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JP4963323B2 - 穿孔された裏側合成樹脂層を有するインクジェット記録材料 - Google Patents

穿孔された裏側合成樹脂層を有するインクジェット記録材料 Download PDF

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JP4963323B2
JP4963323B2 JP2009531823A JP2009531823A JP4963323B2 JP 4963323 B2 JP4963323 B2 JP 4963323B2 JP 2009531823 A JP2009531823 A JP 2009531823A JP 2009531823 A JP2009531823 A JP 2009531823A JP 4963323 B2 JP4963323 B2 JP 4963323B2
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Description

発明の詳細な説明
本発明は、樹脂コーティングされた紙支持体を有する、インクジェット記録方法用の記録材料と、その製造方法とに関する。
記録層用の支持材料として樹脂コーティングされた紙を含む、インクジェット印刷方法用の記録材料は、先行技術で頻繁に記載される。これらの樹脂コーティングされた紙が使用される理由は、写真に匹敵する品質を達成するという要求によることができる。前記紙支持体の或る重要な特性は、それらの平滑で高光沢の表面である。
これらの樹脂コーティングされた原紙は、通常、(共)押出しを介して両面がポリオレフィンでコーティングされる、サイジングされた原紙からなることが好ましい。通常、原紙は、熱可塑性ポリマー〔例えば、低密度ポリエチレンLDPE、エチレン/α−オレフィンコポリマー(LLDPE;いわゆるリニヤ低密度ポリエチレン)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び、ポリプロピレン〕を使用して押出コーティングされる。
前記支持材料を使用する場合には、ポリオレフィン層がインクに対するバリヤーとして作用し、そして、原紙が液体インクを吸収することができないため、そこへ付与される記録層は、高い吸収能力を有する必要があり、これは、例えば、高吸収無機粒子を使用することによって達成することができる。粒度1000nm未満を有する微粒子が、写真品質で必要とされる光沢を保持するために使用される。
これらのいわゆる微小多孔質記録材料(無機微粒子を含む少なくとも1つのインク吸収層と、ポリエチレンコーティングされた紙支持体とからなる)は、例えば、DE10318874A1、DE10020346A1、JP2002−225423A、JP2000−301829A、又はJP2003−034073Aの数多くの特許明細書中に記載される。後者の特許明細書は、少なくとも一面が支持体としての熱可塑性樹脂でコーティングされる原紙とインク吸収層とを含む記録材料を記載しており、ここで、良好なインク吸収を得るために前記支持体は、均一に穿孔(表側から開始される)される。前記材料の不利点は、印刷後での表面不良及び粗悪なイメージ品質である。
記録層の吸収能力を増加させるその他の方法は、膨潤性ポリマー(例えば、ゼラチン又はポリビニルアルコール)を使用することである。主に前記ポリマーを含む後者の記録層は、一般的に、もしあるとしても、ほとんど顔料を含まない。これらの記録材料での不利点は、材料の液体インク吸収が非常に遅いことである。
表側で印刷される微小多孔質記録層が、印刷後直ちにカバーされる場合には、印刷インクカラーの望ましくない転移(「ブリーディング」として知られるプロセスである)が生じる。実際には、印刷されたばかりの印刷物をフィルム包装、アルバムへ置く際に、又は、プリンター中でいくつかの印刷物を重ねる際に、印刷された紙がカバーされる。
ブリーディングの問題を防止する又は減少させるために、インク染料を物理的に又は化学的に定着(fixieren)させる試みがなされた。物理的定着では、層表面が、染料とは対立する電荷を有することが必要となる。インク染料は通常アニオン性であるため、カチオン性化合物及び/又はカチオン変性顔料粒子の助力によって、定着を生じさせる。
