JP4972957B2 - 蛍光体、及びそれを用いた発光装置、並びに画像表示装置、照明装置 - Google Patents
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Description
この発光装置は、そこで用いられる蛍光体が、GaN系青色発光ダイオードの発する青色領域の可視光を吸収して黄色光を発光することから、蛍光体に吸収されなかった発光ダイオードの青色光との混色により白色の発光が得られるものである。その蛍光体としては、代表的には、イットリウム・アルミニウム複合酸化物(Y3Al5 O12)を母体と
し、該母体内に発光中心イオンとしてセリウム(Ce)を含有してなる蛍光体が知られている。しかし、この蛍光体は、焼成温度が高い等、製造が容易ではなく、また、温度特性の面でも満足できるものではなかった。
即ち、下記一般式で表されるガーネット結晶構造の化合物を母体とし、該母体内に発光中心イオンを含有してなることを特徴とする蛍光体である。
〔式中、M1' は2価の金属元素、M2’は3価の金属元素、M3’は4価の金属元素
をそれぞれ示し、a’は2.7〜3.3、b'は1.8〜2.2、c'は2.7〜3.3、d'は11.0〜13.0の範囲の数である。〕
上記特許文献1には、2価の金属元素M1'としてのCaが開示され、更にCaの一部がMg、Zn等に置換された蛍光体についても開示されている。このCSS蛍光体は、組成によって緑色から黄色に発光するものであり、GaN系青色発光ダイオードと緑色蛍光体と赤色蛍光体を組み合わせた発光装置の緑色蛍光体としても使用できる高特性の蛍光体である。
[1]CSS蛍光体の発光スペクトルが、標準比視感度曲線(「蛍光体ハンドブック」、オーム社発行、422頁参照。)と一致していないため、CSS蛍光体は発光効率の割に輝度が低いという問題点を有している。[2]CSS蛍光体を含有する発光装置を液晶ディスプレイのバックライトとして使用した場合においては、CSS蛍光体の発光ピーク波長
が、従来の液晶ディスプレイ用カラーフィルターの緑色の透過率の高い波長領域に一致していないため、液晶ディスプレイとしての輝度が低下する傾向にある。また、[3]CSS蛍光体を含有する発光装置を照明として用いた場合では、視感度の低い青緑色の光(510nm以下)の全発光に占める割合が大きいため、エネルギー効率が低下する傾向にある。
即ち、本発明は、以下の要旨からなるものである。
(1)ガーネット構造の化合物を母体とし、該母体内に発光中心イオンの金属元素を含有する下記一般式(I)で表される化合物からなることを特徴とする蛍光体。
〔式(I)中、M1はNa及び/又はLi、M2はCaがM 2 の50モル%以上を占める2価の金属元素、XはCeがXの50モル%以上を占める発光中心イオンの金属元素、M3はXを除くScがM 3 の50モル%以上を占める3価の金属元素、M4はSiがM 4 の50モル%以上を占める4価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、c、d、及びeは、それぞれ以下の式を満たす数である。
0.001≦a≦0.5
2.5≦b≦3.3
0.005≦c≦0.5
1.5≦d≦2.5
e={(a+b)×2+(c+d)×3+12}/2〕
(2)一般式(I)において、0.001≦a≦0.3である(1)に記載の蛍光体。
(3)一般式(I)において、0.02≦c≦0.1である(1)又は(2)に記載の蛍光体。
(4)一般式(I)において、M2がMg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種以上の2価の金属元素である(1)乃至(3)のいずれかに記載の蛍光体。
(5)一般式(I)において、M3がAl、Sc、Ga、Y、In、L、Gd及びLuからなる群から選択される少なくとも1種以上の3価の金属元素である(1)乃至(4)のいずれかに記載の蛍光体。
(6)一般式(I)において、M4がSi、Ti、Ge、Zr、Sn及びHfからなる群から選択される少なくとも1種以上の4価の金属元素である(1)乃至(5)のいずれかに記載の蛍光体。
(7)一般式(I)において、Ce以外の発光中心イオンの金属元素Xが、Mn、Fe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gb、Tb及びTmから選択される少なくとも1種以上の金属元素である(1)乃至(6)のいずれかに記載の蛍光体。
(8)一般式(I)において、M1がNaである(1)乃至(7)のいずれか1項に記載の蛍光体。
