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JP4969328B2 - 圧縮成形金型及び圧縮成形金型装置 - Google Patents

圧縮成形金型及び圧縮成形金型装置 Download PDF

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Description

本発明は、圧縮成形金型、更に詳しくは、複数のキャビティにおける圧縮圧力のばらつきを効果的に防止可能な圧縮成形金型及び該圧縮成形金型を利用した圧縮成形金型装置に関する。
従来、特許文献1に記載されるように、上金型と下金型とを合わせてできる複数のキャビティ内に、基板又はリードフレームに複数搭載された半導体チップ等のマウント材を載置すると共に、各キャビティ内に熱硬化性樹脂等の封止材料を投入し、各キャビティ内に圧力を付与することで、圧縮成形により樹脂封止を行なう樹脂封止金型(圧縮成形金型)が知られている。
このように、一度の圧縮工程により複数の封止を同時に行うと、(たとえ各キャビティ内の投入樹脂に対して均等な封止圧力を付与しようとしても)各キャビティの間で実際に生じる封止圧力に「ばらつき」が不可避的に発生してしまう。これは、各キャビティ内に投入した樹脂(成形材料)の量的ばらつき、あるいは、被成形品(或いは被成形部)自体の体積のばらつき等によって、圧縮開始時における各キャビティの封止空間(被成型品の体積+投入樹脂の体積)の大きさが変化してしまうからである。
これを解決する方法として、前記特許文献1では、複数のキャビティ間を投入樹脂が自由に流動可能な流路(ランナ)で連結することによって、各キャビティ間の封止圧力を均一化させるようにした構成を開示している(段落0010)。また、同公報においては、各キャビティに圧力を付与するキャビティブロック(押圧ブロック)をそれぞれ独立させて、更に各キャビティブロックを独立したコイルばねにより支持させることによって、各キャビティに付与される封止圧力のばらつきを抑制させるようにした構成も開示されている(段落0011)。
特開2003−133350号公報
しかしながら、前述した各キャビティ間を樹脂が流動可能な流路(ランナ)で連結した樹脂封止装置の場合には、基板又はリードフレームに配置されている半導体チップ等の複数のマウント材の間にスリットが設けられていることが多く、容易に流路を設定できない場合がある。更に、このスリットは、各成形ブロック等の収縮による応力の緩和が主目的であり、これを連結するということは、基板やリードフレーム等の被成型品全体を歪ませる恐れがある。
又、圧縮成形の本来の優位点として、キャビティ内に投入した樹脂の流動を抑え、被形成品の内部構造(ボンディングワイヤ等)への影響を最小限にすることが挙げられるが、流路を設けることにより却って樹脂の流動が誘発され、当該内部構造に悪影響(例えば、ボンディングワイヤの切断、短絡等)を及ぼす恐れもある。加えて、樹脂の粘度によっては、連結した流路を通過する時の圧力損失によってキャビティ間に許容範囲を超える圧力差が残存することも考えられる。
又、各キャビティに圧力を付与するための独立したキャビティブロック(押圧ブロック)がそれぞれコイルバネで支持される樹脂封止装置においては、樹脂封止後の成形品の厚さ精度を維持するため押圧ブロックの押圧面(キャビティ面)の傾きが無い状態(フラットな状態)のままで該押圧ブロックを上下させることが難しく、そのためのガイド構造が別途必要となる。又、押圧ブロックにおける押圧面の面積がある程度以上に大きくなると、1つのコイルバネでは負担を賄い切れず、複数のコイルバネが必要となる場合もある。このような場合に、各ばねの荷重、ばね定数を精度良く確実に揃えることは、1つの押圧ブロックに対してでさえ困難であるにも関わらず、複数の押圧ブロックが存在すれば、更に困難を極める。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであって、一度に複数のキャビティ内において圧縮成形を行ないつつ、各キャビティ間に生じる封止圧力のばらつきを、簡易な構成で精度良く抑えることを目的とするものである。
