[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る浴室空調装置の構成を示す断面図である。図2は、中継用ケーブル線を使用する場合の挿通孔の拡大図であり、図2(a)は図1に示す領域Aの要部拡大図であり、図2(b)は図1に示す領域Bの要部拡大図である。図3は、図2に示す挿通孔部分の構成を示す分解斜視図である。図4は、中継用ケーブル線を使用しない場合の挿通孔の拡大図であり、図4(a)は図1に示す領域Aの要部拡大図であり、図4(b)は図1に示す領域Bの要部拡大図である。図5は、図4に示す挿通孔部分の構成を示す分解斜視図である。
本実施形態に係る浴室空調装置1Aは、浴室の天井パネルに設置される浴室空調装置本体2とフロントパネルとを備える。なお、図1に示す浴室空調装置1Aでは便宜上フロントパネルを装着していない例を示す。
浴室空調装置1Aは、浴室内の空気を吸い込んで、温風を吹き出す暖房モードや吸い込んだ空気を屋外に排出する換気モードを備える。
浴室空調装置本体2は、その下面にファン吸込口20aと吹出口20bを有するファン部21を備える。
ファン部21は、回転駆動される多翼のファン22と、ファン22を回転駆動するファンモータ22aと、ファン22の軸方向から空気を吸い込んで、ファン22の接線方向に吹き出す風路を形成するファンケース23とを備える。
ファン吸込口20aは、浴室内の空気を吸い込む吸込部として機能し、ファン22の軸方向に沿うようにファンケース23の下面に形成される。ファン22が回転駆動されると、ファン吸込口20aから空気が吸い込まれる。
吹出口20bは、ファン吸込口20aから吸い込んだ空気を浴室内に吹き出す吹出部として機能し、ファン22の接線方向に沿った風路を形成するファンケース23の下端面に形成される。ファン22が回転駆動されると、ファン吸込口20aから吸い込まれた空気が浴室内に吹き出される。
ファン部21には、ファン22の接線方向に沿った風路を形成するファンケース23の一の側面に排出口20cが形成される。さらに、このファン部21には、ファン吸込口20aから吸い込まれた空気を、吹出口20bから浴室に吹き出すか、排出口20cから屋外に排出するかを切り替える風路切換ダンパ24が設けられる。排出口20cは、ファン吸込口20aから吸い込んだ空気を浴室外に排出する排気部として機能する。
風路切換ダンパ24は、図示しないダンパモータの駆動力がカム24aを介して伝達され、ダンパ軸24bを支点に回動して開閉動作が行われる。風路切換ダンパ24を図1に実線で示す循環位置に切り換えると、排出口20cへの風路が遮断され、ファン吸込口20aから吹出口20bへ連通した循環風路25aが形成される。
また、風路切換ダンパ24を図1に二点鎖線で示す換気位置に切り換えると、吹出口20bへの風路が遮断され、ファン吸込口20aから排出口20cへ連通した換気風路25bが形成される。
さらに、風路切換ダンパ24を図1に破線で示す分流位置に切り換えると、ファン吸込口20aから吹出口20bへ連通した循環風路25aと、ファン吸込口20aから排出口20cへ連通した換気風路25bの双方が形成される。
ここで、上述した浴室空調装置本体2としては、循環ファン部と換気ファン部とを一体化した構成を説明したが、循環ファン部と換気ファン部を別々に設けて循環風路と換気風路を独立した構成にしても良い。
浴室空調装置本体2は、吹出口20bにヒータ26を備える。ヒータ26は、吹出口20bにPTCヒータ等の電気ヒータを有する。
浴室空調装置本体2は、ファンケース23を覆う本体ケース28を備える。本体ケース28は、ファンケース23のファン吸込口20aと吹出口20bが形成された下面を除く4側面と上面を覆う形状で、ファンケース23の排出口20cと対向する位置に形成された開口部には排出ダクトジョイント28aが取り付けられる。
また浴室空調装置本体2は、図1のA部を拡大して示す図2(a)および図2(b)から明らかなように、浴室内に取り付けられるスピーカ装置に対するケーブル線を本体ケース28の内部を介して敷設させるための挿通孔(配線用孔)36,37と、このケーブル線を敷設するための専用の領域となる空間部100(図1参照)とを備える。本例では、スピーカ装置の一例としてスピーカを浴室内に取り付ける場合について説明する。
