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JP4981473B2 - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents

内燃機関用スパークプラグ Download PDF

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JP4981473B2
JP4981473B2 JP2007034513A JP2007034513A JP4981473B2 JP 4981473 B2 JP4981473 B2 JP 4981473B2 JP 2007034513 A JP2007034513 A JP 2007034513A JP 2007034513 A JP2007034513 A JP 2007034513A JP 4981473 B2 JP4981473 B2 JP 4981473B2
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Description

本発明は、内燃機関に使用され、貴金属チップを具備するスパークプラグに関する。
従来、自動車エンジン等の内燃機関用のスパークプラグとして、例えば中心電極や接地電極の先端部に貴金属合金よりなる略円柱形状のチップが溶接されたものがある。また、昨今では、着火性や火炎伝播性の向上という観点から、電極より突出するとともに、断面の直径が1.0mm以下の比較的細径化されたいわば針形状の貴金属チップが提案されている。
このような針形状の貴金属チップを形成するにあたり、従来から採用されている白金(Pt)−イリジウム(Ir)系合金(例えば、Pt−20Ir合金)を用いることが検討されている。しかし、突出長が大きくなるにつれ、耐酸化性の悪化を招いてしまい、ひいては耐久性の低下を招くことが懸念される。そこで、耐酸化性の向上を図るべく、Pt合金やPt−Ir合金に、ロジウム(Rh)を含有させる技術が考えられる(例えば、特許文献1参照)。
特開昭58−198886号公報
しかしながら、Pt合金に対してRhが含有されると、耐酸化性の向上を図ることができる一方で、粒界強度の低下を招いてしまう。加えて、針形状の貴金属チップは所謂「熱引き」が悪く、電極との温度差が拡大しやすいため、熱応力が増加しやすい。結果として、貴金属チップに「割れ」が生じることが懸念される。また、Pt−Ir合金に対してRhを含有させた場合においても、突出長が大きくなるにつれ、耐酸化性が不十分となり、Rhの存在により粒界強度の低下に伴う「割れ」による不具合が大きくなる。ここで、貴金属チップの直径が1.0mmを超えていれば、耐酸化性、「割れ」抑制の面で及第点に達しうるのであるが、それでは針形状の貴金属チップを実現することができず、着火性や火炎伝播性の向上を図ることができない。
一方、Rhが5質量%以上と比較的多量に含有された場合には、耐酸化性の向上が図られるものの、その反面、たとえ貴金属チップの直径を大きくしたとしても、「割れ」が生じやすくなってしまう。特に、突出長が大きくなるほど、「割れ」に対する耐性は大きく低下してしまう。
つまり、Pt−Rh系合金においては、Rhの含有量が比較的少量であるとしても、断面積が比較的小さく、突出長が比較的大きいと、Rhが含有されることによる悪影響が顕著に現れるおそれがある。一方、Rhの含有量が比較的多量であると、貴金属チップの形状に関わらず、上記悪影響が現れることが懸念される。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、Rhを含有してなるPt合金からなる貴金属チップを備えるスパークプラグにおいて、粒界強度の低下に伴う貴金属チップの「割れ」を抑制し、耐久性の向上を図ることができる内燃機関用スパークプラグを提供することにある。
以下、上記課題等を解決するのに適した各構成を項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成のスパークプラグは、中心電極と、前記中心電極の外側に設けられた絶縁体と、前記絶縁体の外側に設けられた主体金具と、前記主体金具に設けられた接地電極とを備え、
前記中心電極の先端部及び前記接地電極の先端部間に火花放電間隙を有する内燃機関用スパークプラグであって、
前記中心電極の先端部及び前記接地電極の先端部のうち少なくとも一方には、貴金属チップが接合されており、
前記貴金属チップは、Ptを主成分とし、Rhを5質量%以上含むとともに、添加元素としてタングステン(W)を含み、前記添加元素の総含有量が0.1質量%以上であることを特徴とする。
ここで、「主成分」とあるのは、材料中、最も質量比の高い成分を指すものである(以下、同様とする)。
