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JP4957359B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両用のステアリング装置に関する。
車両用のステアリング装置においては、運転者の操舵負荷を軽減することを目的とした動力舵取装置が知られている。従来、動力舵取装置は、油圧式のパワーステアリング装置が広く使用されていた。しかしながら、近年の自動車の高効率化の傾向にしたがって、油圧式のパワーステアリング装置から、効率のよい電動パワーステアリング装置に置き換えられる場合が多くなってきている。
電動パワーステアリング装置はステアリングシャフトに発生する操舵トルクに基づいて操舵補助力を付与するモータを駆動するモータ電流指令値が演算され、モータ電流指令値に基づいてモータ電流が制御される構成を備えている。
一方、舵取り機構を備えた車両用のステアリング装置には、ステアリングホイールの操作により直接に舵取り機構を操作するもののほか、ステアリングホイールの操作で発生した操舵トルクに基づいて操舵補助力を付与するモータを駆動し、舵取り機構を操作するものがある。
図10は従来のピニオン・ラック式舵取り機構100の構成の一例を説明する図であって、エンジン101の回転出力は、変速機102、アクスル軸103を経てタイヤホイール104のハブに伝達され、タイヤ105を駆動する。
アクスル軸103に略平行に、ステアリングギヤボックス105が配置されており、図示されていないが、内部にはピニオン・ラック機構が配置されている。ステアリングホイールから延長されたステアリングシャフト110の先端は、ピニオン・ラック機構のピニオンに連結され、ピニオンに噛合して車幅方向(ラック軸方向)に移動可能に配置されたラックの端部にはタイロッド106が接合されている。タイロッド106の端部であるタイロッドエンド107は、ボールジョイント108を介してナックルアーム109の一端に接続されており、ナックルアーム109の他端は、タイヤホイールを回転自在に保持するナックル110を経てタイヤホイール104に連結されている。
ステアリングシャフト110の回転によりピニオンが回転すると、ピニオンに噛合するラックを介してタイロッド106は車幅方向に移動する。タイロッド106の車幅方向の移動は、タイロッドエンド107、ボールジョイント108、ナックルアーム109、ナックル110を経てタイヤホイール104に伝達され、操向車輪を所望の方向に転舵する(特許文献1参照)。
そして、電動パワーステアリング装置では、コラムアシストタイプの電動パワーステアリング装置においては、ステアリングシャフトの途中に設けたウォーホイールをモータで駆動してステアリングシャフト110に操舵補助力を付与する構成となっており、ピニオンアシストタイプの電動パワーステアリング装置においては、前記ピニオンをモータで駆動してステアリングシャフト110に操舵補助力を付与する構成となっている。
特開2006−273144号公報
従来の舵取り機構では、ナックルアームの長さを長くすれば、梃子の原理で操向車輪の転舵操作を軽くすることができるから、パワーステアリング装置から供給する操舵補助力を、従来のものよりも少なく抑えることが可能となる。
しかしながら、タイロッドエンドとナックルアームとは、タイヤホイールの内側に接近する位置で連結されているから、タイヤホイールの最大転舵角付近では、タイロッドエンドとタイヤホイールとが干渉しやすくなる。このため、従来は、ナックルアームの長さは舵取り機構の設計において所定の一定の長さに設定されており、ステアリング操作の状況に応じてナックルアームの長さを長くして操向車輪の転舵操作を軽くしたり、操舵補助力を小さく抑えるという発想そのものがなかった。
この発明は、ナックルアームの長さをステアリング操作の状況に応じて可変として、操向車輪の転舵操作を軽くし、操舵補助力を従来のものよりも少なく抑えることができるステアリング装置を提供することを目的とするものである。
この発明は上記課題を解決するもので、請求項1の発明は、ステアリングホイールから延長されたステアリングシャフトの一端に装着されたピニオンと、車幅方向に摺動自在に保持されて前記ピニオンに噛合するラックと、前記ラックの車幅方向両端部に設けられたタイロッドと、前記タイロッドの先端部に連接されるタイロッドエンドと、タイヤホイールを回転自在に保持するナックルと、前記タイロッドエンドとナックルとを連結するナックルアームとを備えるステアリング装置において、前記ナックルアームはその長さを変更できるアクチュエータを備え、前記ステアリング装置は、車速が零又は極低速であって、且つ操舵トルクが予め設定された所定値以上であることが検出されたときは、アクチュエータを作動させ、車速と操舵角又は操舵トルクに応じて予め設定されたナックルアーム長に設定する制御装置を備えたことを特徴とするステアリング装置である。