空間部100は、本体ケース28の内周面28bとファンケース23の外周面23bとによって囲まれた空間領域であり、浴室内から吸い込んだ空気や吐き出す空気の流れを乱さないようにファン吸込口20a、吹出口20bおよび排出口20cが形成されていない空間領域が空間部100として設定される。本例では、図1にも示すように、ファンケース23の外周面23bと本体ケース28の内周面28bとの間の風路が形成されていない装置本体内部の端部領域が空間部100として設定される。
挿通孔36は第1の配線用孔として機能し、図2(a)に示すように、この例では空間部100を構成する本体ケース28の上面部に穿設される。他方の挿通孔37は第2の配線用孔として機能し、図2(b)に示すように、この例では空間部100を構成するファンケース23の底面部に穿設される。これらの挿通孔36,37は、ケーブル線や後述するコネクタおよびゴムパッキンに対応した形状に穿設されており、本例では平面視矩形状に穿設される(図3参照)。挿通孔36,37の形状は、ケーブル線やコネクタを挿通できるような形状であれば良く、図示の矩形状に限定されることはない。例えば円形状等の形状であっても良い。
本体ケース28外面の挿通孔36の周縁部には、図2(a)および図3に示すように、挿通孔36の外径よりも若干径大の切り欠き部(段部)86が形成される。この切り欠き部86は、封止部材として機能する後述のシール蓋84を着脱自在に装着するための凹部として機能する。一方、挿通孔36の本体ケース28内面側には、この周縁を囲繞する下方向に突出した突出部87が形成される。突出部87は挿通孔36内に装着固定される後述のコネクタ34aを確実に固定するための支持領域として機能する。図2(b)に示すように、ファンケース23の底面部側に穿設された挿通孔37の周縁部にも同様な切り欠き部86および突出部87が形成されている。
また浴室空調装置本体2は、図1に示すように、空間部100に敷設された中継用ケーブル線10を備える。中継用ケーブル線10は、上述したスピーカに対して配線されたケーブル線の一例であり、浴室内の天井面に取り付けられるスピーカのケーブル線と浴室外の天井裏に設置される増幅器等のケーブル線とを浴室空調装置本体2内部を介して接続するために予め敷設された中継線である。後述するように、本例では、チューナ等から出力される音声出力を2個のスピーカを用いてステレオ再生するため、これに対応して2本の中継用ケーブル線10が敷設されている。図2(a)および図2(b)に示すように、2本の中継用ケーブル線10の両端部のそれぞれにはスピーカのケーブル線30と増幅器等のケーブル線48とを接続するため、一端にはオス型コネクタ34aが,他端にはメス型コネクタ35aが取り付けられる。
中継用ケーブル線10のオス型コネクタ(第1のコネクタ)34aは、挿通孔36の孔周面とオス型コネクタ34aの外周面との間に介挿された支持部材38を介して、挿通孔36の所定位置に装着固定される。同様に、他端部のメス型コネクタ(第2のコネクタ)35aも挿通孔37の位置に支持部材38を介して装着固定される。支持部材としては、例えば、これらの間隙を埋めるために伸縮自在な弾性材料であって、天井裏に浴室内の湿気が漏れ出さないような防水、防湿処理された材料が用いられる。本例では防水、防湿処理されたゴムパッキン38が用いられている。浴室内から浴室空調装置本体2の内部に吸い込まれた空気(湿気)が挿通孔36,37から天井裏に漏れ出すことを防止できるので、カビ等の発生を抑制できる。ゴムパッキン38によってオス型コネクタ34a,メス型コネクタ35aを挿通孔36,37の位置で固定することで、中継用ケーブル線10を予め空間部100の所定位置に設置(敷設)できる。
次に、上述した浴室空調装置本体2の空間部100に敷設された中継用ケーブル線10を介して、スピーカのケーブル線30と増幅器のケーブル線48とを互いに接続する場合について説明する。図2(b)に示すように、挿通孔37の所定位置に装着固定されたメス型コネクタ35aに、スピーカに接続されたケーブル線30の一端に取り付けられたオス型コネクタ30aを接続(接続)する。スピーカに接続されるケーブル線30は、図1および後述する図15に示すように、ファン吸込口20aや吹出口20bを避けたファンケース23の下面に沿った経路に敷設し、固定部材34でケーブル線30の撓み部分をファンケース23に固定することが好ましい。同様に、図2(a)に示すように、挿通孔36の位置に固着されたオス型コネクタ34aに、増幅器に接続されたケーブル線48の一端に取り付けられたメス型コネクタ48aを接続する。これにより、例えば浴室内の天井面に取り付けられるスピーカと、浴室外の天井裏に設置される増幅器等とを、ケーブル線30,48を用いて浴室空調装置本体2内部に配設された中継用ケーブル線10を介して電気的に接続できる。
