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JP4980038B2 - 保護膜形成用材料及びホトレジストパターンの形成方法 - Google Patents

保護膜形成用材料及びホトレジストパターンの形成方法 Download PDF

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JP4980038B2 JP2006338855A JP2006338855A JP4980038B2 JP 4980038 B2 JP4980038 B2 JP 4980038B2 JP 2006338855 A JP2006338855 A JP 2006338855A JP 2006338855 A JP2006338855 A JP 2006338855A JP 4980038 B2 JP4980038 B2 JP 4980038B2
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Description

本発明は、ホトレジスト膜上に保護膜を設けるために用いる保護膜形成用材料、及びこの保護膜形成材料を用いたホトレジストパターンの形成方法に関するものである。
本発明における保護膜形成用材料には、通常のドライ露光プロセスで用いられる保護膜形成用材料と、液浸露光プロセスで用いられる保護膜形成用材料とが少なくとも含まれる。
ここで、上記通常のドライ露光プロセスで用いられる保護膜形成用材料は、主としてホトリソグラフィー技術によりパターン形成を行う際に、ホトレジスト膜から発生するアウトガスを抑制する目的で用いられる保護膜を形成するための材料である。一方、上記液浸露光プロセスで用いられる保護膜形成用材料は、リソグラフィー露光光がホトレジスト膜に到達する経路の少なくとも上記ホトレジスト膜上に、空気より屈折率が高くかつホトレジスト膜よりも屈折率が低い所定厚さの液体を介在させた状態でホトレジスト膜を露光することによってホトレジストパターンの解像度を向上させる構成の液浸露光プロセスに用いて好適な保護膜を形成するための材料である。
先ず、ドライ露光プロセスで用いられる保護膜形成用材料について背景技術を考察する。
ホトレジスト膜を露光してパターニングするときに、多重干渉による定在波効果という問題が生じることが従来から知られている。すなわち、露光光がホトレジスト膜を透過し、その透過光が下層表面で反射し、さらにその反射光の一部がホトレジスト膜上面で反射するという現象がホトレジスト膜内で繰り返される。
この光の多重干渉は、基板上に形成されたホトレジスト膜に入射した単波長の照射光が基板からの反射光と干渉し、ホトレジスト膜の厚さ方向で吸収される光エネルギー量が異なることに起因して発生するものであり、ホトレジスト膜厚のバラツキが現像後に得られるレジストパターン寸法幅に影響を与え、結果としてホトレジストパターンの寸法精度を低下させることとなる。
この寸法精度の低下は、特に段差を有する基板上に微細なパターンを形成する場合、ホトレジスト膜厚が段差の凹凸部において必然的に異なることから大きな問題となる。そのため、上記の干渉作用をなくし、段差を有する基板上に形成する微細パターンにおいても寸法精度を低下させない技術の開発が望まれている。
そこで、従来から半導体基板上にホトレジスト膜を形成する前に、露光光を吸収する特性を持つ材料を含有した樹脂組成物を基板上に塗布して下層膜(反射防止膜)を形成し、この下層膜の上にホトレジスト膜を形成する方法(特許文献1参照)や、基板上に設けられたホトレジスト膜上に反射防止膜としてポリシロキサン、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂膜を形成する方法が採用されている(特許文献2、3参照)。
次に、液浸露光プロセスで用いられる保護膜形成用材料について背景技術を考察する。
近年、新たなリソグラフィー技術として、液浸露光プロセスが報告されている(非特許文献1〜3参照)。この液浸露光プロセスは、従来の露光光路空間を、いわゆる液浸露光用液体(例えば、純水やフッ素系不活性液体等)で置換することにより、同じ露光波長の光源を用いても、より高解像度で、かつ、焦点深度にも優れるホトレジストパターンの形成を実現することができる(特許文献4〜6参照)。
また、特定溶剤にのみ溶解可能な樹脂を用いた保護膜を用いることによって、液浸露光用液体によるホトレジスト膜への変質や、屈折率変動を同時に防止することを目的とした技術が提案されている(特許文献5参照)。
さらに最近では、レジストパターン形成工程の簡略化、製造効率向上等の観点から、アルカリに可溶な保護膜を用いることによって、液浸露光後のアルカリ現像時に、保護膜の除去と、ホトレジストパターンの形成とを同時に行う技術が提案されている(特許文献6参照)。
「ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジー B(Journal of Vacuum Science & Technology B)」、(米国)、1999年、第17巻、6号、3306−3309頁 「ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジー B(Journal of Vacuum Science & Technology B)」、(米国)、2001年、第19巻、6号、2353−2356頁 「プロシーディングス・オブ・エスピーアイイー(Proceedings of SPIE)」、(米国)、2002年、第4691巻、459−465頁 米国特許第4,910,122号明細書 特公平4−55323号公報 特開平3−222409号公報 国際公開第2004/068242号パンフレット 国際公開第2004/074937号パンフレット 特開2005−264131号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の保護膜(反射防止膜)では、その構成材料によっては酸性度が強くなりホトレジスト膜の特性に悪影響を与えることがあり、また、上述したホトレジスト膜からのアウトガスによる露光装置の汚染を完全には抑止できないという問題があった。
また、上記特許文献5に記載の保護膜では、フッ素系の特殊溶剤が必要とされる。このフッ素系の特殊溶剤は地球温暖化係数が高い等、環境に与える影響が大きいという問題があった。
また、上記特許文献6に開示されている保護膜では、下層のホトレジスト膜とミキシングが生じる場合があり、所望の解像度を有するホトレジストパターンを形成するには問題があった。
以上の課題に鑑み、本発明では、ドライ露光プロセスに用いた場合には、ホトレジスト膜に対して特性劣化を生じることなく、かつホトレジスト膜からのアウトガスを効果的に抑制でき、液浸露光プロセスに用いた場合には、環境に与える影響が小さく、高い撥水性を有し、かつホトレジスト膜とのミキシングが生じにくく高解像のホトレジストパターンを形成可能な、保護膜形成材料を提供することを目的とする。また、本発明ではこの保護膜形成材料により形成された保護膜を用いたホトレジストパターンの形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、非極性ポリマー及び非極性溶剤を含有する保護膜形成用材料を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ホトレジスト膜上に積層される保護膜を形成するための保護膜形成用材料であって、(a)非極性ポリマー、及び(b)非極性溶剤を含有してなることを特徴とする保護膜形成用材料を提供する。
また、本発明は、ホトレジストパターン形成方法であって、
(1)基板上にホトレジスト膜を設ける工程と、
(2)このホトレジスト膜上に上記の保護膜形成用材料を用いて保護膜を形成する工程と、
(3)前記保護膜を介して、前記ホトレジスト膜を選択的に露光する工程と、
(4)非極性有機溶剤を含有する保護膜洗浄除去液を用いて前記保護膜を除去する工程と、
(5)アルカリ現像液を用いて前記ホトレジスト膜を現像処理する工程と、
を有するホトレジストパターンの形成方法を提供する。
また、本発明は、液浸露光プロセスを用いたホトレジストパターン形成方法であって、
(1)基板上にホトレジスト膜を設ける工程と、
(2)このホトレジスト膜上に上記の保護膜形成用材料を用いて保護膜を形成する工程と、
(3)前記基板の少なくとも前記保護膜上に液浸露光用液体を配置し、この液浸露光用液体及び前記保護膜を介して、前記ホトレジスト膜を選択的に露光する工程と、
(4)非極性有機溶剤を含有する保護膜洗浄除去液を用いて前記保護膜を除去する工程と、
(5)アルカリ現像液を用いて前記ホトレジスト膜を現像処理する工程と、
を有するホトレジストパターンの形成方法を提供する。
本発明によれば、ドライ露光プロセスで用いられる保護膜形成用材料については、ホトレジスト膜に対して特性劣化を生じることなく、かつホトレジスト膜からのアウトガスを効果的に抑制することが可能となる。また、液浸露光プロセスで用いられる保護膜形成用材料については、環境に与える影響が小さく、高い撥水性を有し、かつホトレジスト膜とのミキシングが生じにくく高解像のホトレジストパターンを形成することが可能となる。また、この保護膜を用いてホトレジストパターンを形成することにより、従来よりも、より解像度の高いホトレジストパターンを形成することが可能となる。
本発明に係る保護膜形成用材料は、(a)非極性ポリマー(以下、(a)成分ともいう)、及び(b)非極性溶剤(以下、(b)成分ともいう)を含有してなる。
[(a)非極性ポリマー]
(a)非極性ポリマーとは、分子内に極性基(−OH、−NO、−CO、−NH、−O−CH等)を有さないポリマーをいう。分子内に極性基を含有しないことによって、ポリマーに疎水性を付与することが可能となる。
この(a)非極性ポリマーの第一の態様としては、下記一般式(A−1)で示されるポリマーを用いることができる。
