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JP4970935B2 - セラミックス坏土、セラミックス成形体、セラミックス構造体及びこれらの製造方法 - Google Patents

セラミックス坏土、セラミックス成形体、セラミックス構造体及びこれらの製造方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス坏土、セラミックス成形体、セラミックス構造体及びこれらの製造方法に関する。さらに詳しくは、セラミックス構造体の製造に用いられる場合、焼成時にCO2や有害ガスの発生を防止又は低減することによって環境汚染、地球温暖化を防止又は抑制することが可能であるとともに、クラック等の欠陥の少ない、高強度なハニカム構造体を得ることが可能なセラミックス坏土、セラミックス成形体、高強度なセラミックス構造体及びこれらの効率的な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス製品の成形は、一般に、ろくろ成形、押出成形、射出成形、プレス成形、シート成形等の手法を用いられるが、セラミックス原料粉末のみでは、これらの成形に必要な可塑性・保形性等が得られないため、水、有機バインダ等を添加したセラミックス成形原料としたのち、成形されている。例えば、押出成形においては、セラミックス原料、水、有機バインダ等を混練し、可塑性を向上させた成形原料(坏土)を押出成形し、乾燥し、焼成するセラミックス構造体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
セラミックスの成形性は、可塑性や保形性を付与する有機バインダの添加量が多くなるほど、向上する。例えば、押出成形においては、近年需要が増加している、大型の構造体や、セル構造の複雑な構造体を成形するためには、小型あるいは単純構造のセラミックス構造体を製造する場合よりも、成形性の良好な練土(坏土)が必要となり、結果として多くの有機バインダを添加せざるを得ないことになる。
【0004】
しかしながら、有機バインダの添加量が多いと、焼成時に有機バインダは焼失するため、成形時に有機バインダが占有していた空間が欠陥となって構造体としての機械的強度が低下するという問題があった。また、大型の構造体においては、焼成時に有機バインダが燃焼する際、燃焼熱により構造体内部の方が高温となり、構造体の内外温度差による熱応力のために、クラック等の欠陥を発生させ、構造体としての機械的強度を低下させるだけでなく、歩留まりを大幅に低下させるという問題があった。さらに、焼成時に、有機バインダの燃焼によってCO2や有害ガスが発生して大気に放出され、大気汚染や地球温暖化等の環境面で問題となっていた。
【0005】
一方、陶磁器原料としての粘土(蛙目粘土等)は、上述のような有機バインダが含まれなくても成形が可能な可塑性を有している。これが可塑性を発現する要因として、粒子が細かく、形状が扁平又は針状で、水に対して水素結合を生じること等が挙げられる(非特許文献1参照)。そのような特徴を有する化合物を、従来の有機バインダーのように、セラミックス原料粉末に添加することで、セラミックス原料坏土に可塑性を付与することが試みられている(非特許文献2、3参照)。
【0006】
しかし、上述の非特許文献1〜3に開示された、ベントナイト、スメクタイト等の可塑性を有する粘土鉱物は、天然に産出されるものについては不純物が多く、いずれは枯渇することが懸念され、合成品や天然に産出されたものの精製物では、有機バインダに比べて高価である等の問題があった。
【特許文献1】
特許第3227039号公報
【非特許文献1】
粘土ハンドブック第2版(技報堂出版、1987)
【非特許文献2】
人工粘土(人工粘土研究会10周年記念誌)
【非特許文献3】
The Use of Montmorillonites as Extrusion Aids for Alumina, Ceram. Engi. Sci. Proc. 12 [1-2] pp. 33-48 (1991)
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、セラミックス構造体の製造に用いられる場合、焼成時にCO2や有害ガスの発生を防止又は低減することによって環境汚染、地球温暖化を防止又は抑制することが可能であるとともに、クラック等の欠陥の少ない、高強度なセラミックス構造体を得ることが可能なセラミックス坏土、セラミックス成形体、高強度なセラミックス構造体及びこれらの効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によって、以下のセラミックス坏土、セラミックス成形体、高強度なセラミックス構造体及びこれらの効率的な製造方法が提供される。
【0009】
[1]セラミックス形成材料を含有する成形原料を混練することによって得られるセラミックス坏土であって、前記成形原料が、前記セラミックス形成材料に加えて、下記式(I):
[M2+ 1−x3+ (OH)][(COx/2・yHO] (I)
