JP4969414B2 - 顔料インク用インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Description
<1> 支持体上に、該支持体側から順に、気相法シリカ及び水溶性バインダーを含む第1のインク受容層と、支持体上に付与された後の乾燥時の乾燥風温度Tより高いガラス転移温度T1を有する第1のラテックス、及び前記乾燥風温度Tより低いガラス転移温度T2を有する第2のラテックスを含む第2のインク受容層とを有し、前記第1のラテックス及び前記第2のラテックスの少なくとも一方は、ポリビニルアルコールを含む水溶性高分子の存在下で単量体を重合させて得られた含PVAラテックスである顔料インク用インクジェット記録媒体である。
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体上に、該支持体側から順に、気相法シリカ及び水溶性バインダーを含む第1のインク受容層と、支持体上に付与された後の乾燥時の乾燥風温度Tより高いガラス転移温度T1を有する第1のラテックス、及び前記乾燥風温度Tより低いガラス転移温度T2を有する第2のラテックスを含む第2のインク受容層とが少なくとも設けられており、前記第2のインク受容層に含有される第1のラテックス及び/又は第2のラテックスとして、ポリビニルアルコールを含む水溶性高分子の存在下で単量体を重合させて得られた含PVAラテックスを用いて構成したものである。
写像性の総和は、高いほど望ましいが、好ましくは150以上であり、より好ましくは180以上である。
このときの測定・解析条件は下記の通りである。測定は、インクジェット記録用インクを用いて記録された画像部を印字の主走査方向もしくは副走査方向で行ない、光学くし毎に下記式aにより写像性C値を求めた後、各光学くしでの写像性C値を加算して総和を求めることにより求めることができる。
〈測定・解析条件〉
・写像性C値(%)={(M−m)/(M+m)}×100 ・・・式a
〔式a中、Mは最高波高を、mは最低波高を表す。〕
・測定方法:反射
・測定角度:入射角、受光角ともに60°
第2のインク受容層は、必要に応じて、さらに他の成分を用いて構成されてもよい。
第2のインク受容層に含有される第1のラテックス及び第2のラテックスは、媒質中に分散状態にあるポリマー微粒子であり、例えば、アクリル系エマルジョン、アクリル−スチレン系エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、塩素化ポリオレフィン系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−アクリル等の多元共重合体エマルジョン、SBRラテックス、NBRラテックス、MBRラテックス、カルボキシル化SBRラテックス、カルボキシル化NBRラテックス、カルボキシル化MBRラテックス、水溶性ウレタン系エマルジョン、水溶性ポリエステル系エマルジョン、等が挙げられる。
含PVAラテックスにおける単量体は、一種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、含PVAラテックスの機械的安定性及び配合安定性に優れる点で、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を必須成分とすることが好ましく、この場合のエチレン性不飽和カルボン酸単量体の量は、重合に用いる単量体全量に対して、好ましくは0.5〜20質量%である。
中でも、重合安定性に優れる点で、重合反応と並行して単量体を連続的に反応容器に添加する方法が好ましい。
共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのモノオレフィン単量体;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸モノエチル、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル単量体;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;及び3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム基含有単量体;ビニルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
また、前記カルボン酸ビニルエステル重合体の粘度平均重合度は、通常、50〜8,000であり、好ましくは100〜6,000であり、より好ましくは100〜5,000である。
中でも、重合安定性に優れる点で、重合反応と並行して水溶性高分子を連続的に反応容器に添加する方法が好ましい。
前記アニオン性界面活性剤の例としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルホン酸塩、ポリリン酸塩などが挙げられ、前記ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型又はアルキルエーテル型のものなどが挙げられ、前記カチオン性界面活性剤の例としては、脂肪族アミン塩及びその4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩などが挙げられ、前記両性界面活性剤の例としては、カルボキシベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などが挙げられる。界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。界面活性剤を用いる場合の量は、重合に用いる単量体100質量部に対して、通常は2質量部以下であり、好ましくは0.5質量部以下である。