本発明は、第1の金型と、該第1の金型に対向して配置され、前記第1の金型との間で複数のキャビティを形成可能な第2の金型と、を備える圧縮成形金型であって、前記第2の金型に備えられ、前記複数のキャビティの一部をそれぞれ構成すると共に、前記第1の金型に対して進退動可能に配置された複数の押圧ブロックと、該複数の押圧ブロックを同時に前記第1の金型に対して進退動可能とするベースメンバと、該ベースメンバに立設された一対の支柱部と、該一対の支柱部により両持ち支持されると共に前記押圧ブロックが載置される梁部と、を有し、前記押圧ブロックと前記ベースメンバとの間に介在されることにより、各押圧ブロックを前記ベースメンバに対してそれぞれ独立して変位可能に連結する弾性支持機構と、を備え、且つ前記梁部の、前記押圧ブロックの載置された領域における断面積に対して、前記押圧ブロックの載置領域と前記支柱部での支持領域との間の特定の位置における断面積の方が、より小さく形成されている構成を採用することにより、上記課題を解決するものである。
これにより、各キャビティ間の封止圧力差、即ち、押圧ブロックに付与される圧縮力のばらつきを梁部の撓みによって吸収し、略均一な封止圧力で封止することが可能となる。
また、基本構造が「梁構造」であるため、梁の素材、断面積、支持の仕方、形状、形状の変化態様(特に押圧ブロックの載置領域から支柱部の支持領域に向かうに従って変化する形状の変化態様)、或いは押圧ブロックの載置領域から支柱部の支持領域までの距離等を適宜に設定することにより、各押圧ブロックの載置領域における撓み特性(換言するならば各キャビティ内の成形素材に対する圧縮力の付与特性)を非常に高い設計自由度で高精度にコントロールすることができる。
本発明では、この点に特に着目し、梁部の、前記押圧ブロックの載置された領域における断面積に対して、前記押圧ブロックの載置領域と前記支柱部での支持領域との間の特定の位置における断面積の方を、より小さく形成するようにしたため、梁部の中央付近以外を積極的に撓ませることにより、載置領域に発生する応力を分散させることができる。その結果、梁部の構造に関する設計が容易となるだけでなく、押圧ブロックと梁部との当接性を良好に維持することができ、該押圧ブロックを(傾きを抑えながら)円滑に変位させることができる。
なお、本発明のベースメンバの概念には、いわゆるベースメンバ本体とは別部材であるが、ベースメンバ本体と一体的に動く部材(例えばプレート部材)も含まれる。
本発明には、様々なバリエーションが考えられる。
例えば、前記梁部が、前記押圧ブロックの載置された領域から前記支柱部での支持領域に向かうに従って、その断面積がより減少するような形状に形成されるようにした場合には、梁部の中央部以外に滑らかに応力を分散させることができる。
又、梁部の前記載置領域と支持領域との間に貫通孔を備えるようにしても、本発明の目的を実現できる。
この場合に、当該貫通孔を、前記押圧ブロックの載置された領域から支柱部の支持領域に向かうに従って、その貫通面の幅が増大する形状に形成するようにすると、応力の集中を滑らかに支持領域側にシフト・分散させることができる。
なお、この貫通孔内に当該圧縮成形金型の被成形品をクランプするためのばねを配置するようにすると、空間を有効利用したコンパクトな圧縮成形金型を得ることができる。
本発明は、その趣旨より、第1の金型と、該第1の金型に対向して配置され、前記第1の金型との間で複数のキャビティを形成可能な第2の金型と、を備える圧縮成形金型であって、前記第2の金型に備えられ、前記複数のキャビティの一部をそれぞれ構成すると共に、前記第1の金型に対して進退動可能に配置された複数の押圧ブロックと、該複数の押圧ブロックを同時に前記第1の金型に対して進退動可能とするベースメンバと、該ベースメンバに立設された一対の支柱部と、該一対の支柱部により両持ち支持されると共に前記押圧ブロックが載置される梁部と、を有し、前記押圧ブロックと前記ベースメンバとの間に介在されることにより、各押圧ブロックを前記ベースメンバに対してそれぞれ独立して変位可能に連結する弾性支持機構と、を備え、且つ、前記梁部の、前記押圧ブロックの載置領域と前記支柱部での支持領域との間に、該梁部の撓みを助長する曲げ剛性低減部が形成されている発明と捉えることもできる。
