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JP4973872B2 - Co2冷凍機 - Google Patents

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Description

本発明は、CO 冷媒とし、COを三重点以下の圧力及び温度レベルまで冷却して個体・ガス二相COとした冷媒サイクルを用い、温度差のある高温熱源と冷温熱源の同時取り出しを可能とするとともに、制御の安定化を図り、成績係数を向上させたCO冷凍機に関する。
冷却負荷からの被冷却流体をマイナス数十℃という極低温に冷却する冷却手段として、高温側(高元側)と低温側(低元側)との2つの冷媒サイクルを組み合わせた2元冷却手段が従来から用いられている。
例えば特許文献1(特開2004−170007号公報)には、アンモニアを冷媒として用いる高元側冷凍サイクルに、COを冷媒として用いる低元側冷凍サイクルのCO冷媒を冷却、液化するカスケードコンデンサを備えるとともに、CO冷凍サイクルの膨張弁通過後の圧力及び温度をCOの三重点以下の圧力及び温度レベルとすることにより、固体・ガス二相のCOとし、固体COの昇華による冷熱を冷却負荷からの被冷却流体に供給することにより、COの三重点(−56℃)以下の極低温域での冷却を可能にした手段が開示されている。
また特許文献2(特開2004−308972号公報)には、COガスを飽和圧力又は超臨界圧力に圧縮する圧縮機と、凝縮器からのCO凝縮体をCOの三重点以下の圧力及び温度レベルに減圧して固体・ガス二相とする膨張装置と、該二相COの昇華による冷熱を冷却負荷からの被冷却流体に供給するとともに、昇華後のCOガスを前記圧縮機に送る昇華手段とを備えたCO冷凍機が開示され、またこのCO冷凍機の凝縮器で高圧COガスを冷却、凝縮する冷却流体とアンモニア冷凍サイクル等の高元側冷凍サイクルの高元冷媒とを熱交換して、該冷却流体を冷却するカスケード熱交換器を設けることが開示されている。
特開2004−170007号公報 特開2004−308972号公報
しかしながら特許文献1及び2に開示された手段は、極低温の冷熱を冷却負荷からの被冷却流体に供給することは可能であるが、同時に高温熱源を供給できるものではない。
またCO冷媒をCOの三重点以下の圧力及び温度レベルまで減圧し、COの固体・ガス二相をつくり、固体COの昇華による冷熱を供給するものであるため、冷媒流路に詰まりを生じたり、あるいは冷媒流路に圧損等を生じて冷凍サイクルの運転が不安定となるおそれがある。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、オゾン破壊係数がゼロで、地球温暖化係数が1であるため、環境への負荷小さく、毒性、可燃性がなく安全で安価であるというCOの長所を生かし、また温水及び給湯供給において非常に効率が良いという長所をもつCO冷媒を用いたヒートポンプサイクルの長所を生かし、かつ温度差のある高温熱源と冷温熱源の同時取り出しを可能とするとともに、制御の安定化を図り、成績係数を向上させたCO冷凍機を実現することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明のCO冷凍機の第1の構成は、
CO 冷媒とし、
圧縮機を直列に多段に設けることによりCOを超臨界域まで圧縮するとともに、
凝縮器から出たCO凝縮体を膨張手段を通すことによりCOの三重点以下の圧力及び温度レベルまで減圧し、蒸発器で蒸発させる第1の冷凍サイクルと、
前記第1冷凍サイクルの凝縮器と膨張手段との間の冷媒流路に設けられた中間冷却器を蒸発部とし、
前記凝縮器と該中間冷却器の間の冷媒流路から分岐し膨張手段を介して前記中間冷却器を通り前記第1の冷凍サイクルの多段圧縮機間の冷媒流路に接続され、
COの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第2の冷凍サイクルとからなり、
更に、前記第1の冷凍サイクルの前記中間冷却器の下流側に設けられた第2の中間冷却器を蒸発部とし、