水性媒体の量は、重合に用いる単量体100質量部に対して、好ましくは90〜900質量部である、より好ましくは100〜500質量部である。
ここでのアルコールには、特に制限はなく、1価及び多価のいずれでもよいが、水溶性のものが好ましい。このようなアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどが挙げられる。アルコールの量は、重合に用いる単量体100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜20質量部である。
アルコールの添加方法には、特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などが挙げられる。中でも、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法が好ましい。
重合開始剤の量は、単量体100質量部に対して、通常は0.05〜5質量部であり、好ましくは0.1〜4質量部である。
重合開始剤の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などが挙げられる。
重合反応を停止した後は、所望により未反応単量体を除去し、またpHや固形分濃度を調整して、含PVAラテックスが得られる。
重合に用いた単量体に由来の重合体に結合したPVA及びPVA以外の水溶性高分子の割合(以下、「グラフト率」ということがある。)は、単量体に由来の重合体に対して、好ましくは0.5〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%であり、特に好ましくは1〜15質量%である。この割合は、0.5質量%以上であると、インク受容層の表面強度が良好で脆性が小さく、50質量%以下であると、ラテックスの粘度上昇が抑えられ、取り扱いやすく、高い光沢及び画像濃度が得られる。
また、第1のラテックス(Lx1)と第2のラテックス(Lx2)との比率(Lx1/Lx2)としては、多孔質膜の作りやすさの点で、80/20〜40/60が好ましく、より好ましくは70/30〜45/55であり、特に好ましくは65/35〜50/50である。
本発明における第1のインク受容層は、気相法シリカの少なくとも1種を含有する。第1のインク受容層は、本発明の効果を損なわない範囲で、気相法シリカ以外の他の無機微粒子を含んでもよい。また、必要に応じて、前記第2のインク受容層も、気相法シリカや他の無機微粒子を含むことができる。
なお、気相法シリカの二次粒子の平均粒径は、希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。また、気相法シリカの一次粒子の平均粒径は、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めることができる。紡錘状粒子の平均粒径は、長径と短径の平均で得られる。
本発明における第1のインク受容層は、水溶性バインダーの少なくとも1種を含有する。水溶性バインダーは、透明性が高く、付与されたインクの浸透性を高める点で有用である。また、必要に応じて、前記第2のインク受容層も、水溶性バインダーを含むことができる。
ポリビニルアルコールの中でも、ケン化度が80%以上の部分ケン化もしくは完全ケン化したものが好ましい。平均重合度の点からは、500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
質量比率Si/PVAは、ヘイズを抑え、高い画像濃度及び光沢感を得つつ、気相法シリカとの混合性、塗液粘度の調整、及び成膜性を維持する点で、2〜5の範囲がより好ましい。
水溶性バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる場合には、架橋反応が迅速である点で、ホウ酸及び/又はその塩が好ましい。ホウ酸には例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸等を使用できる。ホウ酸塩はこれらの可溶性塩が好ましい。具体的には、Na2B4O7・10H2O、NaBO2・4H20、K2B4O7・5H2O、NH4HB4O7・3H2O、NH4BO2等が挙げられる。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許第3017280号明細書、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許第3100704号明細書に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
架橋剤のインク受容層形成用塗布液中における総含有量としては、水溶性バインダー100質量部に対して、5〜40質量部が好ましく、15〜35質量部がより好ましい。架橋剤の含有量が前記範囲であると、水溶性バインダーを効果的に架橋してひび割れ等を防止することができる。
本発明における支持体としては、耐水性支持体であることが好ましい。前記耐水性支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、セロファン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等のフィルム、樹脂被覆紙等が用いられる。
支持体の厚みは、約50〜250μm程度のものが好ましく使用される。
この下引き層は、インク受容層が塗布形成される前に支持体の表面(樹脂被覆紙の場合は被覆樹脂の表面)に塗布、乾燥して設けられるものである。本発明においては、支持体として前記フィルムや樹脂被覆紙を使用する場合に、インク受容層を設ける面に天然高分子化合物や合成樹脂を主体とする下引き層を設けることが好ましい。