Figure 0004980038
[式中、Rは、水素原子、又は炭素数1から6のアルキル基(但し、アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい)であり、Rは水素原子、又は炭素数1から6の直鎖状、分岐鎖、又は環状のアルキル基(ただし、アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい)であり、Zは炭素数1から2のアルキレン鎖、又は酸素原子であり、nは0から3である。]
特に、R、Rのアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基等の分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状のアルキル基等が挙げられる。これらアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
さらに上記一般式(A−1)中、Zは好ましくはメチレン鎖であり、nは0であることが好ましい。
本発明に係る(a)非極性ポリマーは、上記一般式で表される(A−1)ホモポリマーであっても、置換基の異なる複数種、又は他の非極性ポリマー間で重合しているコポリマーであってもよい。
このような(a)非極性ポリマーは、公知の方法によって、合成することができる。また、このポリマーのGPCによるポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は、特に限定するものではないが、2000から80000であり、3000から50000であることがより好ましい。
さらに、(a)非極性ポリマーの配合量は、保護膜形成用材料の全体量に対して、0.1質量%から20質量%程度とすることが好ましく、0.3質量%から10質量%とすることがより好ましい。
また、(a)非極性ポリマーの他の態様としては、上記以外の環状オレフィン系ポリマーやコポリマーを用いることができる。
このような上記以外の環状オレフィン系のポリマーやコポリマーとしては、例えば、市販品の中から、アペルシリーズ(商品名:三井化学株式会社製)、ZEONORシリーズ、ZEONEXシリーズ(いずれも日本ゼオン社製)、TOPASシリーズ(TICONA社製)等が挙げられる。
[(b)非極性溶剤]
(b)非極性溶剤は、上記(a)成分を溶解することが可能であり、ホトレジスト膜と反応せず、環境に対する影響が少ないものであれば、特に限定されるものではないが、炭化水素系溶剤が好ましい。
前記炭化水素系溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の炭化水素、炭素数3から15の分岐状の炭化水素、ベンゼン、トルエン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素、テルペン系溶剤等の環状骨格を有する炭化水素等が挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して用いることが可能である。
中でも、環状骨格を有する炭化水素であるテルペン系溶剤を用いることが好ましい。このようなテルペン系溶剤としては、具体的には、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、メントール、イソメントール、ネオメントール、リモネン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、1,4−テルピン、1,8−テルピン、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファー、ボルナン、ボルネオール、ノルボルナン、ピナン、α−ピネン、β−ピネン、ツジャン、α−ツジョン、β−ツジョン、カラン、ショウノウ、ロンギホレン、1,4−シネオール、1,8−シネオール等のモノテルペン類、アビエタン、アビエチン酸等のジテルペン類等が挙げられる。中でもモノテルペン類が入手の容易さから好ましく、その中でもリモネン、ピネン、及びp−メンタンの中から選ばれる少なくとも1種が高い溶解性能を有することから好ましい。
[ホトレジストパターンの形成方法]
本発明に係るホトレジストパターンの形成方法は、ドライ露光プロセスによるホトレジストパターン形成方法と液浸露光プロセスによるホトレジストパターン形成方法とに分けられる。
本発明に係る液浸露光プロセスによるホトレジストパターンの形成方法は、
(1)基板上にホトレジスト膜を設ける工程(以下、工程(1)ともいう)と、
(2)このホトレジスト膜上に上記の保護膜形成用材料を用いて保護膜を形成する工程(以下、工程(2)ともいう)と、
(3)前記基板の少なくとも前記保護膜上に液浸露光用液体を配置し、この液浸露光用液体及び前記保護膜を介して、前記ホトレジスト膜を選択的に露光する工程(以下、工程(3)ともいう)と、
(4)非極性有機溶剤を含有する保護膜洗浄除去液を用いて前記保護膜を除去する工程(以下、工程(4)ともいう)と、