前記中間冷却器と前記第2の中間冷却器との間の冷媒流路から分岐し膨張手段を介して前記第2の中間冷却器を通り前記第1の冷凍サイクルの多段圧縮機間の冷媒流路に接続され、
CO の三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第3の冷凍サイクルとからなることを特徴とする。
本発明の前記第1の構成は、前記構成を有する第1冷凍サイクルに、前記構成を有する第2の冷凍サイクルを組み合わせることにより、前記中間冷却器で第1の冷凍サイクルから第2の冷凍サイクルに熱吸収がなされ、これによって第1の冷凍サイクルでは冷媒が過冷却され、次の膨張段階で三重点以下の圧力及び温度レベルへの到達が容易になるとともに、第2の冷凍サイクルでは、第1の冷凍サイクルから熱源が付与されてCOの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持することが容易になる。
これによって第1の冷凍サイクルでは、凝縮器において高温の給湯、例えば80℃近辺の給湯が可能になるとともに、第2の冷凍サイクルでは、膨張手段を経てCOの三重点以下の圧力及び温度レベルに減圧して固体・ガス二相とすることができ、蒸発器において該二相COの昇華による極低温の冷熱、例えば−56℃〜−78℃(大気圧下)の冷熱を冷却負荷からの被冷却流体に供給することができる。
また第1の構成では、圧縮機を多段にすることにより、冷凍サイクルの成績係数を向上することができる。また例えば第1の冷凍サイクルの前記中間冷却器の下流側に設けられた第2の中間冷却器を蒸発部とし、前記中間冷却器と前記第2の中間冷却器との間の冷媒流路から分岐し膨張手段を介して前記第2の中間冷却器を通り前記第1の冷凍サイクルの多段圧縮機間の冷媒流路に接続され、COの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第3の冷凍サイクルとからなるように構成すれば、さらに冷凍機の成績係数を向上させることができる。
次に本発明の第2の構成は、
CO 冷媒とし、COガスを超臨界域まで圧縮するとともに、
凝縮器から出たCO凝縮体を膨張手段を通して減圧させ、蒸発部で蒸発させ、COの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第1の冷凍サイクルと、
アンモニア、HC又はCOを冷媒とし、前記第1の冷凍サイクルの蒸発部との間で熱交換を行なう第1のカスケードコンデンサを備え、膨張手段の後流側でもCOの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第2の冷凍サイクルと、
COを冷媒とし、該第2の冷凍サイクルの蒸発部との間で熱交換を行なう第2のカスケードコンデンサを備え、膨張手段を通すことによりCOの三重点以下の圧力及び温度レベルまで減圧して蒸発させる第3の冷凍サイクルとからなり、
更にCHガス、空気又は窒素ガスを冷媒とし前記第3の冷凍サイクルの蒸発部との間で熱交換を行なう第3のカスケードコンデンサを備えた第4の冷凍サイクルを付設したことを特徴とする。
本発明の第2の構成では、COガスを超臨界域まで圧縮する第1の冷凍サイクルで高温の熱源、例えば約80℃の給湯を効率良く供給することができる。
また第2の冷凍サイクルは、アンモニア、HCガス又はCOを冷媒として用いた冷凍サイクルとし、アンモニア又はHC等の冷媒を用いた冷凍サイクルとすれば、冷凍機全体の効率をさらに良くすることができ、COを冷媒として用いた冷凍サイクルとすると、前述したCOの安全性及び無害等の長所を有するとともに、第1冷凍サイクル及び第3冷凍サイクルの冷媒と同じ冷媒を用いることになり、装置全体として安全かつ無害であり、安価となる。
また前記第2の構成において、第3の冷凍サイクルでCO冷媒をCOの三重点以下の圧力及び温度レベルまで減圧して蒸発させることにより、蒸発器において該二相COの昇華による極低温の冷熱、例えば−56℃〜−78℃(大気圧下)の冷熱を冷却負荷からの被冷却流体に供給することができる。
前記第2の構成において、好ましくは、CHガス、空気又は窒素ガスを冷媒とし前記第3の冷凍サイクルの蒸発部との間で熱交換を行なう第3のカスケードコンデンサを備えた第4の冷凍サイクルを付設すれば、さらに低温の冷熱源、例えば−120℃付近の冷熱源を供給することができる。