そして、前記ナックルアームが備えるアクチュエータは、ナックルアームの両端部の中間に装着された直線方向に伸縮可能な直動アクチュエータである。
また、前記制御装置は、車速が零又は極低速でないことが検出されたときは、予め設定された標準のナックルアーム長に設定するものとする。
以上説明したとおり、この発明に係るステアリング装置は、ナックルアームの長さを変更できるアクチュエータを備えており、車速と操舵角又は操舵トルクに応じて予め設定されたナックルアーム長に設定することができるものである。
この構成により、車速が零又は極低速であって、且つ操舵角が大きい場合、或いは車速が零又は極低速であって、且つ操舵トルクが大きい場合、例えば、車両を車庫入れする場合など据切り操舵をするような場合においては、ナックルアームの長さを長くすることにより、梃子の原理で重い転舵操作を軽減することができ、パワーステアリング装置においてラックエンド付近での操舵補助力の不足が予想される場合においても、運転者に操舵補助力の不足を感じさせることがない。
以下、この発明の実施の形態のステアリング装置について説明する。図1は、この発明を実施するに適したステアリング装置の一例であるコラムアシストタイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置の構成を示す全体斜視図である。
図1に示すコラムアシストタイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置は、ステアリングコラム2の中間部に取り付けたモータ3の操舵補助力を、上部軸4a、ユニバーサルジョイント4b、中間軸4c、ユニバーサルジョイント4dを経て下部軸4eに付与し、ステアリングギヤボックス5の内部に配置された図示されていないラックを車幅方向に移動させ、タイロッド6を介して舵輪を操舵する。
図2は、図1に示すラックアンドピニオン式ステアリング装置の動力伝達装置及び舵取り装置の構成の一例を説明する図、図3は、図2のタイロッド6とタイヤホイール14との連結部の構成を説明する図である。
エンジン11の回転出力は、変速機12、アクスル軸13を経てタイヤホイール14のハブに伝達され、タイヤ15を駆動する。アクスル軸13に略平行に、車幅方向に延びたステアリングギヤボックス5が配置され、内部に配置されたラックの端部にはタイロッド6が接合されている。
タイロッド6の端部であるタイロッドエンド6aは、ボールジョイント23を介してナックルアーム24の一端24aに接続されている。また、ナックルアーム24の他端24bは、タイヤホイールを回転自在に保持するナックル25を経てタイヤホイール14に連結されている。
ナックルアーム24の一端24aと他端24bとの中間には、直動アクチュエータ30が配置されており、ナックルアーム24の一端24aと他端24bとの距離を変更できるように構成されている。
図4は、直動アクチュエータ30の構成を説明する断面図であって、直動アクチュエータ30は、ハウジング31の内部にモータ32が配置されており、モータ32は、ハウジング31の内部に固定配置された固定子32aと、ハウジング31の内部に固定配置された軸受32cにより回転自在に配置された回転子32bから構成される。
回転子32bの軸は、軸方向左右に延長されて、ねじ軸34とねじ軸35が設けられており、ねじ軸34に形成された外ねじ34aとねじ軸35に形成された外ねじ35aは、互いに逆ねじ、即ち外ねじ34aが右ねじであれば、外ねじ35aは左ねじが形成されている。
一方、ハウジング31の内部には、作動部材36と37とが軸方向に移動自在に、且つ軸芯回りに回転しないようにスプライン結合等により装着されており、作動部材36の内側には、前記した外ねじ34aに螺合する内ねじ36aが形成され、作動部材37の内側には、外ねじ35aに螺合する内ねじ37aが形成されている。
作動部材36の外端部には、タイロッドエンド6aに連結される連結部36dが形成されており、作動部材37の外端部には、ナックルアーム24の一端に連結される連結部37dが形成されている。