(9)一般式(I)において、XがCeである(1)乃至(8)のいずれかに記載の蛍光体。
(10)一般式(I)において、XがCe、M1がNa及び/又はLi、M2がCa又はCa及びMg、M3がSc、M4がSiである(1)に記載の蛍光体。
(11)ガーネット構造の2価の金属元素が占める位置に、Na及び/又はLi並びに3価の発光中心イオンの金属元素が存在する(1)乃至(10)のいずれかに記載の蛍光体。
(12)蛍光体の重量メジアン径が5μm〜30μmである(1)乃至(11)のいずれかに記載の蛍光体。
(13)(1)乃至(12)のいずれかに記載の蛍光体、及び液体媒体を含むことを特徴とする蛍光体含有組成物。
(14)紫外光から可視光の範囲の光を発光する光源と、該光源からの光の少なくとも一部を波長変換し、光源の光よりも長波長領域の光を発光する蛍光体を少なくとも1種以上有する蛍光体含有部とを備える発光装置であって、前記蛍光体として(1)乃至(12)のいずれかに記載の蛍光体を含む、又は前記蛍光体含有部として(13)に記載の蛍光体含有組成物を有することを特徴とする発光装置。
(15)白色系に発光する請求項14に記載の発光装置。
(16)(14)又は(15)に記載の発光装置を含むことを特徴とする画像表示装置。
(17)(14)又は(15)に記載の発光装置を含むことを特徴とする照明装置。
また、明細書における色名と色度座標との関係は、すべてJIS規格に基づく(JISZ8110)。
本発明の蛍光体は、ガーネット構造の化合物を母体とし、該母体内に発光中心イオンとしてセリウム(Ce)を主体とする金属元素を含有する下記一般式(I)で表される化合物からなることを特徴とする。
M1 aM2 bXcM3 dM4 3Oe (I)
〔式(I)中、M1はNa及び/又はLi、M2は2価の金属元素、XはCeを主体とする発光中心イオンの金属元素、M3はXを除く3価の金属元素、M4は4価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、c、d、及びeは、それぞれ以下の式を満たす数である。
2.5≦b≦3.3
0.005≦c≦0.5
1.5≦d≦2.5
e={(a+b)×2+(c+d)×3+12}/2〕
上記一般式(I)において、M1はNa及び/又はLiであるが、Naのイオン半径が、
後述のM2の特に好ましい元素であるCaのイオン半径に近いため、M2の位置への元素置換が有効に行われやすいという点から好ましくはNaである。
群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、特に、CaがM2の50モル%以
上を占めるのが好ましく、95モル%以上を占めるのが更に好ましい。また、Mg及び/又はZnは、前記一般式(I)の表記(M4のモル比率を3とする)における含有モル数が
、0.001モル以上0.5モル以下であることも、後述の電荷バランスの補償の点で好ましい。
れた少なくとも1種であるのが好ましく、Al、Sc、Y、及びLuよりなる群から選択された少なくとも1種であるのがより好ましい。更に、ScがM3の50モル%以上を占
めるのが好ましく、その残余がY及び/又はLuであるのが好ましく、ScがM3の10
0モル%を占めるのが特に好ましい。
r、Sn、及びHfよりなる群から選択された少なくとも1種であるのが好ましく、Si、Ge、及びSnよりなる群から選択された少なくとも1種であるのがより好ましい。更に、SiがM4の50モル%以上を占めるのが好ましく、100モル%であるのが特に好ましい。
Ce3+イオンは、400nm〜500nmの波長領域の可視光線を吸収し、緑色、黄緑色、黄色、橙色の光を発するが、本発明の蛍光体は、Ceの添加量とM1イオンの添加量
の両方を調節することにより、発光色を所望の色に調整することができる。
であり、本発明におけるbは「3」に近い値をとる。また、発光中心イオンの主体としてのCeの結晶中の占有位置は明らかではないが、そのCe3+イオンのイオン半径がCa2+イオンのイオン半径に極めて近いことから、CeがAイオン位置を占めるとすると、bは「3−c」に近い値をとることとなる。一方、本発明におけるM1、及び2価の金属元素のM2の一部がAイオン位置以外に存在する場合や、逆に3価の金属元素のM3や4価の金属元素のM4の一部、或いは後述するフラックス等として添加された1価金属元素がAイ
オン位置に存在する場合も考えられる。また、発光中心イオンの主体としてのCeがBイオン位置に存在することも考えられる。これらを考慮して、b1が2.5〜3.3であれ