(上記式(I)中、M2+、M3+は、それぞれ2価のカチオン、3価のカチオンを示し、xは、2価のカチオン(M2+)と3価のカチオン(M3+)との合計における3価のカチオン(M3+)の組成割合であって、0.1≦x≦0.4の範囲の値を示し、yは層状複水酸化物中における水のモル数であって、カチオンやxの値に対応した任意の値を示す。)で表される層状複水酸化物を、前記セラミックス形成材料との合計に対して0.5〜10質量%、有機バインダを、前記セラミックス形成材料及び層状複水酸化物の合計100質量部に対して10質量部以下、の割合で含有するものであり、かつ、NGK粘土硬度計にて測定した硬度が4〜18mmであることを特徴とするセラミック坏土。
[0010][2]前記層状複水酸化物が、下記式(II):
Mg1−ZAl(OH)(COZ/2・mHO (II)
(上記式(II)中、zは、MgとAlとの合計におけるAlの組成割合であって、0.1≦z≦0.4の範囲の値を示し、mは、ハイドロタルサイト中における水のモル数であって、zの値に対応した任意の値を示す。)で表されるハイドロタルサイトである前記[1]に記載のセラミックス坏土。
[0011][3]前記層状複水酸化物が、下記式(III):
MgAl(OH)16CO・4HO(III)で表されるハイドロタルサイトである前記[1]に記載のセラミックス坏土。
[0012][4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセラミックス坏土を成形して得られるセラミックス成形体。
[0013][5]ハニカム形状に成形されたハニカム成形体である前記[4]に記載のセラミックス成形体。
[0014][6]前記[4]又は[5]に記載のセラミックス成形体を焼成して得られるセラミックス構造体。
【0015】
[7]セラミックス形成材料を含有する成形原料を混練してセラミックス坏土を得るセラミックス坏土の製造方法であって、前記成形原料として、前記セラミックス形成材料に加えて、下記式(I):
[M2+ 1−x3+ (OH)][(COx/2・yHO] (I)
(上記式(I)中、M2+、M3+は、それぞれ2価のカチオン、3価のカチオンを示し、xは、2価のカチオン(M2+)と3価のカチオン(M3+)との合計における3価のカチオン(M3+)の組成割合であって、0.1≦x≦0.4の範囲の値を示し、yは層状複水酸化物中における水のモル数であって、カチオンやxの値に対応した任意の値を示す。)で表される層状複水酸化物を、前記セラミックス形成材料との合計に対して0.5〜10質量%、有機バインダを、前記セラミックス形成材料及び層状複水酸化物の合計100質量部に対して10質量部以下、の割合で含有するものを用いる、NGK粘土硬度計にて測定した硬度が4〜18mmであるセラミックス坏土の製造方法。
[0016][8]前記層状複水酸化物として、下記式(II):
Mg1−ZAl(OH)(COZ/2・mHO (II)
(上記式(II)中、zは、MgとAlとの合計におけるAlの組成割合であって、0.1≦z≦0.4の範囲の値を示し、mは、ハイドロタルサイト中における水のモル数であって、zの値に対応した任意の値を示す。)で表されるハイドロタルサイトを用いる前記[7]に記載のセラミックス坏土の製造方法。
[0017][9]前記層状複水酸化物として、下記式(III):
MgAl(OH)16CO・4HO (III)
で表されるハイドロタルサイトを用いる前記[7]又は[8]に記載のセラミックス坏土の製造方法。
【0019】
10]前記[7]〜[]のいずれかに記載の方法によって得られた前記セラミックス坏土を、さらに成形してセラミックス成形体を得るセラミックス成形体の製造方法。
【0020】
11]前記セラミックス坏土をハニカム形状に成形して、ハニカム成形体を得る前記[10]に記載のセラミックス成形体の製造方法。
【0021】
12]前記[10]又は[11]に記載の方法によって得られた前記セラミックス成形体を、さらに焼成してセラミックス構造体を得るセラミックス構造体の製造方法。
【0022】
本発明によって、セラミックス構造体の製造に用いられる場合、焼成時にCO2や有害ガスの発生を防止又は低減することによって環境汚染、地球温暖化を防止又は抑制することが可能であるとともに、クラック等の欠陥の少ない、高強度なセラミックス構造体を得ることが可能なセラミックス坏土、セラミックス成形体、高強度なセラミックス構造体及びこれらの効率的な製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的に説明する。
本発明のセラミック坏土は、セラミックス形成材料を含有する成形原料を混練することによって得られるセラミックス坏土であって、前記成形原料が、前記セラミックス形成材料に加えて、層状複水酸化物を、前記セラミックス形成材料との合計に対して0.5〜10質量%、有機バインダを、前記セラミックス形成材料及び層状複水酸化物の合計100質量部に対して10質量部以下、の割合で含有するものであり、かつ、NGK粘土硬度計にて測定した硬度が4〜18mmであることを特徴とするものである。
【0024】
本発明においては、成形原料として、セラミックス形成材料に加えて、層状複水酸化物、有機バインダをさらに含有するものを用いる。その他の成分としては、分散媒としての水、分散剤、造孔剤等を挙げることができる。
【0025】