前記第2の構成において、前記夫々の冷凍サイクル間に介設された第1〜第3のカスケードコンデンサを高元側冷媒と低元側冷媒とを直接接触させる接触式熱交換器に構成してもよい。COの分子量44に対して、アンモニア、HCガス、窒素ガス、あるいは空気の分子量が十分小さいので、両者を直接混合しても重力分離が可能である。例えばサイクロン型の熱交換器を用い、サイクロン内で両者を直接接触させることにより、容易に重力分離が可能となる。
また本発明の第2の構成における前記第1の冷凍サイクル又は前記第3の冷凍サイクルの液相部分の冷媒流路に連通し略水平状に配置された閉回路ループと、該閉回路ループより液を取り出してその蒸発潜熱により熱交換を行なって液相より気相に移行させ前記閉回路ループのガス側に戻す熱回路とを備えれば、該熱回路から種々の冷却負荷に対してそれぞれに対応し得る冷熱源を供給することができる。
前記閉回路ループにはいずれも安全かつ無害なCOが循環するので、ホテル又はレストラン等種々の高温熱源及び低温熱源を必要とする建物内へ閉回路ループを配設しても安全性を確保することができる。
また閉回路ループに設けられる熱回路には、膨張手段や圧縮機を設ければ、個々の熱回路で冷凍サイクルを構成することができ、これによって各種の冷却負荷に応じた冷熱源を供給することができる。
また好ましくは、本発明の第2の構成における前記第1の冷凍サイクル又は前記第3の冷凍サイクルの液相部分の冷媒流路に気液分離器を介して前記閉回路ループを接続すれば、前記熱回路に確実に液冷媒を取り出すことができる。
また本発明の第1構成又は第2構成において、COの三重点以下の圧力及び温度レベルで使用される膨張手段をキャピラリチューブ又は膨張タービンとすれば、膨張手段における固相COの詰まりによる抵抗増大又は閉塞を確実に防止することができる。
本発明の第1構成によれば、CO(炭酸ガス)を冷媒とし、圧縮機を直列に多段に設けることによりCOを超臨界域まで圧縮するとともに、凝縮器から出たCO凝縮体を膨張手段を通すことによりCOの三重点以下の圧力及び温度レベルまで減圧し、蒸発器で蒸発させる第1の冷凍サイクルと、第1冷凍サイクルの凝縮器と膨張手段との間の冷媒流路に設けられた中間冷却器を蒸発部とし、前記凝縮器と該中間冷却器の間の冷媒流路から分岐し膨張手段を介して前記中間冷却器を通り第1の冷凍サイクルの多段圧縮機間の冷媒流路に接続され、COの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第2の冷凍サイクルとからなることにより、高温熱源の供給、例えば−80℃近辺の高温の給湯が可能になるとともに、同時に極低温の冷熱、例えば−56℃〜−78℃(大気圧下)の冷熱を冷却負荷からの被冷却流体に供給することができる。
また第2の冷凍サイクルでは常にCOの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成されるので、固相のCOが生成されず、従って膨張手段での抵抗増大や詰まりを生じず、安定した冷凍運転を行なうことができる。またこれに併せ圧縮機を多段にすることにより、冷凍サイクルの成績係数を向上することができる。
なお本発明においてCOの三重点以下の圧力及び温度レベルにすることによって固気二相のCOが形成される場合であっても、好ましくは膨張手段としてキャピラリチューブや膨張タービンを用いることにより、冷媒流路での抵抗増大や詰まりを防止することができる。
また本発明の第2の構成によれば、CO(炭酸ガス)を冷媒とし、COガスを超臨界域まで圧縮するとともに、凝縮器から出たCO凝縮体を膨張手段を通して減圧させ、蒸発部で蒸発させ、COの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第1の冷凍サイクルと、アンモニア、HC又はCOを冷媒とし、前記第1の冷凍サイクルの蒸発部との間で熱交換を行なう第1のカスケードコンデンサを備え、膨張手段の後流側でもCOの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第2の冷凍サイクルと、COを冷媒とし、該第2の冷凍サイクルの蒸発部との間で熱交換を行なう第2のカスケードコンデンサを備え、膨張手段を通すことによりCOの三重点以下の圧力及び温度レベルまで減圧して蒸発させる第3の冷凍サイクルとからなることにより、前記第1の構成と同様に、高温熱源の供給、例えば高温の給湯が可能になるとともに、同時に極低温の冷熱源を供給することができる。
