉で発生した蒸気が供給される原子炉出口から高圧タービン入口までの主蒸気管、高圧タービン、及び高圧タービン出口から低圧タービン入口までの配管を含む高圧蒸気系と、
    前記低圧タービン入口から復水器の入口までの低圧蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備える原子力発電プラントの出力増大化の運転方法であって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている前記原子力発電プラントの既設状態に対して、
    前記原子力発電プラントの出力増大後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    前記原子炉の定格熱出力を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記原子力発電プラントの既設状態での定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記低圧タービンの出口流量の制限に対応した前記高圧タービンの出口流量以下となるように、前記原子炉の熱出力、前記高圧タービンの入口流量、及び前記高圧タービンから前記給水加熱器への蒸気の抽気量の内の少なくとも1つを制御することを特徴とする原子力発電プラントの出力増大化の運転方法。
  5. 原子炉と、
    該原子炉で発生した蒸気が供給される原子炉出口から高圧タービン入口までの主蒸気管、高圧タービン、及び高圧タービン出口から低圧タービン入口までの配管を含む高圧蒸気系と、
    前記低圧タービン入口から復水器の入口までの低圧蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備える原子力発電プラントであって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている既設状態に対して、
    出力増大工事後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    記原子炉の定格熱出力を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記高圧タービンから抽気して前記給水加熱器に導く蒸気の抽気量を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における抽気量の39%以下とすることを特徴とする原子力発電プラント。
  6. 原子炉と、
    該原子炉で発生した蒸気が供給される原子炉出口から高圧タービン入口までの主蒸気管、高圧タービン、及び高圧タービン出口から低圧タービン入口までの配管を含む高圧蒸気系と、
    前記低圧タービン入口から復水器の入口までの低圧蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備える原子力発電プラントであって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている既設状態に対して、
    出力増大工事後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    記原子炉の定格熱出力を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記原子炉への給水温度を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時におけるより、5〜26℃までの範囲で低くすることを特徴とする原子力発電プラント。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の原子力発電プラントであって、
    前記出力増大工事後の状態では、
    前記高圧タービンから給水加熱器への抽気量を前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における給水加熱器への抽気量の1%以下、又は、前記原子炉への給水温度を前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時よりも20℃以上低下させて、前記原子炉の定格熱出力を前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力の115〜121%とすることを特徴とする原子力発電プラント。
  8. 原子炉と、
    該原子炉で発生した蒸気が供給される原子炉出口から高圧タービン入口までの主蒸気管、高圧タービン、及び高圧タービン出口から低圧タービン入口までの配管を含む高圧蒸気系と、
    前記低圧タービン入口から復水器の入口までの低圧蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備える原子力発電プラントであって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている既設状態に対して、
    出力増大工事後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    記原子炉の定格熱出力を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記低圧タービンの出口流量の制限に対応した前記高圧タービンの出口流量以下となるように、前記原子炉の熱出力、前記高圧タービンの入口流量、及び前記高圧タービンから前記給水加熱器への蒸気の抽気量の内の少なくとも1つを制御することを特徴とする原子力発電プラント。
  9. 請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の原子力発電プラントであって、
    前記出力増大工事後の状態では、
    前記高圧タービンから前記給水加熱器への抽気配管と前記湿分分離加熱器から前記給水加熱器への排気管を合流させるか、
    若しくは、前記高圧タービンから前記給水加熱器への抽気配管を削除し、かつ、前記湿分分離加熱器から前記給水加熱器への排気管のみを設置したことを特徴とする原子力発電プラント。
  10. 原子炉と、
    該原子炉で加熱された冷却材を熱源にして蒸気を発生する蒸気発生器と、
    該蒸気発生器で発生した蒸気が供給される主蒸気管、高圧タービン、及び低圧タービンを含む蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備える原子力発電プラントの出力増大化の運転方法であって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている前記原子力発電プラントの既設状態に対して、
    前記原子力発電プラントの出力増大後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    前記原子炉の定格熱出力を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記高圧タービンから抽気して前記給水加熱器に導く蒸気の抽気量を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における抽気量の39%以下とすることを特徴とする原子力発電プラントの出力増大化の運転方法。
  11. 原子炉と、
    該原子炉で加熱された冷却材を熱源にして蒸気を発生する蒸気発生器と、
    該蒸気発生器で発生した蒸気が供給される主蒸気管、高圧タービン、及び低圧タービンを含む蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備えた原子力発電プラントの出力増大化の運転方法であって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている前記原子力発電プラントの既設状態に対して、