これらの天然高分子化合物や合成樹脂の量は、0.1〜2g/m2が好ましい。更に、下引き層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有することが好ましい。また、下引き層を塗布する場合、塗布前に支持体の表面をコロナ放電処理することが好ましい。
本発明におけるインク受容層は、インク受容層形成用塗布液を、支持体上又は該支持体上の既設のインク受容層の上に塗布等して塗布層を形成し、これを乾燥させることにより形成することができる。
具体的には、例えば、本発明のインクジェット記録媒体は、気相法シリカ及び水溶性バインダーを含む第1のインク受容層形成用塗布液と、ガラス転移温度T1を有する第1のラテックス及びガラス転移温度T2を有する第2のラテックスを含む第2のインク受容層形成用塗布液とを、第1のインク受容層形成用塗布液の上に第2のインク受容層形成用塗布液が重層するように、支持体上に同時重層塗布又は逐次塗布することにより塗布層を形成する塗布工程を少なくとも設けることによって好適に作製することができる。
また、ガラス転移温度T1の第1のラテックス及びガラス転移温度T2の第2のラテックスを含む第2のインク受容層形成用塗布液の塗布量としては、固形分換算で0.1〜50g/m2が好ましく、より好ましくは0.5〜3g/m2である。塗布量が前記範囲内であると、塗布膜の乾燥性が良好であり、クラックの発生も回避できる。
ここで、膜面温度は、乾燥時の塗布膜表面の温度であり、放射温度計により測定できる。
次に、顔料インクについて以下に説明する。
本発明のインクジェット記録媒体は、顔料インクを用いて画像記録するための記録材料であり、顔料インクを用いた場合において、特に、優れたインク吸収性を発揮し、光沢性及び写像性が良好で、記録後のブロンジングの発生が抑制された画像を得ることができる。また、脆性も抑制される。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉄などの金属酸化物等に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックを挙げることができる。
また、有機顔料としては、例えば、アゾ染料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジコ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等を挙げることができる。
例えば、シアンインク組成物は、着色剤として、C.I.Pigment Blue 15:3を好ましくは2〜4質量%含み、マゼンタインク組成物は、着色材としてC.I.Pigment Red 122を好ましくは3〜5質量%含み、イエローインク組成物は、着色剤としてC.I.Pigment Yellow 74を好ましくは3〜5質量%含み、ブラックインク組成物は、着色剤としてカーボンブラックを好ましくは2〜5質量%含み、オレンジインク組成物は、着色剤としてC.I.Pigment Orange 43もしくはC.I.Pigment Orange 36を、好ましくは2〜5質量%含み、グリーンインク組成物は、着色剤としてC.I.Pigment green 7もしくはC.I.Pigment green 36を、好ましくは2〜5質量%含んで構成されたものが好ましい。さらに、これらのインク組成物が、浸透剤としてアセチレングリコール化合物を好ましくは0.1〜5質量%含み、かつ水溶性分散剤がスチレン−(メタ)アクリル酸系水溶性樹脂であって、該スチレン−(メタ)アクリル酸系水溶性樹脂をSPMP固形分量換算で顔料に対して好ましくは0.1〜1質量%の割合で含むものを挙げることができる。
加熱加圧する工程に用いられるローラーには、制限はないが、金属ローラー、シリコーンゴムローラーが好ましい。対をなす2本のローラーは、ローラー間に圧力を加えることによりローラーを変形させてニップを形成することができ、画像部を加熱加圧処理できる。例えば2本のローラーを用いて加熱加圧する場合、2本のローラー間の圧力は5MPa以上100MPa以下が好ましく、加熱温度は50℃以上150℃以下が好ましい。
−支持体の作製−
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これに、サイズ剤とアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1%、カチオン化澱粉を対パルプ2%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%、それぞれ添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿して支持体の基紙とした。
・石灰処理ゼラチン ・・・100部
・スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 ・・・2部
・クロム明ばん ・・・10部
下記組成の成分を混合して撹拌し、下層形成用塗布液(第1のインク受容層形成用塗布液)を調製した。
<組成>
・気相法シリカ ・・・100部
(日本アエロジル社製、アエロジル300、1次粒子径:7nm)
・ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー ・・・3部
(第一工業製薬社製、シャロールDC902P、重量平均分子量9000)
・ホウ酸 ・・・5部
・ポリビニルアルコール(PVA−235、(株)クラレ製) ・・・23部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