ば所望の蛍光体となり得る。
。前記一般式A3B2C3O12におけるBイオンの係数は2であり、本発明における発光中
心イオンの金属元素XがBイオン位置を占めるとすると、dは「2−c」に近い値をとる。また、係数bにおけると同様に、3価の金属元素以外の金属元素のBイオン位置の存在等を考慮すると、dが1.5〜2.5であれば所望の蛍光体となり得る。
である。そこで、酸素イオンが−2の電荷を持つものとし、陽イオンを構成する前記M1
、M2、X、M3、及びM4の各原子価とその係数としての前記a、b、c、d、及び3か
ら、電荷バランスが保たれるように算出することとした。即ち、e={(a+b)×2+(c+d)×3+12}/2である。
Na0.015Ca2.97Ce0.015Sc2Si3O12、
Na0.03Ca2.94Ce0.03Sc2Si3O12、
Na0.05Ca2.9Ce0.05Sc2Si3O12、
Na0.08Ca2.9Ce0.05Sc2Si3O11.985、
Na0.07Ca2.9Ce0.03Sc2Si3O11.98、
Na0.05Ca2.92Ce0.03Sc2Si3O11.99、
Na0.03Ca2.92Ce0.05Sc2Si3O12.01、
Li0.015Ca2.97Ce0.015Sc2Si3O12、
Li0.03Ca2.94Ce0.03Sc2Si3O12、
Li0.05Ca2.9Ce0.05Sc2Si3O12
Li0.015Ca2.92Ce0.02Sc2Si3O12.003、
Li0.02Ca2.92Ce0.03Sc2Si3O12.005、等で表せる蛍光体が好ましい。これらの中でも特に、
Na0.08Ca2.9Ce0.05Sc2Si3O11.985、
Li0.015Ca2.92Ce0.02Sc2Si3O12.003、
等で表せる蛍光体が好ましい。
M1、2価の金属元素である前記M2、Ceを除く3価の金属元素である前記M3、4価の
金属元素である前記M4、及び発光中心イオンとしてのCeを主体とする金属元素X、以
外の元素を含んでいてもよい。それらの元素としては、例えば、蛍光体製造時に結晶成長促進剤(フラックス)として添加されたハロゲン化アルカリ等に由来する、例えば、K、Rb、Cs等のアルカリ金属元素等、Nb、Ta、Sb、Bi等のその他の金属元素、及びハロゲン元素等が挙げられる。
をSc主体の3価の金属元素M3が占め、Cイオン位置をSi主体の4価の金属元素M4が占め、発光中心イオンとしてCe主体の金属元素を含有すると共に、更にNa及び/又はLiの1価の金属元素M1を含むものである。ここで、1価の金属元素は、Aイオン位置
に存在すると予想される。また、発光中心イオンの金属元素Xの主体としてのCeのイオン半径は、Bイオン位置を占める3価の金属元素M3の主体としてのScのイオン半径よ
りもAイオン位置を占める2価の金属元素M2の主体としてのCaのイオン半径に近いた
め、Ceの大部分はAイオン位置に存在していると考えられる。このように、2価の金属元素M2の主体としてのCaが占めるAイオン位置に、1価の金属元素M1と3価のCeが両方存在することにより、電荷のバランスが保たれているものと考えられる。即ち、2価のCa位置に3価のCeが存在することにより生じる正電荷の過剰と、同じく2価のCa位置に1価のNa及び/又はLiが存在することによる正電荷の不足とが、相殺されて、結晶全体として電荷のバランスが保たれるのである。尚、1価の金属元素M1と3価のC
eを主体とした発光中心イオン金属元素の蛍光体中含有量が必ずしも一致しないが、その場合の電荷のバランスは、種々の格子欠陥によって補償されているものと考えられる。
とによっても補償することができる。MgやZnのイオン半径は、Aイオン位置を占める2価の金属元素M2の主体としてのCaのイオン半径よりも、Bイオン位置を占める3価
の金属元素M3の主体としてのScのイオン半径に近いため、MgやZnの大部分はBイ
オン位置に存在している可能性が高いと考えられる。前述の如く、2価の金属元素M2と
してMg及び/又はZnを本発明の蛍光体に共存させることは可能であり、その場合、電荷のアンバランスは、価数の異なる位置を置換した元素全体で補償されると推定される。