(5)アルカリ現像液を用いて前記ホトレジスト膜を現像処理する工程(以下、工程(5)ともいう)と、を有する。
工程(1)は、基板上にホトレジスト膜を設ける工程である。具体的には、シリコンウェハ等の基板に、公知のホトレジスト組成物を、スピンナー等の公知の方法を用いて塗布した後、プレベーク(PAB処理)を行ってホトレジスト膜を形成する。なお、基板上に有機系又は無機系の反射防止膜(下層反射防止膜)を1層設けてから、ホトレジスト膜を形成してもよい。
工程(2)は、ホトレジスト膜上に保護膜を形成する工程である。具体的には、上記工程(1)により、形成されたホトレジスト膜の表面に、所定の濃度に調製した本発明に係る保護膜形成用材料を、工程(1)と同様の方法で均一に塗布して、ベークして硬化させることにより保護膜を形成する。
工程(3)は、保護膜上に液浸露光媒体を配置し、この状態で基板上のホトレジスト膜及び保護膜に対して、マスクパターンを介して選択的に露光を行う。なお、露光光は、液浸露光用液体と保護膜を通過してホトレジスト膜に到達することになる。
このとき、ホトレジスト膜は、保護膜によって、液浸露光用液体から遮断されているため、液浸露光用液体の侵襲を受けて膨潤等の変質を被ることや、逆に液浸露光用液体中に成分を溶出させて液浸露光用液体自体の屈折率等の光学的特性を変質させることが防止される。
露光光は、ドライ露光プロセスと同様に、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、EUV、VUV(真空紫外線)等の放射線を用いて行うことができる。
液浸露光用液体は、空気の屈折率よりも大きく、かつ、使用されるホトレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する液体であれば、特に限定されるものでない。このような液浸露光用液体としては、水(純水、脱イオン水)、フッ素系不活性液体等が挙げられるが、近い将来に開発が見込まれる高屈折率特性を有する液浸露光用液体も使用可能である。フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体が挙げられる。これらのうち、コスト、安全性、環境問題及び汎用性の観点からは、水(純水、脱イオン水)を用いることが好ましい。
液浸状態での露光工程が完了したら、基板を液浸露光用液体から取り出し、基板から液体を除去する。
工程(4)は、上記工程(3)を経た露光後のホトレジスト膜上に、保護膜を積層したまま、必要に応じて加熱処理を行い、後述する非極性有機溶剤を用いて保護膜洗浄除去液を用いて前記保護膜を除去する工程である。
このように、非極性有機溶剤を用いて保護膜を除去する工程を別途設けることにより、仮に保護膜とホトレジスト膜のミキシングにより、ミキシング層が形成されてしまった場合であっても、上記非極性有機溶剤を用いることにより、ミキシング層を除去することが可能となる。
工程(5)は、アルカリ現像液を用いて前記ホトレジスト膜を現像処理する工程である。アルカリ現像液は、公知の現像液を適宜選択して用いることができる。なお、保護膜は上記工程(4)により除去されているため、この現像液により除去されるのは、ホトレジスト膜である。現像処理に続いてポストベークを行ってもよい。
続いて、純水等を用いてリンスを行う。この水リンスは、例えば、基板を回転させながら基板表面に水を滴下又は噴霧して、基板上の現像液、及びこの現像液によって溶解した保護膜成分とホトレジスト組成物を洗い流す。そして、乾燥を行うことにより、ホトレジスト膜がマスクパターンに応じた形状にパターニングされた、ホトレジストパターンが得られる。
なお、本発明に係る保護膜形成用材料により形成された保護膜によれば、液浸露光プロセスにおいては、高い撥水性を有することから前記露光完了後の液浸露光用液体の離れがよく、液浸露光用液体の付着量が少なく、いわゆる液浸露光用液体漏れも少なくなる。
一方、本発明に係るドライ露光プロセスによるホトレジストパターンの形成方法は、液浸露光用液体を用いないという点以外は、液浸露光プロセスと共通するものである。
本発明に係る保護膜形成用材料により形成された保護膜によれば、ドライ露光プロセスにおいては、ホトレジスト膜に対して特性劣化を生じることなく、かつホトレジスト膜からのアウトガスを効果的に抑制できる。特に、従来の保護膜はEUV露光光を吸収するのに対して、本発明に係る保護膜形成用材料により形成された保護膜はEUV露光光を吸収せず、かつホトレジスト膜からのアウトガスを抑制でき、露光装置の汚染を抑止可能であるという点から、本発明に係る保護膜形成用材料は、露光光としてEUVを用いたドライ露光プロセスに特に有用である。
[保護膜洗浄除去液]
本発明で用いられる保護膜洗浄除去液は、非極性有機溶剤を含有し、本発明に係る保護膜形成材料により形成された保護膜を溶解することが可能な溶剤であれば、特に限定されるものではない。具体的には、炭化水素系溶剤を含有することが好ましい。