下記組成中の2種類のラテックスとイオン交換水とを下記の組成にて混合し、上層形成用塗布液(第2のインク受容層形成用塗布液)を調製した。
<組成>
・ラテックス1:PNT7627 ・・・100部
(日本ゼオン社製、PVAグラフトラテックス(主組成:メチルメタクリレート、アクリロニトリル、ブタジエン)、Tg=3℃、固形分30%)
・ラテックス2:DFC3050 ・・・63部
(ジョンソンポリマー社製、アクリル系エマルジョン(PVAグラフトなし)、Tg=99℃、固形分48%)
・イオン交換水 ・・・20部
上記の下引き層が設けられた支持体の下引き層上に、得られた下層形成用塗布液をスライドビード塗布装置により、乾燥固形分が20g/m2になるように塗布し、5℃で30秒間冷却した後、50℃の乾燥風で乾燥した。続いて、この上に、得られた上層形成用塗布液をグラビア塗布装置により、乾燥固形分が0.4g/m2になるように逐次塗布し、35℃の乾燥風で乾燥させた。
このようにして、支持体上に、下層形成用塗布液からなる第1のインク受容層(下層)と上層形成用塗布液からなる第2のインク受容層(上層)とが重層されたインクジェット記録用シートを作製した。
〈1.ブロンジング〉
インクジェット記録用シートに対して、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン社製)を用い、シアンインクを最大インク吐出量にて吐出し、ベタ画像を記録した。得られたベタ画像を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:ブロンジングの発生はほとんど確認できなかった。
○:ブロンジングの発生が若干確認された。
△:ブロンジングの発生が確認されたが、実用上支障のない程度であった。
×:ブロンジングの発生がはっきりと確認できた。
インクジェット記録用シートに対して、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン社製)にて、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)の各インクをそれぞれ最大インク吐出量にて吐出し、ベタ画像を記録した。記録直後、ベタ画像の上にゼロックス用紙C2(富士ゼロックス社製)を重ね、剥離してゼロックス用紙に転写したインク量の程度を目視により観察し、下記評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:転写はなかった。
B:少量の転写がみられた。
C:転写量が多かった。
インクジェット記録用シートに対して、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン社製)を用い、ブラックインクを最大インク吐出量にて吐出してベタ画像を記録した。このとき、ベタ画像が記録された各インクジェット記録用シートを温度10℃、相対湿度20%の恒温恒湿室に1日保管した後、円柱体の曲面に支持体面を接触させて巻きつけ、巻きつけた際に目視によりインク受容層にひび割れが生じた円柱体の直径(φ)を計測した。インク受容層は、巻きつけた円柱の直径が小さいほどひび割れしやすく、ひび割れが発生する限界の円柱の直径を脆性を評価する指標とした。脆性は、ひび割れを起こす直径が小さいほど良好であることを示す。
インクジェット記録用シートをA4サイズに裁断し、裁断して得られたシート試験片を水平で平面の試験台上に2枚重ね合わせて載せた。この際、各シート試験片は、試験台に近い下側のシート試験片のインク受容層の表面と、上側のシート試験片の支持体面が接触するように重ね合わされている。重ね合わせた上側のシート試験片の上から500g/A4サイズの荷重をかけながら、下側のシート試験片を1cm/秒の速度で引き出し、下側のシート試験片のインク受容層表面にできた傷を下記評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:傷の発生は認められなかった。
B:薄い傷が付いたが、実用上許容範囲内であった。
C:傷が認められ、記録後にも傷が目立ち、実用上許容できない程度であった。
インクジェット記録用シートに対して、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン社製)を用いて、下記の画像記録条件でブラック(K)のベタ画像を印字し、測定用サンプルを作成した。
〈画像記録条件〉
・用紙設定:EPSON写真用紙
・印画前調湿:23℃50%RH、6時間以上
・印画後写像性及び正反射強度測定までの乾燥条件:温度23℃、相対湿度50%で24時間乾燥
次いで、各測定用サンプルのベタ画像部を、写像性測定器ICM−1(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS H 8686−2に規定された写像性試験方法に基づき、下記の測定・解析条件のもと写像性C値(%)の測定を行なった。そして、下記式aにより光学くし毎に写像性C値を求め、各光学くしでの写像性C値を加算することにより、写像性の総和を求めた。下記式a中、Mは最高波高を、mは最低波高を表す。なお、写像性の総和は100以上が許容範囲である。
写像性C値(%)={(M−m)/(M+m)}×100 ・・・式a
〜測定・解析条件〜
・測定方法:反射
・測定角度(入射角、受光角):60°
・光学くし:2.0mm、1.0mm、0.5mm、0.25mm、0.125mm