結晶中のCeの含有量について調べてみると、Na及び/又はLiを添加することによりCeの結晶中含有量が増加する傾向にあることがわかった。このことは、上記のメカニズムに従って、Na及び/又はLiとCeが結晶中に共に存在していることを示している。逆に言えば、Na及び/又はLiの添加がCeの結晶中のCa位置への固溶を促進しているとも言える。そして、Na及び/又はLiを添加することによる発光スペクトルの長波長シフトは、上に述べたようにNa及び/又はLiが存在することによる結晶場の変化に由来するのと同時に、結晶中に含まれるCeが増加することにより、Ce同士の相互作用によってCeイオンのエネルギー準位がシフトしたためであると考えられる。つまり、本発明の効果を示す添加物はCa位置を置換しうるNa及び/又はLiなどの1価イオンに限られず、MgやZnのようなSc位置を置換しうる2価イオンや、Si位置を置換しうるAl、Ti、Bなどの3価イオンなども同じ効果を示す。よって、これらの効果のある元素を、Na及び/又はLi等の1価イオンと共に添加することが可能である。特にMgとNa及び/又はLiを共存させることが好ましい。
本発明の前記蛍光体は、前記一般式(I)におけるNa及び/又はLiであるM1源の
化合物、2価の金属元素であるM2 源の化合物、3価の金属元素であるM3源の化合物、
及び4価の金属元素M4源の化合物、並びに、発光中心イオンとしてCe等の金属元素X
源の各原料化合物から調製した粉砕混合物を、加熱処理して反応させることにより製造される。
(1)乾式法においては、ハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機を用いて上記の化合物を粉砕した後、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機により混合するか、又は、上記の化合物を混合した後、乾式粉砕機を用いて粉砕する。
(2)湿式法においては、水等の媒体中に上記の化合物を加え、媒体攪拌式粉砕機等の湿式粉砕機を用いて粉砕及び混合するか、又は、上記の化合物を乾式粉砕機により粉砕した後、水等の媒体中に加えて混合することにより調製されたスラリーを、噴霧乾燥等により乾燥させる。
尚、前記混合において、蛍光体の結晶成長の促進や、粒径の制御等を目的として、前記一般式(I)には含まれない金属元素や陰イオンを含有する化合物、所謂、フラックスが添加されてもよい。そのフラックスとしては、例えば、アルカリ金属のハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、各種の硼酸塩化合物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の炭酸塩、各種のリン酸塩等が挙げられる。具体的に化合物の例を列挙すると、LiF、LiCl、NaF、NaCl、KCl、KF、NH4F、NH4Cl、Li2CO3、Na2CO3、Li3PO4、Na3PO4、Na2HPO4、NaHPO4、K3PO4、K2HPO4、KH2PO4、H3BO3、B2O3、Na2B4O7、MgF2、CaF2、SrF2、BaF2、MgCl2、CaCl2、SrCl2、BaCl2、AlF3、YF3等が挙げられる。これらの中では、粒径制御や反応性向上において、フッ化物、塩化物、リン酸塩が、好ましく、特にCaCl2が好ましい。
で焼成を行うことができるが、1200℃〜1500℃が好ましく、1400℃〜1500℃が特に好ましい。焼成雰囲気は、通常、大気、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、水素、アルゴン等の気体の単独或いは混合雰囲気下とする。加熱時間は、10分〜24時間、好ましくは30分〜12時間であり、必要に応じて複数回行うこともある。その際、1回目の加熱の後、粉砕、分散等を再度行ってもよい。
の化合物、及び4価の金属元素M4源の化合物、並びに、発光中心イオンとしてのCe等
の金属元素X源の各原料化合物としては、M1、M2、M3、及びM4、並びにXの各金属元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物等が挙げられる。これらの中から、複合酸化物への反応性、及び、焼成時におけるNOx
、SOx等の非発生性等を考慮して選択される。
Li2CO3、Li(NO3)、LiCl、LiOH、LiCH3COO・2H2O、Li2(C2O4)、LiF、LiBr等が挙げられ、Na源化合物としては、例えば、Na2CO3、Na(NO3)、NaCl、NaOH、NaCH3COO・3H2O、Na2(C2O4)、NaF、NaBrが挙げられる。
料化合物のうち、Mg源化合物としては、例えば、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、Mg(OH)2・3MgCO3・3H2O、Mg(NO3)2・6H2O、MgSO4、Mg(