また第2の冷凍サイクルで、COの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成されたことにより、冷媒流路での抵抗増大や詰まりが生ぜず、安定した冷凍運転を行なうことができる。
なお第2の冷凍サイクルでアンモニア又はHC等の冷媒を用いた冷凍サイクルとすれば、さらに効率が向上し、一方COを冷媒として用いた冷凍サイクルとすると、自然冷媒としてのCOの長所(無害、安全等)を享受することができるとともに、第1冷凍サイクル及び第3冷凍サイクルと同じCO冷媒を用いることにより、装置全体として安価となる。
前記第2の構成において、好ましくは、CHガス、空気又は窒素ガスを冷媒とし前記第3の冷凍サイクルの蒸発部との間で熱交換を行なう第3のカスケードコンデンサを備えた第4の冷凍サイクルを付設すれば、さらに低温の冷熱源、例えば−120℃付近の冷熱源を供給することができ、あるいは前記夫々の冷凍サイクル間に介設された第1〜第3のカスケードコンデンサを高元側冷媒と低元側冷媒とを直接接触させる接触式の熱交換器で構成するようにすれば、熱伝達効率をさらに向上させることができる。
また本発明の第2の構成における第1冷凍サイクル又は第3冷凍サイクルの液相部分の冷媒流路に連通し略水平状に配置された閉回路ループに、該閉回路ループより液を取り出してその蒸発潜熱により熱交換を行なって液相より気相に移行させ前記閉回路ループのガス側に戻す熱回路を接続したことにより、病院、ホテル又はレストラン等種々の高温熱源及び低温熱源を必要とする冷却負荷に対して該熱回路からこれら冷却負荷に対応した種々の冷熱源を供給することができ、また閉回路ループにはいずれも毒性がない無害な自然冷媒であるCOが循環するので、建物内での安全を確保することができる。
また第1冷凍サイクル又は第3冷凍サイクルの液相部分の冷媒流路と閉回路ループとの間に気液分離器を介在させることにより、閉回路ループに液相のCOを確実に供給することができる。
本発明の第1実施例のブロック線図である。 前記第1実施例のモリエル線図である。 本発明の第2実施例のブロック線図である。 前記第2実施例のモリエル線図である。 本発明の第3実施例のブロック線図である。 本発明の第4実施例のブロック線図である。 前記第4実施例のカスケードコンデンサ54の立面図である。 前記第4実施例のカスケードコンデンサ54の平面図である。 本発明の第5実施例のブロック線図である。
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
図1は、本発明の第1実施例のブロック線図、図2は、第1実施例のモリエル線図、図3は、本発明の第2実施例のブロック線図、図4は、第2実施例のモリエル線図、図5は、本発明の第3実施例のブロック線図、図6は、本発明の第4実施例のブロック線図、図7Aは、第4実施例のカスケードコンデンサ54の立面図、図7Bはその平面図、図8は、本発明の第5実施例のブロック線図である。
第1実施例を示す図1において、1は、COを冷媒とした第1の冷凍サイクルの冷媒流路であり、2は、COを冷媒とした第2の冷凍サイクルの冷媒流路である。3は、第1冷凍サイクル1及び第2冷凍サイクル2で兼用する高段圧縮機であり、5は、同様に第1及び第2冷凍サイクル兼用の凝縮器である。6は、中間冷却器であり、中間冷却器6の上流側で第2冷凍サイクルの冷媒流路2が分岐し、膨張弁9を経て中間冷却器6の蒸発部6aに接続する。
第1冷凍サイクルの冷媒流路1は、中間冷却器6の凝縮部6bに接続し、その後膨張弁7を経て蒸発器8の蒸発部8aに接続する。
4は、低段圧縮機であり、9は給湯ラインで、給湯ライン9に供給された水wは、凝縮器5で加熱されて図示しない温熱源負荷に給湯される。また10は冷却負荷ラインで、冷却負荷ライン10に供給された被冷却流体rは、蒸発器8でCO冷媒の蒸発潜熱を吸収され冷却されて図示しない冷却負荷に供給される。Ptrは、COの三重点ラインを示す。