上記した構成の直動アクチュエータ30では、モータ32を回転させるとねじ軸34及びねじ軸35が回転し、ねじ34aに螺合する内ねじ36aが形成された作動部材36、及びねじ35aに螺合する内ねじ37aが形成された作動部材37が、軸方向(矢印a方向)に移動し、作動部材36の外端部と作動部材37の外端部の距離、即ちナックルアーム24の全長を、長く或いは短く変更することができる。
次に、この発明の実施の形態のステアリング装置の動作について説明する。この発明のステアリング装置は、車速Vと操舵角θ、又は車速Vと操舵トルクTに基づいて直動アクチュエータ30を制御し、操舵補助負荷の低減処理を行う。このため、この発明のステアリング装置は、図示されていないが、制御装置のほか、車速Vを検出する車速センサ、操舵角θを検出する操舵角センサ、操舵トルクTを検出するトルクセンサを備えている。
電動パワーステアリング装置には、操舵補助を行うモータを制御する制御装置のほか、これ等のセンサ類を備えているから、その制御装置とセンサ類を直動アクチュエータ30の制御に使用することができる。以下、上記した制御装置により実行される操舵補助負荷の低減処理を説明する。
図5は、上記した直動アクチュエータ30を使用してナックルアーム長を変更し、ステアリングホイールの据え切り操作等の場合の操舵補助負荷の低減処理の第1例を説明するフローチャートである。
まず、車速Vが停止又は極低速か否かを判定し(ステップP11)、停止又は極低速の場合はステアリングホイールの操舵角θの大小を判定する(ステップP12)。
ステップP12の判定で、操舵角θが予め設定された所定値θ1 以上の大きな操舵角であれば、操舵トルクと操舵角に応じて予め実験により設定されたナックルアームの長さに関する数表或いは所定の演算式から該当する操舵トルクと操舵角に対応する所望のナックルアーム長を算出し(ステップP13)、直動アクチュエータ30を作動させて所望のナックルアーム長になるよう、モータ32を回転させる(ステップP14)。
ステップP11の判定で、車速Vが停止又は極低速でない場合は、直動アクチュエータを作動させて基準のナックルアーム長になるようモータ32を回転させる(ステップP15)。
図6は、ステアリングホイールの操舵角とナックルアーム長の関係を説明する図で、操舵角θが予め設定された所定値θ1 まではナックルアーム長Lは基準値L1 であり、操舵角θが所定値θ1 以上では、ナックルアーム長Lは操舵角θの増大に応じて長くなる。ナックルアーム長Lを操舵角θの増大に応じて長くすることで、操舵補助負荷を低減することができる。
図7は、上記した直動アクチュエータ30を使用してナックルアーム長を変更し、ステアリングホイールの据え切り操作等の場合の操舵補助負荷の低減処理の第2例を説明するフローチャートである。
まず、車速Vが停止又は極低速か否かを判定し(ステップP21)、停止又は極低速の場合はステアリングシャフトの発生する操舵トルクTの大小を判定する(ステップP22)。
ステップP22の判定で、操舵トルクTが予め設定された所定値T1 (電動パワーステアリング装置の制御装置で設定可能な最大モータ電流に対応する操舵トルク)以上の大きな操舵トルクであれば、操舵トルクに応じて予め実験により設定されたナックルアームの長さに関する数表或いは所定の演算式から、該当する操舵トルクに対応する所望のナックルアーム長を求め(ステップP23)、直動アクチュエータ30を作動させて所望のナックルアーム長になるよう、モータ32を回転させる(ステップP24)。
ステップP21の判定で、車速Vが停止又は極低速でない場合は、直動アクチュエータを作動させて基準のナックルアーム長になるようモータ32を回転させる(ステップP25)。
図8は、電動パワーステアリング装置の制御装置で設定可能なモータ電流Iと、操舵トルクTの関係を説明する図で、操舵トルクTの増大に対応して制御装置はモータ電流Iを増大させるが、操舵トルクの増大に応じて限界値T1を越えるモータ電流I1が流れると、モータの焼損等の故障が発生するので、設定可能な最大モータ電流には限界がある。
そこで、限界値を越えるモータ電流I1が流れるような操舵トルクT1が発生するときは、直動アクチュエータを作動させてナックルアーム長を延ばすことで、大きな操舵補助負荷に対応することができる。
図9は、この発明による操舵角θに対する操舵トルクTの変化を説明する図で、横軸は操舵角θ、縦軸は操舵トルクTである。
一般に、操舵角θの増減に対する操舵トルクTの増減の様子は、図9において実線で示すようなループを描き、ラックエンド付近では操舵角θの増加に対して操舵トルクTが急激に増加するから、ラックエンド付近では操舵補助力が不足する場合も予想され、ステアリングホイールの操作が重くなる。