OCO)2・2H2O、Mg(OCOCH3)2・4H2O、MgCl2、MgF2等が、Ca
源化合物としては、例えば、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、Ca(NO3)2・4H2O、CaSO4・2H2O、Ca(OCO)2・H2O、Ca(OCOCH3)2・H2O、CaCl2、CaF2等が、Sr源化合物としては、例えば、SrO、Sr(OH)2、Sr
CO3、Sr(NO3)2、SrSO4、Sr(OCO)2・H2O、Sr(OCOCH3)2・4H2O、SrCl2・6H2O等が、Ba源化合物としては、例えば、BaO、Ba(O
H)2、BaCO3、Ba(NO3)2、BaSO4、Ba(OCO)2・2H2O、Ba(O
COCH3)2・H2O、BaCl2・2H2O等が、また、Zn源化合物としては、例えば
、ZnO、Zn(OH)2、ZnCO3、Zn(NO3)2、Zn(OCO)2、Zn(OC
OCH3)2、ZnCl2、ZnF2等が、それぞれ挙げられる。
物のうち、Al源化合物としては、例えば、Al2O3、Al(OH)3、AlOOH、A
l(NO3)3・9H2O、Al2(SO4)3、AlCl3、AlF3等が、Sc源化合物としては、例えば、Sc2O3、Sc(OH)3、Sc2(CO3)3、Sc(NO3)3、Sc2(
SO4)3、Sc2(OCO)6、Sc(OCOCH3)3、ScCl3、ScF3等が、Y源化合物としては、例えば、Y2O3、Y(OH)3、Y2(CO3)3、Y(NO3)3、Y2(S
O4)3、Y2(OCO)6、YCl3、YF3等が、また、Lu源化合物としては、例えば、Lu2O3、Lu2(SO4)3、LuCl3、LuF3等が、それぞれ挙げられる。
うち、Si源化合物としては、例えば、SiO2、H4SiO4、Si(OC2H5)4、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OC2H5)3、Si(OCOCH3)4等が、Ge源化合
物としては、例えば、GeO2、Ge(OH)4、Ge(OCOCH3)4、GeCl4等が
、また、Sn源化合物としては、例えば、SnO2、SnO2・nH2O、Sn(NO3)4
、Sn(OCOCH3)4、SnCl4等が、それぞれ挙げられる。
O3、CeO2、Ce(OH)3、Ce(OH)4、Ce2(CO3)3、Ce(NO3)3、C
e2(SO4)3、Ce(SO4)2、Ce2(OCO)6、Ce(OCOCH3)3、CeCl3、CeCl4、CeF3等が挙げられる。
これらの原料化合物は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の発光装置における蛍光体としては、本発明の前記蛍光体を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。本発明の前記蛍光体に加えて、赤色、橙色、黄色等に発光する蛍光体を併用することにより、更に演色性の高い発光装置とすることができる。その際、併用される蛍光体としては、580nm〜780nmの波長領域の光を発光する蛍光体が好ましい。例えば、2価のEuを発光中心イオンとしたものでは、CaS:Eu2+、SrS:Eu2+等の硫化物系蛍光体、Ca2 Si5 N8 :Eu2+、Sr2 Si5 N8 :Eu2+、Ba2 Si5 N8 :Eu2+、CaAlSiN3 :Eu2+、SrAlSiN3 :Eu2+、(Cax”,Sr1-x”)AlSiN3 :Eu2+(0≦x
”≦1)、LaSi3N5:Eu2+等の窒化物系蛍光体、及び、Sr2Si3Al2N6O2:E
u2+、Cax”(Siy”,Al1-y”)12(Oz”,N1-z”)16:Eu2+(0≦x”≦1
、0≦y”≦1、0≦z”≦1)等のオキシ窒化物系蛍光体等が好ましい。また、3価のEuを発光中心イオンとしたものでは、La2 O2 S:Eu3+、Y2 O2 S:Eu3+等のオキシ硫化物系蛍光体、及び、3価のEuにアセチルアセトンやテノイルトリフルオロアセトン等が配位した配位化合物系蛍光体等が好ましい。また、4価のMnを発光中心イオンとしたものでは、3.5MgO・0.5MgF2 ・GeO2 :Mn4+等が好ましい。中でも、Eu2+を発光中心イオンとする硫化物系蛍光体や窒化物系蛍光体は、発光強度が大きいことから特に好ましい。特に、赤色蛍光体の好ましい例としては、例えば、WO2005/052087A1パンフレットに記載されているようなCaAlSiN3:Eu2+、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+、M2Si5N8:Eu2+(Mは、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種以上とする)、Sr2Si3Al2N6O2:Eu2+、LaSi3N5:Eu2+等の窒化物系又は酸窒化物系蛍光体が好ましい。