EP1270248A1は、カラー受容層に水溶性化合物を加えることによって、ブリーディングの問題を解決することを試みるものであり、その第一の枠組みでは、特定のイオン化エネルギーを有することが必要とされる。これらの化合物としては、ジアルキルチオエーテル、トリアルキルアミン、フェノール、及びチオフェンなどが挙げられる。
従って、本発明の目的は、良好なイメージ品質及び高光沢、並びに、保存の間での良好なブリーディング態様を有する記録材料を提供することである。更に、前記目的は、全てのその他の特性(例えば、耐水性又は光安定性)を保つものである。
本発明のその他の目的は、本発明による記録材料を製造することのできる方法を提供することである。
前記目的は、少なくとも一面が合成樹脂でコーティングされる原紙と、少なくとも1つのイメージ記録層とを含む記録材料であって、
ここで、前記原紙は少なくとも裏側が合成樹脂でコーティングされ、裏側の前記合成樹脂層は、穿孔された孔部(Perforationsloecher)が原紙に及ぶように穿孔されるものとし;そして、
窪み深さ(Eindringtiefe)は、多くても、A+0.75×B(A=合成樹脂層の厚さ、B=原紙の厚さ)であるものとする;
前記記録材料によって達成される。
穿孔された孔部の面積が、0.005〜1.0mm(特に、0.1〜0.6mm)であることが好ましい。
本発明の好ましい実施態様では、合成樹脂層の全体の面積における穿孔された面積の部分/占有率は、10%未満、好ましくは3%未満、特に0.1〜2%である。
穿孔された孔部の数は、50/cm未満(特に、2〜20/cm)であることが好ましい。しかしながら、特に良好な結果は、2〜10/cmの範囲にある数で得られた。
本発明による記録材料を製造する方法は、
以下の:
合成樹脂層で原紙の裏側をコーティングし;
裏側の合成樹脂層を穿孔し、〔ここで、窪み深さは、多くても、A+0.75×B(A=合成樹脂層の厚さ、B=原紙の厚さ)であるものとする〕;そして、
少なくとも1つの多孔質イメージ記録層で原紙の表側をコーティングする;
程を含むことができる。
本発明の好ましい実施態様によると、まず、原紙の表側を合成樹脂でコーティングし、そして、次の工程として、少なくとも1つの多孔質イメージ記録層を表側の合成樹脂層へ付与することができる。
穿孔された孔部は、種々の形状を有することができる。スロット形状(schlitzfoermig)、楕円形、又は円形に穿孔された孔部が特に好ましい。これらは、線状に又は相互に関してオフセットで配置することができる。穿孔された孔部は、合成樹脂層の厚さAに相当する最小限の窪み深さを有する必要がある。しかしながら、前記窪み深さは、A+0.75×B(原紙の厚さB)、特に、A+0.5×Bを超えてはならない。なぜなら、そうでない場合には、材料表面における強度の低下及び劣化が観察されるからである。穿孔は、1つの又はいくつかのロールによって実施されることができ、前記ロールの表面は、ニードル又はナイフ様の隆起部(Erhebungen)が提供される。しかしながら、穿孔は、合成樹脂層の表面にレーザー及び/又はコロナ照射を施すことによって生じさせることもできる。
製造方法のその他の実施態様では、原紙の表側を合成樹脂層でコーティングする前に、その他の機能層(例えば、静電防止層、アンチカール層、又はシートフィード改良層)を、穿孔された裏側の合成樹脂層に付与する。
本発明方法のその他の実施態様において、穿孔される前の裏側の合成樹脂層へ追加の機能層を付与することができる。穿孔は次の工程で実施され、その後、原紙の表側が合成樹脂層でコーティングされて、表側の合成樹脂層が少なくとも1つのイメージ記録層でコーティングされる。
以下の一連の工程に関する実施態様も、本発明により可能である:
− 裏側の合成樹脂層が穿孔された後に、原紙の表側を合成樹脂層でコーティングし、その後、裏側の合成樹脂層をその他の機能層でコーティングして、表側の合成樹脂層をイメージ記録層でコーティングする。
− 原紙の裏側を最初に合成樹脂層でコーティングする。次に、原紙の表側を合成樹脂でコーティングする。次の工程で、裏側の合成樹脂層へ追加の機能層を付与することができる。次に、コーティングされた紙の裏側を穿孔し、そして、表側にイメージ記録層を提供する。
− 原紙の裏側を最初に合成樹脂層でコーティングする。次に、原紙の表側を合成樹脂でコーティングする。次の工程で、裏側の合成樹脂層をその他の機能層でコーティングする。次に、表側の合成樹脂層へイメージ記録層を付与する。最後に、記録材料の裏側を穿孔する。