中継用ケーブル線10は、浴室空調装置本体2の空間部100に常時敷設されているものであるから、スピーカを備えていない浴室空調装置本体2を使用する場合であっても中継用ケーブル線10は取り外されることはない。従って、中継用ケーブル線10を使用しない場合には、図4(a)、(b)および図5に示すように、本体ケース28の外側からコネクタ保護用のシール蓋84(封止部材)を切り欠き部86に装着して挿通孔36,37の外面側を被覆する。シール蓋84は、切り欠き部86と挿通孔36を隙間無く閉塞可能な形状であって、防水、防湿処理がされた弾性部材が使用される。これにより、ゴムパッキン38と共に挿通孔36,37が封止され、浴室内から吸い込まれる水分を含む空気(湿気)が挿通孔36,37から天井裏に漏れ出すことを防止できる。中継用ケーブル線10を使用するときにはシール蓋84を外すのはもちろんである。
本実施の形態によれば、スピーカを浴室内に取り付ける場合には、天井面に浴室空調装置本体2用の開口部のみを形成すれば良く、別途、スピーカ用の開口部を新たに天井面に形成する必要がない。従って、スピーカの天井面に施工する場合、従来と比較して、簡易な方法でスピーカを天井面に取り付けることができ、施工性の向上を図ることができると共に、作業者の負担軽減を図ることができる。
また本実施の形態によれば、挿通孔36,37と中継用ケーブル線10との間にゴムパッキン38が介挿されているため、浴室内の湿気等が天井裏に湿気が漏れ出すことを防止することができる。これにより、天井裏の湿気によるカビの発生等を回避できる。また挿通孔36,37を使用しない場合にはシール蓋84で挿通孔36,37を封止できるので、コネクタ34,35を湿気等から保護できる。また施工時の外傷も防止できる。
さらに、本実施の形態によれば、浴室空調装置本体2にスピーカ装置に対するケーブル線用の挿通孔36,37が予め穿設されているため、スピーカ装置を搭載した機種とスピーカ装置を搭載しない機種との複数の機種を用意する必要がなくなる。また、浴室空調装置本体2の挿通孔36,37を利用することで、追加工事(拡張工事)等をすることなく、既存の浴室空調装置にスピーカ装置を後付けで設置することが可能となる。
[第2の実施の形態]
以下、本発明の実施形態につき、図6以下を参照して説明する。本実施の形態は、図6に示すように、上述した浴室空調装置本体2に、スピーカ収容部32が一体形成されたフロントパネル4を取り付けた浴室空調装置1Aの構成例について説明する。なお、その他の浴室空調装置本体2の構成は、上述した第1の実施の形態と同一であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図6(a)は本発明の一実施形態に係る浴室空調装置1Aの構成を示す断面図であり、図6(b)は領域Cの拡大断面図である。図7は、浴室空調装置1Aの構成を示す斜視図である。図8は、浴室空調装置1Aを浴室の天井面に取り付けた状態を示す図である。
(浴室空調装置の構成)
浴室空調装置本体2は、図6(a)に示すように、吹出口20bに電動ルーバ27を備える。電動ルーバ27は、図示しない複数枚の整流板がルーバモータで駆動されて、整流板の向きを変えることで、空気の吹き出し方向が切り換えられる。
フロントパネル4は、図6、図7に示すように、フロントパネル本体12と、フロントパネル本体12の両端部に取り付けられるスピーカ収容部32,32とを備える。スピーカ収容部32,32の内部にはスピーカ31,31が配設される。なお、左右の各スピーカ収容部32,32およびこれらの内部に収容される各スピーカ31,31は左右同一構成であるため、以下の説明では左側のスピーカ収容部32およびスピーカ31についてのみ説明する。
フロントパネル本体12は、一方の面が開口され、浴室空調装置本体2の下面全体を覆うように形成された筐体であり、開口側を天井面に当接させるようにして、図示しないねじ等の取付部材によって浴室空調装置本体2や天井面に取り付け固定される。フロントパネル本体12には、浴室内の空気を吸い込むための吸込口グリル40aと浴室空調装置本体2から浴室内に空気を吹き出す吹出口グリル40bとが形成される。吸込口グリル40aは浴室内の空気を吸い込む吸込部の一部として機能し、フロントパネル4が浴室空調装置本体2に取り付けられると、吸込部の他部として機能するファン吸込口20aと連通される。また、吹出口グリル40bは浴室内に空気を吹き出す吹出部の一部として機能し、フロントパネル4が浴室空調装置本体2に取り付けられると、吹出部の他部として機能する吹出口20bと連通される。また、フロントパネル本体12には、吸込口グリル40aの裏側にフィルタ40cが交換可能に取り付けられる。