[蛍光体含有部]
本発明の発光装置は、本発明の蛍光体と、必要に応じて、前述したような他の蛍光体(例えば赤色蛍光体)とを含む蛍光体含有部を、光源上に配置すればよい。この場合、赤色蛍光体は、他の蛍光体とは必ずしも同一の部分中に混合されなくてもよく、例えば、本発明の蛍光体を含有する層の上に赤色蛍光体を含有する層が積層されていてもよい。
使用される封止材料としては、通常、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液又はこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料を用いることができる。
[蛍光体含有層]
本発明の蛍光体含有組成物とは、本発明の蛍光体と、必要に応じて、前述したような他の蛍光体(例えば赤色蛍光体)と、液体媒体とを含むものである。液体媒体としては、蛍光体を分散することができるものであれば特に限定されない。例えば、硬化前の熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、無機系材料等の溶液を用いることができる。具体的には、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂含有溶液;エポキシ樹脂含有溶液;シリコーン樹脂含有溶液;金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液等を挙げることができる。
[発光装置・面発光照明装置]
本発明に係る発光装置は、半導体発光素子等の光源と、前記光源の発する紫外光から可視光の範囲の光を吸収してより長波長の可視光を発する蛍光体とを少なくとも有する発光装置である。演色性の高い発光装置であり、カラー液晶ディスプレイ等の画像表示装置や面発光等の照明装置等の光源として好適である。
光源4の種類は任意であり、表示装置の用途や構成に応じて適当なものを選択することができるが、通常は、配光に偏りがなく、発する光が広く拡散するものを用いることが好ましい。
さらに、LEDのパッケージの材料も任意であり、例えばセラミックスやPPA(ポリフタルアミド)等を適宜用いることができる。ただし、色再現性を向上させる観点からパッケージの色は白色又は銀色が好ましく、また、発光装置1の発光効率を高める観点からは、光の反射率を高められていることが好ましい。
光源は1個を単独で用いてもよく、2個以上を併用してもよい。さらに、光源4は1種のみで用いてもよく、2種以上のものを併用してもよい。
また、光源4は、一つの光源4を、2種類以上の蛍光体を含む蛍光体含有部5で共有しても良い。また、2個以上の蛍光体含有部5を作製し、それぞれに光源4を設けることも可能である。
例えば、蛍光体含有部5に含まれる蛍光体として、本発明の蛍光体と赤色蛍光体とを使用する。蛍光体含有部5は、光源4によって発光された紫外から青色領域の光の一部を吸収して緑色領域及び赤色領域の光を発光する。この蛍光体含有部5を上記の構成を有する発光装置1及び/又は面発光照明装置8に使用して、光源4により発光された青色光と、蛍光体の緑色光、及び赤色光とが混合されて、演色性の高い白色に発光する発光装置1及び/又は面発光照明装置8を提供する。該発光装置及び/又は該面発光照明装置は、例えばJIS規格に沿う電球色、昼白色、昼光色に発光させることが可能である。ここで、電球色、昼白色、昼光色とは、JIS Z9112に定められた蛍光ランプの光源色として規定された色度範囲の発光を指す。
(実施例1)
下記の原料を少量のエタノールと共にメノウ乳鉢に入れ、よく混合した後、120℃のオーブンに入れて乾燥させた。
Sc2O3:0.01モル
SiO2:0.03モル
Ce(NO3)3(水溶液):0.0005モル
Na2CO3:0.0005モル
次いで、乾燥させた原料混合物を白金箔に包み、水素を4体積%含有する窒素ガスを流通させながら、大気圧下、1450℃で3時間加熱することにより焼成し、続いて粉砕を