かかる構成のCO冷凍機の作動を図1及び図2により説明する。図2は、第1実施例のモリエル線図であり、図2において、Slは飽和液線、Syは飽和蒸気線、Tkは等温線、KはCOの臨界点(臨界温度31.1℃、臨界圧7.38Mpa)である。またPtrはCO冷媒の三重点の圧力(0.518Mpa)を示す。
まず第1冷凍サイクル1において、CO冷媒は、高段圧縮機3で圧縮され、臨界点Kを越えて超臨界域に達する(図2中A→B)。その後凝縮器5で水wに凝縮熱を付与して凝縮する(同上B→C)。水wは凝縮熱を得て約80℃に加熱され、給湯ライン9から図示しない温熱源負荷に供給される。
一方凝縮器5の下流側で冷媒の一部が分岐して第2冷凍サイクルの冷媒流路2に入り、その後膨張弁9を経て膨張し、中間冷却器6の蒸発部6aに入る(同上C→D)。
第1冷凍サイクルの冷媒流路1を通る冷媒は、中間冷却器6の凝縮部6bに入る。ここで凝縮部6bの冷媒から蒸発部6aの冷媒に蒸発潜熱が吸収され(同上C→E)、蒸発部6aの冷媒がその蒸発潜熱を得て蒸発する。蒸発部6aで一部蒸発した冷媒は接続点cで第1冷凍サイクルの冷媒に合流する(同上D→A及びH→A)。冷媒通路2及び接続点cはCOの三重点(−56℃及び0.518Mpa)以上の圧力及び温度レベルを維持する。
中間冷却器6の凝縮部6bを出た冷媒は、膨張弁7を経て断熱膨張し、蒸発器8の蒸発部8aに至る(同上E→F)。膨張弁7の下流側はCOの三重点以下の圧力及び温度レベルとなっており、ここでCO冷媒は固気二相となり、蒸発器8で冷却負荷ライン10から蒸発器8に供給された被冷却流体rから昇華潜熱を奪って気化し(同上F→G)、一方被冷却流体rはCOの三重点以下の温度である−56℃〜−78℃(大気圧下)の極低温度に冷却される。
その後冷媒流路1を通る冷媒は、低段圧縮機4で断熱圧縮させる(同上G→H)。
このように第1実施例によれば、超臨界域を形成するCO冷凍サイクルと、COの三重点以下の圧力及び温度まで減圧された冷凍サイクルとにより、約80℃の高温の給湯と−56℃以下の極低温の冷熱源を同時に供給することができる。
また第2冷凍サイクルの冷媒流路2はCOの三重点以上の圧力及び温度に維持されるので、CO冷媒が固相を呈することがなく、このため冷媒流路2に抵抗の増大や詰まりを生じることがない。また圧縮機を多段に構成しているので、成績係数を向上させることができる。
なおCOの三重点以下の圧力及び温度となる膨張弁7では、キャピラリチューブや膨張タービンを用いることにより、冷媒流路内部の抵抗の増大や詰まりを確実に防止することができる。
次に本発明の第2実施例を図3及び4に基づいて説明する。第2実施例は、前記第1実施例において、さらに第2の冷凍サイクルを付加したものであり、図3及び4において、図1及び2と同一符号を付した機器、部材は第1実施例と同一の構造及び機能を有し、これらの説明は省略する。
図3及び4において、高段圧縮機3と低段圧縮機4との間に中段圧縮機14が設けられるとともに、第1冷凍サイクルの冷媒流路1は、中間冷却器6の下流側で第3冷凍サイクルの冷媒流路11が分岐し、冷媒流路11の冷媒は、膨張弁13を経て断熱膨張され、減圧かつ低温となって第2中間冷却器12の膨張部12aに流入する。
一方冷媒流路1は、第2中間冷却器12の凝縮部12bに接続しており、第2中間冷却器12で凝縮部12bから蒸発部12a側に蒸発潜熱が奪われて、冷媒流路11の冷媒が蒸発する。冷媒流路11で蒸発した冷媒は、第1冷凍サイクルの中段圧縮機14と低段圧縮機4との間の冷媒流路1の接続点c’で接続する。なお膨張弁13を経て接続点c’に至る第1冷凍サイクルは、COの三重点以上の圧力及び温度レベルに維持される。
かかる第2実施例の構成では、図4のモリエル線図に示すように冷凍運転がなされる。即ち高段圧縮機3を経た冷媒は超臨界域に入り(図4中I→J)、その後凝縮器5で水wを加熱して凝縮する(同上J→L)。第1実施例と異なるところは、凝縮器5で冷却された冷媒は、中間冷却器6及び第2中間冷却器12によって2段に亘って冷却され(図4中1段目;L→C、2段目;C→E)、膨張弁7を経てCOの三重点以下の圧力及び温度レベルに減圧される(同上E→F)。