曲げ応力低減部の代表的な構成としては、例えば梁部の表面に凹部を形成する構成が考えられる。
この凹部が、押圧ブロックの載置された領域から前記支柱部の支持領域に向かうに従って、その深さ又は平面視の幅が増大する形状に形成されていると、同様に中央部以外に滑らかに応力を分散させることが可能となる。
凹部の形状は曲げ剛性を低減させることができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、梁の底面や上面に形成される凹部の他、梁の外周を1周するようないわゆる「くびれ」の範疇に含まれるような凹部であっても良い。
この場合に、当該凹部が複数形成され、且つ押圧ブロックの載置された領域から前記支柱部の支持領域に向かうに従って、その形成間隔が狭くなるように形成されていると、同様に滑らかな応力分散を行なうことが可能となる。
なお、本発明においては、このように梁の変形(撓み)をキャビティ内の成形材料の圧縮圧力の制御に積極的に利用するようにしているため、例えば、押圧ブロックの前記ベースメンバに対する前記変位を検出可能な検出手段を付設することにより、梁の変位、即ち成形材料の圧縮圧力を定量的に捉えることができるようになり、圧縮工程の自動管理、あるいは不具合が発生したときの自動検出を良好に実現できるような圧縮成形金型装置に発展させることができる。
本発明によれば、各キャビティ間に生じる圧力差の発生を抑制することができるようになると共に、各梁部の撓み、即ちキャビティ内の成形材料の圧縮圧力を高い設計自由度でコントロールすることができるようになるという効果が得られる。
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した樹脂封止金型(圧縮成形金型)K1の構成図であって、(A)が正面図、(B)が側面図である。
この樹脂封止金型K1は、上金型(第1の金型)10と下金型(第2の金型)20を備える。上金型10は、基板(被成形品)5が所定のタイミングで吸着保持可能とされている。基板5には図示はしないが複数の半導体チップ(マウント材)が配置されている。上金型10は、該上金型10の上部に位置する上部ダイセット30によって支持・固定されている。
下金型20は、上金型10に対向するように配置されている。下金型20は上金型10との間で複数のキャビティ32を形成可能であり、1個の枠状ブロック23と複数の押圧ブロック24とを備える。
枠状ブロック23は、図示せぬコイルばねを介して下部ダイセット(ベースメンバ)40に支持されており、下部ダイセット40に対して上下動可能である。なお、図1の符号31は、基板5をクランプするためのばねである(後述)。下部ダイセット40は、図示せぬプレス機構等により支持されており、上金型10に対して下金型20全体を所定のタイミングで開閉可能な構成とされ、複数の押圧ブロック24を同時に上金型10に対して進退動させることができる。即ち、複数の押圧ブロック24は、枠状ブロック23に設けられた複数の貫通孔23Aにそれぞれ嵌合しており、複数のキャビティ32の一部をそれぞれ構成すると共に、上金型10に対して進退動(ここでは上下動)が可能である。上金型10と、下金型20(枠状ブロック23と押圧ブロック24)とに囲まれて形成される複数の空間がキャビティ32を構成することになる。
押圧ブロック24の下面は、弾性支持機構21を介して下部ダイセット40に連結されている。
弾性支持機構21は、下部ダイセット40に立設した支柱部21Bと該支柱部21Bを連結するように掛けられた梁部21Aとから構成されている。即ち、梁部21Aの両端部は、それぞれ支柱部21Bに両持ち支持されている。押圧ブロック24は、この両持ち支持された梁部21Aの中央の載置領域A0に載置・固定されている。梁部21Aの直下には空隙部21Cが存在している。このため、梁部21Aは撓むことが許容され、弾性体として機能する。梁部21Aは、高精度な加工が可能な部材(例えば鉄など)で構成されている。この結果、押圧ブロック24は、該梁部21Aによりその底面全体を水平に支持された状態で枠状ブロック23内を動くことができる。そのため、押圧ブロック24が枠状ブロック23内を動く際に押圧ブロック24を傾かせるモーメント(枠状ブロック23とこじれるようなモーメント)が殆ど発生しないことがら、押圧ブロック24と枠状ブロック23の円滑な相対変位を確保するための別途のガイド機構は特に設けられていない。