スピーカ収容部32,32は、図6および図7に示すように、浴室空調装置1Aの長手方向の両端部のそれぞれに設けられる。このスピーカ収容部32は、浴室空調装置1Aの短手方向の長さを有する略直方体状をなす筐体であり、フロントパネル本体12の一部を構成する。スピーカ収容部32とフロントパネル本体12との間に立設された部材88は筐体の一部であるが、仕切り部材としても機能する。
スピーカ収容部32の下面の略中央部には、図6(b)および図7に示すように、スピーカ31を下面側から嵌め込んで取り付けるための開口部41が穿設される。さらに、スピーカ収容部32の側面部を構成する部材88には、スピーカ収容部32の内部に設置されるスピーカ31のケーブル線30をフロントパネル本体12側に引き出すための取出孔33が穿設される。
スピーカ収容部32に取り付けられるスピーカ31がコーン型スピーカである場合には、図6(b)に示すように、ラッパ状のコーン部31aと、このコーン部31aの下端縁に設けられた外方向に突出するスピーカ取付フランジ14を有する。スピーカ取付フランジ14は、コーン部31aと一体形成でも良いし、別体形成でも良い。
また、スピーカ31は、スピーカ取付フランジ14および開口部41周縁の切り欠き部のそれぞれに穿設された連結孔にねじ15等を挿通することで、スピーカ収容部32に取り付け固定される。スピーカ31のコーン部31a表面は、防水、防湿処理されている。スピーカ収容部32は外部に露出し、浴室内の湿気に直接触れるためである。
このように、スピーカ収容部32は、上述した開口部41および取出孔33を除いては筐体に覆われた密閉構造となっており、開口部41にスピーカ31が装着され、取出孔33にケーブル線30がゴムパッキン等の封止部材110を介して装着されることで、スピーカ収容部32の内部が完全に密閉された空間となる。
(浴室空調装置の設置例)
次に、上述した浴室空調装置1Aの設置例について、図8を参照して説明する。浴室空調装置本体2は、図8に示す浴室101の天井パネル102に形成された開口部に挿入されて、天井パネル102に固定される形態で、または、図示しない吊り下げ金具で天井裏に吊り下げられる形態で設置される。図8に示すように、この例では浴室空調装置本体2が、浴槽101aの上方に位置する天井パネル102に固定される。
浴室空調装置本体2には、スピーカ収容部32が一体に形成されたフロントパネル4が図示しないねじ等の取付部材によって取り付けられ、浴室空調装置本体2がフロントパネル4によってマスクされている。
天井パネル102に取り付けられた浴室空調装置本体2の側面部2aには排出ダクトジョイント28a(図6(a)参照)を介して排気ダクト103が連結され、その先端部が外壁104を貫通して屋外に突出している。排気ダクト103の先端部には、外壁104に取り付けられた屋外グリル103aが連結される。これにより、浴室101等から吸い込んだ空気は、排出ダクトジョイント28aおよび排気ダクト103を介して屋外グリル103aから屋外に排気される。
浴室空調装置1Aは、本体用制御部56と本体用操作パネル58とを備える。本体用制御部56は、浴室空調装置本体2の内部に設けられ、浴室空調装置本体2全体の制御を行う。本体用操作パネル58は、洗面脱衣所52の壁面に設置されると共にケーブル線を介して本体用制御部56に接続される。本体用操作パネル58には、例えば、モード切替ボタン、温度設定ボタン、時間設定ボタン、表示部等が設けられる。本体用操作パネル58の所定のボタンが押下されると、これに対応した操作信号が本体用制御部56に供給され、この操作信号に基づいて、浴室空調装置本体2の換気モードや暖房モードなどの切り替え処理が行われる。