セラミックス坏土がセラミックス構造体の製造に用いられる場合、セラミックス坏土中のセラミックス形成材料は、セラミックス坏土がセラミックス成形体に成形され、セラミックス成形体の焼成後、セラミックス構造体を構成することになるものである。セラミックス形成材料としては、例えば、アルミナ形成材料、ムライト形成材料、ジルコニア形成材料、コーディエライト形成材料、アルミニウムチタネート形成材料、窒化珪素形成材料、炭化珪素形成材料、窒化アルミニウム形成材料等を挙げることができる。これら形成材料を構成する成分としては、その形成材料に含まれる元素を含む酸化物等を挙げることができ、例えば、コーディエライト形成材料を構成する成分としては、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、マグネシア等の、マグネシウム、アルミニウム及びシリコンからなる群から選ばれる少なくとも一の元素を含む酸化物、水酸化物又は炭酸塩等を挙げることができる。コーディエライト形成材料を構成する各成分の粒径としては、例えば、タルクの場合:0.5〜50μm、カオリンの場合:0.1〜20μm、アルミナの場合:0.1〜20μm、水酸化アルミニウムの場合:0.1〜20μm、シリカの場合:1〜100μm、マグネシアの場合:0.1〜50μmとすることが好ましい。また、各成分の構成割合に関しては特に制限はなく、焼成後の主相がコーディエライトである構成割合であればよい。また、炭化珪素形成材料を構成する成分としては、炭化珪素、炭素、珪素等の、珪素及び炭素からなる群から選ばれる少なくとも一の元素の単体または化合物と、焼結助剤としてのY、Al、MgO、SiO、又はアルカリ土類金属酸化物や希土類酸化物等を挙げることができる。炭化珪素形成材料を構成する各成分の粒径としては、例えば、炭化珪素の場合:0.5〜50μm、珪素の場合:0.1〜20μm、炭素の場合:0.1〜50μm、焼結助剤の場合:0.01〜10μmとすることが好ましい。また、各成分の構成割合に関しては特に制限はなく、焼成後の主相が炭化珪素である構成割合であればよい。さらに、アルミニウムチタネート形成材料を構成する成分としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン等の、アルミニウム及びチタンからなる群から選ばれる少なくとも一の元素の化合物と、焼結助剤としてのカオリン、シリカ、又はアルカリ土類金属酸化物や希土類酸化物アルミニウムチタネート形成材料を構成する各成分の粒径としては、例えば、アルミナの場合:0.05〜20μm、酸化チタンの場合:0.01〜10μm、焼結助剤の場合:0.01〜50μmとすることが好ましい。また、各成分の構成割合に関しては特に制限はなく、焼成後の主相がアルミニウムチタネートである構成割合であればよい。
【0026】
セラミックス形成材料の含有割合は、セラミックス形成材料及び層状複水酸化物の合計に対して50〜99.5質量%とすることが好ましい。50質量%未満であっても問題はないが、得られるセラミックス構造体の組成が、所望のものになりにくくなることがあったり、コスト面で問題となることがあり、99.5質量%を超えると、成形することが困難になることがある。
[0027] 有機バインダは、成形原料を混練して調製されるセラミックス坏土の可塑性、成形性を向上させるために、必要に応じて用いられるものである。また、セラミックス構造体の製造に用いられる場合、その形状を保持する保形剤としての機能を果たすために、必要に応じて用いられるものである。一方、有機バインダは、焼成時にCOや有害ガスの発生による環境汚染、地球温暖化を促進したり、成形時に有機バインダが占有していた空間が欠陥となる、あるいは、セラミックス構造体にクラック等の欠陥を発生させ、セラミックス構造体の強度が低下するという問題があり、その成形原料中の含有量は必要最小限に抑える必要がある。このことから、本発明においては、有機バインダの含有割合を、セラミックス形成材料及び層状複水酸化物の合計100質量部に対して10質量部以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがさらに好ましい。用途によっては、0質量部としてもよい(全く含有させなくてもよい)。
[0028] このような有機バインダとしては、例えば、有機高分子を挙げることができる。具体的には、ヒドロキシプロポキシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。有機バインダは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0029] 本発明においては、有機バインダを用いる場合であっても、上述のように、有機バインダの含有割合を、セラミックス形成材料及び層状複水酸化物の合計100質量部に対して好ましくは、10質量部以下に抑えることによって、セラミックス構造体の製造に用いられる場合、焼成時にCOや有害ガスの発生による環境汚染、地球温暖化を促進したり、成形時に有機バインダが占有していた空間が欠陥となる、あるいは、セラミックス構造体にクラック等の欠陥発生させ、セラミックス構造体の強度が低下するという問題の解消を図っているが、それによって、セラミックス坏土の可塑性、成形性が低下するのを補填するため、成形原料として、セラミックス化機能及び可塑性(成形性)付与機能を併有する、層状複水酸化物をさらに含有したものを用いている。