本発明方法のその他の実施態様では、親水性結合剤(及び、必要により、顔料)を含む層で、原紙の表側をコーティングすることを提供する。原紙の裏側は、次に、穿孔の前に合成樹脂でコーティングされる。
本発明の目的のために、用語「原紙」は、コーティングされていないか、又は、表面がサイジングされた紙として理解される。パルプ繊維に加えて、サイズ剤(例えば、アルキルケテンダイマー、脂肪酸及び/又は脂肪酸塩、エポキシ化脂肪酸アミド、アルケニル又はアルキル無水コハク酸)、湿潤強度剤(例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン)、乾燥強度剤(例えば、アニオン性、カチオン性、又は両性のポリアミド)、蛍光増白剤、充填剤、顔料、染料、消泡剤、並びに、その他の製紙業において公知の助剤(Hilfsmittel)を原紙は含むことができる。原紙は、表面サイジングされることができる。このために適当なサイズ剤としては、例えば、ポリビニルアルコール又は酸化デンプンを挙げることができる。原紙は、長網抄紙機又はヤンキー抄紙機(円網抄紙機)で製造することができる。原紙の坪量は50〜250g/m、特に、80〜180g/mであることができる。原紙は、非圧縮又は圧縮(カレンダー化;geglaettet)した形態で使用することができる。密度0.8〜1.2g/cm、特に0.90〜1.1g/cmを有する原紙が特に好ましい。
パルプ繊維は、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒亜硫酸パルプ(LBSP)、又は、針葉樹晒亜硫酸パルプ(NBSP)であることができる。これらを共に混合することもできる。しかしながら、特に、100%広葉樹パルプ製のパルプ繊維を使用する。リファイニングしていないパルプの平均繊維長さは、0.6〜0.85mm(カヤーニ測定)であることが好ましい。更に、パルプは、パルプの質量に対する、0.05%w/w未満(特に、0.01〜0.03%w/w)のリグニン含有量を有する。
原紙中に使用されることが見込まれる充填剤としては、カオリン、自然形態にある炭酸カルシウム(例えば、石灰石、大理石、又はドロマイト石)、沈降炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、シリカ、酸化アルミニウム、並びにそれらの混合物を挙げることができる。特に好ましいのは、粒子の少なくとも60%が2μmより小さく、多くても40%が1μmよりも小さい粒度分布(Korngroessenverteilung)を有する炭酸カルシウムである。本発明の特別な実施態様において、粒子の約25%が粒度1μm未満を有し、そして、粒子の約85%が粒度(Teilchengroesse)2μm未満を有する粒度分布をもつカルサイトが使用される。
原紙の少なくとも一面に配置される合成樹脂層は、好ましくは熱可塑性ポリマーを含むことができる。このために特に好ましいのは、ポリオレフィン〔例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレンコポリマー(例えば、エチレン/α−オレフィンコポリマー(LLDPE)又はエチレン/酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、及びそれらの混合物〕、並びに、ポリエステルである。
合成樹脂層は、白色顔料(例えば、二酸化チタン)、並びに、その他の助剤(例えば、蛍光増白剤、染料、及び分散剤)を含むことができる。合成樹脂層のコーティング重量は、5〜50g/m、特に10〜45g/mであることができる。合成樹脂層は、単一層として押出されるか、又は、多層として共押出されることができる。押出コーティングは、600m/分までの機械速度で実施することができる。
本発明のその他の実施態様では、合成樹脂層はポリマーフィルム又は二軸延伸ポリマーフィルム(biaxial orientierte Polymerfolie)であることができる。特に好ましいのは、多孔質コア層(poroesen Kernschicht)と、前記コア層の少なくとも一面に配置される未着色もしくは白着色された孔のない表面層と、を有するポリエチレンあるいはポリプロピレンフィルムである。押出工程において、ポリマーフィルムを原紙上にラミネートすることができ、この場合には、プライマー剤(例えば、ポリエチレン)を同時に使用することができる。ポリマーフィルムは、表及び/又は裏側へラミネートすることができる。
本発明によると、合成樹脂層は、原紙の少なくとも裏側へ付与することができる。