また浴室空調装置1Aは、図示しないラジオ、TVチューナやCDプレーヤ等のオーディオ音源とオーディオ用操作パネル66とオーディオ用制御部64と増幅器62とを備える。オーディオ用操作パネル66は、洗面脱衣所52の壁面に上述した本体用操作パネル58に隣接して設置され、ケーブル線を介して増幅器62に接続される。オーディオ用操作パネル66には、例えば、音源切り替えボタン、選局ボタンや音量ボタンが設けられる。また、オーディオ用操作パネル66は、図示しない入力端子を有しており、テレビ、ラジオチューナやCDプレーヤ等の音声出力装置が接続される。オーディオ用制御部64と増幅器62とは一体化された状態で、この例では天井パネル102裏面に設置される。増幅器62と、上述した浴室空調装置本体2内部に配設される中継用ケーブル線10とはケーブル線48によって連結される。この中継用ケーブル線10によっても増幅器62は左右のスピーカ31,31に接続される。オーディオ用操作パネル66の所定のボタンが押下されると、例えばTV、ラジオチューナやCDプレーヤの切り替え、または放送番組や曲の選局が行われ、これに対応した音声信号が増幅器62に供給される。増幅器62では供給された音声信号が増幅されて左右のスピーカ31,31に供給され、スピーカ31,31から浴室内に音楽等の音声が出力される。
(浴室空調装置の動作)
次に、上述した浴室空調装置1Aの動作例について、図6〜図8を参照して説明する。浴室空調装置1Aでは、ファンモータ22aによりファン22が回転駆動されると、フロントパネル4の吸込口グリル40aからファン吸込口20aに浴室101の空気RAが吸い込まれる。
風路切換ダンパ24の位置が、図1に実線で示す循環位置であると、ファン吸込口20aから吹出口20bへの循環風路25aが形成されるので、吸込口グリル40aから吸い込まれた空気RAは、循環風路25aを通ってフロントパネル4の吹出口グリル40bから吹き出される。
ヒータ26は、循環風路25aの吹出口20bに配置されるので、ヒータ26が通電されることで、循環風路25aを通る空気が温められて、温風HAが吹出口グリル40bから吹き出す。
これにより、暖房運転モードでは、風路切換ダンパ24を循環位置に移動させて、ファン部21を駆動すると共に、ヒータ26に通電することで、浴室101の空気を循環させながら、浴室101内に温風HAが吹き出される。
また、涼風運転モードでは、風路切換ダンパ24を循環位置に移動させて、ヒータ26は非通電でファン部21を駆動することで、浴室101の空気を循環させながら、浴室101内に室温に応じた送風が吹き出される。
風路切換ダンパ24の位置が、図1に二点鎖線で示す換気位置であると、ファン吸込口20aから排出口20cへの換気風路25bが形成されるので、フロントパネル4の吸込口グリル40aから吸い込まれた空気は、換気風路25bを通って排出口20cから排気される。
これにより、換気運転モードでは、風路切換ダンパ24を換気位置に移動させて、ファン部21を駆動することで、浴室101内の湯気や湿気が排気される。
風路切換ダンパ24の位置が、図1に破線で示す分流位置であると、ファン吸込口20aから吹出口20bへの循環風路25aと、ファン吸込口20aから排出口20cへの換気風路25bの双方が形成されるので、フロントパネル4の吸込口グリル40aから吸い込まれた空気は、一部は循環風路25aを通って吹出口グリル40bから浴室101内に吹き出される。
また、吸込口グリル40aから吸い込まれた空気の残部は、換気風路25bを通って排出口20cから排気される。
これにより、乾燥運転モードでは、風路切換ダンパ24を分流位置に移動させて、ファン部21を駆動すると共に、ヒータ26に通電することで、浴室101の空気の一部を循環させて浴室101内に温風HAを吹き出しながら、浴室101内の湯気や湿気が排気される。
なお、涼風運転モードとして、風路切換ダンパ24を分流位置に移動させ、ヒータ26は非通電でファン部21を駆動することで、浴室101の空気の一部を循環させて浴室101内に室温に応じた送風を吹き出しながら、浴室101内の湯気や湿気が排気されるようにしても良い。これらの運転モードとは独立してオーディオ系の動作が、オーディオ用操作パネル66の指示にしたがって実行される。この指示は入浴する前に行われることが多い。
本実施形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。さらには、浴室空調装置本体2の空間部100に敷設された中継用ケーブル線10(オス型コネクタ34a,メス型コネクタ35a)に対して、スピーカ収容部32内に収容されたスピーカ31のケーブル線30(オス型コネクタ30a)を接続すると共に、浴室外の天井裏に設置された増幅器62のケーブル線48(メス型コネクタコネクタ48a)に接続することで、スピーカ31と増幅器62の電気的な接続が可能となる。これにより、配線接続の簡易化を図ることができ、より施工性の向上を図ることができる。
[第2の実施形態の変形例]