[0030] 本発明において、層状複水酸化物とは、下記式(I)で示されるものを意味する。
[0031] [M2+ 1−x3+ (OH)][(COx/2・yHO] (I)
【0032】
前記式(I)中、M2+、M3+は、それぞれ2価のカチオン、3価のカチオンを示し、xは、2価のカチオン(M2+)と3価のカチオン(M3+)との合計における3価のカチオン(M3+)の組成割合を(2価のカチオン(M2+)の組成割合は(1−x)となる)示し、通常0.1≦x≦0.4の範囲の値、好ましくは0.2≦x≦0.33の範囲の値を示し、yは層状複水酸化物中における水のモル数を示し、具体的には、カチオンやxの値に対応した任意の値を示す。また、3価のカチオン(M3+)に対する2価のカチオン(M2+)の比の値(M2+/M3+)は1.5/1〜9/1が好ましく、2/1〜4/1がさらに好ましい。この比の値(M2+/M3+)が1.5/1〜9/1であると、成形性を向上させることができる。
【0033】
上述の2価のカチオンとしては、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Zn2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、等の2価の金属イオンを挙げることができ、また、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。上述の3価のカチオンとしては、Al3+、Fe3+、Cr3+、Ti3+、Y3+、Ce3+、Mo3+、等の3価の金属イオンを挙げることができ、また、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる
【0034】
本発明に用いられる層状複水酸化物は、セラミックス形成材料との合計に対して0.5〜50質量%含有されることが好ましく、1〜30質量%含まれることがさらに好ましい。0.5質量%未満であると、十分な成形性が発現しないことがあり、50質量%を超えても問題はないが、得られるセラミックス構造体の組成が、所望のものになりにくくなることがある。また、本発明に用いられる層状複水酸化物を含むセラミックス坏土は、NGK粘土硬度計(日本ガイシ(株)製)にて測定した硬度が4〜18mm、好ましくは、6〜17mmのものである。4mm未満であると、セラミックス構造体の製造に用いられる場合、セラミックス成形体の保形性が低下し、18mmを超えると、成形性が低下する。
【0035】
本発明に用いられる層状複水酸化物は、粒子状であることが好ましい。その粒経は、30μm以下であることが成形性を向上させる観点から好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。また、篩残渣量(所定形状、例えば、ハニカム形状に押出し成形する場合、その押出し用金型のスリット幅の1/3の大きさの目開きの篩を用いる。残渣量を測定する原料を所定の重量計り取り、水を流しながら篩に通す。水を流しても最後まで篩上に残った原料を回収し、乾燥して重量を測定する。篩残渣量とは、この重量の残渣測定に供した原料の重量に対する割合を意味する)が0.05%以下であることが成形性を向上させる観点から好ましく、0.01%以下であることがさらに好ましい。また、不純物の総量が2%以下であることが成形性を向上させる観点から好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。ここで、不純物とは、本発明における層状複水酸化物を構成する元素以外の元素を含有する単体又は化合物を意味する。従って、層状複水酸化物が、例えば、ハイドロタルサイトである場合、ハイドロタルサイトを構成する元素であるMg又はAlを含有する化合物は不純物とはみなされない。このような不純物とみなされる化合物としては、例えば、Fe、TiO、CaO、KO、NaO等を挙げることができる。また、比表面積が0.5〜200m/gであることが成形性を向上させる観点から好ましく、1〜150m/gであることがさらに好ましい。さらに、見掛け比重が0.05〜1g/cmであることが成形性を向上させる観点から好ましく、0.12〜0.4g/cmであることがさらに好ましい。
[0036] 本発明に用いられる層状複水酸化物としては、セラミックス形成材料の種類に応じて、適当な組成の層状複水酸化物を用いることができる。例えば、セラミックス形成材料として、コーディエライト形成材料を用いる場合には、2価のカチオンとしてMg2+、3価のカチオンとしてAl3+を含む層状複水酸化物を用いることができ、窒化珪素形成材料を用いる場合には、その焼結助剤として酸化マグネシウムや酸化イットリウムを用いることから、2価のカチオンとしてMg2+、3価のカチオンとしてY3+を含む層状複水酸化物を用いることができる。アニオンについては層状複水酸化物の合成条件やセラミックスの製造条件に応じて適当なアニオンを選択することができる。なお、本発明に用いられる層状複水酸化物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0037] 本発明に用いられる層状複水酸化物としては、下記式(II)で表されるハイドロタルサイトが、価格、不純物量の観点から好ましい。特に合成品のハイドロタルサイトは、スメクタイト(合成品、鉱物の精製品)等と比較して、安価であることから好ましい。