本発明の好ましい実施態様では、原紙の裏側を、透明な(つまり、色素を有さない)ポリオレフィン、特に、ポリエチレンでコーティングする。LDPE及びHDPEのポリエチレン混合物が特に好ましく、ここで、LD/HDの量の割合は、9:1〜1:9(特に3:7〜7:3)である。裏側の合成樹脂層中に使用されるHDPEは、0.935g/cm より大きい密度を有する。裏側の合成樹脂層のコーティング重量は、5〜50g/m 、10〜50g/m 特に、10〜45g/m あることができるか、あるいは、その他の好ましい実施態様では、20〜45g/mであることができる。裏側の合成樹脂層の厚さは、3〜48μm(特に、9〜38μm)の範囲であることが好ましい。
本発明のその他の好ましい実施態様では、原紙の表側は、密度0.935g/cm 以下(好ましくは0.910〜0.930g/cm と、メルトフローインデックス1〜20g/10分とを有する低密度ポリエチレン(合成樹脂層に対する)少なくとも50%w/w、特に、80%w/wを含む合成樹脂でコーティングされる。表側の合成樹脂層は、層の質量に対する、20%w/wまでの(特に、2〜10%w/w)白色顔料を含むことができる。
表側の合成樹脂層のコーティング重量は、5〜50g/m 、特に、10〜50g/m好ましくは、10〜30g/m あることができる。好ましくは、表側の合成樹脂層の厚さは、5〜47μmで(特に、9〜28μm)であることができる。
支持材料の裏側は、その他の機能層(例えば、静電防止層、アンチカール層、記録材料の裏側の印刷適性を改良する層、又は、プリンターへのシート供給を改良する層)を有することもできる。機能層は、裏側の合成樹脂層が穿孔される前か、又は、穿孔された後に付与することができる。これらは、ラテックス含有結合剤(例えば、スチレン/ブタジエンラテックス、スチレン/アクリレートラテックス)及び、必要により、追加の化合物(例えば、つや消し剤、スペーサー、顔料、染料、架橋剤、及び湿潤剤)を組み込むことが好ましい。しかしながら、その他の結合剤(例えば、ポリビニルアルコール又はセルロース誘導体)も使用することができる。機能層のコーティング重量は、0.05〜3g/m(特に、0.1〜2g/m)であることが好ましい。
本発明のその他の実施態様では、親水性結合剤を含むその他の層を、原紙と合成樹脂層との間に配置することができる。この目的のために特に適当なのは、フィルム形成デンプン(例えば、熱変性(thermisch modifiziert)デンプン、特に、トウモロコシデンプン又はヒドロキシプロピル化デンプン)である。本発明の好ましい実施態様では、ブルックフィールド粘度(25%溶液、50℃/100rpm)が50〜600mPas、特に、100〜400mPas、好ましくは、200〜300mPasの範囲にある、低粘性デンプン溶液を使用する。ブルックフィールド粘度は、ISO2555に従って測定される。結合剤は、合成ラテックスを含まないことが好ましい。合成結合剤を含まない結果として、予備加工せずに材料廃棄物を再利用することができる。
親水性結合剤を含む層は、好ましくは、その他のポリマー(例えば、ポリアミドコポリマー及び/又はポリビニルアミンコポリマー)を含むことができる。使用されるポリマーの量は、顔料の質量に対して0.4〜5%w/wであることができる。好ましい実施態様によると、前記ポリマーの量は、0.5〜1.5%w/wである。
親水性結合剤を含む層は、原紙の表側上、又は、原紙の裏側上に直接配置することができる。前記親水性結合剤を含む層は、単一層又は多層として原紙に付与することもできる。コーティング化合物を、製紙産業で通常使用される全てのアプリケーション集成装置(Auftragsaggregaten)を使用して、インライン又はオフラインで付与することができ、この場合には、乾燥後の層あたりのコーティング重量が、多くても20g/m、特に8〜17g/mであるか、あるいは、好ましい実施例によると2〜6g/mであるように、量が選択される。
原紙と表側の合成樹脂層との間に配置される層は、好ましくは、顔料を含むことができる。顔料は、金属の酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩、亜硫酸塩、及び硫酸塩の群から選択することができる。例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム及び/又は硫酸バリウムの顔料であることが特に好ましい。