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。本実施の形態は、フロントパネル本体12の内面(浴室空調装置本体2に対向する面)側にスピーカ収容部32を形成している点において上記第2の実施の形態とは異なっている。なお、その他の浴室空調装置本体2の構成は、上述した第1の実施の形態と同一であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図9(a)は上述した第2の実施の形態の変形例に係る浴室空調装置1Aの構成を示す断面図であり、図9(b)は領域Dの拡大断面図である。図10は、スピーカ収容部32が取り付けられたフロントパネル4の内面側の構成を示す斜視図である。
フロントパネル本体12は、図9および図10に示すように、一方の面が開口され、浴室空調装置本体2の下面全体を覆うように形成された筐体であって、その長手方向の両端部はスピーカ収容部32が配置されるスペースS分だけ浴室空調装置本体2の外径よりも大きく形成されている。
このフロントパネル本体12は、図10に示すように、中央部付近に吹出口グリル40bと吸込口グリル40aとが位置し、その左右両側に設けられたスペースSにスピーカ収容部32L,32Rが位置する。スピーカ収容部32はスピーカ31を収容するための開口部を有する直方体状をなす筐体である。スピーカ収容部32の下端外周面にはフロントパネル本体12の面方向に延びるフランジ32bが形成される。フランジ32bとフロントパネル本体12のそれぞれの対向する面には連結孔が穿設され、これらの連結孔にねじ16を挿通することで、スピーカ収容部32とフロントパネル本体12とが合体される。
スピーカ収容部32の側面部32aには、図9(b)に示すように、一端部がスピーカ31に接続されたケーブル線30をフロントパネル本体12側に引き出すための取出孔33が穿設される。ケーブル線30と取出孔33との間には、上述した図2、図3等で示すようなゴムパッキン等の封止部材110が介挿され、スピーカ収容部32内に浴室内の湿気等が入り込まないような構成となっている。
本実施の形態によっても、上記第1および第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
[第3の実施の形態]
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。本実施の形態では、上述したフロントパネル4はフロントパネル本体12のみから構成され、このフロントパネル4の外面にフロントパネル4と別個に設けられたスピーカ収容部32が着脱自在に取り付けられる点において上記第1の実施の形態と異なる。その他の浴室空調装置本体2の構成は、上述した第1の実施の形態と同一であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図11(a)は本発明の一実施形態に係る浴室空調装置1Aの構成を示す断面図であり、図11(b)は領域Eの拡大断面図である。
図12は、浴室空調装置1Aの構成を示す斜視図である。図13は、浴室空調装置1Aの組立て構成を示す分解斜視図である。
スピーカ収容部32をフロントパネル4の外側に取り付け固定するための連結手段は、図11〜図13に示すように、浴室空調装置本体2に設けられた第1のフランジとして機能する本体フランジ39と、スピーカ収容部32に設けられた第2のフランジとして機能する収容部フランジ90と、本体フランジ39と収容部フランジ90とを互いに連結する第3のフランジとして機能する外付けフランジ94とから構成される。
本体フランジ39は、図11に示すように、浴室空調装置本体2を構成する筐体の下端部に取り付けられた外方向に延出する板状部材であって、浴室空調装置本体2を天井パネルに取り付け固定する部材として機能する他、スピーカ収容部32をフロントパネル4の両端部のそれぞれに取り付けるための部材としても機能する。
収容部フランジ90は、扁平な箱状をなすスピーカ収容部32をフロントパネル4の両側(外側)に密着させた状態でこのフロントパネル4を介して本体フランジ39に合体させるため、フロントパネル4と接触するスピーカ収容部32の底板をフロントパネル4側に延在するようにして構成される。この収容部フランジ90は図11(b)に示すように、フロントパネル4の開口端面側の間隙Mに挿入した状態で固定される。スピーカ収容部32を本体フランジ39に取り付け固定するため、外付けフランジ94が用いられる。