Mg1−ZAl(OH)(COZ/2・mHO (II)
(上記式(II)中、zは、MgとAlとの合計におけるAlの組成割合を示し(Mgの組成割合は(1−z)となり、COの組成割合は(z/2)となる)、具体的には、通常0.1≦z≦0.4の範囲の値、好ましくは0.2≦z≦0.33の範囲の値を示し、mは、ハイドロタルサイト中における水のモル数を示し、具体的には、zの値に対応した任意の値を示す。)
【0038】
本発明に用いられる層状複水酸化物は、下記式(III)で表されるハイドロタルサイトであることが、成形性が良好であるから、さらに好ましい。
【0039】
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O (III)
【0040】
多孔質のセラミックス構造体の製造に用いられる場合、成形原料中に造孔剤をさらに含有させてもよい。このような造孔剤は、気孔の鋳型となるもので、所望の形状、大きさ、分布の気孔を、ハニカム構造体に形成し、気孔率を増大させ、高気孔率の多孔質ハニカム構造体を得ることができる。このような造孔剤としては、例えば、グラファイト、小麦粉、澱粉、フェノール樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、発泡樹脂(アクリロニトリル系プラスチックバルーン)、吸水性樹脂等を挙げることができる。これらは気孔を形成する代わりに自身は焼失するため、中でも、CO2や有害ガスの発生及びクラックの発生を抑制する観点から、発泡樹脂が好ましい。なお、造孔剤を用いる場合、有機バインダ及び造孔剤の含有割合の合計を、成形原料100質量部に対して10質量部以下、好ましくは、8質量%以下とすることが好ましい。
【0041】
分散媒としての水を含有させる割合は、用いる成形原料によって異なるため一義的に決定することは困難であるが、上述の硬度を有するものとなるように水の量を調整することが好ましい。
【0042】
上述の成形原料を混練する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0043】
本発明のセラミックス成形体は、上述のセラミックス坏土を成形して得られるものである。
【0044】
セラミックス成形体の形状としては特に制限はなく、例えば、シート形状、チューブ形状、レンコン形状、ハニカム形状等を挙げることができる。中でも、ハニカム形状の場合は、ハニカム形状の隔壁によって二つの端面間を貫通して複数のセルが形成されたハニカム成形体として好適に用いられる。ハニカム成形体をDPF等のフィルタ用途に用いる場合は、セルの端部が二つの端面部分で互い違いに目封止されていることが好ましい。セラミックス成形体の全体形状としては特に制限はなく、ハニカム成形体の場合、例えば、円筒状、四角柱状、三角柱状等を挙げることができる。又はハニカム成形体のセル形状(セルの形成方向に対して垂直な断面におけるセル形状)についても特に制限はなく、例えば、四角形、六角形、三角形等を挙げることができる。
【0045】
本発明のセラミックス成形体を作製する方法としては、特に制限はなく、ろくろ成形、押出成形、射出成形、プレス成形、シート成形等の従来公知の成形法を用いることができる。中でも、上述のように調製したセラミックス坏土を、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形する方法等を好適例として挙げることができる。乾燥の方法も特に制限はなく、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の従来公知の乾燥法を用いることができる。中でも、成形体全体を迅速かつ均一に乾燥することができる点で、熱風乾燥と、マイクロ波乾燥又は誘電乾燥とを組み合わせた乾燥方法が好ましい。
【0046】
上述のようにして得られたセラミックス成形体を仮焼(脱脂)することによって仮焼体としてもよい。仮焼とは、成形体中の有機物(バインダ、造孔剤、分散剤等)を燃焼させて除去する操作を意味する。一般に、有機バインダの燃焼温度は100〜300℃程度、造孔剤の燃焼温度200〜800℃程度であるので、仮焼温度は200〜1000℃程度とすればよい。仮焼時間としては特に制限はないが、通常は、1〜10時間程度である。仮焼の雰囲気は、セラミックス形成材料の種類によって、適宜選択され、大気雰囲気、酸素雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、これらを適宜混合した雰囲気、真空雰囲気等を挙げることができる。
【0047】