顔料粒子の少なくとも70%が1μm未満のサイズである狭い粒度分布を有する顔料が特に好ましい。本発明の効果を達成するためには、顔料の総量に対する、狭い粒度分布を有する顔料の割合が、少なくとも5%w/w(特に、10〜90%w/w)であることが好ましい。特に良好な結果は、顔料の総重量の30〜80%w/wの割合で達成することができる。
本発明によると、狭い粒度分布を有する顔料とは、顔料粒子の少なくとも約70%w/wが約1μm未満のサイズを有し、そして、これらの顔料粒子の40〜80%w/wにおいて、最も大きい粒度(直径)を有する顔料と最も小さい粒度を有する顔料との差が約0.4μm未満である粒度分布を有する顔料として理解されたい。約0.7μmのd50%値を有する炭酸カルシウムが特に有利であることが分かった。
本発明の特別な実施態様では、前記炭酸カルシウムとカオリンとからなる顔料混合物が使用される。炭酸カルシウム/カオリンの量比(Mengenverhaeltnis)は、30:70〜70:30であることが好ましい。
層における結合剤/顔料の量比は、0.1〜2.5、好ましくは、0.2〜1.5であるが、特に、約0.9〜1.3であることができる。
本発明の好ましい実施態様では、次の工程で表側が合成樹脂層でコーティングされ、続いて、少なくとも1つのイメージ記録層が提供される前に、原紙の裏側、あるいは、親水性結合剤及び顔料を含む層でコーティングされる原紙の裏側を、合成樹脂層でコーティングして穿孔することができる。穿孔工程は、ロールによって実施することができ、前記ロールの表面には、ニードル又はナイフ様の隆起部が提供される。この一連の工程の利点は、穿孔された孔部の端部が表側の合成樹脂層に転写されないので、その結果、これらが、表面の品質に悪影響を及ぼさないことである。
本発明の樹脂コーティングされた紙支持体材料は、基本的に、全てのイメージ記録層にとって適当である。しかしながら、樹脂コーティングされた紙支持体材料は、無機及び/又は有機顔料微粒子と親水性結合剤とを含む多孔質イメージ記録層用で特に使用される。本発明のイメージ記録層の適当な顔料としては、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水酸化物(Aluminiumoxidhydroxid)、酸化アルミニウム水和物(Aluminiumoxid-Hydrat)、二酸化シリコン、水酸化マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。インク受容層中の顔料の量は、乾燥した層の重量に対して、40〜95%w/w(好ましくは、60〜90%w/w)であることができる。
インク受容層の顔料の粒度分布は、1000nm未満であることが好ましいが、特に、50〜500nmである。一次粒子の平均粒度は、100nm(特に、50nm)未満であることが好ましい。
インク受容層は、水溶性及び/又は水分散性結合剤を含む。適当な結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、完全に又は部分的にけん化したカチオン変性ポリビニルアルコール、シリル基含有ポリビニルアルコール、アセタール基含有ボリビニルアルコール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、スチレン/ブタジエンラテックス、及びスチレン/アクリレートラテックスを挙げることができる。完全に又は部分的にけん化したポリビニルアルコールが特に好ましい。結合剤の量は、乾燥した層の重量に対する、60〜5%w/w、好ましくは、50〜10%w/wであることができるが、特に、35〜8%w/wであることができる。
インク受容層は、従来の添加剤及び助剤〔例えば、架橋剤、イオン及び/又は非イオン界面活性剤、染料定着剤(例えば、ポリアンモニウム化合物)紫外線吸収剤、酸化防止剤、並びに、耐光性及び耐ガス性を改良するその他の剤、並びに、その他の助剤〕を含む。
インク受容層のコーティング重量は、5〜60g/m、好ましくは、10〜50g/m、特に好ましくは、20〜40g/mであることができる。
イメージ記録層は、単一層又は多層からなることができる。本発明の特別な実施態様では、イメージ記録層は、インク吸収下方層及び染料定着上方層を含むことができる。