上記構成1によれば、中心電極及び接地電極のうち少なくとも一方に貴金属チップが接合されている。また、当該貴金属チップは、Ptを主成分とし、Rhが5質量%以上含まれている。従って、耐酸化性の向上を図ることができる。一方で、Rhが5質量%以上と比較的高い割合で含まれているため、粒界強度の低下に伴う「割れ」の発生が懸念される。この「割れ」は、粒界に侵入した酸素とRhとが反応し、粒界にRh酸化物が形成されることで粒界強度の低下が生じることが原因であると考えられる。これに対し、本構成の貴金属チップには、Wが0.1質量%以上含まれている。Wは酸化しやすいという性質を有するため、粒界に侵入した酸素をRhの代わりに吸着し(酸素ゲッターとして機能し)、これによって粒界におけるRh酸化物の形成を抑制することができる。従って、粒界強度の低下を防止でき、「割れ」を抑制することが可能となる。その結果、耐久性の向上を図ることができる。また、Ptは粒成長が進行しやすい性質を有しているが、Wの融点はPtと比較して高い。そのため、粒成長の抑制を図ることができ、耐久性の更なる向上を図ることができる。尚、上述した作用効果をより確実なものとすべく、貴金属チップに含まれるWの総含有量が0.1質量%以上とされる。
構成2.本構成のスパークプラグは、軸線方向に沿って延びる中心電極と、前記中心電極の外側に設けられた絶縁体と、前記絶縁体の外側に設けられた主体金具と、前記主体金具に設けられ、先端部が前記中心電極の先端部と対向するよう配置された接地電極とを備え、
前記中心電極の先端部及び前記接地電極の先端部間に火花放電間隙を有する内燃機関用スパークプラグであって、
前記接地電極の先端部には、略円柱形状又は多角柱形状をなす貴金属チップが接合されており、
前記貴金属チップは、接地電極本体から自身の先端までの軸線方向における突出長が0.3mm以上で、かつ、軸線方向から見た断面積が0.79mm2以下であるとともに、
白金を主成分とし、Rhを3質量%以上含み、添加元素としてWを含み、前記添加元素の総含有量が0.1質量%以上であることを特徴とする。
構成2によれば、接地電極の先端部に貴金属チップが接合されている。さらに、貴金属チップは、その突出長が、0.3mm以上とされるとともに、軸線方向から見た断面積が0.79mm2以下とされている。つまり、貴金属チップは、接地電極より突出するとともに、比較的細径化されたいわば針形状とされている。従って、電極による消炎作用が低減させられ、着火性及び火炎伝播性の向上を図ることができる。一方で、接地電極側の貴金属チップは中心電極側に比べてより高温に晒されるとともに、接地電極側の針形状の貴金属チップは、所謂「熱引き」が悪く、より高温になりやすい。従って、貴金属チップと接地電極本体との間で温度差が増大しやすく、熱応力がより大きなものとなる。結果として、Rhが比較的低い割合で含まれている場合でも(但し、3質量%以上)、粒界強度の低下に伴う「割れ」が発生するおそれがある。この点、本構成によれば、貴金属チップには、Wが0.1質量%以上含まれている。従って、上記構成1と同様の作用が奏せられ、耐久性の向上を図ることができる
構成3.本構成のスパークプラグは、構成2に記載のスパークプラグにおいて、Rhを5質量%以上含んでいることを特徴とする。
構成3によれば、貴金属チップは、針形状にされているとともに、Rhが5質量%以上と比較的高い割合で含まれている。従って、粒界強度の低下に伴う「割れ」の発生が一層懸念されるところである。この点、本構成においても、Wが含有されているため、構成2と同様の作用効果が奏せられる。つまり、針形状化による着火性や火炎伝播性の向上、及びRhが含有されることによる耐酸化性の向上というメリットを維持しつつ、針形状化及び比較的多量のRhが含有されることに伴うデメリットを解消することができる。
構成4.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記添加元素はWであることを特徴とする。
構成4によれば、貴金属チップには添加元素としてWが含有されている。Wは、Moと比較して融点が高いため、粒成長をより抑制でき、耐久性をより向上させることができる。従って、上記構成1乃至3における作用効果がより効果的に奏せられることとなる。また、Wが含有された合金と、Moが含有された合金とを比較すると、Wが含有された合金の方が、より加工性に優れるというメリットも有する。
構成5.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至4のいずれかにおいて、前記添加元素の総含有量が0.1質量%以上3質量%以下であることを特徴とする。
上述した作用効果をより確実なものとするためには、貴金属チップに含まれるWの総含有量0.1質量%以上3質量%以下であることが望ましい。Wの総含有量が0.1質量%未満の場合には、Wを含有させることによる上記作用効果が十分に奏されないことが懸念される。一方で、Wの総含有量が3質量%を超える場合には、Wは酸化しやすい元素であるため、耐酸化性の悪化を招き、貴金属チップの耐久性が低下してしまうおそれがある。