本発明のセラミックス構造体は、上述のセラミックス成形体(必要に応じて仮焼体)を焼成(本焼成)することによって得られるものである。本焼成とは、仮焼体中の成形原料を焼結させて、所定の強度を確保するための操作を意味する。焼成条件(温度・時間)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。本発明においては、例えば、コージェライト形成材料を用いた場合には、セラミックス成形体を、1300〜1500℃で焼成することが好ましい。1350〜1450℃で焼成することがさらに好ましい。1300℃未満であると、目的の結晶相(例えば、コージェライト)が得られないことがあり、1500℃未満を超えると、融解してしまうことがある。また、炭化珪素形成材料を用いた場合には、セラミックス成形体を、1300〜2500℃で焼成することが好ましい。1350〜2400℃で焼成することがさらに好ましい。1300℃未満であると、目的の結晶相(例えば、炭化珪素)が得られないことがあり、2500℃未満を超えると、分解又は昇華してしまうことがある。さらに、アルミニウムチタネート形成材料を用いた場合には、セラミックス成形体を、1300〜1800℃で焼成することが好ましい。1400〜1700℃で焼成することがさらに好ましい。1300℃未満であると、目的の結晶相(例えば、アルミニウムチタネート)が得られないことがあり、1800℃未満を超えると、融解してしまうことがある。また、焼成の雰囲気は、セラミックス形成材料の種類によって、適宜選択され、大気雰囲気、酸素雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、水素雰囲気、これらを適宜混合した雰囲気、真空雰囲気等を挙げることができる。本発明においては、例えば、コージェライト形成材料やアルミニウムチタネート形成材料を用いた場合には、セラミックス成形体を、大気雰囲気、酸素雰囲気、窒素雰囲気、これらを適宜混合した雰囲気等で焼成することが好ましい。また、炭化珪素形成材料を用いた場合には、セラミックス成形体を、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、これらを適宜混合した雰囲気、真空雰囲気等で焼成することが好ましい。
【0048】
本発明のセラミックス構造体は、上述の方法によって得られるものであり、欠陥やクラックの少ない、高強度なセラミックス(例えば、コーディエライト)を主成分(好ましくは60%以上含有される)とする構造体である。コーディエライトの好適な組成としては、例えば、2MgO・2Al23・5SiO2を挙げることができる。また、アルミナの好適な組成としては、例えば、Al23を、ムライトの好適な組成としては3Al23・2SiO2を、ジルコニアの好適な組成としてはZrO2を、アルミニウムチタネートの好適な組成としてはAl2TiO5を、窒化珪素の好適な組成としてはSi34を、炭化珪素の好適な組成としてはSiCを、窒化アルミニウムの好適な組成としては、AlNを挙げることができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0050】
なお、実施例で得られるセラミックス坏土の成形性(成形不良、口金つまり、つぶれ)のうち、成形不良は、坏土の流れが悪く、それによってリブ又は外壁にササクレが発生していないかを確認することによって評価し、口金つまりは、成形体に押出し方向に連続に発生している切れの有無を確認することによって評価し、つぶれは、目視でのセルつぶれの確認と、片側端面から押出し方向に光を照射し、それを逆の端面から観察し、セルつぶれにより光が透過しないセルの存在有無を確認することによって評価した。また、乾燥切れ(乾燥後に、本来連続であるべきリブ/セルが不連続になっていること)、焼成切れ(焼成後に、本来連続であるべきリブ/セルが不連続になっていること)及び焼成溶け(焼成後に、本来あるべき形状が損なわれていること)は、それぞれ乾燥体と焼成体を目視で外観上の切れの確認、また片側端面から押出し方向に光を照射し、それを逆の端面から観察し製品内部の切れを確認することによって評価した。さらに、実施例で得られるセラミックス構造体が、高強度であることの指標としてのアイソスタティック破壊強度(MPa)及び熱膨張係数(10-6/℃)を測定した。アイソスタティック破壊強度の測定方法は社団法人自動車技術会の自動車規格JASO−M505−87に準拠し、熱膨張係数はJIS R1618に準拠し、押出し方向の熱膨張係数を40℃〜800℃の範囲で測定した。さらに、実施例で得られるセラミックス構造体が焼成時にCO2や有害ガスの発生が低減されることを示す指標として焼成時の重量減少を測定した。焼成時の重量減少の測定方法は、焼成前のハニカム構造体の重量(M1)と焼成後の重量(M2)を測定し、重量減少(%)=〔(M1−M2)/M1〕×100として計算した。
【0051】
(層状複水酸化物の選択)
実施例においては、表1に示す層状複水酸化物(種類:1〜39)を選択して用いた。
【0052】
【表1】
Figure 0004970935
【0053】
(実施例1)
セラミックス形成材料を含有する成形原料を混練することによってセラミックス坏土の圧密体を得、次いで、得られたセラミックス坏土の圧密体を成形してハニカム成形体を得、次いで、得られたハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を得た。すなわち、まず、バッチNo.1として、セラミックス(コージェライト)形成材料としてのカオリン、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム及びシリカ(表2に、それぞれの添加量を質量部で示すとともに、括弧内に粒径を平均粒経(μm)で示す。