本発明のインク吸収下方層の適当な顔料としては、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水酸化物、酸化アルミニウム水和物、シリカ、硫酸バリウム、及び二酸化チタンなどを挙げることができる。酸化アルミニウム系及び/又は酸化アルミニウム水酸化物系の顔料が、下方層では特に好ましい。前記顔料をカチオン変性することができる。インク吸収層中の顔料の濃度は、乾燥した層の重量に対する、65〜95%w/w、好ましくは、約70〜90%w/wである。
好ましくは、インク吸収層中の顔料の粒度分布は、70〜1000nm、好ましくは、130〜400nm、特に好ましくは、150〜350nmの範囲であることができる。インク吸収層中の顔料の平均粒度は、240〜350nm(好ましくは、270〜330nm)であることができる。
本発明の染料定着層(farbstofffixierende Schicht)中の適当な顔料としては、例えば、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、シリカ、硫酸バリウム、及び二酸化チタンを挙げることができる。染料定着層中の顔料の濃度は、70〜95%w/w、好ましくは、約80〜90%w/wであることができる。
好ましくは、染料定着層中の顔料の粒度分布は、50〜200nm、好ましくは、70〜120nmの範囲であることができる。好ましくは、染料定着層中の顔料の平均粒度は、70〜120nm、好ましくは100nmであることができる。
インク吸収及び染料定着層は、水溶性及び/又は水分散性ポリマー結合剤を含む。適当な結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、完全に又は部分的にけん化したカチオン変性ポリビニルアルコール、シリル基含有ポリビニルアルコール、アセタール基含有ボリビニルアルコール、酢酸基含有ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、スチレン/ブタジエンラテックス、及びスチレン/アクリレートラテックスを挙げることができる。染料定着及びインク吸収層における結合剤の量は、乾燥した層の重量に対して、それぞれ5〜35%w/w、好ましくは、10〜30%w/wである。
両方の層は、従来の添加剤及び助剤(例えば、界面活性剤、架橋剤、及び染料定着剤)を含むことができる。
インク吸収及び染料定着層のコーティング重量は、10〜60g/m、好ましくは、20〜50g/mであることができる。
本発明のその他の実施態様では、追加の層(例えば、保護層又は光沢改良層)をイメージ記録層に付与することができる。コーティング重量は、1g/m未満であることが好ましい。
《原紙の製造》
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するためのものである:
原紙の製造にユーカリパルプを使用した。パルプは、36SRのろ水度までリファイナーを使用して、約5%水性懸濁液(高濃度パルプ)としてリファイニング(mahlen)された。平均繊維長さは、0.64mmであった。低濃度パルプ中のパルプ繊維濃度は、パルプ懸濁液に対して1%w/wである。例えば、0.48%w/wの量の中性サイジング剤アルキルケテンダイマー(AKD)、0.36%w/wの量の湿潤強度剤ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(Kymene(商標))、及び10%w/wの量の天然CaCOの添加剤を低濃度パルプへ添加した。
これらの示される量は、パルプ質量に対する量である。pH値が約7.5に設定される低濃度パルプを、ヘッドボックスから製紙機のスクリーン(製紙機のワイヤーセクション中で、ウェブの脱水を伴うシート形成が実施される)へもたらされた。ウェブ重量に対する含水量60%w/wまで、紙ウェブをプレスセクション中で更に脱水した。追加の乾燥が、加熱された乾燥シリンダーを有する製紙機の乾燥セクション中で実施された。これにより得られる原紙は、坪量160g/mと水分約7%とを有していた。
《実施例1》
40%w/wの低密度ポリエチレン(LDPE,d=0.923g/cm)と60%の高密度ポリエチレン(HDPE,d=0.964g/cm)とを含む、顔料を含まない合成樹脂混合物で、原紙の裏側をラミネーター中にコーティングした。コーティングをラミネーター中に、押出速度250m/分で実施した。層の厚さは、17μmであった。押出処理後に、裏側の合成樹脂層を、ロール(その表面は、ニードル様の小さい隆起部が取り付けられた)によって穿孔した。穿孔部の窪み深さは、47μmであった。