前記炭化水素系溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の炭化水素、炭素数3から15の分岐状の炭化水素、ベンゼン、トルエン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素、テルペン系溶剤等の環状骨格を有する炭化水素等が挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して用いることが可能である。
中でも、環状骨格を有する炭化水素であるテルペン系溶剤を用いることが好ましい。このようなテルペン系溶剤としては、具体的には、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、メントール、イソメントール、ネオメントール、リモネン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、1,4−テルピン、1,8−テルピン、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファー、ボルナン、ボルネオール、ノルボルナン、ピナン、α−ピネン、β−ピネン、ツジャン、α−ツジョン、β−ツジョン、カラン、ショウノウ、ロンギホレン、1,4−シネオール、1,8−シネオール等のモノテルペン類、アビエタン、アビエチン酸等のジテルペン類等が挙げられる。中でもモノテルペン類が入手の容易さから好ましく、その中でもリモネン、ピネン、及びp−メンタンの中から選ばれる少なくとも1種が高い洗浄性能を有することから好ましい。
さらに、本発明に係る保護膜洗浄除去液の特性を損なわない程度に公知の界面活性剤等を適宜配合していてもよい。
[ホトレジスト組成物]
ホトレジスト組成物は、特に限定されるものでなく、ネガ型及びポジ型ホトレジスト組成物を含めてアルカリ水溶液で現像可能なホトレジスト組成物を任意に使用できる。このようなホトレジスト組成物としては、(i)ナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂を含有するポジ型ホトレジスト組成物、(ii)露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する化合物、及びアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型ホトレジスト組成物、(iii)露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型ホトレジスト組成物、及び(iv)光により酸を発生する化合物、架橋剤及びアルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型ホトレジスト組成物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[実施例1]
下記構造式(X−1)で示されるモノマー単位を構成単位として有する非極性ポリマー(質量平均分子量:12000)をp−メンタンに溶解させ、固形分濃度1.5質量%の保護膜形成用材料1を調製した。

Figure 0004980038
次いで、膜厚77nmのARC29(Brewer社製)が形成された基板上に、アクリル系樹脂を含むレジスト材料であるTArF−6a239(東京応化工業株式会社製)を塗布して、120℃にて60秒間加熱し、膜厚150nmのホトレジスト膜を形成し、さらにその上層に上記保護膜形成用材料1を塗布して、90℃にて60秒間加熱し、膜厚35nmの保護膜を形成した。
この基板に対して、NSR−S302A(ニコン社製)を用いてパターン露光し、110℃にて60秒間露光後加熱を行った。次いで、p−メンタンを用いて保護膜を除去した。続いて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により30秒間現像処理し、リンス処理を行うことにより、ホトレジストパターンを形成した。このホトレジストパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した結果、パターン形状は良好な矩形形状であった。
[比較例1]
下記一般式(X−2)で示されるアルカリ可溶性ポリマー(質量平均分子量:5000)をジブチルエーテルに溶解させ、固形分濃度1.5質量%の保護膜形成用材料2を調製した。
Figure 0004980038
次いで、膜厚77nmのARC29(Brewer社製)が形成された基板上に、アクリル系樹脂を含むレジスト材料であるTArF−6a239(東京応化工業株式会社製)を塗布して、120℃にて60秒間加熱し、膜厚150nmのホトレジスト膜を形成し、さらにその上層に上記保護膜形成用材料2を塗布して、90℃にて60秒間加熱し、膜厚35nmの保護膜を形成した。