図11(b)および図13に示すようにこの外付けフランジ94は、例えばフロントパネル4と同一の樹脂材料から構成されるL字状をなす板状部材であって、外付けフランジ94の垂直部94aをフロントパネル4の側板内に内在させた状態で、外付けフランジ94の水平部94bが本体フランジ39の下面に連結ねじ96,99を介して取り付けられる。連結ねじ96,99は図13に示す連結孔29,95,97,98を介して取り付けられる。
このように、収容部フランジ90は天井パネル102と外付けフランジ94の各面に狭持された状態でフロントパネル4に連結される。一方、連結ねじ99を取り外すことで、フロントパネル4からスピーカ収容部32のみを取り外すことができる。従って、本実施の形態では、スピーカ収容部32をフロントパネル4(外付けフランジ94)に対して着脱自在に連結することができる。
一方、フロントパネル4の側板12aは、上述したようにスピーカ収容部32の側面部32aと外付けフランジ94の垂直部94aとの間隙内に介在された状態で一体化される。そのため、この例では側板12aと当接する側面部32aのうちスピーカ取付フランジ14側の端面が被さるような端片(フランジ)12bが側面12aと一体形成され、この端片12bと側面部32aとが図示しないねじによって固定される。これで、フロントパネル4とスピーカ収容部32とを機械的に一体化できる。
スピーカ収容部32の内部に収容されるスピーカ31用のケーブル線30は、図11および図13に示すように、スピーカ収容部32のフロントパネル4と対向する側面部32aに穿設された取出孔33とこれに対向するフロントパネル4の側面部12aに穿設された通過孔106を介してスピーカ収容部32の内部から外部(フロントパネル4の内部)に引き出される。このときケーブル線30は、防水、防湿処理されたゴムパッキン等の封止部材110によって被覆された状態で取出孔33、通過孔106内に装着される。これで、スピーカ収容部32内部の密閉性が確保される。
本実施の形態によっても、上記第1および第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
[第4の実施の形態]
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。本実施の形態では、上述したフロントパネル4はフロントパネル本体12のみから構成される。また、浴室空調装置本体2の構成は、上述した実施の形態と同一であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図14は、本発明の一実施形態に係る浴室空調装置1Aの構成を示す断面図である。図15は、浴室空調装置1Aにおいてフロントパネル4を外した状態を示す平面図である。
スピーカ収容部32は、図14および図15に示すように、スピーカ収容部32に形成された取り付け凸部32bを介して、ネジ32cにより浴室空調装置本体2の本体フランジ39に取り付けられる。これにより、スピーカ収容部32は、浴室空調装置1Aの長手方向に沿った左右両側の本体フランジ39に取り付けられた形態となる。
フロントパネル4は、図14に示すように、浴室空調装置本体2の下面全体を覆うグリル形成部40と、本体フランジ39に取り付けられたスピーカ収容部32を覆うカバー部材116とを有する。カバー部材116のスピーカ31と対向する位置には複数の音声出力孔118がグリル状に穿設される。フロントパネル4の内側には、図14に示すように、グリル形成部40とカバー部材116との境界を仕切る仕切り板42が立設される。仕切り板42は、フロントパネル4の内側を短手方向(図15参照)に横切る板状部材を一体に形成して構成される。フロントパネル4が浴室空調装置本体2に取り付けられると、フロントパネル4内の仕切り板42が、浴室空調装置本体2の下面側に突き当たる形態となって、仕切り板42とカバー部材116とによって囲まれる空間部41がファン吸込口20aおよび吹出口20bと仕切られる。これにより、フロントパネル4の音声出力孔118は、ファン吸込口20aおよび吹出口20bとつながらない構成となる。
スピーカ31に接続されるケーブル線30は、図15に示すように、ファン吸込口20aや吹出口20bを避けた経路でファンケース23の下面に沿うようにして、固定部材34でファンケース23に固定される。そして、スピーカ31に接続されるケーブル線30は、図14に示すように、挿通孔37のコネクタ35aに接続され(図2(b)参照)、空間部100の中継用ケーブル線10を介して挿通孔36のコネクタ34aに接続された増幅器62に接続される(図2(a)参照)。