本実施形態における弾性支持機構21は、梁部21A及び支柱部21Bが完全に独立した構成とされているが、例えばこの他にも、各支柱部21Bが一体形成されており、梁部21Aのみが独立していてもよい。即ち、各押圧ブロック24に対応する梁部21Aが独立に撓むことができる限りにおいて、「独立した弾性支持機構」であると言える。この構成により、複数ある押圧ブロック24のうちの1つの押圧ブロックが、梁部21Aを通じて、他の押圧ブロック24が受けた封止圧力の影響を受けることはない。
なお、上部ダイセット30、下部ダイセット40には、それぞれヒータ30H、40Hが装備されており、所定の金型温度制御が可能である。
ここで、図2を参照して梁部21Aの形状についてより詳細に説明する。
図2の(A)は、図1の矢視II部分の拡大平面図、(B)が同拡大正面図である。
この実施形態においては、押圧ブロック24の載置領域A0は、梁部21Aの中点X0に設定されている。なお、押圧ブロック24は所定の底面積を有して梁部21Aに載置・固定されているため、梁部21Aは該載置領域A0内では撓まない。従って、梁部21Aが弾性体として実際に機能する「有効曲げ領域」は、押圧ブロック24の載置領域A0の支柱部側端部X1から支柱部21Bの支持領域A1の載置領域側端部X2迄の符号Aeで示す領域である。本明細書及び特許請求の範囲における「押圧ブロック(24)の載置された載置領域(A0)と支柱部(21A)での支持領域(A1)との間」は、この「有効曲げ領域(Ae)」のことを意味している。なお、図2(B)の符号L1が梁部21Aのスパンの1/2に相当している。
図2の(A)(B)に示されるように、この実施形態では、梁部21Aは、その有効曲げ領域Aeの上面部21A1のほぼ全体が、角度θだけ傾斜している。支持領域A1における梁部21Aの高さ(厚み)H1は、梁部21Aの載置領域A0における高さ(厚み)H0よりも低い(薄い)。即ち、有効曲げ領域Aeにおいては、押圧ブロック24の載置領域A0から支柱部21Bでの支持領域A1に向かうに従って、梁部21Aの断面積Sが、S0、S1、S2、…Sx…Smと滑らかにより減少していく形状に形成されている(S0>S1>S2>…Sx…>Sm)。
更に、有効曲げ領域Aeには、押圧ブロック24が進退動するZ方向に貫通孔29が形成されている。この貫通孔29は、平面視の形状が三角形とされ、載置領域A0から支持領域A1に向かうに従ってその平面視の幅Wが、W1、W2、Wx、…Wmと滑らかにより増大する形状に形成されている(W1<W2<…Wx…<Wm)。
これらの相乗効果により、有効曲げ領域Aeの特定の位置Xでの断面積Sxは、梁部21Aの押圧ブロック24の載置領域A0における断面積S0より小さく形成されている。
又、この実施形態では、貫通孔29の存在を利用して、該貫通孔29内に前述した当該樹脂封止金型K1の被成形品である基板5をクランプするための前記ばね31が配置されている。
次に、図3を用いて、本実施形態における押圧ブロック24の変位の検出系について説明する。
梁部21Aにおける有効曲げ領域Aeのうち最も曲げが大きくなると推定される位置には、変位検出ひずみゲージ45が貼付されている。本実施形態では、変位検出ひずみゲージ50は梁部21Aの上面側に貼付されているが、この場所に限定されるものではなく、要は梁部21Aにおける有効曲げ領域Ae内であれば、キャビティ32内の樹脂が圧縮される際に必ず変位が生じるはずであるから、そのいずれの場所でも差し支えない。また、本実施形態では、変位検出ひずみゲージ45のほかに温度補償用ひずみゲージ47を圧縮の際に歪みの生じない支柱部21B上に貼付し、各変位検出ひずみゲージ45の温度変化による誤差を補正するようにし、検出精度を高めるようにしている。勿論、変位検出ひずみゲージ45も温度補償用ひずみゲージ47も異なる箇所に複数貼付して相互の検出値を補完し合うようにすればより高精度の検出が可能である。