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、スパークプラグ1を示す一部破断正面図である。なお、図1では、スパークプラグ1の軸線C1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、長尺状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2には、軸線C1に沿って軸孔4が貫通形成されている。そして、軸孔4の先端部側には中心電極5が挿入、固定され、後端部側には端子電極6が挿入、固定されている。軸孔4内における中心電極5と端子電極6との間には、抵抗体7が配置されており、この抵抗体7の両端部は導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
中心電極5は、絶縁碍子2の先端から突出し、端子電極6は絶縁碍子2の後端から突出した状態でそれぞれ固定されている。また、中心電極5には、その先端に貴金属チップ31が溶接により接合されている(これについては後述する)。
一方、絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、軸線C1方向略中央部において径方向外向きに突出形成されたフランジ状の大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれより細径に形成され、内燃機関(エンジン)の燃焼室に晒される脚長部13とを備えている。絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、脚長部13を含む先端側は、筒状に形成された主体金具3の内部に収容されている。そして、脚長部13と中胴部12との連接部には段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1をエンジンヘッドに取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。ねじ部15の後端側の外周面には座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3をエンジンヘッドに取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するための段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。なお、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料空気が外部に漏れないようにしている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間にはタルク(滑石)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及びタルク25を介して絶縁碍子2を保持している。
また、主体金具3の先端面26には、略L字状をなす接地電極27が接合されている。すなわち、接地電極27は、前記主体金具3の先端面26に対しその基端部が溶接されるとともに、先端側が曲げ返されて、その側面が中心電極5の先端部(貴金属チップ31)と対向するように配置されている。当該接地電極27には、前記貴金属チップ31に対向するようにして貴金属チップ32が設けられている。そして、これら貴金属チップ31,32間の隙間が火花放電間隙33となっている。
図2に示すように、中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5A及びニッケル(Ni)合金からなる外層5Bからなる。また、接地電極27は、Ni合金等で構成されている。
中心電極5は、その先端側が縮径されるとともに、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端面が平坦に形成されている。ここに円柱状をなす上記貴金属チップ31を重ね合わせ、さらにその接合面外縁部に沿ってレーザ溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接等により溶接部B1を形成してこれを固着することにより貴金属チップ31が接合されている。また、これに対向する円柱状の貴金属チップ32は、接地電極27の所定位置上に貴金属チップ32を位置合わせし、その接合面外縁部に沿って同様に溶接部B2を形成してこれを固着することにより接合される。なお、貴金属チップ31及びこれに対向する貴金属チップ32のうちいずれか一方(のチップ)を省略する構成としてもよい。この場合には、貴金属チップ31と接地電極27の本体との間、或いは対向する貴金属チップ32と中心電極5の本体部との間で火花放電間隙33が形成される。
本実施形態において、前記貴金属チップ31は、イリジウム(Ir)を主成分とし、Rhを含む合金から構成される。一方、前記貴金属チップ32は、白金(Pt)を主成分としており、ロジウム(Rh)を3質量%以上含み、さらにタングステン(W)を含む。特に、貴金属チップ32に含まれるWの総含有量が0.1質量%以上3質量%以下とされる。加えて、貴金属チップ32は、軸線C1方向に沿った、接地電極27の平板部分から貴金属チップ32の先端までの距離(以下、突出長という)が0.3mm以上(本実施形態では、0.3mm)とされ、さらに、軸線C1方向から見た断面の直径が0.1mm以下(本実施形態では、0.1mm)とされている。つまり、軸線C1方向から見た断面積が0.79mm2以下とされている。