一方第2冷凍サイクル2で膨張弁9を経た冷媒は、中間冷却器6の凝縮部6aで蒸発潜熱を付与されて蒸発し接続点cに至る(同上L→M→I)。また第3冷凍サイクルで膨張弁13を経た冷媒は、第2中間冷却器12の蒸発部12aで蒸発潜熱を付与されて蒸発し接続点c’に至る(同上C→D→A)。
かかる第2実施例によれば、前記第1実施例に作用効果に加えて、圧縮機を3段にしたことにより、成績係数をさらに向上することができる長所をもつ。
次に本発明の第3実施例を図5に基づいて説明する。図5において、第1冷凍サイクル21はCOを冷媒として用い、圧縮機23、凝縮器24、膨張弁25及びカスケードコンデンサ26等を有する冷媒流路22で構成される。まず圧縮機23で断熱圧縮された冷媒は、超臨界域に達し、その後凝縮器24で水wによって冷却され、膨張弁25を経て断熱膨張され、カスケードコンデンサ26の蒸発部26aに入る。
カスケードコンデンサ26では、凝縮部26bを通る第2冷凍サイクルの冷媒から蒸発潜熱を奪い、蒸発して圧縮機23に戻る。凝縮器24では給湯ライン27から供給された水wが加熱され、約80℃の高温水hとなって図示しない高熱源負荷に給湯される。
第2冷凍サイクル31は、アンモニア又はHCを冷媒として用い、冷媒流路32に、圧縮機33、カスケードコンデンサ26の凝縮部26b、膨張弁34及びカスケードコンデンサ35の蒸発部35a等を介設して構成される。
第2冷凍サイクル31では、圧縮機33で圧縮された冷媒は、カスケードコンデンサ26の凝縮部26bで第1冷凍サイクルのCO冷媒に蒸発潜熱を奪われて凝縮され、その後膨張弁34を経て断熱膨張され、カスケードコンデンサ35の蒸発部35aに入る。
カスケードコンデンサ35で第3冷凍サイクルの冷媒から蒸発潜熱を奪って蒸発し、再び圧縮機33に入る。なお第2冷凍サイクル31では、常にCOの三重点以上の圧力及び温度レベルに維持される。
第3冷凍サイクル41では、COを冷媒として用い、CO冷媒流路42に、圧縮機43、カスケードコンデンサ35の凝縮部35b、膨張弁44及び蒸発器45が介設されて構成されている。第3冷凍サイクル41では、膨張弁44を経た後の冷媒流路は、図示のとおりCOの三重点以下の圧力及び温度レベルに維持されており、従って膨張弁44を経た後では、CO冷媒は固気二相になり、蒸発器45で固相のCO冷媒は冷却負荷ライン46から蒸発器45に供給される被冷却流体rから昇華潜熱を奪って昇華する。これによって被冷却流体rを極低温、即ちCOの三重点以下の温度である−56℃〜−78℃に冷却することが可能となる。
このように第3実施例によれば、約80℃の高温の給湯と−56℃〜−78℃の極低温の被冷却流体を供給することが可能になるとともに、第1冷凍サイクル21及び第2冷凍サイクル31を常にCOの三重点以上の圧力及び温度レベルで運転するため、CO冷媒が固相状態とはならず、そのため冷媒流路で抵抗の増大や詰まりを生じることなく、安定した冷凍運転を可能とする。また第2冷凍サイクル31で冷媒としてアンモニア又はHCを用いているため、高効率の運転が可能となる。
次に本発明の第4実施例を図6及び7に基づいて説明する。図6及び7において、本実施例は、図5に示す前記第3実施例の構成に、さらに空気又は窒素(N)を冷媒とする第4冷凍サイクル51を負荷したことにより、さらに超低温の冷熱源を供給可能としたものである。
図6において、図5と同一の符号を付した機器、部材は図5に示す機器、部材と同一の構成及び機能を有するものであり、これらの説明を省略する。第4冷凍サイクル51は、空気又は窒素を冷媒とし、冷媒流路52に、アンモニア53、カスケードコンデンサ54、膨張タービン55及び蒸発器57を介設して構成されている。56は、圧縮機53の駆動モータであるが、膨張タービン55の稼動により回生される回生モータとなっている。
第4冷凍サイクル51では、圧縮機53で断熱圧縮された冷媒は、カスケードコンデンサ54において第3冷凍サイクル41の冷媒に蒸発潜熱を奪われて冷却される。その後膨張タービン55を経て断熱膨張され、−120℃の温度に冷却されて蒸発器57に至る。蒸発器57で冷却負荷ライン58から供給された被冷却流体rから蒸発潜熱を奪って蒸発するとともに、被冷却流体rを−100℃付近の超低温に冷却する。