なお、バッチNo.1には含まれていないがその他のセラミックス形成材料として、炭化珪素、珪素、酸化チタン(ルチル)が含まれるバッチもある)に、層状複水酸化物としてのハイドロタルサイトを添加、混合し(ハイドロタルサイトの成分の含有割合は、セラミックス形成材料との合計に対して10質量%とし、セラミックス組成に近くなるようその他の量を調整した)、これに、バインダーとしてのメチルセルロース(セラミックス形成材料と層状複水酸化物との合計100質量部に対し10質量部)、分散剤として機能する界面活性剤としてのラウリン酸カリウム(セラミックス形成材料と層状複水酸化物との合計100質量部に対し0.2質量部)及び水(セラミックス形成材料と層状複水酸化物との合計100質量部に対し35質量部)を添加して、成形材料とし、これを混練することによってセラミックス坏土の圧密体を得た。この坏土の硬度をNGK粘土硬度計で測定したところ、12mmであった。これを押出成形機にてハニカム形状に成形したところ、口金のつまりや成形不良を発生させることなく、成形することができた。得られたハニカム成形体をマイクロ波及び熱風にて乾燥させ、1420℃で7時間、大気雰囲気中で焼成した。この場合、得られたハニカム構造体に乾燥切れや焼成切れは発生しなかった。また、得られたハニカム構造体の結晶相をX線回折により同定したところ、コージェライトが主相であった。ハニカム構造体のアイソスタティック破壊強度は9MPaであり、熱膨張係数は、0.7×10-6/℃であった。また、焼成時の重量減少は9%であった。以上のことをまとめる意味で、表3に、表2に示すセラミックス形成材料を含有する成形原料の全体の配合を示すとともに、表4に、得られたセラミックス坏土、ハニカム成形体及びハニカム構造体の特性を示す。なお、表4中における記号◎、○、△、×は成形不良、口金つまり、つぶれ、乾燥切れ、焼成切れ、焼成溶けについて、それぞれ次のような評価結果を示す。
(成形不良)◎:成形状態極めて良好、○:外壁に一部ササクレが観察されるも良好、△:内部のリブと外壁両方にササクレが観察され良好ではないが許容できるレベル、×:内部のリブと外壁両方にササクレが観察され許容できないレベル。
(口金つまり)◎:口金つまりなし、○:1リブだけ口金つまり発生、△:複数リブに口金つまり発生も許容できる、×:複数リブに口金つまり発生し許容できない。
(つぶれ)◎:成形時のセルつぶれなく、乾燥後のセル形状が口金スリット形状と相似形、△:成形時にセルつぶれが発生しており、乾燥後のセル形状が口金スリット形状と相似形ではないが、片側端面から押出し方向に光を照射し、それを逆の端面から観察した場合に、セルつぶれにより光が透過しないセルが存在しない、×:成形時にセルつぶれが発生しており、乾燥後のセル形状が口金スリット形状と相似形ではなく、片側端面から押出し方向に光を照射し、それを逆の端面から観察した場合に、セルつぶれにより光が透過しないセルが存在する。
(乾燥切れ)◎:乾燥切れなし、○:端面から1cm未満の表層のみが軽微に切れており乾燥後の端面切断で切れ部を容易に切り落とすことができる、△端面から内部にかけて1cm以上切れているが乾燥後の端面切断で切れ部を切り落とすことができる、×端面から内部にかけて1cm以上切れており乾燥後の端面切断で切れ部を切り落とすことができない。
(焼成切れ)◎:焼成切れなし、×:焼成切れあり。
(焼成溶け)◎:寸法収縮が10%以内で、外観形状が乾燥体の相似形、△:寸法収縮が10%以上で、外観形状が乾燥体の相似形、×:寸法収縮が10%以上で、外観形状が乾燥体の相似形から崩れている。
【0054】
(実施例2〜37、比較例1〜10
実施例1において、成形原料の全体の配合を表3に示すバッチNo.のように変えたものを用いて(例えば、実施例2の場合、表2、3に示すバッチNo.2の配合のものを用いた)、表4に示す特性を有するセラミックス坏土、ハニカム成形体及びハニカム構造体を得たこと以外は実施例1と同様にした。なお、実施例3〜37、比較例2〜10は、セラミックス(コージェライト)形成材料に、層状複水酸化物を添加、混合したものに、造孔材としての発泡樹脂(セラミックス形成材料と層状複水酸化物との合計100質量部に対し表3に示す質量部)を添加した。
【0055】
(実施例3842
実施例1において、成形原料の全体の配合を表3に示すバッチNo.のように変えたものを用いて(例えば、実施例38の場合、表2、3に示すバッチNo.42の配合のものを用いた)、400℃で4時間、大気雰囲気中で仮焼した後、1450℃で2時間、アルゴン雰囲気中で焼成し、表4に示す特性を有するセラミックス坏土、ハニカム成形体及びハニカム構造体を得たこと以外は実施例1と同様にした。なお、実施例3842は、セラミックス(炭化珪素が主成分)形成材料に、層状複水酸化物を添加、混合したものに、造孔材としての発泡樹脂(セラミックス形成材料と層状複水酸化物との合計100質量部に対し表3に示す質量部)を添加した。
【0056】
(実施例4347
実施例1において、成形原料の全体の配合を表3に示すバッチNo.のように変えたものを用いて(例えば、実施例43の場合、表2、3に示すバッチNo.47の配合のものを用いた)、1500℃で4時間、大気雰囲気中で焼成し、表4に示す特性を有するセラミックス坏土、ハニカム成形体及びハニカム構造体を得たこと以外は実施例1と同様にした。なお、実施例4347は、セラミックス(アルミニウムチタネートが主成分)形成材料に、層状複水酸化物を添加、混合したものに、造孔材としての発泡樹脂(セラミックス形成材料と層状複水酸化物との合計100質量部に対し表3に示す質量部)を添加した。