次に、これら貴金属チップ31,32の製造方法について説明する。まず、主成分をPt或いはIrとするインゴットを用意し、所定の組成になるよう各合金成分(本実施形態では、Rh等)を配合・溶融し、当該溶融合金に関し再度インゴットを形成し、その後、当該インゴットについて熱間鍛造、熱間圧延(溝ロール圧延)を施す。その後、線引き加工を施すことで、棒状素材を得た後、それを所定長に切断することで円柱状の貴金属チップ31,32を得る。
次に、上記のように構成されてなるスパークプラグ1の製造方法について説明する。まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、円柱状の金属素材(例えばS17CやS25Cといった鉄系素材やステンレス素材)を冷間鍛造加工により貫通孔を形成し、概形を製造する。その後、切削加工を施すことで外形を整え、主体金具中間体を得る。
続いて、主体金具中間体の先端面に、Ni系合金(例えばインコネル系合金等)からなる接地電極27が抵抗溶接される。当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるので、その「ダレ」を除去した後、主体金具中間体の所定部位にねじ部14が転造によって形成される。これにより、接地電極27の溶接された主体金具3が得られる。接地電極27の溶接された主体金具3には、亜鉛メッキ或いはニッケルメッキが施される。尚、耐食性向上を図るべく、その表面に、さらにクロメート処理が施されることとしてもよい。
さらに、接地電極27の先端部には、上述した貴金属チップ32が、抵抗溶接やレーザ溶接等により接合される。尚、溶接をより確実なものとするべく、当該溶接に先だって溶接部位のメッキ除去が行われたり、或いは、メッキ工程に際し溶接予定部位にマスキングが施されたりする。また、当該貴金属チップ32の溶接を、後述する組付けの後に行うこととしてもよい。
一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用い、成型用素地造粒物を調製し、これを用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。得られた成形体に対し、研削加工が施され整形される。そして、整形されたものが焼成炉へ投入され焼成される。焼成後、種々の研磨加工を施すことで、絶縁碍子2が得られる。
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、Ni系合金が鍛造加工され、その中央部に放熱性向上を図るべく銅合金からなる内層5Aが設けられる。そして、その先端部には、上述した貴金属チップ31が抵抗溶接やレーザ溶接等により接合される。
そして、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9としては、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されており、当該調製されたものが抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、後方から前記端子電極6が押圧された状態とした上で、焼成炉内にて焼き固められる。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側の胴部表面には釉薬層が同時に焼成されることとしてもよいし、事前に釉薬層が形成されることとしてもよい。
その後、上記のようにそれぞれ作成された中心電極5及び端子電極6を備える絶縁碍子2と、接地電極27を備える主体金具3とが組付けられる。より詳しくは、比較的薄肉に形成された主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。
そして、最後に、接地電極27を屈曲させることで、中心電極5の先端に設けられた貴金属チップ31及び接地電極27に設けられた貴金属チップ32間の前記火花放電間隙33を調整する加工が実施される。
このように一連の工程を経ることで、上述した構成を有するスパークプラグ1が製造される。
次に、本実施形態によって奏される作用効果を確認するべく、各種条件を変更することで種々のサンプルを作製し、種々の評価を試みた。その実験結果を以下に記す。
先ずサンプルとしては、いずれも主成分をPtとし、他の成分の含有比率及び突出長が異なる各種サンプルを作製した(サンプル1〜20)。そして、各サンプルを用いて、耐酸化性試験、及び、割れ発生評価試験を行った。その評価結果を表1に示す。
但し、耐酸化性試験においては、Ni系合金よりなる電極材に円柱状の貴金属チップを溶接したサンプルを用意し、1100℃の大気雰囲気下において、100時間放置した。そして、試験前におけるサンプルの質量に対する試験後におけるサンプルの質量の減少分を測定した。その結果、試験後におけるサンプルの質量の減少分が、試験前におけるサンプルの質量に対して5%未満であった場合には、耐酸化性に優れるとして「◎」の評価を下すこととした。また、減少分が5%以上10%未満の場合には、耐酸化性に関し特段問題がないとして「○」の評価を下すこととした。一方、減少分が10%以上の場合には、耐酸化性に問題があるとして「×」の評価を下すこととした。但し、貴金属チップとしては、直径が1.0mm(断面積は、約0.786mm2)であり、表1の各成分比率及び突出長を有するものを用いることとした。