    前記原子力発電プラントの出力増大後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており
    前記原子炉の定格熱出力を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記蒸気発生器への給水温度を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時におけるより、5〜26℃までの範囲で低くすることを特徴とする原子力発電プラントの出力増大化の運転方法。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の原子力発電プラントの出力増大化の運転方法であって、
    前記原子力発電プラントの出力増大後の状態では、
    前記高圧タービンから給水加熱器への抽気量を前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における給水加熱器への抽気量の1%以下とするか、又は、前記蒸気発生器への給水温度を前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時よりも20℃以上低下させて、前記原子炉の定格熱出力を前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力の115〜121%とすることを特徴とする原子力発電プラントの出力増大化の運転方法。
  13. 原子炉と、
    該原子炉で加熱された冷却材を熱源にして蒸気を発生する蒸気発生器と、
    該蒸気発生器で発生した蒸気が供給される主蒸気管、高圧タービン、及び低圧タービンを含む蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備える原子力発電プラントの出力増大化の運転方法であって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている前記原子力発電プラントの既設状態に対して、
    前記原子力発電プラントの出力増大後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    前記原子炉の定格熱出力を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記原子力発電プラントの既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記低圧タービンの出口流量の制限に対応した前記高圧タービンの出口流量以下となるように、前記原子炉の熱出力、前記高圧タービンの入口流量、及び前記高圧タービンから前記給水加熱器への蒸気の抽気量の内の少なくとも1つを制御することを特徴とする原子力発電プラントの出力増大化の運転方法。
  14. 原子炉と、
    該原子炉で加熱された冷却材を熱源にして蒸気を発生する蒸気発生器と、
    該蒸気発生器で発生した蒸気が供給される主蒸気管、高圧タービン、及び低圧タービンを含む蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備える原子力発電プラントであって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている既設状態に対して、
    出力増大工事後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    記原子炉の定格熱出力を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記高圧タービンから抽気して前記給水加熱器に導く蒸気の抽気量を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における抽気量の39%以下とすることを特徴とする原子力発電プラント。
  15. 原子炉と、
    該原子炉で加熱された冷却材を熱源にして蒸気を発生する蒸気発生器と、
    該蒸気発生器で発生した蒸気が供給される主蒸気管、高圧タービン、及び低圧タービンを含む蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備える原子力発電プラントであって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている既設状態に対して、
    出力増大工事後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    記原子炉の定格熱出力を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記蒸気発生器への給水温度を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時におけるより、5〜26℃までの範囲で低くすることを特徴とする原子力発電プラント。
  16. 請求項14又は請求項15に記載の原子力発電プラントであって、
    前記出力増大工事後の状態では、
    前記高圧タービンから給水加熱器への抽気量を前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における給水加熱器への抽気量の1%以下、又は、前記原子炉への給水温度を前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時よりも20℃以上低下させて、前記原子炉の定格熱出力を既設状態での前記原子炉の定格熱出力の115〜121%とすることを特徴とする原子力発電プラント。
  17. 原子炉と、
    該原子炉で加熱された冷却材を熱源にして蒸気を発生する蒸気発生器と、
    該蒸気発生器で発生した蒸気が供給される主蒸気管、高圧タービン、及び低圧タービンを含む蒸気系と、
    前記復水器と給水加熱器とを含み、前記復水器から前記給水加熱器を経由して前記原子炉まで給水を導く給水系と、
    を備えた原子力発電プラントであって、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離する湿分分離器が設備されている既設状態に対して、
    出力増大工事後の状態では、
    記高圧タービン出口と前記低圧タービン入口との間に、前記高圧タービンから排気された蒸気中の湿分を分離するとともに、前記主蒸気管から分岐する蒸気のみにより前記高圧タービンから排気された蒸気を加熱する湿分分離加熱器設備されており、
    記原子炉の定格熱出力を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力よりも8%以上増大させ、
    前記主蒸気管から前記湿分分離加熱器へ前記分岐する蒸気流量を、前記既設状態での前記原子炉の定格熱出力運転時における前記主蒸気管の蒸気流量の8〜9%とし、かつ、前記低圧タービンの出口流量の制限に対応した前記高圧タービンの出口流量以下となるように、前記原子炉の熱出力、前記高圧タービンの入口流量、及び前記高圧タービンから前記給水加熱器への蒸気の抽気量の内の少なくとも1つを制御することを特徴とする原子力発電プラント。
  18. 請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の原子力発電プラントであって、
    前記出力増大工事後の状態では、
    前記高圧タービンから前記給水加熱器への抽気配管と前記湿分分離加熱器から前記給水加熱器への排気管を合流させるか、
    若しくは、前記高圧タービンから前記給水加熱器への抽気配管を削除し、かつ、前記湿分分離加熱器から前記給水加熱器への排気管のみを設置したことを特徴とする原子力発電プラント。
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