【0057】
【表2】
Figure 0004970935
【0058】
【表3】
Figure 0004970935
【0059】
【表4】
Figure 0004970935
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、化学、電力、鉄鋼、産業廃棄物処理等の種々の分野において、環境汚染、地球温暖化を防止する対策として有効な、各種装置、機器、部材に好適に用いられる。

Claims (12)

  1. セラミックス形成材料を含有する成形原料を混練することによって得られるセラミックス坏土であって、
    前記成形原料が、前記セラミックス形成材料に加えて、下記式(I)で表される層状複水酸化物を、前記セラミックス形成材料との合計に対して0.5〜10質量%、有機バインダを、前記セラミックス形成材料及び層状複水酸化物の合計100質量部に対して10質量部以下、の割合で含有するものであり、かつ、
    NGK粘土硬度計にて測定した硬度が4〜18mmであることを特徴とするセラミック坏土。
    [M2+ 1−x3+ (OH)][(COx/2・yHO] (I)
    (上記式(I)中、M2+、M3+は、それぞれ2価のカチオン、3価のカチオンを示し、xは、2価のカチオン(M2+)と3価のカチオン(M3+)との合計における3価のカチオン(M3+)の組成割合であって、0.1≦x≦0.4の範囲の値を示し、yは層状複水酸化物中における水のモル数であって、カチオンやxの値に対応した任意の値を示す。)
  2. 前記層状複水酸化物が、下記式(II)で表されるハイドロタルサイトである請求項1に記載のセラミックス坏土。
    Mg1−ZAl(OH)(COZ/2・mHO (II)
    (上記式(II)中、zは、MgとAlとの合計におけるAlの組成割合であって、0.10.4の範囲の値を示し、mは、ハイドロタルサイト中における水のモル数であって、zの値に対応した任意の値を示す。)
  3. 前記層状複水酸化物が、下記式(III)で表されるハイドロタルサイトである請求項1に記載のセラミックス坏土。
    Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O (III)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス坏土を成形して得られるセラミックス成形体。
  5. ハニカム形状に成形されたハニカム成形体である請求項4に記載のセラミックス成形体。
  6. 請求項4又は5に記載のセラミックス成形体を焼成して得られるセラミックス構造体。
  7. セラミックス形成材料を含有する成形原料を混練してセラミックス坏土を得るセラミックス坏土の製造方法であって、
    前記成形原料として、前記セラミックス形成材料に加えて、下記式(I)で表される層状複水酸化物を、前記セラミックス形成材料との合計に対して0.5〜10質量%、有機バインダを、前記セラミックス形成材料及び層状複水酸化物の合計100質量部に対して10質量部以下、の割合で含有するものを用いる、NGK粘土硬度計にて測定した硬度が4〜18mmであるセラミックス坏土の製造方法。
    [M2+ 1−x3+ (OH)][(COx/2・yHO] (I)
    (上記式(I)中、M2+、M3+は、それぞれ2価のカチオン、3価のカチオンを示し、xは、2価のカチオン(M2+)と3価のカチオン(M3+)との合計における3価のカチオン(M3+)の組成割合であって、0.1≦x≦0.4の範囲の値を示し、yは層状複水酸化物中における水のモル数であって、カチオンやxの値に対応した任意の値を示す。)
  8. 前記層状複水酸化物として、下記式(II)で表されるハイドロタルサイトを用いる請求項7に記載のセラミックス坏土の製造方法。
    Mg1−ZAlZ(OH)2(CO3Z/2・mH2O (II)
    (上記式(II)中、zは、MgとAlとの合計におけるAlの組成割合であって、0.1≦z≦0.4の範囲の値を示し、mは、ハイドロタルサイト中における水のモル数であって、zの値に対応した任意の値を示す。)
  9. 前記層状複水酸化物として、下記式(III)で表されるハイドロタルサイトを用いる請求項7又は8に記載のセラミックス坏土の製造方法。
    Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O (III)
  10. 請求項7〜のいずれかに記載の方法によって得られた前記セラミックス坏土を、さらに成形してセラミックス成形体を得るセラミックス成形体の製造方法。
  11. 前記セラミックス坏土をハニカム形状に成形して、ハニカム成形体を得る請求項10に記載のセラミックス成形体の製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の方法によって得られた前記セラミックス成形体を、さらに焼成してセラミックス構造体を得るセラミックス構造体の製造方法。
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