また、割れ発生評価試験については、接地電極側の貴金属チップとして各成分割合の異なる円柱状の貴金属チップを具備するスパークプラグのサンプルを用意し、直列6気筒排気量2000ccのエンジンに当該スパークプラグを取付けた。そして、当該エンジンを5000rpmで1分間回転させた後、アイドリング状態を1分間継続させ、これを1サイクルとして100時間繰返した。その結果、接地電極に接合された貴金属チップに外観上「割れ」が発生しなかった場合には、粒界強度の低下を十分に抑制できているとして「◎」の評価を下すこととした。一方、「割れ」が発生した場合には、割れた部分の断面面積が最大となるように、貴金属チップの先端面に直交する方向に沿って貴金属チップを切断し、当該割れた部分の切断面を全て含み、かつ直径が最小となる外接円の直径を計測した。その結果、当該直径が0.1mm未満である場合には、粒界強度の低下を抑制できているとして「○」の評価を下すこととした。一方、当該直径が0.1mm以上の場合には、粒界強度の低下を十分に抑制できていないとして「×」の評価を下すこととした。尚、接地電極に設けられる貴金属チップとしては、上記耐酸化性試験と同様のものを用いた。また、中心電極側の貴金属チップとしては、Irを主成分とし、Rhが含有される合金から構成されるものを用いることとした。
Figure 0004981473
表1に示すように、WやMoが含有されていないサンプル(サンプル1〜6)に関しては、耐酸化性や「割れ」の面で問題が起こりやすくなってしまうことがわかる。特に、Rhが5質量%以上と比較的高い割合で含有されている場合(サンプル4〜6)には、耐酸化性の向上が図られるものの、突出長の大小に関わらず、「割れ」が生じることがわかった。一方、突出長が0.1mmの場合(サンプル2,4)と0.3mmの場合(サンプル3,5)とを比較すると、より電極から突出したサンプル(サンプル3,5)に関して、「割れ」が進行していることが明らかとなった。特に、Rhが3質量%と比較的低い割合で含有されたサンプル(サンプル2,3)に関しては、突出長が0.1mmの場合には、耐酸化性や「割れ」の面で特段問題がなかったが、突出長が0.3mmの場合には「割れ」の進行が顕著なものとなった。つまり、着火性や火炎伝播性の向上を図るために、貴金属チップの突出長が大きくされた場合には、たとえRhの含有量が比較的少ない場合であっても、粒界強度の低下に伴う「割れ」が発生し、進行してしまうことがわかる。
これに対し、WやMoが含有されたサンプル(サンプル7〜20)については、耐酸化性に問題がなく、また、「割れ」を抑制できることが明らかとなった。つまり、突出長が0.3mm以上とされ、かつ、Rhが5質量%以上と比較的高い割合で含有されるという、「割れ」がより一層生じやすい環境下においても、WやMoが含有されることにより、「割れ」を十分に抑制できることがわかった。換言すれば、貴金属チップが電極より突出されることによる着火性や火炎伝播性の向上、及びRhが含有されることによる耐酸化性の向上というメリットを維持しつつ、貴金属チップが電極より突出されること及び比較的多量のRhが含有されることに伴うデメリットを解消できるのである。
また特に、WやMoの総含有量が0.1質量%以上3質量%以下のサンプル(サンプル7〜16)については、「割れ」を防止できるとともに、耐酸化性が非常に優れるという結果になった。従って、WやMoの総含有量は、0.1質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。
さらに、Wが含有されたサンプル(サンプル7,8,11,12)と、Moが含有されたサンプル(サンプル9,10,13,14)とを比較すると、Wが含有されたサンプルの方が、「割れ」の発生をより抑制できていることが明らかとなった。従って、Wが含有されることで、上記作用効果がより効果的に奏せられると考えられる。
次に、表1のサンプル3(Pt−20Ir−3Rh)及びサンプル13(Ptー20Rh−0.5Mo)の貴金属チップについて、その成分比率や突出長を変更することなく、断面積及び断面の形状を変更したスパークプラグのサンプルを種々用意し、各サンプルに対して上記耐酸化性試験及び割れ発生評価試験を実施した。その評価結果を表2に示す。尚、各サンプルの形状に関しては、サンプル13−4は断面が正方形の四角柱状をなしており、その他は断面が円形の円柱状をなしている。また、表中カッコ内の数値は、直径或いは1辺の長さを示すものである。加えて、評価の便宜上、サンプル3及びサンプル13の評価結果についても表2中に記載している。
Figure 0004981473