前記方法で加工される紙支持材料の表側を、130m/gの特定表面を有するアルミニウム酸化物90%w/wと、88モル%のけん化度(Verseifungsgrad)を有するポリビニルアルコール9.9%w/wと、ホウ酸0.1%w/wとを含む水性コーティング化合物でコーティングした。スロットダイコーター(Schlitzgiesser)によって、コーティング化合物を付与した。得られたインク受容層のコーティング重量は、30g/mであった。
《実施例2》
原紙の裏側を、実施例1と同じように合成樹脂層でコーティングして、そして、穿孔した。穿孔工程後で、低密度ポリエチレン(LDPE,0.923g/cm)71%w/wと、TiOマスターバッチ(50%w/wLDPE及び50%w/wTiO)16%w/wと、その他の添加剤(例えば、蛍光増白剤、ステアリン酸カルシウム、及び青色顔料)13%w/wとを含む合成樹脂混合物で、原紙の表側を、約250m/分の速度のラミネーター中にコーティング重量約17g/mでコーティングした。表側の合成樹脂層の厚さは17μmであった。次に、実施例1と同じように、表側の合成樹脂層にインク受容層を付与した。
《実施例3》
原紙の表側を、以下に詳細に特定されるコーティング化合物でコーティングした。コーティング化合物(固形分(Feststoffgehalt):21%w/w、pH値=8.0、粘度:50mPas)をサイズプレスによって付与した。乾燥後のコーティング重量は、6.5g/mであった。
コーティング化合物は以下の成分を含んでいた:
Figure 0004963323

*) 固形分25%w/wを有する溶液について、50℃/100RPM/spindle2で測定される、C−film07302(Cargill)/粘度234mPas。
**) 1μm未満の顔料粒子85%を有するCaCO(Covercarb(商標)85−ME,OMYA)。
***) 1μm未満の顔料粒子65%を有するカオリン(Lithoprint(商標)EM,OMYA)。
実施例1の合成樹脂層を、顔料コーティングされた前記原紙の裏側へ付与して、穿孔した。合成樹脂層の厚さは34μmであった。穿孔された孔部は、窪み深さ64μmを有する。穿孔工程に続いて、顔料コーティングされた原紙の表側を、実施例2と同じようにラミネーター中に合成樹脂層でコーティングした。続いて、実施例1と同じように、表側をインク受容層でコーティングした。
《実施例4》
実施例2と同じように製造されたが、けん化度98モル%を有するポリビニルアルコール70%w/wと、コロイドシリカ29.9%w/wと、ホウ酸0.1%w/wとを含む水性コーティング化合物で、裏側の合成樹脂層をコーティングする点で異なった。得られたコーティングのコーティング重量は、1g/mであった。続いて、実施例2と同じように、裏側を穿孔して、表側を合成樹脂層でコーティングして、そして、インク受容層でコーティングした。
比較例
《比較例1》
実施例2と同じように記録材料を製造したが、裏側の合成樹脂層は穿孔しなかった。
《比較例2》
実施例4と同じように記録材料を製造したが、裏側の合成樹脂層を穿孔しなかった。
《比較例3》
実施例2と同じように記録材料を製造したが、裏側でなく表側を穿孔した点で異なる。
《比較例4》
実施例2と同じ製造を行ったが、顔料を含まない、ポリビニルアルコール含有インク受容層を付与した点で異なる。
実施例及び比較例により製造される記録材料の試験。
《転移態様(ブリーディング)の測定》
本発明の記録紙は、HP8250インクジェットプリンターで印刷され、そして、色の位置ずれ(Farbortverschiebung)に関して試験された。
転移は、a)外観的に、又は、b)色測定において、のいずれかで評価されることができ、ここで、表に列挙される数値は色測定データに関する:
a)白色であって印刷されていない領域とインクジェットプリンターを介して強く着色された領域との間の縁領域において、印刷された紙の表側がカバーされるスタック印刷の場合に、染料の転移は、印刷されていない領域の望ましくない着色に基づいて視覚的に検知され、そして、限定的なプルーフサンプルに基づいて評価される。