変位検出ひずみゲージ45、温度補償用ひずみゲージ47は、ひずみの発生により自身の抵抗値を変化させるものであるため、当該変化する抵抗値を電圧の変化として取り出すためのホイートストンブリッジ回路60が接続されている。また、ホイートストンブリッジ回路60は、その出力信号を増幅するためのアンプ70を介して演算部80及び制御部90と接続されている。
演算部80は、ホイートストンブリッジ回路60から出力された電気信号を、変位量(梁部21Aの撓み量:押圧ブロック24の下部ダイセット40に対する変位量)へと変換することが可能とされている。例えば予め既知の変位量に対する出力値(ホイートストン回路60からの出力値)を既知情報として記憶させておき、当該記憶させた情報と対比させることで変位量を演算可能に構成する。更に進めて、既知の圧力(キャビティ32に生じる圧力=押圧ブロック24の押圧面24Aに生じる圧力)に対応させれば、被成形品毎に許容可能な圧力ベースでの管理が可能となる。
本実施形態では、弾性支持機構21の梁部21Aにおける断面形状による断面2次モーメントと、弾性支持機構21の材料特性である縦弾性係数及び梁部21Aの長さから、圧力(押圧ブロック24に加わる封止反力)10MPaに対して、梁部21Aが0.2mmの撓み量となるように梁部21Aを設計している。
制御部90には、予め、上記の変位量や圧力の許容範囲を設定し記憶させておくことが可能であり、演算部80による演算結果が当該許容範囲を超えた場合には、所定の処理(例えば、下金型20の進退動の停止、警告ランプの点灯や警告音の発生など)が可能である。
次に、この樹脂封止装置K1の作用を説明する。
図示せぬ供給機構によって、上金型10にこれから樹脂封止しようとする基板(被成形品)5が供給され、上金型10に吸着保持される。一方下金型20側には、図示せぬ供給機構によって封止材料(圧縮材料)としての樹脂が供給される。ここで供給される樹脂は、供給される時点において既に溶融している溶融樹脂(液状樹脂)であってもよいし、未だ溶融していない例えばチップ状、粉状、粒状、板状等の樹脂であってもよい。仮に供給時点で未だ溶融していない場合には、ヒータによって溶融することになる。
その後、枠状ブロック23が上金型10に当接するように図示せぬプレス機構が作動する。枠状ブロック23が上金型10に当接した後も、更に、図示せぬプレス機構が作動することによって、押圧ブロック24は、枠状ブロック23の貫通孔23A内を上金型10側に向って進んで行く。この動作により、投入された樹脂が半導体チップを圧縮しつつ封止することとなる。プレス機構の設定荷重(例えば当該プレス機構と下部ダイセット40との間に配置されたロードセルにより検知している)に達した時点で、該プレス機構は停止される。
一方、当該樹脂封止装置K1においては、1回のプレス動作で、複数の押圧ブロック24によって同時に複数のキャビティ32内で樹脂封止(圧縮成形)が行なわれている。そのため、それぞれの押圧ブロック24における押圧面24Aには各キャビティ32に投入される樹脂量や、各キャビティ32に供給される被成形品自体の体積によって、封止圧力差が生じる可能性がある。即ち、例えば、1のキャビティに投入される樹脂の量が他のキャビティ32よりも多い場合や、また、1のキャビティ32に載置される被成形品自体の体積が大きい場合には、たとえ同じ押し上げ力によって圧縮成形された場合でも、1のキャビティ32に比べてその他のキャビティ32の圧力が相対的に低くなってしまう。この結果、所望の圧力に達しないため、ボイドが残留するなどの成形不良となる。
しかしながら、本実施形態における樹脂封止装置K1においては、各押圧ブロック24は弾性支持機構21のそれぞれの梁部21Aの中央部分で支持されているため、押圧ブロック24における押圧面24Aに封止反力が掛かると、梁部21Aがそれぞれ撓むことによって、各キャビティ32内の圧力差の発生を緩和することが可能となっている。