表2に示すように、断面積が比較的大きい(断面積が0.79mm2より大きい)場合には、特段「割れ」が発生していないことがわかった。換言すれば、断面積が0.79mm2以下と比較的断面積が小さい貴金属チップを用いた場合において、Mo等を含有することがより効果的であるといえる。
尚、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、接地電極27に設けられる貴金属チップ32が、Ptを主成分とし、Rhを3質量%以上含み、Wを0.1質量%以上3質量%以下含有するとともに、突出長が0.3mm以上であり、かつ断面の面積が0.79mm2以下とされているが、形状に関しては変更することなく、Rhの含有量を5質量%以上に変更した組成を採用してもよい。また、中心電極5に設けられる貴金属チップ31は、Irを主成分とし、Rhを含有する合金から構成されているが、他の成分からなる合金(例えば、上記実施形態の貴金属チップ32と同じ合金)から構成されていてもよい。
(b)上記実施形態において具現化された貴金属チップ31及び貴金属チップ32の形状及び組成に代えて、貴金属チップ31及び貴金属チップ32として、形状に関わらず、Ptを主成分とし、Rhを5質量%以上含み、Wを0.1質量%以上3質量%以下含有する貴金属チップを利用してもよい。この場合、貴金属チップ31又は貴金属チップ32のいずれか一方が、当該組成により構成されるとしてもよい。
(c)上記実施形態では、貴金属チップ32の形状は円柱状とされているが、貴金属チップ32の形状は、例えば、三角柱や四角柱等の多角柱形状とされることとしてもよい。
(d)上記実施形態では、主体金具3の先端に、接地電極27が接合される場合について具体化しているが、主体金具の一部(又は、主体金具に予め溶接してある先端金具の一部)を削り出すようにして接地電極を形成する場合についても適用可能である(例えば、特開2006−236906号公報等)。
(e)上記実施形態の中心電極5は、その先端側が縮径されているものであるが、必ずしも縮径されていなくてもよく、全体として棒状(円柱状)をなしていても何ら差し支えない。また、中心電極5は、内層5A及び外層5Bからなる2層構造を具備しているが、1層からなっていても差し支えない。
(f)Rhの含有量については、特に限定されるものではないが、Ptの機能を存分に発揮させるという観点においては、30質量%以下であることが望ましい。
(g)スパークプラグのタイプについては、上記実施形態のものに特に限定されるものではない。従って、例えば2乃至4本の接地電極を具備するタイプに具現化することもできる。
本実施形態のスパークプラグの構成を示す一部破断正面図である。 スパークプラグの部分拡大断面図である。
1…スパークプラグ、2…絶縁碍子、3…主体金具、5…中心電極、27…接地電極、31,32…貴金属チップ、33…火花放電間隙。

Claims (4)

  1. 中心電極と、
    前記中心電極の外側に設けられた絶縁体と、
    前記絶縁体の外側に設けられた主体金具と、
    前記主体金具に設けられた接地電極とを備え、
    前記中心電極の先端部及び前記接地電極の先端部間に火花放電間隙を有する内燃機関用スパークプラグであって、
    前記中心電極の先端部及び前記接地電極の先端部のうち少なくとも一方には、貴金属チップが接合されており、
    前記貴金属チップは、白金を主成分とし、ロジウムを5質量%以上含むとともに、添加元素としてタングステンを含み、前記添加元素の総含有量が0.1質量%以上であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
  2. 軸線方向に沿って延びる中心電極と、
    前記中心電極の外側に設けられた絶縁体と、
    前記絶縁体の外側に設けられた主体金具と、
    前記主体金具に設けられ、先端部が前記中心電極の先端部と対向するよう配置された接地電極とを備え、
    前記中心電極の先端部及び前記接地電極の先端部間に火花放電間隙を有する内燃機関用スパークプラグであって、
    前記接地電極の先端部には、略円柱形状又は多角柱形状をなす貴金属チップが接合されており、
    前記貴金属チップは、接地電極本体から自身の先端までの軸線方向における突出長が0.3mm以上で、かつ、軸線方向から見た断面積が0.79mm2以下であるとともに、
    白金を主成分とし、ロジウムを3質量%以上含み、添加元素としてタングステンを含み、前記添加元素の総含有量が0.1質量%以上であることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
  3. 前記貴金属チップは、ロジウムを5質量%以上含んでいることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関用スパークプラグ。
  4. 前記添加元素の総含有量が0.1質量%以上3質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の内燃機関用スパークプラグ。
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