行った。その後、1mol/Lの塩酸に浸して撹拌し、12時間放置することにより、塩酸可溶性の不純物を除去した。溶けなかった蛍光体と塩酸溶液を分離したのち、水洗処理(水をそそぎ、撹拌したのち、固液分離する工程を繰り返す)を行った。続いて、乾燥後、分級処理を行うことにより蛍光体を製造した。
Sの標準パターンと実施例1で得られた蛍光体の粉末X線回折パターンとの対比を示すチャートである。得られた蛍光体は、粉末X線回折による解析により、図16に示す如く、ガーネット結晶構造の化合物であることが確認された。図10にこの蛍光体の粉末X線回折パターンを示す。
〈Ca、Sc、Si、Ce、及びMgの含有量の測定〉
蛍光体試料を30倍量の炭酸ナトリウムとともに溶融し、希塩酸で溶解、希釈して測定溶液を得て、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES)法で定量した。検量線用溶液は、市販の標準溶液を用い試料溶液と同じ塩濃度となるように作成した。
蛍光体試料に50倍量の過塩素酸とフッ化水素酸(HF)を加え加熱、白煙処理し、塩酸を加えて加熱、希釈して測定溶液を得て、原子吸光(AAS)法によりNaを、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES)法によりLiを定量した。検量線用溶液は、市販の標準溶液を用い試料溶液と同じ酸濃度となるように作成した。
次に、この蛍光体の発光スペクトルを以下に示す方法により測定し、結果を図3に示した。また、ピーク波長を表2に示した。
〈発光スペクトルの測定〉
蛍光測定装置(日本分光社製)において、励起光源として150Wキセノンランプを用いた。キセノンランプの光を10cm回折格子分光器に通し、波長455nmの光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により発生した光を25cm回折格子分光器により分光し、マルチチャンネルCCD検出器(浜松フォトニクス社製「C7041」)によって300nm〜800nmの各波長の発光強度を測定した。続いて、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。
Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標xとyを算出し、結果を表2に示した。また、JIS Z8724に準拠して算出したXYZ表色系における刺激値Yから、後述する比較例1で得られた蛍光体の刺激値Yの値を100%とした相対輝度を算出し、結果を表2に示した。さらに比較例1で得られた蛍光体の発光ピーク強度を100%とした相対発光ピーク強度を算出し、結果を表2に示した。
堀場製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置LA−300を使用して測定した。
(比較例1)
蛍光体製造原料を、M2源化合物としてCaCO3:0.0297モル、M3源化合物と
してSc2O3:0.01モル、及びM4源化合物としてSiO2:0.03モル、並びにX源化合物としてCe(NO3)3(水溶液):0.0003モルとしたこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体を製造し、同様に評価し、結果を表1、2及び図15に示した。
蛍光体製造原料を、蛍光体組成が表1に示す組成となるように用いたこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体を製造し、同様に評価し、結果を表1、2及び図11〜14に示した。尚、実施例2〜5で得られた蛍光体の発光スペクトルを各々図4〜7に示した。
図8は、Na又はLiの添加による相対輝度及び相対発光ピーク強度の関係を実施例のデータから簡単に示したグラフである。横軸にCIE色度座標のx値を、縦軸に相対発光ピーク強度と相対輝度を示している。図8中、◆はLi又はNa無添加の場合の相対輝度、▲はNaを添加した場合の相対輝度、黒塗りした□はLiを添加した場合の相対輝度、◇はLi又はNa無添加の場合の相対発光ピーク強度、△はNaを添加した場合の相対発光ピーク強度、□はLiを添加した場合の相対発光ピーク強度を示す。NaやLiの添加によって色度座標値xが大きくなるにつれて、すなわち、長波長に発光ピークがシフトするにつれて、相対発光ピーク強度と相対輝度がともに上昇したが、輝度の増加幅は、相対発光ピーク強度の増加幅よりも大きかった。これは、標準比視感度曲線と発光スペクトルとの重なりが増加したために、ピーク強度の増加幅と比べて輝度向上が大きくなったものと考えられる。
2 マウントリード