例えば、本実施形態では、変換パラメータに関する前述の設定により、投入する樹脂の比重を2、各キャビティ32に投入される樹脂量の精度が±50mg程度、キャビティ32の大きさを40mm×60mmと仮定すると、前記樹脂量の誤差に基づく封止部の厚み誤差は±0.01mm程度となる。0.01mm封止部の厚さが変化した場合であっても、押圧ブロック24の押圧面24Aに掛かる封止圧力は本来の封止圧力に加えて、0.5MPa程度しか増加しない。この程度の封止圧力の変化であれば、成形不良となる事はない。
勿論上記の数値は一例を示すものであって、当該数値に限定されるものではなく、封止しようとする被成形品の種類や材質、更に封止材料である樹脂の種類等によって適宜変更可能である。但し、具体的に良好な均圧性を発揮するには、10MPa/mm以上100MPa/mm以下の撓み特性となるように梁部の材質及び形状を設定するのが好ましい。
ここで、図4に梁部21Aの支持領域A1から載置領域A0に至る各位置での応力特性を示す。図4から明らかなように、支持領域A1では撓みが全く無いため、応力は0であるが、この実施形態では、支持領域A1に近いほど梁部21Aの高さHが低減され(H0→H1)、更に、貫通孔29の平面視の幅Wが増大されているため(0→Wm)、支持領域A1に近いほど曲げ剛性が低くなっている。そのため、応力特性は、図4に示すように、有効曲げ領域Aeの支柱部21B側において滑らかな凸状となり、載置領域A0の端部X1から該載置領域A0の中央X0に向かうに従って再び上昇するような特性を呈する。従って、例えば同じ量の材料を使って等断面積の梁部を形成する場合に比べて、載置領域A0での応力を軽減できるようになると共に、載置領域A0付近での梁部21Aの撓みの曲率が大きくなって該載置領域A0における梁部21Aと押圧ブロック24との当接性が改善されるため、それだけ安定した状態で(傾きによるこじれ等を生ずることなく)該押圧ブロック24を枠状ブロック23の貫通孔23A内で変位させることができる。
更に、本実施形態においては、梁部21Aに位置変位ひずみゲージ45を貼付し、梁部21Aの撓み(曲がり)の程度から押圧ブロック24の変位量を検出している。そのため、万が一、弾性支持機構21によっても解消できない程度の圧力差が生じたり、当該弾性支持機構21そのものに何らかの異常(例えば、梁部21Aに降伏点を越えた荷重が掛かることにより梁部21A自体が湾曲する等)が生じたり、枠状ブロック23に対する押圧ブロック24の摺動抵抗が過大となり本来の封止圧力を発生できない等の異常事態が生じた場合でも、速やかにプレス機構の動作を停止させることが可能となっている。その結果、不良品を連続生産してしまうことがない。
なお、上金型10及び下金型20にはヒータ30H、40Hが搭載されており、温度変化が発生し得る環境下にあるため、正確な変位値を検出するためには温度補償を行うことが必要となる。本実施形態では温度補償用ひずみゲージ47を押圧ブロック24の変位によってもひずみが生じない支柱部21B上に貼付しているため、位置変位ひずみゲージ45の検出結果の精度をより向上させることが可能である。
また、副次的な効果として、別途配置される前記ロードセルの異常検出も可能となる。即ち、正常時におけるロードセルの検知結果と当該検出手段の検出結果を対応させておくことにより、ロードセル異常を検出することも可能である。
なお、温度補償用のひずみケージ47は省略しても変位の検出は可能である。貼付する位置も必ずしも支柱部21B上でなくても、他のひずみの生じない位置(例えば、梁部21Aにおける押圧ブロック24の載置領域の反対側の位置)や位置変位ひずみゲージ45の測定値に基づいて相対的なひずみの程度が推定可能な位置に、貼付するようにしても、同様の補償を行うことができ、その分検出精度を高めることができる。
本発明に係る梁部の具体的な形状については、種々のバリエーションが考えられる。図5、図6には、梁部の断面形状のいくつかの例が示されている。