図7にカスケードコンデンサ54の構成を示す。図7のAはその立面図、Bは平面図である。図7において、カスケードコンデンサ54は、内部が中空のサイクロン540からなり、上部に第2冷凍サイクル41の冷媒であるCO冷媒の入口管541が水平にかつサイクロン540に対して接線方向に取り付けられている。また543は、第5冷凍サイクル51の冷媒である空気又はN冷媒の入口管で、サイクロン540の下部に水平にかつサイクロン540に対して接線方向に取り付けられている。
542は、サイクロン540の下部に設けられたCO冷媒の出口管で、水平にかつサイクロン540に対して接線方向に取り付けられている。544は、空気又はN冷媒の出口管でサイクロン540の上部に取り付けられている。
かかる構成において、入口管541からサイクロン540の内部に供給されたCO冷媒は、固気二相状態でサイクロン540の内面に沿って螺旋を描きながら、分子量が44と空気又は窒素に比べて重いために下方に沈降していく。
一方入口管543から供給された空気又は窒素は、サイクロン540の内面沿って螺旋を描きながら、COより軽いために上昇していく。COと空気又は窒素は、サイクロン540内に互いに交流方向に供給されているため、それぞれの出口管542又は544から出て行くが、このように直接接触式の熱交換器であるため、熱伝達効率が極めて良い。また両者は、分子量が大きく異なるため、それらの分離が容易である。
このように第4実施例によれば、80℃の高温の給湯と−100℃近辺の超低温の冷熱源を同時に供給することができ、また安定した冷凍運転が可能で、効率の良い冷媒サイクルを実現することができる。
次に本発明の第5実施例を図8に基づいて説明する。図8において、第1冷凍サイクル21、第2冷凍サイクル31及び第2冷凍サイクル41は、前記第3実施例と同一の構成であり、第3実施例を示す図5と同一の符号を付しており、これらの説明を省略する。
図8において、28は気液分離器であり、その液相部28bが第1冷凍サイクル21の液相部分の冷媒流路22(膨張弁25の上流側)に分岐管29を介して連通されている。また気液分離器36は、その液相部36bが第2冷凍サイクル31の液相部分の冷媒流路32(膨張弁34の上流側)に分岐管37を介して連通されている。
61及び71は、各種の冷却負荷を有する建物(例えば病院、ホテル、レストラン等)60の内部に略水平に配置された閉回路ループであり、閉回路ループ61の始端は気液分離器28の液相部28bに接続され、終端は気液分離器28の気相部28aに接続されている。また閉回路ループ62の始端は、気液分離器36の液相部36bに、終端は気相部36aに接続されて、それぞれ冷媒液が矢印方向に流れている。
閉回路ループ61の液相ライン61bには、閉路状熱回路62の始端が接続され、閉路状熱回路61の気相ライン61aには閉路状熱回路62の終端が接続されている。閉路状熱回路62には熱交換器63が介設され、ここで閉回路ループ61の液相ライン61bから取り出したCO冷媒液の蒸発潜熱等を冷却負荷側の被冷却流体rから奪って冷却負荷側を冷却し、冷媒液は蒸発して気相となり、閉回路ループ61の気相ライン61aに戻るように構成されている。
また閉回路ループ71では、液相ライン71bに始端が接続され、気相ライン71aに終端が接続された閉路状熱回路72が設けられ、閉路状熱回路72では、膨張弁73と、熱交換器74と、圧縮機75とが介設された冷凍サイクルが構成されている。閉路状熱回路72において、液相ライン71bから取り出されたCO冷媒液は、膨張弁73で断熱膨張し、熱交換器74で冷却負荷側から蒸発潜熱を奪って冷却負荷側の被冷却流体rを冷却し、冷媒液は蒸発して気相となり、閉回路ループ71の気相ライン71aに戻るように構成されている。(なお閉回路ループ61,71については、本発明者等が先に提案した特開2003−329318号公報に詳しく開示されているのでこれを参照されたい。)
このように第5実施例によれば、80℃の高温の給湯と−80℃付近の極低温の冷熱を同時に供給することができるとともに、多様な冷却負荷を有する建物(例えば病院、ホテル、レストラン等)の需要に十分に応じることができる。