インクジェット記録用シートに対して、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン社製)にて、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),赤(R),緑(G),青(B),ブラック(K)の各インクをそれぞれ吐出して、画像を記録した。このとき、白地部分の75度鏡面光沢度(JIS Z8741に準拠)と、Y,M,C,R,G,B,及びKの75度鏡面光沢度の平均値を求め、下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:両光沢度値が5未満であり、光沢ムラがなく、光沢均一性は良好であった。
B:両光沢度値が5以上15未満であり、実用上支障のない程度であった。
C:両光沢度値が15以上20未満であり、実用限界であった。
D:両光沢度値が20以上であり、光沢ムラがひどく、実用上許容できない程度であった。
実施例1において、ラテックス2(63部)を、ジョンクリル538(PVAグラフトのないアクリル系ラテックス、Tg=66℃ 固形分45%;ジョンソンポリマー社製)66.7部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、評価した。評価結果は下記表1に示す。
実施例1において、逐次塗布後に50℃での乾燥を終了した後、エプソンPX−G930(顔料インク使用のプリンタ)で印画し、その後下記の定着条件にて対ローラーで定着を行なったこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、評価した。評価結果は下記表1に示す。
〜定着条件〜
ローラー :シリコーンゴムローラー
ニップ幅 :100mm
ニップ圧力:50MPa
温度 :120℃
実施例1において、ラテックス1(100部)をカルナバロウラテックス115.4部に代え、かつラテックス2を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。評価結果は下記表1に示す。
実施例1において、ラテックス1(100部)をカルナバロウラテックス115.4部に代え、かつラテックス2(63部)をDFC3050(PVAグラフトのないアクリル系エマルジョン、Tg=99℃、固形分48%、ジョンソンポリマー社製)63部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。評価結果は下記表1に示す。
実施例1において、ラテックス1(100部)をジョンクリル7341(PVAグラフトのないアクリル系ラテックス、Tg=15℃、固形分49%;ジョンソンポリマー製)61.2部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。評価結果は下記表1に示す。
実施例1において、ラテックス2(63部)をジョンクリル734(PVAグラフトのないアクリル系ラテックス、Tg=30℃、固形分42%;ジョンソンポリマー製)71.4部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。評価結果は下記表1に示す。
実施例1において、ラテックス1(100部)をジョンクリル538(PVAグラフトのないアクリル系ラテックス、Tg=66℃、固形分45%;ジョンソンポリマー製)66.7部に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。評価結果は下記表1に示す。
実施例1において、下層中の気相法シリカを湿式シリカ(ファインシールX−37B、凝集粒子径3.7μm、比表面積287m2/g)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用のインクジェット記録用シートを作製し、評価した。評価結果は下記表1に示す。
これに対し、比較例1〜4では、インク吸収性、光沢性及び写像性に劣っているばかりか、ブロンジングの発生及び脆性の抑制の点でも劣っていた。また、PVA等の水溶性高分子存在下で単量体を重合させた含PVAラテックスを用いなかった比較例1〜3では、平滑にならず、光沢均一性及び写像性が大きく低下し、更にブロンジングの発生も抑えられなかった。Tgが乾燥風温度より高いラテックスのみを用いた比較例5では、膜がぼろぼろになって平滑性の高い膜が得られなかった。
Claims (4)
- 支持体上に、該支持体側から順に、気相法シリカ及び水溶性バインダーを含む第1のインク受容層と、支持体上に付与された後の乾燥時の乾燥風温度Tより高いガラス転移温度T1を有する第1のラテックス、及び前記乾燥風温度Tより低いガラス転移温度T2を有する第2のラテックスを含む第2のインク受容層とを有し、前記第1のラテックス及び前記第2のラテックスの少なくとも一方は、ポリビニルアルコールを含む水溶性高分子の存在下で単量体を重合させて得られた含PVAラテックスである顔料インク用インクジェット記録媒体。
- 前記第1のラテックスのガラス転移温度T1は、前記乾燥風温度T+30℃以上であり、前記第2のラテックスのガラス転移温度T2は、前記乾燥風温度T−30℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の顔料インク用インクジェット記録媒体。
- 前記含PVAラテックスは、ポリビニルアルコール(PVA)が単量体の重合体にグラフト重合したPVAグラフト鎖を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の顔料インク用インクジェット記録媒体。
- 前記第2のラテックスは、前記含PVAラテックスであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の顔料インク用インクジェット記録媒体。
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