先の実施形態においては、載置領域A0から支持領域A1にかけて徐々に梁部21Aの高さ(厚み)Hを低減すると共に貫通孔29の平面視の幅Wを増大させるようにしていたが、例えば図5の(A)に示されるような階段状に梁部51Aの高さを低減するようにしても、同様な効果が得られる。階段の段数は2以上が好ましいが、1段だけでも相応の効果が得られる。なお、図5(A)のように、複数の階段51A1〜51A3を備えるときは、支柱部51Bの支持領域A1に近づくにしたがって、階段の高さH2〜H4を小さくするように構成すると(H2>H3>H4)、応力分散をより支柱部側にシフトし、且つより効果的に行うことができる。この図5(A)における例の場合、全体としての梁部51Aは、全階段51A0〜51A3を一体物として一部材で形成しても良いし、それぞれ別部材を積層して形成したものであっても良い。別部材で構成するときは素材を変えても良い。
又、貫通孔を形成する場合においても、上述した実施形態においては、単一の貫通孔29を形成すると共に、その平面視の幅Wが支持領域A1に近づくにしたがって大きくなるように設定していたが、例えば図5の(B)に示されるように、貫通孔とせず、梁部52Aの上面または下面(図示の例では上面52A1)に凹部52A2を形成したものであってもよい。この場合も、支柱部52Bの支持領域A1に近づくにしたがって凹部52A2の大きさ或いは深さDをより大きく形成するような構成とすることができる(D1<D2<・・・<Dm)。
更には、図5(C)に示されるように、梁部53Aの全周にわたって帯状の凹部(くびれ)53A1、53A2、・・・53Amを形成しても良い。形成数は複数が好ましいが、1個のみでも良い。また、この場合も、その形成間隔を支柱部53Bの支持領域A1に近づくにしたがって狭くするような構成としても良い。あるいは、凹部53A1、53A2、・・・53Amの大きさ(深さ)を支持領域A1に近づくにしたがって大きくするような構成としても良い。
また、貫通孔や凹部の大きさを平面視で、支持領域に近づくにしたがって大きく形成する場合においても、単一の貫通孔或いは凹部の平面視の幅を増大させる手法のほかに、例えば図6に示されるように、梁部54Aに小径の円形貫通孔(或いは円形凹部)54A1を多数形成するような構成としても良い。この場合も、その形成数(或いは深さ)を支柱部54Bの支持領域A1に近づくにしたがって多く(或いは深く)形成するようにしても良い。この図6の構成では、必要ならば、先の実施形態のように被成型品をクランプするためのばね31を配置する大径の貫通孔54A2を適宜に並設することも可能である。円形貫通孔54A1(あるいは54A2)は、製造(形成)が容易であり、直径、形成数、及び形成位置の設定で応力分散効果を調整できる点で優れる。
なお貫通孔は、上述の例では梁部の鉛直方向に形成していたが、梁部の水平方向に形成しても同様の効果が得られる。
これらの構成は、いずれも、梁部の押圧ブロックの載置領域と支柱部での支持領域との間(有効曲げ領域)に、梁部の撓みを助長する曲げ剛性低減部が形成されていると見なすことができる。
なお、その他の構成については先の実施形態と同一であるため重複説明は省略する。
例えば1の基板やリードフレーム上に複数の半導体チップが搭載された被成形品を、1のプレス機構により1度に圧縮成形する樹脂封止装置の圧縮成形金型として好適である。
本発明の実施形態の一例を示す樹脂封止金型の構成を示す図であって、(A)が正面図、(B)が側面図 図1の矢視II部分の部分拡大を示すもので、(A)が平面図、(B)正面図 位置変位検出手段の構成を示すブロック図 梁部の応力変化特性を示すグラフ 本発明の他の実施形態の例を示す図2(B)相当の正面図 本発明の更に他の実施形態の例を示す図2(A)相当の平面図
符号の説明
5…基板
10…上金型(第1の金型)
20…下金型(第2の金型)
21…弾性支持機構
21A…梁部
21B…支柱部
21C…空隙部
23…枠状ブロック
23A…貫通孔
24…押圧ブロック
24A…押圧面
29…貫通孔
30…上部ダイセット
31…ばね
32…キャビティ
40…下部ダイセット(ベースメンバ)
45…位置変位ひずみゲージ
47…温度補償用ひずみゲージ
60…ホイートストンブリッジ回路
80…演算部
90…制御部
A0…載置領域
A1…支持領域
Ae…有効曲げ領域

Claims (11)

  1. 第1の金型と、