b)より確実な評価は、微小多孔質(mikroporoesen)インクジェット記録紙上へのスーパーインポージングインジェット試験印刷(Testdrucke mit Tintenstrahldrucker)によって達成される。その他の試験記録紙(この場合、試験されるべき本発明の記録紙)の裏側で検査されるべき印刷された記録紙をカバーし、そして、「スタック」を保管(24時間)した後、規定された測定領域の着色値が、印刷紙について測定された。更に、カバーされていない紙のアナログ印刷された測定領域の着色値が測定された。カバーされたサンプルとカバーされていないサンプルとの間の得られる色差(ΔEとして表示される)が、転移についての指標である。小さいΔE値は、スタックにおける色の転移傾向が低いことを示す。ΔE値は、4つの基調色、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックについての平均化された値である。これらは、以下の式:
ΔE=(L1−L2)+(a1−a2)+(b1−b2)
で計算されることができる。
Gretag MacBeth Spectrolinoカラー測定デバイスを使用して測定を実施した。
本発明の工程及び本明細書中に記載される試験は、微小多孔質インクジェット紙用のみで使用されることができる。バインダー中に豊富なカラー受容層が本発明の紙支持材料へ付与され、そして、印刷後にカバーされて保管される場合には、紙の印刷された側が、それを覆っている紙の裏側へ粘着する;従って、転移を評価することができない。
《試験結果》
Figure 0004963323

Claims (13)

  1. 少なくとも裏側が合成樹脂でコーティングされる原紙と、前記原紙の表側に付与される少なくとも1つの多孔質イメージ記録層とを含む記録材料であって
    側の前記合成樹脂層のみが、穿孔された孔部が原紙に及ぶように、穿孔されること、
    穿孔された孔部の窪み深さが、多くてもA+0.75×B(ここで、Aは合成樹脂層の厚さであり、Bは原紙の厚さである)であること、合成樹脂層の全体の面積における穿孔された面積の割合が、0.1〜2%であること、そして、穿孔された孔部の面積が、0.005〜1.0mm であることを特徴とする、前記記録材料。
  2. 原紙が、充填剤をパルプ質量に基づく40%w/wまで含むことを特徴とする、請求項1に記載の記録材料。
  3. 親水性結合剤を含むその他の層を、原紙と合成樹脂層との間に配置することを特徴とする、請求項1又は2のいずれか一項に記載の記録材料。
  4. その他の層が、金属の酸化物、ケイ酸塩、炭酸塩、亜硫酸塩、及び硫酸塩の群からの顔料を含むことを特徴とする、請求項に記載の記録材料。
  5. イメージ記録層が、無機微粒子及び親水性結合剤を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の記録材料。
  6. 少なくとも裏側が合成樹脂層でコーティングされる原紙と、少なくとも1つの多孔質イメージ記録層とを含む記録材料を製造する方法であって:
    原紙の裏側を合成樹脂層でコーティングし;
    裏側の合成樹脂層を穿孔し〔ここで、穿孔された孔部の窪み深さは、多くてもA+0.75×B(A合成樹脂層の厚さであり、B原紙の厚さである)であり、合成樹脂層の全体の面積における穿孔された面積の割合が、0.1〜2%であり、そして、穿孔された孔部の面積が、0.005〜1.0mm であるものとする〕;そして、
    原紙の表側を少なくとも1つの多孔質イメージ記録層でコーティングする;
    工程を含むことを特徴とする、前記方法。
  7. 原紙の表側に合成樹脂層を設置し、その上に、少なくとも1つの多孔質イメージ記録層を付与することを特徴とする、請求項に記載の方法。
  8. 原紙の少なくとも一面に、親水性結合剤及び顔料を含む層を提供することを特徴とする、請求項又はに記載の方法。
  9. 裏側の穿孔された層へその他の機能層を付与することを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の方法。
  10. 機能層が、水溶性及び/又は水分散性結合剤並びに顔料を含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
  11. 結合剤が、スチレン/ブタジエンラテックス、スチレン/アクリレートラテックス、ポリビニルアルコール、及び/又はセルロース誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  12. 機能層のコーティング重量が、0.05〜3g/mであることを特徴とする、請求項〜1のいずれか一項に記載の方法。
  13. イメージ記録層が、無機微粒子及び親水性結合剤を含むことを特徴とする、請求項〜1のいずれか一項に記載の方法。
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