また建物内の閉回路ループ61,71に供給される冷媒は、自然冷媒であり安全かつ無害なCO冷媒であり、安全に冷凍運転することができるとともに、第1冷凍サイクル21、第2冷凍サイクル31、及び建物60内で配設される閉回路ループ61,71は、常にCOの三重点以上の圧縮機及び温度レベルで運転されるために、冷媒流路内部での抵抗増大や詰まりを生ぜず、安定した高効率な運転が可能となる。
本発明によれば、高温の給湯と極低温の冷熱を同時に供給できるとともに、病院、ホテル、レストラン等多様な冷却負荷を要する場所の需要に十分に対応可能であるとともに、安定した冷凍運転と高効率で成績係数を向上させた安全で安価なCO冷凍機を実現することができる。

Claims (6)

  1. CO 冷媒とし、
    圧縮機を直列に多段に設けることによりCOを超臨界域まで圧縮するとともに、
    凝縮器から出たCO凝縮体を膨張手段を通すことによりCOの三重点以下の圧力及び温度レベルまで減圧し、蒸発器で蒸発させる第1の冷凍サイクルと、
    前記第1冷凍サイクルの凝縮器と膨張手段との間の冷媒流路に設けられた中間冷却器を蒸発部とし、
    前記凝縮器と該中間冷却器の間の冷媒流路から分岐し膨張手段を介して前記中間冷却器を通り前記第1の冷凍サイクルの多段圧縮機間の冷媒流路に接続され、
    COの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第2の冷凍サイクルとからなり、
    更に、前記第1の冷凍サイクルの前記中間冷却器の下流側に設けられた第2の中間冷却器を蒸発部とし、
    前記中間冷却器と前記第2の中間冷却器との間の冷媒流路から分岐し膨張手段を介して前記第2の中間冷却器を通り前記第1の冷凍サイクルの多段圧縮機間の冷媒流路に接続され、
    CO の三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第3の冷凍サイクルとからなることを特徴とするCO冷凍機。
  2. CO 冷媒とし、COガスを超臨界域まで圧縮するとともに、
    凝縮器から出たCO凝縮体を膨張手段を通して減圧させ、蒸発部で蒸発させ、COの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第1の冷凍サイクルと、
    アンモニア、HC又はCOを冷媒とし、前記第1の冷凍サイクルの蒸発部との間で熱交換を行なう第1のカスケードコンデンサを備え、膨張手段の後流側でもCOの三重点以上の圧力及び温度レベルを維持するように構成された第2の冷凍サイクルと、
    COを冷媒とし、該第2の冷凍サイクルの蒸発部との間で熱交換を行なう第2のカスケードコンデンサを備え、膨張手段を通すことによりCOの三重点以下の圧力及び温度レベルまで減圧して蒸発させる第3の冷凍サイクルとからなり、
    更にCHガス、空気又は窒素ガスを冷媒とし前記第3の冷凍サイクルの蒸発部との間で熱交換を行なう第3のカスケードコンデンサを備えた第4の冷凍サイクルを付設したことを特徴とするCO冷凍機。
  3. 前記夫々の冷凍サイクル間に介設された第1〜第3のカスケードコンデンサを高元側冷媒と低元側冷媒とを直接接触させて熱交換する接触式熱交換器で構成したことを特徴とする請求項記載のCO冷凍機。
  4. 前記第1の冷凍サイクル又は前記第3の冷凍サイクルの液相部分の冷媒流路に連通し略水平状に配置された閉回路ループと、
    該閉回路ループより液を取り出してその蒸発潜熱により熱交換を行なって液相より気相に移行させ前記閉回路ループのガス側に戻す熱回路とを備えたことを特徴とする請求項記載のCO冷凍機。
  5. 前記第1の冷凍サイクル又は前記第3の冷凍サイクルの液相部分の冷媒流路と前記閉回路ループとの間に気液分離器を介在させてなることを特徴とする請求項記載のCO冷凍機。
  6. COの三重点以下の圧力及び温度レベルで使用される前記膨張手段をキャピラリチューブ又は膨張タービンとすることを特徴とする請求項1又は記載のCO冷凍機。
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