    該第1の金型に対向して配置され、前記第1の金型との間で複数のキャビティを形成可能な第2の金型と、を備える圧縮成形金型であって、
    前記第2の金型に備えられ、前記複数のキャビティの一部をそれぞれ構成すると共に、前記第1の金型に対して進退動可能に配置された複数の押圧ブロックと、
    該複数の押圧ブロックを同時に前記第1の金型に対して進退動可能とするベースメンバと、
    該ベースメンバに立設された一対の支柱部と、該一対の支柱部により両持ち支持されると共に前記押圧ブロックが載置される梁部と、を有し、前記押圧ブロックと前記ベースメンバとの間に介在されることにより、各押圧ブロックを前記ベースメンバに対してそれぞれ独立して変位可能に連結する弾性支持機構と、
    を備え、且つ
    前記梁部の、前記押圧ブロックの載置された領域における断面積に対して、前記押圧ブロックの載置領域と前記支柱部での支持領域との間の特定の位置における断面積の方が、より小さく形成されている
    ことを特徴とする圧縮成形金型。
  2. 請求項1において、
    前記梁部が、前記押圧ブロックの載置領域から前記支柱部での支持領域に向かうに従って、その断面積がより減少する形状に形成されている
    ことを特徴とする圧縮成形金型。
  3. 請求項1または2において、
    前記梁部が、前記載置領域と支持領域との間に貫通孔を備える
    ことを特徴とする圧縮成形金型。
  4. 請求項3において、
    前記貫通孔が、前記押圧ブロックの載置された領域から前記支柱部の支持領域に向かうに従って、その貫通面の幅が増大する形状に形成されている
    ことを特徴とする圧縮成形金型。
  5. 請求項3において、
    前記貫通孔が、複数の円形貫通孔で構成されている
    ことを特徴とする圧縮成形金型。
  6. 請求項3〜5のいずれかにおいて、
    前記貫通孔に、当該圧縮成形金型の被成型品をクランプするためのばねが配置されている
    ことを特徴とする圧縮成形金型。
  7. 第1の金型と、
    該第1の金型に対向して配置され、前記第1の金型との間で複数のキャビティを形成可能な第2の金型と、を備える圧縮成形金型であって、
    前記第2の金型に備えられ、前記複数のキャビティの一部をそれぞれ構成すると共に、前記第1の金型に対して進退動可能に配置された複数の押圧ブロックと、
    該複数の押圧ブロックを同時に前記第1の金型に対して進退動可能とするベースメンバと、
    該ベースメンバに立設された一対の支柱部と、該一対の支柱部により両持ち支持されると共に前記押圧ブロックが載置される梁部と、を有し、前記押圧ブロックと前記ベースメンバとの間に介在されることにより、各押圧ブロックを前記ベースメンバに対してそれぞれ独立して変位可能に連結する弾性支持機構と、
    を備え、且つ
    前記梁部の、前記押圧ブロックの載置領域と前記支柱部での支持領域との間に、該梁部の撓みを助長する曲げ剛性低減部が形成されている
    ことを特徴とする圧縮成形金型。
  8. 請求項7において、
    前記曲げ剛性低減部が、前記梁部の表面に形成された凹部を備える
    ことを特徴とする圧縮成形金型。
  9. 請求項8において、
    前記凹部が、前記押圧ブロックの載置された領域から前記支柱部の支持領域に向かうに従って、その深さまたは大きさが増大する形状に形成されている
    ことを特徴とする圧縮成形金型。
  10. 請求項8または9において、
    前記凹部が、複数形成され、且つ前記押圧ブロックの載置領域から前記支柱部の支持領域に向かうに従って、その形成間隔が狭くなるように形成されている
    ことを特徴とする圧縮成形金型。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の圧縮成形金型に対し、更に、
    前記押圧ブロックの前記ベースメンバに対する前記変位を検出可能な検出手段を備えた
    ことを特徴とする圧縮成形金型装置。
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