これに対し、この発明によれば、ラックエンド付近では、操舵角θに応じてアクチュエータを作動させ、ナックルアーム長を長くすることで、図9において点線Aで示すように操舵角θの増加に対して必要とされる操舵トルクT(操舵補助力)の増加を抑えることができる。
以上、この発明の実施の形態のステアリング装置をコラムタイプの電動パワーステアリング装置に適用した例で説明したが、この発明の実施の形態のステアリング装置は、コラムアシストタイプのほか、ピニオンアシストタイプの電動パワーステアリング装置や、その他のパワーステアリング装置に限られるものではなく、それ以外のステアリング装置にも適用可能であることは言うまでもない。
操舵角の増大に応じてアクチュエータを作動させてナックルアームを長く設定し、ラックエンド付近での操舵操作を軽くし、また、必要とされる操舵補助力の増加を抑えることができるステアリング装置である。
この発明を実施するに適したコラムアシストタイプのラックアンドピニオン式ステアリング装置の構成を示す全体斜視図。 図1に示すラックアンドピニオン式ステアリング装置の動力伝達装置及び舵取り装置の構成を説明する図。 タイロッドとタイヤホイールとの連結部の構成を説明する図。 直動アクチュエータの構成を説明する断面図。 直動アクチュエータを使用してナックルアーム長を変更し、ステアリングホイールの据え切り操作等の場合の操舵補助負荷の低減処理の第1例を説明するフローチャート。 ステアリングホイールの操舵角とナックルアーム長の関係を説明する図。 直動アクチュエータを使用してナックルアーム長を変更し、ステアリングホイールの据え切り操作等の場合の操舵補助負荷の低減処理の第2例を説明するフローチャート。 電動パワーステアリング装置の制御装置で設定可能なモータ電流と、操舵トルクの関係を説明する図。 この発明による操舵角θに対する操舵トルクTの変化を説明する図。 従来のラックアンドピニオン式ステアリング装置の動力伝達装置及び舵取り装置の構成を説明する図。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングコラム
3 モータ
4a 上部軸
4b、4d ユニバーサルジョイント
4c 中間軸
4e 下部軸
5 ステアリングギヤボックス
6 タイロッド
11 エンジン
12 変速機
13 アクスル軸
14 タイヤホイール
15 タイヤ
22 タイロッドエンド
23 ボールジョイント
24 ナックルアーム
24a ナックルアームの一端
24b ナックルアームの他端
25 ナックル
30 直動アクチュエータ
31 ハウジング
32 モータ
32a 固定子
32b 回転子
32c 軸受
34、35 ねじ軸
34a、35a 外ねじ
36、37 作動部材
36a、37a 内ねじ

Claims (3)

  1. ステアリングホイールから延長されたステアリングシャフトの一端に装着されたピニオンと、
    車幅方向に摺動自在に保持されて前記ピニオンに噛合するラックと、
    前記ラックの車幅方向両端部に設けられたタイロッドと、
    前記タイロッドの先端部に連接されるタイロッドエンドと、
    タイヤホイールを回転自在に保持するナックルと、
    前記タイロッドエンドとナックルとを連結するナックルアームと
    を備えるステアリング装置において、
    前記ナックルアームはその長さを変更できるアクチュエータを備え、
    前記ステアリング装置は、車速が零又は極低速であって、且つ操舵トルクが予め設定された所定値以上であることが検出されたときは、アクチュエータを作動させ、車速と操舵角又は操舵トルクに応じて予め設定されたナックルアーム長に設定する制御装置を備えたこと
    を特徴とするステアリング装置。
  2. 前記ナックルアームが備えるアクチュエータは、ナックルアームの両端部の中間に装着された直線方向に伸縮可能な直動アクチュエータであること
    を特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記制御装置は、車速が零又は極低速でないことが検出されたときは、予め設定された標準のナックルアーム長に設定すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のステアリング装置。
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