3 インナーリード
4 光源
5 蛍光体含有部
6 導電性ワイヤ
7 モールド部材
8 面発光照明装置
9 拡散板
10 保持ケース
11 LED
12 蛍光体含有部
13 フレーム
14 導電性ワイヤ
15 端子
16 端子
Claims (17)
- ガーネット構造の化合物を母体とし、該母体内に発光中心イオンの金属元素を含有する下記一般式(I)で表される化合物からなることを特徴とする蛍光体。
M1 aM2 bXcM3 dM4 3Oe (I)
〔式(I)中、M1はNa及び/又はLi、M2はCaがM 2 の50モル%以上を占める2価の金属元素、XはCeがXの50モル%以上を占める発光中心イオンの金属元素、M3はXを除くScがM 3 の50モル%以上を占める3価の金属元素、M4はSiがM 4 の50モル%以上を占める4価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、c、d、及びeは、それぞれ以下の式を満たす数である。
0.001≦a≦0.5
2.5≦b≦3.3
0.005≦c≦0.5
1.5≦d≦2.5
e={(a+b)×2+(c+d)×3+12}/2〕 - 一般式(I)において、0.001≦a≦0.3である請求項1に記載の蛍光体。
- 一般式(I)において、0.02≦c≦0.1である請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 一般式(I)において、M2がMg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種以上の2価の金属元素である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 一般式(I)において、M3がAl、Sc、Ga、Y、In、L、Gd及びLuからなる群から選択される少なくとも1種以上の3価の金属元素である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 一般式(I)において、M4がSi、Ti、Ge、Zr、Sn及びHfからなる群から選択される少なくとも1種以上の4価の金属元素である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 一般式(I)において、Ce以外の発光中心イオンの金属元素Xが、Mn、Fe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gb、Tb及びTmから選択される少なくとも1種以上の金属元素である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 一般式(I)において、M1がNaである請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 一般式(I)において、XがCeである請求項1乃至8のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 一般式(I)において、XがCe、M1がNa及び/又はLi、M2がCa又はCa及びMg、M3がSc、M4がSiである請求項1に記載の蛍光体。
- ガーネット構造の2価の金属元素が占める位置に、Na及び/又はLi並びに3価の発光中心イオンの金属元素が存在する請求項1乃至10のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 蛍光体の重量メジアン径(D50)が5μm〜30μmである請求項1乃至11のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の蛍光体、及び液体媒体を含むことを特徴とする蛍光体含有組成物。
- 紫外光から可視光の範囲の光を発光する光源と、該光源からの光の少なくとも一部を波長変換し、光源の光よりも長波長領域の光を発光する蛍光体を少なくとも1種以上有する蛍光体含有部とを備える発光装置であって、前記蛍光体として請求項1乃至12のいずれか1項に記載の蛍光体を含む、又は前記蛍光体含有部として請求項13に記載の蛍光体含有組成物を有することを特徴とする発光装置。
- 白色系に発光する請求項14に記載の発光装置。
- 請求項14又は15に記載の発光装置を含むことを特徴とする画像表示装置。
- 請求項14又は15に記載の発光装置を含むことを特徴とする照明装置。
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