この基板に対して、NSR−S302A(ニコン社製)を用いてパターン露光し、110℃にて60秒間露光後加熱を行った。次いで、p−メンタンを用いて保護膜を除去した。続いて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により30秒間現像処理し、リンス処理を行うことにより、ホトレジストパターンを形成した。このホトレジストパターンをSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した結果、パターンの形状はパターントップ部がT−トップ形状であった。
[実施例2〜9及び比較例2]
下記表1に示す非極性ポリマーを、それぞれp−メンタンに溶解させ、固形分濃度1.2質量%の保護膜形成用材料を調製した。
次いで、6インチシリコンウェハ上に、ポリヒドロキシスチレン樹脂を含むKrF用ホトレジストであるTDUR−P628(東京応化工業株式会社製)を塗布して、130℃にて90秒間加熱し、膜厚800nmのホトレジスト膜を形成し、さらにその上層に、上記調製した各保護膜形成用材料を塗布して、90℃にて90秒間加熱し、膜厚30nmの保護膜を形成した。
上記各シリコンウェハを、露光装置「VUVES−4500」(リソテックジャパン社製)中に載置した。さらに該露光装置の吸気口から流量1.0L/cmの窒素ガスを流し、排気口から排気された窒素ガスを捕集装置「Automated Thermal Desorber Turbo Matrix ATD(PerkinElmer Instruments社製)〔捕集管Tenax TA:SUPELCO社製〕」にて捕捉し、その捕集されたガスの成分中のチオアニソール量を測定した。このチオアニソールの検出量は、保護膜を設けなかった比較例2のチオアニソール量を100%としたときの相対比として示した。その結果を表1に示す。
Figure 0004980038
上記表1の結果より、本発明に係る保護膜形成用材料により形成された保護膜を設けることにより、いずれも高いアウトガス抑制効果が得られることが分かった。

Claims (6)

  1. ホトレジスト膜上に積層される保護膜を形成するための保護膜形成用材料であって、(a)非極性ポリマー、及び(b)非極性溶剤を含有してなり、
    前記(b)非極性溶剤が、テルペン系溶剤の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする保護膜形成用材料。
  2. 前記(a)非極性ポリマーが、下記一般式(A−1)で表されるモノマー単位を構成単位とするポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の保護膜形成用材料。
    Figure 0004980038
    [式中、Rは、水素原子、又は炭素数1から6のアルキル基(但し、アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい)であり、Rは水素原子、又は炭素数1から6の直鎖状、分岐鎖、又は環状のアルキル基(ただし、アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい)であり、Zは炭素数1から2のアルキレン鎖、又は酸素原子であり、nは0から3である。]
  3. ホトレジストパターン形成方法であって、
    (1)基板上にホトレジスト膜を設ける工程と、
    (2)このホトレジスト膜上に請求項1又は2に記載の保護膜形成用材料を用いて保護膜を形成する工程と、
    (3)前記保護膜を介して、前記ホトレジスト膜を選択的に露光する工程と、
    (4)非極性有機溶剤を含有する保護膜洗浄除去液を用いて前記保護膜を除去する工程と、
    (5)アルカリ現像液を用いて前記ホトレジスト膜を現像処理する工程と、
    を有するホトレジストパターンの形成方法。
  4. 液浸露光プロセスを用いたホトレジストパターン形成方法であって、
    (1)基板上にホトレジスト膜を設ける工程と、
    (2)このホトレジスト膜上に請求項1又は2に記載の保護膜形成用材料を用いて保護膜を形成する工程と、
    (3)前記基板の少なくとも前記保護膜上に液浸露光用液体を配置し、この液浸露光用液体及び前記保護膜を介して、前記ホトレジスト膜を選択的に露光する工程と、
    (4)非極性有機溶剤を含有する保護膜洗浄除去液を用いて前記保護膜を除去する工程と、
    (5)アルカリ現像液を用いて前記ホトレジスト膜を現像処理する工程と、
    を有するホトレジストパターンの形成方法。
  5. 前記保護膜洗浄除去液が、炭化水素系溶剤の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項又はに記載のホトレジストパターンの形成方法。
  6. 前記炭化水素系溶剤が、テルペン系溶剤の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載のホトレジストパターンの形成方法。
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