また、スピーカ収容部32は、スピーカ31を露出させる部位以外が囲われた密閉型で、更に、複数の部材で構成されるスピーカ収容部32の合わせ面や、スピーカ31と接続されるケーブル線30の取出孔33等が図示しない封止部材でシールされて防水構造を有している。また、スピーカ31も防水構造を有しており、スピーカボックス32内に湿気が浸入しない構成である。
[第5の実施の形態]
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。浴室空調装置本体2の構成は、上述した実施の形態と同一であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図16は、本発明の一実施形態に係る浴室空調装置1Aの構成を示す断面図である。図17は、浴室空調装置の構成を示す斜視図である。
スピーカ収容部32は、図16および図17に示すように、その内部に収容されるスピーカ31の浴室101側に露出する(剥き出しとなる)面を保護するためのカバー部材116を有する。カバー部材116は、図16(b)に示すように、スピーカ収容部32の開口部41よりもさらに下端に穿設されたカバー部材用孔117にねじ15を介して装着される。カバー部材116のスピーカ31と対向する位置には複数の音声出力孔118がグリル状に穿設される。フロントパネル4(フロントパネル本体12)とカバー部材116との浴室101側の表面は、図16および図17に示すように、同一平面(面一)上に設けられ、平坦面を形成している。なお、カバー部材116とフロントパネル4とは同一部材で構成しても良いし、異なる部材で構成しても良い。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述した実施の形態では、浴室空調装置本体2の空間部100に予め中継用ケーブル線10を設置していたが、スピーカ31に接続されるケーブル線30や増幅器62に接続されるケーブル線48を一方の挿通孔36(37)に挿入させた後、他方の挿通孔37(36)から引き出すことにより、スピーカ31や増幅器62のそれぞれに中継用ケーブル線を介さずに直接接続しても良い。
また、フロントパネル本体12の両端部のそれぞれにスピーカ31を設けていたが、一端部に2個のスピーカ31を併設しても良い。さらに、スピーカ31の個数は2個に限定されず、例えば、モノラル再生の場合には1個でも良いし、5.1チャンネル再生の場合には6個のスピーカ31を取り付けても良い。さらに、浴槽の形状や浴槽に入浴する入浴者の位置等に合わせてスピーカ31の取付位置を設定することが好ましい。
また、上述した実施の形態では、スピーカ31をスピーカ収容部32に形成した開口部41から嵌め込んで取り付けていたが、スピーカ収容部32の一部に開閉蓋を設け、この開閉蓋を開閉することでスピーカ31をスピーカ収容部32の内部に収容しても良い。
また、スピーカ31を制御するオーディオ用制御部64および増幅器62等の電子機器をスピーカ31と共にスピーカ収容部32内部に設置しても良い。これにより、スピーカ31と増幅器62等との距離が近接するため、音声信号の減衰が抑えられ、音質の向上を図ることができる。
さらに、上述した実施の形態では、中継用ケーブル線10等のケーブル線を敷設するための専用の空間部100を設けていたが、この空間部100を設けずに、ケーブル線を通過させるための管体を浴室空調装置本体2の内部に設けても良い。管体としては、例えば可撓性を有する円筒状をなすものが好適に用いられる。さらには、空間部100および管体を設けずに、ケーブル線を挿通孔36,37を介して浴室空調装置本体2の内部に直接敷設しても良い。このとき、ケーブル線は、壁面に沿って敷設し、風の流れを乱さないように固着部材によって壁面に固定することが好ましい。
1A…浴室空調装置、 2…浴室空調装置本体、 4…フロントパネル、 10…中継用ケーブル線、 12…フロントパネル本体、 14…スピーカ取付フランジ、 20a…吸込口、 20b…吹出口、 20c…排出口、 28…本体ケース、 30…ケーブル線、 30a…オス型コネクタ、 31…スピーカ、 32…スピーカ収容部、 32b…フランジ、 34a…オス型コネクタ、 35a…メス型コネクタ、 36…挿通孔、 37…挿通孔、 38…ゴムパッキン、 39…本体フランジ、 48…ケーブル線、 48a…メス型コネクタ、 84…シール蓋、 88…部材、 90…収容部フランジ、 94…外付けフランジ、 100…空間部、 101…浴室、 116…カバー部材、 118…音声出力孔